想起する記憶の内容によるRDIの効果の検討 -シャイネスの改善を目的として-
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(2) 目次. 頁. 第1章序論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 1. 1.Eye Move享ne耳t Desensitization and Reprocessingとは・・∴……………・…・…1. 2.Resource Develop ment and Installationとは……………・…・・……………2. 2.1.RDIについての先行研究………………・…∵・…・………・・…・… …3 2.2.:RDIに関する先行研究の問題点…・…………・・……・……………・」・・4. 3.シャイネスとは……・・…・……・・・… ……・…・・・・・・・… ……・……・・…6. 3.1、シャイネスに関する先行研究…・…・・…・…・・……・…・……・・…・……7 3.2.シャイネス研究の問題点・……・…・・…・・・・…………・・∴…・・…・……・8. 4.対人不安とは・…・・… …・…・・…. 4.1.対人不安のモデル………・・… 4.1.1.Leaeyのモデル…・………・ 4.1.2.Clark&WeIlsのモデル・……. 一・・・・・・・… @P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 11. 。。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. ・。・…. 5.感情と記憶の理論・・……………・… 5.1.Resou罫ce AllocatioロTheory・一… …・ 5.2ゴ▽igilance述A70idance Theory・・・・… ∴. 5.3.Adaptive In董brmation processing_... @ 。・・・・・・・・・・・・・・・・・…. o 電 ■ ●. o ● G ●. g o ・ ●. ● o ■ ●. ・・。・・・・・・…. @ 6・12. @。・・・・・・・・・・… 12 。・…. 。・・・・・・…. 13. @。・。・・一・・・・・・・・・・・… 。14. ・一一。・・・・… @。・・・・・… 。・・。。一・・… 14. ”。●●.○●●’の○●。”●。’。’. …. 諱宦怐E・・…. 。’・。・・。・・。・・・・・・・・・・・・・…. 。・・14. 。・…. 15. 6.対人不安に対するEMDR及びRDIの効果・………・………・…・……・…・・16. 7.本研究の目的・…………………………………・・・……・…………・17 第2章研究P・・・・・・・・・・・・・・・・・…. ゼ・・・・・・・…. 19.
(3) 1.全体の目的…・… …… …… ……・・… ………・…・……・・……・・・・… 19. 2.仮説・・……・…・……・・…・・………・…・… …・・…・… 6……・・・… …20. 3.研究1予備調査…・……・………’・’一●’●●●.●’”.…●.●●’●’●.曹●.’D’●●”●.20. 3.1.、目的…・・………………・……・・……・………………・…・……20 3.2.方法…………・……・・…・……・………・……・・…………… …21 3.2.1.材料…・・……………・…・・…… ………・……………・…・…21 含,2.2.対象者・………… …・…σ……………・…・・… ………・…・…・21. 32.3.手続き…・・……………・・………・…… …・L・・……………・…22. 4.結果および考察・…・…・…・……・・…・……・・…・…・・……………・…23. 4.1.WSS合計得点に関する性差による検討……・…………・………………23 42.WSS合計得点による対人不安傾向高群および対人不安傾向低群への弁別……・・23. 5研究1本実験:・…・・…・…・…・………・・・・・・・・・… …・・…・…… ’・…・…24. 5.1.目的・…・・…・………・……・…………… …・・・………・…・……24 5.2.方法……・・…………・・…・・…・…・……・・……」…………・・…・24. 52,1.実験協力者……・………・………・…………… ……・∵…・…・24. 52.2.材料…・・………………………………・……−……・……・…25 (1)旧本語版Positive and Negaもive Af飴ct Scale…………・・……………・・25. (2)想起する内容を区分したRDI実施用紙・………………・…・・…………% 5.2.3.手続き・・… ……………・・………・・……… ………・……・…・27. 6,結果…∴……・……・・…・…り・…・……・・………・……・・……・…・27 6、1.想起した記憶の同一線一二同一線及び実体験一モデルの妥当性の確認…・……27. 6.2.各群の等質性の確認…・・…・・………・…………・・……・…………・28. 6.3.RDIの効果における性別の要因の検討………………………・………・28 β.4.想起する記憶を操作したRDIによるVoRの変化の検討………………・・…29 6.5。想起する記憶を操作したRDIによるSUDsの変化の検討…・・…………・・…30.
(4) 6.6.想起する記憶を操作したRDIによるPANAS・Pの変化の検討……・………し・3ユ 6.7.想起する記憶を操作したRDIによるPANAS・Nの変化の検討・…・…・………33. 7,研究1の考察………・……一・………・…・……・……………・……35 第3章研究H・…. 。・・・・・・・・・・・・・・・…. 。・∴・・… 36. 1.研究H全体の目的・……………∴… …・…・…………・…・・……一…38. 2.仮説……・・…………・…・・…・・・・・・……・・………・………・…・・…38. 3.方法……・……・………………………・・一…………・・………・・39 3.1.実験協力者……・… ………… ………………・………・………・・39. 3.2.材料……・・……∴…・………・・………・………………μ・……39. 4.糸吉果・・・・・・・・…. 。・。・・・・・・・… 一・… 7・・・…. ◎・p・一・・・・・・・・・・…. 。い・・・・・・・・・… 39. 4.1.RDIに用いた記憶の重要度に関する弁別・…………・・… …・……一…・・39. 4.2.RDIに用いた記憶の鮮明度に関する弁別………・・……・…・・……・……40 4.3.想起した記臆の重要度及び鮮明度の高低によるRDI後のVbRの変化の検討・…・41 4、4.想起した記憶の重要度及び鮮明度の高低によるRDI後のSUDsの変化の検討・…43. 4、5。想起した記憶の重要度及び鮮明度の高低によるRDI後のPANAS・Pの変化……45 4.6.想起した記憶の重要度及び鮮明度の高低によるRDi後のPA:NAS・N4)変化……47. 5.研究Hの考察____..__._.___・・_…_.…∴・・………48. 第4章総合考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 51. 1.本研究の概要・・・… ……・…・…… …。・…・…・…∫… ……………岬…51. 2.本研究における成果………………・・……・…・・……・・3・……………52.
(5) 2.1.研究1における成果…・……∵……・…∴…………・…・……←.’’”●52 22.研究Hたおける成果……………・・…… …・…・・……・・・… ………・53. 3。今後の検討すべき課題…・・……………●●●●●’●’●●’像●●”●●●●’’’’”●’●●.’●●.54. 3.1.さらなる要因分析…………・・……・…・…・…・●・●‘m’.’●●●●”●’..◎σ●54. 3.2.RDIの効果のフォローアップについて………・………・………………55 3.3.他の技法とのパッケージ療法につい℃・・…・………・…・………・……・・56. 3.4.アナログ研究の限界…・……………・…………・……・・………・…56. 引用文献・・・・・・・・・・…. 護射舌辛・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …. 6・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 58. 。 ・ ・ …. D …. 。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …. 66.
