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金属加工と環境教育についての実験授業展開

A Study on Metal Working and Environmental Education

佐藤博 小野一人 渡辺武

HiroshiSATO KazutoONO TakeshiWATANABE

 科学技術の進歩とともに地球環境やゴミ問題が深刻化している現在,環境教育の面からもアルミ缶 のリサイクルについてとりあげることが必要であると考えられたので,生徒にアンケート調査を実施 し,それをもとに技術科金属加工領域におけるリサイクルの授業,特にアルミ缶を用いた環境教育を, どのように進めたらよいか,そのためにはどのような教材・教具が必要か検討し,実験授業の実施を 試みた.その結果,アルミ缶を実際に溶かし鋳造することが,アルミ缶のリサイクルの意識を高める 上で重要であることがわかった.このように技術・家庭科教育(金属加工領域)において,リサイク ルということに目を向けさせ,環境教育を含む教材内容を提示したことは,重要な意義のあることと 考える. キーワード:金属加工,環境教育,リサイクル,アルミ缶,アルミニウム

1 はじめに

 日本は,鉄,アルミニウムの需要は多いが,金属資源 に乏しく,鉄,アルミニウムはその鉱石の全量を輸入し ている.また,金属を精錬したり,加工したりするため には,大量なエネルギーを消費するが,そのエネルギー 資源にも乏しい.アルミニウム缶(以下アルミ缶と記す) は,捨てればゴミとして処理される.しかし,アルミ缶 から再生地金を生産すれば,アルミニウム1kgを製造 するのに0.5∼0.6kWhの電力ですむ.したがって,アル ミ缶など不要になった金属製品を回収して再利用(リサ イクル)するなどして,限りある金属資源とエネルギー を有効に利用するなど,省資源の面からも考えていかな ければならない.  一方,科学技術の進歩とともに地球環境やゴミ問題が 深刻化している現在,環境教育の面からもアルミ缶のリ サイクルについてとりあげることが必要と思われる.こ のような現状にかんがみ,技術科教育においても,この 環境教育の必要性を考えてみた.すなわち,技術科金属 加工領域において,アルミ缶のゴミの処理とリサイクル について考えさせるという環境問題を取り上げた教材の 検討を試みた. II 研究方法 どのような教材が望ましいか検討する前に,生徒が, *技術職業科教室 **山梨県総合教育センター 缶の加工法およびリサイクルについてどのように考えて いるかを把握し,環境問題に関しての生徒の考えを予め 明らかにしておくことが大切であると考え,アンケート 調査を実施した.それをもとに,金属加工領域における リサイクルの授業,特にアルミ缶を用いた環境教育を, どのように進めたらよいか,そのためにはどのような教 材・教具が必要か検討を重ね,実験授業の実施を試みた. 班 研究内容 1アンケート調査 (1)調査日:平成5年4月下旬 (2)対象者:表1に示す山梨県下の中学校4校の生徒 (3)調査の結果および考察  問題1,2は,ジュース等の缶に関する材質,加工方 法にっいてどのような理解をしているか調べるための問 題である.問題3∼7は,空き缶に対する意識 リサイ クルおよび環境問題をどのように考えているか調べるた めの問題である.問題1∼7とその結果を図1∼7に示す. (4)調査結果および考察  問題1,2よりジュース等の缶は,アルミニウムで作 られているということはわかっているが,その製造方法 は,ほとんどわかっていないことがわかった.  問題3∼6より,リサイクルという言葉は知っている が,その意味など,具体的なことはわかっていないこと がわかった.  問題7からは,「ゴミを減らす・分類して出す⊥「リ サイクルする」,「大気・川・海を汚さない」など,ゴミ

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問題に関する記述が多く見られた.ゴミ問題が深刻化し ている現在,環境教育の面からもアルミ缶のリサイクル  この調査結果を参考にして,アルミニウムやアルミ缶 表1 生徒に対するアンケート調査対象者(平成5年)        (単位:人) 学 年 3 年 合 計 学 校 性 別 男子 女子 甲府市立北西中学校

54

55

109

甲府市立西中学校

52

50

102

竜王町立玉幡申学校

85

91

179

合  計

191

196

387

問題t ジュース等の缶はどんな材料で作られているか。       男子     回答率 (%) 100   80    60    40    20    0      女子     回答率  (%) 0    20    40    60    80   100

