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国 際収支の 均衡 −TheoreticalBalance と Accounting Balance一

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(1)

r・ふク ーー  

60  

国 際収支の 均衡   

−TheoreticalBalance と Accounting Balance一  

宮 田 亘 朗  

1  

国際収支の均衡を論じるとき,通常の議論の中に.2つの概念が混在している   ように.思われる。1つほ理論の上で考えられた対外的な需要と供給とが均衡し   ているかどうかという観点からの均衡の概念で,理論の上で考え.られた需要と   供給を左右する諸要因間のバランスでもってこ国際収支の均衡を規定するもので   ある。他は作製された国際収支表の上に・おいて均衡を規定するものであり,収   支表上のある特定の項目を除いた諸項目ゐ貸借均等をもって収支の均衡とする   考え方である。前者をいまtheoIeticalbalanceと呼び,後者をaccounting   balanceと呼んで概念を区別しよう。   

この2つの概念をかりに.統討学の用語を借用して区別するならば次のように   なる。当概国の実際に行っている対外諸取引を母集団とすると,theoretical   balanceは例え.ば対外取引と為替相場,対外取引と国内価格あるいは所得など   の相互関係を分析するようなばあいにその過程で母集団の収支均衡の概念を理   論的思考に.よって規定したものである。これに対してaccounting balanceは   理論の実証の段階であるいは経済政策上の必要紅もとずいてある曙の資料を母   集団より Samplin女するとき乾生じる標本上の概念である。母集団よりすべ   ての種類の国際取引紅ついて出来うる限りの資料を得て,複式簿記によって−整   理するならば由際収支表が得られる。国際収支表をも複革簿記形式で整理され   た母集団に関するSa血pleであるとナると,国際収支表の商品,長期・短期   資本移動,貨幣用金,そ・の他各種の項目分類ほ,理論上の分類の適用であるだ   けでほなく母集団の性質の違いによる階層別の分類をも示していると解しう   る。aCCOuntingbalanceほ上記のように同一・の母集団からある種のSampling   

(2)

国際収支の均衡  

−β∫−   

61  

をしたもの紅関わっているのでこのSampl占 としての国際収支表の上で再び    規定されることになる。すなわちそれほsample としての国際収支表の特定    の項目の貸借合計差額をもって規定された概念である。このように特定の項目    をとり出すとき,それらが上のtheoreticalbala事1Ceの需要供給に∴相当するも    のであると考えるのは,理論の帰結を実証しようとするばあい当然である。  

accounting・balanceは事後的なsampling しか行っていない現在の国際    収支表の−・部分であるので当然事後的な概念である。これに対しtheoretical    balanceは理論上意味のある概念である以上通常事前的概念である。ここに両    balance概念不一・致の1つの原因があるのである。  

かって Machlup は収支概念を血arket balance,prOgrammebalance,  

(1)   

accountingbalanceの3種に分類した。marketbalance.とは政府・通貨当局    の貿易・為替操作や統制などのないときに生じると思われる需要と供給の均衡    であり,prOgrammebalanceとは5ケ年計画のようなある目的に・て一らして考    え/たとき必要と.される需要と獲得しうると期待する供給とのバランスである○  

しこ1   

これらはともに理論にてらして理屈上の対外需給のバランスであり,したやミっ    て事前的概念である。われわれのtheoreticalbalanceはこの両者を包括する    ものと考えうる。他方MachlupのaCCO11ntingbalanceはわれわれのaC90・ 

unting balanceと同じものである。  

2  

金本位制度の下で,国際経済学の提供した理論的メカニズムはprice−SPeCie   

−flow mechanismと云われるものであった。輸出・輸入あるいは経常の取引  

、から生じた事前的需給ゐ不一・致ほ.金輸出入点内に.おいては為替相場の変動に  より金輸出入点を越えるときほ金の流出入,通貨最の変動,価格の変化により  

(1)Machlup,F.,ThIee Concepts of the Balance of Payments and the So・・Called    Dollar Shortage,E.,.Mar.1950.  

(2)Badger,D.G.,Balance ofPayments:A Toolof Economic Analysis,Staff    Papers,VOl。2,Sep.1951nにおいてMachlupのmarketbalanceの概念を余りに.も狭   

く理解していると批判しているが,この批判ほ現在のわれわれの分類紅は億接関係しな   

い。   

(3)

第43巻 寛1・2・3弓  

62   ー62一  

調整されると考えられた。当時資本移動は顕著でなかっ◆たので,前節で統計用   語を借用して母集団と呼んだところの実際の国際取引はここに・考え.た理論上の   認識と一徹するものであった。このPrice−SpeCie−flowmechanismの説明より  

明かなように当時の母集団の理論分析の過程から生じたtheoreticalbalance   ほ経常取引檻関する事前的な対外的需要と供給のバランス,主として輸出と輸   入の均衡によって規定されたものであった。この需要と供給が均衡しないとき   は為替相場の金平価よりの帝離または金の国際的移動把.よって決済せられる0   したがって為替相場の変動を無視するなら金の流出入をみることでtheoreti−  

Calbalanceの状態を知ることが出来ることになる。すなわち金の移動がある   ときほtheoreticalbalanceの不均衡を意味するとされたのである。これは理   論上考え.られた事前の需給不一・致をOffsettingな動きをすると考えられた金   移動で表現したにすぎない。両者は理論上表裏の関係にある。   

これに対して金体位制度の下でなされたaccountingbalanceは国際収受   の経常勘定(狭義には貿易収支の項目)がtheoreticalbalanceの事前的需給   を表わすものであると考え,この勘定項目の貸借の均等によって一塊定された。  

そして国際収支表上の他の項目,すなわち主として金移動の項目ほ複式簿記の  

(3)  

