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2.1陽 子 線 と は ●●●●●● ●●●… ・… … … ・… ・… … … …6

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(1)

修 士 学 位 論 文

プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レー タ を 用 い た 陽 子 線 角 度 依 存 性 解 析 ツ ー ル の 開 発

平 成24年1月6日 提 出

首 都 大 学 東 京 大 学 院

人 間健 康 科 学 研 究 科 博 士 前 期 課 程 人 間 健 康 科 学 専 攻 放 射 線 科 学 域 学 修 番 号:10897603

名:岩 勇 人

(指 導 教 員 名:大 浩 樹 准 教 授)

(2)

要 旨

近 年 、 臓 器 の 機 能 温 存 に よ るQOL(QualityofLife)の 向 上 や 国 民 の 高 齢 化 が 進 ん だ こ と に よ り 、 侵 襲 性 が 低 い 放 射 線 治 療 を 選 択 す る 患 者 が 増 加 傾 向 に あ る 。 現 在 、 放 射 線 治 療 で は 、X線 、y、 電 子 線 、 陽 子 線 、 重 粒 子 線 、 中 性 子 線 が 用 い られ 、 様 々 な 技 術 進 歩 の 伴 い 腫 瘍 に 線 量 を 集 中 す る こ と が 可 能 と な っ て き た 。 中 で も 陽 子 線 治 療 は 線 量 分 布 や 治 療 効 果 及 び 施 設 規 模 の 観 点 か ら 国 内 外 で 急 速 に 普 及 が 進 ん で い る 。 陽 子 線 治 療 に お い て は 、 回 転 型 ガ ン ト リー を 用 い た 多 方 向 か ら の 陽 子 線 照 射 が 腫 瘍 に 対 し て ミ リ単 位 の 位 置 精 度 で 実 施 さ れ る 。陽 子 線 の 回 転 ガ ン ト リー 装 置 は 直 径10m重 さ が120tか ら300t近 く ま で の 巨 大 な 構 造 体 と な っ て い る た め 、 回 転 に 伴 う構 造 体 の 変 化 な ど の 影 響 に よ り ビ ー ム 状 態 を 一 定 に 保 つ こ と が 難 し い 。 そ の た め 、 照 射 角 度 毎 の ビ ー ム 輸 送 調 整 を 正 確 に 実 施 す る必 要 が あ る 。 ま た 、 更 な る 陽 子 線 照 射 の 高 精 度 化 を 目 指 し 、 陽 子 線 ス キ ャ ニ ン グ 照 射 技 術 の 研 究 開 発 が 世 界 中 で 盛 ん に 実 施 さ れ て い る 。 陽 子 線 ス キ ャ ニ ン グ 照 射 で は 、 こ れ ま で 以 上 の

照 射 角 度 毎 の ビ ー ム 状 態 の 安 定 化 が 要 求 さ れ る だ ろ う。 照 射 角 度 毎 の ビ ー ム 状 態 を 簡 易 的 か つ 精 度 良 く 測 定 す る こ と は 、 高 品 質 な 陽 子 線 治 療 を 患 者 へ 供 給 す る た め に は 非 常 に 重 要 で あ る 。

そ こ で 、 本 研 究 で は 、 照 射 角 度 毎 の 陽 子 線 の ビ ー ム 状 態 を 簡 易 的 に 測 定 可 能 な 計 測 シ ス テ ム の 開 発 を 目的 とす る 。 円 柱 型 の プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ とCCDカ メ ラ を 組 み 合 わ せ る こ と で 、 照 射 角 度 毎 の 陽 子 線 の ビ ー ム レ ン ジ の 相 違 、 ビ ー ム サ イ ズ の 相 違 及 び ビ ー ム 軸 の 相 違 を 簡 易 的 に 計 測 で き る シ ス テ ム を 構 築 した 。 回 転 ガ ン ト リー を 用 い た 角 度 毎 の 陽 子 線 照 射 実 験 に よ っ て 、 本 シ ス テ ム の 計 測 機 能 の 検 証 を 実 施 し た 。 実 験 結 果 か ら ビ ー ム 解 析 の 機 能 を 有 す る こ と を 確 認 し た 。 これ ら の 結 果 か ら 、 角 度 毎 の ビ ー ム レ ン ジ 、 ビ ー ム サ イ ズ 及 び ビ ー ム 軸 の 角 度 依 存 性 に 関 す る 簡 易 的 な 計 測 が 可 能 と な り 、 開 発 した 本 シ ス テ ム

の 有 用 性 を 示 す こ と が で き た 。

(3)

目次

第1

1.1 1.2 1.3

序論

研 究 の 歴 史 的 背 景 ・… ・・… 。… 研 究 の 目 的.。̲.̲̲̲̲̲.̲̲̲̲̲.

論 文 の 構 成 ・… ・… ・・… ….

1 4 5

第2章 陽 子 線 治 療 につ い て

2.1陽 子 線 と は ●●●●●● ●●●… ・… … … ・… ・… … … …6

2.2陽 子 線 治 療 装 置 の 概 要

治 療 用 陽 子 線 加 速 器

2.2。1サ イ ク ロ ト ロ ン ・・… 。・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…7

陽 子 線 照 射 機 器

22.2回 転 ガ ン ト リ ー 装 置 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●9

2.2.3照 射 ノ ズ ル 機 器 ・・・・・… … ・・・・ ・… … ・… … ・・10

2.2.4ワ ブ ラ.̲̲̲シ ス テ ム ・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…10

2.2.5レ ン ジ シ フ タ ・・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・…11

2.2.6リ ッ ジ フ ィ ル タ ー ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…11

2.2.7コ リ メ.̲̲̲タ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…11

2.2.8ボ ー ラ ス ・・… 。・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 。。・・12

2.2.9患 者 コ リ メ ー タ ・・・・・・ ・・ ・… 。・… ・・・・・… … …12

2.3線 量 測 定

吸 収 線 量 測 定

2.3.1電 離 箱 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・…13

2.3.2線 量 分 布 測 定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・…13

2.3.3水 フ ァ ン ト ム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・ ・・・・・・・…15

第3章 陽 子 線 照 射 角 度 毎 の 簡 易 ビー ム 計 測 シ ス テ ム の構 築

3.1陽 子 線 照 射 角 度 毎 の 簡 易 ビ ー ム 計 測 シ ス テ ム …16 3.2プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 概 要

3.2.1プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 原 理 ・。・… ・… …16 3.2.2プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 特 性 ・・・・… ・・・…17 3.3CCDカ メ ラ の 概 要.

3.3.1CCDカ メ ラ の 原 理 ・・・・・・・・・・・・・…17

3.3.2CCDカ メ ラ の 特 性 ・・… ・・…18

(4)

第4章 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ ・CCDカ メ ラ の 解 析 機 能 の 検 証 実 験 方 法

4.1目 ・・・・… ・・… ・… ・・… …19

4.2使 用 機 器 ・・… ・… ・19

4.3実 験 方 法

4.3.1デ ー タ の 取 得 ・… ・… ・・・・・・・・・・・・… ・…22 4.3.2デ.̲.̲タ 処 理 方 法 ・・・… ・… ・・… ・22

第5章 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レー タ ーCCDカ メ ラ の 解 析 機 能 の 検 証 実 験 結 果 と考 察

5.1検 証 実 験 結 果

5.1.1画 像 デ ー タ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・…26

5.1.2デ ー タ 処 理 結 果 。 … … ・… ・… … ・・・… …29

5.1.3解 析 結 果 ・・ ・・・・・・・…e・ 。・・・・・・・… 。・・…31

5.2考 察 … … … … … ・… ・… … ・… … … … ・・ … ・34

第6章 ● ● ● ● ● ● ● ● ●'● ● ●'● ● ●.● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ・ ● ● ・35

引用 文 献 ...36

謝辞 ...37

(5)

第1章 序 論

1.1研 究 の 歴 史 的 背 景

世 界 保 健 機 関(WHO:WorldHealthOrganization)のWorldCancerReportに よ れ ば 、2000年 の 世 界 で の 新 規 が ん 患 者 数 は1000万 人 に 到 達 し 、2020年 に は1500万 人 に 急 増 す る と推 測 さ れ て い る 。 厚 生 労 働 省 が ん 研 究 助 成 金 「が ん 生 存 者 の 社 会 的 適 応 に 関 す る 研 究 」 の2002年 の 報 告 に よ れ ば 、 我 が 国 の が ん 患 者 数 は2003年 で 約300万 人 い る と言 わ れ 、 が ん 患 者 数 は 年 々 増 加 傾 向 に あ り、2015年 に は 約533万 人 に な る と の 報 告 も あ る 。2010年 の 厚 生 労 働 省 の 報 告 に よ れ ば 、全 国 で の 年 間 死 亡 者 数 は 約120万 人 、 そ の う ち 悪 性 新 生 物 に よ る 死 亡 者 数 は 約35万 人 で あ り、 死 亡 者 数 の 約30%を 占 め て お

