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発展途上国の対外債務累積問題と世界経済

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(1)

発展途上国の対外債務累積問題と世界経済 1

発展途上国の対外債務累積問題と世界経済

は じ め に

 1982年8月,メキシコに端を発した対外債務支払危機は,その後,他のラテン・アメリ       (1)

力諸国や東南アジアの国々にも次々と飛び話し,発展途上国の対外債務累積問題は,東欧 諸国のそれとならんで,今や世界経済の重大問題の1つとして急速な関心を集めている。

 しかし,よく考えてみると,このような事態の発生は,過去,全く予測されないわけで はなかった。たとえば,1969年に出版されたピアソン委員会報告書は,発展途上国の対外 債務累積問題に関して次のように述べている。

 「発展途上国の負債問題は深刻であり,元利支払は大きな負担となっている。これに起 因する危機が,1950年代末から1960年代を通じてつぎつぎと生じており,この問題を少し しらべれば,今後数年間に,低所得国の負債問題が深刻の度を加えるであろうことは明白

   (2)

になる」。

       (3)

 したがって,長短含め6290億ドルもの対外債務をかかえるに至った現在,メキシコをは じめとする一連の途上国が対外債務支払危機におちいったからといっても,そのこと自体 は別段おどろくに値しないのだが,しかし危機そのものの性格についていえば,今日の危 機はピアソン委員会段階のそれとは明確に異なった1側面をもっている。それは,途上国 が対外債務を膨らませていく過程で,先進国の民間銀行が途上国の融資に深いかかわりあ いをもち,そのことによって対外債務支払危機がもはや途上国だけの危機にとどまらず,

貸手側である先進国側の危機にまで深化してしまったからである。「返済が滞っているの に,借りた側ではなく貸した側が面会をお願いして,追いかけ回すという奇妙な光景」(日 本経済新聞,1982年9月28日付)がみられるのはまさにこのような事態を象徴的に示して いるといえよう。

 ことわざにも言う。

 「もし銀行から100万ドル借りて返済できなければ,困るのは自分自身だ。しかし,も        (4)

しユ0億ドル借りて返済できなければ,困るのは銀行の方だ」。

 まさにこのことわざほど,現代の国際金融界が直面している深刻な事態を如実に表現し ているものはないと思われるのだが,ではこのような対外債務に基因する危機的構造とは どのようにして作られ,それは世界経済にどのようなインパクトを与え,どのようにして 解消されるのであろうか。以下,本稿では,これらの点についての考察を進めていきたい。

(2)

2

1 民間銀行の対途上国融資と国際金融不安の構図

現代対外債務問題における最大の特徴は,対外債務に占める民間資金のウエイトの高ま りであり,それも特定の途上国に集中しているということである。第1表にみられるよう

第1表  非産油発展途上国の経常収支赤字ファイナンス (単位:億ドル,%)

1973年 74 75 76 77 78 79 80

経常収支赤字 115 368 465 329 286 375 576 821 資金調達合計 214(100) 382(100) 441(100) 454(100) 407(100) 533(100) 678(100) 833(100 非債務資金調達 104(49) 128(33) 120(27) 119(26) 146((36) 153(29) 216(32) 206(25 公的移転等 60(28) 74(ユ9) 66(15) 71(16) 92(23) 90(17) 134(20) 127(15

直接投資純流入 44(21) 54(14) 53(12) 48(10) 54(13) 62(12) 82(12) 79(10

対外借入れ 110(51) 254(67) 321(73) 335(74) 261(64) 380(71) 462(68) 627(75 公的資金 57(26) 114(30) 140(32) 145(32) 119(29) 138(26) 147(22) 240(29 民間資金 53(25) 140(37) 181(41) 190(42) 142(35) 243(45) 315(46) 387(46

外貨準備増減(心 99 14 △25 125 121 158 101 12

(資料)IMF, Annual Report 1981.

(注) (  )内は資金調達合計を100とした構成比。

  『DKB調査 月報』1981年12月号より借用

第1図  所得グループ別の借入先構球 に,非産油途上国の経常収支赤字

ファイナンスにはオイル・ショッ ク以降大きな変化が生じている。

まず第1には,返済義務を伴ない 非債務性資金調達(政府や国際機 関の援助等)の割合が低下し,代 って返済義務を伴う債務性資金調 達(対外借入れ)の割合が上昇し ている(1973年51%→80年75%)

ことであり,第2には,債務性資 金調達の中でも民間資金の割合が 上昇している(1973年25%→80年 46%)ことである。このことが非 産油途上国の対外債務に占める民 問資金のウエイトを高める直接的 要因となったのであるが,この割 合は,第1図にみられるように,

公的対外債務残高のみについてみ ても,特に今問題となっている中

(1,412)

ブラジル,メキシコ,韓国 gルコ,アルゼンチン,レ

(単位.●%)

他20力国 ユーゴスラビア,

バノン,チリ,ポルトガル 象牙海 201

1

エジプト,ペルー,フィリピン,

タイ,スーダン,ボリビア,カメ ルーン,ザンビア.ケニア,ガイ 機国アナ他14力旧

12.7 関際

アフガニスタン,インド,

イスラエル, スペイン, パキスタン, ザイール,

ギリンヤ,シンガポール, タンザニア,バングラディ

ガボン,トリニダード・ト シュ,ヒルマ,スリランカ

バゴ,香港,バーレーン ギアナ, コモロ他20力王

8力国

672 469)

(413)

(361) 419

96

(256) 349 614

36048 164 320P48 210 (202)

76

(87) (107) 706

385 592 487 532 371 284

538 198 102

    1973年末1979年末避シ遡避シ

     高中所得国  中所得国  低中所得国  低所得国    各所得グループ別に79年の債務残高の大きい順に10力国を    例示した。但し高中所得国は全部で8力国。

(資料)世銀,World DebtTables.

