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目次 1. 「角膜移植に関する法律」と「角膜及び腎臓の移植に関する法律」

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長崎大学教養部紀要(人文科学篇) 終刊号 第38巻 第1号 (1997年9月)

諸「臓器移植法(案)」に於ける本人と家族の意思

‑角膜移植法から修正「移植法案」迄の40年間の推移と課題‑

正木晴彦

"On The Intention Between Organ‑donors and Their Families in Several 'Organ Transplantation Laws (Bills)' "

Haruhiko MASAKI

目次

1. 「角膜移植に関する法律」と「角膜及び腎臓の移植に関する法律」

2.臨時脳死及び臓器移植調査会の「最終答申」

3.最初の「臓器移植法案」 (94年法案) 4. 「臓器移植に関する法律案」 (96年法案) 5.修正「臓器移植法」の提案

6.残された諸課題

①家族と死者本人の意思について

②ダブル・スタンダードの問題

③ドナー・カードの諸問題

④その他の問題

ドナー・カードの所持率が1%以下とされる我が国にあっては、臓器提供の意思を誰が、

どの様にして確認するかは自己決定権にかかわる極めて重要な問題であるし、その方法の 如何によっては臓器の供給量が大きく左右される。本人が生前に「拒否」を表明していた

り、あるいは本人の意思が「不明」であっても遺族のみの意向で摘出可能とする立場から、

本人が生前に臓器提供及び脳死の判定に「承諾」の意恩を書面で表示し、尚かっ遺族も又 摘出と脳死判定を「拒否しない」時にのみ臓器の摘出ができるとの厳しい条件をつける場 合まで、第5章末の一覧表に図示する如く様々なケースが可能となる。小論では臓器提供

(2)

に際しての意思確認の方法が、この約20年間(註1)でどの様に変化して釆たか、それは何 故か、またどの様な問題が残されているかについて考えて見た。

1. 「角膜移植に関する法律」と「角膜及び腎膿の移植に関する法律」

・・・・・

これらの法律(以下で後者を「角腎移植法」と略す)は一言にして言えば、遺族の意向

● ● ● ● ● ● ● ● ●

のみを尊重した法律である。臓器は公共の医療資源なりとの見地から、死者自身及び遺族 全員が反対する中で強制的に臓器を採ぎ取る事は我が国では不可能であるから、なるべく 提供の機会を多くする為にはこれが最も臓器の出て釆易い定めであると言えよう。

「角膜及び腎膿の移植に関する法律」の第3条3項には次の様な規定がある。

医師は、第一項又は前項の規定(柱2)による死体からの眼球又は腎膿の摘出をしよう とするときは、あらかじめ、その遺族の書面による承諾を受けなければならない。ただ し、死亡した者が生存中にその眼球又は腎臓の摘出について書面による承諾をしており、

かつ、医師がその旨を遺族に告知し、遺族がその摘出を拒まないとき、又は遺族がない ときは、この限りでない。

要点は

①本人が生前に眼球や腎臓の摘出に反対の意思を表明するか、諾否の意思表示をしてい ない時でも、遺族の書面による承諾があれば摘出可能であり、

(塾死者本人が摘出に同意していても、遺族が反対した場合には摘出は認められな

いo(註3)

と言うものである。変死体又はその疑いのある時も勿論摘出はできない。遺族の無い者に ついては、本人の生前の文書等による意恩が尊重されるのは当然であるが、遺族が存在す る際には「遺族の意恩のみ」ですべてが決定する仕組みとなっている。これ等の条件はな るべく多くの病人を助けんとの善意と、全身の中の、わずかに眼球と腎臓のみを対象とし た法律であるとの気軽さに由来するものとも思われるが、死者本人の意恩が全く無視され ていると言う点と、人体の一部には謝礼などの形で実質上の対価が支払われる事もあり得 る現実を患えば、遺族の意思のみを重視した規定は多くの問題を学んでいると言わざるを 得ない。この点については最後に触れることとする。

2.臨時脳死及び膿器移植調査会の「表終答申」

平成4 (1992)年1月22日の答申(以下、 「臨調答申」と略す)では本人意思の取り扱 いについて若干の改善の跡が見られる。 「臨調答申」第Ⅱ章第二項「臓器移植を進めるに 当たっての基本原則」の中で

(膿器提供について)本人の意思は近親者の意思に優先すべきものであり、脳死者から

(3)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

229

の膿器の提供にあたっては、本人の意思が、最大限に尊重されなければならないものと 考える。したがって、本人が何らかの形で膿器提供を否定していたときは、たとえ近親 者が提供を承諾しても、臓器の摘出は認められるべきではない。また、反対に膿器提供 についての本人の承諾がドナーカード等の文書でなされていたときには、近親者はこれ を尊重することか望ましいものと考える。

と述べているのである。よって「臨調答申」では、諾・否何れの場合に限らず近親者より

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

も、臓器提供者本人の意思を尊重した方が良いとの記述であるが、良く読むと摘出の諾・

● ●

否に関して微妙な表現の違いがある。即ち、本人が拒否の意思表示をしている時には摘出

● ●

は「すべきではない」が、承諾の文書がある場合には、その意向を「尊重することが望ま しい」となっており、本人が諒承していても近親者の反対で摘出を認めぬ余地を残してい

る。

臓器等の提供意思を明確に表示するドナー・カードの所持者が非常に少なく、逆に、提 供拒否の表示書式も定まっておらぬこの国にあって、事例としては一番多く、尚かっ最も 重要なのは「本人の意思が不明な場合」の判断である。これについて「臨調答申」には、

上記の引用箇所に続いて、本人の承諾が文書で「なされていない場合」と、本人の臓器提 供の「意思が不明な場合」に分けて次の様に記されているが、一寸判りにくい表現になっ

ている。

本人の承諾がドナーカード等の文書でなされていない場合においても、近親者が諸般 の事情から本人の提供の意思を認めているときには臓器提供を認めてもよいものと考え る。さらにこの点に関しては、本人の臓器提供についての意思が不明な場合であっても、

近親者か提供を承諾する場合には、臓器提供を認めるべきであるという意見もあった。

「・‑という意見もあった」とわざわざ断っているのであるから、これが委員全員の一致し た結論ではなかったことが十分に窺われる。私見により解釈すれば、故人の書面による意 思表示が無い場合でも

①前者は、不明確な表現ながら、何らかの根拠により当人の臓器提供の気持を付度でき る場合には認めてもよいし、

②後者は、更に踏み込んで本人の意思は全く不明と言うケースがあるが、その際にも

「近親者が提供を承諾すれば」認めるべきである

との意見があったと言うのである。これでは、文書による意恩表示をしていない多くの人 の場合に、悪い言い方だが、近親者の勝手な意向で摘出の可否が決定されかねない。

新聞報道によれば審議の途中で「臨調としては不明な時はできない」と一旦は明言して

おり、その後、厳格に本人の意思のみに従うべきだとする少数意見と「本人の意思を推測

してやる場合は良い」と為す多数意見の一致が見られず、結局上記のような表現になった

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らしい。意見の並列は良いとしても、如何なる材料をもって本人の意向であると推測する かの規定も無いのでは運用上の心配が生ずる。従って、先の答申文に続いて次の様な第三 者によるチェックと立法等による手続きの明確化を促しているのは、当然ながら望ましい 事である。表現は次のようになっている。