り 、 お よ そ3人 に1人 は が ん で 亡 く な る 計 算 と な る。(Table1)

2011年 の 独 立 行 政 法 人 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー が ん 対 策 情 報 セ ン タ ー 「全 国 が ん 罹 患 モ ニ タ リ ン グ 集 計2006年 」 の 報 告 に よ れ ば 、2006年 の 全 国 が ん 罹 患 数 は 、男 性 で 約39 万 人 、 女 性 で 約28万 人 、 全 体 で66万 人 と 、2人 に1人 は 生 涯 が ん に 罹 患 す る と報 告 さ れ て い る 。

Table1死 因 順 位 別 死 亡 数 の 年 次 推 移

死 因順位

1980年 1990年 2000年 2009年 2010年

死 因 死亡数 死 因 死 亡数 死 因 死亡数 死 因 死 亡数 死因 死 亡数

第1位 脳 血管 疾患

162317

悪性 新生物

217413

悪性新 生物

295484

悪性新 生物

344105

悪性 新生物

352000

第2位 悪性新 生物

161764

心疾患

165478

心疾 患

146741

心疾患

180745

心疾 患

:・!11

第3位 心疾 患

123505

脳血 管疾 患

121944

脳 血管 疾患

132529

脳血 管疾 患

122350

脳 血管疾 患

123000

(厚生 労働省 報道 発表 資料 死 因順位別 死 亡数 の年 次推移)

が ん の 主 な 治 療 法 に は 外 科 的 療 法 、 放 射 線 療 法 、 化 学 療 法 が 挙 げ ら れ 、 が ん 治 療 の 三 大 療 法 と も 呼 ば れ て い る 。 こ の 中 で 根 治 を 目 的 と し、 が ん の 原 発 部 位 に 対 して 治 療 を 行 う も の は 外 科 的 療 法 と放 射 線 療 法 で あ る。 外 科 的 療 法 は 一 般 的 に 手 術 療 法 と も 言 わ れ 、 が ん が 原 発 部 位 に と ど ま っ て お り 、 転 移 等 が 確 認 さ れ な い 場 合 に は 非 常 に 有 効 な 治 療 法 で あ り、 進 行 し た が ん に 対 し て は 部 分 切 除 を 行 い 、 放 射 線 療 法 や 化 学 療 法 の 併 用 に よ り 治 療 効 果 の 向 上 も 望 め る 。 し か し 、 そ の 反 面 、 外 科 的 療 法 を 施 す こ と で 生 体 機 能 が 損 な わ れ 、 術 後 障 害 等 のQOL(QualityofLife)の 低 下 が 問 題 と さ れ て い る。 ま た 、 こ の 療 法 は 手 術 に 耐 え ら れ る 体 力 も 必 要 と され 、 高 齢 者 や 長 期 間 の 治 療 等 で 体 力 の 低 下 し て い る 状 態 で は 、 手 術 を 受 け る こ と 自 体 難 し く な る 。 放 射 線 治 療 は 放 射 線 の 電 離 作 用 を利 用 し 、 腫 瘍 細 胞 の 細 胞 核 内 に 存 在 す るDNA(DeoxyriboNucleicAcid)分 子 を 損 傷 さ せ 増 殖 能 を 失 わ せ る 。 放 射 線 の 照 射 に よ り細 胞 が 自 ら 死 滅 す る ア ポ トー シ ス と い う現 象 を 増 強 させ 細 胞 を 死 に 至 ら し め る と い う作 用 を 利 用 し た 治 療 法 で あ る 。 放 射 線 治 療 の 特 徴 と

し て は 、 手 術 が 困 難 な 部 位 に お い て も治 療 が 可 能 で あ る こ と 、 生 体 機 能 の 温 存 率 が 高 い こ と 、 外 科 的 療 法 に 比 べ 患 者 が 受 け る 負 担 が 少 な い な ど が 挙 げ られ る 。 放 射 線 治 療 は 根 治 を 目 的 と した 治 療 、 緩 和 を 目的 と し た 治 療 の 二 つ に 分 け られ 、 根 治 を 目 的 と し た 治 療 で は 放 射 線 単 独 治 療 、 抗 が ん 剤 併 用 療 法 、 腫 瘍 の 縮 小 や 再 発 防 止 を 目 的 と した 外 科 的 療

(6)

法 と の 併 用 療 法 、 骨 髄 移 植 前 の 免 疫 力 低 下 を 目的 と し た 照 射 等 が 挙 げ られ る 。 緩 和 を 目 的 と し た 治 療 で は 、 骨 転 移 に よ る 痺 痛 緩 和 、 脳 転 移 に よ る 神 経 症 状 の 緩 和 、 が ん 細 胞 に よ る 神 経 や 気 管 、 血 管 な ど の 圧 迫 症 状 の 緩 和 等 が 挙 げ ら れ る 。 放 射 線 治 療 は 外 科 的 療 法 に 比 べ 万 能 と 思 わ れ が ち で あ る が 副 作 用 も 存 在 す る 。 急 性 期 の 副 作 用 で は 、 倦 怠 感 、 食 欲 不 振 、 造 血 機 能 の 低 下 、 皮 膚 障 害 、 晩 発 性 の 副 作 用 で は 組 織 の 委 縮 、 脆 弱 化 、 潰 瘍 等 が 挙 げ られ 放 射 線 に よ る2次 発 が ん の 危 険 性 も あ る 。 こ う し た リ ス ク を 最 小 限 に す る た め 、 放 射 線 を 腫 瘍 部 位 に 適 切 な 線 量 を 精 度 よ く 照 射 し 、 正 常 組 織 へ の 影 響 を 出 来 る 限 り 少 な く す る こ と が 放 射 線 治 療 の 基 本 方 針 と され て い る 。

現 在 、放 射 線 治 療 に 利 用 され て い る 放 射 線 の 種 類 は 光 子 線(photon)、 電 子 線(electron)、

中 性 子 線(neutron)、 陽 子 線(proton)、 炭 素 原 子(carbon)等 で あ る 。 そ の 照 射 方 法 は 外 部 放 射 線 治 療(外 部 照 射)、 密 封 小 線 源 治 療(内 部 照 射)、 非 密 封RI(RadioIsotope)

治 療 に 分 け ら れ る 。 外 部 放 射 線 治 療 は 、 放 射 線 を 患 者 体 外 か ら経 皮 的 に 腫 瘍 に 照 射 す る 方 法 で あ り 、 現 在 の 放 射 線 治 療 の 中 で 最 も 一 般 的 な 方 法 で あ り 、 現 在 実 施 さ れ て い る 放 射 線 治 療 の 約8割 以 上 が 外 部 照 射 で あ る 。 一 般 的 に 、 外 部 放 射 線 治 療 で は ビ ー ム の 制 御 と そ の 正 確 な 患 者 体 内 線 量 分 布 計 算 が 比 較 的 容 易 で あ り 、 術 者 の 被 ば く も ほ と ん ど な い と い う利 点 が あ る が 、 外 部 照 射 で は 正 常 組 織 を 完 全 に 避 け て 目 的 部 位 の み を 照 射 を 行 う こ と は で き な い 。 密 封 小 線 源 治 療 は 、 密 封 され た 小 線 源RIを 腫 瘍 の 表 面 ま た は そ の 内 部 に 置 き 照 射 す る 方 法 で あ る 。 線 源 か ら の 距 離 に 依 存 し て 急 速 に 線 量 が 減 弱 す る た め 、 極 め て 限 局 し た 大 線 量 の 照 射 が 可 能 で あ る が 、 線 源 配 置 及 び そ の 位 置 の 測 定 を 正 確 に 行 う必 要 性 が あ る 。 非 密 封RI治 療 は 、 短 寿 命 の 非 密 封RIを 内 服 ま た は 注 射 し 、 そ の 腫 瘍 親 和 性 等 を 利 用 し て 治 療 す る 方 法 で あ る 。 非 密 封RI治 療 で は 、 腫 瘍 へ の 集 積 性 が よ ほ ど 高 く な い と 腫 瘍 に 比 べ そ の 容 積 が 大 き い 正 常 組 織 の 線 量 が 大 き く な る 危 険 性 が あ る 。 さ ら に そ の 集 積 分 布 測 定 も 困 難 を 有 す る 。 非 密 封RI治 療 は 、 非 密 封RIに よ る 汚 染 管 理 の 問 題 が あ り1311を 使 用 し た 甲 状 腺 が ん 等 の 限 られ た 疾 患 で しか 使 用 され て い な い 。

直 接 電離 放 射線 (荷電粒 子 線)

間 接電 離 放射 線 (非荷 電 粒 子線)

重 粒 子 線 (He+,C+,Ne+等)

(7)

