前立腺癌の局所進展に関わる因子: 神経浸潤とリン パ行性転移の分子生物学的解析
著者 越田 潔
著者別表示 Koshida Kiyoshi
雑誌名 平成13(2001)年度 科学研究費補助金 基盤研究(C) 研究成果報告書
巻 2000‑2001
ページ 9p.
発行年 2002‑03
URL http://doi.org/10.24517/00049349
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止
http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
金 沢 大 学
前 立 腺 癌 の 局 所 進 展 に 関 わ る 因 子 :
神 経 浸 潤 と リ ン パ 行 性 転 移 の 分 子 生 物 学 的 解 析
研 究 課 題 番 号 : 1 2 6 7 1 5 2 3
平 成 1 2 〜 1 3 年 度 科 学 研 究 費 補 助 金 研 究 成 果 報 告 書
平 成 1 4 年 3 月
研 究 代 表 者 越 田 潔
;医学系研究科・がん医科学 (金沢大学大学院医学系研究科.
(基盤研究C今
助 教 授
・集学的治療学)
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研 究 課 題
前 立 腺 癌 の 局 所 進 展 に 関 わ る 因 子 : 神 経 浸 潤 と リ ン パ 行 性 転 移 の 分 子 生 物 学 的 解 析
研 究 組 織
研 究 代 表 者 研 究 分 担 者
越 田 横 山
横 山 彦
潔修邦 (金沢大学医学部
(金沢大学医学部 (金沢大学医学部
助教授)
講師)
講師)
(金額単位:千円)
交 付 決 定 額 ( 配 分 額 )
間 接 経 費 合 計 直 接 経 費
平 成 1 2 年 度 平 成 1 3 年 度
00 2,SOO
900
2,SOO
900
3,400
総 計 3,400
01
研 究 発 表
(1)論文発表
K・Koshida,T・Imao,O.Yokoyama,K・Yokoyama,A,Mizokami,M.
Namiki:Comparisonoftwoinvivomodelsforpro、atecancer:
orthotopicandintratesticularinoculationofLNCaPorPC‑ScelIs.
submittedtoJUrol。
(2)学会発表
KoKoshida,T・Imao,O・Yokoyama,K.Yokoyama,A,Mizokami,M.
Namiki:Comparisonoftwoinvivomodelsforpro、atecancer:
。rthotopicandintratesticularinocuiationofLNCaPOrPC‑3celis.
26thWORLDCONGRESSOFTHESOCIETEINTERNATIONALE
D、UROLOGIE
(平成14年9月予定)
研 究 成 果
実 験 1 : ヒ ト 前 立 腺 癌 転 移 モ デ ル の 確 立
【材料と方法】ヒト前立腺癌細胞株:106個のLNCaPあるいはPC‑3を SCIDマウスの精巣および前立腺に注入し、腫瘍の増殖能および転移能に ついて検討した。
【結果】LNCaPにおいてはintratesticularmodelのほうが高い造 腫瘍能、リンパ節転移能を示した。一方PC‑3細胞では両モデルとも高い 造腫瘍能、リンパ節転移能を示した(Tablel)。
Tablel
Incidenceoflymphnodemetastasisl2weeksafterimplantation
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3
実験2:Invitroにおけるアンドロゲンの影響
【 材 料 と 方 法 】 こ れ ら の 細 胞 株 に お い て 種 々 の 増 殖 ・ 転 移 関 連 因 子 の 発 現 に対するアンドロゲン(DHT)の影響についてRT‑PCR法を用いて検討し
た。
【結果】LNCaPにおいてはDHTの添加によりintegrinqV,VEGFの発
現 の 増 強 が 認 め ら れ た が 、 P C ‑ 3 に お い て は 変 化 は 認 め ら れ な か っ た (Figurel)。
実験S:Invivoにおけるアンドロケンの影響
【材料と方法】invivoにおけるアンドロゲン(DHT)の影響について検討 するために、精巣移植モデルにおいて増殖・転移関連因子の発現を経時的
に検討した。
【結果】LNCaPにおいては移植後3日までintegrinaV,VEGFの発現 の増強が認められたが、PC‑3では移植後ア曰までその発現は継続した。
VEGF‑Cの発現は、PC‑3では14日まで持続していたが、LNCaPで はほとんど認められなかった(Figure2)。
実験4:Invivoモデルにおける移植腫瘍および転移巣での転移関連因 子 の 発 現
【材料と方法】intratesticularinoCulationmodel,orthotopic inoculationmodelにおける前立腺、精巣移植腫瘍およびそれらのリン パ節転移巣での転移関連因子の発現を検討した。
【結果】転移関連因子(uPAsystem,MMPs)はPC‑3において強く発
現しており、LNCaPにおいては細胞接着因子であるE‑cadherinの発現 が認められた。VEGF‑Cの発現は、PC‑3では移植腫瘍、リンパ節転移
