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ジョセフソン高速記憶回路用量子磁束転移型記憶セルの研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ジョセフソン高速記憶回路用量子磁束転移型記憶セ ルの研究

田原, 修一

https://doi.org/10.11501/3054301

出版情報:Kyushu University, 1990, 工学博士, 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

ジョセフソン高速記憶回路用 量子磁束転移型記憶セルの研究

1  990 年

田 原 修 一

(4)

目次

概 説

1

章 序 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6  1.  1 

本 研 究 の 背 景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6  1 .   1 .   1 

ジ ョ セ フ ソ ン 集 積 回 路 ・・・・・・・・・・・・・・・・...

8  1.1. 2 

ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 回 路 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1  1  1 .   1 .   3 

ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 セ ル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1  4  1.  1.  4 

ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス の 作 製 技 術 ・・・・・・・・・・・・・・・

2 0  1.  1.  5 

従 来 の 研 究 の 問 題 点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2 4  1.  2 

本 研 究 の 目 的 お よ び 意 義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2 8  1.  3 

本 論 文 の 構 成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2 8 

2

輩 記 憶 セ ル の 設 計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3 1  2.  1 

超 伝 導 記 憶 セ ル の 原 理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3 1  2.  2 

量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル の 提 案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3 8  2.  2.  1 

動 作 原 理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3 8  2.  2.  2 

2.  2.  3  2.  3 

結 論

回 路 パ ラ メ ー タ の 決 定 動 特 性

.  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  . 

5 3 5   4 5 6  

3

章 記 憶 セ ル の 作 製 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

8 8 

3.  1 

平 坦 化 技 術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

8 8 

3.  2 

量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル の 試 作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

8  8 

3.  3 

結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

8  5 

(5)

4

章 記 憶 セ ル の 動 作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9 9  4.  1 

量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル の 動 作 測 定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9 9  4.  2 

測 定 結 果 の 検 討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

111  4.  3 

結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

123 

5

章 量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル を 用 い た 集 積 記 憶 回 路 の 設 計 ・・・・・

125  5.  1 

回 路 構 成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

128  5.  1.  1 

極 性 切 換 型 駆 動 回 路 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

127  5.  1.  2 

デ コ ー ダ 回 路 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

134  5.  1.  3 

セ ン ス 回 路 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

144  5.  2 

記 憶 回 路 の ア ク セ ス 時 間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

145  5.  3 

結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

153 

6

章 総 括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

157 

謝 辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

185 

付 録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

187 

参 考 文 献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

177 

本 研 究 に 関 す る 業 績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

182 

(6)

概説

高 度 情 報 化 時 代 の 現 在 、 大 量 の 情 報 を 短 時 間 に 処 理 で き る コ ン ピ ュ ー タ の 重 要 度 は ま す ま す 増 大 し て い る 。 そ れ に 伴 い コ ン ビ ュ ー タ の 高 速 化 に 対 す る 社 会 的 要 請 は ま す ま す 大 き く な り 、 デ バ イ ス 技 術 、 シ ス テ ム 技 術 な ど コ ン ビ ュ ー タ の 要 素 技 術 の 研 究 開 発 が 盛 ん に 進 め ら れ て い る 。 特 に 、 デ バ イ ス 技 術 は コ ン ビ ュ ー タ を 構 成 す る 基 盤 と な る も の で 、 そ の 高 速 化 は シ ス テ ム 全 体 の 性 能 向 上 に つ な が る 。 そ の 意 味 で 、 デ バ イ ス 技 術 の 進 展 は コ ン ビ ュ ー タ 社 会 に 大 き な イ ン パ ク ト を 与 え る で あ ろ う 。 さ て 、 そ の デ バ イ ス 技 術 を 支 え て き た

S

iを 中 心 と す る 半 導 体 技 術 は こ の

10

年 驚 く べ き 発 展 を 遂 げ た 。 現 在 の コ ン ビ ュ ー タ 技 術 の 集 大 成 と も い え る ス ー パ ー コ ン ビ ュ ー タ は マ シ ン サ イ ク ル

2.8nsec

を 実 現 す る に 至 っ て い る 。 し か し な が ら 、 そ の コ ン ビ ュ ー タ 内 部 に 目 を 移 す と 、 い く つ か の 将 来 へ の 不 安 が 覗 か れ る 。 例 え ば 、 最 先 端 ス ー パ ー コ ン ビ ュ ー タ

S

X ‑ 3  CNEC製 ) の 場 合 、 素 子 の 高 速 化 も さ る こ と な が ら 、 実 装 技 術 の 高 度 化 に よ り コ ン ビ ュ ー タ の 性 能 向 上 を 図 っ て い る 。 そ こ で 用 い ら れ て い る

LS 1 

は 例 え ば 3 3 W /チ ッ プ と 非 常 に 高 い 発 熱 量 と な っ て い る 。 こ れ は 一 般 的 な 電 熱プレート(コンロ〉が、 2~8W/cm2 であることを考えるといかに大きな

発 熱 量 で あ る か が 分 か る 。 こ の チ ッ プ を 実 装 す る た め に は 冷 却 技 術 は 非 常 に 重 要 で 、 現 在 、 S X ‑ 3で は 伝 導 水 冷 方 式 で 約 4 Kゲ ー ト /c m2の 実 装 密 度 を 実 現 し て い る 。 こ の 実 装 密 度 は 従 来 に 比 べ

10

倍 程 度 の 改 善 を は た し た も の で あ

る が 、 ゲ ー ト 当 た り に 換 算 す る と 約

150μmX150μm/

ゲ ー ト と 素 子 自 身 の 大 き さ に 比 べ る と ま だ 非 常 に 大 き な も の で あ る 。 こ の 理 由 は 素 子 の 発 熱 に あ る こ と は い う ま で も な い 。 こ の 素 子 発 熱 の た め 実 装 密 度 が 制 限 さ れ 、 全 体 の 高 速 性 が 損 な わ れ る 結 果 と な る 。 こ の 問 題 を 解 決 す る た め に は 冷 却 技 術 の 改 善 だ け で は 不 十 分 で 、 根 本 的 に は 低 消 費 電 力 の 素 子 を 開 発 す る 必 要 が あ る 。 半 導 体 の 分 野 で も C M O Sを 用 い た シ ス テ ム 設 計 や 動 作 電 圧 の 低 減 な ど 低 消 費 電 力 に 向 け て 、 努 力 が は ら わ れ て い る 。 し か し 、 高 速 か っ 低 消 費 電 力 と い う 観 点 か ら 素 子 性 能 を 考 え る と 、 十 分 な 結 果 を 得 ら れ て い る と は 言 い 難 い 。 今 後 さ ら に

' e E .

(7)

集 積 規 模 も 実 装 規 模 も 増 大 す る と 予 想 さ れ る 中 で 将 来 の コ ン ビ ュ ー タ の 基 本 素 子 と し て は 高 速 で し か も 桁 違 い に 発 熱 の 小 さ な デ バ イ ス が 不 可 欠 で あ る 。

そ の ひ と つ の 候 補 と し て ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た 超 伝 導 集 積 回 路 が 考 え ら れ て い る 。 超 伝 導 集 積 回 路 は 最 近 の N bプ ロ セ ス 技 術 の 進 歩 に よ り 大 き な 進 展 を 示 し た と は 言 え 、 現 状 は 数

K

ゲ ー ト 規 模 の チ ッ プ が 実 現 さ れ て い る に す ぎ な い 。 に も か か わ ら ず 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス が 将 来 の コ ン ビ ュ ー タ 用 の 基 本 素 子 と し て 期 待 さ れ る 理 由 は

1

素 子 当 た り

10  ‑

17 J以 下 と 半 導 体 素 子 に 比 べ 桁 違 い に 小 さ な ス イ ッ チ ン グ 時 間 ・ 消 費 電 力 積 に あ る 。 現 在 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス は よ う や く

LS 1

の 仲 間 入 り を 果 た し た ば か り で あ る が 、 将 来 の 夢 を 現 実 の

も の と す べ く い く つ か の 技 術 的 な 課 題 の 解 決 を 目 指 し た 研 究 開 発 が な さ れ て い る。

そ の 課 題 の ひ と つ に は 論 理 回 路 の 高 速 性 と 時 間 的 に 整 合 の と れ た 高 速 記 憶 回 路 を 実 現 す る こ と が 挙 げ ら れ る 。 記 憶 回 路 は 以 下 の よ う な 理 由 に よ り 論 理 回 路 よ り 研 究 開 発 が 遅 れ 気 味 で あ っ た 。 ま ず 第 1の 理 由 は 高 集 積 化 ・ 高 速 の 記 憶 回 路 を 構 成 す る 記 憶 セ ル の 性 能 が 不 十 分 で あ る こ と 、 第

2

の 理 由 は 記 憶 回 路 が 論 理 回 路 に 比 べ よ り 高 い 集 積 度 を 要 求 さ れ る こ と や イ ン ダ ク タ ン ス な ど 論 理 回 路 で は 必 ず し も 必 要 で な い パ ラ メ ー タ が 必 要 な こ と な ど か ら 作 製 技 術 に 対 す る 要 求 レ ベ ル が 高 い こ と で あ る 。

今 回 、 上 記 の 問 題 を 解 決 し 、 高 速 記 憶 回 路 に 適 し た 記 憶 セ ル 技 術 を 確 立 す る こ と を 目 的 と し て 研 究 を 行 っ た 。 ジ ョ セ フ ソ ン 効 果 を 利 用 し た 超 伝 導 記 憶 セ ル の 原 理 は 、 超 伝 導 ル ー プ に 流 れ る 永 久 電 流 の 有 無 あ る い は 方 向 を 2進 数 の"0"と

