世界経済予測システム
大西
世界モデルの系膳 1970年代に入ってから,世界モデルの研究が台 頭した背景には,経済成長,資源,エネルギー, 環境,食糧,人口など,どれをとってみても国際 的相互依存関係が強まってきた事情がある. ローマクラブ報告書『成長の限界』で一躍有名 になったフォレスター MIT 教授の世界システム ・ダイナミックス・モデルをはじめとし,メサロ ピッチ,ベステル両教授グループの多階層世界シ ステム・モデル,中南米のバリローチェのモデ ル,オランダのリンネマン教授グループの世界食 糧モデル,それに最近で、はレオンチヱフ教授クホル ープの国連世界モデルなどがつぎつぎと世に間わ れてきた. これらの世界モデルは,いずれも長期の予測モ デルとして開発されたものだが,とくに,レオン チェフ教授グループの国連世界モデルは,きたる べき 1980年代の計画ともいうべき「国連第 3 次開 発の 10年J (UNDD3) の目標づくりのために,国 連の CDPPP( 開発計画予測政策センター)の委託 を受けて実施したものである. その他,短期の世界経済の予測のための計量モ デルとしては,米国のペンシルパニア大学のクラ イン教授の「プロジェクト・リンク J(
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LINK) が国際的に著名である. 周知のとおり,ソ連・東欧諸国,米国,カナダ, 主要西ヨーロッパ諸国と日本の共同出資により, 1979 年 8 月号昭
オーストリアのウィーン郊外のラグセンバーグに 設立された「国際応用システム研究所 (IIASAI
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Applied Systems
Analysis) では,世界モデルのシンポジウムをこ れまでに 6 回開催しており,以上に述べた世界モ デルは「プロジェクト・リング」は別として,い ずれもこのシンポジウムの場で取り上げられ,議 論されたものである. 1977年 9 月 26 日 -29 日にオーストリアのパーデ ンで開催された第 5 回 IIASA 世界モデル・シン ポジウムでは, レオンチェフ教授グループの国連 世界モデルとともに,東大工学部茅陽一教授グル ープと筆者の創価大学応用経済研究所クーループ, それに阪大工学部の鈴木酔教授グループを加えた 共同研究プロジェグト・チームの開発した世界モ デルが取り上げられ,大きな国際的評価を受け た. FUGI モデルの概要 この世界モデルは, FUGI モデルと称されるも ので,“地球的相互依存の未来"(FUGI-Future
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Interdependence) とし、う略語に由来 する. この世界モデルは,世界を日米欧など先進市場 経済 10 ,アジア,アフリカ,中東,中南米など開 発途上市場経済 16 ,ソ連・東欧,中固など中央計 画経済 2 ,合計28地域に分割したマクロの世界経 済モデル (GMEM-GlobalMacro Economic
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Model) と,産業を 14部門に分割した多部門の世 界投入・産出モデル (GIOM-Global
Inputュ
Output
Model) を有機的にリンクするとともに, 主要資源モデルをも包括した独創的なものであ る.このモデルを用いて, 1980年代の世界各地域 の経済成長,物価,国際収支,為替レート,産業 .貿易構造等を種々の仮設的シナリオに従って, 予測ないし計画する方法がとられている. この世界モテ、ルの構築に当って,最大の難聞は, 統計データの収集と加工であった.とくに,マク ロの世界経済モデル (GMEM) の必要とする人 民労働力,国民所得,金融,財政,物価,賃 金,貿易,政府開発援助,民間海外投資等の時系 列データ (1954-1978年)をおよそ 160 カ国につい て収集し,国際比較可能なデータに加工するこ と,世界投入・産出モデル (GIOM) の必要とす る産業連関表を世界各国から入手可能なかぎり取 寄せ,国際的に統ーした産業連関表を作成するこ とや,世界各地域の産業連関表に合わせて商品別 貿易マトリックス・データを再編成することなど は,途方もない労力とコンビュータなしには実現 できない作業である.このために数年を費してい る.また FUGI モデルは,自然科学者と社会科学 者との協力による学際的研究の l つの成果とも評 価されている. 実際の作業分担は,世界マクロ経済モデル (G MEM) を創価大学応用経済研究所の大西クゃルー プ,世界投入・産出モテール (GIOM) を東大茅グ ループ,世界資源モデル (GRM) を阪大鈴木グル ープがそれぞれ担当し,有機的結合をはかった. 予測方法としては,まず,種々の仮設的シナリ オに従って,マグロの世界経済モデル (GMEM) が世界28地域の人民就業者数,失業,地域総生 産,民間消費,政府支出,設備投資,住宅投資, 在庫投資,輸出入,法人所得,賃金,卸売物価, 消費者物価,輸出入価格,総生産物価デフレータ ーや各地域聞の貿易の流れを示す貿易マトリッグ ス,先進地域から発展途上地域への政府開発援助4