(6) 第1章序論. 1.Eye Movement Desensitization and Reprocessingとは. Eye Movement Desensitization鋤d Reprocessing〈眼球運動による脱感作と最処理 法;以下EMDR)は, Shapiroによって開発された心理療法である。 EMDRは,クライ 1エントが:Post Traulnatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害;以下PTSD)による. 外傷体験や,不安,恐怖などを喚起しうる場面を思い浮かべながらセラピストが一定の速 度で動かす指を目で追うことで不快な記憶が再処理される心理療法である。これまでにト ラウマ記憶を処理することが可能であると実証されている心理療法℃ある。. 例えば,Vah Et七en&Taylor(1998)は, PTSD患者に対して薬物療法とEMDRを含む. 心理療法を行った研究を元にメタ分析を行い,EMDRと行動療法が薬物療法よりも優れ 15週のフォローアップにおいても効果が維持されたと報告している。さらに,EMDRが 行動療法と比較して治療セッションが短いことを挙げ,行動療法より効率的であったと述 べている。同様iにBradle3 Gf6ene, Russ, Dutra,&Westen(2005)は, EMDRの効果につ. いてはCognitive Beh鼠vior Therapy(認知行動療法;以下C8T)などと同程度であるとしな. がらも,CBTにおいて宿題が課されることが多いにもかかわらず, EMDRにおいては宿 題がなく効率的であると述べている。また,Jaberghaderi, Gree捻wald, Rubin, Dolatabadi搬,&Zand(2004)は,性的虐待によるPTSDを発症している女性に対して. EMDRとCBTを実施し両者共にPTSDの兆候が有意に減少することを明らかにし, EMD:Rの方がC:BTと比較してより治療セッションの回数が少ないという点において効果 的であったとしている。さらに,Pow鋤McGoldriek,.Brown, Buchanan, ShafpうSwanson,. &K:aratzias(2002)は, PTSD患者に対してEMDRと暴露療法及び認知再構成法を織り交. ぜた治療技法と統制群を用いて効果の測定を行い,EMDR及び暴露療法と認知再構成法は. 統制群と比較して有意にPTSDの症状を改善することを明らかにし, EMDRの方が少な いセジション数で改善するという点でより効率的であったと報告している。このように,. EMDRに対して肯定的な研究結果が発表されつつある。. このように:EMDRはPTSDに対する治療効果が確認されてきており,他の様々な精神 健康問題(e.g,解離性障害:Twombly;2000,人格障害:Fensterhei搬,1996,不安障害:De. 一ト.
(7) Jongh&恥n Broeke,1988;,鈴木,2003)に対しての効果も期待されている心理療法である。. 一しかしながら,クモ恐怖症に対してEMDRと行動療法の技法としてのエクスポージャ. ーによる治療効果の研究を行っている一連の研究では,一貫してEMDRと行動療法の効 果は示されているとしながらも,EMDRで示される不安の減少の大部分は主観的な尺度に おいて顕著であると報告している(e.g,, Muris, Maastric批, Merckelbach,1995;Muris,&. 鍛erckelb母ck,1997;Muris, Merckelhack, H:oldriロ£t, S寿senaa篤 1998;Muris, Merckelack, van Haaften, Naye鵯1997)。. この結果は,単一の恐怖症に対してはEMDRのみで治療を行うのではなく,エクスポ ージャーなどの実際の行動を改善することを目的とする技法とのパッケージ療法を考慮し て治療を行う必要性を示唆していると考えられる。. また,EMDRを実施する際に患者にトラウマ体験の処理に対する準備が出来ていないま ま,外傷的な記憶の再処理を試みると有害な結果をもたらすことがあり,EMDRの手続き は,厳密に8つの段階がある。具体的には,第1段階:生育歴・病歴聴取と治療計画の設 定,第2段階:治療同盟を確立するための準備,第3段階:眼球運動による処理を開始す る前にターゲットとなりうる記憶の評価,第4段階:眼球運動を中心とした脱感作,第5 段階:もとの否定的認知に代わるものとして設定された肯定的認知の植え付け,第6段階:. 肯定的認知が植え付けられた後に,ターゲットとなる記憶と肯定的認知の両方を思い浮か. べて,身体感覚として不快感はないかを確認するボディースキャン,第7段階:各セッシ. ョンの終了時にクライエントの感情が安定した状態に戻るための終了の手続き,第8段 階:次回のセッションにおいて,前回処理をおこなったターゲットに対する再評価といっ たものである(岩井,2004)。また,、ζのように厳法な手続きを踏まえても,否定的な記憶の. 多い複雑性PTSD患者などにとっては,千分な準備が出来ない場合がありEMDRによっ て処理をおこなう前の準備が重要と言われている。その準備段階で用いられる技法の一つ にResource Develop lnent a撮Iustallation(資源の開発と植え付け;以下RDI)がある。. 以下にR:DIについての概略を述べる。. 2.Res◎urce Development and Ins七allationとは. EMDRは,先述したとおり,様々な精神健康問題に対して効果が報告されている心理療 法である。しかしながら,患者にトラウマ体験の処理に対する準備が出来ていないまま,. 一2一.
(8) 外傷的な記憶の再処理を試みると有害な結果をもたらすことがあり,EMDR手続きの準備 が重要と言われている。その準備段階で用いられる技法の一つにRDIがある。例えば, 1(om&Leeds(2002)は,2名の複雑性PTSD患者に対してSingle Sub5ect Designを用い. て,複雑性PTSDに対するRDIの効果を検討している。その結果, RDIは複雑性PTSD の患者に対しても効果があったと報告している。K:orn&Leeds(2002>によると,RDIを行 うことによって,妨害されていた肯定的な記憶のネットワークへのアクセスが可能になり 安全に外傷的記憶を処理する準備を整えることが出来ると述べている。また,市井(2007) によると,、RDIは,否定的な記憶をすぐに処理できない不安定で否定的記憶に満ちたクラ. イエントに対しても有効であり,さらに,より健康度の高い治療を求めるレベルではない 成人に対しても予防的な効果を果たすと述べている。. RDIを行うことのメリットとして,ポジティブな情動及び身体的に満足のいく状態が, 増加されることが挙げられる。例えば,即時の情緒沈静,自我強化,現在のストレッサー に直面してもポジティブな記憶ネットワークへのアクセスが増加,自発的な対処行動の増. 加,自我の安定が高まることなどがあげられる。また,RDIは,対象者が自分自身で用い ることも可能な技法でもあり.RDIの技法を対象者自身が習得し実施することで,不快な 状態から開放される可能性も考えられる。. RDIの治療プロトコルは,対象者がポジティブな感情を感じる映像・音・言葉・身体感 覚・行動などの記憶を先に同定しておき,その記憶を強化することを通して,対象者の安 定化を図り,負担を軽減するものである。. Korh&Leeds(2002)は, RDIを8段階のプロトコルとして標準化している。具体的1と は,第1段階は必要:な資源を見つける.第2段階は資源の開発で,資源を達成資源・関係. 資源・シンボル的な資源の3領域から選択する。第3段階は資源の記憶について,映像・ 音・におい・感情・身体感覚など知覚・感覚レベルで気づいてもらう。第4段階は資源の ノ チェックで,その資源の認知の妥当性を確認する。第5段階は資源の反復で,資源につい て言葉で繰り返す。第6段階は資源の植え付けで,資源について想起してもらいながら,. 両側性の刺激を加え資源を植え付ける。第7段階は資源の強化で,資源と言語的・感覚的 な手がかりとを結びつける。第8段階は将来の鋳型の構築で,近い将来起こりうる小さな ストレス場面を思い浮かべて,対処できるようになるかを確認する(:Kom&Leeds,2002)。. このようにEMDR及びRDIは,想起する記憶の内容がポジティブな内容:かネガティブ な内容かという差異はあるものの,対象者の記憶を用いて治療的介入を行う心理療法であ. 一3一.
