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ボルト緊解機の改良

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Academic year: 2022

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ボルト緊解機の改良

西日本機械保線株式会社 機械部 平良一久 1・はじめに

保線作業における労働者の高齢化、若年労働者の不足も危惧され

る状況に有り作業方法の見直しによる効率化、機械化施工による省 人化などの各種施策に積極的に取組んでいく必要がある。当社にお いても、装置の機械化等に積極的に取組み、平成 11 年にデジタル 式のボルト緊解機を開発したが、ボルトの緩解力、油圧の残余圧力 によるトルク管理の不安定など油圧装置の限界による問題点が見出 されたため、油圧方式から電動方式を主体とした機構へ改良し、維

持向上を図った。本発表では、改良装置の概要とこれまでに得られた成果について紹介する。

2・改良前ボルト緊解機の現状と問題点

平成 11 年に開発したデジタルボルト緊解機は、双頭式で片側レール内外軌を油圧装置により同時に緊

解することができ締結防錆油もボルトに自動注油できる装置となっている。

この装置は使用上次の問題点が明らかになった。

(1) 緩解能力、ボルト頭座面と座金接触部の錆びつきなどにより、緩解力の限界を超える締結装置が存在 した。

(2) 塗油周期延伸を目的として採用になった不乾燥性防錆油(グリスタイプ)を運用する為に防錆油タ ンクにヒーターを設定したが冬季において加熱不足になるなど十分ではなかった。

(3) 締め付け時の回転速度と錆び等からなるネジ部等の抵抗から所定締結トルクに収まるまで時間を要す る場合が発生した。

3・改良概要

現状緊解機の油圧方式の弱点を補える方式としては電動方式が考えられるが、発電機重量の面から敬遠 されていた。現状緊解機開発後に軽量で強力な発電機が市場に出ており検討した結果、電動方式の採用が 可能と判断し、防錆油の注油力向上、トルク管理、施工性の向上を目指して次の項目の改良に着手した。

(1) 緩解能力の向上。

(2) 外気温に左右されない防錆油保温の管理。

(3) 安定した締め付けトルクの確保。

4・改良緊解機の機能

油圧方式から電動方式に変更したことにより、すべての構成部品が一新された。

現場持ち込みに関しては、前回同様ロックピンによる組み立て式としている。

(1) ボルト緊解装置部

締結ボルトを緩解、緊締するのに電動式レンチを採用した。動力源としてポータブル発電機の並列 運転で必要電源を確保している。緩解力の向上と締め付け精度向上の為に緩解時のインパクト作動と 出力軸に設置した減速機による構造とし、緊締時には締め付け精度向上の為にインパクトが作動しな いよう工夫(特許申請)している。

また、運搬時の単体重量の軽減と試験の結果から左右の緊締時の影響が互いに及ばないように左右分 割式としている。

(2) 注油装置部

注油装置は防錆油タンク、エアーコンプレッサー、ヒーター、エアーブースター、配管により構成 されている。

「締め」の工程に入ると防錆油の噴射を自動的に行う。噴射用ノズルは移動時に締結装置に干渉しな いように噴射時期のみ自動的に下降するようになっている。また、今回はヒーターをタンク以外に配 管類にも採用した事により高粘度の防錆油に対しても、安定した注油が出来る機構としている。但し、

増し締めの工程では注油は行われない構造としている。

キーワード 締結装置整備作業・ボルト緊解機・防錆油・トルク管理

連絡先 〒530-0012 大阪市北区芝田2丁目2番13号 ℡ 06-6359-0277

組立完成図

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

‑297‑

IV‑149

(2)

(3) トルク管理制御装置

電動モーター基部に設置した圧力センサーにより締結ボルトに対する反力を検知する構造になって いる。締め付け時のトルクを任意に設定しておき、規程トルクに達すると自動的にモーターへの電源 供給を停止し、緊締作業を終了する。このときのトルク表示は、表示機のデジタルモニターに表示さ れ、トルク不足の場合は規程値内に収まるまで自動的に、締め付け動作を繰り返す。また、トルクデ ータは、一度制御器内部のメモリーに記録され、作業終了後にCFカードに記録する。

以上の各装置が、1 回のボタン操作で自動的に一連の動作(図-1)として締結ボルト緩解、注油、

緊締、トルク表示、記録が行われる。

5・改良機の問題点と改善策

緩解に関しては高出力モーターと 減速機、インパクト機能によりほぼ 解決できたが、緊締に関しては、モ ーターの回転速度、締結ボルトの抵 抗によるタイミングなどを考慮し、

締め付け時に働く反力の影響を双頭 式の互いのセンサーに影響を及ぼさ ないように、左右緊解機部の独立、

緊解機全体の緊締トルクに対するヒ ネリを防ぐ為にレールガイドローラ ーの設定を行ったが完全ではなく、

緊締時に左右モーターの動作タイミ ングをずらす事により、互いのセン サーに負荷のかからないようにプロ グラムを変更した。この事により緊 締時に発生する締め直し時間が当初 より短縮された。

6・効果

電動方式と油圧方式の比較は、計算上緩解能力で約8倍有り緊締時においては、細かいプログラム設定 とガイドローラーの設定、緊解機部の左右独立構造にした事により締め付け精度が向上した。この事によ り作業延長が約150m/h→180m/hと約2割ではあるが施工能力の向上が確認できた。また電気ヒーターを タンク以外の配管にも採用した事により防錆油の保温、加熱時間の短縮等により季節に関係なく安定した 注油が出来るように成った。

7・今後の課題

(1) 一夜の作業延長の延伸を図るために作業の1工程を現状の13秒から10秒以内まで短縮する必要が

有る。

(2) 電動になった事による構造的、細分化した事により最重量ユニット同士では約155kg→70kg

と約55%の軽量化に成功しているが、現状の運用方法である門扉からの持込では今後一層の軽

量化に努める必要がある。

(3) 前回からの懸案事項である印付けは、装備したコンプレッサーを活用する装置を開発中である。

8・ おわりに

前回の油圧方式の開発、改良に伴い得られたデータ、またそれを踏まえて今回開発された電動方式は、

締結整備作業のみではなく、締結装置に関する各作業に威力を発揮する機械であると考える。

また今までに油圧方式、電気方式で得られたデータは今後の各種機械開発に役立つものと考える。

今回の開発に関して、関係各所の多大なるご理解とご協力により、一応の成果を収めることが出来た事 に感謝致しますと共に、今後とも、常に創意工夫の気持ちを忘れず業務に励んでいきたい。

自動制御

規定トルクに達しないかオーバーし たとき警報音鳴動

No

緩解 移動 スタートボタン押下

締付け

緩め 停止

規定トルク

警報 締め

防錆油噴射

締め

記 録 Yes

No

No

Yes

規定トルク確保

インパクト作動

・約6回転緩めて(約70mm)停止

左右のボルト緩解終了停止後自動的に締付け開始

締付け動作中に約7CC噴射

トルクが2.94N・mで締付け停止

規定トルク

3回

内は油圧方式の動作フロー

1:動作フロー

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

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参照

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