ただし、いずれの場合にも近親者に対し不当な圧力がかかることのないよう第三者に よるチェックを行う仕組みを取り入れるべきである。

なお、いずれにせよこうした点については立法手段等によって明確化することが望ま しいという点で委員全員の意見は一致した。

3.最初の「膿器移植法案」 (94年法案)

「臨調答申」後に超党派の「生命倫理研究議員連盟」 (会長・中山太郎議員)が法案作 成を目指して検討を始めたが一致を見ず、これを継承した形で、答申から2年3ケ月を経 た平成6 (1994)年4月12日に「脳死及び臓器移植に関する各党協議会」 (座長・森井忠 良議員)は、全24条から成る我が国初の「臓器移植法案」 (以下、 「94年法案」と呼ぶ)を、

共産党を除く15人が提案者となり、議員立法として国会へ提出した。この法案の特徴は (彰明記はして無いが、明らかに「脳死は人の死」である事を前提とし

②生前に文書で臓器提供の意思を表わした脳死者で、かつ、家族の反対が無ければ臓器 の摘出ができる

と言う点にあり、例えば死者からの臓器摘出について次の如く規定している。

「94年法案」第6条第1項

医師は、次の各号のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を、

死体(脳死体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。

‑、死亡した者が生存中に当該膿器を移植術に使用されるために提供する意思を書面に より表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族か当該臆器の摘出を拒ま ない時又は遺族がないとき。

二、死亡した者が生存中に当該鹿器を移植術に使用されるために提供する意思を書面に より表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であっ て、遺族が当該鹿器の摘出について書面により承諾しているとき。

これは明らかに「臨調答申」の多数意見をベースに作成されたものと考えられ、ドナー本 人が提供の意思を書面で表示していない時には、 「遺族の承諾のみ」で摘出して良い事と なっている。この場合、遺族が本人の意思を推察する根拠は未だにかなり唆味であり、 12 月始めの「法案要綱」発表時にも先送りの原因となった「具体的なガイドライン」につい て、 「厚生省の運用指針」 (1994年1月)でも「本人の平素の言動などから察する」と示す

(5)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

231

程度で、当人の真意が遺族によって都合よく曲解される可能性も無くは無い。ドナー・カー ドや正式な遺書ならば異論は無いが、手紙や日記等についてはどうするのか。またそれを 医師、法律家、第三者・‑の誰が確認するかについても明示すべきである。

故意でなくても家族の誤解等もあり得るであろう。関西ではかって「臓器」や「献体」

の意味も知らなかったと言う、看病で疲れ切った喪主(母親)の許‑病院から電話がかかっ た時に、 「どないなとして下さい」と言ったら、息子の全臓器や角膜、皮ふが取られて了っ た、との出来事もあった。本人意思の拡大解釈を防ぎ、ドナーや家族‑の「任意性」にも

う少し配慮をして、提供者‑の説明には第三者が立ち会い、説得の回数にも制限をつける 等の条件を付して、脳死に同意できぬ人にも一定の配慮をしたものからスタートする方が、

結果として立法の目的を達成し易い様に患われる。

また、本人の提供意恩を示す文書があっても、遺族がこれを拒めば摘出を不可能とする 等、 「臨調答申」の希望意見は否定され、死者本人と近親者の意見が‑致せぬ場合には、

提供を無理強いしない条文となっている。その他の主な点としては

o若い人の新鮮な臓器が期待される交通事故死など「検死」が必要なケースでは、その手 続き終了後でないと摘出できぬ(第7条)こと

o脳死判定や摘出、移植に直接関与した医師が必要な記録を作成し、保存の上、家族等の 請求により閲覧に応じ(第10条)たり

o臓器は飽迄もドナーからの善意によるものであり、売買はこれを禁止(第11条)する とした点などがあるが、何れも至極妥当な内容である。

然し乍らこの「94年法案」は、実質的審議が無いままに8回もの継続審議を繰り返し、

2年後の平成8 (1996)年9月27日の衆議院解散により廃案となったのである。

4. 「膿器の移植に関する法律案」 (「96年法案」)

「94年法案」は廃案にはなったが、その間に参考人の意見陳述や地方公聴会なども実施 され、脳死状態からの臓器移植を推進する為に、生前の意思の推測に際しての不備な点を 改める動きも出ていた。 「自民・社民・さきがけ」の与党三党の幹部は、 「94年法案」を修 正して

①生前の意思が明確な場合にのみ、摘出を認める

②本人が拒否表明していない場合は、遺族の書面による

とする方針を明らかにした(96年5月24日)が、後に前出の超党派の「生命倫理研究議員 連盟」の総会(同年6月7日)にて、 ②を改めて

(診'生前の意思が分からない場合の臓器摘出については、 3年後に再検討する との時限立法の方向で、解決を先送りにして法案の修正を諒承した。

(6)

その後この法案が8回目の継続審議と決定(6月12日)した事に伴い

「廃案でもやらざるを得ぬ」 (6月20日、毎日)と公言する大学病院長が現われたり、 9 月末の廃案確定後になると日本移植学会の理事会(理事長・野本亀久雄九大教授)が、こ

● ● ● ● ● ● ●

れ以上待てぬとして、法律が無くても「学会独自の責任で実施」する事を決定、 3‑6ケ 月の準備期間をおいて、自主ルール作成に踏み出すと発表(9月28日)するなど、国会へ

の圧力とも取れる動きが始まった。これは殺人罪での告訴をも覚悟の上での強い決意表明 であり、外国にも事例があるのでその熱意は判らぬではないが、法治国家に在っては慎し むべき選択であろう。

この様な状況の中で、先の「生命倫理研究議員連盟」は、総会にて「94年法案」を一部 修正して臨時国会に提出の方針を決定(11月26日)、 12月11日に衆院へ提出した。法案は 同年6月に衆院の厚生委員会に出された修正案と同一の内容で、 「脳死体とは、全脳の機 能が不可逆的に停止したと判定された死体をいう」として、 「脳死を人の死」と認めた上 で臓器の摘出について次の様に定めている。

「臓器の移植に関する法律案」 (「96年法案」)第6条1項

医師は死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面によ り表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まない とき又は遺族がないときは、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死体を含む。

以下同じ。)から摘出することができる。

この様に死者本人の臓器提供の意思表示のある場合に限って、遺族の同意を得て摘出でき るとした点は「94年法案」と同様であるが、脳死者本人の生前の意恩が表示されていない 以上は、家族等の承諾に拘わらず絶対に摘出できぬとした点は、本人の意向を重視し、脳 死や移植に慎重な人々、または反対する立場の人々にも配慮したものである。 6才未満の 子供(竹内基準では脳死判定をせぬことになっている)の場合について、厚生省の小林局 長は「出来ない」と明言している。また知的障害のある場合については、一応第三者によ

る意思確認のチェック機関の設置が盛り込まれている。また、脳死判定の記録の保存や臓 器売買禁止の条項も、当然乍らそのまま受け継がれている。一方、心停止後の角膜・腎臓

の提供については、従来通り「家族の承諾のみ」で良いとされている0

日本移植学会は翌年に入ると理事会にて「ドナー作業部会の設置」を決め、脳死判定か ら臓器摘出までの作業マニュアル化の検討を決め(97年2月8日)、衆院でもやっと「96 年法案」が本会議の趣旨説明と厚生委での提案理由の説明にこぎっける(3月18日)が、