(注)国グループ別は,78年の1人当たりGNPベース,高中所   得国3,000〜6,999ドル,中所得国700〜2,999ドル,低中所   得国300〜699ドル,低所得国300ドル未満。高中所得国8   力国,中所得国30隣国,低中所得国24力国,低所得国30力国。

  『DKB調査月報』1981年12月号より借用

(3)

 発展途上国の対外債務累積問題と世界経済       3 所得国を中心として,かなりの高さにのぼっている。

 対外債務の支払危機を貸手側の危機にまで高めた背景は,まさにこのような事情に根ざ したものであったのであるが,このことは,立場をかえていえば,先進国の民間金融機関 が途上国への融資に積極的だったことを物語っている。では安全性をもっとも重んじる民 間金融機関をして,カントリー・リスクの高い途上国へ融資をかりたてた要因はいったい 何であったのだろうか。われわれは,それをオイル・マネーの先進国への環流と先進国に おける長期的不況の存在に求めることができる。

第2表  世界の経常収支a1970〜80年 (10億米ドル,時価)

開発途上国

繍還繍入歯石油輸出国薯2舗誹工業国 経済 圏    脱  漏中央計画  誤 差 1970

1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980c

一1.7

−2.5

−1.5

−3.1

−6.0

−5.4

−2.4

−16

−5.1

−7.2

−10.9

一7.0

−8.2

−3.8

−4.2

−27.1

−33.2

−24.4

−2L3

−20,4

−37.2

−58.7

一2.2

−2.9

−3.6

−2.6  19.3

−2。5 一〇.3

−5.5

−17.6  5.1  1.0

 2.8 n.a.

 1.9  6.7 43.3 30.8 36.3 32.9 18.8 55.7 102.2

 12.1  15.5  16.0  18.9

−8.5  22.0  3.9

−1.5  29.9

−9.5

−39。7

 1.7 n.a.

n.a.

n.a.

n.a.

一7.0

−35

−1.1

−0.2

−0.8

−0.1

 5.7 n.a。

n.a.

n.a.

n.a.

4.7 9.6  1.9  5.4  6.1

−6.2 a公的移転を除く。

b1972年の数値にはサウジアラビア,リビア及びイラクだけが含まれる。

c推定値

 『世界銀行年次報告』ユ981年版,21頁。

 第2表にみられるように,2度にわたる産油国の大幅石油値上げは,非産油途上国に大

      (5)

主な経常収支の赤字を,そして産油国には巨額の経常余剰(いわゆるオイル・マネー)

をもたらした。では産油国はその巨額の経常余剰をどのように運用したのであろうか。第 3表によってそれをみてみよう。この表によると,産油国の投資合計金額は,54年末残高 で2360億ドルであるが,その大半(80.5%)は先進国で運用されており,うちイギリスが 24.1%,アメリカが23.5%,その他先進国が32.9%を占めるに至っている。これに対し,

途上国での運用は16.1%にすぎない。

 次にその運用形態についてみると,約5割の1150億ドルが銀行預金(うち890億ドルは ユーロ預金)の形態で運用されており,運用先別には,イギリス,アメリカで約5割の 1123億ドル,他の先進国で約33%の777億ドルが運用されている。産油国の巨額の経常余 剰,いわゆるオイル・マネーは,かくてその過半が,銀行預金の形態を通じて,先進国の 金融市場へ環流したわけである。銀行としては預金を受け入れた以上,それを何らの方法 で運用しなければならない。

 しかし,第2図の操業度比較にもみられるように,先進国はいずれの国も1974・75年恐

(4)

4

第3表  産油国の国際収支・資金運用推移 (単位 億ドル,%)

貿  易  収  支  輸     出  石油・ガス

 輸      入 貿易外・移転収支 経 常  収  支

(A)投資可能資金  同 上 累 計 内容不詳(A−B)

(B)投資合計金額  同 上 累 計  イ ギ リ ス  外 貨預 金  ポンド預金

 ア  メ  リ カ

 国    債  銀 行預 金  その他先進国  銀 行預 金  発展途上国  IMF・世 銀  銀行預金合計  ユーロ預金合計

昭49 50 51 52 53 54 54年末

残 高 55 56

I  II  III  IV  840   540   640   640

1,230 1,130 1,380 1,540 1,160 1,070 1,300 1,440

△170△ 250 △290 △370 390

670 551 551 19 532 532 210  43 138  41 17 △14 117  96 55  25 41  6 121 108 90  50 49  65 35  40 286  99 216  79

590   740   900

290   350   270 363   386   376 914 1,300 1,676 11  28  59

352   358   317

884 1,242 1,559 45 56  3 121 32 17 108 65 64 20 120 115

38 31

3

73 34 4 133 75 70  3 130 107

440 1,120 1,480 2,180 1,380  − 1,040 1,060

△450 △460

△10 660  188 710

1,864 2,574

 42 104  146 606

1,705 2,311

△18

△20

 2  9

△24

 8

(注2)154

  50

(庄2)NA    1

  39   11

172 148  14  68  22  50 274 187  96

△4

373 310

1,710 1,220 3,040 2,810

1,330 1,590

△610 △570 △150 △140 △140 △140    1,100

   1,190    3,764     325

2,360  865

(100.0)

