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ドリアン(Durio zibehinus Murr.) 種子の加熱による抗酸化性およびポリフェノールの変化と主要な活性物質

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Academic year: 2021

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ドリアン(

fore, serve as a s

M urr.)種子の

加熱による抗酸化性および

ポリフェノールの変化と主要な活性物質

坂 裕 子

Abstract

Total polyphenol contents and antioxidative activities of the non-edible parts, seed and peel,of durian were analyzed and compared with that of edible parts. The antioxidative activities were evaluated based on the ability of the fruit extracts (seed,peel and pulp)to scavenge DPPH radicals. Among them,durian seed showed the highest antioxidant potential on the basis of DPPH radical-scavenging assays. Total polyphenol content and DPPH radical-scavenging activity of the durian seeds after heat treatment were maintained at 90∼100% relative to the control (before heat treatment). The main active constituents of durian seeds determined by HPLC were (-)-epicatechin and procyanidin B2, both of which showed high radical-scavenging activity. (-)-Epicatechin and procyanidin B2 may, therefore, contribute to the antioxidant capacity of durian seeds. The use of durian seeds could,

there-報告してい る 。また、To

ignificant source of antioxidants.

1.はじめに 近年、廃棄物利用の一環として普段棄ててしま う部位に新たな利用価値を見い出すことが、見直 されてきている。熱帯産果実の非可食部は、これ まであまり成 研究がされておらず、未知の機能 性成 が含まれている可能性がある 。ドリアン

(Durio zibehinus Murr.)は、パンヤ科に属し、 独特の形と強烈な芳香を放つことから 果実の王 様 と称される東南アジアの代表的な果実であ る 。果実は5片に かれ、各片に2∼6個の種子 を包む乳白色の仮種子がある。独特の臭気をもつ ことから、今までに香気成 についての報告 は あるが、成 、特に抗酸化成 についての報告は 少ない。Haruenkit らは、ドリアンをサラックお よびマンゴスチンと比較して、ドリアン果実は抗 酸化性が高く、栄養的にも優れ、抗酸化成 とし てケルセチンとコーヒー酸が多いと 酸化性および ポリフェノール含 ledo らは、ドリアンの品種別(5 品種)の抗酸化性の比較で、モントーン(Mon Thong)種のポリフェノール含量が高いと報告し ている 。しかし、種子の抗酸化性の報告は見当た らない。ドリアンの種子は加熱(ゆでるか焼く) することで、食することができるが 、現在、種子 の大部 は廃棄されているのが現状である。そこ で、この研究では、天然抗酸化物質の利用の観点 から、ドリアン種子の加熱による抗 可 食部(果実)に け、それぞ 量の変化と、抗酸化性に寄与し ている活性物質の単離を行うことを目的とした。 2.実験方法 1)実験材料 札幌市内で入手したタイ産のドリアン(モン トーン種)を非可食部(種子、外果皮)および ザーバッグ内、−20℃の冷凍 れ−50℃、72時間凍 結乾燥した。凍結乾燥サンプルはポリエチレン製 のフリー の調製 凍結乾燥した各サンプル 庫で保管し た。 2)試料 前に は 用直 フードミ

Du

rio zibehin

us

藤女子大学紀要,第 49号,第Ⅱ部:71-75.平成 24年. Bull. Fuji Women s University, No.49, Ser. II:71-75. 2012.