近 年 、 放 射 線 治 療 に 関 す る 技 術 は 急 速 な 進 歩 を 遂 げ 、 そ れ ら の 進 歩 に 伴 い 、 放 射 線 を 腫 瘍 に 集 中 さ せ る 照 射 が 可 能 と な り 、 放 射 線 治 療 も 高 精 度 化 の 方 向 へ 進 ん で い る。 光 子 線 は 電 荷 を 持 た な い た め 、 体 内 の 深 部 へ 入 る と共 に 指 数 関 数 的 に 光 子 数 が 減 少 し て し ま

う。 そ の た め 、X線 治 療 で は1つ の 照 射 野 内 の 各 分 割 領 域 に 対 す る ビ ー ム 強 度 をMLC (multileafcollimator)制 御 で 不 均 等 な ビ ー ム 強 度 に した 不 均 等 照 射 野 を 多 方 向 か ら 照 射 す る こ と に よ っ て 、 最 終 的 に3次 元 的 に 種 々 の 形 状 の 標 的 を 均 等 に 照 射 す る 強 度 変 調 放 射 線 治 療(IMRT:IntensityModulatedRadiationTherapy)が 普 及 して い る 。 し か し 、 ど の よ う な 方 法 で あ っ て も 散 乱 線 や 透 過 線 が 存 在 す る た め 、 腫 瘍 周 辺 の 重 要 臓 器 へ の 被 ば く は 完 全 に は 避 け ら れ な い 。 こ の よ うな 問 題 を 改 善 す る た め 、 陽 子 線 、 重 粒 子 線

と い っ た 高 エ ネ ル ギ ー 荷 電 粒 子 治 療 法 が1946年 にWillsonに よ っ て 提 案 さ れ た 。1) 陽 子 線 の 治 療 へ の 応 用 は1954年 に ロ0レ ン ス バ ー ク レ0国 立 研 究 所(LBNL:

LawrenceBerkeleyNationalLaboratory・ 米 国)で 臨 床 使 用 が 開 始 され 、 約 半 世 紀 の 歴 史 を 持 つ 治 療 と な り 、 す で に40000例 の 治 療 症 例 数 を 有 す る 。 し か し 、 医 療 と い う観 点 で み た 場 合 、1990年 に ロ マ リ ン ダ 大 学 メ デ ィ カ ル セ ン タ ー(LLUMC,米 国)が 世 界 初 の 医 療 専 用 陽 子 線 治 療 装 置 を 導 入 し 、1998年 に は 国 立 が ん セ ン タ ー 東 病 院(現 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院)の 陽 子 線 治 療 施 設 が 国 内 初 の 医 療 専 用 施 設 と し て 治 療 を 開 始 し て い る 。 さ ら に 、 兵 庫 県 立 粒 子 線 医 療 セ ン タ0(2001年)、 筑 波 大 学(2001年)、 マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 総 合 病 院(米 国 ・2001年)、 静 岡 県 立 静 岡 が ん セ ン タ ー(2003年)な ど次 々 と 医 療 専 用 施 設 が 開 設 さ れ て い る が 、 歴 史 は 浅 い 。 近 年 、 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院 で は よ り腫 瘍 に 限 局 し た 照 射 が 可 能 と な る 陽 子 線 の ス キ ャ ニ ン グ 照 射 や 照 射 位 置 精 度 の 向 上 を 目的 と し た ロ ボ ッ ト寝 台 の 導 入 と 技 術 の 進 歩 は 続 い て い る 。

目本 は2007年 の 国 勢 調 査 で 超 高 齢 社 会 と な り、65歳 以 上 の 人 口 の 割 合 が21%を 超 え て い る 。 日本 は 世 界 一 の 長 寿 国 で あ り、 高 齢 化 の 進 行 と 共 に が ん 患 者 の 増 加 も 引 き 起 こ す 。 我 々 国 民 に と っ て 、 が ん は 非 常 に 身 近 な 病 気 で あ り 、 高 齢 化 の 進 ん だ 現 在 で は 放 射 線 治 療 は 、 今 後 益 々 が ん 治 療 の 主 軸 と な る は ず で あ る 。

(8)

1.2研 究 の 目 的

近 年 、 臓 器 の 機 能 温 存 に よ るQOL(QualityofLife)の 向 上 や 国 民 の 高 齢 化 が 進 ん だ こ と に よ り、 生 体 機 能 が 損 な わ れ 、 術 後 障 害 等 のQOL(QualityofLife)の 低 下 が 問 題 と さ れ て い る 外 科 的 療 法 に 比 べ 侵 襲 性 が 低 い 放 射 線 治 療 を 選 択 す る 患 者 が 増 加 傾 向 に あ る 。 現 在 、 放 射 線 治 療 で は 、X線 、y、 電 子 線 、 陽 子 線 、 重 粒 子 線 、 中 性 子 線 が 用 い ら れ 、 様 々 な 技 術 進 歩 の 伴 い 強 度 変 調 照 射 の 様 に 腫 瘍 に 線 量 を 集 中 す る こ と が 可 能 と な っ て き た 。 中 で も 陽 子 線 治 療 は 線 量 分 布 や 治 療 効 果 及 び 施 設 規 模 の 観 点 か ら2000年 以 降 国 内 外 で 急 速 に 普 及 が 進 ん で い る 。 陽 子 線 治 療 に お い て は 、 回 転 型 ガ ン ト リー を 用

い た 多 方 向 か ら の 陽 子 線 照 射 が 腫 瘍 に 対 し て ミ リ 単 位 の 位 置 精 度 で 実 施 され る 。 陽 子 線 の 回 転 ガ ン ト リ ー 装 置 は 直 径10m重 さ が120tか ら300t近 く ま で の 巨 大 な 構 造 体 と な っ て い る た め 、 回 転 に 伴 う構 造 体 の 変 化 な ど の 影 響 に よ り ビ ー ム 状 態 を 一 定 に 保 つ こ と が 難 し い 。そ の た め 、照 射 角 度 毎 の ビ ー ム 輸 送 調 整 を 正 確 に 実 施 す る 必 要 が あ る。ま た 、 更 な る 陽 子 線 照 射 の 高 精 度 化 を 目 指 し 、 陽 子 線 ス キ ャ ニ ン グ 照 射 技 術 の 研 究 開 発 が 世 界 中 で 盛 ん に 実 施 さ れ て い る 。 陽 子 線 照 射 で は 、 こ れ ま で 以 上 の 照 射 角 度 毎 の ビ ー ム 状 態 の 安 定 化 が 要 求 さ れ 、 照 射 角 度 毎 の ビ ー ム 状 態 を 簡 易 的 か つ 精 度 良 く 測 定 す る こ と は 、 高 品 質 な 陽 子 線 治 療 を 患 者 へ 供 給 す る た め に は 非 常 に 重 要 で あ る 。

そ こ で 、 本 研 究 で は 、 円 柱 型 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ とCCDカ メ ラ を 組 合 せ 、 照 射 角 度 毎 の 陽 子 線 の ビ.̲̲̲ム状 態 を 簡 易 的 に 測 定 可 能 な 計 測 シ ス テ ム の 開 発 に 着 手 し た 。

(9)

1.3論 文 の 構 成

本 論 文 は 、 次 の6章 か ら構 成 さ れ る 。

第1章 は 序 論 で あ り 、 放 射 線 治 療 に 関 す る 歴 史 を 述 べ る と 共 に 、 本 研 究 の 目 的 に つ い て 述 べ た 。

第2章 で は 、 陽 子 線 治 療 に つ い て 述 べ た 。 陽 子 線 治 療 装 置 の 構 成 を 治 療 用 陽 子 線 加 速 器 と 陽 子 線 照 射 機 器 の2つ の 分 け 、 そ の 詳 細 な 構 成 に つ い て 述 べ た 。 ま た 、 陽 子 線 治 療 に お け る 吸 収 線 量 測 定 に つ い て の 詳 細 に つ い て も 述 べ た 。

第3章 で は 、 陽 子 線 照 射 角 度 毎 の 簡 易 ビ ー ム 計 測 シ ス テ ム に 関 す る 内 容 と し て 、 計 測 シ ス テ ム を 構 成 し て い る プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 発 光 原 理 や 物 理 的 な 特 性 、CCDカ メ ラ の 撮 像 原 理 や 物 理 的 な 特 性 に っ い て 述 べ た 。

第4章 で は 、 本 研 究 で 開 発 を 行 っ た プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ ーCCDカ メ ラ の 簡 易 計 測 シ ス テ ム の 解 析 機 能 の 検 証 方 法 に つ い て 述 べ た 。プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ ーCCDカ メ ラ の 簡 易 計 測 シ ス テ ム は 、 陽 子 線 照 射 に よ る プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 発 光 をCCDカ ラ で 撮 像 す る こ と に よ りデ ー タ を 取 得 す る 。 計 測 シ ス テ ム の 取 得 デ ー タ よ り解 析 を 行 い 、 そ の 精 度 に つ い て 検 証 を 行 っ た 。