原則に.よって経常勘定の貸借差額と−・致するのでacCOuntingbalanceを金移   動の項目によって規定することも可能である。かくして調整過程として二物価変   動と balanceの状態を示す金の移動とは理論上もまた実証分析においても常   に対比して取り上げられたのである。   

金本位制度が崩壊し,為替相場がSpeCiepointsの枠を越えて自由に,変動し,  

金が国際決済手段の機能を停止した時代に.登場した購買力平価説についてほ次   のように考えることができよう。購買力平価説の理論的メカニズムほ対外的取   引から生じるすべて−の事前的需給が,それが予想の変化為替投機,資本の逃   避,物価水準の変動いずれに.原因があるとしても,すべて為替相場の変動を引   起すこと,、そしてこの為替相場の変動は貿易・為替に.対する人為的な干渉が存   在せず政治・経済上のパニックがないものとすれば結局2国間物価水準の相対  

(3)絶対額で−・致することである。   

(4)

国際収支の均衡  

ー 63一一  

63  

比率で表わされる購買力平価軋劇致するに.至ることの2点に要約しうる。した   がって為替相場と購買力平価との不一・致は,物価水準やその他の条件に.変化が   ない限り,為替相場が輸出入量の変動を通じて平価に.引寄せられることによっ  

て調整される。物価水準が変動する場合は.物価水準の変動紅よる事前的需給の  

レフトによって為替相場が新しい購買力平価の方向に向って変動すやのであ   る。以上の理論的メカニズムよりみて購買力平価説に.おけるtheoreticalbal−  

anCeはPrice−SpeCie−flowmechanism のばあいと向じように国際市場の構   成K・参加する草野的な需要と供給のバランスである0そしてG・Casselが考え  

(4)  

た需給の中心的ものは対外的購買力の対象となる商品の輸出入であった。政治  

・経済上のパニック,貿易・為替の人為的干渉がないならば最後には事前的需   給そのものが購買力に.よって−動かされるという理論組立てからして,と.の購買   力平価説のtheoreticalbalanceほ短期には為替相場の変動,長期的紅は為替   相場の物価水準2国間比率からの帝断としても示されることとなる。すなわち  

このtheoreticalbalanceの不均衡ほ直接的には為替相場変動によって決済せ   られ,究極的に.ほ相場と物価比率との一・致に.よって調整解消される。したがっ   て金平価のばあいtheoreticalbalanceが事前的需給によって規定されるとと   もにその表裏の関係に・おいて−金の移動によ.っても規定されたが,この購買力平   価説についても商品の輸出入を中心とする事前的な需要供給のバランスと表裏   の関係に・おいて為替相場の変動に・よっても規定することができるのである0そ  

してこのばあいの理論上のOffsetting項目は為替相場の変動のみであり金の   移動はない。   

これ紅対し購買力平価説に.もとずいたaccountingbalanceを考えるならば   次のようになるであろう。購買力平価説提唱の時代ほ政治・経済上のパニック   の時代であり,金の国際的決済手段としての役割は停止され,bot moneyの動   きは活発であった。故に.sampleとしてとられる画際収支表ほ.おそらく輸出入  

(4)Casselが考えた中心的ものは商品の輸出入であったが,種々の批判をうけて他の項目    を後に追加している。拙著「国際的貨幣ヴェール観」竜谷大学経済学研究叢書4昭35年    参照。   

(5)

・・一 6J−−  

第43巻 第1・2・3号   64  

を中心とする経常勘定項目と大部分資本の逃避的移動を記載する項目以外注目   すべき項目はないであろう。しかも複式簿記で集計され,ある固定した不変の   為替相場で評価しなおすことをなさない限り,国際収支表の貸借差額は常に.均   等となる。したがって購買力平価説のtheoreticalbalanceに,したがい経常勘定   の項目をとり出して−その貸借差額によってaccountingbalanceを規定するこ   とほ,余り意味がないことにな畠。経常勘定差額の示すものほ,人為的な貿   易,為替の干渉あるいは資本逃避に.よるものか,輸出入額の評価が実際と異な  

っていることに・よるものかいずれかであって,事前的需給を反映したものでは   ない。かくしてtheor.eticalbalanceのところでのべたように,事前的需給と   表裏の関係に・ある平価からの為替相場帝離に.よって,すなわち物価水準と為替   相場の両変動の資料に・よってaccountingbalanceに.代るものを規定する以外   方法がないことになるのである。物価水準変動と為替相場変動との資料把よる   対比は購買力平価説の弁護者および批判者によって数多くなされてし、る。為替   相場の変動によっても短期に,関してほtheoreticalbalanceを規定し得たこと   からaccountingbalanceを為替相場変動の資料だけに置き換えようとする試   みほら 為替相場変動が国際取引の不均衡を示していることをいうだけであっ  

て,相場変動の原因に遡り分析するとか実際の政策要請に応えるために.ほ何の   意味もない(samplingをして理論を実証しょうとする段階に.おいて)。したが   って−上記の如く不均衡の指標である為替相場変動の上にイ也の何等かのものを導   入して実証上の諸要請に応えようとすることになるのである。さもなくば事前   的資料からなる国際収支表を得るよう努力せねばならなくなるからである。そ  

して−為替相場変動以外のものを導入することは長期的観点からの規定に.なって  

(5) しまうようである(後述の例)。  

(5)購買力平価説が本来長期均衡相場を求めようとしたことほ周知のことである。また,   

後述のHansen,Nurkseのものも(p.67)長期的なfundamentaldisequilibriumを規定    しようとしたものである。故紅われわれが短期と長期の両概念を同一・平面紅並ぺて一別の    観点から論じて■,短期のaccounting balanceが規定出来ないために長期の規定となった    ようにル、うのは云い過ぎである。 しかしながら,後述第3節で1iquid balanceを考察す   

