D−KDP結晶の電気光学的特性と瞬間シャッタへの応用(I)
古屋直臣
霜村攻
(昭和45年10月24日受理)An Electro-Optic Characteristics of D-KDP Crystal
and it's Application for High Speed Shutter (I)
NaoomiFURUYA OsamuSHIMOMURASynopsis
As we have succeeded to growing the large single crystalS of KD2PO,(D−KDP), we measured the refractive indices of ordinary (no)and extraordinary(ne), the half−wave voltage (Kl2) of these single crystals, and the calculated the electro−optic constant (r63). The results of those are as follows in the wave−1ength 589.3nm at 20°C:no=1.5054, ne=1.4665;Vλ,2・=3920V;r63=−22.01×10『10 cm/V. In the next place, we calculated the relations between the transit light for the optical system of high speed shutter and it,s wave−length, applied voltage and the angle of incidence etc. by the use of these constants. Then, we made the D−KDP high speed shutter elements whose thickness is 1.Omm and 1.5mm respectively, sccondly took photographs of the filament of tungsten lamp by those shuttcrs. From those results, we made clear that it can decreases the leakage light according to a thillness of the crystal plate and works sufficiently as a shutter with the apPlied voltage of about 2,000V.1.緒
言 重水素リソ酸カリ(KD2PO4;D−KDP)単結晶は KDPグループに属する正方晶系の結晶で,電気光学 効果,圧電効果,強誘電性等多くの興味ある性質を有 している。D−KDPの電気光学定数はKDPのそれよ り約2・2倍も大で,かつ,キュリー点が一60°Cで 90°Cもより常温に近いので,電気光学効果の応用に は有利であり,すでにレーザ光変調器への応用も試み られている。ADP, KDPはすでに瞬間シャッタに応 用されているが1∼2),D−KDPは大結晶が得られなか ったことなどにより試みられていないようである。 D−KDPはその重水素純度を高めることにより,キ ュリー点がより常温に近づく3)など特性が向上するの で,筆者らはより高純度のD−KDPの合成,育成を試み ている。その結果,比較的大結晶(16・5×18・0×38・1 mm)が得られたので1),これら単結晶の屈折率,半・一 波長電圧,電気光学定数などの光学的特性を調べ,さ らに,D−KDP z−cut板を瞬間シャッタ素子へ応用す る際の光学系の通過光と波長,印加電圧,入射角等と の関係を調べ,実際にシャッタ素子を作製して,瞬間 シャッタとしての応用への基礎的特性を調べ一応の目 安が得られたので報告する次第である。 2・KDPグループ結晶の電気光学的性質1∼2) 2・1電気光学効果 一般に等方1生でない結晶の光学的性質は図一1に示す Fresnelの屈折率楕円体で表わされる。、結晶の主軸方昭和45年12月 山梨大学工学部研究報告 第21号
z
s (波面法線方向) 図一1屈折率楕円体 向をX,ツ,Z軸にとると楕円体は a2x2+6り2+c2Z2=1 (1) となる。ここで,α=1/nx, b=1/ny, c=1/nz(na・, ny, nzは主軸方向の屈折率)とする。 結晶が電気光学効果を有する場合には,結晶に電界 が加わると屈折率楕円体の主軸の長さと方向が変わり, 新しい楕円体は α、lx2+α22ツ2+a33Z2+2a23PtZ+2α3、Zx+2ai2xpt=1(2) で表わされる。 分極定数鰯の値は二次電気光学効果を無視した場 合,電界のκ,y, Z方向の成分をEx, Ey, E。と し,結晶の電気光学定数を吻とすると,;ii≡縫驚劃
iil≡iii麗il三i藷i/
で与えられる。 (3) いま,(3)式を便宜上次のマトリックスで表示する。 αユ1(sc2) α22(rv2) a33(z2) a23(PtZ) α31(zx) αユ2(鋤 rll r12 ア13 r21 r22 r23 r31 7ρ32 r33 ア41 7ρ42 r43 r51 r52 ア53 r61 r62 r63Ex