第5章 で は 、 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ ーCCDカ メ ラ の 解 析 機 能 の 検 証 結 果 と考 察 に つ い て 述 べ て い る 。 検 証 実 験 デ ー タ と して 、 加 算 した 画 像 デ ー タ 、 閾 値 処 理 を 行 っ た 画 像 デ ー タ 、 各 デ ー タ か ら解 析 し た ビ ー ム レ ン ジ 、 ビ ー ム 幅 、 ビ ー ム 軸 に つ い て の 解 析 結 果 に つ い て 述 べ た 。 ま た 、 得 ら れ た 結 果 よ り理 論 値 と の 比 較 、 考 察 した も の に つ い て 述 べ た 。

第6章 で は 本 研 究 の 結 論 と な る 第4章 、 第5章 ま で の 結 果 を 総 括 的 に 述 べ 、 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ ーCCDカ メ ラ の 解 析 機 能 や そ の 有 用 性 、 今 後 の 課 題 に つ い て 述 べ た 。

(10)

第2章 陽 子 線 治 療 に つ い て

2.1陽 子 線 と は

陽 子 は 原 子 核 を 構 成 して い る 核 子 の1つ で あ り、 電 荷 量 は1.602×10.19C、 静 止 質 量 は1.00727u、 静 止 エ ネ ル ギ ー は938.2MeVで あ る 。 陽 子 は プ ラ ス に 帯 電 して い る 安 定 な 粒 子 で あ り 、 水 素 の 原 子 核 で あ る 。 そ の 陽 子 を 陽 子 加 速 器 で 加 速 さ せ た も の を 陽 子 線 と い う。 陽 子 線 はX線 やy線 に 比 べ 線 量 分 布 に 優 れ て お り、 深 部 に ブ ラ ッ グ ピ ー ク と 呼 ば れ る 高 い 線 量 領 域 が 形 成 さ れ る 。 腫 瘍 部 分 に そ の ピ ー ク 位 置 が 集 中 す る よ う に ビ ー ム 照 射 位 置 及 び 入 射 エ ネ ル ギ ー を 調 節 す る こ と で 効 率 の 良 い 陽 子 線 治 療 を 実 現 さ せ て い る 。Fig.2は 陽 子 線 治 療 と一 般 的 な 放 射 線 治 療 で あ るx線 に お け る 深 部 方 向 の 線 量 分 布 で あ る 。 陽 子 線 治 療 で は 深 部 の ブ ラ ッ グ ピ ー ク に よ り腫 瘍 に 線 量 を 集 中 させ 、 正 常 組 織 へ の 線 量 は 抑 え る 事 が 可 能 で あ る 。 ま た 、 同 じ く電 荷 を持 つ 電 子 線 を 比 較 す る と、数 千 か ら数 万 倍 の 質 量 を 持 っ て い る た め 、 患 者 体 内 で の ビ ー ム の 直 線 性 に 優 れ て い る 。

黙雌

● ■ ■■■ ■■■■■一■◆

光f一

陽r

丁 噸 鰯騨隔 闘 ゆ

r

拡 大 ブ ラ ッ グ ヒー ク

ブ ラ ッ グ ヒ ー ク

陽f線

\X線

深 さ

皮 膚1}三 常 組 織 正常組織

Fig.2陽 子 線 及 びX線 の 深 部 線 量 分 布(国 立 が ん 研 究 セ ン タ ーHPよ り) 光 子 は 皮 膚 近 傍 で 線 量 が ピ ー ク に 達 す る の に 対 し、 陽 子 線 は 深 部 で ブ ラ ッ グ ピ ー ク を 形 成 す る

。 拡 大 ブ ラ ッ グ ピ ー ク に よ り病 巣 の 厚 さ に 応 じ た 均 一 な 線 量 分 布 を 形 成 す る 。

(11)

2.2陽 子 線 治 療 装 置 の 概 要

陽 子 線 治 療 装 置 は 人 き く 治 療 用 陽 子 線 加 速 器 と 陽 子 線 照 射 機 器 の2つ に 分 け ら れ る 。 Fig,3に 陽 子 線 治 療 装 置 の 外 観 を 示 した 。

制 復 室

.一

医 療 用 貝 製 遭 承 認 番 号 213008ZZ◎Ot3◎00◎

ゆ ノ ノ ク に し ニニン

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235McVサ イク0ト0ン

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唇璃梨,回 励 ントリー辮

エ ネ ル ギ ー 蝋 択 シ ス テ ム(ESSi

撫 騨

Fig.3陽 子 線 治 療 シ ス テ ム 外 観(住 友 重 機 械 工 業HPよ り) 住 友 重 機 械 工 業 株 式 会 社 製 で あ り 医 療 機 器 製 造 販 売 承 認 番 号:

21300BZZOOI30000で あ る 。 こ の シ ス テ ム は サ イ ク ロ トロ ン 、 回 転 型 ガ ン ト リー 等 が あ り 、 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院 に 導 入 さ れ て い る 。

治 療 用 陽 子 線 加 速 器 2.2.1サ イ ク ロ トロ ン

サ イ ク ロ ト ロ ン は 直 流 磁 場 を 用 い て 荷 電 粒 子 を 円 運 動 さ せ 、 一 定 の 固 定 周 期 の 高 周 波 電 場 で 荷 電 粒 子 を 加 速 す る 装 置 で あ る。 電 磁 石 の 間 にDee(英 文 字 のDが 由 来)と 呼 ば れ る 加 速 管 を 置 き 、 こ れ ら に 高 周 波 電 圧 を 印 加 す る こ と で 加 速 管 の 中 心 に 置 か れ た イ オ ン源 か ら 打 ち 込 ま れ た イ オ ン(荷 電 粒 子)は2っ のDee加 速 管 の 問 で 加 速 さ れ る 。Dee 加 速 管 内 で は 磁 場 に よ り 円 運 動 し、 半 周 し て 再 びDee電 極 間 で 加 速 さ れ る。 す な わ ち 、

半 周 毎 にDee加 速 管 の 極 性 が 変 わ る よ う に 高 周 波 電 圧 の 周 波 数 を 決 め る 事 に よ り加 速 が 可 能 とな る 。 サ イ ク ロ トロ ン で は 、 高 周 波 電 源 の 角 周 波 数 ω0と 加 速 粒 子 の 回 転 運 動 の 角 速 度 ω と 等 し く す る(サ イ ク ロ トロ ン の 共 鳴 条 件)と 、 ひ と た びDee電 極 間 で 加 速 さ れ た 粒 子 は 半 周 回 転 し 、 電 極 間 に 現 れ る 毎 に 同 じ エ ネ ル ギ ー で 加 速 さ れ る 。(Fig.4) 従 来 の サ イ ク ロ ト ロ ン で は 、 一 般 的 に 電 子 は 簡 単 に 高 速 に 近 づ き 相 対 論 領 域 に 入 り加 速

(12)

が で き な い 。 ま た 、 陽 子 は 約20MeV程 度 ま で し か 加 速 で き な い と さ れ て お り、 よ り効 率 よ く 高 エ ネ ル ギ ー の 陽 子 を 加 速 す る た め にAVFサ イ ク ロ ト ロ ン(Azimuthally VaryingFieldCyclotron)が 開 発 さ れ た 。AVFサ イ ク ロ ト ロ ン で は 、 磁 場 が 円 周 方 向 に 変 化 し た 分 布 を も っ たThomas型 磁 場 を 用 い て 粒 子 の 集 束 、発 散 を 交 互 に 発 生 させ る こ と に よ り粒 子 を 収 敏 さ せ 、 さ ら に 加 速 の 等 時 性 を 得 る よ う に 設 計 さ れ て い る 。 粒 子 が 高 エ ネ ル ギ ー に な る と 質 量 が 増 加 し 、 サ イ ロ トロ ン の 円 軌 道 を 回 転 す る 粒 子 の 速 度 が 変 化 す る 。

IonSo㎜e

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IonBeam

亭D eeVoltage

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Fig.4サ イ ク ロ ト ロ ン の 加 速 原 理(住 友 重 機 械 工 業HPよ り) Ion.Sourceよ り 発 生 し た 荷 電 粒 子 をDee電 極 で 加 速 しIonBeam