るときに,ここ紅見出した形式的類似性を使用して推論せんがためかかる表現を用いた    のである。   

(6)

国際収支の均衡  

ーー 65トー  

65  

(6)   

次に通常Classicalor neo・Classical理論といわれるものに・ついて考え.て−み   ょう。この理論のメカニズムは金為替本位制度の現状に.立脚し,価格変動以外   に.所得変動をも加えて金本位時代のprice・NSpeCie一重1dwmechanismを山L般化  

したものである。そIしてtheoreticalbalanceを国際市場のautonOmOuSな   需要と供給と規定している。これは事前的需給の別表現に・すぎないといえる0  

こ,のtheoreticalbalanceの不均衡は国際的決済手段によって決済されなけれ   ばならない。ここに国際的洗済手段と考えられて∵いるものほ,金・基軸国通貨   並.びに短期資本の調整的移動である。したがってtheoreticalbalanceほこれ  

らの変動塁によ.っても規定できることとなる。そしてこれらが変動する不均衡   埠卿ま・価格の変動および所得の変動を通じた輸出入の変動によって根本的に解   消されるものと考えるのである。   

これに対してClassicalor neo−Classical理論のaccOunting■balanceほ,  

国際収支表の各棟項目のうちどれをautonomousな性格をもった項目である  

(7) 

とみるかによっ7::異なってくる。例えばAngellほ貨幣用金の項目とすべての   短期資本移動の項目を除いた他の項冒なautonomousな性格の項目である  

(8)  

としている。またNurkseは不均衡的な移動をする短期資本をaccounting   balanceから除くことを主張している。aCCOuntingbalanceをautonomous  

な性格をもつ勘定項目の貸借差額で規定するこ.ととautonomousな項目の変   化の結果誘引された項目の貸借差額で規定する(これをinduced,aCCOmmO−  

dating,Or equilibIatingitemsといっている)こととほ.複式簿記よりして国   際収支表のすべての貸借差額合計が零となることから,収支表のどこに線を引  

くかということに関っているだけで全く同じことである0   

金本位時代のpIice−SpeCie−flowmecha云ismという表現形式ほ国際取引の   

6 7  

Badger,D.G.,ibid.  

Angell,J.W.,EquilibriuminInt9mationalPayments:The United States,1919    一1935(Explorationsin Economics,1936)及びMeade,theTheoryofInteInational    Policy,VOl.Ⅰ,1951.  

、(8)Nurkse,R・・,Conditions ofInternationalMonetary Equilibriun,Essaysi?   

InternationalFinance,No.4Spr.1945,Reprintedin Readingsin the Theoryof    InternationalTrade,,1949pp.3−34.   

(7)

第43巻 第1・2・3号  

−−66−   66  

不均衡の調整が価格によってなされるということ,そして国際収支均衡がtbeo・  

r、eticalbalanceおよび accountingbalance ともに金の移動によって示され   ることを現わしたものと考えられる。そこで Classicalor neo−Classical理論   紅ついてこれを全く形式的類似性だけを求めて表現するとするなら,income  

(Or・pIice)−induced−items−Change mechanism ということに.なる。これは  

(9)  

国際収支の調整過程とbalanceの状態を示すものを並べたにすぎないbいま購   買力平価説に.ついて同様のことを行うとprice−eXChan宮e−rate−fluctuating   mechanism と現わしうる。ここに.priceは価格永準を示し,eXChange−rate−  

fluctuatingは平価よりの為替栴場変動を示している。   

さてしばしば国際経済理論で考えるような完全紅自由客・変動する為替相場を   もった経済を想定しよう。このばあい,既に.購買力平価説のところで考察した   よう軋,事前的需要と供給とによってあるい\はそれと同じことであるが為替相   場の変動によって規定するtheoreticalbalance ほ理論分析ニヒ意味のある概念  

として残存しうるが,国際収支表の一部分で構成される accounting balance   ほ全く意味をなさなくなる。事前的なデータによって国際収支表を作製しない   限り,短期資本移動を除いた autonomousな移動を記録したと考えた勘定項   目ほ事前的な需給を反映するものといいえ.なくなるからである。同様にin・  

duceditemsもtheoreticalbalanceの不均衡をそ・のまま反映せず,大部分為替   相場の変動の中に吸収された残りを示すにすぎなくなる。かくして国際収支表   にたよった母集団の分析ほそれだけ価値のないものとなり,theoreticalbal−  

ance概念のうち為替相場変動に.よる規定を直接相場変動の Sampleと対比さ   せ為替相場変場即収支不均衡という形でaccounting balanceに代るものを規   定しよ.うとする試みに.なってくるのである。   

こめばあいの Price−SpeCie十flow mechanism との形式的に.類似な表現は   income(orprice)−eXChange−f■atc−fluctuatingmechanismであって,購買力乎  

(9)price−SpeCie・・flow mechanismではSpeCie はautonomous 紅も動きうるがここの   induceditemsは文字通り誘発的に動くだけのものと考えられている。これを考えてみ  

ても全く形式的類似性で表層形式を借用したに.すぎない。   

(8)

国際収支の均衡  

ー67 −  

67  

価説のそれと非常に似たものである。したがって国際収支表の一・部の勘定の貸   借差額によって規定する accounting balanceに.代るものとして一,所得あるい  

