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BTMU(China)経済週報

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MUFG: Bank(China)経済週報

2017 年 9 月 6 日 第 364 期

中国人の「家計簿」から見た国民生活

~家計債務リスクと貧富の差に注目

中国投資銀行部 中国調査室 メイントピックス ... 2 中国人の「家計簿」から見た国民生活~債務リスクと貧富の差に注目 ... 2  中国経済が高度成長から「新常態」に入り、経済成長が鈍化することは、国民所得と生活水準を持続的に向上させ ることにさらなる挑戦をもたらした。民生分野においては、所得配分統計システムの欠陥や所得配分制度の不健全と いった従来の課題に加え、国民所得増加率の縮小による家計債務リスクの蓄積と所得格差問題も重視されるように なっている。過重な債務や過大な所得格差は個人消費の低迷につながり、「消費牽引型」経済成長の実現に不利 になりかねないことから、国民家計簿の実態を把握し、家計部門のリスクを防止することが経済成長維持に対して不 可欠である。  中国国民の家計簿を見ると、今までの経済発展における構造的な問題が分かってくる。2003~2007 年までの高度成 長期には、国民所得が大幅に改善された一方、労働分配率は逆に低下し、貧富の差も拡大していた。2008~2009 年の金融危機以降、経済発展のモデル転換と構造改革が進められるに伴い、労働分配率と貧富の差の状況は改 善されつつある。ただ、4 兆元刺激策の影響が長引き、過剰流動性、不動産市場の過熱により、家計部門の債務規 模が顕著に拡大することが新たな課題として浮き彫りになった。家計部門債務率の上昇に加え、2016 年に入ってか ら、国民の所得増加幅の縮小が顕著になったことが、消費牽引型経済成長の実現に対して新たなチャレンジとなっ ている。 君合の中国法コラム ... 9 外商投資企業の設立及び変更の届出管理に関する暫定弁法の修正に関する決定 ... 9  2017 年 7 月 30 日、商務部は「外商投資企業の設立および変更の届出管理に関する暫定弁法」(以下、「旧弁法」と いう)の修正に関する決定(商務部2017 年第 2 号文。以下、「新弁法」という)、及び「外商投資企業の設立および変 更の届出管理の関連事項に関する公告(商務部2017 年第 37 号文。以下、「37 号公告」という)を同時に発表した。 新弁法では届出制の適用範囲が拡大され、外商投資企業の設立、変更時の手続き上の負担がさらに軽減された。 本稿では、新旧弁法の相違点や新弁法の外商投資企業への影響などについて解説する。 BTMU の中国調査レポート(2017 年 8~9 月) ... 11

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メイントピックス

中国人の「家計簿」から見た国民生活~家計部門債務リスクと貧富の差に注目

中国経済が高度成長から「新常態」に入り、経済成長が鈍化することは、国民所得と生活水準を持続的に向 上させることにさらなる挑戦をもたらした。民生分野においては、所得配分統計システムの欠陥や所得配分制 度の不健全といった従来の課題に加え、国民所得増加率の縮小による家計債務リスクの蓄積と所得格差問 題も重視されるようになっている。過重な債務や過大な所得格差は個人消費の低迷につながり、「消費牽引 型」経済成長の実現に不利になりかねないことから、国民家計簿の実態を把握し、家計部門のリスクを防止す ることが経済成長維持に対して不可欠である。本稿では、国民の所得・支出及び賃金水準の発展状況を紹 介したうえで、家計部門の債務状況と貧富の差について詳しく分析する。

