籾米の酵素及び発芽に及ぼす冷凍の影響
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(2) . 北 海道 学 婆大 学紀 要 (第2部). 第 4巻 第 2号. 昭和28年7月. 籾米の酵素及び発芽に及ぼす冷凍の影響 渡. 部. 俊・. 夫. 北海道学馨大学岩見沢分教場化学研究室. i Toshi ・ 1g on thc Enzymes o \Vatanabe: lnanence of Freez ion 。 f Ri c e Seeds a l ld the Germinat ・. 緒. 言. ドライアイスi ノ こよって傑件を変えた籾米の発芽を無処 理のものと比較 し、 此を酵素作用力の面から研究した結 果について報告する。 0C) や液体塞気 筆者は、 ドライアイス (昇華点 -79 0C)によって冷凍した場合の籾米の抵抗力と (沸点-190. 1. その発芽において受ける影響を調べた結果、 発芽に関係. する諸酵素が最大の作用力を持つ時期、 即ち発芽処理後. 1~2週の間において冷凍処理のものは無処理のものに比 べて生長の良い事を認めた -20oC 以下といったかな. りの低温をぐずる事により、 籾米について その発芽力の増 ) } 大1 、 馬鈴薯についてそ の収穫量の増大2 、 を認めた報 告もあるので、 冷凍処理籾米の収穫迄の結果については 目下水 鋤こおいて成育試験中である。 従って此の報告で は発芽に対する影響は簡単にのベ、 冷凍の直接の影響に ついての詳細は成育試験完了を僕って別に発表する予定 である。 級米の発芽力についてはその貯蔵したものについて、. バーオキシダーゼの力の強いものは大であるという三須 )があり、 今日一般的に発芽力は酵素量の如 氏等の報告3. 何、 特に呼吸酵素の多少により左右されるものとされて いる。 そこで冷凍処理のものと無処理のものについてカ タラー ゼ、 アミラー ゼの消長を比較しその成長と対照し. てみた。 叉此に附随しての問題であるが、 B‘ cn 、 IN 両 , opAR )が小麦やひまわりを用いて研究した発芽中の各酵 )5 氏4. 賓. 験. 1 方. 法. i , 試験材料 本 実験に使用した籾米は、 梗と して中 生栄光、 方吉′ (正式の品種名ではなく一般的の呼称であ. り、 発芽率余り良好ならずとされている。) のや 晩生 の二品種、 濡として は晩生品種の功濡である。 i i . 冷凍処理 大型広ロ魔法瓶中に ドライアイスを敷 きその上に試料をのせ、 更に ドライアイスでお い22時 間後にとり出した。 ドライアイスの昇華点は -79oC で ある。 i i i . 水分定量 試料約 5g(206粒弱) につき此を ,o5 00C に3時間加熱、 後此を 磨細 し再び恒量となる迄 ~11 ,. 0C に加熱・ 105~11 0 して、 その初めよりの減量をもって 水分含量とLた。 i v . カタラーゼの測定 乾燥籾米の場合及び発芽籾米. の場合、 夫々の試料lo鰐粒を少量宛の蒸留水と共に膳細 0o し5 c c c .(1粒 当 り} を C で . , とし漉過、 後その 5c ,. 璽慈 盆 :凝議 ふ 濯ぎ 』講習 N 『 島豊富 の 液で滴定 し、 その値を盲検の値から差引き、 カタラー ゼ により分解された H209 に相当 .する K ずno. の c c . .数 で示した。. ▽ ,.ァミラーゼの測定 乾燥籾米の場合及び発芽籾米. 0 0粒を少量宛の 帯 「燐酸緩衝液 の場合・ 夫々の試料1. 8) と共に磨細 し5 00 (PH 6 c c c , . , . ,とし、 漉過後その 50 o 4 0 0 C 3 5 を で 分間ー% 澱粉液 cc . に作用させ その. 素の作用の消長、 並に呼吸酵素と加水分解酵素の賊活さ. . 、 2c 1 粒当り) について ScHAFFER 氏法G )により測 c . . .(0. たo 、. 定 した。 i ▽ . 発芽試験 発芽は処理後24時間目から発芽器中に 27~28℃ で行つた。. れる順序について研究を行ったが、 同様の事を本実験の 記録から籾米について検討 しその結果についても言及し. 一 49 -.