法律が無くても移植の実施を目指して来た日本移植学会は、理事会と評議員会を開き(3 月22日)、第三者による移植の審査体制を整えた上で、指定した「心臓4」、 「肝臓6」の 施設で実施するという指針の骨子を公表したが、腎移植については依然として心臓死を前

(7)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

233

提に実施する訳であるから、その整合性が問われる処である。

ところが、一旦3月20日のシンポジウムで公開した「家族の承諾で臓器を摘出、移植す る」との案は一転して「本人の承諾を必要とする」ように修正(3月22日)された。また 移植の超法規的な実施について、行動指針は承認したが、当分は法案成立を期待して無理

には実施に踏み切らぬ方針に変更(4月12日)された。

一方、 「96年法案」に反対する超党派の「脳死を人の死としない臓器移植法案をめざす 議員の会」 (代表・金田誠一議員)は、現行案では心臓死に脳死が加わると言う、死の概 念の大巾な変更となる為、 「脳死を人の死としないで」脳死移植を可能にする対案を衆院

‑提出(3月31日)した。金田議員らの対案は、日弁連の主張に近いものであったが76対 399票の大差で否決され、続いて「96年法案」が320対148票と、 6割以上の賛成を得て可 決(4月24日)され参院へ送られた。

この様に見て来ると「近親者の承諾のみでも摘出可能」から「本人自身の書面による承 諾の意思表示」を必須条件とする方向へと、表面上は傾きつつあるかに見えるが、必ずし

もそうでは無い。この際、多少は提供者が減少しても、 「移植法」の成立そのものを優先 しておき、今後、 3年後に「見直し」をする決まりであるからその時に改めると言う事も 可能であるし、参院での審議も残っているので、予断は許されない。法案の衆院通過前後

には宗教界を中心に危快の声が上ったが、移植学会は早々と理事会にて法律家を含む「脳 死移植の専門家チームの全国派遣」を決定(4月26日)している。

5.修正「威器移植法」の提案

衆院を通過した「96年法案」は参院では平成7 (1997)年5月26日からの特別委員会で 審議入りした。当初は継続審議が濃厚な状況であったが、 6月に入るや参院与野党の非公 式協議(6月4日)の結果、俄かに成立の可能性が出て来た。 6月10日に参院自民党が公 表した修正案には「96年法案」及び参院での「対案」 (猪熊重二議員らが提出)の提案者 が共に同意した結果、共同の修正案で一本化し、翌6月11日には平成会など与野党の議員 と共同で参院の臓器移植特別委の委員長に提出されたからである。修正案の内容は新聞報 道によれば、論点となっていた脳死判定で死を決める事への賛否の両論がほぼ相半ばして いる現状を考慮して「脳死判定の拒否権」を明記した結果、 「96年法案」やその対案たる

「脳死と心臓死を共に容認」する法案となっている。

修正「臓器移植法案」

第6条1項

医師は死亡した者か生前に膿器提供の意思を書面で表示し、遺族が摘出を拒まないと き、または遺族がいないとき、膿器を死体(脳死した者の身体を含む)から摘出できる。

(8)

第6条2項

「脳死した者の身体」とは、その身体から移植用に臆器が摘出されることとなる者で あって全脳の機能が不可逆的に停止したと判定された者の身体をいう

第6条3項

臓器摘出にかかる脳死判定は当該者が1項に加え、判定に従う意思を書面で表示して いる場合かつ家族が判定を拒まないとき、または家族がいないときに限り行うことがで きる。

第6条4項

脳死判定は2人以上の医師の医学的見地に基づき、厚生省令で定めるところにより行 う判断の一致によって行われる

この修正案の核心は勿論、第6条2項の

(彰「脳死を人の死」とする考え方には国民的合意は無いとの前提から、これを一律には 適用せず「臓器提供者のみ」に限定

した点にある。その他については

②臓器摘出の要件として、本人の意思表示と遺族の拒まぬことの他に、新たに「脳死判 定についても本人生前の、判定に従う意思表示と、その告知を受けた家族が脳死判定を 拒まぬ場合」と言う三重四重に縛りがかけられた点

③脳死判定を「2人以上の医師」の医学的見地に基づく判断の一致によるものとなし、

虚偽の書面を作成した場合には、 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科する等、

「罰則を強化」した点

に特徴がある。 (彰については海外にも類似例(註4)があり、全体として賛否両論の妥協の 産物との感も無しとしないが、従来の法律案と比較すると、かなり現実的な内容にはなっ ている。

条文や答申の完全な表示は無理であるが、各法案等の特徴が一見して判るように一

応予想されるケースを次貢に一覧表として図示して見た。黒、白以外の表示(臨調答

申)は、全員の意見に非ざることを意味す。

(9)

諸「臓器移植法(案)」に於ける本人と家族の意思

(巌器摘出の可能な場合)

235

諾●否の組み合わせ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ll 12 13 諾 ●否 の意 思 の有 無 本人の意思表示 「有り」 本人の意思表示 「無し」

本人 「承諾」本.薙不致本人「拒否」本」本 死者本人の

脳死 の判定 脳死判定を希望する文書不要の場合

臓器 の摘 出 ○ ○ ○ ○ × × × △ △ △ △ △ △ 遺族●近親

者 の意 思

脳死 の判定 脳死判定を希望する文書不要の場合

臓器 の摘 出 ○ ○ 無族 × ○ 無族 × ○ △ × ○ △ ×

角膜移植に関する法律」

(昭和33年公布) 脳 .

角膜及び腎臓の移植に関す 法律」(昭和54‑3‑18公布) 臨時脳死及び臓器移植調査 会の「最終答申」(平成4‑1‑22)

m

94年法案」

(平成6‑4‑12衆院提出)

96年法案」

(平成8‑12‑11衆院提出) 修正 「器移権法」

(平成9‑6‑11参院提出) [6月17日両院で可決]

○承諾、 ×拒否、 △諾・否不明

〃l〜摘出可能[=コ摘出不可能医忽ヨ提供が望ましい巨Ⅱ]認めるべきでない 6.残された課題

臓器移植の医療は医学の進歩の途上の‑階梯であり、決して最終着点では無い。どうし ても必要であれば、本来的には他人の犠牲を前提とせぬ人工臓器などの形で実施さるべき

ものである。移植後に仮に拒絶反応等に悩まされなかったとしても、その人とて、いっか は死を免がれる事が不可能であるから、それは生死の問題の先送りであって根本的解決と 錯覚されてはならない。まして、ドナーの臓器を受け取る人の心情が商品の購入の如くビ

ジネスライクな無神経なものである事は慎むべきである。

また移植医療の「是認」は、人体の無制限な、全面利用への扉を開くことにもなりかね ない。一旦これが安易に肯定されたりすると、あとは何処で線引きをするかと言う「程度 問題」になって了う。心臓や肝臓を摘出して良いのならば、他の全臓器は勿論、血液や皮 ふ、骨も筋肉も髪は言うに及ばず、生殖器や脳も‑‑‑と言った具合で、余す処なく利用が 可能である。口から入れるのは不当だが静脈からなら構わぬと言っても、消化吸収されて 了えば行きつく処は同じであり、不穏当な例えであるが、生き血を吸う行為と輸血、人肉 食と臓器移植の本質はそう変わる処は無い。既にと卜由来のトロンビン製剤(飲む局所止 血剤)や経口のと卜胎盤製剤など、人体の一部から出来て人間の口から入る医薬品も存在