 0

男子 女子 男子 女子 問題4 問題3で資源と答えた人は、なぜあき缶が資源になるのか    その理由を答えてください。       回答率 (%) 100 0 男子 女子       知らない        溶かして使える 図4 アンケート調査問題4の結果 省資源1 問題5 リサイクルということばを知っていますか。        回答率  (%)  20         40         60         80 loo 図5 アンケート調査問題5の結果 無回答  問題6 問題5で知っていると答えた人はその意味を説明してください。        回答率  (%) 0      20         40         60         80         100     図1 アンケート調査問題1の結果        男子 問題2 ジュース等の缶はどのようにして作られるか知っていることを    書いてください。      女子        回答率  (%)     20         40         60         80         100

讃灘

 :%/ サの他   知らない

@/ z

無回答 機械6   、 @ べ A_1

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工場七

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  4        ↑ 型に押し込む  伸ばす     図2 アンケート調査問題2の結果    問題3 あなたは空き缶はゴミであると考えますか。        (a)ゴミである (b)資源である        回答率 (%) 0         20         40         60         80 男子 女子 100        もとのもの。;、↑,6他        集めて使う      図6 アンケー一ト調査問題6の結果 問題7 地球環境問題のことがさわがれていますが、あなたは環境を     汚染しないためには、どのようなことができると思いますか。      男子      女子    回答率  (%)      回答率  (%)  50 40 30 20  10  0       0  10 20  30 40  50   ↑ わからない 図3 アンケート調査問題3の結果 図7 アンケート調査問題7の結果

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の製造方法を理解させ,さらに,アルミ缶がどのように リサイクルされるのか,また,飲み終えたアルミ缶の処 理はどのようにしたらよいのかを考えさせる教材の内容 を検討した.

2実験授業

(1)題 材  金属加工領域におけるリサイクルの授業  「アルミ缶を用いた教材」 (2)題材の位置付けについて  本題材は金属加工領域のまとめの学習として,また, 技術科教育における環境教育の視点として位置付けた. 指導計画にもあるように,金属の性質・特徴・加工法等 の確認,その応用発展としての学習のまとめだけに終わ らず,金属の再利用(リサイクル)ということに目を向 けさせた環境教育の視点としての学習内容を取り入れ, そこに重点を置いた.したがって,この題材の実戦を通 じて,今までのような金属加工の学習のまとめとしてだ けに終わるのではなく,金属の有効利用(ここではアル ミ缶のリサイクルについて)にまで目を向けるというこ とを,生徒の意識の中に育てていきたいと考えた. (3)指導計画  指導計画を表2に示す.本授業は,金属加工26時間の 中で,単元「金属の利用と役割(2時間)」として行っ た. (4)授業実施日・場所  平成5年6月21日(月) 表2 指導計画 金属加工領域 学  習  項  目 時数 学   習   目   標 指導上の留意点 1.金属と私たちの生活 (1) ・金属と生活との関係について考える. ・金属利用の歴史に もふれさせたい. 2.金属の性質と特徴 (2) ・金属材料の性質と特徴およびその適切な使用法を理 ・いろいろな材料と 解する. 工具を準備し加工 実験を行う. 3.設計 (9) ・厚紙を用いて模型 (1)機能 1 ・使用目的や使用条件に即して,機能を考える. をつくらせてみる. (2)構造 1 ・じょうぶな構造の工夫を理解する. ・簡単な実験具によっ (3)加工法 2 ・手工具や機械を用いた金属の加工法を理解する. て理解させる. (4)設計のまとめ 3 ・製作に必要な構想図や製作図がかける. ・加工する順序や使 (5)製作の準備 ・製作に必要な工程表,材料表をまとめる. 用する機械,工具 2 ・安全作業の注意事項をまとめることができる. を理解させる. ・工具の取り扱いと 作業の安全に注意 させる. 4.製作 (12) (1)けがき 1 ・けがき用工具を用いて正確にけがくことができる. ・作品の表にけがき (2)部品加工 7 ・製作に必要な金属加工用手工具を適切に使い,材料 線が出ないような 切断 穴あけ の加工が正確にできる. 工夫をさせる.