(3) . 渡. 部. = 測定及び考察. 次に此の間の事をカタラーゼ、 アミラーゼの発芽時に おいての消長からしらべてみた。 i i . 発芽時におけるカタラー ゼの消長 第3表に見る. i . 冷凍 処理による乾燥籾米の変化 第1表に見る如 く酵素量には著るしい変化を見出し得なかった。 たゞ冷 1. 第. 臨調夢. カタラーゼ作用力弱く、 その後において 無処理のものに 追いついている。 糖についてははじめより冷凍処理の方. .アミ ラーゼ 発 カタ ラ ー ゼ. 芽の長 芽 さ平均. N/ 200. 中生栄光 処 5 . 々 無処理一5. 1 18 . LIO. 50 1 . 1 72 .. 95 5 .. 1,L 6 糖処 理. 1 20 . 1 15 .. 93 4 . 3 90 .. 23 1 . 24 i .. 1 47 . 48 1 . 54 1 .. ー47 理I. S203 率 1 0日目 K~ lnod Na 2 cc c c .数 % .数 ・. I 方 吉 処 理 B,ー 1 44 夕 無処理 , . 功. 如く梗においては発芽処理後3 日目迄は冷凍処理の方が. 表. 50 N/. 品 種. 9 6 ー 無処理ニ .. 59 1 .. 96 1 .. がカタラーゼ作用力大である事が認められた。 梗におい て冷凍処理の方の カタラーゼ作用力の追いつく 4~5 日. 5 6 . 4 5 . 8 8 .. 目は丁度カタラーゼが最も賦活される時期である事が わ かり、 筒第2表に見る如く此の辺で冷凍処理のものは急 激に成長をする。. 6 7 . 5 1 6 96 . . 8 6 l 96 . . -. 第. 56 ・ 05 83 0 630 77,1 42 . 550.45 0 ″ 無処理 0 . ‘ . . . 40 60 1 822 00ー 〇 〇ト ラ ・ 方 吉 処 理 1742 . . . ‐ - Q .73 鉦伽 3 0 ク も 鵬 1.50 1.65 1,95 2,232 7 ‐ ‐ ‐ i1 5 50 へ一 1 1^ 08 0 85 80 1 950 60 . U 4U 0 功 濡 L ‐璽…^ . , . . ・ ・ 11 20 無処理 1鰭60.60 0.830.47 0.57-0.78 ・. 中生栄光 処 理 0860.25 0.20 0.450.631,57. 〔いる。 濡では30%もの水分が減つ-. 発芽率においても殆 ど差異はない. たゞlo日目におけ. る芽の長さ平均ではや ふ処理のものの方が大である。 特 に方吉においてその差が著るしいので、 その発芽生育を 2表に示 した。 別に比較試験した結果を第●. 註) 表中の数は 基. 芽の長さ平均 cm 7日. 3日. 12日 13日. 方吉処理. 0. 20. 49. 7 0 .. 10 8 .. 13 3 .. グ無処理 ‐. 0. 38. 58. 3 5 .. 6 9 .. l 12 .. の最大となる時期は殆 ど同じである事を認めた, i i i . 発芽時におけるアミラー ゼの消長 アミラー ゼに おいてはどの品種の場合も処理の方は7日目辺り迄はそ の作用力 が弱く、8 日から10日で無処理のものと殆ど同. 早く、1週間以降は処理のものの成長が急激によくなる。. 此は液体空気で冷凍し発芽率の甚だ低下した場合に於い. じとなり、 しかも此の辺りで処理、 無処理ともに最も賦 活され最高 の作用力をもつ。 10日目以後において酵素量. ても、,発芽したものの芽の長さの平均はー週間目以降で は無処理のものに比 し大であることを認めた。. 種. 』蕩o日. Z 日. 2 日. 3 日. 76 1 98 1.60 1.62 1. , 1 8 76 7 6 1 4 1 5 0 グ 無処理1 2 . . . . 1 1 1 8 5 2 62 1 1 1 20 . . 吉 処 理 . 方 . 3 1 2 9 l ー 0 0 ″ 無処理 LI9 , .o . 6 2 5 1 7 2 16 1 04 . 揺 処 囲 2 . 功 . . 6 1 4 2 29 1 7 3 9 無処理 L 4 . . .. 中生栄光 処 理. 討っ 表中の数は 蓋. ec ・数. 発芽小麦について諸 酵素量を測定した報告に見ると 4 日 目で最大となっているが、 級米について もカタラー ゼ量. 第 2表 に見る様な結果は方吉の場合だけではなく、 他 4~5 日迄は成長 の品種においても無処選のものの方が・. 品. KMno. 筒第1表、 第2表に見る如く方吉は最も成長が大であ ったが、 カタラ. - ゼ作用力の点からも最もその力が大き か‘ 〉た。 )の IN両氏4 カタラ ・ては B^cH,opハR .-ゼ作用 力にっv. 