  一3,176  569 176

(24,1)

 457 148

(19.1)

 841  14

(1.7)

 554  141

(23.5)

 149  96

(6.3)

 143△11

(6。1)

 777(32.9)

 509(21.6)

 380(16.1)

  80(3.4)

 1,150

(48,7)

 890(37.7)

432 262 67 49

650 390 750

360

240 160

330 720

390

190 210

97 113

260 670

410 120 190 一 3,843 4,053 4,243

一△29

−  189

106 84 一 3,365 3,478 3,562

 51   5  46  3  34  3   3△ 1  49  26  27  33  24  26

 3△ 8△19

 70  59   4

△ 1  19△21  12  17  14  7   6   5

240 660

420

100

34△ 1

26 20 5

10

(注) 1.昭和54年末残高のカッコは構成比。

  2.その他先進国と発展途上国の合計。

  3.産油国とは,OPEC諸国にトリニダード・トバゴ,バーレーン,ブルネイ,オーマンを加えたもの。

(資料)イングランド銀行四季報 ・

   『大蔵省国際金融局年報』昭和57年版,23頁より借用。

慌を境として長期的不況におちいっており,先進国内部における資金需要はきわめて弱い ものであった。このため,先進国の民間銀行は産油国から潤沢な資金が入りこんでいたに もかかわらず,自国内における民間企業の資金需要が弱いため,資金がだぶつく状態にあ ったのである。

 他方,これに対して,非産油途上国の方は,この間,石油価格の引き上げに伴う石油輸       (6)

入代金支払いの急増や,とくにNICsを中心とした積極的な経済開発の推進によって巨 額の資金を必要としていたから,先進国民間銀行がその余剰資金のはけ口をきそって非産 油途上国(それも一部の)へ求めたのは,けだし当然であった。1975年以降,多少の変動

(5)

発展途上国の対外債務累計問題と世界経済

   第2図  操業度比較(1973〜74年のピーク=100)

5

100

95

90

85

80

75

70

\、 アメリカ

ミ\kト  \一一一 .  、   、     一

∠      !

 カナダ

m≧=

  !㍉、 /    、

@   ヤ

@  西ドイツ

、、、、、一 、     、!

@イギリス

^ m

@  日 本

  一@フフンス

п̲@\

@ \   、

@   、隔、 1!一

@一、 、     、  、

1974 1975 1976 1977 1978年

(出所)Federal Reserve Bank of New York,、4ηη襯1ノ〜の。%1979, p.25。

  木下悦二「世界経済の現局面の性格と国際通貨制度の課題一構造的不況からの脱   却をめざして」『世界経済諸論』1983年3月号,34頁より借用。

はあるにしても,非産油途上国向け貸し出し金利(スプレッド),幹事手数料に短縮化の        (7)

傾向がみられ,貸し出し期間にも長期化の傾向がみられたのはこのためである一(いわゆ るユーロ・クレジット市場の借手市場化)。

 今や先進国民間銀行の途上国全体に対する債権は1981年末で3310億ドル(うち非OPE C途上国2580億ドル,OPEC73億ドル)にのぼっており,貸手では米銀が,借手ではメ キシコ,ブラジル,アルゼンチン,韓国,台湾といったいわゆる新興の工業諸国(NICs)

      (8)

が大きな役割を占めるに至っている  第4表参照。かくして,第1次オイル・ショック 以降,産油国の巨額の経常余剰は先進国の金融市場を経て一部の途上国(とくにNICs)

に貸し出され,ここに対外債務不履行に基因する以下のような国際金融不安の構図が醸成 されるに至ったのである。

 途上国の債務不履行一→貸付銀行の資産内容の悪化一→貸付銀行の信用力低下一→個人

・企業・産油国の銀行預金取り付け,又は預金の手控え一→信用組織の崩壊と信用収縮 一→国際金融恐慌

 そして,このような構図の現実化の可能性は,メキシコの対外債務支払い危機を契機と する,国際資本市場における投資家の行動の変化にもすでに現われているといえよう。たと えば,日本経済新聞1982年10月1日付けは,国際金融不安がつのる一方の環境下での投資 家の「質志向」の高まりについて次のように述べている。

(6)

6

第4表  BIS報告銀行の特定諸国に対する債務

借  入  国 1981年末の債権総額 1981年末総額に占める米銀の割合(%)

(10億ドル)

全 米  銀 9 大 銀 行

発展途上国  ★ 331.3 35 23

非OPEC途上国★ 258.5 36 23

メ キ シ コ 56.9 38 20

ブ ラ ジ ル 52.7 32 20

アルゼンチン 24.8 34 21

韓     国 19.9 45 28

チ     リ 10.5 55 31

ブイ リ ピン 10.2 53 36

台     湾 6.6 75 47

コ ロ ン ビア 5.4 51 36

タ     イ 5.1 32 21

マレーシア 4.4 22 19

エ ジ プ ト 4.4 27 20

ペ   ル   一 4.4 45 24

ト  ル  コ 42 34 21

OPEC諸国 72.8 32 22

ベネゼエラ 26.2 40 27

アルジェリア 8.4 16 11

インドネシア 7.2 33 27

ナイジェリア 6.0 19 15

エクア ドル 4.5 47 27

東ヨーロッパ 71.5 11 7

ソ ビ エ ト 16.3 3 2

ポーラン ド 15.3 13 8

東 ド イ ツ 10.7 9 6

ユーゴスラビア 10.7 25 15

ハン ガ リ 一一 7.7 15 9

ルーマニア 5.1 7 5

   ★オフシヨワー・バンキング・センターとなっている国を除外している。

    Morgan Guranty Trust Company of New York,吻帽Fげ欄π磁1ハ砲吻お,

    oct 1982, P. 3.