しているとの報告(註5)がある。

(10)

将来食料不足の事態が発生した時に、人体をアミノ酸に迄分解して錠剤やカプセルにし たりすれば、ビーフやポークからの製剤との区別は困難であろうとさえ言われる。また脳 死体は各種の医療器機に繋がれてはいるが呼吸し体温もあり代謝も行われているので、血 液やホルモンの「臓器農場」として、代理母の代理としての「出産装置」として、或いは 新薬の「実験台」として‑‑・とあとには歯止めなき利用法が待ち受けている、と書けば言

い過ぎになるであろうか。

既述のように脳死の問題は、人間の生死そのものと深く関わる問題であるにも拘わらず、

臓器移植の前提条件に矯小化されて論じられて来た感が強い。修正法案の提示で法律の成 立するムードが高まるにつれ仏教、神道、キリスト教、新宗教などの宗教各界から遺憾の 声が上がりつつある。脳死が本当に人の死であるかを法律で決することの可否もさる事な がら、人の生と死をどう把えるかと言う哲学・宗教的な問題についての「社会的合意」は 出来上がっておらず、脳死問題をも考慮した多様な死生観に関する人々の取り組みは、やっ

と始まったばかりと患われる。朝日新聞の全国世論調査でも、昨年9月には「脳死を人の 死と認める」人が53%であった(96年10月1日、朝日)が、本年5月の「96年法案」

の衆院通過後には「人の死は心臓が停止した場合に限る」と見なす人が、 「脳死は人の死 である」と考える人を上回っており(97年5月27日、朝日)国民的コンセンサスがある

とは必ずしも言い難い状況である。

とは言え、世の中には自分の臓器の提供を快諾する人と、現段階に於いては本当に移植 以外の方法では助かる見込みのない病める人と、それらをとりもつ善意の有能な医師が存 在するのも厳然たる事実である。その限りにおいて、限られた条件の範囲内での移植は容 認されて然るべきであり、今回の修正法案も、上記の諸事情を踏まえて、必ずしも一律に 脳死を人の死とは認めないで、然も臓器移植のできる可能性を模索した結果であると評価

している。

よって筆者は、ドナー本人の生前の意思が不明の時の臓器摘出のみについての「見直し 条項」よりも、 「臓器移植法」それ自体が時限立法であるべきで、人工臓器の十分な開発 が進んで、移植が入れ歯や眼鏡のレベルで語られる様になれば、将来は廃止さるべき法律 だと考える。 (註6)それ迄の間、今回の修正「臓器移植法」にて多様な価値観を容認しつつ 移植医療が実施されるとした場合に留意さるべきと思われる点を以下にまとめて見た。

(》家族と死者本人の意思について

約20年前には遺族の意思のみで摘出できた臓器は、故人が拒否した時には不可能になり、

そして本人の同意文書が必須となり、ついには脳死の判定と摘出の両方について死者本人

と遺族の同意文書を必要とするきびしい法案となった。これで少なく共、患者本人の人権

(11)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

237

は尊重され、家族も望まないのに、一方的に脳死と判定されて、もう死んだのだからと言っ て医療を打ち切られる、との恐れは無くなった。これ迄の変遷の背景には「死者本人の意 思」を絶対的に尊重する流れが見られる。臓器の所有権者は本人か家族か、国家、社会か それとも神仏か、或いはそれ等の二つ以上に跨がるのかを決するのは仲々難かしい。 「本 人のみのもの」とすれば、臓器は本人の所有物としてモノや部品の如く見なすのか、或い は、人格主体としての精神的な自己が、肉体としての自分を所有すると考えるのか、の問 題ともなろう。

法理論としても、身体の自己決定権は死後にも及び、本人の決定は死後にも有効なりと する考え方と、逆に、死者は法益の主体とはなり得ない故に、身体に対する自決権は死と 共に消滅し死体には及ばぬとする見解がある。前者に立てば飽く迄も本人の意思を、後者

に立てば本人の権利を引き継いだ家族の意思を重視する事になる。

貯余曲折の末に、本人意思のみを絶対視せず「死者本人が臓器提供拒否の意恩表示をし ない限りは、遺族の意恩が尊重さるべき」との提案(註7)も改めて為されている。この他

に、諾、否に加えて「家族に一任」するか否かをも選択肢に加えて本人に選ばせる方法も あろう。両者の意思の折り合いをどうつけるか、 3年後迄に一つの結論が出るか否かは不 明であるが、学会のみならず国民一般にも諸説のある処であろうから、当分の間は何等か の形で両方の立場を尊重した形で行くべきであろう。

「修正法案」が通れば臓器提供の諾否の確認は、心臓死の時と順序が逆になり、脳死か どうかの検査より先にする定めとなっている。平素の健康な中から本人の考えを確認して いなかった患者の場合、治療現場で家族に対して当人の意思の有無を問い合わせる作業は 相当の困難を伴なうであろうが、止むを得まい。

更に、近親者や家族の範囲をどこ迄とするか、例えば‑率に何親等と定めれば数十年間 も音沙汰の無かった人の発言権が強まったり、何人もの中の唯一人の反対で中止するのか、

の問題もあろう。付帯決議の中にもガイドラインを早急に作成するよう記されているが、

条文中の「家族」を相続権者としたり、その中に本人が指定した親しい友人等を含めたり 等、種々のケースが考えられる。

②ダブル・スタンダードについて

将来に亘って脳死からの回復は絶対に無いとの断言は無理であろうし、脳死そのもので

はないが、最近の脳低体温療法により蘇生限界点も延びている事などを考えると、死の概

念の安易な変更には慎重であるべきだと思う。脳死判定の拒否権について、厚生省の小林

局長は当初「死の客観性が失われる」との理由で一旦はこれを否定(97年4月18日、衆院

厚生委)したが、 「修正法案」では「脳死判定を本人が生前に書面で表示し、且つ家族が

(12)

この判定を拒まぬ場合」と、脳死判定の「拒否権」が明記される事となった。その結果と

・・・・・

して、この法案通りに成立した場合には、基本的には「心臓死」で、臓器ドナーに限って

・・・・

例外的に「脳死」をもって人の死と定める事となる。即ち、同一人物であっても後者を選 べば「死者」であるが、前者で押し通せば未だ治療にあずかるべき「患者」なりと考えね ばならぬ。その場合に