ほ価格と為替相場変動の資料によって概念規定をしょうとする考えが想起され  

(10) てくる。乳えばHansenの価格・生産費構造による規定,Nurkse紅代表され  

るような大患失業の存在しない状態での長期に.亘る為替の安定をもって規定す  るものなどである。そしてCasselの購買力平価説がそうであったようにこれ   らは長期の国際収支均衡を定めたものである。Cassel同様 Hansenおよび   Nurkseに.おいても短期のtheoreticalbalance は短期の事前的需給によって   規定されることは間違いない。そしてこ.れと表裏の関係でtheoreticalbalance   ほ.為替相場の日々の変動としても規定されるであろう。これに.対する短期の   accounting balance ほ,ここに想定しているような全く自由に.変動する為替   相場をもった経済あるいはautonomous項目がtheoretical訪alanCeの事前   的需給に相当するとする考えに重大な疑問の生じたばあいには既に・のべたよう   に意味のない概念となる。そ・し{:accounting balanceに代って為番相場の日  

々の変動の資料をもって不均衡の指標とする方式以外残されていないのであ   る。しかしながらこの方法も、理論的にも実践的にも余り意味のあることでない   ので,すでに.のべたように為替相場の変動と価格あるいは所得(失業)のよう   な何等かのものを導入して両者の資料を比較するという形で規定することにな  

ってくる。そしてこの導入によって:HansenおよぴNurkseの〉規定もCassel   同様長期的な概念規定となって‥いる。  

3   

Induceditemsの中に.貨幣用金及び国際通貸と少くとも均衡化的な短期資本   移動の項目を入れ,これに.よってaccountingbalanceを規定しょうとする考   え方は,事前的な需給の不均衡が利子率の変化を導き,その利子率変化が短掛  資本の移動を引起すという理論的連鎖がある限りで正当なものであった。しか   

(10)Hansen,A.H.,A Brief Noteon FundamentalDisequilibIium ,R E Stat ,    Vol.・26,Nov.1944.   

(9)

第43巻 第1・2・3号   

68  

−6β−  

しながら中央銀行の利子率の変化に対する短期資本の反応性に疑問が生じ,貨   幣金融政策の国内経済への影響を少ぐするに・および,aCCOunting■balanceをよ  

り国際的な決済手段として移動する性格をもつ項目に・よって規定しようとする  

考え方が生れた。、即ちCOmpenSatOryOfficialfinancingをもってOffsetting   items とするIMF(1961年以前)のものである。  

(11)   

compensatoryofficialfinancingほ1948年の Manual 第1阪で国際収支   の赤字黒字の現実的尺度として提唱せられ,1950年のManual第2坂で明確   に.定義された。それは現存する国際収支が通貨当局に金融行為をとらせる尺  

(12) 度であり,国際準備,IMFおよびIBRDに対する負債,当該国ゐ未償還長期債  

務の公的取引,国際取引をバランネす・るための最期公的借款,公的贈与を含む  

く13) ものとされた。したがって戦後の長期借款,公的贈与等のOfficialなものほ;  

すべて赤字金融を動機として動かされた調整的決済的性格のものであるという   認識紅.立脚している。しかしながらこのように official financing をすべて   諏整的性格のものとサるに.ほそれだけの充分な判断材料がなければならない0  

ここに困難な問題があった。たとえばMac王11upの指摘するように,UNRRA  

(14) の援助は必ずしも調整的な性格のものとみることのできないものであった。  

Manual欝1坂の解釈を第2坂で改めたように.この援助は受領国に・とっては調   整的性格のものであったが,贈与国に.とっては必ずしもそのようなものとみら   れなかったのである。国際収支表のある項目がCOmpenSatOry な性格のもの  

であるかどうかの判断,換言すれば母集団からcompensatoryな性格のSample   を抽出しているか否かの判断は事後的な数値の記載された各項目が theo−  

reticalbalanceのいう事前的需給に.相当するものであったか,調整的決済的   なものに.相当するものであったかを決定することであるから,Badgerの云う   ul)IMF,Balance of Payments Manual,1sted.,1948  

(12)国際準備としてIMFのManualが考えていたものは,貨幣用金,短期公的対外資産,   

海外で市場性があり当該国通貨当局の自由になる長期資産,IMFおよびIBRD以外の外    国政府・金融機関紅対する負債等である。  

n3)IMF,Balanceof Payments Manual,2ndn ed・1950  

(14)UnitedNations Relief and Rehabilitation Administration(国連救済復興委員会)   

の略であ卑。Machlup,Fu,ibid・   

(10)

圏麒収支の均衡   ■■・L・− 69 −   

69  

(15)  

如く必然的にその国の市場状況にまで立入り,UNRRAの援助を必要とするよ  

うな需給不一・致があったか,その援助によって実際に.需給不一・致が決済された   かというように過去に.遡った考察をよぎなくさせられる。そしてこれは事実上   不可能に.近い仕事である。かくしてこの困難を克服しえず,IMFはMantlal  

(16) 第3坂において赤字黒字を何らかの手段で測定しようとする試みを放棄し,  

compensatory officialfinancing の概念も主観要素を含む近似的分析手鼠以  

(17)  

外でほないとのぺるに至ったのである。土こ.に.IMFによる統→朋なaccou・  

nting balanceの規定への努力は.断念せられた。  

1965年4月16日,Bersteinを長とした Review Committee for Balance   of Payments Statisticsほいわゆる国際収支に,関する Be工Stein Reportを作  

(18)  

製した。これほ.Xindlebergerがbalance of officialreserve transactions  

(19)  

と呼んだ考え方を提示している。このBerstein Reportま−でのアメリカ商務省   発表の収支表はこ.れ軋対してIiq11idity balanceに.よる概念で整理作製された   ものであった。Berstein Report以前の1iquidityによる国際収支表は,アメ   リカがIMF体制の下において世界の銀行の役割をなして−いるとする現実認識   に.立脚して,1958年以降に生じたドル不安を解消サーる処方箋を得ようとして一作  

られたものであった。しかしながらIiquidityに.よってaccounting balance  

(釦)  

を規定しようとした試みほ既に1947年のFI■isbの論文に.見出しうる。   

F工isbの考え方は次の如くである0国際取引に・咋・2つの価値の流れがおる。  

すなわち物の流れと支払の流れである。支払の流れとほすべての国際取引の対  

(19 Badger,D.G,ibid.  