 「投資家の『質志向』には拍車がかかる一方だ。このトバッチリを受けているのが銀行 が発行した債券。IBM債が発行された当時,『銀行債を売ってIBMなど超一流銘柄に 乗り換える動きが続出した』という。ケチのつき始めは米国のペンスクエア銀行の倒産事 件。同銀行と取引関係にあった米国の大手銀行,コンチネンタル・イリノイがまず,売り の洗礼を浴びた。同行が今春,クーポン15.75%で発行した債券は大幅に値下がりし,流 通利回りは急上昇,このところ16.13%程度の高原に居座ったままだ。

 さらにメキシコの対外債務問題が追い打ちをかけた。メキシコに対して最大の貸付残高 を抱える米銀は危ない  という不安心理が投資家に芽生え,ついにBOA(バンク・オ ブ・アメリカ)が発行した普通債まで『ダンピング(投げ売り)同然の売りを浴びた』ほ どである。米国内では,米銀の有力な資金調達手段であるCD(譲渡性預金)への人気が 離散,同じ期間のTB(短期の財務省証券)に比べて利回りは2.5%も上回る(従来は0.75

−1.625%上回っていた)という事態になっている。米国内でもユーロ市場でも銀行債は

(7)

発展途上国の対外債務累積問題と世界経済

『嫌われ者』になってしまった」。

7

II 対外債務支払危機の諸要因

 では,いかなる要因が途上国を対外債務支払危機におとしいれているのであろうか。以 下,いくつかの点を列挙してみたい。

 まず第1は,先進工業国の経済停滞からくる先進工業国への工業製品の輸出減と先進国 の一次産品輸入需要停滞に伴う一次産品価格の下落である。とくに一次産品価格の下落に ついては,第3図にみられるように総合指数は前

      第3図  一次産品価格指数 回のピークである80年10月の230.1ポイントから,

1982年8月の150.アポイントまで34.9%下落して おり,商品別でみると,最も大幅に値下りしたの は非鉄金属で,80年2月から82年6月にかけ,実

       (9)

に43.4%も下落している。

 工業製品の輸出減といい一次産品価格の下落と いい,これらは途上国の外貨収入を減らし,彼ら の対外債務返済能力に大打撃を与えるものであっ た。Morgan Guaranty Trust Company 既z1げ F勿侃6刎!吻漉θ虹,(以下,WFMと略す>oct 1982は,非OPEC途上国の輸出所得増加率は 1975−80年の年平均23%から1981年には年5%以 下に落ち,1982年にはほぼゼロという状態にまで

     第5表 途上国の金利返済負担

275

250

225

200

175

150

125

100

/私A

   ●

繊維

(ロンドン・エコノミスト指数ドルベール,1975年=100)

\,《 A!

  、♂   、

  非鉄金属

x総合指数  \へ㌧

    讐叛

        試

      、

、      、、.隔

       、        、一「

        、         1ノー

80      81年      82年一 毎日新聞,1982年9月7日付

(1982年における利払いの財およびサービスの輸出に占める割合:推定,%)

ブ ラ ジ ル アルゼンチン チ     リ メ キ シ コ コ ロ ン ビア ペ   ル   ー

ベネズエラ

フィ リ ピン ト  ル  コ タ     イ 台     湾 インドネシア ナイジェリア 台     湾

マレーシア

40 35 35 34 20 20 18 13 13 12 10 7 5 4 4

Morgan Guranty Trust Company of New York,レ7∂癬E吻η磁11吻娩θ虹august 1982,p.10.

(8)

 8

落ちこんでいると述べている。

 第2は,1979年以降の米国の高金利に由来する世界的高金利で,これは第5表にみられ るように,とくに民間銀行借入れ依存度の強いラテン・アメリカ諸国の金利返済負担に重 大な影響を与えている。金利上昇による金利負担がどのくらいのものになるかというと,

たとえば,短期金利の3%の低下は,途上国の債務返済コストを年100億ドル低下させる       (10)

といわれているほどである。

第6表  途上国の対民問銀行債務11(1981年末)

国     名 総額(10億ドル) 1年あるいは1年以内に支払い期限の来るもの 総額に占める割合(%) 輸出2}に占める割合(%)

メ キ シ コ 56.9 49 85

ブ ラ ジ ル 52.7 35 67

ベネズエラ 26.2 61 79

アルゼンチン 24.8 47 100

韓     国 19.9 58 37

チ     リ 10.5 40 78

フ ィ リ ピン 10.2 56 63

インドネシア 7.2 41 14

台     湾 6.6 62 14

ナイジェリア 6.0 34 12

コ ロ ン ビア 5.4 49 53

タ     イ 5.1 60 29

マレーシア 4.4 31 10

ペ   ル   一 4.4 60 62

ト  ル  コ 4.2 25 10

  1)BIS報告所在国銀行およびその在外子会社の対外資産の満期構成にもとづいている。

  2)1982年に予想される財およびサービスの輸出

   Morgan Guararty Trust Company of New York,防帽F疹欄η磁1伽娩礁 august    l982, p.10.