O臓器ドナーとならない患者が脳死状態に陥った時には必ず治療を続行するのか、心臓死 になる迄放置するのか

o心臓死と脳死の「二つの死」を認める結果、死亡宣告時期の相違が遺産相続等に影響せ ぬか

等の問題を検討しておく必要があろう。ダブルスタンダードは好ましい事態では無いが、

現実倫理に在っては暫定的に止むを得ぬ事は筆者が既に試論を提案(註8)した処である。

③ドナー・カードの諸問題

文書による「本人意思」が絶対条件になると当然、ドナー・カードの役割が重大化する。

このカードについて気付いた点を挙げておく。

o国などによるドナー・カード作成の強制が為されたりせぬ様、任意性を強調すること。

o摘出の諾・否の前に「脳死判定」の項目を加えた「新カード」を早急に作成の必要があ るが、この機会に不備の多い現行の自由配布制を「登録制」一本にまとめ、偽造・変造 も防止できるものにすること。

oドナー登録時には個々の摘出臓器名(心・肝・肺‑・・・の別及び一対あるものについては 別個に)を明示し、腎ネット方式の様に○印ではなく、 「拒否臓器に×印」を記す方法 により、他人が後で勝手に付け加える恐れを無くすこと。

oドナー・カードは入院後や病状の末期にではなく、なるべく健康な状態のうちに、臓器 提供の意味を十分に理解した成人自身が自署で記入の上カードを所持する為にも健康保 険証や運転免許証などに記載欄を印刷する方法が便利であること。

o米国やカナダでは救急医療の手抜きを恐れてドナー登録が急減の傾向(97年6月15日

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

朝日)と報じられている。病院においてはカードの有無に拘わらず「脳死以前の治療」

に、患者によって相違があってはならない。まして法的な摘出承諾の条件が揃わぬ中に 家族に無断で摘出の為のドナー管理を開始してほならぬし、臓器の品質管理を治療に優 先させる事は、人体の商品化につながる危険があると知るべきである。

④その他の問題

以下で思いっくままに、その他の問題点を列挙して見る。

(13)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

239

o 「家族のいない人」の本人意恩の文書の真偽はどの様に確認するか。勝手に作成される 心配は無いのか。

o移植臓器の圧倒的不足が予想される中での公平、公正な配分に不可欠のネットワーク を、既存の腎ネットなどをベースに整備、拡充の必要があろう。これには腎臓以外の多 臓器のコーディネーターの確保も必要となろう。

oインフォームド・コンセントに関して言えば、医師と家族の従来の力関係に鑑み、移植 に関する記録の閲覧法については若干の工夫が必要と思われること。

o移植事例を検証する為の審議機関は無くて良いのか。

。医療技術は日進月歩であり、判定基準等は常に妥当性が吟味さるべきこと。

。無呼吸テスト等の「脳死判定検査」の見直しは必要ないのか。脳神経プロパーの医師で なくても一律にこれを実施して良いか否か。

o判定に地域差が出ぬ様に、各地に脳死判定チームを配置、常駐の必要はないか。

※ ※ ※

実際にスタートすれば、予期せぬ問題が次々と発生するかも知れぬが、今の段階で手許 の資料をもとに気付いた点を挙げた次第である。

なお、諸般の事情で言い尽くせぬ点もあったが、既刊の拙論(註9)をも併せて参照頂け れば幸いである。

《資料》

以下の資料は既刊「生と死のネオパラダイムと倫理」の付属資料(pp.27‑66)及び rがん告知を巡る過去20年間の推移とその問題点J (pp.99‑109)の続篇であり、分類方法

も同論27頁のく基本方針)による。よって、以下のデータは前者の(1)p.40、 (2)p.56、 (3) p.66及び後者の(1) p.99、 (2) p.103、 (3)p.108に続くものである。

(1)出生に関する諸問題

96. 5. 3 FAO (国連食糧農業機関) 、 6月にライプチヒ(独)で開催の会議で採択予定 の「世界行動計画」と「ライプチヒ宣言」の原案を公表。農作物の新品種開発 に重要でありながら環境破壊で減少しつつある多様な遺伝子(遺伝資源)の保 全と、適切な利用のため。

5. 4総務庁統計局、 4月1日付の子供(15才未満)の数が、第1回国勢調査(1920年) 以来始めて2,000万人を割り、全人口の15.8% (1945年には36.8%)になった

と発表。子供の男女比は105. 3対100で男が51万人多い。

5. 4厚生省人口問題研究所の意識調査。出生率の低下について4割強が「望ましく

(14)

ない」 、低下防止法として「経済的負担の軽減」や「出産、子育ての支援制度」

を期待。未婚の理由は「経済力」にあるが男性は「経済的ゆとりが無い」女性 は「経済力が向上した」が理由。

5. 8ニフティサーブ(日本最大手のパソコン通信ネット)に都内の通販会社が「優 秀ナ精子モトム」との掲示をした(4/28と5/5)ことが判明。 ①一流大学歴

②芸能人やモデル、俳優③プロの芸術家かスポーツ選手に限り応募可。最 高300万円。日本では受精卵が生命かモノかの結論を出してない為歯止めがな

く、商業化やトラブル発生の危険性も。

5.14自治医大、水上尚典講師グループ、多胎妊娠「37過で出産が適切」とし、従来 の40週より危険性増大の転換点をくり上ぐ。

5. 17陣痛促進剤被害者の会(新居浜市)の調査で副作用の疑い54症例、母子等の死 亡15人(厚生省は23例、 9人)と発表。厚生省に調査要請。

5.29国連人口基金、 1996年世界人口白書発表。 7月現在で58億410万人。 10年以内に 過半数の33億人が都市に集中との予測。環境破壊の激化が心配。

5.30 (莱) NATURE誌、ペンシルベニア大のDr.プリンスターのグループ、 「代理 父」ネズミで成功と発表。ラットの精子をっくるもとになる細胞をマウスに移 植して「ラットの精子をっくらせる」ことに初めて成功。これは、マウスがもっ と他の種の動物の精子をっくる可能性や、無精子症の男性の精祖細胞を他人に 提供してもらって自分の精子を作る「代理父」への応用にもなり得る。

6. 6新華社電、福建省の人民代表大会、 「胎児の性別鑑定禁止」を可決。 1人っ子政 策の為、働き手としての男児を望み、女児と判ると中絶の風潮あり。医師は2 回以上判定すると資格取り消し、妊婦は中絶が分かると5年間出産権を与えぬ との罰則つき。同省の出生男女比は女児100人に対し、 118.7人(90年) 、 115.

4人(95年)の由。

6. 7日本産婦人科学会の倫理委員会調査。国内で生れた「体外受精児1万4千人を超 す」と発表。 1983年に開始以来94‑95年は学会登録の303施設で4. 600人が誕生

し過去最高。

6.14衆院、優生保護法の差別規定(不良な子孫の出生防止等)を削除した「母体保 護法」を可決、参院へ。中絶、不妊、避妊の手術を「保護」と見なすことには 反対も。

6.14カナダ政府「生殖ビジネス規制法案」を議会提出。不妊者の悩みにつけ込んだ

利潤目的の行為規制を目指す。代理母のあっせん、精子のやみ取引、受胎直後

の胎児売買の他、性選択、クローニング、遺伝子操作も規制、禁止。

(15)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

241

6.総務庁統計局、 95年10月の国勢調査速報。 「急激な高齢化」と「未婚男女の急 増」が特徴。 65才以上の人口は5年間で25%増の7人に1人(14.8%)に、未婚 者は男性(30‑34才) 37.3%、女性(25‑29才) 49.0%が顕著に上昇、 35‑39 才での未婚者は男1/4人、女1/10人。

