論文審査の結果の要旨
氏名:齋 藤 佑 記
専攻分野の名称:博士(医学)
論文題名:重症心不全における心エコー図によるpulmonary arterial capacitanceの臨床的意義に関する 検討
審査委員:(主 査) 教授 松 本 直 也
(副 査) 教授 岩 﨑 賢 一 教授 中 山 智 祥 教授 塩 野 元 美
左心不全は肺高血圧症の原因となり、右室後負荷の上昇に繋がり右心不全発症の原因となる。右室後負 荷の指標としては肺毛細血管抵抗(PVR)があるが、近年、心拍動時の肺動脈の進展性を表す肺動脈容量(pul.
monary arterial capacitan: PAC)がカテーテル検査による肺動脈楔入圧(PAWP)の変化をより反映するこ とが報告された。本研究ではこれまで侵襲的にスワンガンツカテーテルを用いて測定されていたPACを非 侵襲的に心エコー図から求め、前者との相関を検討し、更にPACと心不全重症度との関係に検討を加え、
左心不全患者の予後との関係性を検討することを目的とした。結果:エコーから求められたPACとカテーテ ルから求められた. PACは r=O.75,P<0.0001 の相関を有していた。またPACは PAWPと逆相関した (r=-0.72,P<0.0001)。また左心不全患者における死亡と補助人工心臓植え込みを心事故とした際、PACは 多変量解析で各種パラメータ補正した後も独立して有意な予後予測因子であることが明らかとなった。本 研究の優れた点は、非侵襲的に求めた左心不全による右室後負荷指標であるPACが心不全の重症度を適切 に反映したこと、さらに1 患者に繰り返して測定可能であることから今後治療の効果判定や予後予測に対 して頻用される可能性を示した点である。
よって本論文は、博士(医学)の学位を授与されるに値するものと認める。
以 上 平成28年2月17日