 第3は,支払期限の集中化であり,第6表に示されるように,とくにラテン・アメリカ 諸国については,1年以内(すなわち1982年)に支払期限のくるものが輸出所得のかなり の部分を占めるにいたっている。すなわち,これら諸国は,支払期限の集中化によって,

一時的にせよ,当該年において,能力以上の返済をせまられているということである。ア ルゼンチンなどは,1982年における輸出所得の全額をその年の対民間銀行債務の返済にあ てなければならないという状態になっている。

 第4は,産油国についてであるが,先進国における景気停滞にともなって石油は,1981 年以降,需要・価格ともに低落し,石油収入に大きく依存する産油国(たとえば,今問題 になっているメキシコの場合,石油の輸出総額に占める割合は1981年に75%に達してい る)の対外債務返済に重大な影響を与えていることである。

 1982年,1バーレル33ドル近くもあった石油価格は,1983年の今日,4ドル近くの落ち こみをみせ,いわゆる樋オイル・ショ・ソク、といわれる事態をひきおこしているが11)メ

・キシコの場合,1バーレル当たり仮に4ドル下落すれば,年間20億ドルの経常収支の悪化

(9)

 発展途上国の対外債務累積問題と世界経済       9        (12)

になるといわれているし,輸出総額の80%,財政収入の70%を石油から得ているといわれ るインドネシアについては,1バーレル当たり1ドル下がると年間3億ドルの収入減にな

        (13)

るといわれている。

III銀行貸付の縮小とそのインパクト

 以上は債務返済の危機的諸要因を借手側である途上国の立場からみたものであるが,他 方,貸手側である銀行としても,1970年初頭以来の急速な海外貸付によって自行の自己資       本・資産比率はかなり低下しており(第4図

第4図米国巨大24行の特定のグループ諸国に対する貸  参照),銀行としてはこのような貸付リスク 付け(年末における債権の資本に対する割合)

      が増大した世界的環境のもとにおいて,適正

200

150

100

50

Non−OPEC LDCs

     OPEC

       Eastern Europe

 0

  1977    1978    1979    1980    1981

Morgan Guranty Trust Company of New York,レ7∂714π紹η6乞α1伽7ん薦, october 1982,p.2.

10%まで」(国法銀行法第84条)の融資限度規制(ただし,

行は例外として外国政府,政府機関に対して25%まで認められる)を厳しく運用する方針        (15)

を打ち出しているし,またわが国においても,日本経済新聞1982年9月13日付けによれば,

大蔵省が1982年9月,国際金融不安の高まりを受けて,邦銀各行の対外融資に対する「指 導」と「監視」.を10月以降強化する方針を以下のように打ち出している。その具体的内容 は,①中長期融資だけに限られていた1国当たりの融資限度規制(自己資本の20%以下)

を短期融資にも広げる,②その場合,限度額を全体で自己資本の30%程度に拡大する,③ 海外支店に対する銀行検査を国内の本店検査と連動する 内外同時検査、に改める,とい

      (16)

うものである。

 では,先進国民間銀行の途上国に対する貸付けの縮小は,途上国の経済に対して,また は世界経済全体にどのようなインパクトを与えるのだろうか。モルガンWFM(oct 1982)

な自己資本・資産比率を維持する必要上,近        (4>

年,途上国への貸付を縮小するか,または貸 付をおこなうとしても,中長期の貸付よりも 短期の貸付をおこなう傾向にある。

 さらに,これに併行して,先進各国の通貨 当局も制度的側面から民間銀行の対外融資に 対して規制を強化する方向にある。たとえば,

松波断割によると,アメリカでは最近,連邦 準備制度理事会,通貨監督官,連邦預金保険 会社の三者が米銀の対外貸付業務の監視を目 的として,合同管理委三会を設立し,79年5 月からは国法銀行に対して課せられている

「一債務者に対して,その銀行の資本勘定の       ニューヨーク州などの州法銀

(10)

 10

によって,それをみてみようρ同誌は,第2次オイル・ショック以降の新規銀行貸付けが 主要借入国の輸入の25%以上をカバーしていることを指摘した上で,銀行貸付けの減少が 非OPEC途上国の経済成長におよぼす潜在的な影響を2つの異なったシナリオのもとに 検討している。いずれのシナリオも,工業諸国と途上国とを結びつける世界貿易のフレー ム・ワークにもとづいている。

 第1のシナリオは,1981年に20%の増加を示した新規の銀行貸付けが10%へ落ちこんだ ことを想定している。このことは,他のすべての要因を不変と仮定すれば,新規の銀行貸 付けが20%の割合で増加する場合に比べて,非OPEC途上国へのネットの資本流入 が250億ドル少なくなることを意味している。この結果,同誌は,非OPEC途上国の最 初の年における成長率は,20%増の銀行貸付けが維持された場合に比べて,6.5%低くな

るであろうと見積っている。とりわけ,このインパクトはラテン・アメリカ諸国において 大きく,そこでの経済成長は概して,20%:増のペースでの貸付けが維持された場合に比べ て,3%低くなるであろうと見積られている。これは,多くのラテン・アメリカ諸国が輸 入のための資金を銀行貸付けに著しく依存しているためである(第7表参照)。