"1"に 対 応 さ せ て 情 報 を 蓄 え る も の で あ る 。 情 報 の 保 持 に 対 し て は 、 電 力 が 消 費 さ れ ず 、 記 憶 セ ル の 状 態 の 遷 移 に 対 し て の み 電 力 が 消 費 さ れ る と い う 特 徴 を 持 つ 。 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 含 む 超 伝 導 ル ー プ を 記 憶 媒 体 と し て 利 用 し 得 る た め に は 情 報 を 書 き 込 む 手 段 に 加 え 、 読 み 出 す 手 段 が 備 え ら れ て い な け れ ば な ら な い 。 記 憶 セ ル と は 書 き 込 み 、 読 み 出 し の 両 方 の 手 段 を 備 え た 超 伝 導 ル ー プ と い う こ

とができる。

記 憶 回 路 用 記 憶 セ ル の 高 速 化 に 必 要 な 要 請 は 次 の 通 り で あ る 。

1

. 記 憶 セ ル の 駆 動 時 聞 は 基 本 的 に 記 憶 セ ル に 貯 蔵 さ れ る 量 子 磁 束 数 に 比 例 す る た め 、 貯 蔵 量 子 磁 束 数 の 減 少 は 駆 動 時 間 の 短 縮 に つ な が る 。 従 っ て 、 貯 蔵 量 子 磁 東 数 の 低

(8)

減 が 必 要 で あ る 。

2

. 記 憶 動 作 に お い て 入 力 信 号 間 の 印 加 あ る い は リ セ ッ ト の 順 序 が 動 作 に 影 響 を 与 え る と 、 入 力 信 号 聞 に 時 間 的 マ ー ジ ン が 必 要 で 高 速 性 が 損 な わ れ る 。 従 っ て 、 複 雑 な タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス の 不 必 要 な 記 憶 セ ル が 必 要 である。

3.

ア レ イ 状 に 配 置 さ れ る 記 憶 セ ル に は 半 選 択 状 態 と い う 特 殊 な 状 態 が 存 在 す る 。 す な わ ち 選 択 さ れ る 記 憶 セ ル と 同 じ

X

列、

Y

列 の 記 憶 セ ル に は

X

方 向 の 入 力 信 号 、 ま た は Y方 向 の 入 力 信 号 が 印 加 さ れ て お り 、 動 作 マ ー ジ ン を 狭 め る 作 用 を す る 。 加 え て 最 低 で も 数

K

ビ ッ ト の 集 積 度 が 要 求 さ れ る た め 記 憶 セ ル は 広 い 動 作 マ ー ジ ン を 有 す る こ と が 必 要 で あ る 。 こ れ ら の 観 点 か ら 従 来 提 案 さ れ て い る 記 憶 セ ル を な が め て み る と 必 ず し も 十 分 な 特 性 が 得 ら れ て い る と は言い難い。

ま ず 、 従 来 例 の 中 で 最 も 良 く 研 究 さ れ て い る と 思 わ れ る 記 憶 セ ル と し て はHe nkelsら に よ り 提 案 さ れ た 記 憶 セ ル が 挙 げ ら れ る 。 彼 ら が 提 案 し た 原 型 の 他 い く つ か の 改 良 型 が 提 案 さ れ て お り 、 そ の 中 に は

1K b i 

tの 記 憶 回 路 を 実 現 し て い る も の も あ る 。 こ の 記 憶 セ ル は 、 情 報 を 貯 え る 超 伝 導 ル ー プ に 書 き 込 み ゲ ー ト と し て 超 伝 導 量 子 干 渉 計 を 含 み 、 そ の 超 伝 導 ル ー プ に 磁 気 的 に 結 合 し た 超 伝 導 量 子 干 渉 計 を 読 み 出 し グ ー ト と す る 、 記 憶 セ ル と し て の 原 理 を 忠 実 に 実 現 し た も の と 言 え る で あ ろ う 。 こ の 記 憶 セ ル の 最 大 の 問 題 点 は 入 力 信 号 の リ セ ッ ト 時 に タ イ ミ ン グ 制 御 が 必 要 な こ と で あ る 。 す な わ ち 、 複 数 の 入 力 信 号 間 に お い て 立 ち さ げ る 順 序 を 変 え る と 貯 え ら れ た デ ー タ が 破 壊 さ れ て し ま う 場 合 が あ る こ と で あ る 。 こ の こ と は 入 力 信 号 の リ セ ッ ト 時 に 十 分 な タ イ ミ ン グ マ ー ジ ン が 必 要 で あ る こ と を 意 味 し 、 記 憶 回 路 の サ イ ク ル 時 間 の 短 縮 の 妨 げ と な る 。 ま た 、

こ の 記 憶 セ ル は 超 伝 導 ル ー プ に 超 伝 導 量 子 干 渉 計 を 含 ん で お り 、 超 伝 導 ル ー プ の 小 型 化 が 難 し い こ と も 問 題 点 の ひ と つ で あ る 。 一 方 、 記 憶 セ ル の 小 型 化 の 観 点 か ら み る と 単 一 量 子 磁 束 を 記 憶 の 媒 体 と す る 記 憶 セ ル は 高 速 記 憶 回 路 の 構 成 要 素 と し て 有 望 で あ る 。 し か し な が ら 、 従 来 提 案 さ れ て い る 単 一 量 子 磁 東 記 憶 セ ル は デ ー タ を 読 み 出 し た 時 に デ ー タ が 破 壊 さ れ て し ま う 破 壊 読 み 出 し 型 記 憶 セ ル が ほ と ん ど で あ り 、 高 速 記 憶 回 路 用 の 記 憶 セ ル と し て は 不 向 き で あ る 。 ま た 非 破 嬢 型 の 単 一 量 子 磁 束 記 憶 セ ル も 提 案 さ れ 、 そ の 記 憶 動 作 は 確 認 さ れ て い る が 、 セ ン ス ゲ ー ト の 動 作 マ ー ジ ン が 非 常 に 小 さ く な る と い う 問 題 点 を 有 し て いる。

4U

(9)

高 速 化 と い う 観 点 か ら 見 て 単 一 量 子 磁 束 を 記 憶 媒 体 と す る 記 憶 セ ル が 最 適 で あ る こ と は 明 ら か で あ る 。 で は 従 来 の 単 一 量 子 磁 束 を 用 い た 記 憶 セ ル の 欠 点 、 読 み 出 し の 際 の 動 作 マ ー ジ ン を 改 善 す る た め に は ど の よ う な 手 段 が 考 え ら れ る で あ ろ う か 。 そ の ヒ ン ト は 従 来 例 の 書 き 込 み 動 作 に あ る 。 書 き 込 み 動 作 に は 量 子 磁 束 転 移 現 象 を 用 い て い た た め 、 広 い 動 作 マ ー ジ ン が 得 ら れ て お り 、 タ イ ミ

ン グ シ ー ケ ン ス も 不 必 要 で あ っ た 。 本 研 究 で は 書 き 込 み 、 読 み 出 し 動 作 両 方 に 子 磁 束 転 移 現 象 を 用 い た 、 世 界 初 の 単 一 量 子 磁 束 記 憶 セ ル ( 量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル と 呼 ぶ 〉 を 提 案 し た 。 他 に も 単 一 量 子 磁 束 を 記 憶 媒 体 と し て 読 み 出 し の 動 作 マ ー ジ ン を 改 善 し た も の と し て 容 量 結 合 型 の 読 み 出 し ゲ ー ト を 備 え た 記 憶 セ ル も 提 案 さ れ て い る が 、 こ の 記 憶 セ ル は 破 壊 型 読 み 出 し 動 作 を 行 う た め 、 情 報 の 再 書 き 込 み が 必 要 と な り 、 高 速 記 憶 回 路 に は 不 向 き で あ る 。

と こ ろ で 、 記 憶 セ ル を 実 現 す る た め に は 回 路 設 計 と 同 様 に 信 頼 性 の 高 い プ ロ セ ス 技 術 が 不 可 欠 で あ る 。 鉛 合 金 を 用 い た プ ロ セ ス か ら 始 ま っ た ジ ョ セ フ ソ ン 集 積 回 路 プ ロ セ ス 技 術 は

Nb/AQOx/Nb

ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 の 出 現 を き っ か け に

Nb

系 の 超 伝 導 材 料 を 用 い た 集 積 回 路 プ ロ セ ス 技 術 へ と 発 展 し て き た 。 N bは 鉛 合 金 と 異 な り 化 学 的 に 安 定 な 金 属 で あ る た め 材 料 と し て の 信 頼 性 が 高

く 、 ま た 機 械 的 強 度 も 高 い た め 低 温 と 室 温 と の 熱 サ イ ク ル に 対 す る 耐 性 も 高 い 。 記 憶 セ ル を 正 常 に 動 作 さ せ る た め に は 、 各 パ ラ メ ー 夕 、 例 え ば イ ン ダ ク タ ン ス 値 や ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 の 臨 界 電 流 値 を 設 計 値 通 り に 製 造 す る 必 要 が あ る 。 N b  系 プ ロ セ ス 技 術 の 導 入 に よ り 臨 界 電 流 値 の 均 一 性 、 制 御 性 の 向 上 が 期 待 で き る 。

ところが、

Nb

配 線 聞 を 電 気 的 に 絶 縁 す る 層 間 絶 縁 膜 は 段 差 部 分 で の ク ラ ッ ク が 発 生 す る こ と や そ れ を 防 ぐ た め に 上 層 ほ ど 膜 厚 を 厚 く す る 必 要 が あ る こ と な ど 多 く の 問 題 を 含 ん で い た 。 こ の た め 本 研 究 で は 平 坦 化 技 術 を 導 入 し 超 伝 導 薄 膜 製 造 プ ロ セ ス の 改 善 を 図 っ て い る 。 平 坦 化 す る こ と に よ り 被 覆 す べ き 段 差 は 非 常 に 小 さ な も の と な り 薄 い 層 間 絶 縁 膜 で も 高 い 信 頼 性 を 保 つ こ と が で き る か ら で あ る 。 我 々 は 従 来 の リ フ ト オ フ 技 術 を 改 善 し