巣とも増強していたが、LNCaPではほとんど認められなかった(Figure
実験5:LNCaPにおけるアンドロゲン非依存性の獲得
【材料と方法】精巣移植腫瘍の一部を雄、雌マウスの背部皮下に移植し、
造腫瘍能を検討した。
【結果】雄背部で増殖が始まると、除睾術を施行してもその増殖速度に変 化は認められず、また雌背部においても移植後数カ月で造腫瘍能が確認さ れた(Figure4)。
実験6:ヒト前立腺癌細胞株におけるneurotrophicfactorの発現
【材料と方法】ヒト前立腺癌細胞株(LNCaP,PC‑3,DU145,TSUPR) を用いてneurotrophicfactor:NGF,bFGF,NTSのmRNA発現につ いて検討した。
【結果】NGFはすべての細胞株で発現が認められたのに対し、bFGFの発 現はPC‑3,DU145,TSUPRで、またNT3の発現はPC‑3,DU145で 強い傾向にあった(Figure5)。
実験7:orthotopicmodelにおけるヒト前立腺癌細胞の神経浸潤
【材料と方法】orthotopicinoculationmodelを作製し、マウス前立 腺内の神経組織との関わりについて組織学的に検討した。
【結果】DU145のみに神経組織への浸潤像が観察された(Figuree)。
一方、臨床検体を用いた免疫組織化学的検討では、こられのfactorのな かでNGFの強発現が神経組織周囲へ浸潤する癌細胞において確認された。
またリンパ節転移の有無とangiogenicfactor(VEGF‑C)の発現との 間 に 有 意 な 相 関 は 認 め ら れ な か っ た 。 以 上 の 結 果 か ら 前 立 腺 癌 の 局 所 進 展 す な わ ち 神 経 浸 潤 お よ び リ ン パ 節 転 移 に 関 わ る 因 子 と し て 動 物 実 験 に お い て い く つ か の 因 子 の 関 わ り が 想 定 さ れ た 。 し か し こ れ ら の 因 子 の 臨 床 検体における関与は必ずしも有意とは言えず、今後の検討課題と考えられ
た。
5
7 6 5 4 3 2 1 M 7 6 5 4 3 2 1 M
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V E G F
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LNCaP
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一 ‑ 一 〜 − − − ● ← − F = … −●争一一一一一一マーーマー
4 3 2 1 M 4 3 2 1 M
V E G F V E G F
LNCaP
PC‑3 Figure2
C h a n g e s i n
■e x p r e s s i o n o f a n g i o g e n e s i s ‑ r e l a t e d g e n e s f o l l o w i n g i n t r a t e S t i c u l a r
M 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0
−
V E G F
VEGF‑C
IntegrinqV
u P A E
u P A R
MMP‑1
MMP‑2
Figure3
Expressionofmetastasis‑relatedgenesinorthotopicorintratesticular xenograftsofhumanprostatecancer.Lanesland2:LNCaPandPC‑3invitlo,lanes3 a n d 4 : L N C a P i n p r o s t a t e , l a n e s 5 a n d 6 : P C ‑ 3 i n p r o s t a t e a n d i t s l y m p h n o d e m e t a s t a s i s , l a n e s 7 and8:LNCaPandPC‑3intestis,lanes9andlO:LNCaPandPC‑3inlymphnodemetastasis.
MateriaIsfromtheinvivomodeIsweretakenatl2weeksafterimplantation.
70000
頚
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ヘ ム
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D a y s a f t e r t r a n s p l a n t a t i o n
Figure4GroWthcurvesofsubcutaneousxenograftstransplantedfromtesticular xenograftsofLNCaP.Male(D)andfemale(A)mice.Cast「訓onwaspeiformedatthetime
indicatedarrows.
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1 2 1 2 s 4
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