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R・テーゲント
﹁生産性と国際牧支
i一二国モデルー﹂
一片 山 貞 雄
fl/1一/fl!///////一////////1//////////!/1//!///!1 周知の如く生産性上昇−弓術改善iと弗閲題に関して一連の論争 が行われ、我々もヒソクスをめぐる問題に中心を置いて主要論者の ① 見解を跡ずけて象牙。そしてピックスの論じにケτスは二国モデル であった。 . 然し、米国の技術改善の他国に与える影響は一様ではあり得な い。此の閣係は二国モデルでは取扱えない。パロッグは英国の立場 より米国の技術進歩の影響を考察する場合、少くとも四国モデルが 必要であるとする。即ち米国及び米国と競争的立場に立つ英国の如 き国、更に米国の進歩により直接利益を受ける諸国一西半球の原料 供給国−及び直接には利益を受けない諸国−大部分は工業国1であ る。然し彼に於いてはただその必要性が示唆されているのみであ ③ る。尤も趨勢分析による場合は四国モデルよリサーゲントの如く三 国モデルの方が問題を処理し易いであろう。 又、生産性改善と国際牧支という一般問題より寧ろ弗問題を取扱 生産性と国際牧支一三国モデルー う場合、所謂多数国モデルより三∼四の少数国モデルの方が適切で あろう。というのは世界の各国は同質でない事、米国経濱は資本主 義国全体に匹敵する程の経済力を保持している事、又弗不足対策の 為に結成された欧州支払同盟︵EPU︶の様な地域主義の傾向が存 在する事である。従って同様な二士構造を持った国々の集団の対米 牧支の問題を論ずる方が現実的意義を持つと思われる。 以下サーゲントの見解を紹介し、若干の付言を行いたい。 ①拙稿﹁生産性成長率の破行性と弗問題﹂彦根論叢第四十八 ・四十九合併号︵陵水三十五年記念論文集︶ ②S切ミ薦ダニ↓ぎbミ、ミO、賊塾陶恥ミ轟ミ︾、.O哉。ミ 肉亀§oミ詩ミミ勲恥愚鎚一〇α♪導.悼ひひ∼c。. ③ \肉.恥窺蒔恥ミ旧:ミ。§織ざ帖ミ犠ミ駄牒淘⑩bロミ亀§h恥ミ、ぎ一 ヒ§。轟ミ。肇“職臼、魯鳩$Oo蜜ミ竜5恥誉、、b冒ミ鶏線駐ミミ⑩Oミミ概 §軌器誘帖壁”Nミ総鳶ミ鳴ミ恥聾職驚肋驚畠−、&・一89憩■一。。∼悼9 二 先ず三国を夫々A・B・Cとして次の仮定を行う。 闘ω Aの生産性は上昇するが、B・Cの生産性は不変。 ︵両者の 絶対的な進歩は含む︶ ω A・Bの経済は、相互に類似し、Cは両者と異る経済である。 前二者を工業国、後者を原料供給国、Aを米国、Bを英国、C を確地域と仮定してもよい。 ㈹ AB聞の貿易はBC・AC間の貿易より小である。 ω A。Bにとって、相互の生産物はCの生産物に代替し難い。 六三生産吐臥と国際席収山文一三国モデルー ︵即ち娼OO屑あqびω聾暮Φ。・である。︶ ㈲ Cにとって、A・Bの生産物は代替が容易である。︵即ちσq8早 ω目びω簿9霧である。︶ ㈹ 出発点では三者の牧麦均衡。 筆者の考えでは、Aの偏輸出改善がBに対して最も重大な影響を 与える。従って彼の考察も主にそれに集中される。 所で、Aの偏輸出改善は 9その貨幣所得の上昇と 口輸出価格 の下落という効果をもたらすとする。口の結果、口実質所得効果と 四代替効果が生じる。今㈲のみに分析を限り、更に彼は ㈲B及び CのAへの代替は容易︵Bにとって自国商品とAの輸出品、Cにと ってはA・Bの輸出品︶であるが、Aの輸出品価絡の下落を考慮.し て、B及びCの対A牧支は不変と仮定する。即ちヒックスの偏輸出 ① 改善のケースと同じく輸入需要の価格弾力性一の仮定を行う。サー ゲントはこれをB及びCのAよりの輸入手形金額が一定と表現す る。その場合仮定㈹によりAC間の貿易はBC間の貿易より大なる ゆえ、CのA通貨保有額はBのそれより大である。又BのAよりの 輸入増大は国内生産の撰牲にて行われるが、CのAよりの輸入増大 はBよりの輸入減少によって行われる。故に三国モデルの場合、A の偏輸出改善の結果、BC聞の造語が問題となる。BはCに対して 入超に陥る。 然しe・日を無視し、岡の仮定をとって来た。次にそれらを考察 する。先ず㈹より.吟味する。実際はCがB商品をA商品に代替する 傾向はBが自国晶をA商品に代替する傾向より強い。