Ey
Ex (4) 正方晶系に属する結晶はその対称性から(4)式はパ・ α、、(κ2) α22(y2) a33(Z2) a23()z) α31(刈 α12㊥) となる。それゆえ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 r410 0 0 r410 0 0 C69、 、,ltEx
Ey Ez 〉’ (5)iii≡㌘/
ll謡/
となる。 ㈲ D−KDPを含むKDPグルt…プの正方晶系に属する 結晶はκ軸,.y軸方向の屈折率は等しく,£軸方向の それは異なる。そして,これらの結晶は電界を加えな い時には単軸結晶であるから屈析率楕円体は次式とな る。κ2;Z2+差一・ (7)
n。:常光線屈折率,ne:異常光線屈折率 つぎに,この結晶に電界を加えると屈折率楕円体は 回転し,双軸結晶となり,次式で示される。’ ㌃工+る+輪(E・y・+E…)+・佃瓦秒一1㈲ つぎに,D−KDP結晶のz−cut板について,£軸 方向の電界(E。)を加え,これと同じ方向から光が入 射する場合を考えてみると,Ex=Eッ=0, E.キ0で あるから,㈲式は次式となる。煤+芸+・r63E・ay−1 (9)
(9)式でZ2を含む項はZ2/n,2だけであるので,この楕 円体の主軸をξ,η,ζとすると主軸のひとつはZ軸 と一致しなけれぽならない。この方向をζ軸にとる。 また(9)式はX,.yについて対称式で,この対称性は E。の正負,大小によらず常に成立するので,κ,一), 軸を二等分する二つの方向が主軸ξ,ηであることが わかる。それゆえ,屈折率楕円体の(9)式をξ,η,ζの 座標系に変換すると 62( 1 2−十r63Ezno)+・・2(二・一戚)+暮一1(1・) となる。ところで,n。2r63E。<1であるから⑩式は次 のように変形できる。叫一ずi三ヂ郵+怠瓦y+暮
=1 (10 したがって,ξ,η,ζ軸方向の屈折率をnξ,nη, nζと すれば,・;;曇::::::1:} ⑫
θ
A
∂当
C B 、、 D ・E 表一1z−cut板における位相差 条 件 位 相 差 Ez=0 図一2z−cut板を通る光 E。キ0 0=0 θキ0 θ=0 θキ0 9=45° g == 135° δ=0 ⑳ δ=2・d.Z・已・2 sin・θ 2non,2 2 (20 2π n。3r63’v δ= 2 (v:印加電圧,v=Ezd) ⑳ δ一冾「・・7+旦蒜24㎡θ)㈱
δ一レピ・7一蒜誓…n2・e)an
となる。 2・2結晶のz−cut板における位相差 図一2のように,厚みdの平行平板結晶に入射角θで 光が入射すると,二つの波面法線方向AB, ACを持 つ光に分かれる。結晶を出た所における両者の位相差 δは δ一2・(AB BD AC 十 一2ξ λ 2η) λ:空気中における光の波長 2ξ:AB方向に進む光の波長 λη:AC方向に進む光の波長 である。 ⑬式と図一2より, δ一≒∂(・・C・・ω・一…C・・ω・) ⑬ (19 ⑭式より波長λの光がVd型結晶(D−KDP, KDP, ADP等)のz−cut板で厚みdの結晶を通過する間に 生ずる位相差δは次式によって与えられる。δ一ttliLd(VE・禁一VF3評)
ここで, F,==(一α2十b2){(−a2十b2)α4 sin2θ 一一 2α2b2g sin 2∼ρsin2θ十2a292 sin2θ 05) 十4a2g sin 2g}sin2θ十g2{(b2 sin 2g−g)2sin4θ 一4(b2 _g sin 2g)sin2θ十4} F2=2(a4−92) F3=2a2−(α4十a2b2−b2ξsin 9−−92)sin2θ ただし, α=1/n。,b=1/n,,9=r63’E。 r63’:高周波電界における電気光学定数 (これについては次節に述べる) ρ:偏光の入射面とX−Z平面とのなす角 ⑯ ⑰ ⑱ 瞬間シャヅタに使用する場合,入射角θは小さいの で,sin2θ<1が成立し, n。, neの値を考慮すれぽ, F2÷2α4, F3÷2a2が成立し,また, F3>F、とな る。この関係を用いると⑮式は次式のごとく簡単にな る。δ一陽瓦 ⑲
⑲式は電界を加えない場合(Ex=0)および電界は加 えられていても光h: z方向に入射する場合(θ=o)か 入射面とx−Z平面とのなす角が45°か135°の場合 (g=45°or 135°)には比較的簡単な式となる。 z−cut板における位相差をまとめて表一1に示す。 2・3 電界周波数の影響 D−KDP, KDP等の結晶では高周波電界に対して 電気光学定数r63の値が見掛け上低下することが知ら れている。 いま,自由状態にある結晶の電気光学定数をr63, クランプ状態にある結晶の電気光学定数をr63’とすれ ば,次の関係がある。r63⇒63’+P66d36 ㈲
ここで,P66:光弾1生定数, d36:圧電定数 これは,共振周波数より高い周波数の電界では結晶が クランプ状態になるので⑳式の右辺第二項が零となる ためである。 r63とr63’の関係は, D−KDPについてはT. R・ Sliker5)らによってr63’== O・ 92 r63であることが知られ ている。また,KDPではr63’=0・92 r635), r63’・= 0.89r632), ADPではr63’=0.62 r632)である。 結晶を瞬間シャッタに用いる場合には数μs以下の 幅のパルス電圧を加えるので,一般に高周波電界に対 する応答を考えなくてはならないので,電気光学定数昭和45年12月 山梨大学工学部研究報告 第21号 はr63’を用いる必要がある。
