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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:石 山 寿 子

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:言語聴覚士による遷延性意識障害患者の主介護者に対する介護感の醸成支援に関する質的

研究 -M−GTA分析による-

審査委員:(主 査) 教授 前 野 正 夫

(副 査) 教授 植 田 耕一郎 教授 祇園白 信 仁 教授 小 室 歳 信

遷延性意識障害患者は,摂食嚥下障害も重度に合併し,療養生活も長期にわたることが多く,リハ ビリテーションの機会を得られずにいる患者も少なくない。また,摂食嚥下リハビリテーションに携 わる医療専門職に対する継続的な介入基準や意義は示されているとは言えず,現場における主介護者 や患者に関わるリハビリ専門職の判断に委ねられているのが現状である。自己決定のできない重度患 者の場合には,主介護者が患者のリハビリテーションの実施と継続決定に大きく関与しているにもか かわらず,患者と主介護者双方を包括的に捉えた詳細な研究は見当たらない。

そこで,本論文の著者は,重度の摂食嚥下障害を呈する遷延性意識障害患者に対する摂食嚥下リハ ビリテーション専門職の介入の意義と課題を抽出するために,主介護者を対象としてデータを収集し,

質的研究の手法を用いて分析する研究を実施した。

具体的には,経管栄養により管理されている重度の遷延性意識障害者を在宅介護している主介護者 5名に対して,半構造的質問項目を用いてフォーカスグループインタビュー(FGI)を実施し,介護 感の変遷やリハビリテーションに対する心理的問題を収集し,質的分析を行った。さらに,摂食嚥下 リハビリテーションの実施者である言語聴覚士(ST)の介入がもたらす影響と意義を抽出するために,

FGIの対象者の中から,STの介入があり,介護条件や患者の受傷起点の異なる主介護者2名を抽出 し,個人インタビューを実施し,同様の手順で分析を進めた。分析には修正版グラウンデッド・セオ リー・アプローチ(M-GTA)を用いた。

その結果,FGIから【医療・否定】,【医療・肯定】,【介護感・否定】,【介護感・肯定】,【口腔】,【啓 発】の6つの概念が抽出された。さらに,FGIの結果を踏まえて実施した個別インタビューから,『摂 食嚥下リハビリテーションを受けた影響』と,『介入の質』の二つのカテゴリが示された。主介護者 の介護感の醸成感の中で,STの介入は,患者の機能変化のみならず,主介護者が介護生活の中で抱 いている心理的側面に大きく影響しており,主介護者と患者の立場に立った肯定的姿勢を持った支援 と介入が,主介護者の価値観の転換と介護感の醸成に貢献していた。介護生活の中で主介護者は,明 らかな機能変化ではない微細な変化を患者の改善として認識していた。

これらの結果から,以下の結論を得ている。

1. 遷延性意識障害患者を長期在宅介護している主介護者の介護感は,環境の変化や時間の経過とと もに,悲観的から肯定的なものに醸成されていることが明らかになった。

2. 医療者側の対応が,前向きな療養生活を送ることができるかどうかを左右していた。

3. 摂食嚥下リハビリテーションに携わっているSTの介入は,患者の機能変化のみならず介護生活 の中で抱いている心理的側面に影響を与えていることが示唆された。

4. 今後の課題として,従来の評価基準スケールでは評価できない微細な変化を認識している主介護 者の介護感の変遷を汲み取った対応が重要であることが示唆された。

以上のように,本論文は,重度の摂食嚥下障害患者を在宅で介護している主介護者を対象にFGI を用いて質的分析し,STの専門的介入が主介護者にどのように受け止められ,看護者の心理と行動 や他者との関係にどのような役割を果たしているのかの現状および今後の課題を明らかにしたもので,

臨床歯科学とくに摂食嚥下療法学の発展に寄与するところ大である。

(2)

よって本論文は,博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上 平成28年3月9日

参照

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