Undercut Lift‑Off  Process  ( U L O P )

を開発し、

4

層 の 超 伝 導 配 線 に 対 し 、

50nm

以 下 と い う 良 好 な 平 坦 特 性 を 得 る こ と に 成 功 し た 。

こ の プ ロ セ ス 技 術 を 用 い 実 現 さ れ た 量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル の 動 作 を 測 定 し た 結 果 、 デ ー タ

1

" 書 き 込 み 、 デ ー タ

0"

書 き 込 み 、 デ ー タ の 読 み 出 し の

(10)

時 、 そ れ ぞ れ 入 力 信 号 に 対 し : t

33%

、:t

24%

、:t

2 1 

% の 動 作 マ ー ジ ン を 得 た 。 ま た 読 み 出 し ゲ ー ト の バ イ ア ス 電 流 に 対 し て は : t

33%

と い う 広 い 動 作 マ ー ジ ン が 得 ら れ た 。 試 作 さ れ た 記 憶 セ ル の パ ラ メ ー タ は 設 計 値 か ら 若 干 ず れ て お り 、 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 の 臨 界 電 流 値 で

20%

小 さ く 、 イ ン ダ ク タ ン ス 値 で

10%

大 き く な っ て い る 。 し か し 、 パ ラ メ ー タ の 実 測 値 を 用 い た 計 算 結 果 か ら 得 ら れ た 量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル の し き い 値 特 性 は 実 験 結 果 と 良 く 一 致 し て お り 、 こ の こ と は 本 記 憶 セ ル が 単 一 量 子 磁 束 動 作 を 行 っ て い る こ と を 示 し て い る 。 従 来 の 単 一 量 子 磁 束 を 用 い た 非 破 壊 読 み 出 し 型 記 憶 セ ル の 読 み 出 し 動 作 マ ー ジ

ンが::t7 %で あ る こ と に 比 べ る と 本 記 憶 セ ル の 動 作 マ ー ジ ン は 大 き な 改 善 を 示 し て い る 。 さ ら に 本 記 憶 セ ル の ふ た つ の 入 力 信 号 の 立 ち 上 が り 、 立 ち 下 が り の 順 序 の す べ て の 組 み 合 わ せ に 対 し て 正 常 な 動 作 を す る こ と を 確 認 し た 。 こ の 結 果 は 、 本 記 憶 セ ル の 動 作 に は い か な る タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス も 必 要 で な い こ と

を 示 し て お り 、 本 記 憶 セ ル を 用 い た 記 憶 回 路 の 高 速 記 憶 動 作 が 期 待 さ れ る 。 以 上 の 測 定 の 結 果 、 本 記 憶 セ ル は 入 力 信 号 間 に タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス の 必 要 な い 、 か っ 広 い 動 作 マ ー ジ ン を 有 す 非 破 壊 読 み 出 し 型 の 単 一 量 子 磁 束 記 憶 セ ル で あ る ことを実証した。

最 後 に 本 記 憶 セ ル を 用 い て 、 4K b i tの 記 憶 回 路 を 実 現 す る た め に 必 要 な 周 辺 回 路 の 設 計 及 び ア ク セ ス 時 間 の 検 討 を 行 っ た 。 本 記 憶 セ ル を 駆 動 す る た め に 不 可 欠 な 極 性 切 換 型 駆 動 回 路 を 提 案 し 、 予 備 実 験 に よ り そ の 動 作 を 確 認 し た 。 その動作マージンは::t

43%

と 従 来 の 極 性 切 換 型 駆 動 回 路 と 比 べ て

10%

以 上 の 動 作 マ ー ジ ン の 拡 大 に 成 功 し た 。 ま た 、 本 記 憶 セ ル を 採 用 す る こ と に よ り 、 周 辺 回 路 を す べ て 単 極 性

A C

駆 動 と す る こ と が で き 、 周 辺 回 路 に お い て も タ イ

ミ ン グ 信 号 を 完 全 に 不 必 要 と し た 。 そ の 結 果 、 ア ク セ ス 時 間 約

0.5nsec

、 消 費 電 力

10mW

以 下 の 高 速 記 憶 回 路 を 実 現 で き る 見 通 し を 得 た 。

本 研 究 で 実 現 の 見 通 し が 得 ら れ た 記 憶 回 路 の ス イ ッ チ ン グ 時 間 ・ 電 力 積 は

5 x10‑

12

J

と 、 現 在 の 半 導 体 記 憶 回 路 に 比 べ

3

桁 か ら

4

桁 小 さ な 値 で あ る 。 こ の よ う な 高 速 で か つ 低 消 費 電 力 で あ る 記 憶 回 路 を 得 ら れ る 見 通 し を 得 た こ と は 、 将 来 の コ ン ビ ュ ー タ を 考 え る 上 で 、 そ の 基 本 素 子 の ひ と つ の 候 補 と し て の 超 伝 導 集 積 回 路 の 地 位 を 確 保 す る も の と 考 え る 。 そ の 意 味 で 、 本 研 究 に お け る 量 子 磁 束 転 移 型 記 憶 セ ル の 確 立 は 大 き な 意 義 が あ る も の で あ る 。

FD  

(11)

第 1 章 序 論

将 来 の コ ン ビ ュ ー タ の 構 成 要 素 と し て ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た 超 伝 導 集 積 回 路 が そ の 候 補 に 挙 げ ら れ て い る 。 超 伝 導 集 積 回 路 を 用 い た コ ン ビ ュ ー タ を 実 現 す る た め に は 解 決 し な け れ ば な ら な い い く つ か の 重 要 な 課 題 が あ る 。 そ の ひ と つ は 高 速 に 演 算 さ れ た 情 報 を 貯 え る 高 速 記 憶 回 路 、 特 に そ の 基 本 素 子 で あ る 高 速 記 憶 回 路 用 記 憶 セ ル の 開 発 と さ れ て い る 。 記 憶 セ ル は 記 憶 回 路 の 基 本 的 な 性 能 を 左 右 す る 、 最 も キ ー と な る デ バ イ ス で あ る 。 本 研 究 は 新 し い 型 の 記 憶 セ ル を 提 案 し 、 そ の 諸 特 性 に つ い て 調 べ た も の で あ り 、 本 論 文 は 以 上 の 研 究 成 果 を ま と め た も の で あ る 。 本 章 で は 、 ま ず 本 研 究 の 背 景 と し て ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た 超 伝 導 集 積 回 路 及 び 記 憶 回 路 全 体 に つ い て 現 在 ま で の 開 発 状 況 を 述 べ る。 次 に 、 本 研 究 の 主 な 対 象 と な る 高 速 記 憶 セ ル の 研 究 の 現 状 を 概 観 す る 。 さ ら に そ の 作 製 技 術 に つ い て 現 在 ま で の 開 発 状 況 を 述 べ る 。 つ い で 従 来 の 研 究 が 有 す る 問 題 点 を 指 摘 す る 。 最 後 に こ れ ら の 問 題 点 を 解 決 す る た め に 行 っ た 本 研 究 の 目 的 及 び 意 義 と 、 本 論 文 の 構 成 に つ い て 述 べ る 。

1.  1 

本 研 究 の 背 景

1.  1.  1 

ジ ョ セ フ ソ ン 集 積 回 路

情 報 化 社 会 と 言 わ れ る 昨 今 、 そ の 情 報 を 処 理 し 活 用 す る た め に コ ン ビ ュ ー タ は な く て は な ら な い も の と な っ て い る 。 特 に パ ー ソ ナ ル コ ン ビ ュ ー タ の 普 及 に 伴 い 、 情 報 処 理 の シ ス テ ム も コ ン ピ ュ ー タ を

1

1

台 い わ ゆ る ス タ ン ド ア ロ ー ン 型 に 用 い る 方 式 か ら 個 々 の パ ー ソ ナ ル コ ン ビ ュ ー タ を 有 機 的 に 結 合 し た ネ ッ

ト ワ ー ク 方 式 へ と 移 り 変 わ っ て き て い る 。 そ の た め ネ ッ ト ワ ー ク の 中 心 と な る ホ ス ト コ ン ピ ュ ー タ の 情 報 処 理 能 力 の 向 上 に 対 す る 要 求 は 非 常 に 大 き な も の が あ る 。 一 方 、 近 年 、 気 象 ・ 衛 星 通 信 な ど に お け る 画 像 処 理 、 ま た 航 空 機 の 設 計

(12)

ゃ 、 計 算 物 理 ・ 計 算 化 学 の 分 野 に お け る 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン な ど 超 大 型 計 算 機 い わ ゆ る ス ー パ ー コ ン ビ ュ ー タ を 必 要 と す る 分 野 は 非 常 な 広 が り を 見 せ 、 ス ー パ ー コ ン ビ ュ ー タ の 性 能 向 上 へ の 要 求 も 限 り な い も の の よ う に さえ見える。

こ れ ら の コ ン ピ ュ ー タ を 高 度 化 、 高 性 能 化 さ せ る た め に 、 デ バ イ ス な ど の ハ ー ド ウ ェ ア の 性 能 向 上 と と も に 、 並 列 処 理 な ど の シ ス テ ム 技 術 、 ベ ク ト ル 演 算 な ど の ソ フ ト ウ ェ ア 技 術 な ど の 技 術 革 新 も 盛 ん で あ る 。 こ の 中 で ハ ー ド ウ ェ ア 特 に 構 成 要 素 で あ る 基 本 素 子 の 性 能 を 向 上 す る こ と は 汎 用 型 大 型 コ ン ビ ュ ー 夕 、