Ⅰ.国民所得・支出と賃金水準

国民所得 一国の経済成長の成果がどれほど国民所得の増加と国民生活水準の向上に寄与できたかを見るには、労働 分配率1がよく使われている。先進国と比べて、中国の労働分配率が比較的低いことが問題視されてきた。た とえば、日本の労働分配率は高度成長期においても70%前後に達していたが、中国では、90 年代に労働分 配率は50%前後でそもそも低水準であったが、2003~2007 年までの高度成長に伴い、逆に 39.7%まで低下し た。リーマンショック以降、中国の労働分配率は「高度成長」以前の水準に戻った形となったが、依然として 50%未満で推移している。 この問題を受けて、「十二・五」計画(2011~2015 年)は、国民所得の増加率が GDP の増加率を上回るという 目標を掲げ、中国における労働分配率を向上させることを明確化した。「十三・五」計画(2016~2020 年)にお いても、「2020 年までに、国内総生産(GDP)と全国民の一人当たり所得を 2010 年比で倍増する」という目標 を提起し、経済発展とともに、国民所得の増加と生活水準の向上を強調した。 2016 年までの実績を見ると、2016 年の全国国民一人当たりの可処分所得は 2 万 3,821 元で、2010 年と比べ

1 労働分配率は「人件費/付加価値」で計算され、企業が新たに生産した付加価値全体のうち、労働者に分配された比率を表す。 すなわち、企業活動が生み出した富のうち、どれだけが働き手の取り分となっているかを示す指標である。 (出所)国家統計局より当行中国調査室作成 (注)雇用者報酬の比率は労働分配率にあたる。 3 9 .7 4 7 .89 0 2 4 6 8 10 12 14 16 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 20 12 20 13 20 14 20 15 【図表1】中国の労働分配率 雇用者報酬 営業余剰 生産・輸入品に 課される税 GDP成長率(右 目盛り) (%) (%)

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て 62.6%増加した(価格要因を除いた実質増加率)。この実績を土台に、2017~2020 年における年平均増加 率を5.3%以上に保てれば、2020 年の国民所得を 2010 年の 2 倍に引き上げるという目標を達成することにな る。図表2 が示しているように、2009 年以降、所得の成長率は GDP の成長率を大幅に上回るようになり、一 人当たり所得対一人当たりGDP 比率は 2011 年の最低値から上昇し続けていた。ただし、2016 年には、一人 当たり所得の増加幅の縮小により同比率は再び低下に転じた。 農村部・都市部別でみると、2003~2007 年の高度成長期において、農村部と都市部所得の成長率はともに GDP の増加率を下回っていた(図表 3)。2012 年に中国経済が「新常態」に入ってから、農村部一人当たり可 処分所得の増加率はGDP を上回るようになったのに対し、都市部は 2013 年から連続で GDP 成長率を下回 っている。しかし、2016 年には、農村部の所得増加率の低下が顕著であり、GDP 伸び率を下回るようになっ た。 全国一人当たり所得は都市と農村の平均所得にそれぞれの人口をかけて算出したものである。2011 年、一 人当たり所得の成長率は16.6%に達した一方、都市と農村はそれぞれ 11.4%、8.4%に止まった。その後も、こ の傾向が続いている。全国ベースの平均所得伸び率はそれぞれ、農村部や都市部を上回った原因としては、 農民所得の高成長と都市人口割合の増加という2 つが考えられる。 国民支出 エンゲル係数は消費支出に占める食料費の割合であり、一般的には、エンゲル係数が低いほど生活水準が 高いとされている。国家統計局によると、2016 年の一人当たり食料費支出は 5,151 元で、消費支出に占める 割合(エンゲル係数)は2012 年の 33.0%から 30.1%まで縮小した。そのうち、都市部のエンゲル係数は 2016 年に 29.3%まで低下し、初めて 30%を割った(図表 4)。エンゲル係数だけを見ると、都市部の生活水準は先 (出所)国家統計局より当行中国調査室作成 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 0 2 4 6 8 10 12 14 16 1 9 90 1 9 91 1 9 92 1 9 93 1 9 94 1 9 95 1 9 96 1 9 97 1 9 98 1 9 99 2 0 00 2 0 01 2 0 02 2 0 03 2 0 04 2 0 05 2 0 06 2 0 07 2 0 08 2 0 09 2 0 10 2 0 11 2 0 12 2 0 13 2 0 14 2 0 15 2 0 16 【図表3】一人当たり可処分所得の推移 農村部(右目盛り) 都市部(右目盛り) 農村部所得成長率 都市部所得成長率 GDP成長率 (%) (元) (出所)国家統計局より当行中国調査室作成 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 1 9 97 1 9 98 1 9 99 2 0 00 2 0 01 2 0 02 2 0 03 2 0 04 2 0 05 2 0 06 2 0 07 2 0 08 2 0 09 2 0 10 2 0 11 2 0 12 2 0 13 2 0 14 2 0 15 2 0 16 【図表2 】一人当たり所得と一人当たりGDPの推移 一人当たりGDP増加率 一人当たり所得増加率 一人当たり所得/一人当たりGDP(右目盛り) (%) (%)