(9) るといえる。以下にRDIについての先行研究を述べる。. 2、1.RDIについての先行研究. これまでにRDIについての実証的な研究は,いくつかなされている。例えば先述した, K:orn&Leeds(2002)は,2名の複雑性PTSD患者に対してSingle SuわjecもDesignを用い. て,RDIを用いた効果の検討を行っている。その結果, RDIは複雑性PTSDの患者に対 しても効果があったと報告している。. また,Ichii(2003)は,抑うつ餌向を示している大学生に対してRDIとCogni七ive Therapy(認知療法;以下CT)を実施し効果の検討をしている。その結果, RDIとCTは同 様の効果の持続を示したが,RDIの方が改善の効果に即効性が見られたとしている。この 結果は,治療に対する動機づけの点や,治療からのドロップアウトを防止する観点から見 ても有効であろうと述べている。. さらに,城間(2004)は,大学生の抑うつ傾向の軽減に及ぼすRDIの効果の維持を検討し. ている。その結果RDIの効果が,約8ヶ月間という長期的な維持を示したと述べている。 さらに,上原(2005)は,抑うっ傾向のある大学生を実験協力者として,RDIに用いる資. 源を自己のポジティブな側面に注目をおく群と,自己のお手本となる対象との関係に注目 をおく群の2群を設定し,その効果を比較している。その結果,群と介入時期の交互作用 は有意ではなく,両方の群において介入の前後で抑うつ傾向が軽減することが明らかにな り,:RDIの抑うつ傾向に対する効果が確認された。すなわち, RI)1は否定的な記憶をすぐ. に処理できない不安定な,否定的記憶に満ちたクライエントでなくとも,より健康度の高 い,治療を求めるレベルではない抑うつ傾向を示す大学生に対する予防的な介入としても 用いることが可能であることが考えられる6 岡田(2006)は,抑うつ傾向を示している大学生を対象にRDIの効果の検討を行っている。. その結果,抑うつ傾向を示す大学生に対するRDIは従来の自伝的記憶の想起方法でポジテ ィブな記憶を想起した場合と比較して,有意に感情制御の効果を示すことを明らかにした。. この締果は,抑うっ的な大学生において感情や感覚を明確にするRDIを用いた手続きでポ ジティブな自伝的記憶を想起すると,より強固に感情を制御することが出来る可能性を示 唆している。. 一4・.
(10) 2.2.RDIに関する先行研究の問題点. これまでいくつかのRDIに関する先行研究を概観してきたが, RDIの先行研究につい ては問題点も考えられる。例えば先述した,Korn&Leeds(2002)の研究では, RDIの効果. を示してはいるものの,対象者が2名と少ないという問題や,統制群との比較及び他の治 療を行う群との比較が必要であると考えられる。 また,上原(2005)は,自己のポジテ.イブな側面の想起に伴い,「それを思い出すと問題と. なっているストレス場面をうまく乗り切れる自信が湧いてくるような経験はありません か」という教示を行っているが,この教示だと,自己のポジティブな側面が,閥題となっ ている側面と同じ内容を含んでいるものなのか,それともその問題とは無関係でポジティ ブな側面なのかが不明確であり,手続きを精緻化する上で課題となると考えられる。. さらに,岡田(2006)は,抑うつ傾向に対するRDIの効果を検討する際に,例外探し的に ポジティブな記憶を想起してもらう群と,非類似の記憶を想起してもらう群との効果の比. 較検討を行っている。その結果,非類似の記憶でRDIを行った群がPOMSめ「活気」得 点が増加する可能性を示唆しているが,実験協力者の人数不足など不十分な検討に終わっ ている。. また,Ichii(2003),城間(2004),上原(2005),岡田(2006)などの一連の研究の実験協力. 者は,抑うつ傾向にある大学生に限られている。この点について,岡田(2006)は,従来の. RDIの効果検討は抑うつを対象とした研究が大部分であり,不安障害をはじめとする抑う. つ以外の対象へのRDIについては改めて記憶の内容によるRDIの効果の検討をする必要 性があると述べている。様々な精神健康問題を有する個々人は多くのバイアスを示すとと が明らかになっている。例えば守谷・佐々木・丹野(2007)は,対人不安傾向高群は,肯定. 的にも否定的にも考えられる対人場面において否定的な判断バイアスを示すことを報告し. ており,RDIに用いる記憶においてもこの判断バイアスがRDIの効果に影響を及ぼす可 能性がある。. このようにRDIについての先行研究は,未だに研究の数や研究対象が限られており,臨 床的使用においても実証すべきことが多く残されていると考えられる。そのため,様々な 症状に対してRDIが適用可能かを検討することは大変意義深いと考えられる。. ところで、RDIは対象者の自伝的記憶を用いる心理療法と考えられる。自伝的記憶と感 情の関係について,榊(2005)は,自伝的記憶の記銘時におけるポジティブ度・想起時のポ. r5一.
(11) ジティブ度・重要度という要因を用いて感情制御を促進する自伝的記憶の性質を検討して いる。その結果,実験協力者にとって,いかにポジティブな記憶かというポジティブ度の 要因と比較して,いかに重要な記憶かという重要性の要因が自伝的記憶の想起による気分. の変化に有意な影響を示したと述べている6この結果から,RDIに用いる記憶を選択する 際に対象者にとろてその記憶が重要なものかという検討も必要になると考えられる。. ところで先ほど確認したとおり,RDIは,その性質上ポジティブな感情を強化する方法 であり,:PTSDをはじめとした病理群ではない健常者に対しても効果の期待できる方法で あると考えられる。この点についてSeligm鋤(2002)は,ポジティブ心理学という観点から,. 心理学はこれまで生活の悪い面を修復することにとらわれていたが,生活の良い面をも考 慮に入れていく必要があるとしている。つまり,このように一般健常者におけるポジティ ブな感情や,行動及び思考の増進という観点にたって研究を進めることは妥当であり必要 であると考えられる。その点を考慮すると,一般健常者においてもポジティブな感情が高. まることは,ポジティブ感情は記憶でのポジティブ事象への接近範囲を広げる(lseh, Johロson, Merts&Robinson,1985;Tbasedale&Fogar幅1979)ことや,この記憶特徴は. 認知にも反映され,比較的中性的な刺激についてもポジティブな側面への認知を高める (lsen&Shalke蔦1982)といった研究から重要であると考えられる。. さらに,Maybery&G蛾ham(2001)1ま,一般にストレスフルな状況と考え一られている状. 況の1つに,対人ストレスイベントがあり,これは最も遭遇頻度の高いストレスフルな状 況であると述べている。また,岸本・増田(1989)は,このような対人場面において大学生. 男女がシャイネスをどの程度問題視するかを検討し,シャイネスを問題であると回答した 大学生は81%にも及んだことを報告している。これらのζとから,シャイネスは,広く一 般健常者にとっても問題となりうる問題であり,改善の必要性が考えられるだろう。そこ で,以下にシャイネスについて述べる。. 3.シャイネスとは. 日常的に経験するシャイネスとは,人と会話を行う場合や,何らかの対人場面において,. ネ安や恥ずかしいといった感情などを体験することを指す。一般にシャイな人は,丁対人場 面で情動的覚醒を自覚し,動悸・発汗・赤面など特有の身体的特徴を伴い(感情・生理的側 面),本人が本来望んでいるような社会的行動が抑制され(行動的側面),他者からの否定的. 一6一.