Yuuko MATSUSAKA 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科

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ル(Teskom:TML 1000)で 30秒間 砕後、電 子天 で 0.1g を正確に 量し、20mL の 80%エ タノールを加えて、30℃の恒温槽で 24時間抽出 した。抽出後、No.4の沪紙で沪過後、沪液を 80% エタノールで 20mL に定容した。この抽出液を適 宜希釈し、DPPH ラジカル消去活性およびポリ フェノール含量を測定した。加熱の実験では、凍 結乾燥後 砕したサンプルをアルミホイル皿に入 れ、それぞれオーブンで 120℃、160℃、180℃で 30 間加熱後、全体の温度が下がったことを確認後、 0.1g ずつ 量した。前述の操作と同様に 80%エ タノールで抽出後 DPPH ラジカル消去活性およ びポリフェノール含量を測定した。 3) DPPHラジカル消去活性と ポリフェノー ル含量 DPPH ラジカル消去活性の測定は福沢ら の 方法に従った。すなわち、試料を添加したエタ ノール溶液2mL、0.1M の酢酸緩衝液(pH 5.5) 2mL、0.5mM の DPPH エタノール溶液1mL を混合した後、30 間反応後、減少した DPPH 量 を日立 光光度計 U-2001型を用いて 517nm の 吸光度を測定した。試料溶液の代わりにエタノー ル溶液を加えたものをコントロールとして調製し た。ラジカル消去活性(%)の算出は次の式に従っ た。 DPPH ラジカル消去活性(%)=100−(サン プルの吸光度/コントロールの吸光度×100) 予め標準物質の Trolox で検量線を作成して、 凍結乾燥物1g 当たりの Trolox 相当量を DPPH ラジカル消去活性とした。測定はいずれも3反復 行い、その平 値と標準偏差を示した。 ポリフェノール含量は、Folin-Denis法 で測 定した。すなわち、一定濃度に希釈した試料溶液 1mL に Folin-Denis試薬(2倍希釈液)1mL を 加え混合し、3 後に 10%炭酸ナトリウム溶液1 mL 加えて混合し、1時間静置後、760nm におけ る吸光度を測定した。予め標準物質の没食子酸で 検量線を作成して、凍結乾燥物1g 当たりの没食 子酸相当量をポリフェノール含量とした。測定は いずれも3反復行い、その平 値と標準偏差を示 した。 4) 薄層クロマトグラフィー(以下、TLC) 析 TLC 析は以下の条件で行った。 プレコート TLC 板:Silica gel60F 254 0.25 mm or 0.5mm 厚(Merck) スポットの検出には UV ランプ(254nm or365 nm)を用いた。 5) 高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC) 析 HPLC 析は以下の条件で行った。 カラム:Inertsil-PREP-ODS 6.0×250mm、 移動相:20%CH CN/0.1% formic acid 流 速:1.0mL/min 検 出:UV 254nm 6) 抽出と 画 市販のドリアン(モントーン種)種子 40g を5 倍量のメタノールで2回抽出し、抽出液のメタ ノールを減圧留去して得た抽出物(2.1g)に酢酸 エチルと水を加えて振盪することによって酢酸エ チル画 (0.34g)を得た。 7) 酢酸エチル可溶性画 の活性物質の 離 ドリアン種子の酢酸エチル可溶性画 (0.34g) をゲル沪過カラムクロマトグラフィー(Sephadex LH-20、φ3×30cm)に供し、メタノールで 20mL ずつ 画した(Scheme 1)。 画後、TLC(溶媒: クロロホルム:メタノール:ギ酸=12:5:1)に 供して、スポットのパターンより、Fr.1∼17をま とめて DS1、Fr.18∼20をまとめて DS2、Fr.21∼ 30をまとめて DS3とした。次に、この DS1∼3の

Scheme 1 Fractionation of ethyl acetate soluble parts obtained from durian seed extracts. 72 リ オ ク け る つ め て あ

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画 の DPPH ラジカル消去活性を測定した。そ の結果、DS2および DS3が高いラジカル消去活 性を示したので、両者を HPLC 析に供した。 3.結果と 察 1) DPPHラジカル消去活性と ポリフェノー ル含量 ドリアンの3部位(種子部、外果皮部、果実部) の 80%エタノール抽出液のポリフェノール含量 と DPPH ラジカル消去活性試験の結果をそれぞ れ Fig.1および Fig.2に示した。ドリアン種子部 のポリフェノール含量は 28mg/g DW で、果実部 (3mg/g DW)および外果皮部(5mg/g DW) に比べて高い値となり、同様の結果が DPPH ラ ジカル消去活性からも得られた。ドリアン種子部 のラジカル消去活性は 199μmol/g DW で、果実 部(7μmol/g DW)および外果皮部(29μmol/ g DW)に比べて顕著に高い値となった。次に、ド リアン種子は加熱することで食することができる ので、加熱温度による抗酸化性の変化を調べ、Fig. 3および Fig.4に示した。加熱後のポリフェノー ル含量は未加熱(30℃)に比べ、120℃では 100% 保持され、160℃でも 90%が保持された。同様の結 果が DPPH ラジカル消去活性でもみられた。今 回の実験結果より、ドリアン種子は、一般の加熱 温度では十 にポリフェノール含量と DPPH ラ ジカル消去活性を保持できることが明らかとなっ た。このことから、従来大部 が廃棄されてきた ドリアン種子の天然抗酸化物質として食品加工へ の有用性が示唆された。 2)活性物質の単離 ドリアン種 子 抽 出 物 を カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フィーで 画後、高い DPPH ラジカル消去活性 を示した DS2および DS3の 析を行った。初め

