1991年肺癌症例仮登録
飯富病院 外科 長田忠孝
山梨医科大学 第2内科 小沢克良
市立甲府病院 内科 川口哲男
山梨県立中央病院 外科 千葉成宏
山梨医科大学 第2外科 松川哲之助
第7回山梨肺癌研究会において、会員の皆さんから賛同いただいた、
1992年よりの肺癌研究会々員、及び医療機関による肺癌登録実施に先
立ち、1991年の1年間の仮登録の結果を報告する。
山梨県と静岡県の28医療機関が1992年よりの肺癌登録に協力参加
している〔表一1〕。このうち、12機関より1991年の仮登録がされ
た。登録総数は147名で、このうち5名が2機関より同時登録、2名は
初診日が合致しなかったため、140名を有効登録とし、登録表の各項目
に従い集計を行い報告する。
1.年令構成と喫煙歴〔表一2〕
① 60歳以上が120人と大部分を占めていた。
② 男性では喫煙者が80%だったが、女性では逆に85%が非喫煙者。
2.職業では農林業が多かった。 〔表一3〕
3.既往歴では胃の6例を含め、8例の他臓器の悪性腫瘍があり、肺結
核も6例にあった。合併症として調べた中には2例の活動性結核があ
った。 〔表一4〕
4.初診時の症状では、無症状が34例だったが、全身症状や遠隔転移
巣の症状で受診する例もかなりあった。 〔表一5〕
5.受診動機では自覚症状で受診する例が83例と過半数を占め、検診
や各種ドックの要精査が契機となったのは32例、13%だった。ま
た検診ドック発見例では喫煙者が少なかった。 〔表一6〕
6.受診動機と発生部位の関係では、肺門部原発の癌の多くが自覚症状
で受診している。喫煙者の検診ドック受診率の低さを示していると考
えられる。 〔表一7〕
7.原発部位では、腺癌と大細胞癌は大部分が末梢発生で、扁平上皮癌
と小細胞癌は肺門肺野ほぼ同数だった。 〔表一8〕
8.喫煙者に多い組織型は扁平上皮癌、未分化癌で腺癌は喫煙歴に関係
ないようだった。 〔表一9〕
9.受診動機と臨床病期の関係では、従来から言われたように自覚症状
群ではIV期が最も多く32例、39%。検診ドック群では1期が17
例、53%だった。 〔表一10〕
10.扁平上皮癌では1期が9例、20%。腺癌では1期は19例、29%
とやや高率だったが、IV期も37%と高かった。検診発見例が腺癌に
多いためか。 〔表一11〕
11.自覚症状群と検診ドック群の治療内容を〔表一12〕と〔表一13〕
に示す。切除率が28%と72%、登録時の死亡数は逆にが41%と
12.5%だった。他疾患群では切除率が31。5%登録時死亡率は
37%だった。
12.登録全例の治療内容は外科治療例が51、切除率36.4%。化学療
法例が78、放射線療法例は26だった。図示しなかったが、化学療
法の評価可能な適格例数は43例で、CRは1例、PRは12例だっ
た。放射線療法では適格例が12例、CRはなく、PRは12例だっ
た。
13.登録表自体にも記入が煩雑であったり、必要項目の欠落、意味の不鮮
明な部分の指摘があり、2、3の誤字脱字部分と共に検討改定したい
と考えている。
山梨県では平成元年度において230人の肺癌による死者が公的な数字
として報告されている。なおかつ、この数は年々増加し21世紀には胃癌
の死亡数を越えるとされている。この様な前提に立ち、今回の140人の
原発性肺癌例を見渡したとき、幾つかの是非とも解明しなければならない
点が存在する様である。たとえば、昭和61年より始まった肺癌検診で、
県内では毎年、10万人前後の検診を実施し、年間10から15例の1期
の肺癌を発見していることになってるが、この事実は肺癌死亡率を低下さ
せているか?させてゆく力があるのか!!
全ての答えは始まったばかりのこの仕事を根気良く継続することでもた
らされるはずである。
〔表一1コ 肺癌登録医療機関
山梨県立中央病院
国立甲府病院
国立療養所富士病院
社会保健山梨病院
巾立甲府病院
巾立韮崎病院
古 守 病 院
町立上野原病院
公立塩川病院
巨庫共立病院
組合立飯富病院
社会保険鰍沢病院
峡 南 病 院
山梨医大附属病院
国立療莫所西甲府病院
山梨赤十字病院
甲府共立病院
市立都田病院
巾立富士古田病院
石和町立峡東病院
山梨叩陽病院
高 原 病 院
身延山病院
町立牧丘病院
町立市川大門病院
加納岩総合痢院
町立南部診療所 志一村 医 院
〔表一2〕年令構成と喫畑歴
喫 煙 歴
(+) (一) 不明 合 計
列 女 男 女 男
80∼ 10 3 3 2 4
21
75∼79 11 】L
5 8
1
2§
70∼74 14 6 5 1 26
65∼69 21 2 2 1 26
60∼64 13 1 1 6
21
55∼59 6 2 1 9
50∼54 1 1 2 4
45∼49
40∼44 3 1 2 6
79 5
20 28 7
139
1例年令不明
〔畿一3〕
職 業
〔表一4〕既応歴
農林案
土木建築粟
会社A
公務A
主 婦.