(16)IMF,Balance of Payments Manual,3rd ed..1961その他IMF,Balance of   Payments,Concepts and Definitions,1968及びH4)St−Madsen,P.,Balance    Payments,its Meaning and Uses,1967参照。  

(17)IMF,Balance of Payments Year Book,Vol…171960−64  

(18)Report of the Review Comrnittee for Balance of Payments Statistics   

BureaヮoftheBudget,April1965,The BalanCe df Payments Statistics    United States;A Reviewand AppIaisal巾  

e e ▼n︐n t t  

O Of  t   

(19)Kindleberger,C.P..,Measuring Equilibriumin the Balance of Payments,JPE    Vol.77Nov.−Decひ1969  

C20)Frish,R。,On the Need for Forcasting a Multilate工alBalance of Payments,   

AER,Vol.37Sep.1947   

(11)

第43、巻 策1・2・3号  

70  

・− 7(ノ一  

象となる資産のうち流動性の高いものを意味して−いる。Sayの法則の妥当しな  

′い現実国際市場においてほ,特化に・よる貿易の利益にとどまることなく支払の   流れが物の流れを阻止するという側面をも認めて議論すべきであろう。債務国   の支払能力の悪化は.物の流れを避退させるだけでなく債権国からの現金による   支払要求あるいは流動性のより高い投資形態への切換えを引起し,それが他の   各国にも波及して予想した以上の物の流れを阻止することになり,世界的な不   況のSpiralをもたらすことになる ■(paymenteffect)。したがって国際収支均  

衡は一周だけの狭い視野からでなく,世界的視野から規定しなければならな  

い。そこ/で世界全体の物の流れ(財・サ−ビスを中心とし)を記した血atI・ix   を描き,各2国間の物ゐ流れを示す各要素を考慮しながらどれ程の支払の流れ  

(.1iquidtIanSfer)を各国間したがっで憧界に生ぜしめたならば全体の物の流   れを最大.にするこ.とができるかという観点に・立って−各国の収支均衡を規定する   のである。   

さで以上のようなFrishの考え方ほ必然的にI2つのaccounting balanCeを   規定するこ.と軋なるようである。matIixの各行の合計はそ・の固からの物の流  

出であり,各列の合計ほその国への流入である。したがってFIish自身記して  

(2ユ)  

いるように.この両者の差額はその国の国際収支の赤字黒字を示して.いること  

\  

になる。= の赤字黒字として示されるaccounting balanceほ.彼が最後に他界  的視野に.立って−最大の物の流れを生じるような国際収支というときのその規定   とは次元を異にしている。両者ほともに・物の流れと支払の流れによって規定さ   れ,したがって経常収支を中心とした勘定項目によってtheoreticalbalance  

の事前的需給を,流動性の高い資産の移動と考え.られる勘定項目によってOff・・  

settingなものを肥えようとしている点では同じである。しかしながちもしあ   る国が前者の規定で均衡であるとしても他の国が赤字であり支払能力紅対して   疑問がもたれるならばp?yment effectによって一物の流れの下降sp皐ralを引   起し逆のばあいには上むきのSpiI・alをも 

よりして,FIishの後者の規定ほ各国の均衡が世界的視野に立脚した政策を遂    但1)Frishは赤字黒字の合主汁でmatrixのSkewnessを定義している。   

(12)

国際収支の均衡   ー・フ■ノ ーーl  

71  

行するとき到達するであろう国際収支の均衡を規定したものであるといえる。  

故にいわば前者は短期の,後者は長期の均衡である。FI−ish の考え.を p工ice−  

SpeCie−flow mechanism と形式的に類似な形で描くならばincome≠・1iquid−  

items Change m占chanismである。但しここでのincomeは支払能力からく   る payment effect(支払の流れによって物の流れが Spiral的に変化するこ   と)を意味している。HansenJおよび Nurkse のときと同様,短期的概念は   第2項の1iquid−items−Qhangeだけで規定されており,長期的概念は簡1項   のincomeを加えて規定されているのである。この翫ishのaccountingtbal−  

anceは第1項のincomeを直接支払■能力を示すものに置換えるときアメ.リカ   の商務省の国際収支表のaccountingbalanceの概念に到達するであろう。な   おF工isbのいう支払の流れの構成物は流動性の高い資産であるとする考えは,  

(22)  

Badgerが指摘するように流動性の低いもの,例えばAngl0欄AmeriCanloan   のような長期かつ市場性の乏しい資産が支払手段として使用された事実よりし   て妥当ではない。  

(23)   

擁護者I.ederer に.よってアメリカの商務省国際収支表(Bernstein Report   以前)のaccounting balanceをみると次の如(1である。資産の流動性という  

ときその資産の利用可能性をも併せ考えなければならない。他界の銀行の役割   を果しているアメリカにとって,金,通貨当局所有の外国流動資産,政府所有   の外貨はこの流動性,利用可胎隆をもっているといえる。しかしながら民間の   所有にある対外資産ほ必ずしもこの属性をもっているとはいえない。外国の民   間人が所有している資産(アメリカの債務)はドル紅不安が生じたばあい貨幣   当局紅売却せられてアメリカの金に対する支払要求となって−くる。したがって   この種の流動資産ほ.利用可能性をもったものと考えられる。これに比してアメ   リカ人の所有する対外債権ほ緊急時でも貨幣当局の使用不可能なものである。  

故にアメリカ民間人所有の対外流動資産は利用可能性のないものとみなければ  

′■(22]Badger,I).G ,ibid 

C3)Lederer,Wり TheBalance of U.S.Payments:AStatement of the PIOblem,   

theI)011arinCrisis(占d.S.E.Har工is)1961pp.114−36.   