 これに対して,アジア途上国の経済成長は約0.5%しか低下しない。というのは,アジ ア途上国の場合は,銀行貸付けにそれほど依存していないからである。

 第2のシナリオは,非OPEC途上国に対する新規の銀行貸付けが全くおこなわれない 極端なケースを想定している。この場合には,途上国へのネットの資本流入は,新規の銀 行貸付けが20%の割合で増加する場合に比べて,500億ドル少なく,経済成長率は3%低       第7表  途上国の商品輸入に占める対外国銀行借入れの割合(%)

国     名 1979〜81年(年平均) 1981年 ラテシ・アメリカ

アルゼンチン 75 60

メ キ シ コ 61 59

チ     リ 47 48

ブ ラ ジ ル 31 32

エクア ドル 28 27

コ ロンビア 27 17

ベネズエラ 37 15

ペ   ル   一 9 9

上記8力国の平均 44 40

ア  ジ  ア

マレーシア 8 16

韓     国 19 14

タ     イ 10 12

フ ィ リ ピン 24 11

インドネシア 4 6

台     湾 4 6

上記6力国の平均 11 10

Morgan Guranty Trust Company of New York, W∂帽F劾αη磁1

漁漉θ云s, oct 1982, P.7.

(11)

発展途上国の対外債務累積問題と世界経済

      第8表  先進国の輸出とGNPに占める特定グループ諸国の割合 (%)

11

輸入国 発 展 途 上 国

東ヨーロッパ

輸出国 全発展途上国 ラテン・アメリカ

OECD輸  出 3.8 26.2 6.1

G N P 0.6 4.2 1.0

アメリカ

輸  出 2.1 38.0 16.6

G N P 0.2 3.1 1.3

日  本

輸  出 2.7 45.0 6.4

G N P 0.4 6.0 0.9

フランス

輸  出 4.4 26.8 3.1

G N P 0.8 4.7 0.5

西ドイツ

輸  出 5.6 17.8 3.4

G N P 1.4 4.5 O.9

イタリア

輸  出 4.8 29.2 4.2

G N P 1.O 6.3 O.9

イギリス

輸  出 2.7 24.4 2.4

G N P 0.6 5.3 0.5

Morgan Guranty Trust Company of New York,賄7 4.F伽η磁1ハ勿吻虹

oct 1982, P.8.

下すると見積られている。ラテン・アメリカ諸国のみについてみれば,経済成長率はほぼ 5.5%低くなるとされている。

 以上のように,先進国民間銀行の新規貸付けの縮小は,途上国の経済に対して,直ちに        (17)

ネガティブな影響を与えるが,この影響は何も途上国だけには限らない。それは途上国と の貿易またはサービスの取引きを通じて,先進国側の経済にもマイナスのインパクトを与 える。なぜなら,民間銀行の途上国への貸付けの縮小は先進国の途上国向け輸出を低下さ せ,ひいてはそのことを通じて,経済成長率を低下させるであろうからである。現在,途 上国は第8表にみられるように,工業諸国全体の輸出のほぼ26%,日本の輸出の45%,米 国の輸出の38%を占めているが,このような途上国の対先進国貿易に占める位置にかんが みて,モルガンWFMは,「銀行の新規貸付けが10%の:増加率へ落ちこむか,あるいはゼ ロになるかによって,OECDの成長率は,非OPEC途上国への銀行貸付けの:増加が20

%のペースで維持される場合に比べて,少なくともO.5%ないし1%落ちこむだろう」と 見積っている。

 以上が銀行貸付の縮小が途上国の経済あるいは先進国の経済におよぼすインパクトにつ いてのモルガンの分析であるが,この分析は,われわれが途上国の対外債務問題を考える

(12)

 12

場合,この問題のもつ複雑性をあらためてわれわれの前に提示してくれている。それはこ ういうことである。もし銀行貸付が縮小すれば,途上国の貿易収支あるいは経常収支は改 善し,国際均衡は保たれることになるだろう。これは国際収支赤字ファイナンスのための 対外借入れを縮小し,対外債務累積に一定の歯止めをかけるかもしれない。しかしこれは,

途上国の成長率の低下,耐乏生活の容認という国内均衡を犠牲にしたうえでのことである。

これは人口が急速に増加している途上国にとっては,政治的・社会的不安を増長させるも のであり,とても容認できるものではないし,また,このような途上国の政治的・社会的不 安は,東西対立というより高次な政治的問題をかかえる西側先進国としても放置できるもの ではないだろう。銀行貸付の縮小は民間銀行にとっては貸付けリスクの軽減を意味するかもし れないが,そのことは逆に体制上のあらたな問題を生み出す危険性をはらんでいるのである。

 また銀行貸付けの縮小は途上国だけに影響をおよぼすのではない。先にみたように,銀 行貸付けの縮小に伴う途上国の成長率の低下は,財およびサービスの取引きを通じて,先 進国の経済にもマイナスの影響をおよぼす。このことは,とくに,先進各国が構造的不況 と貿易摩擦の問題をかかえ,先進各国がかってのように先進国間取引きを通じる発展にそ れほどの期待をかけえない今日的状況においてはなおさらのことである。この点で,私は かつて,今日における南北問題の質的変化ということで,次のように書いたことがある。