7. 3労働省基準「双子の出産、数週早めて36過」と明記。自治医科大グループの研 究(8、 5、 14の資料参照)を採用。

7. 5 (米)副大統領候補選び(共和党ドール候補) 、 「中絶めぐり分裂の危険」女 性の中絶権巡り、絶対反対の保守派と容認派が対立。

I 5 (栄)共和党綱領小委、女性票獲得狙い「中絶容認を事実上骨抜き」に。民主 党は5日の綱領小委で、中絶に対する「様々な立場を容認」する穏健な立場。

8. 6東大医科研付院の遺伝子治療臨床研究審査委、腎臓がんについて安全性は確保 され効果も期待できるとして「がんで初の遺伝子治療」を承認。遺伝子治療の 承認は国内3例日だが、がんは初めて。

UO (米)医学誌NATUREMEDICAL9月号、テキサス大のDr.J.ロス等のグルー

「遺伝子治療でがん細胞消失」と発表。 「P53」という「がん抑制遺伝子」の 注入で9人中6人に効果。肺のほか乳、大腸のがん‑の応用も期待さる。

8.31厚生省、 「遺伝子組み替え作物(7品目)を食品と認定。ある種の除草剤の影響 を受けない大豆とナタネ、害虫への抵抗力のあるジャガ芋、トウモロコシ等。

消費者団体は「安全性評価不十分」として、遺伝子組み替え食品の「表示」を すべきと反発

9. 11岡山大遺伝子治療臨床研究審査委「肺がん遺伝子治療承認」 。国内4例日だが、

がんは東大に続き2例日、 「P53」を組み込んだベクター注入は国内初。テキサ ス大のDr.ロスも参加し、同大開発のベクターを使用。

9.12鹿大倫委、 「遺伝子診断臨床応用は、学会の動向を見守る」との確認。日本産 婦学会の「体外受精他の方法で妊娠不可能な夫婦」に限るのに対し、鹿大永田 教授は、 「遺伝病を恐れて出産できぬ夫婦」もこれに準ずると考える。

9.26 「優生保護法」改め「母体保護法」として施行。女性の体への自己決定権たる

「リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利) 」に触れかねぬ条項は 残る。

10.10 (米)副大統領候補ゴア(民主) 、ケンプ(共和)両氏「中絶めぐり論戦」

10.23名大医・労働省産業医学総合研、フロンガスの代替たる「2‑プロモプロパン に生殖機能障害の恐れ」との注意文書発送。

(16)

10. 28厚生・文部合同部会、 「熊大のHIV感染者に対する遺伝子治療を基本了承」 0 ベクターの安全性については中央薬審の結論を得てから、早ければ翌年初めに は実施予定。

10.30 (南ア)下院、未成年者も自分の意恩で国費により中絶を受けられる「世界で 最もリベラルな中絶法案」を可決。保護者や相手男性の承諾不要で12週目迄は 認む。母体の危険、レイプ、経済的不利益のある時は20週目迄。

ll.9代理母出産情報センター、代理母など米の不妊治療による日本の子供、妊娠中 も含め75人に達したと発表。この中、 3人の母(卵子ドナー、産みの母、育て の母)を持っ子が11人、独身のシングルマザー4人の由。

ll.17ローマで開催の国連の世界食糧サミット、飢餓追放のための足並み「避妊巡る 対立」で揃わず。人口爆発防止の手段として避妊を重視する米国と、食糧問題

は人口増加ではなく分配の問題なりとしてこれに反対するローマ法王庁のミゾ 埋まらず。

ll.23日本消費者連盟、東京で開催のシンポで「遺伝子組み換え食品の不買や表示義 務訴えるキャンペーン決定。食品関連メーカー103杜を対象に調査し、 54社が 回答、 21社が使用可能性なし、 6杜が可能性あり(将来の可能性は17社) 。 ll.29総務庁、前年の国勢調査の確定値発表。総人口1億2557万人、増加率は戦後最

低の1. 6%高齢化社会の進展と未婚率(男32. 1%女24. 0%)の上昇が特徴。

ll.30日本産婦学会、営利目的を除き、飽迄も不妊治療の一手段として、 「非配偶者 間人工受精(AID)を条件付き承認」 。子供の遺伝上の父である「ドナーを知

る権利」やAIDで生れた子が法的に夫の子としての地位を有するかの検討は残 る。

12. 2東大・岡山大「がん遺伝子治療を文部・厚生両者‑申請」 。東大の谷憲三朗助 教授グループは進行期以降の腎がんに「GM‑CSF」の遺伝子を、岡大田中紀 章教授グループは進行性肺がんに「P‑53」をベクターを用いて導入。

12. 7 (莱)ダーリントン市の51才E.ジョーンズさん生殖機能に異常がある「自分 の娘の代理母」を務め、女児を出産と判明。娘は生れつき子宮が無いため祖母 が孫を出産す。

12.20中央薬事審議会副作用調査会、妊娠中絶薬「ゲメプロスト腫座剤」で今年7月 以降に子宮破裂が2件発生と報告。商品名「プレグランディン」は中絶のほと んど(12‑21週)で使われるが、副作用も多く起きている。

12.20 (毎日)韓国は豊かになり、少子化現象で一人っ子として大事に育てられる為、

お姫様病(自分は誰よりも美しく、皆が自分を好き) 、王妃病(既婚者版)

(17)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

243

白馬病(民衆が王子を見て歓迎しているのに、自分に拍手と勘違い) 、待女病 (白馬病の女性版)といった変な病気が流行の由。日本でも高度成長時代に類 似現象あり。

12.24文部省の遺伝子治療臨床研究専門委、熊大病院のエイズウィルス(HIV)感染 者に対する「遺伝子治療を条件付きで承認」 。ベクターの安全性の中薬審確認

が前提。

12.26厚生省の遺伝子治療臨床研究中央評価会議、インフォームド・コンセントの書 式の書き直しの条件付きで「熊大の遺伝子治療を承認」 。

97. 1. 1厚生省、人口動態統計の推計値、出生数は明治以来最低の前年を1.6万人上回っ た(120.3万人)が、女性の生涯の出生数は1.42と過去最低で、依然少子化の 傾向。

1. 5長崎県畜産試験場、 「子牛の雌雄生み分け成功」 。受精卵段階で遺伝子で性別 判定し凍結保存(96年2月)し、 4月10日に解凍して移植、判定通りのメス牛出 生。乳用は雌、肥育用は雄と目的に叶った生み分けが可能に。農水省が22道府 県で平成6年度以来補助事業化。

1.10熊大、今春国内初の「エイズ学研究センター設置」を決定。遺伝子治療法の確 立、抗HIV薬の開発研究の他、患者の人権問題にも取り組む。

1.15長大原爆後障害医療研究施設(原研) 、 4月より「放射線障害に対する先端的 な遺伝子治療法の開発」をも行なう総合研究施設に拡充。

1.30英科学誌ネイチャーでMITの利根川進教授「がん遺伝子で脳の中枢神経再生」

と発表。脳障害の新生児や脳卒中後遺症、視神経切断の失明などに光明。

2. 3ミドリ十字(熊大と共同で国内初のエイズ遺伝子治療を計画) 、前年中薬審へ 提出の安全性確認申請資料に虚偽の記載をし顛末書提出と判明。

2. 8群馬県畜産試験場前年11月に「10年前の凍結精液で子豚7頑出産」 、 6頑が成育 中。米国で8年の例はあるが、 10年は世界最長の可能性。

2. 10日本産婦人科学会の倫委、鹿大より検討依頼(伴性遺伝病予防のため女児のみ を母体‑戻すことの可否)の「体外受精卵の遺伝子診断、重い遺伝病に限り容 認」 、 22日の理事会へ。出生前診断の様に胎児段階の前で検査の為、中絶せず に済む利点はあるが、障害者の生存権にかかわる問題も残る。

