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石狩川河口部洪水流の縦断水面形変化を用いた河床変動解析

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Academic year: 2022

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(1)Ⅱ-43. 第37回土木学会関東支部技術研究発表会. 石狩川河口部洪水流の縦断水面形変化を用いた河床変動解析 中央大学大学院. 正会員 ○岡村 誠司. 中央大学研究開発機構 フェロー. 福岡 捷二. 国土交通省北海道局. 岡部 和憲. 1.背景・目的 河口は治水上の境界条件を与えることから,河口部の洪水位を予測することは重要である.一般に河口部で は海水位に比して洪水位が十分高く水位差が大きくなるために,洪水中に河床が洗掘される.河口部における 洪水の縦断水面形はこのような河床変動および潮位変動の影響を受けて時間的空間的に複雑に変化する.その ため,河口部の洪水位を予測するためには洪水流の非定常解析と河床変動解析を一体的に行う必要がある 1),2). 本研究では,昭和 56 年 8 月洪水において大きな河床低下が生じた石狩川河口部を対象に,縦断水面形の時 間変化を解とする非定常洪水流・河床変動の一体解析を行うことにより,河口部における洪水現象を説明する. 2.昭和 56 年 8 月石狩川洪水に関する既往研究 石狩川 S56.8 洪水は当時の計画を超える規模の洪水であり,洪水期間中には,河口から 15km の区間におい て水位縦断形の時間変化の観測,流量観測,音響測深機による河床波観測,洪水直前および直後の河道横断測 量等の大規模な観測が行われた 3).石狩川 S56.8 洪水を対象として,清水ら 4)は鉛直分布を仮定した浮遊砂濃 度の連続式と河床抵抗の変化を考慮した一次元河床変動計算を行い,洪水中の河床変動と水位の変化の再現を 行った.井上ら 5)は浮遊砂濃度の連続式に二次流の影響を考慮して準定常解析を行い,蛇行流路における浮遊 砂濃度分布の変形が河床変動に与える影響を指摘した.本研究では既往の解析で十分に反映されていない非平 衡性の強い流水中での浮遊砂の挙動を計算し,縦断水面形の時 間変化を解とする非定常洪水流・河床変動の一体解析を行う. 3.解析方法 図-1 に解析フローチャートを示す.洪水流解析には,蛇行. 解析条件の設定 ・初期河道形状 ・上下流端条件(観測水位時系列) ・河床材料粒度分布 ・河床抵抗,樹木群抵抗. 流路であることから一般座標系における準3次元非定常流解. 非定常洪水流と河床変動の一体解析. 析法 2)を用いた.掃流砂量は芦田・道上式より算定した.浮遊 砂の河床からの浮上量は板倉・岸の式. 4). 洪水開始. ,河床への沈降量は 準3次元非定常流解析. Rubey の式より算定した.浮遊砂濃度については,蛇行流路な 4),5). を用いず,準3次元流解析. から得られる流速分布を用いて式(1)に示す浮遊砂濃度の3次 元移流拡散方程式を解くこととする. ~  ~  w  C k 1   ~  C w  ~ 0k t   J d  u~C k  J d  v~C k   k t  J     C    C C  C          ~   s  ~k   ~   s  ~k   cos   ~   s  ~k   ~   s  ~k                     C  C     C   ~s  ~k ~  ~k ~     s  k   q suk  z  zb  (1)    z  z  J   . . . . ~ J , J :ヤコビアンとその物理成分. ~ :反変ξ,η,σ方向流速の u~, v~, w. Ck. 物理成分 :粒径階 k の浮遊砂濃度. . ①掃流砂量計算 ②浮遊砂量計算 ・河床からの浮上量算定 ・浮遊砂濃度の3次元移流拡散解析 ・河床への沈降量算定 河床高変化量の計算.   . w0 k:粒径階 k の砂粒子の沈降速度  s :浮遊砂濃度の乱流拡散係数 qsuk:粒径階 k の砂粒子の浮上量. 流砂量計算. 時間ステップの更新. ど非平衡性の強い流水中での浮遊砂の挙動を計算するため,一 定の鉛直濃度分布を与える方法. No. 洪水終了 Yes. 解析結果と観測結果の比較 ・縦断水面形の時間変化 ・洪水後の河床形状 ・流量ハイドログラフ. 一致. No. Yes 解析終了. 図-1 縦断水面形の時間変化を解とする 非定常洪水流・河床変動の一体解析法. キーワード 石狩川,河口,洪水縦断水面形,準三次元流解析,河床変動,浮遊砂 連絡先 〒112-8551. 見直し. 東京都文京区春日 1-13-27-31214 中央大学研究開発機構. TEL 03-3817-1611.