3.試料の加工
3・1半波長電圧測定用試料およびシャッタ素子と してのz−cut板結晶の加工 結晶の切断,研摩については,KDPの場合1)とほ ぼ同様であるが,重水素と軽水素の置換を避けるため にエチルアルコールを冷却剤として用いて切断した。 これらの試料作製には光学研摩が必要であり,しか も正しい軸合わせが必要である。光学研摩については, 文献1)と同様に行なった。その結果写真一1に示すよ うにほぼ透明に研摩することができた。これを金属顕 微鏡(オリンパス製ネオパーク)で表面を拡大してみ たのが写真一2で,表面に最大のもので深さ5μm以内 のきずがみられる。 つぎに,軸合わせであるが,研摩の各段階で偏光顕 微鏡を用いてコノスコープ像を観察し,正しくZ軸に 垂直な平板となるように研摩した。写真一3(a)はZ軸に 垂直な平板の場合で,写真一3(b)は垂直よりずれている 場合である。 3・2試料への電圧の印加方法 半波長電圧測定においても,シャッタとして用いる 場合にも,z−cut板に之軸方向に電圧を印加し,しか もZ軸方向より光を入射させるので,透明電極が必要 である。電極としてはネサガラスを用いた。このネサ ガラスを試料に密着させるわけであるが,KDPの場 合には接着剤を用いて接着したが/),この場合,試料 と電極間に層ができることになり,しかも接着剤の用 い方により気泡などを生じたりするおそれがある。そ こで,今回は試料片にネサガラスを弾力あるゴム等で 圧縮して固定する方法をとった。その構造を図一3に, 結晶および電極の大きさ等をまとめて図一4に示す。 写真一1 研摩した結晶板 写真一2研摩した結晶板の表面写真 (a)結晶板が光回に垂直の場合 4.屈折率の測定 電気光学定数r63は(2Z式より,ある波長に対する屈 折率,半波長電圧を求めることにより算出可能である。 そこで,D−KDP結晶など電気光学的性質を代表する 電気光学定数r63を求めるために,まず屈折率から測 定する。 4・1試料結晶の重水素置換率について 重水素D2が結晶中に含まれる割合は資料合成時と, 育成時に使用する重水(D20)の純度によるほかに高 純度(99・8%)のD20を用いても合成,育成等の各過程でD2とH2との置換が起こるので,使用した
D20純度と同程度の単結晶は得られない。 (b)光軸に垂直でない場合 写真一3z−cut板のコノスコーフ゜像E 1⑪D F B Dll llc A Cll llD B D{‘ A:D−KDP結晶 B:電極(NESAガラス) C:べ一クライト板 D:天然ゴム E:紙 F:リード線 図一3 半波長電圧測定試料およびシャッタ素子 結晶の大きさ 〔吋 ’ 電極(ネサガラス) フ大きさ〔mm〕 窓の大きさ’ 絶縁物 17.0 冾ン下 9 P.Omm田 百 ⊥ 旦 L17.5 5.5 @ 銀格子. ム 2一イ o⊥ くd L15.7 −「 窓の大きさ @9×11mm 竕助ィ xークライト板 @ゴム @紙 厚み ド9・0 @ 「 o −r 6 9 P・5mm工 旦 L17.5→」 7 t⊃ 一頂 盾、 ○叶 (♪L 一 @」15.7−」 窓の大きさ @10×12mm 竕助ィ xークライト板 @ゴム @紙 図一4 結晶および電極の大きさ等 育成した単結晶のD2の純度については, NMR法 で1.P, Kaminow氏により,そのキュリー温度TT (°K),置換率D/D+H(≡κ)との関係が次のように 求められている3)。 TT∼123十106κ (°K) ㈱
76%D20で合成したD−KDP結晶のキュリー温
度は一73.5°C6),99・8%D20の場合は一57・5°C, −55.0°Cの結晶が得られた。この結果より,それぞ れのD−KDP単結晶のκを求めると,㈱式より72・1 %,87.3%,89.6%となる。そこでこれらの単結晶を 72.1%D−KDPなどと呼ぶことにする。 4.2 測定方法および結果 前述の方法で研摩した結晶片について,常光線屈折率n。,異常光線屈折率neの測定をPRA−B形日立
アッベ屈折計により行なった。アッベ屈折計による屈 折率はD線(2 == 589・3nm)に対するものである。プ リズム室に温水を循環して一定温度に保ちつつ屈折率 の温度特性を求めた。その結果を図一5に示す。最小自 乗法により求めた屈折率と温度との関係式を示すと 表一2のようになる。また,置換率と屈折率η。,neとの 関係を温度20°Cの場合示すと図一6のようになる。こ れより,D2の純度の向上によりほぼ直線状にn。, n, 興 L510 1.500 1.470 1.460 10一
oo ・一η。(KDP) ナ。(72ユ%D−KDP) ホ。(β7.3%D・KDP)一
00 η、(KDP)一 一