折り曲げねじ切り

(工作機械の仕組みと操作方法を知り,機械を適切に ・機械での加工中は, やすりがけ(旋削) 操作して加工することができる.) 顔を加工部分に近 (3)部分検査 1 ・測定具を用いて部品検査が正しくできる. づけないよう注意 (4)組立 3 ・はんだ付けやリベット接合で組立が適確にできる. させる. ・ノギスの読み方を 理解させる. 5.金属の利用と役割(本時) (2) ・金属の有効な利用と新しい加工技術,および資源と ・金属製品の再利用に ・学習のまとめ 環境について理解を深める. 目を向けさせたい.

(4)

 甲府市立北西中学校 技術室 (5)授業対象生徒  甲府市立北西中学校  第3学年2組(男子17名,女子17名) (6)本時の学習目標  (ア)アルミニウムの有効利用(リサイクル)につい     て理解し,説明することができる.  (イ)アルミニウムの特徴と加工方法を確認し,説明    することができる. (7)展 開  授業展開を表3に示す.日常よく目にする缶ジュース や缶ビールの缶が,実際にリサイクルされているという 表3 授業展開 過程 学 習 の 流 れ 教  師  の  活  動 生  徒  の  活  動 備   考 始 め 目標を知らせる ・目標の確認をする。 E学習シートに自分の考えを書いて ンる。 インゴットの材料等 フ予測 ・本時の目標を知らせる。 Eアルミニウムのかたまり(インゴ bト)を見せ、材料等にっいて質 竄キる。 ・学習シート Eインゴット 槙w習への興味をそ @そがせる アルミ缶の特徴をっ ゥむ 発表   補 金属のリサイクルを lえる 発表 ・アルミ缶の特徴(性質・形状・構 「など)にっいて質問する。 @ *飲んだ後の処理の仕方にっい @ ても問う。 E金属の有効利用をもとにしたリサ Cクル活動にっいて触れる。 @ ・リサイクルの意味を問う。 @ ・金属の例をあげさせる。 @  アルミ缶のリサイクル活動 @  について Eアルミ缶を実際に溶かし、アルミ jウムのインゴット(再生地金) ェ作られる様子を観察させる。 @  *観察上の注意 @   温度が高く危険が伴うの @   で周りでふざけたり、顔 @    を近づけたりしない。 E実験のまとめをする。 @ 導入で見せたインゴットを比 @  較してみせる。 ・予想される生徒の反応 @ 〈アルミ缶の特徴〉 @  軽い、丈夫、高価 @  さびにくい、加工しやすい @  再利用できる Eアルミ缶の特徴を発表する。 E班の話合いをもとに、学習シート ノ自分の考えをまとめる。 E班の代表者が発表する。 E観察上の注意をふまえ、実験を注 モ深く観察する。 E学習シートに実験の結果をまとめ @る。 ・スチール缶 Fアルミ缶 E学習シート 鮪?フリサイクルを @例に取り上げてみ @る。 E電気炉、るっぼ、 @とんぐす、鋳型 桝葡uを700°Cに調 @節し、予めアルミ @缶20個を溶かして @おく。 Eアルミ缶 Eインゴツト アルミ缶の実験の観

@

実験のまとめをする リサイクルをビデオ ナ観察する ・ビデオで、リサイクルによって再 ムアルミニウムのかたまりとなっ ス缶がもとのアルミ缶となってい @く様子を観察する。 E本時のまとめをする。 ・アルミ缶のリサイクルをビデオで マ察する。 Eリサイクルに関して、自分達には ヌのようなことができるのか考え lえる。 ・ビデオ装置 麻潟Tイクルという 挙_で、加工法を @を確認させる。

EOHP

E学習シート Eアルミ缶 リサイクル活動にっ 「て考えさせる

(5)