ス ー パ ー コ ン ピ ュ ー タ を 問 わ ず シ ス テ ム 全 体 の 性 能 を 向 上 さ せ 、 ひ い て は 情 報 処 理 能 力 の 改 善 に つ な が る こ と は 明 ら か で あ る 。 こ の 観 点 か ら 、 コ ン ビ ュ ー タ

の 基 盤 を 支 え る 技 術 と し て 各 種 の 高 速 デ バ イ ス が 開 発 さ れ 続 け て い る 。 そ の 代 表 格 と も 言 え る

S

i半 導 体 素 子 は こ の

10

年 め ざ ま し い 発 展 を 遂 げ て き た 。 現 在 の コ ン ビ ュ ー タ の 要 素 技 術 の 集 大 成 の 一 例 と し て ス ー パ ー コ ン ピ ュ ー タ を 挙 げ る こ と が で き る 。 最 新 の ス ー パ ー コ ン ビ ュ ー タ

SX‑3

の 性 能 は

22GFL

( 浮 動 小 数 点 演 算 を

1

秒 間 に

22XI0

9回 行 う 性 能 ) と 極 め て 早 く 、 マ シ ン サ イ ク ル も

2.9nsec

を 達 成 し て い る 。 し か し な が ら 、 そ の 内 部 に 目 を 向 け る と 将 来 へ の 不 安 が 覗 か れ る 。 集 積 技 術 及 び 実 装 技 術 の 向 上 に 伴 い チ ッ プ 当 た り の ゲ ー ト 数 が 増 加 し 、 論 理

LS 1

の 場 合

2

万 ゲ ー ト / チ ッ プ の も の が 使 用 さ れ る よ う に な っ て い る 。 そ の 集 積 度 に 比 例 す る よ う に チ ッ プ 当 た り の 発 熱 量 も 増 大 し て い る 。 例 え ば

SX‑3

で 用 い ら れ て い る 論 理

LS 1

チ ッ プ や

R AM

チ ッ プ で は

30

W /

チ ッ プ の も の も 登 場 し 、 全 体 の 発 熱 密 度 は

7. 9  W  / c  m

2と 報 告 さ れ て い る 1)

i素 子 は

12 5  o c

以 上 に な る と 動 作 し な く な る の で 冷 却 技 術 は 非 常 に 重 要 な 技 術 の ひ と つ で あ る 。 現 在 、

SX‑3

で は 伝 導 水 冷 方 式 で 約 4 Kゲ ー ト /

c  m

2の 実 装 密 度 を 実 現 し て い る 。 こ の 実 装 密 度 は 従 来

に比べ

10

倍 程 度 の 改 善 を は た し た も の で あ る が 、 ゲ ー ト 当 た り に 換 算 す る と 約

150μmX150μm/

ゲ ー ト と 素 子 自 身 の 大 き さ に 比 べ る と ま だ 非 常 に 大 き な も の で あ る 。 実 装 密 度 の 向 上 は コ ン ピ ュ ー タ の 性 能 向 上 に 結 び つ く 重 要 な 要 素 で あ る が 、 そ の た め に は 冷 却 技 術 の 改 良 だ け で は 不 十 分 で あ り 、 根 本 的 に 低 消 費 電 力 の 素 子 を 開 発 す る 必 要 が あ る 。 半 導 体 技 術 に お い て も C M O Sな ど の 低 消 費 電 力 素 子 に よ る シ ス テ ム 設 計 も 行 わ れ て い る が 速 度 の 点 で 満 足 の い

‑7  ‑

(13)

く も の に は 至 っ て い な い 。 今 後 さ ら に 素 子 の 集 積 規 模 も 実 装 密 度 も 増 大 す る と 予 想 さ れ る 中 で 将 来 の コ ン ビ ュ ー タ 用 の 基 本 素 子 を 考 え る と き 、 高 速 で か つ 桁 違 い に 素 子 発 熱 が 小 さ な デ バ イ ス が 要 求 さ れ て い る 。

そ の ひ と つ の 候 補 と し て ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た 超 伝 導 集 積 回 路 が 考 え ら れ て い る 。 超 伝 導 集 積 回 路 は 最 近 の N bプ ロ セ ス 技 術 の 進 歩 に よ り 大 き な 進 展 を 示 し た と は 言 え 、 現 状 は 数

K

ゲ ー ト 規 模 の チ ッ プ が 実 現 さ れ て い る に す ぎ な い 。 に も か か わ ら ず 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス が 将 来 の コ ン ビ ュ ー タ 用 の 基 本 素 子 と し て 期 待 さ れ る 理 由 は

1

素 子 当 た り

10  ‑

17 

J

以 下 と 半 導 体 素 子 に 比 べ 桁 違 い に 小 さ な ス イ ッ チ ン グ 時 間 ・ 消 費 電 力 積 に あ る 2)。 現 在 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス は よ う や く

LS 1

の 仲 間 入 り を 果 た し た ば か り で あ る が 、 将 来 の 夢 を 現 実 の も の と す べ く 研 究 開 発 が 進 め ら れ て い る 。

1 8 8 2年、 B.D.Josephsonに よ っ て 理 論 的 に 予 言 さ れ た ジ ョ セ フ ソ ン 効 果3)

は翌 18 8 3年、 P.W.AndersonとJ.M.Rowellに よ っ て 実 験 的 に 確 認 さ れ た 心 。 こ の ジ ョ セ フ ソ ン 効 果 を 用 い た 素 子 が ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 と 呼 ば れ て い る 。 ジ ョ セ フ ソ ン 効 果 は 超 伝 導 電 子 の ト ン ネ ル 効 果 を 説 明 し た も の で 、 直 流 ジ ョ セ フ ソ ン 効 果 と 交 流 ジ ョ セ フ ソ ン 効 果 が あ る ( 付 録A参 照 ) 。 一 般 に デ ィ ジ タ ル 回 路 に 用 い ら れ る ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 は ト ン ネ ル 型 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 で あ る 。 トンネ ル 型 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 が 超 伝 導 状 態 か ら 常 伝 導 状 態 に 遷 移 す る 最 小 の 時 聞 は エ ネ ル ギ ー の 不 確 定 さ L ¥

E

と 、 時 間 の 不 確 定 さ

L ¥

tと の 聞 に 成 り 立 つ 不 確 定 原 理 か ら 考 察 す る こ と が で き る 。 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 が ス イ ッ チ す る 時 、 そ の ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 構 成 す る ふ た つ の 超 伝 導 体 の エ ネ ル ギ ー 差 は

2 L ¥

( L ¥  

。は超伝導 体 の エ ネ ル ギ ー ギ ャ ッ プ 〉 で あ る の で 、 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 が 超 伝 導 状 態 か ら 常 伝 導 状 態 へ 遷 移 し て い る 瞬 間 の エ ネ ル ギ ー の 不 確 定 さ は ム

E=2 L ¥

。 で あ る 。 ま

た不確定性原理よりL\ E ・ム t 孟抗。従って、最小の遷移時間 τ は、 τ~ L\ t

~ñ/ ム E~ñ/2ßo より見積もることができる。例えば、超伝導体が N

b

の 場合、 ßo~l. 4meV であるので τ~o. 2psecと 見 積 も る こ と が で き る5) 。 実 際 の 接 合 は 有 限 の 大 き さ を 持 っ て い る た め 等 価 的 な 接 合 容 量 な ど 電 気 的 な パ ラ メ ー タ に よ り 遷 移 時 間 は 決 定 さ れ 、 こ の 限 界 に 到 達 す る こ と は 難 し い 。

し か し な が ら 、 本 質 的 な 速 度 は 非 常 に 高 速 で あ り 、 技 術 的 な 課 題 を 解 決 す れ ば

s e c

以 下 の ス イ ッ チ ン グ 時 聞 を 持 つ デ バ イ ス が 実 現 で き る 可 能 性 が あ る 。

(14)

現 在 、 実 験 的 に は ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た 論 理 回 路 で

1.5psec/ga

t eと い う 結 果 が 得 ら れ て い る 6)。 ま た 、 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 の 動 作 電 圧 は 超 伝 導 体 の ギ ャ ッ プ エ ネ ル ギ に よ り 決 定 さ れ る 。 そ の 値 は 超 伝 導 材 料 に よ り 異 な る が 、 代 表 的 な 値 は 数m e Vで あ り 、 こ の 時 、 動 作 電 圧 は 数m Vとなる。一方、

ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス の 動 作 電 流 の 大 き さ は ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 の 面 積 と バ リ ア の 膜 厚 に よ り 決 定 さ れ る が 実 用 的 な 観 点 か ら

0.1‑‑0.5mA

程 度 が よ く 用 い ら れ て い る 。 従 っ て 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス の 消 費 電 力 は ゲ ー ト 当 た り μ W の オ ー ダ ー と な り 、 半 導 体 素 子 に 比 べ 2‑‑3桁 小 さ な も の と な る 。 I B MのW.