≡三(7a1%D“KDP) ●一 70 U0 8 8 ナ,(87.3%D−KDP) 0 20 40. 60’ 温度t(°c ). 図一5 屈折率の温度依存性 1.510 1,500 哩1.470 L460 0 ηo 潤A o ηε 潤A 80 0 20 40 D60 80 100 重水素置拶撃率・li5∨十H ×100(%) 図一6 20°Cにおける重水素置換率と屈折率の関係 表一2 屈折率の測定結果 結 晶 名 実 験 式KDP
no==−3.1>く10 5t十1.5103 (27) 1ne−−2・9×1°−5t+1・4693 72.1%D−KDP no=−2.2>〈10−5t十1.5065 (29) 1 ne=−1.6>く10−5t十1.4673 (3① 1 87.3%D−KDP no=−3.0×10 5彦」−1.5060 (31) ne=−2.4>〈10−5t一ト1.4670 (32) 彦:温度(°C) ともに減少することを示している。 5.半波長電圧の測定 5.1 原 理 まず,半波長電圧測定の原理について述べる。いま,昭和45年12月 山梨大学工学部研究報告 第21号 蘂
華v
墜 0 (常光線) 図一7 光の振動方向の関係 偏光子Pを通る直線偏光中,空気中における波長λの ものを考え,電界Eがある時のその常光線の屈折率 nξ,異常光線のそれをn,1とすると結晶を出る時の両 光線の間には⑫式により δ一子(n一・・)ゴー㌘%・n・・ v ㈱ なる位相差を生じている。 これらの直線偏光の振動方向の関係を図一7のようで あるとする。すなわち,偏光子Pを通った直線偏光 (振幅lEDは結晶に入って,常光線(振幅∋と異 常光線(振幅のに分かれるものとし,これら両光線 の振動方向をそれぞれξ,η軸にとる。検光子Aを通 過する光の明るさ1はu,vのA方向への成分をそれ ぞれU’,V’とすると次式で表わされる。 1=u’2+v’2+2u’v’・cos・6 (34 αをPとξ軸の間の角,βをPとAとの間の角とする と ut=UC・S(α+β)=IE1 COS cr C・S(α+β) BS v’==Vsin(α十β)=lElsinαsin(α十β) (36) (3S,㈱式を(34式に代入して 1:=IEi2{COS2αCOS2(α十β)十Sin2αsin2(α十β) +2sinαcosαsin(α+β)cos(α+β)cosδ} :=lEI2{cos2β一sin 2αsin 2(α+β)sin2(δ/2)}{3の いま,PとAが直交している場合を考えるとβ= π/2ゆえ 1==lEI2 sin22αsin2(δ/2) (3θ となる。したがって,㈱式でα=π/4,δ=πなるよう に選べば最大の通過光量をうることができる。このこ とを利用して,α=π/4,β=・π/2のごとく光学系を組 立て,最大の通過光量を与えるような電圧を測定する。 5.2測定方法 図一8に示す光学系により測定した。光源は東芝製 SL−Hg−1型水銀ラソプを用い,これより出る光を保 谷ガラスフィルタの各種組合わせにより,中心波長 404.7,435.8,550,577・Onmの光を入射させ,検光 子より出てくる光の強さを東芝製PM56光電子増倍管 S L<口
e
F P D−KDP A T Amp I囚1 n lzl :水銀ランプ T:光電子増倍管 レンズ Amp:増幅器 フィルタ V:D.C.電圧計 V 図一8 半波長電圧測定用の光学系 で増幅して,電圧計にて読みとった。つまり,偏光子 P,検光子Aを直交にし,D−KDP結晶に直流電圧を 印加し,明るさ最大を与える時の印加電圧を測定すれ ぽこれが半波長電圧となる。 5.3 測定結果 測定結果を図一9に示す。同図より,波長λ・・= 589.3nm における半波長電圧は外挿することによりV2 12=3,920 Vである。 6・ 電気光学定数の算出 3,4節において述べたように,D−KDPの屈折率 および半波長電圧の測定結果が得られたので,電気光 学定数r63を算出する。(2Z式より 2πη。3r63V 綱
δ= λ ここで,半波長電圧をv2 12,位相差1δ1=πとすると 2 1 r63 1= ⑩ 2n。3 Vλ t2 図一5より20°Cにおけるn。を,図一9より波長λ== 589.3nm(アッベ屈折計を用いたため屈折率はこの波 長における値である)における 万2を求めて㈹式に 代入し r63=−22.01×10−iocm/V つぎに,r63’はr63’=o.92r63ゆえr63’=−20.25× ε ≦ 出 4000 o B/ 3000 Q000 占、。。 500 600 波長λ(nm) 図一9 87・3%D−KDPの半波長電圧の波長依存性10『ユOcm/Vとなる。 7.D−KI)P瞬間シャッタの原理と 通過光について 7.1瞬間シャッタの原理 結晶のz−cut板に乙方向の電界を加えると,元来 z軸方向に光学軸をもつものが,Pockels effectによ りκ,y平面内で45°回転して図一10に示すA、, A2 の二つの光学軸を持つ双軸結晶のように振舞う。電界 を加えないときは,光学軸はZ方向と一致しているの で,その方向の光は複屈折現象を示さない。図一11の ように,結晶のκ,y軸方向にそれぞれ偏光子P,検 光子Aを配置してやる。いま,Z軸方向に平行な光線 について考えてみると,結晶に電界を加えない場合に は,光は振動方向が直交状態にある偏光子と検光子と により阻止されて通過光量1は零となる。結晶に電界 を加えると複屈折するためにAを通過する成分が生ず る。