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塗油器改良による塗油効果増大の取り組み 東京地下鉄(株)

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月). Ⅵ‑494. 塗油器改良による塗油効果増大の取り組み 東京地下鉄(株). 正会員 ○田代 祐徳. 東京地下鉄(株). 濱野 浩. 東京地下鉄(株). 田上 佳伸. 東京地下鉄(株). 正会員. 石川 幸宏. 1.はじめに 当社は 9 路線 195.1km の営業路線を有し,うち 7 路線で他社と相互直通運転を実施している.路線の大部分 は道路下であるため,路線の約 20%が半径 400m 未満の急曲線である.このような急曲線ではレールと車輪と の接触による外軌・内軌レールの摩耗やきしり音等の騒音が著しい.これらを抑制するために,レール塗油器 による営業線へのレール塗油を行ってきた 1).これまでの検証で内軌塗油による横圧の低減が外軌レール摩耗 防止等に効果的である. 2). が,走行する車両の車輪踏面形状によって塗油の効果に差があることがわかった. 3). .. 今回は塗油効果が薄い車輪踏面形状の車両に対しても効果的なレール塗油を行う方法を試験し,これを定量的. 地点を図-1 に示す.本試験を実施した曲線は当社狭軌. 列車進行方 向 R=301.6. を通過する車両はすべて同一の円錐踏面形状であり,過. B.C.. 路線の中で最も急な曲線の一つである.また,当該曲線. C= 13 S= 7 C.C.L. 92.0m. 去の検証で当社車両においては円弧踏面より円錐踏面 がゲージコーナー(GC)側を走行するため,塗油効果を. 図-1. 3). 得にくい種類の車輪であることがわかっている .. レール塗油器. を使用している.塗油器は内軌・外軌ともに塗油可能であるが,今 回は内軌塗油の効果を試験するために,外軌側のレール塗油につい. T.C.L. 45.4m. 37m 輪重・横圧 測定位置. 曲線線形と塗油器等の位置関係 表-1. 一方,レール塗油器は列車本数による塗出間隔管理が可能なもの. R=131.6 C= 50 S= 12 C.C.L. 100.4m. P.R.T.. 輪重・横圧測定を実施した曲線の線形と塗油器の設置. P.C.C.. 2.輪重・横圧測定の概要. B.R.T.. に評価するため営業線において輪重・横圧測定を実施した.. 塗油設定 設定1 設定2. 内軌塗油器の設定 内軌塗油器 塗出間隔 塗出時間 列車10本に1回 3秒 列車10本に1回 4秒. ては調整を加えず,塗油効果を定量的に評価するため,輪重・横圧ゲージをレール塗油器から 37m の円曲線中 に設置した.本試験では,レール/車輪間の摩擦係数とみなすことができる内軌側横圧輪重比に注目した. 3.内軌塗油の塗出量調整 これまでの検証では,内軌塗油の塗出量増加によって内軌側横圧輪重比を低減する効果を上げることができ た 3).本試験を実施した路線では,これまでの検証の結果から塗油効果を得にくい円錐踏面形状の車両のみが 走行しているため,はじめに塗油量の増加による内軌側横圧輪重比の低減効果の有無を確認した.試験箇所は 駅のホーム端に位置するため,塗出時間は 1 秒の増加にとどめて滑走を予防した(表-1) .内軌塗油器設定変 更前後の内軌側横圧輪重比は,平均値が 0.65 から 0.65 となり(図-2),全く変化がなかった.その後 1 週間 経過しても平均値は 0.67 と減少しないため,塗油器から出た油が車輪踏面に届いていないことが予想された. 4.現場調査と内軌トングの調整 油が車輪踏面に届いていないことが考えられるため,レール塗油器の塗油状態およびレール頭頂面上の車輪 踏面位置を調査した.その結果,レール塗油器付近ではフィールドコーナー(FC)側から約 25~47mm を車輪 が通過することが判明した(表-2) .これに対し,レール塗油器から塗出される油は車輪踏面位置に届いてい なかった(写真-1) .そこで,レール塗油器塗出部分の内軌トングにブリキ板を取付け,車輪踏面近くまで油 キーワード. レール塗油器,内軌レール塗油手法,内軌側横圧輪重比,輪重・横圧測定. 連絡先. 〒110-8614 東京都台東区東上野 3-19-6 東京地下鉄(株)TEL 03-5489-9950 FAX 03-3837-7176. ‑987‑.