(2) Ⅱ-43. 第37回土木学会関東支部技術研究発表会. 14000. 上下流端境界条件として 15.0k 地点に観測水位時系列, 断水面形の時間変化が観測縦断水面形の時間変化に一致す. 流量(㎥/s). 河口沖-3.0k に小樽潮位時系列を与えた.河床抵抗は解析縦. 水位(T.P.m). 岸ともに観測縦断水面形の時間変化と良く一致 している.また図-4 より,解析の洪水後の河床 縦断形は観測結果と比較して 4.0k 付近で低いも 低下を概ね再現できている.このように時々刻々 の縦断水面形を再現し,かつ洪水後の河床形状も. 水位(T.P.m). のの他の局所的な河床変動および全体的な河床. 概ね再現することで,洪水中の河床変動を含めた 洪水現象を説明できる.. でき,図-5 に示すように洪水後の河床形状(横 断方向の洗掘・堆積形状)を概ね再現することが できた. 5.結論. 8/5 0:00. 8/5 12:00. 8/6 0:00. 8/6 12:00. 8/7 0:00. 8/7 12:00. 8/8 0:00. 8/8 12:00. 8/9 0:00. 図-2 石狩川 S56.8 洪水流量ハイドログラフ. 観測水位 8/5 0:00 8 観測水位 8/5 6:00 7 観測水位 8/5 18:00 観測水位 8/6 3:00 6 5 ▲右岸 △左岸 4 ―右岸 --左岸 3 2 1 0 -3k -2k -1k 0k 1k 2k 観測水位 8/6 3:00 8 観測水位 8/6 18:00 7 観測水位 8/7 12:00 6 観測水位 8/8 6:00 5 観測水位 8/9 0:00 4 ▲右岸 △左岸 3 ―右岸 --左岸 2 1 0 -3k -2k -1k 0k 1k 2k. 計算水位 計算水位 計算水位 計算水位. 3k. 4k. 計算水位 計算水位 計算水位 計算水位 計算水位. 3k. 4k. 8/5 8/5 8/5 8/6. 0:00 6:00 18:00 3:00. 5k. 6k. 8/6 8/6 8/7 8/8 8/9. 3:00 18:00 12:00 6:00 0:00. 5k. 6k. 0 -2 -4 -6 -8 -10 -12 -14 -16 -18 -20 -3k -2k -1k 0k. 7k. 8k. 9k 10k 11k 12k 13k 14k 15k 16k. 7k. 8k. 9k 10k 11k 12k 13k 14k 15k 16k. 平均河床高. 河床高(T.P.m). くことで,蛇行流中の浮遊砂の複雑な挙動を計算. 4000. 図-3 観測と解析の縦断水面形の時間変化. また,準3次元流解析から得られる流速分布を 用いて浮遊砂濃度の3次元移流拡散方程式を解. 6000. 0 8/4 12:00. 間変化および洪水後の河床形状がともに観測結果と一致す. 図-3 より,解析縦断水面形の時間変化は左右. 8000. 2000. 上流で n=0.021 とした.解析より得られる縦断水面形の時. 4.解析結果. 解析流量. 10000. るよう設定し,低水路粗度係数は 8.0k 下流で n=0.013,8.0k. ることで解析の妥当性を確認した.. 観測流量. 12000. 最深河床高. 初期河床高 観測 洪水後河床高 解析 洪水後河床高. 1k. 2k. 3k. 4k. 5k. 6k. 7k. 8k. 9k 10k 11k 12k 13k 14k 15k 16k. 図-4 観測と解析の平均・最深河床高縦断形. 本研究では,石狩川昭和 56 年 8 月洪水を対象 として縦断水面形の時間変化を解とする非定常 洪水流・河床変動の一体解析を行うことで,洪水 現象を説明できることを示した.さらに,準3次 T.P.m. 元流解析から得られる流速分布を用いて浮遊砂 濃度の3次元移流拡散方程式を解くことで,浮遊 砂の卓越する蛇行流路における洪水中の河床変 動を説明できることを示した. 今後は,本来一体的に取り扱うべき掃流砂と浮 遊砂および浮上量の解析方法について検討を行 う必要がある. 参考文献. 初期. 洪水後(観測). 洪水後(解析). 図-5 観測と解析の洪水前後河床高コンター. 1)福岡捷二:巻頭言河川整備基本方針の策定を終えて,河川,No.749,pp.3-6,2008. 2)例えば,岡村誠司,福岡捷二,竹本隆之:利根川河口部の河床形状と洪水中の河床変動,水工学論文集,Vol.54,2010. 3)岸力(代表研究者):昭和 56 年 8 月北海道豪雨災害に関する調査研究,昭和 56 年度科学研究費補助金研究成果報告書,1982. 4)清水康行,板倉忠興,岸力,黒木幹男:昭和 56 年 8 月洪水における石狩川下流部の河床変動について,水理講演会論文集, Vol.30,pp.487-492,1986. 5)井上卓也,濱木道大,荒井信行,中田満洋,高橋季承,林田寿文,渡邊康玄:準3次元河床変動モデルによる石狩川河口付近 の昭和 56 年 8 月洪水再現計算,河川技術論文集,Vol.10,pp.101-106,2004..

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