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進国である日本との距離が大幅に縮まったといえる。 図表 5 の国民消費構造の変化をみると、交通・通信、教育・文化・娯楽、医療・保健といった分野における消 費出の増加が顕著で、2012 年から 2016 年までの 4 年間でそれぞれ、2 ポイント、0.7 ポイント、1.3 ポイント拡 大した。国民消費構造のレベルアップが着実に進んでいることが分かる。 投資牽引型の高度成長を実現した中国は新たな段階に入り、これから、労働分配率の上昇で経済成長の成 果がより多く国民に配分されることが国民所得の増加と生活水準の向上につながり、これによる消費構造のレ ベルアップを通じて、「消費牽引型」経済成長へのモデル転換が進められるようになっている。特に、農民所 得の上昇率が都市部を上回り、農村と都市間の過大な格差が改善され、中間層人口の増加と消費促進に対 する効果が期待される。 しかし、金融危機以降の4 兆元刺激政策の効果で急上昇した国民所得は 2012 年以降に減速に転じ、経済 発展モデルの転換に新たな課題をもたらしている。4 兆元刺激政策による過剰流動性は実体経済のレバレッ ジ比率の上昇を招いた。2016 年末に、政府部門、家計部門、非金融企業部門のレバレッジ比率はそれぞれ 46.0%、50.6%、141%となっているが。世界的に見て中国の家計部門のレバレッジ比率はそれほど高くないと して、家計部門の負債を適度に増加させることによって刺激するという見方があるが、医療や養老といった社 会保障システムが整っていない中国では、その刺激効果がどれほどあるのかについては検証する必要があ る。 以下では、中国における所得格差改善の進展、家計部門負債の内訳について具体的に分析する。

Ⅱ.所得格差の縮小

金融危機以降、経済低成長と所得格差の拡大が併存し、世界範囲で貧富の差に対する改善が進められて いる。特に、貧富の差の拡大は新段階の世界経済発展に対して大きなリスクであるという認識が強まりつつあ (出所)国家統計局より中国調査室作成 20 25 30 35 40 45 50 55 60 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 【図表4】エンゲル係数の推移 中国:農村部 中国:都市部 日本 (%) (出所)国家統計局より当行中国調査室作成 33.0 30.1 8.3 7.0 21.5 21.9 5.5 6.1 11.7 13.7 10.5 11.2 6.3 7.6 3.1 2.7 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2012 2016 【図表5】中国国民消費構造の変化 その他の用品・サービス 医療・保健 教育・文化・娯楽 交通通信 生活用品・サービス 居住 衣服 食料 (出所)国家統計局より当行中国調査室作成 0 2 4 6 8 10 12 14 2 0 03 2 0 04 2 0 05 2 0 06 2 0 07 2 0 08 2 0 09 2 0 10 2 0 11 2 0 12 2 0 13 2 0 14 2 0 15 【図表6】国民消費水準指数 農村住民 都市住民 全体 (前年比、%)