 「南北問題は,今や,質的に大きく変化している。南北問題の当初の性格は,南側が北 側に一方的な要求をつきつけ,北側がそれをのむかのまないかという,いわば南側の一方 的な問題であったが,今や南北問題はその様相を変え,北側自身の内部的な問題にまで転 化してきている。それを端的に示すのは,いわゆる先進国間貿易のゆきづまりである。戦 後の資本主義世界における貿易は,先進国間の取引きを中心として発展してきたといわれ るが,今や先進国市場は飽和状態に達し,それが先進国間における貿易摩擦を引きおこす 一因ともなっている。このゆきづまりを打解するには,先進国は従来の先進国市場に代わ る新たな市場を積極的に開拓していかなければならない。その方法は,社会主義国との貿 易も含めて,途上国との貿易を大きく拡大していくことである。そのためには,北側が南 側の発展を南側の一方的な要請としてではなく,北側自身の自らの問題(あるいは要請)

として,積極的にうけとめることである。ここに,今日の南北問題の新しい意義があると

   (18)

いえる」。

 すなわち,今日の先進資本主義国は,途上国の正常な発展あるいは途上国との貿易の拡 大なくしてはその存立もあやぶまれる,そういう状況に立ちいたっているのである。事実,

1974−75年恐慌が1930年代恐慌のような深刻な状況にまでいたらなかった一因は,この時       (19)

期に途上国が高成長政策をとり,先進国からの輸入を拡大したためだといえなくもない。

そして,このような途上国(とくにNICs)の高成長を可能にしたのが,実は,先進国民 間銀行の対途上国融資だったのである。いわば,この期,あるいはそれ以降現在にいたる 期間においてさえ,先進国民間銀行の対途上国融資は,公的資金の撒布(いわゆる対外援

(13)

 発展途上国の対外債務累積問題と世界経済      13 助)になりかわり,グローバルなレベルでのスペンディング・ポリシーの役割を果したの であり,そのことによって,先進国の経済危機をある程度緩和させたのである。

 このようにみてくると,民間銀行の対途上国貸付けの縮小が,単に途上国だけの問題で はなく,先進国経済にも重大な係り合いをもっていることが明らかとなろう。対外債務問 題とは,単に貸付けを縮小すればそれですむというなまやさしい性格のものではないので

ある。

むすびにかえて 問題解決への道

 さて,先にみたように,発展途上国への融資が先進資本主義国にとって,いわばビルト

・イン・スタビライザーともいうべき役割を果しているかぎり,途上国への融資を急激に 縮小することは,たとえ金融不安という1つの問題をある程度緩和するにしても,問題を 全面的に解決するものではない。反対に,木下教授も言われるように,「今日必要なのは,

まさに,潜在的な需要を抱えた国々ぺの大量の信用供与であり,…・……たしかに速効性は 期待できないカ㍉先進国の構造的不況を克服するもっとも確実な途である璽 しかし,こ れは反面で,途上国の対外債務を累積し,債務不履行にともなう国際金融不安を増長させ ていく過程でもある。

 問題は,この矛盾をいかに解消していくかである。

 短期的にはおそらく,この矛盾(債務不履行にともなう金融不安)は,政府間,民間金 融機関間,中央銀行間,および民間銀行とIMF・世銀などの国際的金融機関との協調に よって対処できるかもしれない。事実,1982年8月のメキシコの金融危機に際しては,約 100億ドルにのぼる5つの国際的な救済措置がとられることが,米財務省のマクナマー財        ⑳

平平長官によって明らかにされた。それによると,メキシコ救済措置の大枠は,①先進各 国中央銀行によるメキシコ短期金融支援のための総額15億ドルのスワップ(通貨の預け合 い),②IMFによる今後3年間に40億ドルまで引き出す権利の供与(ただし,・IM:Fが メキシコの財政,経済政策を監視する条件付き)と8億ドルまでの援助,③日米欧民間金 融機関の計100億ドルの短・中期元本返済を90日延長し,かつ新たに10億ドルの新規融資 を行う,④米国が10月以降,戦略備蓄用としてメキシコ原油を1年間購入,10億ドルを前 払い,⑤メキシコによる米国産農産物買い上げに対し10億ドルのローン保証をおこなう,

というもので,元本返済の繰り延べも入れると200億ドルに達するという巨額の内容で

ある。

 これらの措置によって,メキシコの金融危機は鎮静化し,国際的なパニックを引きおこ すまでにはいたらなかったが,しかしこれらはあくまでも突発的な事態に対する一時的な 弥縫策であり,問題そのものを根本的に解決するものではない。途上国の経済発展に 外部資金の導入が不可欠であり,その上で対外債務問題を根本的に解決するには,途上国

(14)

 14

が正常な発展をとげ,対外債務を確実に返済していく条件(あるいは状態)ができあがら なくてはならない。

 今,そのことを図式によって示してみよう。国際収支表の観点から国家の発展段階をみ れば下図のような経過をたどるといわれそいる12)

       (受取勘定) (支払勘定)(資本移動) ∴(貿易収支)

   第1段階(若年債務国)………B+X = M+Ip………B>Ip ∴ X〈M    第2段階(成年債務国)一…・・B+X = M+Ip………B=Ip ∴ X=M    第3段階(成熟債務国)………B+X = M+Ip………B〈Ip ∴ X>M    第4段階(若年債権国)一…4r+X = M+L…………L>Ir . . X>M    第5段階(成年債権国)・・……{r+X = M+L…………L=Ir ∴ X=M    第6段階(成熟債権i国)・……・{r+X− M+L…………L<Ir ∴ X<M     (ただし,Xは商品の輸出, Mは商品の輸入, Bは資本輸入純額, Lは資本輸出純額,

    Ipは支払い利子純額,Irは受取り利子純額を,それぞれ示す)