2.16 (伊)ボローニヤ大のカルロ・フラミンニ教授28才の主婦に「凍結末受精卵使 い、顕微授精併用で世界初の出産」に成功。受精卵と違い細胞にすぎない卵子 の凍結で体外受精が可能になれば、倫理上の問題もクリアできる由で、同教授 のもとに30人が同様の方法で妊娠中と発表。卵巣がん治療の折に採卵しておき、

(18)

結婚後に用いたり、未成熟卵の利用へも可能性は広がる。

2.22日本筋ジストロフィー協会、日本産婦学会倫委の遺伝子診断容認の見解 (2/10)に対し「両親への説明と同意の徹底を要求」 。筋ジスと判っても産み 育てる両親も多く、病気についての情報提供と、指導・相談への取り組みを要 望。

2. 22日本産婦学会理事会「受精卵診断の結論を先送り」に。障害者団体からの抗議、

情報公開が不十分だった、対象とする病気を再考すべき等が理由か。

2.23 (莱)ロスリン研究所イアン・ウィルムット博士ら「成獣細胞DNA移植で世 界初のクローン羊誕生に成功」と判明。生後7ケ月の雌で「ドリー」と名付け

らる。従来の、受精後間もない座の細胞を末受精卵へ移植する方法は牛の繁殖 に応用されているが、成長した動物の細胞(羊の乳腺)からDNAを未受精卵 へ移植し、代理母の子宮へ移す方法に成功。カエルの段階から画期的な進歩。

仮に人に応用すれば、自分の分身を残したり、拒絶反応の起こらぬ臓器を得る 為に同一の子供を作る等も可能で、人間への応用は極めて危険。

2.24大分地裁、陣痛促進剤投与し続けて胎児死亡として訴えられた国立別府病院に 賠償命令。

2.25日本母性保護産婦人科医会(日母) 、 「不治で致死的障害を条件に障害胎児の 中絶容認の改正案」まとめ、 3月30日の代議員会へ。 「母体保護法」は中絶の条 件を①身体・経済的理由②暴行・脅迫による妊娠に制限し、時期の基準も妊娠 第22過未満だが、日母案では③胎児に不治で致命的な障害・疾患のある場合 (胎児条項)を加え、妊娠して12週末満は「理由の如何を問わず中絶可能」と

している。 ③については無脳症や重い筋ジストロフィーの一種が考えられてい るが、障害児の生命の否定につながるとの反発も予想さる。 12週未満を「無条 件」としたのは、女性の自己決定にゆだねるとの見地から。

2.27 (莱)政府の遺伝子問題監視委員会、クローン技術の人間への応用を阻止する ための法制化の是非を検討開始と決定。

3. 1英紙デーリー・テレグラフ、世界初のクローン羊を誕生させたプロジェクトへ の研究費(年間約5,000万円)を、英農業省が4月から半減、来年4月から停止 と伝う。

3. 2 (米)ワシントン・ポスト紙、オレゴン地域霊長類研究センターのドン・ウル フ上級研究員らのグループ「霊長類で世界初のクローン猿誕生(2匹)に成功」

と報ず。英国の方法とは異なり、人工授精した受精卵から細胞核を取り出し、

DNAを取り除いた卵細胞に移植の手法。他の動物では試みられているが霊長

(19)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

245

類では初めて。薬品の開発や不妊女性向けの医療に応用される可能性もある由 だが、無制限なクローン技術の摘用拡大には倫理上の問題あり。

3. 4 (米)クリントン大統領、クローンの羊(英)や猿(米)の誕生に伴ない「ク ローン人間研究への連邦予算の支出を禁止」する命令出す。医学界は事実上の 研究禁止令と受け止む。大統領はクローン技術発展のメリットは認めた上で、

「未知の部分が多く潜在的な危険が多い」と指摘。

3. 6 (莱)ロスリン研究所のイアン・ウィルムット博士、英議会の科学技術特別香 員会で「クローン技術の人間への応用を禁止する国際法制定」を強調。クロー

ン人間研究に取り組めば1‑2年以内に著しい進歩があると警告。

3. 11奈良県立医大小児科教室、 1984 (昭59)年以降血友病の因子をもっ妊婦100人 以上に対し「DNA検査による出生前診断で数人が人工中絶」と判明。血友病

は血液製剤などで治療可能で、倫委にも諮らず、依頼者へのインフォームド・

コンセントを文書化していないのは残念。

3.ll (米)カリフォルニア州議会へ「人間へのクローン実験を今後5年間停止」の 法案が提出さる。

3.12 (仏)ストラスブールにある欧州議会総会「クローン人間誕生につながる研究 の禁止」を決議。いかなる社会でも正当化できぬとしてEU加盟国に世界的合 意へ主導的役割を求む。

3.13中薬審「HIV感染に遺伝子治療、条件っき承認」す。 6月に熊大で実施予定。

インフォームド・コンセントの済んだ4人を対象。

3.15ニュージーランド・ヘラルド紙、 「NZのルアクラ研究所でクローン羊2匹誕生」

と報道。冷凍受精卵から細胞を取り出す手法で。

3.19中国衛生省、専門家会議で「クローン技術の人への応用禁止」の方針を決定。

既に牛、羊、兎での技術は確立の由。

3.23英紙サンデー・タイムズ、英グラム大等三大学と米化学メーカーの共同チーム が遺伝子工学を利用して環境にやさしい「生分解性のプラスチックを生産する 植物作りに成功」と伝う。

3.24 (莱)クローン羊に関わった英民間会社PPLセラビューティクス社、人間の

「心臓移植用のクローン豚研究」に着手と明かす。

3.31米科学紙ネイチャー4月号、米ケース・ウェスタン・リザーブ大の‑ンチント ン・ウィラード博士ら、人間の遺伝子が詰まった「染色体の人工合成に成功」

と発表。遺伝子治療の新方法にも使えると期待さる。

4. 2熊大「ェイズ学研究センター」開設。臨床治療や差別の解消に取り組む。

(20)

4. 6世界銀行、 1997年世界開発指標報告で「2010年の人口68億人」と予測。 95年の 56億人から20. 7%増。

4. 7鹿大と名市大の共同研究グループ、ニュ‑キノロン剤という「抗菌剤の一種が HIV遺伝子を抑制」することを発見。

4.29仏シラク大統領、 「クローン人間づくりの国際的禁止を6月のEU首脳会議等で 提案、推進」と発表。世界中での禁止が重要と表明。

5. 7鹿児島「『遺伝子組み換え食品』情報ネットかごしま」の会員、組み替え農作物

‑の不安から「安心できる在来種の栽培に挑戦」 、休耕田で種まきを始む。

5. 9科学技術会議(首相諮問機関)のライフサイエンス基本計画分科会、 「クロー ン研究、動物実験ならOK」で一致。法律や生命倫理の専門家も加わる。ほ乳 動物では品種改良等応用範囲は広いが、研究の内容の公表を求む。霊長類につ