すなわち,電界を加えたときは通過光が生じ,シ ャッタが開いた状態に相当し,電界を加えないときは 通過光を生じず,シャッタが閉じた状態に相当する。 したがって,電圧の印加時間に応じたシャッタ動作を 行なわせることができる。これが瞬間シャヅタとして 用いる場合の原理である。 被写体はある大きさを持つので,一般に完全にZ軸 と平行な光線のみを取り扱うことはできず,Z軸とあ る角度を持つので,光は複屈折し,検光子Aを通る成 分を生じ,もれ光量が存在することになる。 7.2通過光とその検討 D−KDPシャヅタの通過光量1は(39式でα=π/4と おき,偏光子を通過した光量を1・とすれば次式で示 される。 1=Io sin2δ/2 (41) したがって,表一1の位相差を⑳式に代入して,通過光 量の計算式は電界E。の有無により,また,入射角θ によって表一3に示されるように表わされる。
4,6節で求めたD−KDP結晶の屈折率,電気光
学定数(20°Cにおけるno==1.5054, ne=1・4665, r63’=−20.25×IO“1°cm/V)を用いて通過光量を算出 してみる。 まず,光軸方向(θ=0)に入射する光に対して電圧 をパラメータとして各波長に対して透過率1/loを求 めて図一12に示す。同様に波長をパラメータとして各 電圧に対する透過率の関係を図一13に示す。これらの 図より一定電圧を印加した場合にD−KDPシャッタ素 子に入射する光の透過率は波長によって異なることが わかる。これらの値は結晶中での光の吸収を無視して 計算したものであるが,例えば,図一12で電圧3000V を印加した場合を考えると,400nmの光に対して, 800nmの光では約1/2の明るさしか得られない。実際 には,レンズ,偏光板,フィルムの感度が波長に対し て一様でなく,実用上この種のシャヅタが特に問題と なるとは考えられないが,広い波長範囲にわたる光に 対して一定の明るさを得ようとする目的には適さない v 検 光 子 A 通 過 光図一11D−KDPシャッタの原理図
表一3 シャッタの通過光量の計算式 A2 条 件 計 算 式 x’ 図一10 Z軸方向に電界 を加えた時の光 学軸の方向 Ez=O E。キ0 θ=0 巨一・ ② θキ0 θ=0 θキ0 9=45° g=135° ・1 一・…in2 i・d.!・2−・乏,in・θ2 2none2) ⑬ ・一・・si・・i三・r63’n・・り ⑭ ・t == lo・in2oπ撃3γ+(no2−ne22none2)㌣・i・…}幽 ・・ 一・・o・i㎡oπ寧γ一(no2−ne22none2)Zltd・i㎡θ}㈲昭和45年12月 山梨大学工学蔀研究報告 第21号 ミ
N
ミN
1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0.2 1 γ=5000V 4500V .8 4000V @l 3500V .6 3000V1
.4 2500V 2000V黹g
2 1500V 1000V 0 400 500 600 700 800 λ (nm) 図一12 電圧印加時の波長一透過率特性 (入射角θ=0) ’ @’ m 、 , f ’h
ジτ、 、 ! ’ ! ’ 、ノ ’ λ=400nm ’ m ! I ’ @〆h
ノ、 @、 @ ン ! 500 T50 U00’n nm 獅 ξ㌶くコ’ ’’ ’ ’ , ! ’ ! @ノ @ ’ ’ f !! 、 C// 、、 、 、 、 700mm 一 ぐ) 一一 @∀}’ 一ヂー @ ’ @”’ ’ プー一ムn @ / @! 、 ’ ’ / ! ’ ’ ’ ! ・…m’ ^ノ 〆 550nm ノ ! ! U00皿m ’ !700nm D−KDP 一一一一jDP
0 2000 4000 6000 電圧(V) 8000 9000、 図一13 波長をパラメータとする電圧一透過率特性 (θ=Oの場合) と考えられる。 図一13にKDPに対して波長をパラメータとする電 圧一透過率特性を破線で示してあるが,D−KDPのそ れと比較すると1=550nmの光に対して,最大透過 率を与える電圧は,KDPでは約8400Vに対し, D− KDPでは4000Vであり,1/2以下の電圧ですむ。そ れゆえ,D−KDP結晶は結晶の耐圧上も有利であるぽ かりでなく,装置も簡単,小型化することが可能であ る。 つぎに,光軸からθの角度をもって入射するいわゆ る斜入光に対しては検光子を通過する成分が存在し, いわゆるもれ光となる。波長を一定にした場合,結晶 の厚みをパラメータとし,入射角θともれ光量との関 係を求めたのが図一14(a)∼(e)である。これらの図から入 射角が大になるに従いもれ光量が支配的になることが わかり,これらはある角度以下では厚みが大なるほど 著しい。したがって,D−KDP結晶をシャッタ素子と して使用するためには実用上許しうる最大入射角θM が存在することがわかる。θ<θMに対しては,もれ 光量を少なくするには厚みdを小さくすることが必要 であることがわかる。いま,Z ・= 550nm, d=1.Omm を例にとると1i/1。≦0・01とするにはθ1・tl=1.7°と なる。 つぎに,KDPとD−KDPについて, Il /1。を比較 してみると⑬式で(n。2−n,2)/2n。n,2の大小を比較すれ ぽよい。㌫誓一…179(D−KDP)・…188(KDり