A n a c k e r

7)

1979

年 に 推 定 し た 結 果 に よ れ ば 当 時 の 市 販 大 型 コ ン ビ ュ ー タ の

2  0

倍 の 性 能 を 持 つ コ ン ビ ュ ー タ を

15  c  m

立 方 の 大 き さ で 実 現 で き る と し て い る 。 こ の 例 は ジ ョ セ フ ソ ン コ ン ピ ュ ー タ の 高 い 実 装 密 度 の 可 能 性 を 示 唆 し た も の で 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス の 低 消 費 電 力 特 性 を よ く 示 し て い る も の と い え るであろう。

ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス は 超 伝 導 現 象 を 利 用 し た デ バ イ ス で あ る の で 、 極 低 温 の 動 作 環 境 が 必 要 で あ る こ と は 言 う ま で も な い 。 そ の た め 極 低 温 下 で の 測 定 技 術 や 室 温 か ら の 信 号 供 給 技 術 、 極 低 温 と 室 温 と の 間 の 熱 サ イ ク ル に 対 す る 耐 性 な ど 確 立 す べ き 技 術 や 解 決 す べ き 課 題 は 多 い 。 し か し な が ら 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス の 高 速 性 と 低 消 費 電 力 特 性 は こ の 課 題 に 立 ち 向 か う に 十 分 な 魅 力 で あ る と 考 え ら れ る 。 加 え て ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス は ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 自 身 の 特 長 以 外 に も 超 伝 導 材 料 を 利 用 す る こ と に よ る 特 長 を 有 す る 。 す な わ ち 超 伝 導 材 料 を 用 い た 配 線 は 直 流 か ら ギ ャ ッ プ 周 波 数 (‑‑THz)に 至 る ま で ほ と ん ど 無 損 失 信 号 が 伝 送 さ れ 、 理 想 的 な ス ト リ ッ プ 線 路 を 実 現 で き る 。 ま た 極 低 温 で の 動 作 は 材 料 が 化 学 的 に 安 定 で あ る こ と や 熱 雑 音 が 非 常 に 小 さ い こ と な ど の 新 た な 利 点をもたらす。

さ て 、 ジ ョ セ フ ソ ン コ ン ビ ュ ー タ の 動 作 時 間 を 考 え る と き 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス が 持 つ 特 殊 性 、 ラ ッ チ ン グ 素 子 ( ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 は 一 旦 電 圧 状 態 に な る と 電 源 電 流 を ゼ 、 ロ に し な い 限 り 超 伝 導 状 態 に 復 帰 し な い 〉 で あ る と い う こ と を 忘 れ で は な ら な い 。 こ の ラ ッ チ ン グ 特 性 の た め 電 源 電 流 は

A C

駆 動 が 多 用 さ れ 、 同 時 に 演 算 の ク ロ ッ ク 源 と し て 電 波 、 電 流 を 用 い る こ と が 考 え ら れ て い る 。 ク ロ ッ ク 源 に 電 源 、 電 流 を 用 い る 場 合 の 問 題 点 と し て ふ た つ の こ と が 考 え ら れ て

n uu  

(15)

い る 。 ひ と つ は パ ン チ ス ル ー と 呼 ば れ る 物 理 現 象 で8)‑10)、 あ る ク ロ ッ ク か ら 次 の ク ロ ッ ク へ の イ ン タ ー バ ル ー す な わ ち リ セ ッ ト 時 間 ー が 短 す ぎ る と ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 が 完 全 に リ セ ッ ト せ ず 、 次 の ク ロ ッ ク で た だ ち に 電 圧 状 態 に 遷 移 し て し ま う 現 象 で あ る 。 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス は 電 源 電 流 が

O

と な っ た 時 点 で 全 て リ セ ッ ト さ れ る こ と を 前 提 と し て い る の で パ ン チ ス ル ー が 起 こ る と 確 実 に 誤 動 作 を 起 こ す 。 こ の 現 象 は デ バ イ ス の パ ラ メ ー タ や ク ロ ッ ク の 長 さ な ど に 依 存 す る 確 率 的 な 現 象 で あ る 。 本 質 的 に そ の 確 率 を Oに す る こ と は で き な い が 、 パ ラ メ ー タ を 最 適 化 し で き る だ け そ の 確 立 を 下 げ る 工 夫 や 、 誤 り 検 出 回 路 の 導 入 な ど に よ り 将 来 克 服 し て 行 か な け れ ば な ら な い 課 題 で あ る 。

ま た 他 の ひ と つ は 高 速 運 転 時 の 電 流 供 給 技 術 に つ い て で あ る 。 電 流 駆 動 型 の デ バ イ ス で あ る ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス は 室 温 の 電 源 機 器 の 出 力 イ ン ピ ー ダ ン ス に 比 べ 入 力 イ ン ピ ー ダ ン ス が 低 く 、 室 温 の 電 源 機 器 と 低 温 の 超 伝 導 集 積 回 路 の 聞 に イ ン ピ ー ダ ン ス 整 合 回 路 が 必 要 で あ る 。 高 周 波 領 域 で は イ ン ピ ー ダ ン ス 整 合 が と れ て い な け れ ば 供 給 電 流 は ほ と ん ど 反 射 さ れ て し ま う 。 回 路 規 模 が 大 き く な れ ば な る ほ ど こ の 問 題 は 深 刻 と な る 。 こ の 問 題 を 解 決 す る た め に い く つ か の イ ン ピ ー ダ ン ス 整 合 回 路 が 提 案 さ れ て い る 11 )。

現 在 の 超 伝 導 集 積 回 路 は ま だ 上 述 の 現 象 が は っ き り と 問 題 に な る よ う な 状 況 に 置 か れ る 集 積 規 模 に は 達 し て い な い が 、 今 後 さ ら に 集 積 度 が 進 み 例 え ば

10 

Kゲ ー ト 規 模 の L S 1を 1G H zな ど の 高 速 の ク ロ ッ ク で 動 作 さ せ る 場 合 な ど に は 解 決 し な け れ ば な ら な い 問 題 で あ る 。

ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス 技 術 を 単 な る 物 理 的 興 味 の 領 域 か ら 工 学 的 興 味 の 領 域 に 広 げ 、 コ ン ビ ュ ー タ 用 デ バ イ ス の 候 補 の ー っ と し て 先 鞭 を つ け た の は

IBM

の 研 究 グ ル ー プ で あ る 12)。 ジ ョ セ フ ソ ン コ ン ビ ュ ー タ の 実 現 に 向 け て

IBM

の グ ル ー プ は プ ロ ジ ェ ク ト を 開 始 し た が 、

1  885

年 い く つ か の 技 術 的 な 課 題 以 外 の 理 由 に よ り プ ロ ジ ェ ク ト を 中 止 し た 。 そ の 後 わ が 国 で は 通 商 産 業 省 電 子 技 術 総 合 研 究 所 (ET L)、 日 本 電 気 株 式 会 社 、 富 士 通 研 究 所 、 目 立 製 作 所 な ど が 中 心 と な り 超 伝 導 集 積 回 路 の 研 究 開 発 を 進 め て お

13 26)、 現 在 で は 日 本 が 世 界 を リ ー ド す る 立 場 に あ る 。

最 近 、 い く つ か の ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 回 路18)19)20)25)27)、 信 号 処 理 回 路

22 24}な ど が 開 発 さ れ 超 伝 導 集 積 回 路 の 進 歩 が 示 さ れ て い る 。 特 に

ETL

は 小

(16)

規 模 で は あ る が ジ ョ セ フ ソ ン コ ン ビ ュ ー タ を 開 発 し 、 そ の 動 作 確 認 に 成 功 し て いる26)。 長 足 の 進 歩 を 示 し て い る 超 伝 導 集 積 回 路 で あ る が 、 ゲ ー ト 稼 動 率 と い う 点 で い え ば

E T L

の ジ ョ セ フ ソ ン コ ン ビ ュ ー タ を 除 い て 十 分 な 稼 動 率 を 示 し て い る と は い え な い 。 ま た

E T L

の コ ン ビ ュ ー タ に し て も 超 伝 導 集 積 回 路 の 最 大 の ア ピ ー ル ポ イ ン ト で あ る 高 速 の 測 定 に お い て は 不 十 分 で あ り 、 多 く の 課 題 が 残 っ て い る と い わ ざ る を 得 な い 。 し か し な が ら 、 論 理 回 路 に お い て は 実 際 の 集 積 回 路 の 内 部 に お い て も

10 

p s e c以 下 の 動 作 を 行 っ て お り 、 記 憶 回 路 に おいても 4K b i t規 模 の 記 憶 回 路 で も

500

p s e c程 度 で 動 作 す る こ と が 確 認 さ れ 、 ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス を 用 い た 超 伝 導 集 積 回 路 の 高 い ポ テ ン シ ャ リ

テ ィ は 明 ら か に な っ て い る と 思 わ れ る 。

一 方 、 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た 他 の 応 用 と し て ジ ョ セ フ ソ ン 線 路 上 に 存 在 す る フ ラ ク ソ ン を 利 用 し た エ レ ク ト ロ ニ ク ス 応 用 も 考 え ら れ て い る 28)。 フ ラ ク ソ ン は ジ ョ セ フ ソ ン 線 路 内 を 高 速 に 移 動 す る た め 、 こ れ を 利 用 し た 高 周 波 帯 域 の 発 振 器 や 増 幅 器 な ど の ア ナ ロ グ 応 用 に 向 け 研 究 が 進 め ら れ て い る 。 将 来 、 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 を 用 い た デ ィ ジ タ ル 応 用 の 分 野 と の 融 合 も 期 待 さ れ る が 、 現 在 で は ま だ そ れ ぞ れ 独 自 の 研 究 開 発 を 進 め る 段 階 で あ る り 、 本 研 究 に お い て は ジ