(12) 評価を懸念し,Elhs(1962)の提唱した不合理な信念を伴う(認知的側面)とされている(坂 野,1995)。例えば,Pilkonis(1977a)は,対人揚面として異性のサクラを用いたシャイネス. 傾向の影響を検討し,シャイネス傾向が高いほど口数や視線が合うことが少なく,会話を 始あるまでの時間が長いと述べている。Leary(1983a)によると,シャイネスの経験は, 「初対面の人に紹介されること」「誰かと初めてデートをすること」「就職のために面接を 受けること」「スピーチを行うことゴ「皆から注視されること」「見知らぬ人たちでいっぱい の部屋に入っていくこと」「試験を受けること」「権威のある地位の人と話ナこと」「物笑い. の種になるζと」などであるとしている.これらの状況に共通していることは,「他人の評 価を予測するか,またはそれに直面する」という状況である。. ζのような場面に遭遇した場合われわれは,その人の話す内容や,ふるまい,そのとき 相互作用を行っている他者の態度等によって,今後の対応を検討し,その都度行動や言動 などを変更しなければならないだろう。このように対人場面は随伴的な場面であり,日常 の会話を考えてもその通りである。さらに,その際会話に関わっている人は,相互のかか わりを滑,らかに進行するために,相手の発言に応じて適切な発言をしなくてはならない。 そのような対人場面におけるシャイネスについて,Joae5, Cheek&Briggs(1986)は,入の. 幸福,社会的適応,職業上の成功の妨げになりうると述べている。しかし,シャイネスと いうものは,多かれ少なかれ,誰しもが感じる感情であることも確かである。 このような不安の中のシャイネスという下位概念に焦点をあてて,検討している研究は,. 不安全般の研究に比較して少ないが,いくらか存在する。以下にシャイネスに関する先行 研究を述べる。. 3.1.シャイネスに関する先行研究. シャイネスに関する心理学的研究は,Zimbardo, P G.を中心とした研究に端を発する。. Zimbarao(1977)は,臨床的なデータを通じてシャイネスが様々な対人関係での不適応に影. 響を及ぼすことを示し,その不適応を改善するためには,シャイネスを引き起こす原因を 解明し,それを取り除く必要があると示唆した。 こ「のような,シャイネスに関する研究として最も広く行われているのは,シャイネスと 社交性との関連についての調査である(根回,2002)。これらの研究において示されている結. 果によると,シャイネスと社交性は独立した丙子であると考えられる5例えば,Cheek&. 一7一.
(13) Buss(1981)は,シャイネスと社交性を示す因子を別々に抽出することを試みており,その. 結果としてシャイネスを独立した因子として抽出している。その他にシャイネスと周辺領 域の関連の検討として,外向性(Pilkonis,1977b),主張性(Jones, Briggs,&S面th,1986). などが挙げられる。これらの研究によると,シャイネスと社交性,主張性,外向性は負の 相関が示されている。また,同様にシャイネスと正の相関を示した概念として,うつ(Alfbno, Join鋤&Per場1994),恐怖(Jones et aL,1986)などが挙げられる。. また,欧米では1970年代ごろから,シャイネスを測定する尺度の構成も進んでいる(e,g,,. Watson&Friend,1969;Jones&Russe1,1982;Cheek&Buss,1981;McCroske又1970; Lea取1983)。それから10年ほど遅れて日本でも欧米のシャイネス尺度を翻訳するという 形でシャイネス研究が発展し,日本独自のシャイネス尺度などの作成へと発展してきてい る(e.g.,相川,1991;鈴木・山口・根建,1997など)。. 岸本(2003>は,上述した7つのシャイネス尺度の下位項目を用いて因子分析を行ってい. る。その結果,これらの尺度が測定しているシャイネスの因子としては,第1因子F対人 不安・緊張」,第2因子「評価懸念」,第3因子「適切な行動」,第4因子「おしゃ尽り」,. 第5因子「生理的な変化」の5因子であることを明らかにした。この結果を,Lang(1968). における不安の3要素モデルで考えると,第1及び第2因子は主観的要素,第3及び第4 因子は行動的要素,第5因子は生理的要素と対応していると考えられる。. 3.2.シャイネス研究の問題点. 先述したとおりシャイネスが誘発される場面は多く,社会的にも問題視され,様々な研 究がなされてきている。さらに,根建(2002)は,シャイネスは臨床心理学や社会心理学の. 観点から見て’も重要:な問題であるとしている。この点について,Bau膿eister& Leary(1995)は,対人関係の重要性についてはWbll・Being研究の観点からもコンセンサス. を得られている内容であると述べている。また,健康心理学の観点である健康の増進と維 持という点からも重要であると考えられる。. このように臨床的にも社会的にも重要であると考えられるシャイネスという概念である が,先行研究にはいくつか問題点が指摘できる。まず第1に,「対人不安」・「聴衆不安」・ 「デート不安」拝あがり拝「スピーチ不安」・「シャイネス」などといった概念との関係が. 不明瞭な点である。このことについて,Leary(1983!は,厳密に区分するのならば「対人・. 一s一.
(14) 不安」・「聴衆不安」・「デート不安」・「あがり」・「スピーチ不安」と「シャイネス」の概念. は同義ではないとしながらも,対人不安という上位概念の中にシャイネスを含むこれらの 多様な用語は統合して考えられることを示唆している。. さらに,第2にシャイネスという用語の定義についての問題である。それは,第1の問 題同様にシャイネスの研究において,シャイネスという概念の定義が一致した見解として 存在していないことを示している(関口・長江・伊藤・宮田・根建,1999)。. 例えば,定義の中にシャイネスの現象的な特性として抑制行動や回避行動のパターンの みを含めているものもある。watson&Friend(1969)は,他人から評価される不安を「対 人場面における苦悩・不快・恐怖・不安などの経験」であり,「対人場面を意図的に回避す. ること」や「他者から否定的な評価を受けることへの恐れ」と定義している。しかしこの ような定義には問題がある。なぜならば,・シャイネスのような内面的感情と回避行動また は抑制行動のような外面的様相との間には必ずしも必然的な結びつきはないからである。 確かに対人場面に敏感な人たちは,「無口」で「抑制的」で「逃げ腰な」態度を示しがち である。だが,Pilkonis(1977)や菅原(1998)が述べているように,行動的には問題ないが. 実際には心の中で不安を感じている人もいるはずである。そのため,watson& Friend(1969)の研究のように行動論で不安を定義するこどは難しいことになる(Lea堀 1983)。. Leary(1986)は,このような問題点を考慮して,シャイネスとは,「現実の,あるいは想. 像上の他者からの評価の結果起こる,対人抑制と社会不安に特徴づけられる,感情・行動 症候群」と定義している。しかしながら,このLeary(1986)の定義にも問題がある。㍉例え. ばCheek&Watson(1989)によると,この定義によると不安などの感情的な輝験と,行動 の抑制が同時に起こる必要があり,シャイネスを自覚しているにもかかわらず行動面では 聞題が生じない人(e.g., Cheek&B“ss,1981)はシャイネスの定義から外れてしまうこと. や,感情という用語に認知的過程を混在している点を指摘している。例えばゴ Pilkonis(1977a)は,自らをシャイだと認める人たちについてのクラスター分析を行い,人. 前で堂々とうまく振舞えないといった行動面に悩むグループと,行動的には表出されない が,人前で高まる不安の感覚に悩むグループとに区分できることを示している。さらに菅 原(1998)は,対人不安傾向と対人消極傾向は異なった因子として抽出され,対人不安傾向. は公的自意識や拒否回避欲求との正の相関,自尊感情との負の相関を示し,対人消極傾向 は社会的スキルや賞賛獲得欲求との負の相関を示すことを明らかにしている。このように,. 堵9一.