教 員
無 職
不 明
洋服仕立て
はんこ屋
その他
42
9
11
6
12
4
18
17
2
2
16
高
肺
肺
胃
糖
肝
血
結
尿
圧
核
炎
癌
病
炎
脳梗塞・脳出血
心筋梗塞
狭
喘
じ
喉
結
心
ん
頭
腸
症
息
肺
癌
癌
23
6
・6
6
5
A l
C 3
不明2
4
3
1
2
1
1
1
〔表一5〕初診時の症状
血
咳
呼吸困雌
胸
発
痛
熱
体重減少
榎 声
リンパ腺腫
腰・脊部痛
上肢のしびれ・痛み
頭 痛
56
33
15
31
19
14
7
5
4
’4
2’
2
食欲低下
言翻障害
倦 怠 感
・ けいれ’ん
・ 右眼異物感
・神経症状
な し
34
〔IN 一一6〕受診動機と喫煙歴
喫 煙 歴
(+) (一)
不 明
・
`
自 覚症状
57
22
,4
83
検診ドツク 13
18
1
32
他疾恵治療中
12 6 1
19
そ の 他 3 2 1
6
85
48
7
140
〔表一一一一一7〕受診助機と発生部位
自覚症状
検診ドック
他疾患治ff申
そ の 他
肺 門 肺 野
29
3
3
1
53
27
15
5
不明
1
2
1
83
32
19
6
〔表一8〕組繊型と発生部位
肺 門 肺 野 不明
扁平上皮癌
23
22
45
腺 癌 7
58
65
小細胞癌
5 3’
1 9
大細胞癌
6 6
そ の 他 1 1
不 明
11
3
14
36 ,
100
、4
140
〔表一9〕 1異煙歴と組織i型・
喫 煙 歴
(+) (一) ’不明
扁平上皮癌
37
5 3
45
腺 癌’
30
35
65
小細胞癌
7 1 1 9
大細胞癌
5 1 6
そ の 他 1 1
不 明 6 5 3
14
85
48
7
140
〔.表一10〕受診動機と臨床病期
’
1 n
ma mb w 不明
自 覚症状 8 5
18 19 32 1 83
検鯵ドック 17 4 4 2 4 1 31を
他疾患治療中 9 1 2 1 4 2 19
そ の 他 2 4 6
34 10 26 23 44 4
140
〔表一工ユ〕組繊型と臨床病期
1
n ma 皿b w 不明
扁平上皮癌 9 4
14 7
11 45
腺 痛 19 1 9
11 24 1
65
小細胞癌 1 2 1 2 3 9
大細胞癌 2 1 3 6
そ の 他 1 1
不 明 3 2 2 1 3 3
14
34 10 26 22 44 4
140
〔表一12〕 自覚症状群の治療内容
..一一一一一一一一..一一一一..一一一.一.一.一一一一.一..一.一.一一」.−21s.一
外科治療 2 3 28X
絶対的治癒手術 6 1
化療 1
相対的治癒手術 10 1
化療 8 化療十放射腺 2
相対的非治癒手術 1
化療 1 ’
絶対的非治篇手術 6 5
化療十放射線 2 放射線 1
化学療法 2
3
11
化学療法+放射線療法
8
4
化学療法+免疫療法 ’1
放射線療法
8
5
補助、援助療法
1 8
8
不明 2
8
3
34
41X
〔表一13〕検診ドック群の治療内容
一一一一一一一一一一一一.一一一.一一.一一一一一一.一一一一一一L!
外科治療 2 3 72男
絶対的治癒手術 12
化療 8
相対的治癒手術 6
化療 3 化療+免疫 1
、
相対的非治癒手術 2 1
化療 1 化療+免疫 1
絶対的非治癒手術 1 1
化療+放射線 1
不明 】」
化学療法
3
化学療怯+免疫療法 1 1
補助、榎助療法
4
1
不明 1
3
2’ 4
12.5駕
1
〔表一14〕登録肺癌の治療状況
1.外科療法
絶対的治癒切除._..._....__.____・…・…・…・“・……・・………・、・…’‥
椛ホ的治篇切除....‥‥..‥..・‥‥.・・’・・今・・‥‥‥・一・舎… 帥・… ‥・‥‥’・‥‥’”‥°’◆帥”“‥’‥’‥’”‥心”
椛ホ的非治癒切除.‥...臼‥・.‥..・・‥・“‥‥・・‥‥・・‥・‥‥・・‥一‥‥・帥‥・‥・‥令”・’‥°s‥’‥’”‥‥’”‥°°
E絶対適否治癒切除..・.....⇔一‥..パ・...・・・… れ“⑨“・‥・⑪・‥… ‥肋‥‥‥・・帥゜・・’°°’°’杜゜◆パ’一‥‥°帥’‥°
19 ・
P7
@7
@8
5 1
2.化学療怯 7
8
3.放射線療法 2 6
4.免疫療法
8
5。補助、援助療法 、 2 5
1
4
O