ョ セ フ ソ ン 線 路 に つ い て は 言 及 し な し 。

1 .   1.  2 

ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 回 路

超 伝 導 現 象 を 特 徴 づ け る も の の ひ と つ に マ イ ス ナ ー 効 果29)が あ る 。 こ の 現 象 は 超 伝 導 体 内 部 か ら 磁 東 が 排 除 さ れ る 現 象 で あ り 、 こ の 磁 束 の 変 化 に 伴 っ て 電 磁 誘 導 に よ り 超 伝 導 体 表 面 に は 電 流 が 誘 起 さ れ る 。 超 伝 導 体 は 抵 抗 零 の 金 属 で あ る の で 誘 起 さ れ た 電 流 は 永 久 電 流 と し て ほ と ん ど 永 久 に 流 れ 続 け る 。 同 様 の 現 象 は 超 伝 導 体 を 超 伝 導 リ ン グ で 置 き 換 え た 場 合 に も 発 生 す る 。 外 部 磁 界 を 加 え た 状 態 で 超 伝 導 状 態 に 相 転 移 し た 超 伝 導 リ ン グ に お い て リ ン グ 内 部 に 補 捉 し た 磁 束 は 外 部 磁 界 を 取 り 去 っ た 後 に も 時 間 的 に 変 化 し な い 。 超 伝 導 リ ン グ に は 永 久 電 流 が 流 れ 続 け る の で あ る 。 と の 永 久 電 流 を ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 に よ り 制 御

E& 

4 EE ‑ .  

(17)

す る と い う ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 セ ル の 基 本 的 な 考 え は

1888

年 に

Rowel1

30)によ り 提 案 さ れ 同 年 に 門

atisoo

31)に よ り 実 験 的 に 確 認 さ れ た 。 ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 セ ル は こ の リ ン グ に 流 れ る 永 久 電 流 の 有 無 、 あ る い は 方 向 を

2

進 数 の

1

u

0"

に 対 応 さ せ て 情 報 を 蓄 え る も の で あ る 。 従 っ て 、 ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 セ ル は

情 報 を 保 持 す る た め に は 電 力 を 消 費 せ ず 、 か つ 情 報 の 書 き 込 み 時 聞 は ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 の ス イ ッ チ イ ン グ 時 間 で 決 ま る と い う 高 速 性 を 合 わ せ も つ 。

コ ン ビ ュ ー タ 内 部 に お い て 記 憶 回 路 は 論 理 回 路 に 比 べ 非 常 に 多 く の 数 を 必 要 とし、 1チ ッ プ あ た り よ り 高 い 集 積 度 を 要 求 さ れ る 。 さ ら に 超 伝 導 リ ン グ に 流 れ る 永 久 電 流 を 記 憶 媒 体 と す る ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 セ ル は 超 伝 導 リ ン グ の イ ン ダ ク タ ン ス の 高 い 制 御 性 が 要 求 さ れ る 。 こ の こ と は 抵 抗 値 と ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 の 臨 界 電 流 値 が 主 な パ ラ メ ー タ で あ る 論 理 回 路 と の 大 き な 違 い の ひ と つ で あ る 。

こ れ ら の 理 由 か ら ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 回 路 の 実 現 に は 論 理 回 路 以 上 の 困 難 が 伴 っ て い た 。 半 導 体 デ バ イ ス の 進 展 を 見 て も 記 憶 回 路 は そ の デ バ イ ス 技 術 の マ イ ル ス ト ー ン 的 な 役 割 を 果 た し て お り 、 ジ ョ セ フ ソ ン 高 速 記 憶 回 路 の 実 現 が 超 伝 導 集 積 回 路 の キ ー ポ イ ン ト と も 言 わ れ て き た 。

記 憶 回 路 に は 論 理 回 路 と の バ 、ソ フ ァ に 利 用 さ れ る 高 速 記 憶 回 路 と 主 記 憶 に 用 い ら れ る 高 集 積 記 憶 回 路 が あ る 。 本 研 究 は 高 速 記 憶 回 路 を 実 現 す る と い う 立 場 で そ の 記 憶 回 路 に 最 適 な 記 憶 セ ル を 実 現 す る こ と を 目 的 と し た も の で あ る 。 本 論 文 は 本 研 究 を ま と め た も の で あ る の で 、 高 速 記 憶 回 路 用 の 記 憶 セ ル に つ い て の み 述 べ る こ と と し 、 高 集 積 記 憶 回 路 に つ い て は 議 論 の 対 象 と し な い 。 。

さ て 、 高 速 に 動 作 す る 論 理 回 路 と の 時 間 的 整 合 性 が 要 求 さ れ る 高 速 記 憶 回 路 で は あ る が 、 そ の 動 作 時 聞 は ど の 程 度 が 必 要 な の で あ ろ う か 。 半 導 体 コ ン ビ ュ ー タ の ア ー キ テ ク チ ュ ア か ら 類 推 す る と い わ ゆ る キ ャ ッ シ ュ メ モ リ と 呼 ば れ る 高 速 記 憶 回 路 は 論 理 回 路 の 数

10

倍 程 度 の 動 作 速 度 で 動 作 す る こ と が 要 求 さ れ て い る 。 従 っ て

10 

p s e c程 度 の ス イ ッ チ ン グ 時 聞 を 有 す る ジ ョ セ フ ソ ン 論 理 回 路 と の 整 合 を と る た め に は ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 回 路 の 動 作 時 間 は 数

10 0 

s  e c

程 度 で あ る こ と が 必 要 で あ る 。

記 憶 回 路 は 記 憶 セ ル ア レ イ と 駆 動 回 路 や デ コ ー ダ 回 路 な ど の 周 辺 回 路 と か ら 構 成 さ れ る 。 記 憶 回 路 の 高 速 化 の ポ イ ン ト は

1

. 記 憶 セ ル 内 に 貯 蔵 す る 量 子 磁 東数の低減、

2.

複 雑 な タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス の 不 必 要 な ア ー キ テ ク チ ュ ア 、

(18)

3.

周 辺 回 路 の 高 速 化 、 な ど を あ げ る こ と が で き る 。 ま ず 記 憶 セ ル 当 た り の 貯 蔵 量 子 磁 束 数 の 低 減 が 記 憶 回 路 の 高 速 化 に ど の よ う に つ な が る か 考 え て み る 。

ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 セ ル の 記 憶 媒 体 は 超 伝 導 リ ン グ に 流 れ る 永 久 電 流 で あ る こ と は す で に 述 べ た が 、 こ の こ と は 言 い 換 え る と 超 伝 導 リ ン グ 内 に 捕 捉 さ れ た 磁 束 が 記 憶 媒 体 で あ る こ と と 等 価 で あ る 。 超 伝 導 リ ン グ 内 に 捕 捉 さ れ た 磁 束 は 量 子 化 さ れ ( 付 録 B参照〉、 n個 の 量 子 磁 束 が 記 憶 媒 体 と し て 働 く 。 駆 動 回 路 が ス イ ッ チ し て か ら 記 憶 セ ル 列 に 駆 動 電 流 を 送 り 出 す ま で の 時 間 す な わ ち 駆 動 時 間

は 被 駆 動 イ ン ダ ク タ ン ス

Ld

、 駆 動 電 流 1

d

、 駆 動 電 圧

Vd

より t = 

L  d

Id/Vd

(1‑1) 

と 見 積 も る こ と が で き る 32)。 一 方 、 被 駆 動 イ ン ダ ク タ ン ス と 駆 動 電 流 と の 積 L

d .  

dは 被 駆 動 記 憶 セ ル の ビ ッ ト 数mと

1

個 の 記 憶 セ ル に 貯 蔵 さ れ る 量 子 磁 束 数nを 用 い て

L  d.  1  d

αmnφ

。 / Vd  (  1  ‑2  ) 

と 表 す こ と が で き る 。 こ こ でφ。 は

1

磁 束 量 子 :2 . 0  7 X  

0‑15Wbを表し、

αは 駆 動 線 路 と 記 憶 セ ル の 結 合 係 数 や 被 駆 動 イ ン ダ ク タ ン ス に 含 ま れ る 記 憶 セ ル 以 外 の 浮 遊 イ ン ダ ク タ ン ス な ど か ら 決 ま る 比 例 定 数 を 表 す 。 式 (

1  ‑ 1  ) 

(  1  ‑2 

) よ り 貯 蔵 量 子 磁 束 数 を 減 ら す こ と 、 す な わ ち nの 値 を 減 ら す こ と は 、 駆 動 時 間

t

の 短 縮 に つ な が る こ と が わ か る 。

次 に タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス が 記 憶 回 路 の 動 作 速 度 に 与 え る 影 響 に つ い て 考 え て み る 。 タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス が 必 要 な 場 合 と は 例 え ば 記 憶 セ ル の ア ド レ ス を 決 め る 入 力 信 号

X

Y

の 入 力 に 際 し て 加 え る 順 序 が 記 憶 セ ル の 動 作 に 影 響 を 与 え る よ う な 場 合 の こ と で あ る 。 こ の 場 合 に は 誤 動 作 を 避 け る た め に 十 分 に 時 間 的 な 余 裕 を 持 っ て 入 力 信 号 を 加 え る こ と が 必 要 で あ る 。 十 分 に 時 間 的 余 裕 を 持 つ こ と は ア ク セ ス 時 間 や サ イ ク ル 時 間 の 短 縮 を 困 難 に す る ば か り で な く 、 タ イ

ミ ン グ 信 号 を 発 生 さ せ る た め に 余 分 な 回 路 が 必 要 と な る 場 合 が 多 い 。 ま た 入 力 信 号 を リ セ ッ ト す る 時 に タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス が 必 要 な 場 合 に は サ イ ク ル 時 間 の 高 速 化 が 難 し く な り 、 記 憶 回 路 の 高 速 化 の 大 き な 障 害 と な る 。 こ れ ら の こ と を 防 ぐ た め に は 入 力 信 号 に 対 し て タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス の 必 要 の な い 記 憶 セ ル の 開 発 が 不 可 欠 で あ る 。

