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学 位 記 番 号 都市環境博 第

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Academic year: 2021

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全文

(1)

氏 名 飯塚

イイヅカ

リョウ

所 属 都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 観光科学域 学 位 の 種 類 博士(観光科学)

学 位 記 番 号 都市環境博 第

157

号 学位授与の日付 平成

27

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第

1

項該当

学 位 論 文 題 名

Comparative Research of Rural Gentrification in Derbyshire

Dales, England

(ルーラル・ジェントリフィケーションの比較研究:

イングランド・ダービーシャー・デールスを事例として)

論 文 審 査 委 員 主査 教授 菊地 俊夫 委員 教 授 小 﨑 隆 委員 准教授 沼 田 真 也

委員

Reader Dr. Phillips, Martin

【論文の内容の要旨】

ルーラル・ジェントリフィケーションは、農村内部における社会階層変化や実際的な地 域への影響について、農村を社会的側面、経済的側面、および文化的側面から総合的に捉 える概念である。従来の研究においては、都市におけるジェントリフィケーションと同様 に不動産や地価の上昇にともなう低所得者層や若年層の「追い出し」といったネガティヴ な影響を及ぼすものという見解が支配的であった。しかし、都市に比べて経済規模の小さ い農村地域において、歳入増加などの経済的側面、あるいは社会階層の変化にともなう新 たな文化の流入といったルーラル・ジェントリフィケーションのポジティヴな影響につい ては農村の計画的な発展に有用であり、農村コミュニティの持続性にもつながる。そこで、

本研究は、ルーラル・ジェントリフィケーションのプロセスを連続的に捉え、その展開を 示したステージ・モデルを確立するとともに、ルーラル・ジェントリフィケーションが地 域に与える影響についてソーシャル・キャピタルの観点から捉えることを目的とした。ま た、本研究は、イングランド中央部に位置し、シェフィールドやマンチェスターといった 都市からの近接性の高さから農村への人口流入がみられるダービーシャー・デールスを対 象地域とした。

最初に、ダービーシャー・デールス全体のルーラル・ジェントリフィケーションについ

て国勢調査データに基づいて人口動態や社会階級構成について時系列変化を追い、ルーラ

ル・ジェントリフィケーションの発生地域の地理学的な分布傾向、およびその発展プロセ

スを捉えることを試みた。その結果、都市への近接性や農村中心地の有無が人口動態など

(2)

の分布傾向に影響を与えていることや、ジェントリフィケーションを発生させる要素とし ての高所得者層のより閑静な居住環境への嗜好性が、ダービーシャー・デールスにおける ルーラル・ジェントリフィケーションの地域的な拡大に寄与していることが明らかになっ た。また、ホワイトカラー層の割合や労働者階級層の「追い出し」の様相によるジェント リフィケーションの進展度合の違いから、ダービーシャー・デールスをジェントリフィケ ーションの「飽和地域」、 「発展地域」、「萌芽地域」の

3

つの類型地域に区分した。

次に、それらの

3

つの類型地域の代表集落としてグリンドルフォード村、ユールグレイ ヴ村、モンヤシュ村を選出し、それぞれの集落におけるルーラル・ジェントリフィケーシ ョンのプロセスを検討した。具体的には、国勢調査データと集落住民に対するアンケート 調査データから住民の社会階層や年間所得、および住宅改築の状況などルーラル・ジェン トリフィケーションに関連する指標を抽出し、それらを住民の居住年数を基軸したコーホ ートから分析することで、ルーラル・ジェントリフィケーションの時系列的な展開につい て考察した。その結果、グリンドルフォード村においては、ジェントリフィケーションが

1970

年代より進展してきたのに対して、ユールグレイヴ村では

1980

年代よりジェントリ フィケーションの兆候がみられ、

1990

年代に急速に進展したことが明らかになった。 一方、

モンヤシュ村では、ジェントリフィケーションが

1970

年代より比較的緩やかに進展してい た。

3

つの地域それぞれのルーラル・ジェントリフィケーションの進展速度は異なっている が、住民の社会階層や住宅改築などの共通した指標の変化量と集落の歴史背景から「出現 段階」 、 「萌芽段階」 、 「発展段階」 、および「成熟段階」の

4

つの特徴的な段階が連続して存 在しており、それらに基づいたステージ・モデルが構築された。

最終的には、事例集落においてルーラル・ジェントリフィケーションがコミュニティに 対してどのような影響を及ぼしてきたのかをソーシャル・キャピタルの観点から考察した。

そこでは、住民に対するアンケート調査のデータからソーシャル・キャピタルに関連する 近隣住民との付き合いやクラブ活動への参加、およびパブの利用といった住民の村内や村 外での生活行動に関する指標を選出し、それらに対して住民の社会階層を基軸としたコー ホート間のソーシャル・キャピタルの差異が分析された。その結果、ジェントリフィケー ションの度合いが進展するのにつれて、ソーシャル・キャピタルの性格がコミュニティの 結束を高めるボンディングに変化し、ジェントリフィケーションの発展地域に位置づけら れる農村においてソーシャル・キャピタルがコミュニティにとって最もポジティヴに機能 する状態となることを明らかにした。さらに、ジェントリフィケーションの飽和地域に位 置づけられる農村においては、ソーシャル・キャピタルがコミュニティの外部との繋がり を重視するブリッジングの性格を帯びることも明らかになった。

上述したように、ルーラル・ジェントリフィケーションは出現段階から成熟段階へと一

定のプロセスに基づいて展開しており、その過程においてソーシャル・キャピタルの性格

がブリッジングからボンディングに変容し、再びブリッジングに帰着することが明らかに

なった。そのようなソーシャル・キャピタルの変容が、ルーラル・ジェントリフィケーシ

(3)

ョンのネガティヴな影響とポジティヴな影響の分解基軸になっていた。本研究の独創性は、

ルーラル・ジェントリフィケーションのプロセスをステージ・モデルとして捉えただけで なく、そのプロセスにおけるソーシャル・キャピタルの性格の変容を明示した点にある。

このことは、従来の農村地理学やルーラル・ツーリズムの研究で十分に検証されなかった

移入者の増加による社会階層構成の変化やコミュニティへのポジティヴな影響を解明した

ことになる。つまり、本研究の新たな知見は、混住化や多様化する農村社会において、コ

ミュニティの再編や社会的持続化の構築に貢献できるものとなっている。

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