 これに照らして現在の対外債務問題を考えれば,現在の途上国は第1段階の貿易収支が 赤字で,それを補聞するために外国からの借入れに依存しなければならないという若年債 務国の立場にあると考えられるから,これらの国が対外債務を確実に返済しえるためには,

第3段階の成熟債務国へ成長し,輸出超過によって以前の借入れの返済ができるという状 態が作り出されねばならないわけである。そのためには,途上国の内部的努力はもちろん,

それを保証する国際経済体制の再編が不可欠であろう。

まず前者についてい嵐対外債務累増の原因となる外資依存体質の改善13)大型プ。ジ

   (24)      (25)      、

エクト,工業化戦略,農業政策等の見直しが必要であろっし,後者について言えば,先進 国側の産業構造の調整(第5,第6段階への移行),石油を含む一次産品価格の安定や輸 出所得の保証,工業製品の輸出に関しては一定の優遇措置を与えるような,そのような体 制(いわゆる新国際経済秩序)が必要であろう。

 さらにこの上に,木下教授の提唱される国際清算同盟とかSDRの途上国への優先的配 分とかいった,途上国の負担を軽減するような通貨体制ができあがれば,よりベターであ

ろう。

 これらはそのほとんどが困難で多大の努力を必要とし,その達成にはかなりの時間を要 しようが,これらが実現されないことには対外債務を確実に返済し,現代世界経済がかか える矛盾を解消する途は開かれてこないように思われる。財政上の問題で,公的資金の撒 布(=対外援助)に多大の期待をかけえない今日,先進国の金融機関がそれまでの期間,

国家になりかわり,たえず対外債務の不履行という金融的不安におののきながら,自らの 体制を安定させるために,途上国への融資を続けていかねばならないのは,やむをえない

ことであろう。

(15)

 発展途上国の対外債務累積問題と世界経済

(注)(1)本稿で発展途上国と言う場合,それは概ね,非OPEC途上国の意味で使っている。

  (2)Co㎜ission on International Development,勲燃勿Dω吻蹴1969.

    大来佐武郎監訳『開発とi援助の構想』日本経済新聞社,1969年,56頁。

  (3)Euromoney, aug,1982によるもので,1981年末における債務残高である。

  (4)

   1982,p.20.

  (5)

   油途上国への輸出増によって,石油値上げによる赤字をカバーしており,

   途上国ほど大きくない。なお,

   資金移動」『東銀月報』第27巻第7号に詳しい。

  (6)

   いてみれば,

   年代には域内経済大国(アルゼンチン,ブラジル,

   移行し,70年代には中聞財,

   基礎金属,製紙などを中心として基礎素材産業が急速な発展をとげているが,

15

B.Franklin,更更Debt Peonage:The Highest Form of Imperialism, Moπ孟物1〜θ碗鋤mar

オイル・ショックは先進国の経常収支にも大きな影響を与えたが,先進国はOPECや他の非産       経常収支の赤字は非産油        この点についての分析は,井関博「非石油輸出開発途上国の貿易と

  たとえば,外部資金依存度(あるいは対外債務残高)がもっとも高いラテン・アメリカ諸国につ        これら諸国は1950年代には非耐久消費財を中心として輸入代替工業化を完了させ,60       メキシコ)を中心として,第2期工業化段階へ       資本財の輸入代替工業化へのシフトを強めている。この結果,化学品,

      これらは相対的に巨  大な稼動資本を必要とするものであり,貯蓄能力の低いラテン・アメリカでは外資への依存を強め  る主要因となっている。

  ちなみに,ラテン・アメリカの国内投資に占める1外国資金の割合は,1961〜70年の8.80%から  工971〜80年には20.11%へと急増している。(以上の叙述は,小林志郎「中南米の対外債務問題とそ  の背景」『海外市場』1983年3月号に依拠した)。

(7)ちなみに,非産油途上国の対外借入れに占めるユーロ・クレジットの割合は,ユ974〜75年の25%

 前後から1976〜78年には40〜60%へと大きくふくれあがっている。田下雅昭「途上国のファイナン  ス問題とユーロ・クレジット市場の対応」『日本長期信用銀行調査月報』Nα174,16〜19頁参照。

(8)米銀貸し出し急増の理由としては,1974年における対外投融資の自由化があげられ,その大部分  は短期の貸し出しである。なお82年末の西側民間金融機関の対外貸し出し残高の52%は,ブラジルー  (870億ドル),メキシコ(850億ドル),アルゼンチン(380億ドル),韓:国380億ドル)の4力国に  集中している(OECD発表による。日本経済新聞,1983年1月10日付参照)。

(9)毎日新聞,1982年9月7日付に依拠。なお,モルガンwFM(oct 1982)は,1980年以降の石油  を除く一次産品価格は実質(real term)でみると過去30年間で:最低であり,1974〜75年恐慌時の  水準を20%を下回っていると報じている。

(1①モルガン,WFM(aug 1982), p.11。

⑳石油の値下りは石油輸入国の貿易収支を改善させ,世界経済を活性化させると期待されているが,

 反面で新たな問題もひきおこすと言われている。

  まず,非産油途上国におよぼす影響としては,次のようなことが考えられる。

  ①産油国の石油収入減によるプロジェクトの縮小とそれに基づく対産油国(とくに中東)輸出の  減少および出稼ぎ労働者からの国内送金の減少である。たとえばフィリピンについて言えば,同国  の中東への出稼ぎ労働者は30万人で,昨年の国内送金額は20億ドルであった。この他,韓国,タイ

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