表. 発芽率 %. 1日 2日. 表. 冷 品 種 勿t檀現ー 「. た。 各品種について ドライアイスの量やつめ方に多少の 差異はあり、 厳密に比較は出来ないが梗において5~8%. 2. 3. 凍 0日 1日 2日 3日 4日 5日. 凍により水分が昇華する鴬にその含量の低下が認められ. 第. 夫. 俊. 第. 4. 表. 4 日. 5 日. 6日17日18 日19 日. 50 2 . 21 2 . 3 24 . 3 77 .. 2 45 . 3 99 .. 10日. 66 =. 80 86 13 4 92 8 . . . 1 3 1 4 l 5 0 2 6 1 5 8 7 0 .o . . . 6 4 1 6 4 1 97 1 6 1 7 8 1 6 6 3 0 6 2 4 . . , . . . 8 6 1 8 0 0 1 2 9 4 3 ー 4 5 6 1 1 9 6 2 9 . .0 . . . . ヱ 7 1 5 26 0 1 5 9 4 0 2 6 1 7 1 1 6 9 3 5 1 . . . . . . . 1 8 5 1 5 20 1 6 3 5 4 0 5 1 3 0 1 8 2 2 1 ー0 . . . . . . 3 26 . 3 3 .6. N 州2Oヌ c C , ・数. 一 50 『. 70 4 . 6 08 .. 11日. 12日. 1ー 72 1 1 4 . . 54 14 2 13, . 1 4 14 5 6 8 . . 14 O 75 15 . .. I 14 80 lo , . 1 17 I 0 6 1 12 ・ ..
(4) . 籾米の酵素及び発芽に及ぼす冷凍の影響 は減少するが減少の速度は処理のものの方が大である。. アミラーゼの場合も 4~5 日目辺りでは、 成長の大き. な品種程作用力が大きい。. 叉 BAcH 氏等の 小麦のアミラーゼでは発芽処理後8日. に最大作用力をもつが、 籾米の場合も殆 ど同様で 9~10 日に最も賦活される事を認めた。 今呼吸酵素 「此処ではカタラー ゼ) と加水 分 解 酵 素. (此処 では ァミラー ゼ) の発芽生長とともに賦 活される. 状況を見ると、 やはり先ず呼吸酵素が賦活され加水分解 酵素はおそく賦活される。 結. 比してのカタラーゼ、 アミラーゼ量は最初低く、 前者で 4~5 日、 後者で 8~9 日で同じとなるが此の時期に処 理、 無処理とも-0両酵素について夫々最大の作用力をも 0日以 降減少してゆくが、 その減 つ。 筒アミラーゼ量は1 少の度は処理のものの方が大 である。 5 . 籾米の発芽において凡ゆる場合成長の度合はカタ. ラー ゼ、 アミラーゼの量に比例 し、 特にカタラー ゼ量の 増える時には成長も著る しい‘ 6 . 発芽籾米のカタラーゼ、 アミラーゼの最も賦活さ れるのは夫々 4 日、9 日である。 即ち呼吸酵素としての. カタラー ゼ、 加水分解酵素と してのアミラーゼの賦活を 比較するとカタラ← ゼの方が先に賦活される。. 論. 1 . 籾米の ドライアイス22時間処理により乾燥種子の もつカタラーゼ、.アミラー ゼの量には殆 ど影響がない。. 唯水分は減少 し特に隅では著る しかった。 2 . 冷凍籾米の発芽は無処理のものに比べて、 発芽直. 以上の研究を行うに当り適切な御助言を戴い た重岡義. 雄教授、 土屋茂氏、 並びに種々御助力賜わった近藤勇、 安斎英一両氏に深く感謝する次第です。. 後{ ま悪く 4~5 日で追いつき、 以降は良好となる。 此の , 原因としては冷凍により魅芽が刺戟されると考えられる. が、 その分析結果から見ると疑問である。 単に水分の減 少によるものかもしれない。. 3 . 発芽時に於いて冷凍処鰹1のもののカタラ← ゼ量が 無処理のものに比して増減する度合は、 夫々の芽の発育. 状況に比例している。 ・ 4 . 発芽時に於いて冷凍処理のものの無処理のものに. 一 51 一. 参. 考. 女 厭. 1) 手島寅雄・御園生義一 : 日本作紀 lo 、 , 56 (1938). 2) 奥野俊 : 生 物、 3, 103 (1948」 3) 三須英雄・一木寛 : 農化、4 93(19 28) ,5. l 4) A. Bac l ochem. Z. 134 , A. opmin: Bi , i83 (1922). 5 l l: Bi ochem. Z 34 ) A. opari ・ ,i ,19コ (1922). 6) P. A.Shage r l o I em. , 瓶.Somogyi; J. Bi . CI 100 ,695 (1933).
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