Fig.1 Polyphenol content of durian extracts (mean±SD, n=3).

Fig.2 DPPH radical scavenging activity of durian extracts (mean±SD, n=3).

Fig.3 Polyphenol content of 80% ethanol extracts of durian seed after heat treatment (mean±SD, n=3).

(4)

に DS2画 を逆相 HPLC に供した(Fig.5)。その 結果、標準物質の保持時間(t )との比較により活 性物質として(−)-エピカテキン(白色 末 40 mg、t 26.5min)を同定した。 次 に、DS3画 も DS2画 と 同 様 に 逆 相 HPLC に供した。複数のピークがみられたので、 取 TLC に 供 し(溶 媒:ク ロ ロ ホ ル ム:メ タ ノール:ギ酸=12:5:1)、R 値 0.55のバンド より白色 末 20mg を得た。この単離化合物は質 量 析(ESI-MS)により、 子量 577を示した (Fig.6)ところから(−)-エピカテキンの二量体 のプロシアニジンB2(PB2)と同定した。 ドリアン種子の酢酸エチル画 より単離した活 性物質の(−)-エピカテキンおよびプロシアニジ ンB2は既知の化合物であるが、ドリアン種子の 成 としては初めての報告である。(−)-エピカテ キン、プロシアニジンB2はコーヒー酸よりも高 い DPPH ラジカル消去活性を有するので 、ド リアン種子の酢酸エチル画 の抗酸化性に寄与し ていることが示唆された。 近年、カテキン、プロシアニジンの持つ生理機 能性は注目されており、抗酸化性 のほかに抗腫 瘍性 、脂質代謝改善作用 なども報告されてい る。ドリアン種子には、(−)-エピカテキンおよび プロシアニジンB2が含まれており、加熱によっ ても安定なので、食品加工にも利用できることが 明らかとなった。廃棄物利用の観点からも天然抗 酸化剤としての有用性が示唆された。 4.要約 可食部(果実)に比べてポリフェノール含量お よび抗酸化能が高かったドリアン種子に含まれる ラジカル消去活性物質の単離および加熱による変 化を調べた。 1) パンヤ科のドリアン種子のメタノール抽出物 の抗酸化性を DPPH ラジカル消去活性を指標 に測定したところ、酢酸エチル可溶性画 に高 いラジカル消去活性がみられた。酢酸エチル可 溶性画 より、逆相 HPLC により、活性物質と して、(−)-エピカテキンを同定し、さらに 取

Fig.4 DPPH radical scavenging activity of 80% ethanol extracts of durian seed after heat treatment (mean±SD, n=3).

Fig.6 ESI-mass spectrum of PB2.

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TLC および質量 析により、プロシアニジンB 2を同定した。両者は既知物質であるが、ドリ アン種子の成 としては初めての報告である。 2) ドリアン種子は加熱することで食することが できるので、加熱温度による抗酸化性の変化を 調べた。その結果、一般の加熱温度では、十 にポリフェノール含量および DPPH ラジカル 消去活性を保持できることが明らかとなった。 3) 従来大部 が廃棄されているドリアン種子の 天然抗酸化剤としての有用性が示唆された。 5.謝辞 本論文をまとめるにあたり、御指導、御助言を 頂きました、北海道大学大学院農学研究院の川端 潤教授に心から深謝いたします 参 文献 1) 大東 肇, がん予防に期待される(亜)熱帯東南 アジアの食材とその活性成 , 日本農芸化学会 誌, 76, 460-462(2002). 2) 平 宏和 監修, 食品図鑑, (女子栄養大学出 版部)pp.254-255(2006).

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参照

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