(13)

籍43巻 貨1・2・3号  

ー・72−   72  

ならない。かくしてLedererはアメリカ民間人所有のものを除いた1iquid   assetsと外国民間人所有のものを含む1iquidliabilitiesとの貸借差額によっ  

て収支均衡を考えようとするのである。そこでアメリカのaccountingbalance   ほ.offsettingitemsに.よって表わせば金,通貨当局所有の外国流動資産,アメ   リカ政府所有の外貨,外国民間人へのアメリカの負債によって示されるよとと   なり,外国民間人所有のアメリカの流動負債は含められるがアメリカ民間人所   有の流動資産ほ除かれた形で規定されてくることになったのであ忌。これほ  

Kindlebergerに.したがってⅩMMrT−LTC−STCu$=STC1十G=0  

\ゴ・l)  

叱よ.って均衡を規定したものであるというこ・とができる0そしてこれが商務省   国際収支表の赤字黒字の概念であった0  

(25)   

この aCCOunting balanCeの考え方はGardnerの指摘するように対外資産   と負債の比率としての1iquid ratioあるいはreserve工atioを作り出し,それに   ょってアメリカのIiquiditypositionあるいは資産状態を示す指療としようと   するものである0この比率の意化はアメリカの世界銀行として:の役割に対する   不信を招き,益々国際収支の悪化,したがって1iquidity positionを悪ぐする  

と考えられる。そ・こでアメリカが維持しなければならないのほ1iquidity po−  

sitionである。その悪化も改善も不均衡であるという Ledererの言葉がでてく   るのである。か.IくしてFrishのいう支払能力からくる paymenteffectは   IeSerVe ratio によって置換え.られることに・なる。すなわち reserve−ratio−  

1iquid−items−Change mechanismがアメリカ国際収支表の内容である。この   accounting balanceほ.頑初から第1項のre亭erVe ratio を含めた形で規定さ   れている。第1項を含めたaccounting balanceの概念は(theoreticalbalance  

も同じことであるが)長期性格の規定となる。この Lede工■e工 の規定も 酌 isb   のはあいそうであったようにとの点で例外ではないようである。なぜならⅩ一  

位4)Kindleberger,C.,P.,ibid.,記号は次の如くである。Ⅹ輸出,M輸入,T tranSfer    payment,LTC長期資本移動,STC短期資本移動,G金の純増,IMFの金トラン1/ェお    よび交換可能通貸の保有額を示す。なお,添字Mほアメリカ,プほ外国を意味する。  

uz5)Gardn声r,W.Rり An Exchange−Market Analysis of the UりS.Balance of   

Payments,Staff Papers,Vel.8May1961.   

(14)

国際収支の均衡  

− 7、;−  

73  

M−TpLTC−STCus=STDl+Gのaccounting balanCe の概念ほアメリカの   1iquidity position の悪化が世界経済に.ドルの不安を通じて Spiral的な影  

(26)  

を与えることにもとずいて,それを除去する政策をとるならば到達するであろ   う均衡を規定しようとしたものであるからである。この規定は日々の短知の事   前的需要供給の不均衡がGおよび STC1(STCusを除く)によって決済され他   の項目は全く関与しないというような発想に基づいたものでほなく,故に国際   摘場の短期的事前の需給の関係を示す−ものをsampling しようという発想に   基づいたものではない。  

Ledererのresereratioは明確でないがStOCkの概念ではなくStOCkの変   化の概念である。したがって国際収支表の金融勘定項目の中から算出され得る  

ものなのである。そこではStOCkそのものの大きさは見落されている。ドル不   安はFIishのいう支払能力への不安に相当するであろうからstockの大きさも   考慮した形でaccounting balanceの最期規定を設定すべきであった。このよ   うにstock概念を考慮せずstockの変化概念に限って規定したことほ国際収支   のSymm班yに問題を生ぜしめた。すなわち世界各国の民間機関が互に相手   国の銀行に預金をしたとしよう。このときLedererの考えによれば自国の外  

国への預金は1iquidassetsでなく,外国の自国への預金ほ1iquidliabilities   であると考えられることに,なる。その結果世界各国のaCCOunting balanceは   すべて赤字という奇妙なことに・なってくるのである0 このことは民間機関が   1iquid assetsに.関与する限り何時にもいいうる。逆言すればFrishのように   世界全体が均衡となるようなことは偶然にもありそうに・ないのである。なおこ   れと多少関連して−,日本がNew York銀行より借入をしその一増βを預金とし  

て−とどめ置いたようなばあいに.,事実上流動性のないこの預金(アメリカの負   債)を金に対する支払要求となってくるようなIiquidliabilitiesの1つとし  

て取扱ってしまうこと,すなわちtheoreticalbalanceとsampleとのくい違  

朗1iquidity balanCe作製の真にほ常にアメリカの危機感がある。Lary,H.B..,Problems    of the United States as World Traderand Banker,1963Appendix A.   