図8 実験装置

灘慰離

図9 アルミ缶の溶解 ことをもとに,構成を考えた.初めはスチール缶とアル ミ缶の材質の違う2種類のものを取り扱い,ペットボト ルのようなプラスチック類もそれらと比較させながら, リサイクルについての学習を深めていくという内容の構 成を考えた.しかし,材質の違う金属や他の材料を取り 扱うことは,学習内容が複雑になり,授業の流れが自然 にならなくなること,また学習のポイントがぼけてしま い,生徒に混乱を招くおそれがあることなどから,学習 内容をアルミ缶のリサイクルを中心とした構成にした. そこで,アルミ缶のリサイクルを体験的に考えさせるた めに,生徒の目の前で,実際にアルミ缶を溶かしてみせ, 再生地金ができる様子を観察させた(図8,9参照). この実験を行う装置については,陶芸用の炉を使うこと も検討したが,若干の問題点(高温で取り出し不可,耐 熱対策,温度調節等)が伴うため,図8に示すような電 気炉(カンタル線炉)を使用した.アルミ缶の溶解を図 9に,鋳造されたアルミのインゴットを図10に示す.な お,再生地金から製品としてのアルミ缶を製造すること は,事実上不可能なことなので,ビデオ観察でアルミ缶 製造方法を確認させることにした. 図10 アルミニウムのインゴット (8)学習シートについて  使用した学習シートを表4に示す.点線で囲ってある 部分は,解答例・返答例である.実験授業では,本題材 の授業における学習効果を高めるため,また生徒一人一 人の考えを引き出しやすくするため,さらに環境教育の 視点としてのリサイクルについての意識を高めさせるた めの教具として学習シートを使用した.  学習シートは授業の流れに沿って使用できるようにし た.また,記入欄は,発問の内容によって,個人の考え と班で話し合った内容のどちらかで記入させた.時間的 な制約があり,ゆとりをもって記入する時間はなかった が,多くの生徒が最後まできちんと記入していた.特に, 『実験を通して,感激したことを書こう』と『リサイク ルに関して自分達にできることを書いてみよう』のとこ ろでは,自分の率直な感想や前向きな考えがしっかりと 記入してあるものが多く,授業についての興味・関心が 高かったことを示していた.

IV 事前・事後調査の結果および考察

 アルミニウムの製造方法やアルミ缶の製造方法に関す る学習についての理解と意識の変容(特に『アルミ缶が どのようにリサイクルされるか,またアルミ缶のゴミの 処理はどのようにしたらよいのか』)を調べるために, 授業の前後で調査を行った.その調査問題を表5に示す. 調査問題は事前が9題,事後が問題10∼12を加えた12題 で行った.結果を図11∼16に示す.  問題1,2は事前・事後とも,全員が紙・缶ともに資 源であると回答した.  問題3の結果を図11に示す.正解が62%から29%に減 少した.○は正解,xは不正解を示しており,事前・事 後で正解,不正解の数がどのように変化したかを示した ものである.正解が正解になったものが10人で,正解が 不正解になったものがll人で,不正解が不正解になった ものが13人であることがわかった.これは,アルミ缶の 溶解と鋳造のことが,あまりにも強烈な印象として残っ

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表4 学習シート

金属加工領域学習シート

( )年( )組( )番氏名( 1.棒状のものは何だろう。   1金属のかたまり,鉄のかたまり,アルミニウムのかたまり: 2. (!アルミ1)缶の特徴   :〈構造・形状〉      :   1  ・底がへこんでいいる      1   :  ・首が波状になっていて,だんだん細くなっている     :   1  ・塑性加工されている→加工硬化→じょうぶ        1   :<性質・その他>       l   i  ・軽い,さびにくい,加工しやすい,じょうぶ,美しい,高価i   l  ・再利用できる       1 3.①リサイクルとは    :一度使用した資源を再生して,繰り返し利用すること。1  ②(1アルミ1)缶の場合    i資源ゴミ・有価物などでアルミ缶やスチール缶を分けて出す。i    :       ↓      ’    :   再生することにより,もとと同じ缶ができる。    ; 4.実験の観察       1’‘一一一’・  ①金属を溶かして、かたにいれて製品を作ることを(1鋳造1)というe  ②実験を通して、感激したことを書こう。    ;・アルミ缶が溶けたこと       1    :・アルミ缶を目の前で溶かして型に入れたこと      :    i・テレビでしか見れないようなことが目の前で見れた などi ) 5・

嚊i轡

   :・アルミ缶の製造方法について      :    ;・アルミ缶のリサイクルについて   など: 6.学習のまとめ  *リサイクルに関して自分達にできることを書いてみよう。    :・アルミ缶を有価物回収の日に持っていく        :    :・アルミ缶をスチール缶と分類する       ;    :・町などでアルミ缶を拾い集めたり,回収したりして   1    : 再生工場へ持っていく       などi