(15) 内面的な感情と回避行動との間には別々の過程があると考えられる。. そこでCheek&watso纂(1989>は,シャイネスに対する新たなモデルとして3要素モデ ル(Thre6 Component ModeDを提唱している。このモデルによるとシャイネスとは,認 知・感晴・行動のいずれかもしくは複数の問題を伴う症候群として定義することができる。. 例えば,Cheek&Melchior(1990)によると,シャイネスの認知的兆候として,鋭敏な公 的自意識,自己非難的思考,他者からの否定的評価への恐れを挙げ,感情的兆候として, 情動的覚醒を自覚すること,動悸,発汗,赤面といった特有の身体的兆候を挙げている。 さらに行動的兆候として,望ましい社会的行動の欠如を挙げ,、これらの症状が様々に生じ る症候群であると述べている。. Cheek&Watson(1989)のモデルは, Lang(1968,19771による不安のモデルとも一致し ており,さらに不安や恐怖といった問題に対して実証された心理療法、である認知行動療法 (以下CBT)におけるアプローチとも一致している。. アメリカの臨床心理学者であるEllis(1962)が先鞭をつけたCBTは,1970年代以降に, 欧米を中心に大きく発展してきた。このC:BTによるシャイネスへの治療効果が有効であ ること(e.g.,長江・根建・関口,1999;伊藤・根建・長江,2000;根建,2002)から,シ. ャイネスは3つの側面からアプローチすることが重要であり,自然だと考えられる。 市井(2004)は,認知行動療法では,症状を行動面,認知面,生理面といった3側面で理. 解することが多く,個々のクライエントの症状に対して,3つのどの側面が優位なのかを 判断し,その側面に焦点を当てた治療を施すことを考えると述べている。このようなアプ ローチをとった研究例はH:aug, Bre捻ne, Johnsen,&Bemtzen(1987)があり,クライエン. .トの問題としている側面と,治療アプローチが一致した群が,クライエントの問題として. いる側面と,治療アプローチが一致していない群と比較して,治療が有効であった。この. ことからも,CBTのアプローチが妥当であることが明らかである。このように不安を3 側面に分類する意義は,その不安の3側面に最適なアプローチが,選択可能になることか ら臨床的な意義が高いといえるだろう。. そこで,本研究では,シャイネスの定義を,現実の,あるいは想像上の対人場面におい て,他者からの評価に直面したり,もしくはそれを予測したりすることから生じる不安状. 態であり,そのシャイネスの反応は,認知・生理・行動といった3側面から構成されてお り,その3側面を総合的にとらえるべきものであると定義する。加えて,Leary(1983)が 述べている通り,シャイネス研究を行うに当たり対人不安の概念を流用する必要性がある. 一10・.
(16) と考えられるので,以下に対人不安について述べる。. 4.対人不安とは. 丹野(2001)によると,対人不安には症状の強弱があり,普通の人にも見られる程度の軽 いものを,「対人不安」と呼び,シャイネス,対人緊張,気おくれ,あがり,人見知りなど. が含まれると述べている。同時に,対人不安より苦痛が強まり,生活に支障が出るように なったものが対人恐怖であるとしている。 DSM・W−TR(A血erica Psychiatric Association,2000)は,対人恐怖症を目本における文. 化特異的な恐怖症であり,DSM・IV・TRの社会恐怖とある面で類似していると述べている。 また丹野(2001)は,DSM・IVにおけるSocial Phobiaを対人場面における恐怖であるとし,. 対人恐怖としてめ診断定義として流用している。DSM・W・TRによる社会恐怖の定義を Tab16.1に示す。. Table,1DS腔押一TRにおける社会恐怖の診断基準 A♂ よい人こ.の剛で’人の注 谷びるか し ょい 瓜・’況 こはイ丁映 る い う状況の1つまたはそれ以上に対する顕著で持続的な恐怖,その人は,自分が恥をかかされた り,恥ずかしい思いをしたりするような形で行動(または不安症状を呈したり)することを恐れ 注:子どもの場合は,よく知っている入とは年齢相応の杜会関係を持つ能力があるという証拠 が存在し,その不安が,大人との交流だけでなく,同年代の子どもとの問でも起こるものでな ・ければならない,. B,恐怖している社会的状況への暴露によって,ほとんど必ず不安反応が誘発され,それは状況依 存症,または状況誘発性のパニック発作の形をとることがある, 注:子どもの場合は,泣く,かんしゃくを起こす,・立ちすくむ,またはよく知らない人と交流 する状況から遠ざかるという形で,恐怖が表現されることがある. C その人は,恐怖が過剃であること,または不合理であることを認識している. 注;子どもの場合,こうした特徴のない場合もある. D.恐怖している社会的状況または行為をする状況は回避されてレ.・るか,またはそうでなければ, 強い不安または苦痛を感じながら耐え忍んでいる.. E,恐怖している社会的状況または行為をする状況の回避,不安を伴う予期,または苦痛のため に,その人の正常な毎日の生活習慣,職業上の(学業上の)機能,または社会活動または他者と の関係が障害されており,またはその恐怖症があるために著しい苦痛を感じている、 F.18歳未満の人の場合,持続期間は少なくとも6ヶ月である. 心.その恐怖または回避は,物質(例:薬物乱用,投薬)またな』般身体疾患の直接的な生理学野作 用によるものではなく,他の精神疾患(例:広場恐怖を伴う,または伴わないパニック障害,「 分離不安障害,身体醜形障害,広汎性発達障害,または分裂病質人格障害)ではうまく説明さ. H.一般身体疾愚または他の精神疾患が存在している場合,基準Aの恐怖はそれに関連がない,例 えば,恐怖は,吃音症,パーキンソン病の振戦,または神経性無食欲症または神経性大食症の 凸オ た 示 こ (のi熟で オい. ,1レ.
(17) 4、1.対入不安のモデル. 4.1.1.Leaeyのモデル. Leary(1983)は,一般的な人が感じる対人不安についてのメカニズムをモデル化してい る。このモデルは,丹野(2001)が,対人不安の認知理論の士:台をなしてめると述べている。. Leary(1983)によると,対人不安は,他者によい印象を与えたいという欲求が有るにもか. かわらず,それをなしえる自信が無いときに生じると考えられている。このモデルは Figure.1のように示すことができる。. Leary(1983)のモデルでは,「自己」を「主我ユと「自己イメージ」に区分して考えてい. る。「主我」は主体としての自己であり,噛己イメージ」は,客体としての自己である。. 人は,呈示したい自己イメージについての自己呈示欲求①と,自己呈示の効力感②・③を 比較検討し,望んだとおりの自己イメージを呈示できる場合は,対人不安は生じないが, それが出来ない場合には対人不安が生じるとしている。. 自己イメージ. 、i ’率、、③ i \ 1 \ i \、. 自. i・ ♪. 己. i. /. 三 /ノ. ,1/② ’i. ’●・・....。…..岬. 實. Flgure.1 Leary(1983)の対人不安理論. ①は自巳呈示欲求 ②と③は自己呈示の効力感. 一12一. イメージ上の他者.
