フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末を用いた ローカーボンハイパフォーマンスコンクリートの施工事例
安藤ハザマ 正会員 ○齋藤淳 曽原秀規 川添陽生 正会員 新居秀一 川崎市上下水道局 黒子圭二 坂本昌一 住友大阪セメント(株) 正会員 齋藤尚 昭和エスオーシー(株) 西澤清志 日本サステイナビリティ研究所 フェロー会員 堺孝司
1.はじめに
コンクリートの
CO
2排出量を削減するとともにひび割れを抑制した高耐久コンクリートの実用化を目指し,結合材の質量割合をポルトランドセメント
60%,フライアッシュ 20%,高炉スラグ微粉末 20%としたローカ
ーボンハイパフォーマンスコンクリート(以下,LHC)の開発を進めてきた1).本稿では,「長沢浄水場第
3
沈でん池・活性炭接触池設置工事」(以下,長沢)および「生田配水池等更新工 事」(以下,生田)に適用したLHC
のレディーミクストコンクリート工場(以下,生コン工場)における配合 設計ならびに3
シーズン(標準期:6月20
日,夏期:7月7
日,冬期:1月21
日)の施工結果を報告する.2.配合設計
2.1 コンクリートの仕様
LHC
の適用部位は均しコンクリートであり,施工時期は長 沢が標準期および夏期,生田は冬期であった.どちらの工事 に対しても,昭和エスオーシー府中工場で製造したLHC
を 適用した.コンクリートの仕様は,粗骨材の最大寸法20mm,
呼び強度
18,荷卸し時のスランプ 12±2.5cm,荷卸し時の空
気量
4.5±1.5%であった.
2.2 配合条件
使用材料を表-1に,配合条件を表-2に示す.
生コン工場から現場までの運搬時間はどちらの工事にお いても
40~60
分と予想された.LHCに関する既往の知見1) を考慮し,場外運搬によるスランプおよび空気量のロスとし て,それぞれ4cm,0.5%を見込むこととした.
配合強度は生コンの規格(JIS A 5308)により,23.0N/mm2
(材齢
28
日,標準偏差2.5N/mm
2)とした.水セメント比(W/C)を定めるために,水セメント比を
45,
55
および65%とした 3
種類の試験体を作製し圧縮強度を測定した.測定数が少ないことから,信頼度
95%の信頼区間に
おける圧縮強度の下限値(f95)を求め,セメント水比(C/W)の関係を式(1)のように定めた.
f
95=20.6×C/W-6.5 (1)式(1)より,
23.0N/mm
2の圧縮強度が得られる水セメント 比は,69.8%であった.しかし,コンクリート標準示方書施キーワード 低環境負荷コンクリート,CO2削減,フライアッシュ,高炉スラグ微粉末,LHC 連絡先 〒305-0822 茨城県つくば市苅間515-1 安藤ハザマ 技術研究所 TEL:029-858-8813
表-1 使用材料
種類 記号 品質
普通ポルトランドセメント C 密度:3.15g/cm3 高炉セメント B 種 BB 密度:3.04g/cm3 フライアッシュⅡ種 FA 密度:2.29g/cm3
細骨材
硬質砂岩 S1 表乾密度:2.65g/cm3 石灰石 S2 表乾密度:2.65g/cm3 山砂 S3 表乾密度:2.58g/cm3
粗骨材
青梅産 G1 表乾密度:2.67g/cm3 秩父産 G2 表乾密度:2.69g/cm3
AE減水剤 ― 標準期,冬期:標準形 夏期:遅延形 AE剤 ― フライアッシュ用
表-2 配合条件
項目 条件
粗骨材最大寸法 20mm 水セメント比 65.0%
スランプ
練上り時 16.0±2.5cm 荷卸し時 ※1 12.0±2.5cm
空気量 練上り時 5.0±1.5%
荷卸し時 ※1 4.5±1.5%
※1:練上りからの経過時間40分~75分 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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工編にて,水セメント比の上限は
65%と定
められていることから,65%を採用した.2.3 配合選定
選定した配合を表-3に示す.配合選定は,
以下の手順で行った.まず,試験練ミキサ を用いて,標準期配合の試験練を実施した.