したがって,結晶の同一厚み,同一入射角,同一波長に対して,D−KDPはKDPよりもれ光量が小となる
ことがわかる。すなわち,D−KDPはもれ光量を少な くする点に関しても有利であると考えられる。 っぎに,λ=550nm, d=1mmの場合に,印加電圧 をパラメータとして,P=45°,9=135°について, 入射角と透過率の関係を求めて図示したのが図一15(a), (b)である。両者を比較するとsc,=45°の方向では印加 電圧が高いほど透過率は大であるが,g =・ 135°の方向 に対しては逆に電圧の低い方が透過率が大となる傾向 がある。したがって,これらより各方向に均等なる通 過光を得ようとする場合は印加電圧を考える必要があ ることがわかる。λ=550nmの光の場合は9=45°, 135°方向にほぼ等しい透過率を持たせるには4000V である。 8.D−KDPシャッタとしての動作について これまで調べた光学特性に基づいて,前述の87.3%D−KDP結晶を用いて厚み1・Omm,1・5mmのシャ
ッタ素子を試作して(図一4),すでに作製してある1) 瞬間シャッタカメラ装置に組み込んで,その動作の基 本的特|生を調べた。 8.1 瞬間シャッタカメラの構造 瞬間シャッタカメラの構造は図一16に示すとおりで, 結晶をとり付ける結晶ホルダは容易に着脱できる。調さ ご 1 0.1 0.01 0.001 O.OOO1 1 0.1 ミ 0.01 ご 0.001 0.0001 ∂=3mm 2mm @ ・1 Pmm
1234,5678
入射角θ(deg) (a)λ=380nm一定のとき ∂=3mm 1 2mm 1mm12345678
入射角θ(deg) (b)2.=465nm一定のとき 1 0.1 ミ ご0.01 0.001 0.0001 1 0.1 さ 0.01 ご 0.001 O.OOOI ∂=3mm2mm
1mm012345678
入射角θ (deg) (d)λ =・ 665nm−・定のとき012345678
入射角θ(deg) (e)2.=780nm一定のとき 1 O.1 ミ ご 0.01 0.001 O.OOOI 「「∂=3mm …一 2mm 、 ] ㍉「 1mm012345678
入射角θ(deg) (c)2=550nm−・定のとき 図一14 もれ光量と入射角との関係昭和45年12月 山梨大学工学部研究報告 第21号 ミ ご ミ ご 1.0 γ=5000V 0.8 4500V 4000V 3500V 0.6 3000V @l 2500
V
0.4 2000V 0.2 ψ・=45“ ∂=1mm λ =550nm 0 0 1’ 2 3 4 5 7 8 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 入射角θ(deg) (a) γ=2000V 2500V 3000V 3500V g=135° ン=1mm ノ=550nm 4000V S500V T000V 0 1 2 3 4 5 6 入射角0(deg) (b) 図一15 入射角一透過率特性 整用ネジによりシャッタ素子を偏光子,検光子と平行 にし,かつ暗十字線が中央にくるように調整できる。 8.2 白熱電球のフィラメント撮影 被写体として150W白熱電球のフィラメントを選び, 図一17の撮影回路で撮影を行なった。すなわち,カメ ラのシャッタボタンを押すとフラッシュ接点が接触し, パルスジェネレータより設定された波高値,パルス幅 を持ったパルスがD−KDPシャッタ素子に印加され るようになっている。 F 単位mm ;遷罐ダイク゜一ム)B:絶縁板(美認トり L1・レンズラ瓢E,:禦麗認
C :円筒(65mm可変) D :カメラボディ(キャノンRP) T :電圧端子} F :調整用ネジ E :結晶ホルダ 150W 白熱電球 図一16 瞬間シャッタカメラの構造 図一17 白熱電球フィラメント撮影回路 フフツンユ 接点 A.C. 100V (a)印加電圧OV,シャッタ閉鎖状態 (b)印加電圧3,400V,シャッタ開放状態 写真一4厚み1・Ommシャッタのシャッタ動作 まず,厚み1・Ommのシャッタ素子のシャッタ動作 を調べるために撮影した結果が写真一4である。用いた フィルムはFuji SSである。印加電圧OVでわずかζ
理8
rく 切 A ミし へ N oノ ・ へ N > 188
>8
8
>8
8
〉 :8 ・8 >8
巴 >8
9
鯉 ㌃〈〉 ミo et・ il) 言 v.1. 雲8
8
8
8
8
畏8
8
8
雪8
9
8
ぬ3
8
.88
8
8
8
8
8
o
o
m
〔o
o
o
〔o
o
め 巴8
8
8
8
o
o
n
N
o
o
嶋 パo
oo
一o
on
ムx
lト ヤ トQ
雁 無 皿 ii: $ 一 噸 A6 】 込 .x, 日 日 く『 一 ㌣ 佃‖昭和45年12月 き 山梨大学工学部研究報告 響
3
x §d
N
き § き § き § き § ;:8
碧 き i…i 連 怒〉 さ8 ミロ 曇 巴8
鵠8
8
8
畏8
8
8
コ8
9
8
口3
8
8
8
8
8
8
8
8
8
雲 8』2
8
ぬ 第21号 ぎ8
8
8
8
8
8
8
8
8
巴8
9
8
n
ム ペ 1“ 〔 卜Q
睡 漏… 皿 ≧ 自 一N