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:      1は解答例・返答例 ていたため,(イ)の「金属材料の溶ける性質を利用して 作られている」を選んだと考えられる.この点は今後の 課題である.  問題4において,「鋳造」と回答したものが,事前の 32%から100%になった.  問題5において「金属の中では重い」と回答したもの は,事前が97%,事後が100%,「金属の中では柔らかい」 と回答したものは,事前が94%,事後が97%,「さびに くい」と回答したものは,事前が94%,事後が100%で あり,かなりアルミニウムの性質を理解していることが わかった.  問題6において,「もとと同じ材質の紙ができない」 と回答したものは,事前が85%,事後が94%であった. また問題7において,「もとと同じ材質のアルミ缶がで きる」と回答したものは,事前が85%,事後が91%であっ た.紙,アルミ缶の再生について,かなり知っているこ とがわかった.  問題1,2,4∼7において,女子の事後は全て正解 した.  問題8において,「リサイクル」と回答したものは, 事前が94%,事後が97%であった.リサイクル例の結果 を図12に示す.2つ回答したものもいたので,複数回答 になっている.「紙」と回答したものは,事前の82%か ら事後の56%に減少した.「アルミ缶」と回答したもの は,事前の3%(男子0%,女子3%)から事後の38% (男子12%,女子26%)に増加し,特に女子が事後で多 かった.「缶」あるいは「アルミ缶」回答したものは, 事前の11%から事後の64%になり,かなり増加した.  問題9の結果を図13に示す.「ゴミ箱に捨てる」と回 答したものは,事前の68%から事後の9%に減少した. 特に女子が事後では0%になった.「資源ゴミの日に出 す」と回答したものは,事前の7%から50%に増加した. 「空き缶入れに捨てる」と回答したものは,事前の9% から21%に増加した.「分類して捨てる」と回答したも のは,事前の0%から18%に増加した.  問題10の結果を図14に示す.「鋳造」と回答したもの が44%,「溶かすところ」と回答したものが38%と多く, 両方で80%以上であり,実験に興味・関心が高かったこ とがわかった.一方,「缶の製造方法」と回答したもの は12%と低かった.これは,ビデオの内容が中学生には 難しかったことが,次の問題11の回答結果と授業後の聞 き取り調査でわかった.

(7)

問題11の結果を図15に示す.「なかった」 ものが53%と多かった.しかし, したものが12%,「リサイクル」 あり,今後の課題を残した.         と回答した 「ビデオの内容」回答 と回答したものが12% 問題12の結果を図16に示す.「一人一人がリサイクル を意識しなければならない」と回答したものが29%, 「アルミ缶はもとと同じ再生地金にもどる」と回答した ものが21%,「金属はリサイクルが簡単にできる」と回 答したものが15%,「いろいろな金属の特徴が楽しい」 と回答したものが15%であった.また「金属はゴミにな 表5 事前(問題1∼9)事後(問題1∼12)調査問題 金属加工領域に関するテスト〔技術・家庭科〕 ( )年( )組( )番氏名( ) 1.紙や缶にっいて、次の文の中で正しいと思うものを2っ選び、記号で答えよ。   ア.紙は、使用後はゴミにしかならない.   イ.紙は、使用後も利用の仕方によっては、資源となる。   ウ.缶は、使用後はゴミにしかならない。   エ.缶は、使用後も利用の仕方によっては、資源となる。       (    )(    ) 2.ジュースの缶は、 どんな金属材料を使ってできているか。2っ書きなさい。       (       )(       ) 3,ジュースの缶は、どのようにして作られていますか。下から一っ選び、記号で  答えよ。   ア.金属材料の伸びる性質を利用して作られている。   イ.金属材料の溶ける性質を利用して作られている。   ウ.金属材料を削って作られている。       (    ) 4.金属を溶かして、 かたに入れて製品を作ることを、何と言いますか。        ( ) 8.一度使用した資源を再生して、くり返し利用することを何というか。       (  また、その例を一っ書きなさい。 ) ◇ その他として質問します。あなたの考えを書いてください。 9.(Dあなたは、今後、缶ジュースなどを飲んだ後、あき缶をどのように処理し   ますか。 (2)それでよいと思いますか. 10.授業を通して、一番興味があったところはどこですか。 5.次の金属の特徴の中で、アルミニウムの特徴を述べているものを3っ選び、記 号で答えよ.   ア.金属の中では重い。   ウ.金属の中では柔らかい.   オ.さびやすい。 イ.金属の中では軽い。 エ.金属の中では硬い。 カ,さびにくい。  (   )(   )(   ) 6.次の文の中で、正しく述べられて.いるものを、下から一っ選び、記号で答えよ。   ア.紙は再生すると、もとと同じ材質(性質)の紙ができる。   イ.紙は再生すると、もとと同じ材質(性質)の紙ができない。   ウ.紙は再生することができない。        (    ) 11.授業の中で、理解しにくかったところはどこですか. 12.金属にっいての考えを自由に書いてください。 7,次の文の中で、正しく述べられているものを、下から一っ選び、記号で答えよ。   ア,アルミ缶は再生すると、もとと同じ材質(性質)の缶ができる。   イ、アルミ缶は再生すると、もとと同じ材質(性質)の缶ができない。   ウ.アルミ缶は再生することができない.        (    ) 事 .u. 削 事 後 ○ × ○ 10 11 × 0 13   図11事前・事後調査問題3の結果 (数字は人数,○は正解,×は不正解を示す)      問題9(1) あなたは、缶ジュースなどを飲んだ後       あき缶をどのように処理しますか。        事前       事後      回答率  (%)     複数回答     回答率  (%) 100  80  60  40   20   0       0   20   40  60   80  100