(15)

箆43巻 第1・2・3号  

一74 −   74  

(27) いの問題に.対しても批判すべき点がある。   

かくしてtheoreticalbalanceと Sampleのくい違いを含めて母集団把握上   の不完全性(errorsand omissions項目)を改善し,上記のasymmetricalで   あるという批判に応k_ることを目的として.Bernstein Reportが提出された。  

Bernstein Report は短期資本の移動の項目を私的なものと公的な機関に関わ   ったものとに分割し,後者をGとともに画線下に前者を画線の上に置いた0ア   メ.リカに.は公的な機関の所有する短期対外資産がないのでこの公的短期資本移  

(28)  

動(officialtransactions)として画線下にまわされるものはアメリカの短期債   務のうち外国の公的機関の所有するものの変動だけである。したがって Ein−  

dleberger の表現でほアメリカの収支は Ⅹ−MhT−LTC,STC岬STCp=  

(29)  

STC7。十G=0となる。こ.れは公的な短期資本移動の項目だけを右辺に残すこ   とに,なったのでIMFのCOmpenSatOry Officialfinancingによるaccounting   balanceに.Ledererのものより1歩接近したものになった。そしてLederer  

の1iquidity balance のよ.うにI世界全体が赤字となるようなasymmetrical   な性格ほ解消せられ諸外国の国際収支表とかなり類似したものになったのであ  

(80)  

る。IMFのaCCOuntingbalanceほ事前的需給あるいは国際的決済手段の動き   によって示される theoreticalbalance を母集団からsampling して 国際収   J 支表の上で規定しようとした努力であった。したがってこの Bernstein Re−  

poI・tの均斉性を得ようとした試み.はIMFと同じ努力を結果として行っため  

(27)1iquiditybalanceへの批判は.Gardner,W・R.,ibid・;KindlebeIgeI,C・・P.,ibid・;   

Kennen,P.B,iMeasuring the UnitedlStates Balance of Payments,RE Stat.   

Vol.46,May1946;KindlebeIger,C巾 PりBalance of Payments deficits and the  

InternationalMaIket foェLiquidity,Princeton EssaysinInternationalFinance,   

No.46,1965;Lary,H.B.ibid.;Triffin,R,NationalCentralBanking亭nd the   InternationalEconomy,RE Studies,Vol。14,1946−7.等に詳しくのっ{:いる。特に 

アメリカの長期貸付,諸外国のアメリカへゐ短期頭金の交換が世界の1iquidityの増大    に果す役割について論究し,1iquiditybalanceの欠陥を指摘したKindlebergerの2つの    論文が注目される。  

C28)officialtransactionsというときは,例外的な項目のような形で非流動的な債務の変    動を示す項目を加えている。それは期限前償還不能の非市場性政府中期証券の売却でフ   

ロンビア河協定紅関連して−,カナ・ダ紅売却したものという項目である。  

C29)ここに添字pほprivateを,JOはforeign officialを意味している。  

(3功 東銀月報籍17巻11号「アメリカの国際収支の算定方法」1965年11月,16頁。   

(16)

国際収支の均衡  

− 7古−  

75  

であるといい得るようである。しかしながらBemstein Report のacCOunt−  

ingbalance には背後に.外国の公的機関の所有する短期資産は容易に金への   支払要求となるのに対して,私的な短期資産は保持され続けるであろうという  

(31)  

考えがあり,その点でLedererの1iquiditybalanceの修正以外のものでは   ないとい.え,るのである。したがってtheoreticalbalanceとaccountingbal−  

anceの関係はIMFのものより不満足なものとなってくる。特にⅩindleberIger   の指摘する如くBernstein Reportに・したがうとNew Yo王kに・ある諸外国の預   金に.ついて−公私の分類を行うという困難に直面し,実際的処理としてそれをす   べてアメリカの公的短期負債として.取扱ってしまう危険がある。そして国際収  

支表のSymmetricalな性質を破壊し,theoreticalbalanceをSamplingし   ようとしたIMFの考.え.とほ益々離れて行くことになるのである。以上のよう  

にして Bernstein Report の aCCOunting balanceほ,Lederer の1iquidity   balanceとIMFのaQCOunting balanceの中間に位置していると結論すること   ができる。両者の中間であるということほreserve−ratio−1iquid−items−Change   mechanismで示される1iquidity balance の第1項reserve−工atio をより深   

く考察分析したものでもなくu第2項1iquid−itemsをIMFのCOmpenSatOry   officialfinancil唱 のよう紅楷密化したものでもないという中途半端な修正に   終っていることを意味しているのである0  

4  

最後にわが圏の国際収支統計におけるaccountingbalanceを簡単に検討し   ょう。ここに.いう国際収支統計とほ1960年以降日本銀行管理局によって作製さ   れてル、るものを意味する。これは1964年日本のOECDへの加盟に・併って些細   な点で差異が生じたが,はとんどIMFの Manual第3坂の形式をそのまま   償守している。IMF Manual第3仮においてほ国際収支表上での赤字黒字の   統一・的概念設定への努力ほ現在IMF YeaIBook において各国国際収支の分 

t31)Kindleberger,C.P.の上記2論文のBeInSteinReportの批判の個所を参照されたい。   

(17)

籍43巻 箆1・2・3弓  

ー 76−   76  

(32)  

析過程で残されているとはいえ.一・応放棄されている0そしてどのように赤字黒   字を設定するかほ各国に委ねられる与とに・なったのである○わが国の国際収支   統計の構造は簡単に.X−M−T−LTCp−STCp=LTC。+STC。+Gである。そ  

して左辺を総合収支と呼び,右辺を金融勘定と呼んでいる。金融勘定(LTC。  

十STC。+G)の内容は,わが国の政府(日本輸出入銀行,日本開発銀行,海外   経済協力基金を含む),中央通貨機関,外国為替公認銀行の行った対外金融取引  

(33)  

を債権者一億務者の原則によって記載したものである。この金融勘定はわが国   のaCCOuntingbalanceを示しており,その不均衡は総合収支ゐ貸借差額と絶   対額で等しい。   

このわが国のaCCOunting balance とIMFのCOmpenSatOry Officialfi・  

nancingとの違いははほ次のようである。Manual欝2仮に明記してあるよう   にIMFのCOmpenSatOry Officialfinancingはわが国がその国際取引をバラ   ンスするために企てた金融である。したがってそ・れはそれを企てた機関のタイ   プや名目的な目的によって他と区別されるのではなくて,をの金融が果たす根   本的な機能に・よって琴劇されなければならない0そこで68常に列挙したような   金融の項目がIMFによって国際収支表全体から抽出せられたのである。さて  