周 辺 回 路 の 高 速 化 に つ い て は 回 路 的 な 工 夫 、 す な わ ち 高 速 な 論 理 ゲ ー ト の 採

η ο

EB&  

(19)

用 や タ イ ミ ン グ 信 号 の 不 必 要 な 電 源 方 式 の 提 案 な ど は も ち ろ ん で あ る が 、 基 本 的 な 問 題 と し て 動 作 電 流 の 低 減 が あ げ ら れ る 。 こ れ は 記 憶 セ ル の 動 作 電 流 と 密 接 に 関 わ っ て い る 。 す な わ ち 記 憶 セ ル の 動 作 電 流 の 大 き さ は 駆 動 回 路 の 動 作 電 流 を 決 定 し 、ひ い て は 周 辺 回 路 全 体 の 動 作 電 流 の 大 き さ を 決 定 す る こ と に な る 。

従 っ て 、 ど の よ う な 記 憶 セ ル を 採 用 す る か で そ の 記 憶 回 路 の 性 能 の 大 部 分 は 決 定 さ れ て し ま う と い っ て も 過 言 で は な い 。 貯 蔵 量 子 磁 束 数 の 減 少 や 動 作 電 流 の 低 減 、 ま た は タ イ ミ ン グ シ ー ケ ン ス を 必 要 と し な い 記 憶 セ ル の 開 発 な ど 、 記 憶 回 路 の 高 速 化 の た め に は 高 速 記 憶 回 路 に 適 し た 記 憶 セ ル の 開 発 が 不 可 欠 で あ る 。 ま た 記 憶 回 路 の 中 で 記 憶 セ ル は ア レ イ 状 に 配 置 さ れ る た め 、 選 択 さ れ た 記 憶 セ ル と 同 じ X列、 Y列 の 記 憶 セ ル に も Xあ る い はY信 号 が 流 れ る と い う 半 選 択 状 態 を 有 す る 。 加 え て 記 憶 回 路 は 論 理 回 路 に 比 べ よ り 高 集 積 な 回 路 で あ る こ

と か ら 記 憶 セ ル の 動 作 マ ー ジ ン も 高 速 性 と 同 様 に 非 常 に 重 要 な 要 素 で あ る 。

1 .   1.  3 

ジ ョ セ フ ソ ン 記 憶 セ ル

す で に 述 べ た よ う に 超 伝 導 記 憶 回 路 は 超 伝 導 ル ー プ に 蓄 え ら れ る 量 子 磁 束 を 記 憶 媒 体 と し て お り 、 そ う す る た め に は 超 伝 導 ル ー プ に 情 報 を 書 き 込 む 手 段 に 加 え 、 読 み 出 す 手 段 が 備 え ら れ て い な け れ ば な ら な い 。 超 伝 導 記 憶 回 路 に お け る 記 憶 セ ル と は 、 書 き 込 み 、 読 み 出 し の 両 方 の 手 段 を 備 え た 超 伝 導 ル ー プ と い うことができる。

従 来 研 究 さ れ て い る 記 憶 セ ル の 中 で

W .H .   H e n k e l s

ら に よ り 提 案 さ れ て い る 磁 気 結 合 型 記 憶 セ ル33)34)は 早 く か ら そ の 動 作 が 確 認 さ れ 、 高 速 記 憶 回 路 の 実 現 に 向 け て 精 力 的 に 研 究 が 進 め ら れ て き た 。 図

1‑ 1

に 磁 気 結 合 型 記 憶 セ ル の 模 式 図 を 示 す 。 こ の 記 憶 セ ル は 記 憶 ル ー プ を 構 成 す る 超 伝 導 イ ン ダ ク タ ン ス Lぃ

L

2、 書 き 込 み ゲ ー ト

Cwrite gate)

、 読 み 出 し ゲ ー ト

Cs  e  n s  e 

) と 電 流 供 給 線 路 か ら 構 成 さ れ 、 記 憶 動 作 に 必 要 な 信 号 は 記 憶 ル ー プ の バ イ ア ス 電 流 1y、 書 き 込 み ゲ ー ト の 制 御 電 流 1x、 1y' お よ び 読 み 出 し グ ー

ト の バ イ ア ス 電 流

1

Bで あ る 。 読 み 出 し ゲ ー ト に は 超 伝 導 量 子 干 渉 計

C S  Q  U 1 

(20)

D  :  S u p e r c o n d u c t i n g  Q U a n t u m   I n t e r f e r e n c e   D e v i c e )

が 用 い ら れ て い る ( 超 伝 導 量 子 干 渉 計 に つ い て は 付 録

C

を 参 照 〉 。 書 き 込 み ゲ ー ト に 用 い た 超 伝 導 量 子 干 渉 計 の し き い 値 特 性 を 図

1‑2

に 示 す 。 バ イ ア ス 電 流

1

.!.を印加した超伝導量 子 干 渉 計 に 入 力 電 流 1cを 加 え る と し き い 値 曲 線 外 に 動 作 点 が 移 動 し 、 超 伝 導 量 子 干 渉 計 は 電 圧 状 態 と な る 。 こ の 原 理 は 読 み 出 し ゲ ー ト に 用 い た 超 伝 導 量 子 干 渉 計 に も 共 通 で あ る 。

さて図

1‑ 1

の 記 憶 セ ル の 動 作 原 理 を 簡 単 に 説 明 す る 。 最 初 、 セ ル は デ ー タ 0"状 態 と 仮 定 し 、 こ の セ ル に デ ー タ 1" を 書 き 込 む 場 合 を 考 え て み よ う 。 デ ー タ

1

" の 書 き 込 み 動 作 に お い て 、 記 憶 セ ル は バ イ ア ス 電 流

1

:yと制御電流 1 x、 1y' に よ り 選 択 さ れ る 。 今 、 簡 単 の た め L= L 2と 仮 定 す る 。 最 初 、 バ イ ア ス 電 流

1

yを 流 す と 超 伝 導 ル ー プ の 左 右 の 分 岐 ( 左 の 分 岐 を 分 岐

1

、 右 の 分 岐 を 分 岐 2と 呼 ぶ 〉 に は 磁 束 保 存 則 を 満 た す よ う に 電 流 が 分 岐 し 、 左 右 の 分 岐 電流

1 1

1 2

11 

1  2

と な る 。 分 岐 電 流

11

が 流 れ た 状 態 で 制 御 電 流

1x

I J

を 印 加 す る と 、 書 き 込 み ゲ ー ト が 電 圧 状 態 に ス イ ッ チ し 、 分 岐

l

を 流 れ る 電 流 は 分 岐

2

に 切 り 換 え ら れ 、

~

0

と な っ て 書 き 込 ゲ ー ト は 超 伝 導 状 態 に 戻 る 。 こ の 状 態 は 時 計 回 り の 周 回 電 流

1

~

1  y/  2

が 生 じ る こ と に よ っ て 実 現 し て い る 。 す な わ ち 、 分 岐

l

で は 記 憶 ル ー プ の バ イ ア ス 電 流

1

yと 周 囲 電 流 と は 逆 向 き に 、 分 岐

2

で は 同 じ 向 き に 流 れ 、 11~O , 12~Iy の状態を保っている。

こ の 状 態 で バ イ ア ス 電 流 1: y を 零 に 戻 す と 記 憶 ル ー プ に は 周 囲 電 流 の み が 残 る 。 こ の 周 囲 電 流 が 永 久 電 流 と し て 記 憶 ル ー プ 内 に 量 子 磁 束 を 保 存 す る 役 割 を 果 た し て い る 。 周 囲 電 流 の 大 き さ は 捕 捉 さ れ る 量 子 磁 束 の 数 と 記 憶 ル ー プ の イ ン ダ クタンス

L1 0 0 p

CLloop~L1+L2) とで決まる Cl c1r =nφ 。 /L 1ooP ) 。 デ ー タ

o

" の 書 き 込 み 動 作 で は 書 き 込 み ゲ ー ト の 制 御 電 流 1xと1:y'で記憶 セ ル を 選 択 す る 。 も し 記 憶 セ ル が デ ー タ

1

" を 保 持 し て い た な ら ば 書 き 込 み ゲ ー ト に は 1rの 周 囲 電 流 が バ イ ア ス 電 流 と し て 流 れ て い る 。 こ の 状 態 で 制 御 電 流 を 印 加 し た な ら ば 、 書 き 込 み ゲ ー ト は や は り 電 圧 状 態 に ス イ ッ チ し 、 記 憶 ル ー プ は 超 伝 導 状 態 を 保 て ず に 周 囲 電 流 は 消 滅 す る 。 も し 記 憶 セ ル が デ ー タ

0"

を 保 持 し て い た な ら ば 周 囲 電 流 は 存 在 し な い た め 、 書 き 込 み ゲ ー ト は ス イ ッ チ せ ず 結 局 デ ー タ

o

" 状 態 が 保 た れ た ま ま に な る 。

読 み 出 し 動 作 は 記 憶 ル ー プ の 分 岐

2

が 磁 気 的 に 結 合 し て い る 読 み 出 し ゲ ー ト

Fhu 

EE

(21)

l y  

4

一 一 1 1 1

l y '  

I x   o

b ‑

‑ m ω

p  

nupδ 

ae 

D R w r i t e  g a t e    

L

s e n s e  g a t e  

図 1‑ 1 • 磁 気 結 合 型 記 憶 セ ル CHenkels型 記 憶 セ ル 〉 の 模 式 図 w r i t e  g a t eに は 3接 合 超 伝 導 量 子 干 渉 計

s e n s e  g a t eに は 2接 合 超 伝 導 量 子 干 渉 計 を 用 い て い る 。 × 印 は ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 。

(22)

1 . 0  0.8 

︑ ︑︑ ︑︑ ︑ ︑

0 . 2  

MS EO H¥

‑0.2 

‑0.4 

Mlc/2φ 。

0 . 2

子 干 渉 計

G A T E

に 用 い た

3

接 合 超 伝 導

W R I T E  

1‑ 2  . 