今Bが多角決 六四 済を実現する.為にはAに対して充分出超を確保せねばならぬ。それ はBの国内商品とAの輸出品間の不完全競争及びCの行動に大きく 依存している。即ち前者については具体的にはAの輸出品の価絡下 落にBが非弾力的に応ずるべき事を意味し、後者では、CがAの輸 出価絡下落に応じて、B商品をA商品に代替する傾向が強い程Bは 不利となる。代替効果に関する限り﹁BがCとの決済を多角的に行 わんとすれば国内商品に対するB国消費者の相当の好意に依拠せ.ね ② ばならない﹂と。 次にeのAの貨幣所得上昇について考慮すれば、Bにとって多角 決済の希望がもたれるが、その為には、Aの貨幣所得増大の相当な 部分がBに向わねばならない。サーゲントは此の点に期待していな い。 更に日の実質所得効果はAの輸出価格下落の結果、B及びCに対 して起り、BC相互間の敢言及び両者の対A牧支に影響を与える。 先ず前者について云えば次の如くである。 AC闘の貿易はBC間の貿易より大である︵仮定㈲︶ゆえ、Cの実 質所得上昇の方がBのそれより大きい。仮定の様にA・Bを工業国、 Cを原料供給国とした場合、CのBよりの輸入が増加する為には、 B商品がA商品に比較して劣.等財と看徹されない事が必要である。 次に後者についていえば、Cの実質所得増大の方がBの実質所得 増加より大であるから、対A牧.支はBよりCの方が悪化する。そし てBが多角決済を行いうる為には、Cがその実質所得増加分をAよ りの輸入に向ける傾向が強い程馬BのAに対する出超が増加されね ○
ばならない。然し、実質所得効果に関しては、その可能性は存在し ないようである。 結局Aの偏輸改善の場合、実質所得効果はBに或る程度有利に作 用する可能性をもつが、代替効果が大きく不利に伽き、BはCに対 して入超となる。又対A牧支黒字も期待し得ない。 更に、偏輸出改善の場合、Bの改善がCの改善より迅速であるケ ース︵勿論Aめ改善より遅い︶を考察する。 改善の効果の一部は輸出価格下落に反映されるからAB聞の輸出 品価格差は縮許する。従ってCがBの商品を劣等財と見倣さぬ限り Bの対G牧支に対して有利な作用をもつ。 ︵筆者はBの貨幣所得上 昇にもとずく対C効果に触れていない。それはBの輸出価格下落.に もとずくCの実質所得上昇の効果と、相殺される程度と考えている と思われる。︶ 次にCの改善がBより迅速であるケースを吟味する。Cの輸出価 絡は下落するが仮定ωにもとずき、AがB商品をC商品に代替する 傾向はなく、Bの対A牧支は大きくは影響を受けない。一方、、Gの 貨幣所得上昇はBの対G牧支に有利な作用を持つ。 最後にAの偏輸入改善のケースを吟味する。此の場合、Aの輸出 価格は不変である。BはAの偏輸出改善の最も大なる苦痛であるC によるB商工よりA商品へのシフトを免れうる。Aの偏輸入改善の 場合、代替はその輸入品と国内品との聞であるが、仮定㈹により、 AB間の貿易は相対的に小である。従ってAの輸入はCからの方が﹂ 大であるので、Bは大きな影響を受けない。尤も此の場合、B・の牧 生産性と国際攻支一三国モ.デルー 支問題は対Aであって、叉Cは此の場合最も不利となる。 ︹Aの偏 輸出改善の場合、Cは最も有利。︶ 筆者の結論では、A︵米国︶の偏輸出改善は世界全体にとって弗 問題を緩和しても、B︵英国︶のC︵膀地域︶に対する煙霧を悪化 せしめる。Aと同様な工業、国たるBにとっては、Aの偏.輸出改善の 方が望ましくない効果を持つのである。要するに相対的な経済進歩 率の大いさより寧ろ如何なる形態一偏輸出改善又は偏輸入改善一を とるかが重要なのである。 ① 、却ミ轟吻”.葦登N篭織鳶ミミト§、ミ♪、、§ミ肉ら§㌣ §腎、愚。亀誘曽㌣蕊辱﹄一〇㎝ひ特・蔦“. ② 、鶏日黛蒔§、冒§.鼠ひサ曽’ 三 ● 以上筆者は上述の如き仮定を設けて、三国モデルによりAの偏輸 出.改善はBにとって不利であり、一方偏輸入改善は有利であるとい うヒックスの二国モデルとは逆の結論を得た。 生産性と国際取支という一般的な問題でなく、生産性と弗問題を. ① 論ずる場合ーサーゲントの論文は P・D・ヘンダーソンの英国.経済 の回顧と展望なる論説に対するシンポジウムに含まれ、英国の怪態 問題に主点を、置く一A国と看倣された米国を単に工業国として表す ② のは適切でない。米国は農産.物の純輸入国ではあるが、相当の農産・ 物を輸出している。 叉A㌔B問の貿易がAC・BG聞の貿易よ・り小であるという仮定も 六五