と し て 出 力 す る 仮 定 を 表 し て い る 。

本 研 究 で 使 用 し た 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院 の 陽 子 線 治 療 装 置 に お い て は 、 常 伝 導 AVFサ イ ク ロ トロ ン加 速 器 が 採 用 さ れ て お り 、 陽 子 核 を235MeV(固 定 エ ネ ル ギ ー) ま で 加 速 す る こ と が で き 、 少 な い ビ ー ム 調 整 で 簡 単 に ビ ー ム を 加 速 し 引 き 出 す こ と が 可 能 で あ る 。(Fig.5)こ のAVFサ イ ク ロ トロ ン は 、Dee電 極 が2つ あ る タ イ プ の 加 速 器 で 、 陽 子 は 加 速 器 内 部 を1周 す る 問 に4回 加 速 さ れ る 。Dee電 圧 は60・100kVで あ り 、 陽 子 の 加 速 周 波 数 は 約100MHzで 、加 速 器 か ら の 引 き 出 し ビ ー ム 強 度 は300nAで あ る 。 陽 子 を235MeVに 加 速 す る ま で に は 半 径1mの 加 速 器 内 部 を 約1000回 転 陽 子 が 回 る こ

と に な る 。 加 速 器 の 外 観 は 約 直 径4mで 陽 子 を235MeVの エ ネ ル ギ ー ま で 加 速 で き る 加 速 器 と し て は 小 型 で あ る 。 さ ら に こ の 加 速 器 の 特 徴 と し て ヨ ー ク が 密 閉 型 で あ る と い う こ と が 挙 げ られ 、加 速 器 か ら 発 生 す るX線 や 中 性 子 線 の 影 響 を 低 減 す る こ と が 可 能 で あ る 。 ま た 、 イ オ ン 源 と し て 内 部 型PIGイ オ ン 源 を 利 用 し て い る 。

(13)

Fig.5A▽Fサ イ ク ロ ト ン(国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院HPよ り)

陽 子 線 照 射 機 器

2.2.2回 転 ガ ン ト リー 装 置

回 転 ガ ン ト リ ー と は 、 照 射 ノ ズ ル や 粒 子 線 を 輸 送 す る た め の 電 磁 石 を 備 え 、 患 者 を 中 心 に360度 回 転 し て 任 意 方 向 か ら の 照 射 を 可 能 とす る 装 置 で あ る 。 回 転 ガ ン ト リー は 治 療 計 画 や 患 者 の 位 置 決 め を 容 易 に す る だ け で な く 、 固 定 照 射 ポ ー トの 照 射 に 比 べ 患 者 の 位 置 決 め の 際 に 患 者 の 回 転 固 定 を 行 わ な い た め 臓 器 の 移 動 が 少 な く 、 照 射 精 度 が 向 上 す る とい う利 点 が あ る 。 陽 子 線 治 療 に お い て は 、1990年 に 米 国 の ロ マ リ ン ダ 大 学 で の 採 用 か ら は じ ま り 、 今 で は 国 内 外 で も 回 転 ガ ン ト リ ー シ ス テ ム を 標 準 的 に 採 用 す る よ う に な っ て い る。(Fig,6)装 置 は 直 径10m、 重 量150‑300t程 の 可 動 式 大 構 造 物 と な っ て い る 。

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約IOm

Fig,6陽 子 線 回 転 ガ ン ト リー 装 置(国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院 よ り) 右 図 は 回 転 ガ ン ト リ0装 置 の 寸 法 、 左 図 は 回 転 ガ ン ト リー 装 置 の 外 観

(14)

2.2.3照 射 ノ ズ ル 機 器

陽 子 線 治 療 の 照 射 シ ス テ ム はX線 治 療 と は 異 な り 、深 部 で の ブ ラ ッ グ ピ ー ク を 考 慮 し た3次 元 的 な 均 一 線 量 分 布 の 形 成 が 必 要 で あ り 、 そ の た め 照 射 ノ ズ ル に 多 く の 照 射 野 形 成 装 置 や 線 量 モ ニ タ ー 系 が 設 置 さ れ て い る 。(Fig.7)

4樽 電 磁 石

 ̲̲石

線 鑑 モニター

X線 管(1)

r

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ワプラー電 磁 石

散乱体

リッジ フ ィル タ ー レンジ シフタ0

マ ル チ リー フ コ リメー タ (±90。 回 転)

X線 管(2)

ボ ー ラ ス ・コ リメ0タ (脱 着 式)

Fig.7照 射 ノ ズ ル(国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院HPよ り)

2.2.4ワ ブ ラ0シ ス テ ム

ワ ブ ラ ー シ ス テ ム は1対 の 二 極 電 磁 石 を 直 列 に 配 置 し 、 磁 場 の 方 向 を ビ ー ム 方 向 に 垂 直 に 、 電 磁 石 同 士 で は 互 い に 直 交 す る 方 向 に 配 置 す る 。 電 磁 石 は 同 一 周 波 数 で 励 磁 す る が 、phaseは90度 互 い に シ フ ト し て あ る 。 磁 場 の 強 度 を 適 切 の 制 御 す る こ と で こ の シ ス テ ム に 入 射 し た ビー ム は ビ0ム 軸 方 向 と 直 角 方 向 に 曲 げ ら れ 、 中 心 軸 周 囲 に 環 状 の 線 量 分 布 を 形 成 す る 。 こ の 広 が り の 程 度 は 磁 場 強 度 を 変 化 す る こ と で 調 節 可 能 で あ る 。 こ の ワ ブ ラ ー シ ス テ ム は 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所(NIRS:NationalInstituteof

RadiologicalSciences)で70MeVの 陽 子 線 用 に 開 発 さ れ た 。2)ワ ブ ラ ー シ ス テ ム は 二 重 散 乱 体 法 に 比 ベ ビ ー ム 透 過 上 に 散 乱 物 質 が な く 、 よ り低 い エ ネ ル ギ ー で 同 等 の 飛 程 が 得 ら れ 、 ビ ー ム ア ラ イ メ ン トが 二 重 散 乱 体 法 程 厳 密 で な い 。 二 重 散 乱 体 法 よ り も ビ ー ム の ス ポ ッ トサ イ ズ は 小 さ い が 、 側 方 散 乱 の 影 響 が 少 な く 、 散 乱 物 質 や コ リ メ ー タ か ら の 中性 子 生 産 量 が 少 な く 、 遮 蔽 が 少 な く て す む と い う利 点 が あ る 。Fig.8に ワ ブ ラ ー 法 に よ る 均 一 照 射 野 の 形 成 に 関 す る 模 式 図 を 示 す 。

(15)

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1㌔ 一

幕4←

一様 照射野

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Fig.8ワ ブ ラ ー 法 に よ る 均 一 照 射 野 の 形 成

2.2.5レ ン ジ シ フ タ

荷 電 粒 子 線 は ど の エ ネ ル ギ ー ま で 加 速 さ せ る か を 調 節 す る こ と で 、 患 者 体 内 で 十 分 な 深 さ ま で 到 達 し 、 か つ 任 意 の 深 さ で 停 止 さ せ る こ と が で き る 。 そ れ は 入 射 粒 子 の 残 飛 程 は 、 皮 膚 か ら標 的 の 遠 位 端 ま で に 調 節 で き る と い う こ と で あ る 。 臨 床 上 の 標 的 体 積 は 通 常 の ブ ラ ッ グ ピ ー ク の 幅 よ り も 厚 い た め 、 入 射 ビ ー ム は 標 的 体 積 を 均 等 に 照 射 す る た め に ブ ラ ッ グ ピ ー ク の 近 位 端 か ら 遠 位 端 に わ た っ て ブ ラ ッ グ ピ ー ク 線 量 が 付 与 され る よ う に 調 整 す る 必 要 が あ る 。 最 近 で は 、 水 等 価 長0.5mm以 下 で レ ン ジ の 微 調 整 が 可 能 な レ ン ジ シ フ タ が 利 用 せ れ て い る。 一 般 的 に ビ ー ム の 散 乱 効 果 が 少 な い ル サ イ ト材 の 板 が 用 い られ る 。 板 厚 は バ イ ナ リー 形 式 で 圧 空 に よ っ て 高 速 に 制 御 され る 。3)

2.2.6リ ッ ジ フ ィ ル タ ー

ア ル ミ製 で く さ び 形 状 の エ ネ ル ギ ー 吸 収 体 で あ り、 粒 子 線 が 均 等 に 照 射 さ れ る と き 、 通 過 ビ ー ム の 粒 子 数 と残 飛 程 が 最 適 に な る よ う に 設 計 さ れ て い る 。 リ ッ ジ(尾 根)の

も厚 い 部 分 を 通 過 し た 粒 子 が 拡 大 ブ ラ ッ グ ピ ー ク(SOBP:SpreadOutBraggPeak)

の 近 位 部 と な り、 最 も 薄 い 部 分 を 通 過 した 粒 子 がSOBPの 遠 位 部 と な る 。 リ ッ ジ の 間 隔 は 通 常5mm程 度 で あ り 、 こ の 長 さ は 荷 電 粒 子 の 標 的 体 積 内 に お け る 側 方 へ の 散 乱 距 離 と 同 等 あ る い は 短 い 。 し た が っ て 、 リ ッ ジ 通 過 後 に 飛 程 の 異 な る 粒 子 が 混 在 して い て も 結 果 的 にSOBP内 の 標 的 体 積 に お け る 線 量 は 均 等 で あ る 。 な お 、海 外 で は リ ッ ジ フ ィ ル タ ー の 代 わ り に 勾 配 を 持 つ 吸 収 体 を 回 転 させ て 利 用 す る レ ン ジ モ ジ ュ レ ー タ ー に よ り SOBPを 形 成 す る シ ス テ ム を 採 用 し て い る 施 設 が 多 い 。