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と民間海外投資の流れや為替レート,金利,通貨 量などを 1979年から 1990年ーまで年々予測する. ついで,世界投入・産出モデル (GIOM) が,マ クロの世界経済モテール (GMEM) から供給された 世界各地域の総生産,投資,消費支出,輸出入, 賃金,物価等の予測値を所与として,各地域ごと に自然環境,労働力,資本,技術,資源,エネル ギ一等の制約のもとでの目標年次の最適な産業と 貿易構造を明らかにする. 他方,世界資源モテ、ル (GRM) は,世界の各地 域の主要資源・エネルギーの生産と消費の成長パ ターンや資源コストの動向について予測し,資 源,エネルギー制約の程度を分析することによっ て,世界経済の成長の限界を指摘し,その情報を マクロの世界経済モデルと世界投入・産出モテ守ル にフィードパックしている. 1980年代の世界経済の予測 この世界モデルを用いて,国連アジア太平洋経 済社会委員会 (ESCAP) 事務局では, r 国連第 3 次開発 10年J (1980-90年)のアジア太平洋地域の 開発目標づくりを進めようとしている. 1980年代の南北 1 人当り所得の格差がどうなる のか,また格差縮少のための国際開発戦略はし、か にあるべきなのかといった政策的シナリオが,今 後の国連の場で討議されるであろうが,こうした 政策的シナリオが世界経済モデルによって数量的 に検証できるので,南北の対話と協調の進展にと って重要な素材を提供できることだろう. とくに石油エネルギ一価格の上昇圧力が増すと みられる 1980年代の世界経済において,石油価格 上昇と世界各地域の経済成長,物価,国際収支, 為替レート等の関係を世界経済モデルによって首 尾一貫して予測できるので, OPEC 諸国や先進工 業闘にとっても発展戦略 J:: の粛要性をもつばかり か,山界経済の運営に等しく参加を求める他の発 展途上国にとって価値ある情報を提供することに なろう.1980年代の世界経済の成長予測〔実質伸び率( 1970年価格ベース )%J 表 1 人 輸 t s 輸 政府 IlilÆ投資 D-SG ・ 80 ・。。 l( liU 181\(投資 E ・ SP* 80 ・ 90 イ1:1村!):'{( fì::υ止 ù 政府 iì'mιH\ G 併 80 ・ QO 民 1:11
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べきもので,石油価絡の上昇を先進工業国の平均 輸出価格の上昇とスライドさせた場合を想定して 1979 年 8 月号 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.-tn.",! O. 10.[10 Z斗ι ー←一一一一一一ー一一一←一~一一一一.!L ー」一 一一一一一-ー 2?.ι一一一一一一一一一一一一 -_._-"一一一一一止i一一 Z主ι一一一一一一一 ・一一一一----" J ~一一 U J. ー一一ー一一一一 一一
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υ I 同 . FWO π「一ーで而 90.- - .. - .. .. ... . - - - - -.. .. ....u FIojE: ... - . ... ... ... -FTO 図 3 国内総生産の年成長率(フランス,西ドイツ, イタリア,英国,その他 EC ,その他先進工業国) フランス =F ,西ドイツ =w ,イタリア=1, 英国 =u ,その他 EC=E ,その他先進工業 国 =0 にかけて漸次高まるが, 1973年秋の第 1 次石油シ ヨツグと 1979年 6 月の第 2 次石油ショツグのよう な急激な石油価格の上昇を産油国と先進工業国と4
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一一一一一一一一一二___ _ _ Ci 叩・・ー・・・・・・・・・・・・・山・・-
----AC CA 図 2 国内総生産の年成長率(オーストラリア・ニ ュージーランド,カナダ) オーストラリア・ニュージ{ランド =A. カナダ =C リ 10. (l υ20.00 ‘ 70.. ・・・・・・・・・・・ー-- -...---.. ~一一-ー← u • MT ? T r H . 一_1_ー吐一ー一. P工一 臼 r 州 ~←一一一一一 _--.-!! P • T TS 会 PT 同 1 • • IS ーヱ.L....一一一一一一←ー丘一 台刊 . 一一一一一一一一一一一一--'-"工一 暗示 MP r • P 雪 T _.L2呈~二ニゴ二二主三 Iμ ,・・・ー・ー- --て二二二三 三一':..L~工 lPτ 阿 .IS .-..1ー亘工一---'-一 札一千__...l竺 P 1 5 • IT Prs 阿. r " ー←一一 一一---:MST ←~~ 1M !'i - 一一一一一一 一一一~呈I PI 5T • 1 阿 !70 ー 川 P1Pf'¥ .一一一一一一一一一一一一一一...fL.. MST I ~íJ. .-Iニニ P 5 -附ー- -・・・・二二三二ニニ~i -
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TI S 阿 88.TIS 附 p TIS 1'1P i 39.. TT S 同 P • 一一一」1
90.:-90..- ... - - .. - rrS . ~~SS_ -附 P ・ー・・・・・・・・・・・・・.: :・. 図 4 国内総生産の年成長率(インドネ、ンア,マレ ーシア,フィリピン,シンガポール,タイ) インドネシア=1, マレーシア =M, フィ リピン==p, シンガポール =s , タイ =T の対話と協調により回避できる場合のシナリオ予 測は以下のとおりである. オベレーションズ・リサーチi). lC -ーョ旦上 1_2.L..t... l...?.!~ じて2.!..ム ドL
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© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.図 S 国内総生産の年成長率(ソ 連・東欧,中国その他アジア 社会主義国) "'10.()(J 1). 1Q.(1U 20.Un ←L2立と三一二三二-:.・一二二千三三一二ニコ土・・・・- .... ... ... ... ...-. -... --... ... ... -... ... ... -... ー-'-ーーーー--u c ソ連・東欧 =u ,中国その 他アジア社会主義国 =c ?2..υc u c