CSQUID)

の し き い 値 特 性

破 線 と 実 線 と の 問 の 領 域 が

W R I T E

実線はしきい値曲線、

G A T E

の 動 作 領 域 。

入 力 電 流 1cそ れ ぞ れ の 動 作 マ ー ジ ン を バ イ ア ス 電 流 12>

最大にとると::i:2 7 %となる。

nt

EE

(23)

の 電 圧 状 態 へ の ス イ ッ チ ン グ に よ り 行 わ れ る 。 読 み 出 し 動 作 で は 記 憶 セ ル は 記 憶 ル ー プ の バ イ ア ス 電 流 1yと 読 み 出 し ゲ ー ト の バ イ ア ス 電 流 1eと に よ り 選 択 さ れ る 。 記 憶 、 セ ル が デ ー タ

1

" を 蓄 え て い た 場 合 、 分 岐

2

に 流 れ る 電 流 は 周 囲電流

1

rに バ イ ア ス 電 流

1 y/  2

を 加 え

1

~

1  y

と な る 。 こ の 電 流 が 読 み 出 し ゲ ー ト に 磁 気 的 に 結 合 し 読 み 出 し ゲ ー ト を 電 圧 状 態 に ス イ ッ チ さ せ 、 デ ー タ 1 " の 読 み 出 し が 完 了 す る 。 記 憶 セ ル に デ ー タ 0"が 保 存 さ れ て い た 場 合 に は 読 み 出 し ゲ ー ト に 結 合 す る 電 流 の 大 き さ は デ ー タ

1

" の 場 合 の 約

1/2

と な り 、 読 み 出 し ゲ ー ト が ス イ ッ チ す る に は 不 十 分 な 大 き さ で あ る 。 従 っ て 、 読 み 出 し ゲ ー ト は 超 伝 導 状 態 を 保 ち デ ー タ

o

" の 読 み 出 し が 終 了 す る 。 以 上 の 動 作 か ら わ か る と お り 、 こ の 記 憶 セ ル は 読 み 出 し 動 作 に よ り 記 憶 ル ー プ の 状 態 が 変 わ る も の で は な く 非 破 壊 読 み 出 し が 可 能 で あ る 。

ま た 単 一 量 子 磁 束 を 記 憶 媒 体 と す る こ と を 目 的 と し て 、 書 き 込 み ゲ ー ト を 単 一 の ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 と し 記 憶 ル ー プ を 超 伝 導 イ ン ダ ク タ ン ス と 単 一 の ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 か ら 構 成 す る 記 憶 セ ル が 提 案 さ れ て い る 。 こ の 記 憶 セ ル の 一 例 を 図

1‑3

に 示 す35)。 こ の 記 憶 セ ル の 動 作 原 理 を 簡 単 に 説 明 す る 。 記 憶 ル ー プ の バ イ ア ス 電 流 1! ! ; は 記 憶 セ ル の 動 作 の 原 点 を 決 め る 。 記 憶 セ ル を 選 択 す る ア ド レ ス 制 御 電 流 1x、 1yは 記 憶 ル ー プ に 、 記 憶 ル ー プ の 一 部 は 読 み 出 し ゲ ー ト に 磁 気 的 に 結 合 し て い る 。 こ の タ イ プ の 記 憶 セ ル で は 制 御 電 流 の 加 え る 方 向 が lつ の 情 報 と し て 意 味 を 持 つ 。 今 、 図

1 ‑ 3

で 右 方 向 へ の 制 御 電 流 は 書 き 込 み グ ー ト に 上 か ら 下 向 き の 電 流 を 誘 起 す る ( こ の 方 向 を 正 の 方 向 と 呼 ぶ ) 。 デ ー タ 1

" を 書 き 込 む と き に は バ イ ア ス 電 流 1! ! ; を 正 の 方 向 に 印 加 し て い る 状 態 で 制 御 電 流 を 正 の 方 向 に 加 え る と 、 バ イ ア ス 電 流 と 制 御 電 流 か ら の 誘 起 電 流 と の 重 畳 電 流 は 書 き 込 み ゲ ー ト の し き い 値 を 超 え 、 書 き 込 み ゲ ー ト が 電 圧 状 態 に ス イ ッ チ し、

1

個 の 量 子 磁 束 が 記 憶 ル ー プ の 中 に 書 き 込 ま れ る 。 そ の 結 果 、 右 回 り の 周 囲 電 流 が 記 憶 ル ー プ に は 流 れ る 。 反 対 に デ ー タ 0"書 き 込 み の 時 に は 逆 方 向 の 制 御 電 流 を 印 加 し 、 周 囲 電 流 と 制 御 電 流 を 重 畳 さ せ 、 書 き 込 み ゲ ー ト を ス イ

ッ チ さ せ る 。 そ の 結 果 、 周 回 電 流 は 消 滅 し デ ー タ 0"が 書 き 込 ま れ る 。 一 方 、 読 み 出 し の 時 に は 制 御 電 流 1yと 読 み 出 し ゲ ー ト の バ イ ア ス 電 流 1eに よ り 記 憶 セ ル が 選 択 さ れ る 。 デ ー タ

1

" の 読 み 出 し の 時 に は 周 回 電 流 と 制 御 電 流

1

y

ら の 誘 起 電 流 が 記 憶 ル ー プ の 中 で 重 畳 さ れ 、 読 み 出 し ゲ ー ト が ス イ ッ チ す る 。

(24)

I y   I g   I x  

( l ‑ K ) L o KLo 

w r i t e  g a t e   Damping R e s i s t o r  

I s  

s e n s e  g a t e  

1‑3. 

き 込 み グ ー ト に 単一接 合 を 用 い た 記 憶 セ ル の 模 式 図

‑1 9   ‑

(25)

デ ー タ 0"の 時 は 周 囲 電 流 が 流 れ て い な い の で 読 み 出 し ゲ ー ト は ス イ ッ チ し ない。

こ の 記 憶 セ ル は 書 き 込 み グ ー ト が 単 一 ジ ョ セ フ ソ ン 接 合 で あ る の で 記 憶 ル ー プ の 中 で の 余 分 な イ ン ダ ク タ ン ス が 少 な く 、 1量 子 磁 束 を 記 憶 媒 体 と す る 記 憶 セ ル を 実 現 す る こ と が 比 較 的 容 易 で あ る 。 制 御 電 流 や バ イ ア ス 電 流 の 聞 に タ イ

ミ ン グ を 図 る 必 要 が な く 高 速 の 記 憶 動 作 が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る 。

こ の タ イ プ の 記 憶 セ ル と し て 、 読 み 出 し ゲ ー ト に 磁 気 的 に 結 合 し て い る 制 御 線 を 新 た に 設 け た も の や 読 み 出 し ゲ ー ト を 記 憶 ル ー プ に 直 接 、 接 続 し た も の な ど が 提 案 さ れ て い る 36)37)。 前 者 は 読 み 出 し の 時 に 制 御 電 流 を 直 接 読 み 出 し ゲ ー ト に 印 加 し 、 読 み 出 し ゲ ー ト の 動 作 マ ー ジ ン を 広 げ よ う と し た も の で あ り 、 後 者 は 読 み 出 し ゲ ー ト と 記 憶 ル ー プ を 磁 気 的 結 合 で は な く 直 接 結 合 し た も の で 回 路 の 小 型 化 が 図 れ る 。

こ こ で 従 来 例 に 示 し た 記 憶 セ ル は 情 報 を 読 み 出 し た 時 に そ の 情 報 が 消 滅 あ る い は 変 化 し な い い わ ゆ る 非 破 壊 読 み 出 し 型 の 記 憶 セ ル を 取 り 上 げ て い る 。 一 方 、 こ の 他 に 記 憶 セ ル の 研 究 例 と し て 情 報 を 読 み 出 し た 時 に そ の 情 報 が 消 滅 あ る い は 変 化 し て し ま う い わ ゆ る 破 壊 読 み 出 し 型 の 記 憶 セ ル が あ る 38)‑40)。 そ れ ら の 記 憶 セ ル の 中 に は 実 際 に 記 憶 回 路 を 構 成 し 1

n s e c

以 下 の 高 速 な ア ク セ ス 時 聞 を 報 告 し て い る 例41> 42)も あ る 。 し か し な が ら 、 破 壊 読 み 出 し 型 記 憶 セ ル は 情 報 を 読 み 出 し た 後 に 何 等 か の 方 法 で 情 報 の 再 書 き 込 み の 作 業 が 必 要 で あ り 、 余 分 な 周 辺 回 路 や 特 殊 な 駆 動 方 式 が 必 要 と な る 。 こ の こ と は 情 報 の 読 み 出 し だ

け の 時 間 で あ る ア ク セ ス 時 間 の 短 縮 は 図 れ で も 、 情 報 の 書 き 込 み 、 読 み 出 し な ど す べ て の 記 憶 動 作 を 含 ん だ サ イ ク ル 時 間 の 高 速 化 に は 不 適 当 で あ る 。 従 っ て 、 本 研 究 で は 非 破 壊 読 み 出 し 型 記 憶 セ ル を 念 頭 に 置 い て い る こ と を 付 記 し て お く 。

1 .   1.  4 

ジ ョ セ フ ソ ン デ バ イ ス の 作 製 技 術

(  a 

) 超 伝 導 材 料

ジ ョ セ フ ソ ン 集 積 回 路 の プ ロ セ ス 技 術 は 超 伝 導 材 料 と し て 鉛 合 金 を 用 い た プ

参照

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