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国際収支調整メカニズム

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(1)

19世紀イギリス金本位制における国際収支調整メカニズム 53

19世紀イギリス金本位制における 国際収支調整メカニズム

−A・G・フォードの分析を中心にして−

田口信夫

I は じ め に

Ⅱ 国際支収の長期・基本的調整メカニズム

Ⅲ ま と め

I は じ め に

金本位制の下における国際収支の調整理論を分類すると,大きくは「貨幣 数量説」と「価格効果」に力点をおいたspecie flow and price mechanism の自動調整理論=即ち古典派理論と,「外国貿易乗数」,「所得効果」に力 点をおいた輸出−>所得−→輸入の自動調整理論=即ちケインズ派的近代理論に 分けることができる。かんたんにいって,古典派的調整理論は「間際収支の 順・逆は金の流入・流出を伴い,国内通貨鼠の増・減をもたらす,この通貨 の膨脹・収縮は両国間の相対価格の騰・落をもたらし,前者の場合には輸入 増・輸山減,後者の場合には輸入減・輸出増をもたらして国際収支は均衡 する」という理論であり,近代的調整理論は「輸出の増加は輸出業者の所得 を増大させ,輸出業者はこの追加所得を輸入品と国内品に支出する,国内産 業活動はこのような国内品に対する需要増加の刑戦によって活発となり,国 内産業に従事している者の所得を増大させる,彼らはその追加所得の一部分 を輸入品の購入に,一部を国内品の購入にふりむける,かくてこのような過 程が漸次波及していくことによって輸出増加でえられた追加所得は総所得を 増加させ,貯蓄と投贅が一致するかぎり,究局的には増加した輸山新に等し い輸入の増加をもたらして国際収支は均衡する」という理論である。

(2)

54  経 ? ミ と 経 済

周知のように,国際収支の剖径をめぐる古典派理論と近代理論の対立はド イツ賠償金問題をめぐるケインズ・オーリン論争にはじまり,結果的にはハ ンセンも指摘しているように購買力移転説に立ったオーリンが勝利し,古典

(1) 

派理論に立問lしたケインズの敗北という形に終った。その後近代理論はケイ ンズの「一般理論」の出現を契機に,ケインズ学派によって論理的lとより精 激化され,古典派理論が主張する価格効果=交易条件の悪化が必ずしも国際

(2) 

収支の改善に寄与しない乙との論証,あるいは後に述べるように,古典派理 論の指導的提唱者ともくされるタウシッグ自身が古典派的調整過程に疑問を もったこと等々によって,所得効果に力点をおく近代的調整理論は有力な国 際収支調整理論(金位制の下であるか否かのいかんにかかわらず)として今

(3)  日にいたっているD

本稿の目的は, 19世紀(期間としては1880‑1914年までであるが便宜上,

この期間を19世紀と称する)のイギリス金本位制を対象とし, (1)近代理論の 言う輸出ータ所得〉輸入の自動調整メカニズムが当時のイギリス金本位制に作

(4) 

用したことを析出し, (2)実際のイギリスの国際収支の調整過程を特に資本輸 出との関係において分析した AGFord; The gold Standard 1880'"''19  14; Britain and Argentina) Oxford) 1962の第4i7tを紹介し,それに若干

(5)  のコメントを加えていくことであるO

(註)

(1)  AHHansenThe Dollar and The International Monetary System,  1965,鈴木浩次訳「ドルと国際通貨制度J3031

(2)  通常, マーシヤjレ=ラーナーの条件と呼ばれているもので, 為替相場の下落 (外貨建) =交易条件の悪化が生じた場合,自国の輸出に対する外国の輸入信 要の価格弾力性と自国のそれとの合計が1より大きければ,国際収支は貿易収 支を通じて改菩するが 1よりも小さければかえって悪化するというものであ る。詳細は, Cp.Kindleberger, Internetional  Economics, rd edt ion, 1963,邦訳「国際経済学J1966, 153‑55 590‑92頁参照。

(3)  この点に関し, pA・サムエノレソンは「国際貿易が生み出す所得変化は部分 的にはしばしば必要な調整をもたらす役を果たすが,ある程度の価格または為 替率の削減の必要性を防ぐことにはならないJ (PASamuelsonEcono