(18) 4.12.Clark&W611sのモデル. Clark&Wblls(1995)やWells&Clark(1997)のモデルは,丹野(2001)によると認知療法. におけるABC図式で表現することが可能である。 丹野(2001)によると対人恐怖の人は,(1)対人恐怖スキーマと呼ばれる独特の信念を持っ ている。(2)恐れている場面に遭遇すると(3)自動思考が浮かんできて,その場面を危険であ ると認知する。すると,(4)「観察者視点の自己注目」.という特殊な状態になる。こうした 状態になると,(5)不安症状やく6)不合理な対処行動などが生じてくるとしている。このモデ. ルに従うならば,対人恐怖の治療には対人恐怖スキーマを変えることが有効であると考え られる(Figure2)。. 〈A:出来事〉. 〈B:認知〉. 〈C:感情〉. 5.不安症状. 3.自動思考. 4.観察者視点. の自己注目. 2.対人場面. 1、対人恐怖スキーマ. Flgure.2対人恐怖の認知モデル(丹野,2001)より. 一13一. 〈D:行動〉. 6.不合理な. 対処行動.
(19) Leary(1983)やClark&W611s(1995>やWblls&Clark(1997)のモデルを検討すると,対 人不安という1症状にとって自己に対する認知やイメージが重要な要因となっていると考え. られる。近年の認知心理学や神経心理学などの見地からすると,自己イメージや自己認知 に対して記憶という概念が重要な要素として述べられている(e.g.,小松・太田,1999)。ま. ちこのような不安についての先行研究においては,独立変数として感情を用いるなどし て,記憶という認知的な指標を用いて検討を行っているものが多い(e.g.,:Lofしus&Bur血s,. 1982;Wagenaa鶏 1986;Bradley;Gree聾wa.ld, Petr防 &1.ang,1992;Dobson& Markham,1992;Wenzel&H:olt,2002)。そこで以下にこのような不安などを含む感情と記 憶の理論を検討する。. 5.感情と記憶の理論. 5.1.Resource Allocatioh Theory. Ellis&Ashbrook(1988)は,記憶課題の実施において,注意が記憶課、題とかかわりのな. い不適切な側面に向けられるならば記憶が低下すると述べており,人が記憶課題のような 情報処理課題を遂行する際にはリソース(心的エネルギー)を必要とし,課題の適切な側 面にリソースを配分しなければ,記憶成績が低下するというResource allocaもion theory を提唱している。. この理論では,記憶課題に関して課題と直接関係のない個人の心的状態は課題に関して 妨害的に作用するということになる。対人不安傾向にもこの理論が適用できるならば,対 人不安傾向の高い実験協力者は,対人不安を誘発するような不快刺激の記憶課題を実施す ると,記憶成績が低下するということになる。. 5.2V茎gilance・Avoidance Theory. 瓢oog, Mathews&Wbinman(1987)の提案しているVigilance・Avoida益ce Theoryによる. と,特性不安傾向の高い個々入は,おそらく彼らの周りの不安刺激を発見することを促進 するためにその不安に関する注意バイナスを示すが,長い間その状況に自分を晒すことに 耐えられず,実際にはその状況の精緻化処理を回避するということになる。そのため,特. 一14一.
(20) 性不安傾向の高い個々人は,その不安場面を現実的に評価するために不安場面を正確に再 生することが困難になる。 対人不安傾向においてもこの理論が適用できるならば,:Resource allocation theoryと同. 様に,対人場面で不快感情を喚起する刺激の記憶課題の再生成績が低下すると考えられる。 吉里・皆川(2005)は,吉里・皆川(2004)によって作成された快一不快という次元および. 興奮一安静という次元で感情を喚起する会話文を用いで対人不安傾向の高低によって実 験協力者を弁別し,対人場面の想起に及ぼす個人差要因の検討を行っている。その結果, 会話文の快一不快度と興奮一安静度の交互作用が,対人不安傾向の低い群にのみ見られ,. 対人不安傾向の低い実験協力者は,興奮度の高い不快な感情を喚起する会話文を有意に再 生していることが明らかになった。この結果は,対人不安傾向の高い実験協力者は,刺激 内容の不快な部分にリソースを消費してしまうために,記憶課題の精緻化処理を行わない という:Ellis&Ashbrook(1988)の提唱しているRe source AHocation Theoryを支持するも のであると考えられる。 さらにこの結果を,Mogg, et al.(1987)の強調しているVigilance−Avoidance Theo増に. 当てはめて検討すると,対人不安傾向の高い個々人は,対人場面での不安を発見すること を促準ずるために不安に関する注意バイアスを示すが,長い間その状況に自分を晒すこと に耐えられず,実際にはその状況の精緻化処理を回避するということになる。一. サのたダ),. 対人不安傾向の高い個々人は,その不安場面を現実的に評価するためにおこなう必要があ る不安場面の正確な再生処理をおこなうことが困難になるのではないかと考えられる。こ の結果は,、対人不安傾向の高い実験協力者が対人不安を維持してしまうことに影響を与え ていると考えられる。. 5.3ムdaptive I陰{brma七io益Processin9. Adapting Ihfbmlation Processi丑g(適応的情報処理モデル;以下AIP)は,:EMDRの治療. セッションの問に観察された臨床上の現象を説明し,そして実践中の臨床家を効果的な適 用に導くために作成されたものである(胡桃沢,2004)。AIPでは,体験された出来事のイメ. ージ,感覚,思考や感情そして身体感覚などの記憶の要素はひとつの情報の集合体として 記憶のネットワーク内に貯蔵されており,それらが記憶のネットワーク内のほかの情報と 相互に連結していると考えられている(東郷,2007)。. 一15一.
(21) このモデルによると不快な記憶は,日常生活の中で類似の状況に遭遇し,意識化するこ とにより処理が促進され,過去の出来事として貯蔵されていく。しかしながら,ひどい心 的外傷を経験すると,神経伝達物質やアドレナリンなどの変化によって神経系統のアンバ ランスが生じ,機能不全の状態に陥り,その出来事の際のイメージ・音・感情や身体感覚 を含む情報は神経学的に混乱した状鱒のまま維持される(Shapiro,2001)。このような記憶. をEMDRで処理することによって,肯定的な記憶のネットワークに関連付けを行い,現 在の行動の修正や肯定的な感情を引き出すことが可能になると考えられている。. 6.対人不安に対するEMDR及びRDIの効果. シャイネスに言及したEMDRの効果の検討の先行研究は見うけられないが,対人不安 に対する治療効果の検討は,本邦においてこれまでに1件報告されている。鈴木(2003)の. 症例報告によると,思春期・青年期の代表的な問題として対人不安を取り上げ,EMDRの 適用を試みている。その結果,対人不安の症状形成がより明らかになり,治療の効果とし てはこれまでにエビデンスの構築されているその他の心理療法と遜色ない経過をたどった. と報告している。また,EMDRを用いることのメリットとして,対人不安を生じさせる原 因となった記憶の苦痛度についてSubjective Unit of Disturb鋤ce Scale(主観的障害単. 位;以下SUDs)を用いることや再処理が十分に行われたことを示す単位としてのvalidity of CQgHition(認知の妥当性;以下VbC)など治療の効果を数値で示すことができ,治療効果. をクライエントと治療者が認知し,共有できる点が大きな特徴であると述べている。しか しながら,鈴木(2003)の報告は事例研究であり,今後シャイネスを含む対人不安全般に対. するEMDRの効果の検討が望まれるだろう。 ところで,EMDRを抑うつ傾向に対して用いた一連の研究(e.g., Ichii,2003;城間,. 2004;上原,2005;岡田,2006)において,EMDRが有効であったと報告している研究が多 い。これらの研究はEMDRにおけるRDIという技法を用いて介入を行っている。 AI董bno, Joine鴨&Perry(1994)によると,シャイネスとうつは正の相関が示されることを報告して. いることから,シャイネ冬に対してもRDIが効果を有する可能性が示唆される。. しかしこれまで,RDIに用いるポジティブな感情を生じさせる記憶を,問題となってい る場面と関連のある記憶か,そうでない記憶かという記億の同一線一非同一線の次元及び,. 対象者本人が体験した記憶か,対象者が良いお手本と感じた他者のイメージかという記憶. 一16一.