いては慎重に。

5.19厚生省「出生前診断の実態に関する研究班を設置」の方針。胎児の細胞や遺伝 子、体外受精卵等からの重い遺伝病診断に関する倫理的論議へ実態把握と、国 としてのガイドライン作りの要否を探る。米英は法規制せず、独・仏は規制あ り。

5.21米医療品企業(セクアナ・セラビューティクス社) 、「ぜんそくを引き起こす す遺伝子を発見」と発表。もし、治療薬が出来れば世界の1億人の患者に光明

となり、この分野で今世紀最大の発見。

5. 26農水省、食品の表示問題懇談会に専門部会を設け「遺伝子組み替え食品の表示 についてルール作りが必要か否か検討を開始」 。今年度中に結論を出す予定。

5. 26中薬審遺伝子治療用医薬品調査会、熊大とミドリ十字が計画のHIV感染者の遺 伝子治療のベクターの審査を終了。早ければ7月に治療開始。

5.国連人口基金発表の97年版「世界人口白書」 、今年半ばの人口は58,5億人、 20 50年には約94億人と推計。

5. 29厚生省、食品衛生調査会、 「遺伝子組み替え作物第2弾」認む。前年の4品種7品 目に続き、除草剤耐性のトウモロコシ、綿実品m^言虫抵抗性綿など新たに4 品目8品種。

5.30米科学誌「セル」に阪大第3内科の小守寿文助手らの研究チーム、 「骨を作る司 令塔遺伝子発見」と発表。骨粗しょう症治療に期待。

5.30厚生・文部両省、熊大、ミドリ十字が計画の「HIV遺伝子治療了承」の文書を 発送。 7月にも実施予定。

6. 5岡山大法医学教室山本雄二講師、 「不完全な指紋からでも個人特定法」を初め

(21)

諸「臓器移植法(塞)」に於ける本人と家族の意思

247

て確立DNAを増殖して鑑定のためシャツやくつ下など皮ふの触れたものな らOK、犯罪捜査への効果期待さる。

). 7 (米)生命倫理に関する大統領諮問委員会、民間資金による研究に限定し「人 間クローン版の実験容認」 、然し、その座の「子宮への移植は禁止」 0 2月に クローン羊(莱)やクローン猿(米)誕生の為、3月にクリントン大統領はこ の技術の人間への応用研究に対して政府予算の使用禁止の発表をしたが、不妊 カップルの有力な治療法ともなるなどの意見もあるので「クローンの腫作り及 びそれを用いた移植以外の実験は法規制外」となった。 EUなどではクローン 人間につながる研究の禁止を訴える決議を採択しており、議論再燃の可能性あ

り。

(2) AGINGへの努力他

5. 5. 4腎移植ネットワーク等、従来の都道府県腎バンクの個別作成ではなく「全国統 一規格」に。 6月より配布の新カードには「臓器提供しない」の意恩も明示で

きる。

5. 6厚生省研究班、外国人売春婦に謝礼LHIV感染調査。客の使用済みコンドーム を2,000円で買い集む。抑止力として有意義か、謝礼目当てに売春奨励か、難

しい問題。

5. 7京大倫委、小腸が極端に短かい男児へ「国内初の生体小腸移植」を承認。母親 の小腸約1mを2才の子供へ。

5.14マイアミ・ジャクソン記念病院にて「米国初のドミノ移植」の‑リスさん29日 目に死亡。肝臓、腸などの多臓器移植を受け、第3者‑自分の肝臓を提供。

5. 17京大付院田中紘一教授「国内初の生体小腸移植」無事終了。血液型不一致の父 親は提供できず、拒絶反応出れば再手術は不可能。

5.21フィラデルフィアで開催の米国臨床学会で、岐阜医大の武藤泰敏教授「肝がん の再発抑制薬」を発表。次々と再発しやすい肝がんをビタミンA誘導体で阻止。

5.25白血病めぐる童話「金色のクジラ」映画化の撮影開始。骨髄移植の実情認識と バンク登録者増を目指す。

6. 2日・社・さ・の与党三党「臓器移植法案で修正」の方針。 ①生前の意思が明白 な場合のみ摘出を認む②不明の場合の摘出は3年後に再検討する時限立法とす ることで議員提案の方針。争点となっている「本人意思不明時は家族の承諾で 可」を削除で秋の臨時国会成立を目指す。提供者減の恐れもある為、見直しを 施行後5年から3年に短縮。 「脳死は人の死とする」規定の議論は末結着。

(22)

6. 6阪大倫委「流産や死産の胎児の軟骨移植」継続審議へ。取り出した軟骨細胞を 培養し損傷患者に移植して再形成さす。欧米では胎児の脳細胞をパーキンソン 病患者へ移植の例もあるが、軟骨の例はない。

6.17日本臓器移植ネット、登録者再点検で、手術済み、死亡や二重、三重の登録者 を整理の結果、前年4月の発足時の人数が半減、 13,500人と判明。

6. 19臓器移植法、 1994年4月の提出以来8国会連続して継続審議に。九大「廃案でも やらざるを得ぬ」鹿大「成立を待っ」など対応は様々。

6.24日医・第4次生倫懇、医師の自覚と責任を明示した「新倫理指針を45年ぶりに 改定」 。患者の利益の優先、医療を巡る変化への対応などを求む。

7. 2埼玉医大倫理委、心身の不均衡縮小治療の手段として、 「性転換手術を容認」

の答申。国内初の容認だが実施については、更に小委員会で検討を提示。人格 と肉体の不均衡に苦しむ人が存在する以上、これを精神療法やホルモン療法と 並ぶ治療手段と位置づけた。

7. 3科技庁、通産、厚生、文部省とも連携して20年計画で「脳科学の時代」と名づ けた大型研究プロジェクトに着手。記憶や思考などの脳機能の解明、アルツ‑

イマ‑病などの脳の難病克服や人工知能開発を三本柱に。背景には、老年期の 神経・精神疾患の激増や社会の情報化が。

7. 5パリ軽罪裁判所、故ミッテラン前大統領主治医による同大統領のがんの病歴暴 露本「大きな秘密」 、医師倫理規定違反、プライバシー侵害などの理由で有罪 に。発売翌日に販売停止の仮処分が下されたがその間4万部売る。

7. 8鹿児島市立病院で、カヌー事故の妊婦宗教上の理由で輸血を拒み母子とも死亡。

同院倫委の「本人拒否の場合」の条項に従う。

7.13厚生省、現行の「無診察治療禁止法」を改正し、テレビ電話を通じての「遠隔 医療に健保通用」の方針。

7.23徳島大医、前年3月に生体肝部分移植の24才の女性、肝不全で7月19日に死亡と 発表。ドナーたる父の肝炎感染の可能性も。父親はB型肝炎歴はあったが移植 時の検査では陰性。厚生省の移植に関する報告(1993)ではHIVやB型肝炎ウ イルス抗原の陽性者のドナーは絶対禁止。

7.24下関市の中3女生徒(江崎靖美さん) 、原発性肺高血圧症(PPH)治療のため 10月に渡米し、両親からの肺移植へ。

7.30英医学誌ネイチャーにヘルシンキ大のJ.ケレ博士と米国の研究者「髪の成長 遺伝子を初分離」と発表。上皮異形成症(ED)の遺伝病患者から毛髪の成長 に関係する遺伝子を分離、無毛、薄毛の人の治療に効果。

参照

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