2.2.7コ リ メ0タ

コ リ メ ー タ と は 、 不 整 形 ボ リ ュ ー ム に 合 う照 射 野 形 状 を 作 成 す る た め に ビ ー ム 方 向 か らみ た 標 的 体 積 の 投 影 面 形 状 に 合 う よ うな 固 定 絞 り ブ ロ ッ ク で あ る 。 コ リ メ ー タ の 厚 さ は 、 陽 子 線 で は ビ ー ム を 停 止 さ せ る の に 十 分 な 厚 さ を 持 っ て い な け れ ば な ら な い 。 コ リ メ ー タ は 複 数 の 物 質 か ら 作 成 す る こ と も 可 能 で あ り、 低 密 度 物 質 で 作 成 し た 場 合 に は 厚

く な る 。 し か し、 重 さ は 厚 さ に 関 係 な く お よ そ ±20%と な る 。 そ の 理 由 と して は 物 質 の 衝 突 阻 止 能 は そ の 物 質 の 物 理 的 密 度 に ほ ぼ 比 例 す る か らで あ る 。

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2.2.8ボ ー ラ ス

ビー ム の 飛 程 を 患 者 の 解 剖 学 的 形 態 に あ わ せ て 患 者 ご と に 調 整 す る 器 具 と し て ボ ー ラ ス と呼 ば れ る も の が あ る 。(Fig.9)こ れ は ブ ラ ッ グ ピ ー ク の 遠 位 端 を 標 的 体 積 の 形 状 に 合 せ る よ う に 飛 程 を 調 整 す る も の で あ る 。4)ボ ー ラ ス の 形 状 は 組 織 の 不 均 一 部 、 例 え ば 骨 や 空 洞 を 考 慮 して コ ン ピ ュ ー タ で 計 算 され る 。5)ボ ー ラ ス は 治 療 計 画 に 基 づ い て3次 元 の 表 面 形 状 決 定 し 、 固 形 ワ ッ ク ス や ポ リエ チ レ ン な ど を く り抜 く 方 法 で 作 ら れ る 。 こ れ ら の 作 業 は 治 療 計 画 か ら ボ ー ラ ス 形 状 を 決 定 し、 自 動 切 削 器 に よ っ て 自 動 で 行 わ れ て い る 。

Fig.9患 者 ボ ー ラ ス

照 射 ノ ズ ル 先 端 部 に 装 着 し 、 標 的 の 形 状 に 飛 程 を 調 整 す る 。

2.2.9患 者 コ リ メ ー タ

ビ ー ム の 形 状 を 患 者 の 解 剖 学 的 形 態 に あ わ せ て 患 者 ご と に 調 整 す る 器 具 と し て 患 者 コ リメ ー タ と 呼 ば れ る も の が あ る 。(Fig.10)患 者 コ リ メ ー タ は 真 鍮 で 作 ら れ て お り 、 照 射 ガ ン ト リー の 先 端 部 に 装 着 す る 。

Fig,10患 者 コ リ メ ー タ

(17)

2.3線 量 測 定 吸 収 線 量 測 定 2.3.1電 離 箱

電 離 箱 は 放 射 線 量 計 測 の 最 も 基 本 と な る 検 出 器 で あ る 。 検 出 器 中 に あ る ガ ス の 電 離 は 放 射 線 の エ ネ ル ギ ー ロ ス に 比 例 す る 。 す な わ ち 、 検 出 器 内 で 吸 収 さ れ た 線 量 を 正 確 に 反 映 す る 。6)こ の 線 量 は 他 の 吸 収 体 、 例 え ば 人 の 組 織 と 線 量 計 内 の ガ ス と の 衝 突 阻 止 能 比 で 吸 収 体 中 の 吸 収 線 量 に 換 算 で き る 。W値 は 陽 子 線 に お い て は34.3eV!inairが 標 準 値 と さ れ て い る 。7)放 射 線 治 療 領 域 の 線 量 測 定 に は 一 般 的 に 指 頭 形 電 離 箱 が よ く 用 い ら れ て い る 。 電 離 箱 の 壁 及 び 外 側 電 極 の 材 質 は ア ク リル 、 グ ラ フ ァ イ ト等 、 中 心 電 極 は ア ル

ミニ ウ ム 等 が 使 用 さ れ て い る 。

2。3.2線 量 分 布 測 定

放 射 線 治 療 を 行 う上 で 患 者 体 内 で の 線 量 分 布 を 測 定 す る こ と は 非 常 に 重 要 な 項 目で あ る が 、 患 者 体 内 に 線 量 計 を 挿 入 し 測 定 す る こ と は 不 可 能 で あ る 。 そ の た め 、 水 フ ァ ン

トム や 水 等 価 フ ァ ン トム を 用 い て 線 量 分 布 の 測 定 を 行 う。 腫 瘍 内 部 ま た 体 内 の 線 量 分 布 は 治 療 計 画 装 置 に よ っ て 計 画 され 、 基 本 的 に は こ れ を 検 証 した 後 に 治 療 が 実 施 さ れ る 。 陽 子 線 の 測 定 に 使 用 す る 計 測 装 置 を 回 転 ガ ン ト リー に 取 り付 け た 外 観 をFlig.11に 示 し 、 計 測 装 置 内 の 電 離 箱 部 分 を 上 部 か ら 見 た も の をFlig.12に 示 す 。 こ れ は 国 立 が ん 研 究 セ ン

タ ー 東 病 院 で 用 い ら れ て い る も の で 、 円 柱 水 フ ァ ン トム 中 に0.075ccの フ ァ ー マ 形 電 離 箱 が 設 置 さ れ て お り、 線 束 に 対 し て ビ ー ム 軸 方 向 で 使 用 す る 。X,Y,Z軸 方 向 に1秒 あ た り 0.1mmの 速 さ で 移 動 可 能 で あ る 。 な お 、あ ら か じ め 平 行 平 板 形 電 離 箱 と の 比 較 を 行 う こ と で 実 効 中 心 を 決 定 し て お り、線 量 分 布 の 評 価 に お い て3D水 フ ァ ン トム と の 検 証 を 行 う こ と で 精 度 を 保 っ て い る 。 ま た 、 測 定 で は 相 対 値 で 評 価 し て い る た め 問 題 な く使 用 して い る。 深 部 線 量 分 布 の 測 定 に お い て 電 離 箱 は フ ァ ン トム 中 を 上 下 す る。 ボ ー ラ ス や コ リ

メ ー タ を 設 置 し た 患 者 ご と の 治 療 条 件 に 従 い 線 東 中 心 に て 測 定 し、 治 療 計 画 で 得 ら れ た 線 量 分 布 と 比 較 検 証 を 行 う。 施 設 に よ っ て は 照 射 野 内 の 各 部 位 で の 深 部 線 量 分 布 を 測 定 す る こ と も あ る 。 横 方 向 の 線 量 プ ロ フ ァ イ ル は 水 フ ァ ン トム が ス ラ イ ドす る こ と で 測 定 さ れ る 。 こ の と きSOBP内 に 電 離 箱 が 設 置 さ れ る よ う に 水 深 を 調 整 す る 。 測 定 は 各 照 射 門 数 に 従 い 実 施 さ れ 、 ガ ン ト リー 角 度 も 設 定 可 能 で あ る が0度 に 固 定 し て 測 定 さ れ る 場 合 も あ る 。8)

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Fig.11線 量 分 布 計 測 シ ス テ ム(国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院) 計 測 シ ス テ ム を 回 転 ガ ン ト リー に 装 着 した 外 観

Fig.12水 フ ァ ン トム 中 に 設 置 さ れ た フ ァ ー マ 形 電 離 箱(国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー 東 病 院) 中 央 に 見 え る 円 柱 内 の 黒 い 部 分 が フ ァ ー マ 形 電 離 箱(0.075cc)