試 験 練 の 結 果 は , 練 上 り 時 の ス ラ ン プ
15.0cm,空気量 4.5%,材齢 28
日圧縮強度26.6N/mm
2であり,配合条件を満足していた.そこで,実機ミキサで練り混ぜたコンクリートをトラックアジテ ータ車に積み込み,スランプおよび空気量の経時変化を測定した.
測定結果を表-4に示す.練上りからの経過時間
45~75
分の間,荷卸し時のスランプおよび空気量の仕様を満足していることが 確認できたため,この配合を標準期配合とした.夏期および冬期 の配合は,当該生コン工場で標準化されている配合や
LHC
に関 する既往の知見1)を考慮して選定した.3.実工事における施工および品質管理
長沢における
LHC(標準期配合)の打込み状況を写真-1
に示 す.貧配合のコンクリートであることから,普通ポルトランドセ メント(以下,N
コン)の場合にはポンプが閉塞する場合があっ たが,LHC は粉体量が増加するため閉塞することなく圧送でき た.よって,ポンプ圧送性はN
コンより向上したと考えられた.締固め,仕上げ作業は
N
コンと同様に行うことができた.た だし,冬期に金コテ仕上げを行う場合は,作業遅延が予想された.また,練上り時と荷卸 し時に採取した試料で,
スランプ,空気量および 圧縮強度の試験を行った 結果を表-5に示す.スラ ンプおよび空気量は施工 時期にかかわらず良好な 品質が得られた.圧縮強 度は,材齢
3
日の型枠取外しまで試験室あるいは現場にて封かん養生した後,標準水中養生を行った.材齢初期にあえて厳しい環境で 養生したが,概ね良好な結果が得られた.一方で,気温が高く日射も強い場合には湿潤養生が不足すると強度 低下の危険性があること,気温が低い場合には強度発現が遅くなることに注意が必要であることが確認できた.
4.おわりに
2
工事合計で740m
3のLHC
をN
コンの代わりに打設した.これにより,CO2排出量を60t
削減2)できた.参考文献
1)たとえば,齋藤淳,堺孝司,鈴木康範,福留和人:フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末を用いたロー
カーボンコンクリートのひび割れ抵抗性,コンクリート工学年次論文集,Vol.35,No.1,pp.1537-1542,20132)土木学会:コンクリート構造物の環境性能照査指針(試案),コンクリートライブラリー125, pp.14-16, 2005
表-3 コンクリートの配合
配合名 W/B (%)
s/a (%)
単位量(kg/m3)
水 結合材 細骨材 粗骨材 W C BB FA S1 S2 S3 G1 G2
標準期
65.0 48.0
165 90 113 51 358 268 261 780 196
夏期 168 92 115 52 355 268 258 774 196
冬期 165 90 113 51 358 268 261 780 196
表-4 経時変化試験結果(実機ミキサ)
経過時間 スランプ (cm)
空気量 (%)
コンクリート 温度 判定
0分 18.0 5.0 28℃ 合
30分 16.0 4.2 29℃ ―
45分 13.5 3.9 29℃ 合
60分 12.0 3.6 30℃ 合
75分 10.5 3.1 30℃ 合
写真-1 LHC 打込み状況 表-5 実施工における試験結果(3 シーズン)
配合
打設日 最高 気温
スランプ(cm) 空気量(%) 28日圧縮強度(N/mm2) 練上り 荷卸し 練上り 荷卸し 練上り 荷卸し 標準期 34℃ 18.1
(19.5~17.0)
12.9 (14.5~11.5)
5.2 (6.1~4.5)
4.7 (5.4~4.1)
22.4 (23.2~21.3)
19.5 (20.7~17.4) 夏期 28℃ 18.8
(21.0~18.0)
12.6 (14.5~11.0)
5.2 (5.5~4.5)
3.9 (4.5~3.3)
23.4 (23.9~22.8)
22.0 (22.7~21.0) 冬期 5℃ 18.4
(20.0~17.0)
14.0 (14.5~13.0)
5.4 (6.2~4.5)
4.3 (4.9~3.1)
24.9 (25.6~24.3)
25.0 (25.1~24.9)
※上段:平均値,下段:(最大値~最小値)
土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)
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