」 生産性と国際牧支f三国モデルー 特に弗問題を対象とする限り、経験的に述べられねばならない。 所で筆者はヒソクスの様に交易条件の問題を直接には取上げなか った。 今Bを申心として筆者の結論を︵商品︶交易条件を通して吟味し よう、 先ずAの偏輸出改善のケースである。Aの輸出価絡下落により、B の対A交易条件は改善される。即ちBの実質所得が上昇する。︵価格 弾力性は一とする。又、Aの所得は上昇するので所得効果が働く。今 所得効果と価格効果が等しいとする。従ってAB間の収支は均衡。︶ 然し仮定㈲によ・りAB聞の貿易はBC間の貿易より小である故、B の対C幽翠改善の為に為替相場を切下げれば、対A交易条件改善も 逝転の可能性が生じる。勿論対C交易条件は悪化する。 次にAの偏輸入改善のケースである。今Cの輸出原料品と競争関 係にたつAの合成品の技術改善が起った場合、Cは損失を受ける。 ③ 一方Bがその原料を輸入しているとすれば利益を受ける。特に原 料晶の需要の価格弾力性は小であるから、Bの対C交易条件改善は 大きいであろう。然しAがBより輸入している商品の技術改善の場 合、Bは当然損失を受け、Cは有利となるが、Cは原料供給国と看傲 されているので前者のケースが通常と考えて良いであろう。 ︵前節 の如くBの対A・対G収支には大きな変化はない。︶ 一方、Aの生産性改善が一様のケースについては筆者により取扱 われなかった。以前のケースと同様Aの一様の改善はその生産物価 絡の下落と貨幣所得の上昇に反映されると仮定する。その場合Aの 価格水華は下落するので、e輸出品及び輸入代替品の要言は下落 六六 し、その結果輸出が刺戟され、輸入は減少する。 一方Aの所得水準上昇の結果論輸入は増加し、輸出可能品の国内 消費を上昇せしめる。一般的にはAの対B・対C牧支は前者eと後 者口の大小関係即ち代替効果と所得効果の大小関係によって決定さ ④ れる。 此の場合、Aの輸入代替晶を主にCより輸入する原料品とみれば、 Bは対A牧支の悪化に悩む事は勿論存在せず、対A交易条件は幾分 改善されるであろう。︵偏輸出改善のケースと同様、 対A収支は均 衡。︶ 一方Aの所得上昇により原料供給国たるCは利益を得る。即ちそ ⑤ の交易条件は改善される。然しBが同時にその原料の輸入国たる場 合は損失をうける。原料品の需要の価格弾力性が小である事を考慮 すれば、対C交易条件の悪化は大であろう。然しAの生産性改善が 一様である事を考慮すれば、その輸出価格は幾分下落するのでCに とってBからの輸入をAからの輸入に代替する傾殉は認る程度作用 するが、偏輸出改善のケース程ではない。従ってBの対C牧支は偏 輸出改善のケース程は悪化しないが、入超となるであろう。今、牧 支均衡の為にBの為替相場を切下げれば対C交易条件の悪化は、更 に大となり、且つ対A交易条件の改善も逆転する可能性が生じるだ ろう。 今Bの対A関係が偏輸出改善及び一様性の改善のケースと大差な しとし、Aの偏輸出改善の場合も、その所得上昇の為、Gの原料に 対する需要が上昇し鴇その結果Bの対C交易条件が悪化する事を考
豊 慮すれば、対C入超の程度の大きいAの偏輸出改善のケースの方が 8の悪化の程度は大きいであろう。 ⑥ 灘叉、筆者はBCの生産性の相対的不変を仮定した。然し今Aの偏 輸出改善と同時にBの偏輸出改善があれば、Bに対する不利な効果 は弱められる。叉明かにAB両国の偏輸入改善がある場合、Cは最 も困難に陥り、Bにとって最も有利な組合せはAの偏輸入改善、B の偏輸出改善のケースであろう。更にCの進歩を考慮すれぼ複雑と なるが、仮定により原料供給国であっ弛のでその偏向的な改善を考 慮外におく事も許されるであろう。 . 結局、仮定及びモデル構成の相違により、異っだ結論が得られよ うが、米の生産性上昇の結果、世界的な弗問題を惹起するという可 ⑦ 能性は種々の条件を考慮すると二国モデルの場合も否定されたと同 様、三国モデルにても認め難い。