“ ぶ 日 日 『 一 ㌣ 掴(にもれ光が存在するが波高値3400Vではっきりフィ ラメントの撮影ができ,十分にシャッタとして動作す ることが確認できた。
ついで,厚み1.Ommと1.5mmとのシャッタ素
子につき,印加パルス電圧の波高値を500∼3500Vま で500Vずつ変え,パルス幅を2・2μs,1・5μs,1・Oμs, 0・5μsに変化し,同様にフィラメソトを撮影し,その 結果を写真一5,6に示す。9.考
察 9・1結晶の切断,研摩について KDPの切断時の冷却剤としては軽水を使用しうる が,D−KDPの場合は軽水素と重水素の置換が起こる おそれがあるので使用できない。また,軽水それ自体 では結晶が溶解するので,切断時間が長い場合には相当の損失が考えられる。KDP切断にはKDPの飽和
溶液を用いればよい。D−KDPの場合にも重水を用いてD−KDPの飽和溶液で切断すれぽよいがD20は
高価であり,実用上では使用しきれないものと思われ る。そこで,D−KDPを溶解しないような物質を探し, それを冷却剤として用いることにし,エチルアルコー ルを用いた。エチルアルコールも一部Hが交換反応を 起こすので冷却剤としてはあまり好ましくないが手軽 に入手できる材料としては有効であり,表面の観察の 結果から溶解はほとんどみられない。 つぎに研摩であるが,シャッタ素子として使用する 場合は透明にすることはもちろんで,平面度を十分に 上げなければ光の散乱を生じ,かつ,Z軸方向へ電界 を加えるので,電極の接触の点からも均一に平面に仕 上げることが望ましい。筆者らの行なった程度の研摩 方法でも手軽に行なえ,しかも撮影結果からみても実 用上さして問題とはならないものと考えられる。 9.2 シャッタ素子と電極等について ネサガラスを結晶表面に接触させて電圧を印加する とき,接触いかんによっては結晶に十分電圧が加わら ないことも起こるおそれがある。電極を密着させる方 法としては導電性があり,かつ屈折率が結晶のそれと 等しいような接着剤を用いれぽよいと考えられる。筆 者らはこの種の接着剤は得られなかったし,接着剤の 用い方いかんでは接着面が不透明化するおそれが多分 戸ある。そこでこのような接着という方法はとらずネ サガラスを極力結晶表面に密着させる方法を考えた。 これは前述のとおりであり,撮影結果から考えてこの ような方法でも十分であることがわかった。 9・3屈折率について 別に誘電率測定よりキュリー点を求め㈱式より算出 した重水素置換率によりn。,neをプロットした図一6 は重水素置換率に対して直線的な変化を示し,このこ とはキュリー点の測定が正しいことを逆に裏付けてい ると考えられる。これより重水素置換率が大になるに つれてno, n,とも小さくなることが推定される。 屈折率の温度依存性は試料の関係から50°Cまでし か測定を行なわなかったが,ほぼ直線的に温度の上昇 に従ってわずかであるが減少を示す。温度に対する変 化は三者について1・6∼3・1×10−5(1/°C)程度で非 常に小さい。 D−KDPは正方晶系に属する結晶で光学的に一軸性 結晶であり,偏光顕微鏡による観察より光学的に負の 結晶であり,したがって,n・>n,となる。すなわち D−KDPは一軸性負号結晶である。 9・4半波長電圧の測定について 半波長の位相差を与える電圧v2 t2と光の波長λと の関係の図一9が直線的であるということは⑳式が正し く成立していることを示していると考えられる。すな わち,泌式でn。3r63は一定で,波長に無関係となる。 9・5電気光学定数について 半波長電圧と電気光学定数を他の結晶と比較して, 表一4に示す。電気光学定数はADP, KDPに比してD− KDPは2倍以上大であり,したがって,半波長電圧 が半分程度となり,シャッタ素子等に使用する場合有 利であることがわかる。D−KDPについての表一4の三 者はそれぞれ異なった値を示しているが,文献7)と本 測定値を比較しても重水素純度が高い方が電気光学定 数は大で,したがって,半波長電圧は低くなる。この鋼 ことから考え文献5)のD−KDPは相当に重水素純度が 高いことがうかがわれる。このことより,D−KDPの 合成,育成,試料作成その他全過程において重水素と 軽水素の置換を抑えて重水素純度を高く保つことがシ ャッタ素子等の光学系に使用するためには必要である。 9.6 シャッタの透過率計算の検討 Q4式により,波長λ=589・3nmに対応するn。, ne, 表一4 半波長電圧,電気光学定数の比較 結 晶 名 乃 r63×10−10(kV) 文 献 (cm/V) 87.3%D−KDP60∼80%D−KDP
D−KDP
KDP
ADP
3.92 4.12 3.25 7.87 9.76 一22.01 二21.0 −26.4 −10.9 −8.5 本測定 7) 5) 7) 7) (R=589.3nmのときの値)昭和45年12月 山梨大学工学部研究報告 第21号 r63’ 用いて,透過率を計算したが,λを変化したと き果してよいのかという疑問が生ずるが,9・4で述べ たようにno3r63’が一定であるから問題はない。 つぎに,⑬,㈲,㈹式においてはn。,neがλに依 存すると考えられるので,(n。2−n,2)/2n。n。2が川こ依 存するものと考えられ,厳密にはそれぞれの波長に対 してn。,neを求めて使用すべきであると考えられる。 そこで,この計算にどの程度の誤差が含まれるか検討 してみる。R, S. Adhav7)によればD−KDPと異種 同型体であるCsDA, D−CsDA, RbDPのn・, neの λ依存性が調べられているが三者とも同程度のλ依存 性を示す。そこで,CsDAのとき(n。2−n、2)/2n。n,2 がλによってどの程度異なるかを計算してみる。