(22) の実体験一モデルという2次元で記憶の内容を耳分し効果の検討をしている研究は,不十 分な検討に終わっている(e.g.,上原,2005;岡田,2006)♂さらに,榊(2005)は,自伝的記. 憶の愚暗時におけるポジティブ度・想起時のポジティブ度・重要度という要因を用いて感 情制御を促進する自伝的記憶の性質を検討している。その結果,実験協力者にとっていか にポジティブな記憶かというよりもむしろ,いかに重要な記憶かという点が出来事の想鐸 による気分の変化に有意な影響を示したことを報告している。この結果から,RDIに用い る記憶を選択する際にも対象者にとってその記憶の重要度は,RDIの効果に関連すると考 えられる。また,東郷(2006)は,高校生の自尊感情を高める目的でRDIを実施し,その際 に記憶のポジティブ度・重要度・鮮明度といった要因による検討を行っている。その結果,. RDIの効果に影響のある要因として,記憶のポジティブ度及び記憶の重要度を挙げ記憶の 鮮明度は影響しないごとを明らかにしている。. 7.本研究の目的. 本研究全体の目的は,大学生のシャイネスに対するRDIの効果の検討を行うこととする。. その際RDIの治療プロトコルの中の要因として,実験協力者を対人場面においてシャイネ スを感じている健常な大学生及び大学院生を対象として,想起する内容の異なるRDIにお けるシャイネスの軽減効果の検討を行うことを目的とする。. 具体的には研究1において,RDIを実施する際に取り上げる記憶として,対処したい問 題と関連の強い記憶(以下;同一線上の記憶1)と関連の無い記憶(以下;非同一線上の記憶2). の要因,そして,対象者が実際に体験したことのある記憶(以下;実体験)と対象者が実際. に体験したわけではなく他者やアニメのキャラクターなどの対処したい問題に対して高い 能力を有すると被験者が感じるモデル(以下;モデル)の要因が混在している点に着目し, 1同一線の記憶とは,例えば対象者が対処したい問題として「友人を遊びに誘う場面で断られるかどうか について不安に感じる」ことを挙げた場合,例外的に友人等の他者を何かに誘う場面で成功をして,ポジ ティブな感情を想起した記憶等が考えられる。. 2非同一線の記憶とは,例えば対象者が対処したい問題として「友人を遊びに誘う場面で断られるかどう かについて不安に感じる」ことを挙げた場合,他者の前で発表をして,とても賞賛され嬉しかった記憶等 の対処したい場面と関連性が低い記憶が考えられる。. 一17..
(23) 想起する記億の内容がRDIの効果に与える影響を検討する。 そして研究Hとして,榊(20σ5)の述べている記憶の内容の重要性という概念及び東郷. (2006)の述べている記憶の鮮明度がRDIの効果に与える影響を検討することを目的とす る。具体的には,RDIに用いた記憶について各実験協力者に対して重要度及び鮮明度を評 定してもらいそれを基準として重要度高群・重要度低群及び鮮明度高群・鮮明度低群に区 分しRDIの効果に与える影響を検討する。. 一186.
(24) 第2章研究1. 1.全体の目的. 本研究全体の目的は,大学生のシャイネスに対するRDIの効果の検討を行うことである。. 先述したとおり,これまでのRDIの先行研究は,対象者を拗うっ傾向のある大学生を対象 としたものがほとんどであり(e.g。, Ichii,2003;城間,2004;上原,2005;岡田2006),シ. ャイネスに対してRDIを実施した先行研究は見受けられない。しかし, Alfb簸。, Joi珠e鴨&. Perry(1994)は,シャイネスと抑うつ傾向の関連を検討し,両者は緩やかな相関関係がある. こ≧を報告している。このことから,撫うつ傾向を対象としたRDIの効果の検討を基にシ. ャイネスへの効果を検討する。拗うつ傾向を対象とした先行研究の結果からは,RDIを実 施した場合と実施後を比較すると実施後のほうが有意に抑うつ傾向に伴う不快感情が低下 していると考えられる。. しかしこれまで,RDIに用いるポジティブな感情を生じさせる記憶を,問題となってい る場面と関連のある記憶か,そうでない記憶かという記憶の同一線一非同一線の次元及び,. 対象者本人が体験した記憶か,対象者が良いお手本と感じた他者のイメージかという記憶. の三二験一モデルという2次元で記憶の内容を区分し効果の検討をしている研究は,不十 分な検討に終わっている(e、9.,上原,2005;岡田,2006)。そこで研究1では,想起する記. 憶の内容を操作的に定義し,同一線×実体験・同一線×モデル・非同一線×実体験・非同. 一線×モデルの4群におけるRDIの効果の検討を目的とする。具体的な4群の概要につい てはFiguτe.3に示す。. 非同一線. 叢. 同一線. 十. 十. 実体験. 実体験 由. 一. 非同{線. 同一線. 士モrrル 差. 十. cfル. Figure.3 R創に用いる記憶の蔓国. 一19り.
(25) 2.仮説. 研究1における仮説としては,以下の3点が考えられる。 1.抑うつ傾向に対してRDIを実施した先行研究の結果によると, RDIによって掬うつ傾 向の低下が報告されている。Alfbno, et、al.(1994)が述べているように,抑うつ傾向とシャ. イネス傾向は関連があることを考慮すると,シャイネス傾向に対してもRDIは同様に効果 を示す。. 2.上原(2005)によると,RDIに用いる記憶を実験協力者が実際に体験した記憶に限定す る群と,実験協力者が実際に体験した記憶ではなく自己のお手本となりうるモデルとの関. 係に注目をおく群の2群で比較した場合,群の主効果は見られず全ての群においてRDI の主効果が示されている。そのことより,RDIに用いる記憶を実体験とモデルに区分した 場合,効果に差は見られず両三とも有意にRDIの効果が示される。 3.岡田(2006)によると,例外探し的に記憶を想起してもらう群(同一線)と,非類似の記憶. を想起してもらう群(非同一線)によるRDIの効果を検討し,非類似の記憶でRPIを行った 群がより効果が報告されたとしている。また,守谷他(2007)の研究においても対入不安傾. 向高群は,対人場面における曖昧で肯定的にも否定的にも判断できる状況において否定的. な解釈をしてしまう判断バイアスを報告している。このことより,RDIに用いる記憶を同 一線の記憶と非同一線の記憶に区分した場合,同一線の記憶では,否定的な解釈をおこな. いやすくなる可能性があるため,非同一線の記憶によるRDIを用いた群のほうがより効果 が示される。. 3.研究1’. ¥備調査. 3.1.目的. 研究1の予備調査では,シャイネス傾向の高い実験協力者を収集するために,既存のシ ャイネスを多面的に測定することのできる尺度によって,実験協力者を選択することを目 的とする。. 一20一.