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2.3.3水 フ ァ ン トム

放 射 線 治 療 の 深 部 線 量 を 測 定 す る と き 筋 肉 組 織 に 最 も 近 い 物 質 は 水 で あ り 、 測 定 時 に は 水 フ ァ ン トム を 基 準 フ ァ ン トム と して 使 用 す る 。 放 射 線 治 療 に お け る 基 準 媒 質 は 水 で あ り 、 病 巣 線 量 は 水 吸 収 線 量 と し て 評 価 す る 。 放 射 線 治 療 計 画 に お い て 、 装 置 毎 の 基 本 線 量 分 布 デ ー タ と し て 水 フ ァ ン トム 中 で 取 得 さ れ た デ ー タ を 使 用 して 患 者 体 内 の 線 量 分 布 が 計 算 さ れ て い る 。 水 フ ァ ン トム を 使 用 す る 場 合 、 フ ァ ン トム 中 心 部 の 温 度 と 室 温 と の 差 が2℃ 以 下 と な る よ うに 調 節 す る 必 要 が あ る 。 一 方 、 水 は 液 体 で あ り そ の 取 扱 い が 困 難 な 場 合 が し ば し ば あ り 、 水 フ ァ ン トム の 代 わ り に 簡 便 法 と して 水 等 価 な 固 体 フ ァ ン トム が 使 用 さ れ て い る 。 水 等 価 フ ァ ン トム と し て は 、 密 度 が ほ ぼ1.0で あ るTough Water、SolidWater、MixDP、 ポ リエ チ レ ン(密 度1.05)、 ア ク リル 樹 脂(密 度1.18)

が よ く 使 用 さ れ る 。

(20)

第3章 陽 子 線 照 射 角 度 毎 の簡 易 ビー ム 計 測 シ ス テ ム の 構 築

3.1陽 子 線 照 射 角 度 毎 の 簡 易 ビ ー ム 計 測 シ ス テ ム

陽 子 線 治 療 に お い て は 、回 転 型 ガ ン ト リ ー を 用 い た 多 方 向 か ら の 陽 子 線 照 射 が 腫 瘍 に 対 し て 高 い 位 置 精 度 で 実 施 さ れ る 。 近 年 で は 、 更 な る 陽 子 線 照 射 の 高 精 度 化 を 目指 し 、 腫 瘍 に 線 量 を 集 中 さ せ た 均 一 な 線 量 分 布 を 形 成 す る 方 法 と し て 、 ペ ン シ ル ビ ー ム を 水 平 ・ 垂 直 の 電 磁 石 で 偏 向 させ 、 ビ ー ム エ ネ ル ギ ー を 高 速 で 調 整 す る こ と で 腫 瘍 の 形 状 に 合 わ せ た ビ ー ム 照 射 を 実 現 さ せ る ス キ ャ ニ ン グ 照 射 法 の 研 究 開 発 が 世 界 中 で 盛 ん に 実 施 さ れ て い る 。 今 後 、 よ り 高 精 度 な 陽 子 線 照 射 を 行 う上 で 陽 子 線 の 様 に 巨 大 な 回 転 ガ ン ト リ ー 装 置 の 回 転 に 伴 う構 造 体 の 変 化 な ど に よ る 照 射 角 度 毎 の ビ ー ム へ の 影 響 は 非 常 に 重 要 な 検 討 項 目で あ る 。 陽 子 線 の 照 射 角 度 毎 の ビ ー ム に つ い て 計 測 す る と い っ た 計 測 シ ス テ ム に つ い て の 報 告 は な く 、 そ の 方 法 に つ い て 新 た に 検 討 す る 必 要 が あ る 。 今 回 我 々 は プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ を 利 用 し 、 陽 子 線 を 可 視 化 す る こ と で ビ ー ム を 計 測 す る シ ス テ ム を 構 築 し た 。 陽 子 線 の 可 視 化 に つ い て は プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 発 光 をCCD カ メ ラ で 撮 影 す る と い う手 法 を 選 択 し た 。

3,2プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 概 要 3.2.1プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 原 理

プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レー タ は 素 粒 子 の 検 出 に 多 く 用 い られ る 有 機 シ ン チ レ ー タ の 一 つ で あ り 、 ス チ レ ン や ポ リ ビ ニ ル トル エ ン と い う透 明 な プ ラ ス チ ッ ク に 有 機 シ ン チ レ ー タ を 融 か した あ と 、 こ れ を 高 分 子 化 し て 固 体 化 し た も の で あ る 。 通 常 、 放 射 線 が 物 質 中 を 通 過 す る と 、 そ れ ら の 原 子 ・分 子 は エ ネ ル ギ ー を 受 け 取 り電 離 ・励 起 を 起 こ す が 、 蛍 光 物 質 の 場 合 は 原 子 ・分 子 が 励 起 状 態 か ら基 底 状 態 に 戻 る 際 に 、 余 分 な エ ネ ル ギ ー を 可 視 光 の 形 で 放 出 す る 。 こ の 光 を シ ン チ レー シ ョ ン(蛍 光)と 言 う。 こ の 蛍 光 は 、 非 常 に 微 弱 で あ り 肉 眼 で の 観 察 は 困 難 で あ る 。 放 射 線 が シ ン チ レ ー タ に 吸 収 さ れ た 場 合 、 そ れ が 荷 電 粒 子 線(α 線 、 β線 、 陽 子 線 等)の 場 合 は 、 そ の 運 動 エ ネ ル ギ ー の ほ と ん どが シ ン チ レ ー タ に 与 え られ る 。 但 し 、 β線(電 子 線 も 同 じ)で は 制 動X線 の 発 生 を 伴 うた め 、 そ の 発 生 の 少 な い 低 原 子 番 号 の も の が 望 ま し い 。X線 、yの 場 合 は 、 光 電 効 果 、 コ ン プ トン 効 果 及 び 電 子 対 生 成 に よ り生 じた 二 次 電 子 、 中 性 子 線 の 場 合 は 、 原 子 核 と の 衝 突 で α粒 子 、 陽 子 及 びvな ど が 生 じ 、 最 終 的 に い ず れ か の 荷 電 粒 子 が 結 晶 中 の 電 子 を 励 起 し 、 蛍 光 を 発 す る 。 有 機 シ ン チ レ ー タ の 発 光 機 構 は 分 子 の 励 起 に よ る も の で 、 放 出 す る 蛍 光 ス ペ ク トル も 無 機 シ ン チ レ ー タ と は 異 な る 。 シ ン チ レ0タ 中 に 含 ま れ る 溶 媒 分 子 数 は 溶 質(シ ン チ レ0タ)分 子 数 に 比 べ 、使 用 濃 度 で1000倍 程 度 あ る た め 、放 射 線 エ ネ ル ギ ー の 吸 収 に よ り溶 媒 分 子 が 励 起 さ れ る 。 衝 突 に よ り こ の エ ネ ル ギ0を 未 励 起 溶 媒 分 子 が 受 け 励 起 す る 。 こ の 繰 り返 し に よ り溶 媒 分 子 間 の エ ネ ル ギ ー 移 行 が 行 わ れ 、 最 終 的 に 溶 媒 の 励 起 エ ネ ル ギ ー が 溶 質 へ 移 行 す る 。 溶 質 が 溶 媒 の 励 起 エ ネ ル ギ ー を 吸 収 す る と励

(21)

第 二 溶 質 が あ る た め 、 第 一 溶 質 の 蛍 光 エ ネ ル ギ ー が 第 二 溶 質 に 吸 収 さ れ 、 第 二 溶 質 が 蛍 光 を 発 す る。

3.2.2プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 特 性

プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ.̲.̲タは プ ラ ス チ ッ ク で あ る た め 加 工 が 容 易 で あ り 、 薄 い 板 状 の も の か ら 円 柱 状 の も の ま で 各 種 形 状 の も の が 作 ら れ る 。 大 容 積 の 固 体 シ ン チ レ ー タ と し て 比 較 的 安 価 で 入 手 で き 、 液 体 の よ うに 容 器 を 必 要 と し な い た め 取 り扱 い や す い 。 但 し 、 あ ま り 大 容 積 の 場 合 は そ の 中 で 生 じ る シ ン チ レ ー シ ョ ン 光 の 減 衰 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 発 光 が 微 弱 な た め 光 電 子 増 倍 管 と 組 み 合 わ せ て 使 用 さ れ る こ と が 多 い 。NaI(Tl)シ ン チ レ ー タ に 比 ベ エ ネ ル ギ ー 分 解 能 は 劣 る が 、 時 間 分 解 能 は 良

い 。

3.3CCDカ メ ラ の 概 要 3.3.1CCDカ メ ラ の 原 理

CCDは 光 ダ イ オ ー ド を 二 次 元 的 に 配 列 し た 固 体 撮 像 素 子 で あ り、光 が 入 射 した 場 所 に 電 子 ・正 孔 対 が 生 じ る 。 生 じた 電 子 ・正 孔 対 は 隣 の 画 素 に 逐 次 、 縦 方 向 及 び 横 方 向 に 転 送 され 、1つ の 出 口 か ら1次 元 の 時 系 列 信 号 と し て 読 み だ さ れ る 。CCDに は フ レ ー ム ト ラ ン ス フ ァ ー(FT)型 と イ ン タ ー ラ イ ン(IL)型 が あ る 。FT型 は 転 送 部 に フ レー ム 蓄 積 部 を 設 け て ス ミ ア の 低 減 を 図 っ て い ま す が 、 構 造 が 複 雑 、 生 産 コ ス トが 割 高 、 小 型 が 困 難 の よ う な 特 徴 が あ る 。 一 方 、 一 般 的 な ビ デ オ カ メ ラ に 用 い ら れ るIL型 は 構 造 が 単 純 で あ り、 生 産 コ ス ト も安 く で き ま す が ス ミ ア が 発 生 す る 。 ス ミ ア と はCCDを 用 い た カ メ ラ で 周 囲 よ り も 極 端 に 明 る い 被 写 体 を 撮 影 した 場 合 に 白 く な る 現 象 の こ と を い う。 イ ン タ0