(3)

19i世紀イギリス金本位制における閏際収支調整メカニズム 55 

mics, 8th cdition, 1970,部官主人訳「経済学JF, 1971, 1088]{)として 価格効果の必要性を強調している。もっとも,この場合においても主流はやは り所得効果であり,価格効果は冨IJ次的な役割を果すにすぎない。 J'.記サムエル ソンの論証に関しては,同害, 1088頁の!叩註参照。

なお,マルクス経済学の側からは,古典派的調摂理論が前提としている貨幣 敬呈説批判という形で,古典派的調整理論=いわゆる金本位制のゲームのルー ノレに対する批判が行なわれている〔たとえば,真藤宗一「金本位制度と金融政 J (下),立命館経営学第 2巻第 4号(通巻第 6号〉参照〕。

(4)  各国の実際の国際収支の調整過程は各国が有しているさまざまな条件を考応に 入れて考察されねばならない。たとえば,その具体例として,フォードは(1) 権国であるか債務国であるか, (2)工業国であるか一次産品悶であるか, (3)同氏 所得の主要決定因は国内投資活動であるか!愉山であるか, (4)世界市拐に占める その国の経済の大きさ, (5)その国の限界輸入性向の大きさ, (6)国家の金融制lMt; (7)政治体制と社会制度, (8)産金国であるか非産金問であるか等の条件をあげ,

それぞれの条件!とよって各同の実際の n~1 際収支の ;mJ整適程は呉るであろうと している。 A・G. Ford, The Gold  Standard  1880‑1914;  Britain  and  Argentina, Oxford, 1962;  PP.16‑17 

(5)  私が特にフォードの研究をとりあげた理由は,(1)過去ほとんと、行われていなか った国際収支調整論の実証的哀づけを行ーっているというととと, (2)19世紀にお けるイギリスの資本!愉出の源泉となった経常勘定の黒字創出要因は,ややもす れば,単純に海外からの所得(利子および配当金)とサーヴィス収入と考えら れがちであったけれども,フォードの研究は本文で述べるように,愉出の而に かなりのウエイトをおき,資本l/4Iri,'f:¥と経常助定黒字の関係を因果的にとらえて いるからである。

国際収支の長期茶木(1''.1メカニズム

(1) 

i$図 は1870‑1913年 に お け る イ ギ リ ス の 貿 易 収 支 , サ ー ヴ ィ ス , 海 外 か ら の 所 得 ( 利 子 と 配 当 金 ) ,および、金銀の移動を合む経常勘定の4系 列 の 動 向 を グ ラ フ で 示 し た も の で あ る 。 同 図 を み る と , サ ー ヴ ィ ス と 海 外 か ら の 所

(4)

経 営 と 経 済 56 

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Ford, op.  cit., P.56.  A. G 

これらが経常勘定の黒字を生みだす主 得が着実な増加のl趨勢を示しており,

要な要因となっているのがわかるが,特にきわだった特徴として,貿易収支 と経常勘定の系列が同じような変動のパターンを示していることが注目され O このことは,経常勘定がサーヴィスと海外からの利子および配当金をそ その長期波動を貿易収支の変動にゆだね の主要な黒字の源泉としながらも,

ていることを意味する。

次に,第2図は貿易収支を分類して,時価 (currentprice)で表示した輪 出入価額と輸入lこ対するl愉出割合(以下,輸出・入割合と略す)の動向をグ

(5)

191ft紀イギ、リスくk'f.fjliIJにおける国際収支訓れメカニズム 57 

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Ibid., P. 60. 

これが第 ラフで示したものであるO 同図の輸出・入;切合のグラフをみれば,

さらには経常助定のグラフと同じような変動のパターンを 1図の貿易収支,

以上ωことから,経常勘定の変動は究局的 示しているのがわかる。従って,

には輸出・入割合の変動によって決定されたといっても過言ではないであろ

それでは,輸出・入割合の変動を決定したものはいったい何であったのだ ろうか。この点を次の第3図によってみてみたいO

3図は(1)ロンドン株式取引所における外[1'1.の有価証券発行高(フォード はこれを事前的対外投資 exante 1endingと称している) , (2)輸出・入 対合, (3)経常勘定の尽字初(フォードはこれを事後的対外投資 expost 

および(4)海外からの所11.}0.4系列の到向をグラフ lendingと称している) , 

で示したものである。同図をみると以下}]の 3 つの系列(即ち,外国の有 1111i~正 および経常WJ定以字額)における変動の類似性がも っともめだっていること,外国の有価証券発1'J:':j('Jj:前的対外投資)は経常 券発日,愉lH・入包JI

niJ定の黒字額(事後的対外投資)とほ (t:'I~I:ばできる大きさであること,外国の

(6)

58  杯 . 営 と 経 済

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3 Ibid.P.63. 