わが国の上記 accouuting balance のうち Officialな短期資本移動の項目   くSTC。)はほぼIMFの COmpensatory Officialfinancingの中に入ってい   る。ところが公的長期資本移動(LTC。)についてほそうではない。わが国の   LTC。はIM耳のMauual第3坂に・したがって分類されたものであるのに・対  

して COmpenSatOry Officialfinancingの長期金融はIMFの Manual第女坂   にしたがって分類された officialloansのうら調整的なもののみである。両   者の差は帰属方法にも存在する。すでにのペたように.わが国のは債権者一億務   者の原則で記載されているのに.対し Manual第2坂の長期資本移動の項目ほ   取引者に.よって記載されているのである。なおこれら以外に両accounting    侍2)‡MFのBalance of Payments YeaI寧00kにおける分析では,従来のCOmpenSatOIy   

OfficialfiI】anCingの考え方と同じ方向での努力がなされている。  

闇 わが国の債権者又はわが国の依務者が民間部門のときほ民間の項目へ,政府又ほ通猿    機関ならばその項目へ記入することを指す。   

(18)

国際収支の均衡   ・岬− ア7・−−  

77  

balance の差異ほ.公的贈与に.関して存在する。わが国の金融勘定に・公的贈与   は入っていないのである。   

以上のようにわが国の accountingbalanceはManual欝3阪にIしたがっ   て機関別に分類記載された資本および貨幣用金の移動のうち公的なものを画線   下にまわしたものにすぎないので,theoreticalbalanceに・いう事前的需給を   正確に.反映したものでほない。例えばIM‡γよりドルを引出す場合わが国の方   法では金融勘定の中央通貨機関の項目のなか紅貸借ともに同額記入されるこ.と  

となり,aCCOuntingbalanceほまったく不変のままになる。また経常収支が   黒字でそ・れに.みあう短期延払信用を供与したとしよう。供与主体が民間である   場合は経常収支の県字に見合って−STCpに眉己入され総合収支.を零とする○ し   かしその手形を通貨機関に.売却した場合にはSTCJに記入せられ経常収支の   黒字はそのまま総合収支尻の黒字として残され,STC。に.記入され増大した   金融勘定尻と絶対額で相等しくなる。すなわちわが国のaCCOunting balance   ほ金融取引の主体が民間であるか通貨機関であるかによって違った結果を示す  

(34)  

ことに.なるのである。   

t.のような諸例ほわが国のaCCOunting balanceが事前的需給を把握する   Sampleとして不向きであることを示している。これほIMF第3版の機関別   項目分類をそのままに.して国際収支表の資本勘定のどこかに線を引くこと軋よ  

って accounting balance を規定しようとしたためである。COmpenSatOry   officialfinancingがそうであったように国際収支表の項目分類の中から市場   に立入り動機に遡って事前的な需給であると考えうる資産の変動のみを抽出す   るならば,theoreticalbalance_をより良く反映したaccountingbalanceを得   ることができるであろう。   

すでに.のべたように,aCCOuntingbalance の概念にほ.IMF のCOmpenSa・  

toryofficialfinancingに代表しうるような痘期的規定とCassel,、Hansen,  

Nurkse,Le4ererにあるような長期的規定とがあるQわが国の aCCOunting   balanceは.一\見して明かでみるように後者に属するものでほない○ したがって   伽)斉藤武雄「国際収支の研究」東洋経済昭42年241・−3貰に・詳細な例示がある。   

(19)

箆 43巻  第1・2・3号  

78  

− 7β −  

Bernstein Report と同じようにわが国の aCCOuntir)g balanceもIMFの   COmpenSatOry Officialfinancingに.およばずかつ長期の規定を意図するもの   でもないという中途半端なものに.なっているのである。事後的な sampleに   よって短期的なaccounting balanCeを規定することはIMF が欝3坂で放   棄したように困難で不可能な仕事であろう。したがってわれわれに残された方  

(35)  

法ほ,母集団から直接事前的データを得るよう努力するか,1iquidity balance   のreserve ratioの吟味などのように長期的規定を再検討することである。近   時flexibleな為替相場の導入が議論せられている。すでにわれわれが考察し   たように,もしflexibleな為替相場が導入されるなら,事後的データによる短   期のaccounting balanceは無意味に近いものに.なるであろう。したがって長   期のaccounting balanceの概念について再考する価値ほ充分あるのである0   

1iquidity balanceのreserve ratioほ,アメリカの資産一負債比率であっ   て,アーメリカの対外支払能力を示す一・つの指標にすぎない。これは企業会計に 

おいて企業の状態をみる場合の流動比率に.相当している。企業の場合に・そうで   あるように.一周経済の指標として,これ以外に多くのもの(既述のよぅなStOCk   の∴比率など)が考えられるであろう。金平価のときの国際収支不均衡の調整は   価格によってなされ,neO−Classical理論でほ所得が加えられた。Frishの考え   方でほ,支払能力に対する不安を通じる所得水準の変化(payment effect)が   調整過程としてみられている。そ・して Leder・eIにおいて,・−・国の経済状況を   示す指標としても理解される reserve ratioが持ちこまれて来たのセある。   

このⅠ・eseiveIatioの変化が支払能力への不安を通じ,世界の貿易に作用し所得   変化をもたらすという調整過程を考えている。以上の様な金平価からLederer  

までの調整過程の変遷を概観するとき,例えばprice−SpeCie小flow mechanism   のような形式の第1項がreserve・ratio以外の他の指標で置換えられても何等   奇妙なことセなかろう。  

(35)例え.ば国民所得分析狂おいて消費の動向調査が行なわれている如く。   

参照

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