(26) その際に本研究におけるシャイネスの定義である,「現実の,あるいは想像上の対人場面. において,他者からの評価に直面したり,もしくはそれを予測したりすることから生じる 不安状態であり,’その対人不安の反応は,主観的(認知的)な要素と生理的な要素,さら. た行動的な要素の3つから構成されており,その3つの側面を総合的に判断するべきもの である」という定義に合致した自己記述式の質問紙を用いて実験協力者を選択する。. 32.方法. 3.2.1.材料. シャイネスを測定する尺度は,これまでに多く作成されている。例えば欧米でに,Cheek &Bus8(1981)のshyhess scaleや, Leary(1983b)のlnteraction anxiousロess scaleまた,. Watson&Friend(1969)のSQcial avoidance a臓d distress scaleなどがある。しかし,この. ような尺度には,以下のような問題が挙げられる。例えば,Cheek&Buss(1981)のshyness. scaleは,シャイネスの経験や行動に限定した項目で構成されており, Leary(1983b)の Interaction anxiousness scal白や, Watso益&恥iend(1969)のSocial avoidahce alld. distress scaleは,故意に行動的要素が排除され,社会的状況での不安傾向のみ測定してい る。. さらに本邦では,今井・押見(1987)が,シャイネス尺度を作成しているが,項目の選 定基準に疑問が残るとともに,妥当性の検討が十分ではないように思える。また,桜井・ 桜井く1991)はJones&Russell(1982)の作成したSocial Reticence Scaleを邦訳したシャイ. ネス尺度目本語版を作成したが,項目全体相関の低い項目が含まれており,さらに累積寄 与率も高くなく,今後改善が待たれる尺度であると考えられる。さらに,相川(1991)の作. 成した特性シャイネス尺度は,近年の不安の3側面という多面的測定の視点の一つである 認知的側面が検討されていない。. このような問題点を考慮した質問紙として,鈴木・山口・根建(ig97)の早稲田シャイネ. ス尺度似下;WSS)がある。 WSSは,本研究におけるシャイネスの定義である,「現実 の,あるいは想像上の対人場面において,他者からの評価に直面したり,もしくはそれを 予測したりすることから生じる不安状態であり,そのシャイネス反応は,主観的(認知的). な要素と生理的な要素,さらに行動的な要素の3つから構成されており,その3つの側面. 一2レ.
(27) 々総合的に判断するべきもの」という内容を尺度作成の際の定義として用いており,項目 についても内的整合性や臨床的妥当性などを検討し,おおむね満足のいく結果を得ている ことから,本研究で用いるに十分な尺度であると判断した。そこで本研究では,WSSを用 いて対人不安傾向を測定することとした。. WSSは,全25項目から構成されている。項目は,5因子で構成され,各因子とも5項 目の下位尺度からなっており,因子1:行動(消極性),因子2:感情(緊張),因子3: 感情(過敏さ),因子4:認知(自信のなさ),因子5:認知(不合理な墨考)となってい. る。回答形式は,1:まったく当てはまらない,2:あまり当てはまらない,3:どちら ともいえない,4:だいたい当てはまる,5;ぴったり当てはまる,の5件法であり,合 計得点は各因子とも5点から%点の間に分布し、得点が高いほどシャイネス傾向が強い ということになる。なお,全25項目のうち10項目は逆転項目である。. また,WSSは上記のような5因子によって,認知,感情,行動の3側面を個別に測定 することもできるが,全俸でシャイネスという一つの概念を測定することも可能である。. 本研究は,シャイネス全般を研究対象としているので,合計得点を基にシャイネスを測定 することにした。WSSによる臨床群と健常群のカットオフ値:は存在しないため,本研究に おいては対象者の平均得点よりも高い得点の実験協力者をシャイネス傾向高群とした。. 3.2.2.対象者. 大学生および大学院生173名に実施し,そのうち有効回答は1物名で,男性77名(平 均年齢21.44歳,標準偏差1.81),女性95名(平均年齢21.23歳,標準偏差1.65)であ った。なお有効回答率は99.4%であった。. 3.2.3.手続き. WSS調査用紙を大学生および大学院生に,講義の時間や,個別に調査用紙を配布し,回 答を依頼した。調査用紙には,後の実験に参加してもらうために,氏名,年齢性別およ び連絡先を記入する欄を設けてあった(資料1,参照)。. 一22一.
(28) 4.結果および考察. 4。1.WSS合計得点に関する性差による検討. 本研究で得られた結果を分析する統計パッケージは,SPSS(15.OJ fbr windows, SPSS. 社)を用いて分析を行った.WSSの得点の平均点を実験協力者の性別ごとに算:出した.結 果をTable。2に示す。. Table.2 WSSの得点の平均値と標準偏差(ハ句72) 男性(ハ潭77) 女性(ハ犀95) 全体(飛172>. 性別 平均値:. 70.40(15.42). 74.14(12.45). 72.47(13.94>. ()内は標準偏差を示す. 鈴木他(1997)によると,WSSの得点に関して性別による得点の差は存在しない。本研究. の実験論力者においても,性差が現われないかどうか確認するために,性別によるWSS の得点の一元配置分散分析を試みた。その結果,本研究の実験協力者のWSSの得点にお いても,有意な性別による得点差は存在しなかった(双1,170)=3.086,p>.1)。そのため, WSS. の得点については性別の要因を除いて今後の検討を行うこととした。・. 4。2.WSS合計得点による対人不安傾向高群および対人不安傾向山群への弁別. 本研究におけるWSSの平均得点である72.47点より得点の低い実験協力者をシャイネ ス傾向低回とし,平均得点より高い実験協力者をシャイネス傾向高群という2群に弁別し た。その結果をTable3に示す。.. Table,3 WSSの得点上位群と下位群の王均値と標準偏差(A』172) 得点下位群(ハ』86). 得点上立群(ハ揖87). 性別. 男性(薙36). 平均値. 82.97(9.20). 女佐(ハ局1). 男性(ハβ41). 女性(ム島44). ε3.02(9.04). 年9。37(10.5φ). 63,84(6.46). ()内は標準偏差を示す. 一23一.
(29) WSSの得点によって弁別したシャイネス傾向高群とシャイネス傾向低群の問には,有意. な得点の差が存在すると予測される。そこで・弁別したWSSの得点の高低および,性別 による二元配置の分散分析を行った。結果,シャイネス傾向高低の主効果が(夙1,168)離 244.764,〆.001)で有意であった。また、性別とシャイネス傾向高低の交互作用は有意で はなかった。. 以上の結果より,今回WSSを用いて抽出した実験協力者は,シャイネス傾向の高低に よって有意に,弁別がなされていると考えることができる。そこで,本調査の結果より,. 今後の実験における実験協力者として妥当であると判断し,WSSの得点が73点以上のも のをシャイネス傾向高群として今後の実験協力者とした。. 5.研究1本実験. 5.1.目的. 想起する記憶を操作することが,シャイネス傾向高群に対するRDIの効果にどのような 影響を及ぼすかを検討することを目的とした。. 5.2.方法. 5.2ユ.実験協力者. 予備調査で選別したシャイネス傾向の高い大学生及び大学院生32名を実験協力者とし て選別した。内訳は,男性18名(平均年齢23.06歳,標準偏差1.44),女性14・名(平均年齢. 22.31歳標準偏差1.25)であった。Table.4に内訳を示す。. 、Table.4実験協力者の平均年齢とWSSの平均得点(傘32) 男性(ハ』18). 女性(ハと14). 平均年齢. 23.06(1←44). 22.31(1.25). WSS平均. 79.67(7.20). 79.?9(6.99). 〈)内は標準偏差を示す 一24一.
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