有価証券発行高は経常勘定の黒字より 1~2 年先行する傾向をもっているこ とがわかる。従って,同図の第lの特徴,即ち輸出・入割合と外国の有価証 券発行高が同じ変動のパターンをとっているということから,輸出・入割合 の変動を決定したのは外国の有価証券発行高(イギリスの事前的対外投資) であったということができる。また,同図および今まで述べてきたところか ら,さらに次のようなことがいえるであろう。 r外国の有価証券発行高に示 される活発な対外投資の期間には,輸出・入割合が上昇して貿易収支の逆調 を軽減し,経常助定の黒字巾を柏加させたO lこ,外国の有価証券発行高が

(7)

19Ut紀イギリス金本位制における国際収支調整メカニズム 59  減少した期間には,貿易収支を一層悪化させて,経常勘定の黒字巾を減少さ

(註) せた」とO

(註)

もっとも,輸出・入割合の上井という場介,寺町時のイギリスの場合のように,慢 性的な輸入超過であれば,愉入が輸出と同相で,あるいは愉u¥を!二回って哨加しで も愉 11¥・入子司令は上:デ卜することもあるが,しかし,もしそうであれば,貿易収支は 絶対'伺において少しも改持したことにならないので,愉 11'1・入割合の上昇=貿易収 支の改善と併することはできなくなる。従って,とこで愉 11\ ・入割合の上封~という 場合には,絶対郊においても輸出の方が愉入を1‑.111いているというふうに解さねば ならない。外同の有価証券売行刊に示されるイギリスの対外投資の増加がなぜ,イ ギリスの輸出・入割合の上見(1l[Jち,輸出増加分〉愉入増加分)をもたらしたかは 本文の中で後述する。

(2) 

以 上 述 べ て き た と こ ろ か ら , 当 時 の イ ギ リ ス 金 本 位 制 に , 対 外 投 資 の 増 加

→輸出・入割合の上昇(輸出増加分>輸入間加分)→貿易収支の改善→経常 勘定黒字巾の増大という国際収支調整のプロセスが存在したことがおおまか にわかったが,次にそれでは,このような関係、が成り立つ上において, (1) ギリスの対外投資の増加と輸出の増加との関係, (2)愉出と輸入との関係、, (3)  対外投資の増加と輸出・入割合上昇との関係、はどのように説明されるのか,

これらの点について述べてみたいと思う口

まず第lの対外投資の増加と輸出の増加との関係、についてであるが,フォ ードは海外の鉄道会社がロンドンでの新規起伏によって資金を募った場合を

(1) 

事例として次のように述べている1"同社は資金の一部をイギリスからのレ イノレと汽関車の購入に使用し,そのことによって直接的にイギリスの投資財 の愉出を増加させる,一方のこりは新規の軌道 (new track)建設の資金を まかなうために移転されるD 借入国において資金が費消されるにつれて,そ こでの所得,そしてまた,イギリスが重要な供給者であるところの消費財に 対する輸入が j??大する O かくて,このような間接的な J~~~t平の結果として,イ ギリスからのnw!(財の輸出は拡大する傾向をもった。…… このような経験 は,イギリスの対外投資の典型であり,従って,このような(亨前的な)投

(8)

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80  60  100 )jボンド

40 

Ibid., P.67. 