図13事前・事後調査問題9の結果

       事前      回答率 (%) 100  80   60   40   20 複数回答 0   0     事後   回答率 (%) 20   40   60   80   100 図12事前・事後調査問題8のリサイクル例の結果 0 問題10 授業を通して、一番興味があったところはどこですか。        回答率 (%)    20      40         60         80 100       4       アルミ缶のリサイクル 凶H 手1欠調且口旭1Wノ柏小

(8)

  問題11 授業の中で、理解しにくかったところはどこですか。          回答率  (%) 0      20      40      60      80      100 金属の特長・性質 図15事後調査問題11の結果 問題12 金属についての考えを自由に書いてください。          回答率  (%)     O     lO     20     30 アルミは再生地金にもどる 一人一人がリサイクルを 意識しなければならない 金属はリサイクルが 簡単にできる 金属の特長が楽しい  金属は硬いものと やわらかいものがある 図16事後調査問題12の結果 ることがない」,「アルミニウムは軽かった」などの回答 もあった.

V まとめ

 生徒に金属の加工方法とリサイクルに関するアンケー ト調査を行い,金属加工領域におけるリサイクルの授業, 特にアルミ缶を用いた環境教育を,どのように指導した らよいかを検討し,そのための教材・教具を作成し,実 験授業を行い,教育効果を確かめた.  実験授業は,学習シートを有効に活用しながら,再生 地金の提示,アルミ缶の特徴,リサイクルについての問 題提起,アルミ缶を実際に溶かして再生地金が作られる までの様子の観察,再生地金がアルミ缶になっていく様 子のビデオ観察,リサイクルに関する各自のまとめ,と いう授業の流れで展開した.  特に授業展開の中に,リサイクルを取り上げ,アルミ 缶を生徒の目の前で実際に溶かしてみせるという,金属 加工領域では今までに例のない学習内容を含んでいたこ とは,生徒に高い興味・関心を注がせた.学習シートに も,『実験を通して感激したことを書こう』のところに, 「アルミ缶が溶けたところ(62%)」,「溶かして型に入れ たところ(29%)」,「テレビでしか見られないことが見 れた(21%)」,「水に入れたときジュッといったこと(18 %)」などが記入してあり,実験に興味・関心が高かっ たことを示していた.また,『リサイクルに関して自分 達にできることを書いてみよう』のところには,「アル ミ缶を有価物収集の日に持って行く」,「アルミ缶を分類 する」,少数ではあるが「町などでアルミ缶を拾い集め たり回収したりして再生工場に持って行く」,「リサイク ルを呼びかける」,「再利用できるものを使う」などが記 入してあり,自分達がどうしなければならないかを,具 体的に示していた.

W おわりに

 実験装置がやや大がかりなこと,生徒自ら体験的に実 験できなかったことなど,今後の課題は残ったものの, 技術・家庭科教育(金属加工領域)の中へ,リサイクル ということに目を向けさせ,環境教育を含む教材内容を 位置ずけたことは,大きな意義があったと考えられる.  最後に本研究を行うに当たり助力をいただいた大手金 属株式会社富士工場長越後谷卓巳氏に感謝すると共に, アンケート調査でご協力いただいた入蔵靖彦,河西修, 中島浩三の各先生方にお礼を申し上げる.

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