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る。中国においても、貧富の差の問題、特に都市と農村における大きな所得格差は経済・社会発展を促進す るに当たり、無視できないリスクといえる。 2016 年 10 月に発表された「重点集団の活性化による国民増収への促進に関する実施意見」は技能人材、科 学研究者、創業者、企業経営者といった 7 つの分野の個人所得を向上させるよう求めた。この「意見」は「中 間層割合の拡大」を目標として明白に提起したことから、中央政府は貧富の差問題の解決に注力する姿勢が 見て取れる。 個人・家計レベルの所得格差 一人当たり所得レベルの格差をジニ係数で表すことができる。図表 7 を見ると、中国国家統計局の統計では 中国のジニ係数2は 0.46~0.50 の範囲で推移しており、2003~2007 年の高度成長において、所得格差も拡大 する傾向にあったことが分かる。2009 年以降は 6 年続けて縮小してきたが、2016 年には小幅に拡大し、社会 安定の警戒ラインの0.4 を依然として上回っている。一方、世界銀行の統計では、中国の 2013 年のジニ係数 は0.556 となっており、世界的に見れば、所得格差が大きい方である。 都市部の平均所得を五分位階級別で見ると、2006 年までは、低所得者から高所得者への順で所得増加率 が高くなっていた。すなわち、所得が高いほど、所得の増加率も高いという状況であった。この現象は同じ時 期におけるジニ係数の上昇傾向を裏付けている。金融危機以降、低所得者と高所得者の所得増加率の順位 は以前とは真逆になり、高所得者の所得上昇幅は顕著に縮小している。

2 ジニ係数は社会における所得分配の不平等さを示す表で、0に近いほど格差が少ない状態となる。一般的には、ジニ係数が0.4以 上は社会安定性の警戒ライン、0.6以上は危険ラインとされる。 フィンランド 0.26 日本 0.33 アメリカ 0.40 ブラジル 0.47 中国 0.56 世界銀行統計( 2 0 1 3 年) (出所)中国統計局より当行中国調査室作成 0.491 0.462 0.465 0 2 4 6 8 10 12 14 16 0.445 0.450 0.455 0.460 0.465 0.470 0.475 0.480 0.485 0.490 0.495 2 0 03 2 0 04 2 0 05 2 0 06 2 0 07 2 0 08 2 0 09 2 0 10 2 0 11 2 0 12 2 0 13 2 0 14 2 0 15 2 0 16 【図表7】中国ジニ係数の推移 ジニ係数 GDP成長率(右目盛り) (%) (出所)国家統計局より当行中国調査室作成 (注)五分位階級は、所得の低い方から順次に並べ、人数を五等分して作った5つのグループである。たとえば、高所得者は 全体において所得が上位20%の人を指す。 (15) (10) (5) 0 5 10 15 20 25 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 【図表8 】都市部における国民所得増加率の推移(五分位階級別) 低所得者 中低所得者 中間所得者 中高所得者 高所得者 (%)

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A member of MUFG, a global financial group 都市・農村住民所得格差 中国では、都市部と農村部の経済格差が大きな課題とされてきた。都市部と農村部における一人当たり所得 の格差は経済格差の表れの1 つである。2009 年に、都市部一人当たり所得対農村部の一人当たり所得比率 は最高の3.33 倍に達した後、7 年間で低下し続けている(図表 9)。2016 年に、当該比率は 2.7 倍まで低下し た。図表3 が示したように、農村部所得の増加率は都市部を大幅に上回ったことが、都市部・農村部における 所得格差の縮小に寄与したと推測できる。ただし、2014 年から、農村部所得の増加率が縮小し始めており、 この傾向が続けば、都市部と農村部の所得格差は再び拡大に転じる可能性がなくはない。