λ一・…mのとき蒜』・・89
λ一・…mのとき蒜ζ一・…92
これより両者の差は高々4%である。 また,同文献に60∼80%重水素純度を有するD− KDPのV元 i2, r63の波長依存性が求められている。 その値を用いて90)式よりn。を逆算してみるとλ=400 nmに対してn。=1・5009,λ =・ 700nmに対してはno=1.4961となり,D−KDPではλによるnoの変化は
CsDAより小さい。それゆえ,(no2−n,2)/2none2をλ =589.3nmのときのn。, neを用いて全波長に対して 一定として扱っても,誤差は4%以下であると考えら れる。 9.7 シャッタとしての動作について 白熱電球を撮影した結果をもとにして,シャッタ動 作を検討してみる。 (i)厚みの影響について シャヅタ閉鎖時(電圧を印加してないとき)のもれ 光量については理論計算においても近軸光線(入射角 数度以内)のみを考えれば厚みが小なるほど減少する ことを示している。このことは写真一5,6に示す白熱 電球のシャッタ閉鎖時におけるもれ光量を比較すれば, 明らかに,厚み1・Ommの方がもれ光量は少なくなっ ている。すなわち,厚みを薄くすることによって,こ のもれ光量は少なくできることが確かめられた。一方, 厚みを小さくすることは無制限に行ないうるものでは なく,結晶板の加工上の問題,耐圧上の問題がある。 加工に関しては結晶の機械的強度および技術上から 0.5mm程度までが限度であると考えられる。また耐 圧に関しては,現在,絶縁破壊試験のデータが得られ ていないがKDPと同程度の耐圧はあるものと考えられる。KDPの場合は厚み0.8mmでパルス波高値
5kVで使用しても十分使用に耐えている1)。 D−KDP の場合はパルス波高値として高々3kV程度で十分で あるから,厚み0・5mm程度まで薄くしてもまず問題 ないものと推定される。 (ii) 印加電圧の影響 写真一5,6より,波高値1000V以下ではシャッタ開 放の効果がほとんど認められないが,1500Vよりシャ ヅタ開放動作がはっきり現われ,2000Vではほぼ完全 に動作していることが観察される。理論計算において, θ=0のときの通過光を扱った図一13で,1000V,550 nmの光では15%程度しか通過しないことからも予想 される。この撮影結果より,2000V程度の印加電圧で 完全なるシャッタ動作を示すと考えられる。 (iii)パルス幅の影響 写真一5,6を見て,D−KDP結晶に印加する電圧の 時間(パルス幅)に対してはほとんど差異はみられな い。2.2μsと0・5μsの場合を例にとってみると,前 者は後者の4.4倍の露出時間に相当する。したがって, 前老は後者よりも4.4倍の光量がフィルム面に到達し ているはずである。しかし,これはタソグステンフィ ラメソトが白熱状態を呈しているために,露出時間に よる相違は認められないのである。加熱程度を低下さ せれぽ,露出時間による相違が明確になるものと考え られる。 10. 結 言 D−KDP結晶について,屈折率,半波長電圧を測定 し,電気光学定数を算出し,z−cut板の通過光量と波 長,印加電圧,入射角等との関係を調べた。さらに, これらに基づき,実際にシャッタ素子を作製し,撮影 を行ない多少の検討を加えた。 計算および実験結果より,D−KDP結晶を瞬間シャ ッタ素子として使用する場合,厚みは薄い程もれ光量 が減少し,印加電圧は2000V程度で十分シャッタ動作 し,KDPの場合,5000V程度の高圧を要するのに比 してはるかに有利であることがわかった。 光学的性質に関して,今回は屈折率,電気光学定数 を単一波長(R= 589・3nm)のみで測定したが,今後, 波長依存性も調べ,検討すべきであると考えられる。 シャッタ素子に関しては厚みをさらに薄くして実験 を行なうことを考えている. 本研究実施にあたり,電極の加工に関しては電気工 作室・中村軍栄技官に,実験にあたっては学生清原悦 雄,稲見隆博の両君に負うところ大である。ここに感謝の意を表する次第である。 参 考 文 献 1) 古屋直臣,中村軍栄:山梨大学工学部研究報告, 第16号,昭和40.12. 2) 伏見光造:電気試験所研究報告,第602号,昭 和36.5. 3) 1.P. Kaminow:Physical Review,138 A, 1539 (1965). 4) 古屋直臣,霜村攻:山梨大学工学部研究報告, 第20号,昭和44.12. 5) T.R. sliker and s. R. Burlage:J・ApPl・ Phys.,34, 1837(1963). 6) 古屋直臣,霜村攻,長妻一之:昭和44年電気四 学会連合大会,355. 7) R.s. Adhav:J・optical soc・America,59, No.4,414(1969)・