資が輸入価額に対する輸出価額の変動(輸出・入割合の変動=引用者)を通 (2) 

じて経常勘定の黒字(事後的な対外投資)をもたらした」とO 4図はアノレ i

:

ゼンチンのロンドンにおける起債額とイギリスのアノレゼンチンへの輸出額,

それにアルゼンチンの総輸入額を示したものであるが,長期的トレンドとし アノレゼンチンのロンドン起債額(=イギリスの対アノレゼンチン投資額)

イギリスからの輸入額が (3)  たしかに上記述べたような現象を示しているD

アルゼンチンの総輸入額,特に,

の増減に伴って,

増減しているのがみられ,

ω点について述 lこ,輸出と輸入の関係はどのように説明されるのか,

べてみたいD

これら 3 それに国民所得を導入して,

輸入価額,

5図は輸出価額,

列の関係を9年移動平均からの絶対偏差でみたものであるD 同凶をみると,

さら lこ輸入 3系列の聞に著しいj唄相関関係がみられ,

特に1880年以降から,

は輸出におくれるというかすかな徴伐さえ示しているのがわかる。このこと は輸出の増大(減少)が所得の増加(減少)を通じて輸入の前大(減少)を

(9)

19世紀イギリス金本位制!とおける国際収支調整メカニズム

50  100万ポンド

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~1 [~! Ibid., .61 

9年移動Jp:jからの品色村lltJii';

もたらすことを示すものであり,当時のイギリス経済において,近代理論が 言うところの輸出〉所得〉愉入の自動調整メカニズムが機能したこと,さら に,輸出の変動がイギリスのほとんどのブームとスランプの決定的な要因で あったという見解に強力な支持を与えている。

以上によって,愉入はi*命出と同方向に劫いたことがわかったが,それでは 次に,対外投資の増加と輸出・入割合の上昇という関係はどのように説明さ れるのか,即ち,なぜ活発な対外投資の期間における愉出価額の巾加が,所 得の増加を通じて愉!日価額の増加に等しい輸入価額の附加をもたらし,愉LJj

‑入割合の上昇傾向を相殺しなかったのか.この点について述べてみたいO

フォードはこの問題に対するもっとも確実とみなされる説明として,ご'iW:]

におけるイギリスの対外投資の増加が長期的な傾向として国内の文U¥,とり (4) 

わけ,国l吋投資をtm牲にして行なわれたことをあげているD 6l (1)

│可の有何託券発行高に示される事前的対外投資, (2)愉出・入川合, (3)金移動

(10)

62 

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tfs  6 Ibid.P.68. 

f:i't1f;t (金移動を合むj

純l‑fI内投資

(注)原著の図表にほ公定歩合のグラブがJ自社されているがここでは説明 の便宜上,省略した。

を含む経常勘定, (4)純国内投資の4系列の関係、を9年移動平均でみたもので あるo同図をみると,外国の有価証券発行高に示される対外投資の長期波動 が,純国内投資の波動と反対の山 (peak)と谷 (trough)をもっており,

対外投資が高い時には国内投資は低く,輸出・入割合は上昇していることが わかる。逆に,対外技監が低い時には,国内技資は高く,輸出・入割合は低 下しているO かくて,対外投資と国内投資はいずれも国民所得の創出要因と

して作用するが,このような両投資の周期的な交替によって,一方の増加に よる国民所得の創出効果が,他方の減少による国民所得の抑制効果によって 減殺されるため,輸入の増勢はおさえられ,対外投資の活発な期聞における

(5) 

輸出・入割合の上昇がもたらされたというととができる。乙の乙とをよりl1R

(11)

19由紀イギリス金本位制における国際収支調整メカニズム 63  論的に言うならば,次のように言うことができょう r近代理論の言う輸出

〉所得守輸入の自動調整理論によれば,輸出増加によってもたらされる所得 増加分のうちの貯蓄増加分が国内投資によって吸収されるかぎり,輸入増加 分は輸出増加分と等しくなり,国際収支の均衡をもたらすが,当時のイギリ ス経済においては,対外投資が行なわれて輸出と所得が増加する時期には国 内投資が減少するので,貯蓄の増加分は国内投資によって十分吸収されえ ず,輸入増加分は愉出の増加分においっかなかった,言いかえるならば,輸 入増加分が輸出地力IIlこ等しくなる前に国民所得の増加が終息してしまい,

そうでない場合よりも輸出・入割合を上昇させた」とO

ところで,この国内投資と対外投資の周期的交替はイギリスの国民所得に 対してどのような影特を与えたであろうか,この点について若干述べてみた

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1900  5 110 7fZ Ibid., P.62. 