Ⅲ.家計部門のレバレッジの上昇

家計部門負債の構造~住宅ローン、短期消費性貸出が増加 家計部門の負債は主に金融機関による貸出となっており、短期貸出と中長期貸出に分けることができる。そ のうち、中長期貸出の割合が比較的に高い。さらに、中長期貸出を消費性貸出と経営性貸出に分けて見ると、 中長期貸出に占める消費性中長期貸出の割合が2014 年の 83%から現在の 87%まで拡大した。この消費性 中長期貸出は主として住宅ローンや住宅積立金ローンなどの不動産関連の貸出である。 2015 年下半期から、不動産購入の活発化によって住宅ローン規模は急速に拡大したことから、新規個人住 宅ローンが個人中長期貸出に占める割合が82%から 2016 年第 3 四半期の 90%まで拡大した。個人住宅ロ ーンの急上昇が消費性中長期貸出を大幅に押し上げた(図表10、11)。2016 年 10 月以降、住宅コントロール 政策の影響で、住宅ローンの増加幅が縮小に転じたが、その規模は依然として高水準にある。住宅公共積 立金ローン3を加えた場合、2017 年 7 月までに、中長期貸出総額は 2015 年初頭の 19 兆元から 31 兆元まで 急増した。同時期に中長期貸出が家計負債に占める割合が69.6%から 74.7%まで拡大した。

3 住宅公共積立金制度は中国の社会保障制度の1つである。各企業・機関とその従業員・職員の両者が前年給与の一定比率をそれ ぞれ住宅公共積立金管理機構に納付する。従業員個人は住宅購入の際、個人口座の積立金を引き出し、或いは積立金からの借り 入れを申請することができる。 (出所)中国人民銀行より当行中国調査室作成 (注)本図表では、中長期消費性貸出統計に住宅積立金は含まれていない。 0 5 10 15 20 25 20 07 -0 1 20 07 -0 8 20 08 -0 3 20 08 -1 0 20 09 -0 5 20 09 -1 2 20 10 -0 7 20 11 -0 2 20 11 -0 9 20 12 -0 4 20 12 -1 1 20 13 -0 6 20 14 -0 1 20 14 -0 8 20 15 -0 3 20 15 -1 0 20 16 -0 5 20 16 -1 2 20 17 -0 7 【図表10】対個人貸出残高の推移 中長期 消費性貸出 短期 消費性貸出 短期 経営性貸出 中長期 経営性貸出 (兆元) 消費性貸出 経営性貸出 短期貸出 +60.5% -6.8% 中長期貸出 +70.1% +29.5% (出所)中国人民銀行より当行中国調査室作成 (注)赤枠表示の部分は主に住宅ローンからなる。 【図表11】対個人新規貸出変化率(2015年7月~2017年7月) 用途別 期間別 (出所)国家統計局より当行中国調査室作成 2009年, 3.33 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 9 90 1 9 91 1 9 92 1 9 93 1 9 94 1 9 95 1 9 96 1 9 97 1 9 98 1 9 99 2 0 00 2 0 01 2 0 02 2 0 03 2 0 04 2 0 05 2 0 06 2 0 07 2 0 08 2 0 09 2 0 10 2 0 11 2 0 12 2 0 13 2 0 14 2 0 15 2 0 16 【図表9】都市部・農村部における所得格差 農村部一人当たり所得(右目盛り) 都市部一人当たり所得(右目盛り) (元) (倍) 都市部/農村部