(2) 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月). Ⅵ‑494. 設定 1. 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0. 内 軌 側 横 圧 輪 重 比. 設定 2. 0.97. 0.65. が届くように塗油器を改良した.ブリキ板の長さは. 0.93. 0.94. 0.65. 0.67. 車輪踏面位置調査の結果をもとに,FC 側から 15mm 最大. とした(写真-2).この結果,内軌側横圧輪重比は. 平均. 平均 0.64 から 0.48 となり(図-3.1,3.2),塗油. 最小. 効果を大きくすることに成功した.. 0.33. しかし,ブリキ板は 1 か月程度で変形・損傷を受. 0.24. 0.21. 塗油器設定変更. 2011.6.20. 2011.6.22. N=264. N=262. け,部分的な目詰まりが生じた.ブリキ板の変形・ 2011.6.30 N=265. N:編成数. 図-2 塗油器設定変更前後の内軌側横圧輪重比の変化 表-2. 車輪踏面位置調査結果. 車両 FCからの踏み位置(mm) 車両 FCからの踏み位置(mm) 種別 始端 終端 踏み幅 種別 始端 終端 踏み幅. A社 C社 B社 C社 C社 B社 C社. 28 26 26 22 22 26 23. 48 48 48 46 45 45 47 平均(mm). 20 22 22 24 23 19 24. C社 A社 C社 B社 A社 B社 C社. 25 24 25 26 25 26 25 24.93. 47 45 48 47 48 47 47 46.86. 22 21 23 21 23 21 22 21.93. 損傷は車輪踏面位置の僅かな変化による車輪との 接触が考えられる.今後はブリキ板の耐久性・塗油 効果の持続性を継続監視するとともに,ブリキ板の 長さの最適化や,車輪と接触しないような極めて薄 い形状・耐久性のある素材を利用するなどの課題解 決が必要である.一方,より塗油効果を得やすいよ うな車輪踏面形状への変更などのアプローチも考 慮していく意向である. 5.まとめ. 1. 0.9. 内 軌 側 横 圧 輪 重 比. ①レール塗油器の塗出量調整では,塗油効果を上げ. 0.97 0.90. 0.8. 0.7. 0.87. ることができなかった.. 0.82. 0.76. 0.6. 最大. 0.64. 0.5. 平均. 0.4. 0.48. 0.49. 0.21. 0.23. 最小. 0.3 0.2. 0.29. 0.25. 0.1. 2011.9.20. 2011.10.15. 2011.11.4. 2011.11.19. N=276. N=205. N=277. N=205. 図-3.1. ③油を届かせるためのブリキ板の長さの最適化や, る改良検討および車輪踏面形状の変更などが,今. N:編成数. 後の課題である. 塗出された油. 内軌トング改良前後の内軌側横圧輪重比の変化. ゲ ー ジ コ ー ナ ー (GC). 踏み位置終端. 2011.10.15. 60. 分を改良したところ,塗油効果が増大した. ブリキ板に代わる形状・耐久性を有する素材によ. 内軌トング改良. 0. ②車輪踏面位置調査をもとにレール塗油器塗出部. 側 車輪走行位置(踏み幅). 内軌トング改良前 踏み位置始端. 度数. 40 20 0. N=205. 最大値 0.90. 平均値 0.64. 最小値 0.29. フ ィ ール ドコ ーナ ー(FC). 写真-1. 2011.11.4. 60. 側. 油の塗出状況調査 ゲ ー ジ コ ー ナー (GC). 内軌側横圧輪重比. 図-3.2. 踏み位置始端. 1.0. 0.9. 0.8. 0.7. 最大値 0.87. 0.6. 0.5. 0.4. 0.3. 0.2. 0. 踏み位置終端. 平均値 0.48. 最小値 N=277 0.21. 0.1. 20. 0.0. 度数. 内軌トング改良後 40. ブリキ板 フ ィールド コーナ ー(FC). N:編成数. 内軌トング改良前後の内軌側横圧輪重比の分布. 側 車輪走行位置(踏み幅). 写真-2. 側. 塗油器塗出部分の改良. 参考文献 1)桜庭:地下鉄におけるレール塗油,新線路,1996.5,pp.16-18 2)武藤ほか:地下鉄における新たなレール塗油手法の検証(その2) ,土木学会第 61 回年次学術講演会概要集, 4-236,2006.9 3)武藤ほか:効果的なレール塗油手法の検証,土木学会第 66 回年次学術講演会概要集,4-120,2011.9. ‑988‑.

(3)

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