(12)

64  住 日 と 経 済 7図は, (1)イギリスの国民所得, (2)経常勘定lt万項目(輸出+サーヴィ ス+海外からの所得) , (3)純国内投資+経常勘定n方唄目,および(4)輸入の

4系列の動向をグラフで示したものであるD 経常助定貸方項目+純国内投資 の系列と経常助定住方項の系列のギャップは純国内投資であり,一方経常勘 定貸jj項目の系列と輸入の系列のギ、ヤツプは経常勘定の!日字巾であり,これ は前lこも述べたように,イギリスの刈外投資額(事後的な)にほぼ等しいと 考えられるO ω二つのギャップを比I伏すると,おおまかに18'""20年の)Jj;J をもった凶内投資と対外投資の交討がみられ,対外投資が減少しているl時に は国内投資は増加し,対外投資が地力11しているIIU{こは1[1内投資は減少すると いう第6凶でみた関係が存在しているのがわかるG このJ'dJDJ的交f?をもった 国内投資と対外投資を合む純国内投資+経'iiY 肋定貸ノ~.叫目の系列を国民所得 の系列と照合してみると,前者の系列は経常助定1t';j明日(対外投資のみを 含む)の系列より国民所得とーjti類似した変!fUJを示しており,国内投資と対 外投資のJJ;JPJJ的交替が,第7凶にみられるように,イギリスの安定した国民 所得の成長と,従ってまた,安定した輸入の附加をもたらす上で主要な役叩 を演じたことがわかる。

また,第7図においては,経常助定1'i方項目の系列と国民所得および輸入 2系列の聞に類似した変動がみられるが,これは前に述べた輸出→所得ー〉

輸入の自動調整メカニズムが金本位制下のイギリス経済にみられたという見 解に一層強力な支持を与えているO というのは,経常勘定貸方項目は大きく 輸出,サーヴィスおよび海外からの所得に分類されるが,第l図でみたよう に,サーヴ、イスと海外からの所得の項目は趨勢としてほぼ安定した増加傾向 を示しており,経常勘定1~)j羽目全体の変動のパターンを決定したものは輸 出だと考えられるからである。このことは,第7図の経常勘定貸方項目の系 列と第2図の輸出価額ω系列がほぼ類似の変動を示していることからも明ら かであるO

(註)

(1)  当時のイギリスの対外投資は外国の政府証券,鉄道証bへの投資という,いわ

ゆる間接投資といわれるものが -n~ê を占めており,フェイスの 1ff~ 計によれば,

(13)

19世紀イギリス金本位制における国際収支調整メカニズム 65  1913年における政府証券投資,鉄道証券投資の全投資に占める割合は,それぞ 29.9パーセント, 40.6パ ー セ ン ト で あ っ たo H. Feis, Europe ‑The  World Banker 1870.....1914, 1930, P.27. 

(2)  AGFordoP.cit., PP.66‑67. 

(3)念のため, 1901年以降におけるアルゼンチンのロンドンでの鉄道証券発行日と,

イギリスからの鉄道関連資材輸入額を比I'交してみるとA去の通り (A) 

ロンドンでのアノレゼ 鉄道建設 機伊輸IIi・鉄道入資材・レ額ーj 年 次 ンチン鉄道発行日

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「資木~i命出論 J , 1968 16

である。同表をみると,アルゼンチンの鉄道関連資財愉入総額のうち,イ工ドリ スの占める割合は, 1910年と1911年には, ドイツの競争のため若しく低卜.した とはいえ,全体としてみれば圧倒的部分を占めており,対外投資と商品愉11'1

rmに明白な対応関係が存在したことを示している。

それでは,他の諸国のj見合,このような対応関係は存在したであろうか。 I'IJ じく,ホブソンの統計ーによって,インド,カナダ,合衆国の場合についてみて みたい。

B去のインドの場合についてみると,イギリスの対インド鉄道投資とインド のイギリスからの鉄道閃述資財・愉入の同には,アルゼンチン以上に別白ii対応 関係が存在したことがわかるが, C D表のカナダ,合衆国の場合には,この ような対応関係は存花せず,イギリスの日初の投資にもかかわらず,阿川のイ

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