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一方、2017 年に入ってから、短期貸出規模の増加も注目を集めている(図表 12)。2016 年通年の新規個人 消費性短期貸出は8,305 億元に止まったが、2017 年 1~7 月の新規個人消費性短期貸出は 1 兆 600 億元に 達し、前年同期を7,137 億元上回っており、すでに 2016 年通年の水準を超えた。また、インターネット金融機 関を経由して得た消費性短期貸出は中国人民銀行の統計に反映されていないが、その規模も拡大しつつあ り、家計負債の一部と見られる。 家計部門の負債水準 図表 13 から分かるように、金融危機以降、中国家計部門の貸出残高対預金残高比率は上昇し続けており、 2015 年に入ってから上昇のピッチが加速している。2014 年末の 45.7%から 2017 年 7 月の 59.1%まで大幅に 拡大した。この上昇した部分には、不動産市場の過熱による住宅ローンの割合が大きいと思われる。 前文に分析したように、短期消費性貸出も増加している傾向にあるが、全体的に見れば、家計部門負債率の 上昇は住宅ローンの急増によるところが大きい。図表14 が示したように、2013~2016 年に、中国の住宅ローン 対所得の比率は44.8%から 67.0%まで上昇し、特に 2016 年の上昇幅は大きく、2015 年と比べて 12.7 ポイント 上昇した。 家計部門のレバレッジ比率の上昇も住宅ローンによる割合が非常に高い。社会保障システムの不足、経済成 長の鈍化、所得増加の鈍化という背景では、住宅ローン負担が重くなるに伴い、国民が将来に対する不安が 強まりつつあり、消費活動を控えるようになる可能性は否定できない。家計部門の債務対 GDP の比率(家計 部門レバレッジ率)を用いて経済全体の視点から家計部門の債務水準を見ると、2016 年末時点で、中国の家 計部門レバレッジ率は 50.6%である。同時期の米国、日本、英国の家計部門のレバレッジ率はそれぞれ 79.5%、62.5%、87.6%となっているが、世界的に見ると、中国の家計部門レバレッジ率はまだ高いといは言え (出所)中国人民銀行より当行中国調査室作成 (3,000) (2,000) (1,000) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2 0 09 -0 1 2 0 09 -0 5 2 0 09 -0 9 2 0 10 -0 1 2 0 10 -0 5 2 0 10 -0 9 2 0 11 -0 1 2 0 11 -0 5 2 0 11 -0 9 2 0 12 -0 1 2 0 12 -0 5 2 0 12 -0 9 2 0 13 -0 1 2 0 13 -0 5 2 0 13 -0 9 2 0 14 -0 1 2 0 14 -0 5 2 0 14 -0 9 2 0 15 -0 1 2 0 15 -0 5 2 0 15 -0 9 2 0 16 -0 1 2 0 16 -0 5 2 0 16 -0 9 2 0 17 -0 1 2 0 17 -0 5 【図表12】対個人新規貸出の推移 中長期 短期 (億元) (出所)中国人民銀行より当行中国調査室作成 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 2 0 04 -1 2 2 0 05 -0 6 2 0 05 -1 2 2 0 06 -0 6 2 0 06 -1 2 2 0 07 -0 6 2 0 07 -1 2 2 0 08 -0 6 2 0 08 -1 2 2 0 09 -0 6 2 0 09 -1 2 2 0 10 -0 6 2 0 10 -1 2 2 0 11 -0 6 2 0 11 -1 2 2 0 12 -0 6 2 0 12 -1 2 2 0 13 -0 6 2 0 13 -1 2 2 0 14 -0 6 2 0 14 -1 2 2 0 15 -0 6 2 0 15 -1 2 2 0 16 -0 6 2 0 16 -1 2 2 0 17 -0 6 【図表13】対個人貸出残高/個人預金残高 (出所)国家統計局、中国人民銀行より当行中国調査室作成 2.8 6.6 12.7 44.8% 47.7% 54.3% 67.0% 0 2 4 6 8 10 12 14 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 2013 2014 2015 2016 【図表14】国民の住宅ローン負担 (個人住宅ローン+公共積立金貸出 残高)/国民可処分所得 (ポイント) 前年同期比増加幅

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ない。ただし、中国の場合、2012 年末から 2016 年末までのわずか 4 年間で、中国の家計部門レバレッジ率は 14 ポイント近く上昇し、リーマンショック前の米国の家計部門債務の上昇速度を上回ったことから、家計債務リ スク防止への警鐘を鳴らしている。 中国国民の家計簿を見ると、今までの経済発展における構造的な問題が分かってくる。2003~2007 年までの 高度成長期には、国民所得が大幅に改善された一方、労働分配率は逆に低下し、貧富の差も拡大していた。 2008~2009 年の金融危機以降、経済発展のモデル転換と構造改革が進められるに伴い、労働分配率と貧富 の差の状況は改善されつつある。ただ、4 兆元刺激策の影響が長引き、過剰流動性、不動産市場の過熱によ り、家計部門の債務規模が顕著に拡大することが新たな課題として浮き彫りになった。家計部門債務率の上 昇に加え、2016 年に入ってから、国民の所得増加幅の縮小が顕著になったことが、消費牽引型経済成長の 実現に対して新たなチャレンジとなっている。 三菱東京UFJ 銀行(中国) 中国投資銀行部 中国調査室 于瑛琪