ラ イ ン 型CCDイ メ ー ジ セ ン サ は 、 受 光 部 の フ ォ トダ イ オ ー ド と 電 荷 転 送 部 の 垂 直 転 送 CCDを 一 列 ご と に 交 互 に 配 置 し 、 垂 直CCD列 の 端 部 を 水 平 転 送CCDの 各 素 子 に 接 続 し

て 全 体 と し て 櫛 形 に 配 置 し た 構 造 で あ る。 各 転 送 用CCDは 光 電 変 換 を 行 わ な い よ う に 遮 光 膜 で 覆 っ て あ る 。 ま た 、各 画 素 の フ ォ トダ イ オ ー ド と画 素 に 対 応 す る 垂 直CCDの 各 素 子 に 問 に は ア ナ ロ グ ス イ ッ チ と し て 働 く トラ ン ス フ ァ ゲ ー トが 置 か れ て い る。 読 み 出 し は 次 の 様 な 順 序 で 行 わ れ る 。9)

① フ ォ トダ イ オ ー ド を 感 光 し 、 電 荷 を 蓄 積 す る 。

② トラ ン ス フ ァ ゲ ー トを 開 き 、 フ ォ トダ イ オ ー ドか ら 各 垂 直 転 送CCDに 電 荷 を い っ せ い に 転 送 す る 。

③ ト ラ ン ス フ ァ ゲ ー ト を 閉 じ る 。

④ 各 垂 直 転 送CCDの 電 荷 を1回 分 転 送 し 、 各 列 の 端 部 に あ た る 画 素 の 電 荷 を 水 平 転 送 CCDに 移 送 す る 。

⑤ 水 平 転 送CCDに 順 次 転 送 パ ル ス を 与 え て 全 水 平 画 素 を 出 力 す る。

⑥ ④ 、 ⑤ の 走 査 を 垂 直 転 送CCDの 全 画 素 を 読 み 出 す ま で 繰 り返 す 。

ビ デ オ カ メ ラ に 使 うた め に は 毎 秒30〜60回 の 露 光 ・転 送 ・読 み 出 し を 行 う必 要 が あ る た め 、フ ォ トダ イ オ ー ドか ら 垂 直CCDへ の 電 荷 転 送 は 垂 直 帰 線 期 間 に 、ま た 、水 平 転 送CCD か ら の 読 み 出 し は 各 水 平 帰 線 期 間 に 行 わ れ る 。

(22)

3.3。2CCDカ メ ラ の 特 性

可 視 光 用 の 撮 像 素 子 が ビ ジ コ ン な ど の 真 空 管 式 撮 像 管 か ら 固 体 撮 像 素 子 のCCDに き 換 わ る こ と に よ り小 型 化 し 、性 能 が 向 上 し た 。CCDが 撮 像 管 に 対 し て 優 れ て い る 性 能 と し て は 、ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ が4桁 と広 い 、強 度 の 直 線 性 が よ い 、画 像 の 歪 み が な い 、 感 度 の 均 一 性 が 良 い 及 び 外 部 磁 場 の 影 響 を 受 け な い と い う事 が 挙 げ ら れ る 。10)

(23)

第4章 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ ーCCD検 出 器

を用 い た 角 度 依 存 性 の 解 析

4.1目

陽 子 線 治 療 に お い て は 、 回 転 型 ガ ン ト リ ー を 用 い た 多 方 向 か ら の 陽 子 線 照 射 が 腫 瘍 に 対 し て ミ リ単 位 の 位 置 精 度 で 実 施 さ れ る 。 陽 子 線 の 回 転 ガ ン ト リ ー 装 置 は 直 径10m重 さ が120tか ら300t近 く ま で の 巨 大 な 構 造 体 と な っ て い る た め 、 回 転 に 伴 う構 造 体 の 変 化 な ど の 影 響 に よ り ビ ー ム 状 態 を 一 定 に 保 つ こ と が 難 し い 。 ま た 、 近 年 更 な る 陽 子 線 照 射 の 高 精 度 化 を 目 指 し 、 陽 子 線 ス キ ャ ニ ン グ 照 射 技 術 の 研 究 開 発 が 世 界 中 で 盛 ん に 実 施 され て い る 。 陽 子 線 ス キ ャ ニ ン グ 照 射 で は 、 陽 子 線 を 細 い ペ ン シ ル ビ0ム 形 状 と し て 扱 い 、 そ れ を 高 速 ス キ ャ ン す る こ と で 腫 瘍 形 状 に 沿 っ た 線 量 分 布 を 形 成 す る 。 今 後 、 よ り高 精 度 な 陽 子 線 照 射 を 行 う 上 で 陽 子 線 の 様 に 巨 大 な 回 転 ガ ン ト リー 装 置 の 回 転 に 伴 う構 造 体 の 変 化 な ど に よ る 照 射 角 度 毎 の ビ.̲̲̲ムへ の 影 響 は 非 常 に 重 要 な 検 討 項 目 で あ り、 陽 子 線 照 射 を 行 う 上 で 照 射 角 度 毎 の ビ ー ム 状 態 を 簡 易 的 か つ 精 度 良 く 測 定 す る こ と は 、 高 品 質 な 陽 子 線 治 療 を 患 者 へ 供 給 す る た め に は 非 常 に 重 要 で あ る 。

そ こ で 、本 研 究 で は 円 柱 型 の プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レー タ とCCDカ メ ラ を 組 み 合 わ せ 、 照 射 角 度 毎 の 陽 子 線 の ビ ー ム 状 態 を 簡 易 的 に 測 定 可 能 な 計 測 シ ス テ ム の 開 発 を 目 的 と す る。

4.2使 用 機 器

本 実 験 に 用 い た 陽 子 線 治 療 装 置 は 住 友 重 機 械 工 業 株 式 会 社 製 で あ る 。(医療 機 器 製 造 販 売 承 認 番 号=21300BZZOO130000)こ の 装 置 に は 回 転 ガ ン ト リ ー(直 径10m)と 呼 ば れ る装 置 が 利 用 さ れ 、 任 意 の 角 度 か ら の 照 射 が 可 能 と な っ て い る 。 こ ち ら の 装 置 で は サ イ ク ロ トロ ン を 用 い て 陽 子 を235MeVま で 加 速 さ せ る 事 が 可 能 で あ る 。 照 射 野 形 成 を 目 的 と して 直 径10mmの 穴 の あ い た コ リ メ ー タ を 用 い た 。 ま た 、 陽 子 線 ビ ー ム レ ン ジ の 調 節 を 目 的 と し て150mmの ポ リ エ チ レ ン 板 を 用 い た 。

本 実 験 で 使 用 し た 円 柱 型 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ は 応 用 光 研 工 業 株 式 会 社 製 で あ り、

直 径20cm、 厚 さ10cmの 物 を 使 用 し た 。 実 験 機 器 の レ イ ア ウ トをFig.13、14に 使 用 し た 円 柱 型 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ0タ のFig,15に 示 し た 。実 験 中 は 光 の 混 入 を 防 ぐ た め 、 計 測 シ ス テ ム 全 体 を 長 方 形 の 骨 組 み で 囲 い 、 暗 幕 を か け て 測 定 を 行 っ た 。 ま た 、 陽 子 線 の 照 射 ビ ー ム 条 件 をTable2、 陽 子 線 照 射 時 の ス ノ ー ト位 置 に つ い てTable3、 プ ラ ス チ ッ ク シ ン チ レ ー タ の 特 性 に つ い てTable4に 示 し た 。 な お 、本 実 験 で 使 用 し たCCDカ ラ はHDR‑HC9(SONYCorporation,Japan)で あ り、 動 画 時 有 効 画 素 数(4:3モ ー ド)が 約171万 画 で あ る 。CCDカ メ ラ の 撮 影 条 件 をTable5に 示 した 。

(24)

Fig.13実 験 レ イ ア ウ ト

陽子線

CCDカ メラ

プラスチックシンチ レー タ

Fig.14実 験 レイ ア ウ ト(寸法)

実 験 レイ ア ウ トを 模 式 図 で 表 し た 。 実 験 の 際 に は 暗 幕 で 覆 っ て い る 。

参照

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