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君合の中国法コラム

外商投資企業の設立及び変更の届出管理に関する暫定弁法の修正に関する決定

2017 年 7 月 30 日、商務部は「外商投資企業の設立および変更の届出管理に関する暫定弁法」(以下、「旧 弁法」という)の修正に関する決定(商務部2017 年第 2 号文。以下、「新弁法」という)、及び「外商投資企業の 設立および変更の届出管理の関連事項に関する公告(商務部2017 年第 37 号文。以下、「37 号公告」という) を同時に発表した。新弁法では届出制の適用範囲が拡大され、外商投資企業の設立、変更時の手続き上の 負担がさらに軽減された。本稿では、新旧弁法の相違点や新弁法の外商投資企業への影響などについて解 説する。

Ⅰ.

外国投資家による中国国内企業の企業買収

1. 旧弁法 旧弁法では、外国投資家による中国国内企業の企業買収について特に言及されていないが、2016 年 10 月 8 日に、国家発展改革委員会と商務部が公布した第 22 号文によると、「外国投資家が企業買収を通じて企業 の設立、変更する場合、現行の関連規定に従い執行する」と明確に規定されている。すなわち、新弁法が施 行される前は、外国投資家による中国国内企業の企業買収については届出制が適用されておらず、「外国 投資家による国内企業買収に関する規定」(商務部令2009 年第 6 号、以下、「買収規定」という)に従い、許 認可制が適用されていた。 2. 新弁法 これに対し、新弁法は、第5 条第 2 項において「買収、吸収合併などの方法により、非外商投資企業の外商 投資企業への変更が、本弁法に規定される届出制の適用範囲に属する場合、本条第1 項に従い届出手続 きを行い、『設立申告表』を提出する」という条項が追加された。また、37 号公告第 3 条によると、新弁法にある 「買収」とは、買収規定に規定されている外国投資家による中国国内企業の企業買収を指し、これには持分 買収と資産買収の両方が含まれる。 つまり、新弁法の施行により、外国投資家が中国国内企業を買収する場合で、且つネガティブリストに該当し ない場合、手続きが許認可制から届出制に変更され、オンライン届出手続きにより設立手続きを行うこととな った。

Ⅱ.外国投資家による中国国内上場企業への戦略投資

1. 旧弁法 旧弁法では、外国投資家による中国国内の上場企業への戦略投資について言及されていないが、2005 年 の「外国投資家による上場企業への戦略投資管理弁法」によると、「外国投資家は、商務部の許認可を受け れば、中国国内の上場企業に対し戦略投資を行うことができる。」と規定されている。また、手続き面において、 商務部は関連資料の入手後30 日以内に初歩的な許可を下さなければならないという規定があるにもかかわ らず、実務上は、3 ヶ月以上がかかることも少なくない。その上、中国証券監督委員会(以下、「証監会」とい う)の許可が必要とされるケースにおいては、手続き期間がさらに長くなる。このような手続きの煩雑さが、戦略 投資に高い法的リスクと不安定性をもたらしてきた。 2. 新弁法 これに対し、新弁法の第 7 条によると、「外国投資家による中国国内の非外資系上場企業への戦略投資が、 本弁法に規定する届出制の適用範囲に属する場合、証券登記決済機関への登記前、もしくは登記後 30 日

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以内に届出手続きを行い、設立申告表を提出する。……」と規定されている。このことから、今後の戦略投資 は届出制が適用されることとなり、手続きの所要期間は、3 営業日まで短縮された。また、提出書類について は、旧弁法では必要であった直近三年間の監査済貸借対照表、証券会社の意見書または法律意見書など の書類が削除された。新弁法の施行により、外国投資家による中国の資本市場への投資活動がさらに活躍 になることが期待される。

Ⅲ.そのほかの変更点

1. 実質的支配者の持分構築図 旧弁法では、外商投資企業の「実質的支配者」(出資関係だけでなく、契約関係またはその他取り決めにより、 外商投資企業の経営活動を支配している者を指す。中国語では「最終実際控制人」という)の開示を要求さ れたが、その開示内容は実質的支配者の国籍又は登録場所、証明書番号等に限定されていた。新弁法で は、実質的支配者の持分構成図も開示する必要があり、その意図は、政府が外商投資企業の「出所」を把握 し、(実質的支配者が国内投資家である場合の)国内資産の不正流失を防止することにある。 2. 海外企業の持分を対価とする支払い方法 新弁法第 8 条第 8 項によると、外国投資家が海外企業の持分を対価として中国国内企業への支払いを行う 場合、中国国内企業の海外投資に該当することから、届出手続きを行う際に、海外企業の持ち分を取得した 国内企業の「企業海外投資証書」を提出する必要がある。つまり、かかる場合には、届出手続きを行う前に、 海外投資に関する「企業海外投資証書」の取得手続きを完了していなければならない。

Ⅳ.

まとめ

新弁法は届出制の適用範囲をさらに拡大し、手続きの所要時間を短縮し、外国投資家に利便性をもたらす 一方で、商務管理部門が今後許認可制を取りやめることから、関連契約の発効条件や、関連取引の完了条 件などにつき、契約の交渉・締結段階において適切な取り決めを行う必要がある。なお、手続きが必要となる 変更事項が増加するため、企業がより頻繁に変更届出手続きを行う必要が出てくる可能性があり、日常的な 企業経営においては逆に手続きが煩雑になることが懸念される。また、商務部がこれより前に「外商投資企業 の設立及び変更届出に対する監督検査業務の徹底に関する通知」を公布し、外商投資企業及びその投資 家の届出手続き履行状況、届出情報の真実性、完全性などについて定期的に抜き取り検査を行い、検査の 結果が不合格であれば、行政処罰が下されることとなった。よって、企業経営において、変更事項が発生した 場合は、適時届出手続きを完了させることに日頃から留意しておく必要がある。

本レポートの内容は個人の見解に基づいており、BTMUCの見解を示すものではありません)

謝均 君合律師事務所パートナー

君合律師事務所は中国、海外に事務所を持つ中国最大級の事務所で、国際法律連盟 (ILASA)より連続で中国のベスト弁護士事務所金賞に選ばれている。謝均弁護士は、 一橋大学法学研究院にて法学修士を取得後、日本の法律事務所勤務を経て 2015 年 5 月 から君合律師事務所に転籍。外商投資、再編撤退、労務管理、M&Aの分野に強い。

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BTMU の中国調査レポート(2017 年 8~9 月)

 BTMU CHINA WEEKLY 2017/8/31

https://count.bk.mufg.jp/c/Ccl0j6zqqz514mH6cdaecc0Iid0j6zqtbdbxl

国際業務部  経済見通し(2017 年 8 月)

http://www.bk.mufg.jp/report/ecolook2017/index.htm

経済調査室  BTMU 中国月報第 139 号(2017 年 8 月)

https://count.bk.mufg.jp/c/Ccl0j6lt3p28sxH5f9afa6bIid0j6lt5cxtjl

国際業務部 以上 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、何らかの行動を勧誘するものではありません。ご利用に関しては全てお客様御自身でご 判断くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当店はその正確性を保証す るものではありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。また当資料は著作物であり、著作権法により保護されてお ります。全文または一部を転載する場合は出所を明記してください。 三菱東京UFJ 銀行(中国)有限公司 中国投資銀行部 中国調査室 北京朝陽区東三環北路5 号北京発展大厦 4 階 照会先:石洪 TEL 010-6590-8888ext. 214

参照

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