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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:今 井 徹

博士の専攻分野の名称:博士(薬学)

論文題名:

Amyloid -peptide

による小胞体ストレス誘発海馬神経細胞死増強機構とS-allyl-L

-cysteine

の神 経保護作用に関する研究

審査委員:(主 査) 教授 伊 藤 芳

(副 査) 教授 石 毛

久美子 教授 小 野

本論文は,アルツハイマー病に深く関与する

amyloid -peptide (Aの細胞死誘発機構を明らかにする一環

として,海馬特有の神経回路及びその機能が保持されている切片培養系において

Aが小胞体ストレス誘発

細胞死に及ぼす影響について検討するとともに,S-allyl-L

-cysteine (SAC の神経保護作用の機序について,

海馬切片培養系,神経細胞初代培養系及びin vitro

calpain

活性測定系で詳細に検討したものである。

1.

海馬切片培養系における

Aによる小胞体ストレス誘発神経細胞死増強機構

培養

3

週間後の海馬切片において,小胞体ストレス誘導薬である

tunicamycin (TM)

の暴露は,濃度依存的 な細胞死を誘導した。Aのコア配列である

A

25-35

25 M

の単独暴露においては細胞死は誘導されなかった が,TM との同時暴露(A+TM)により海馬全領域において

TM

誘発細胞死を増強した。また,A25-35は,

calpain

の活性化を示す-spectrin分解産物及び

caspase-12, caspase-3

の活性化体の増加をさらに増強し,

TM

及び

A+TM

誘発細胞死は,

caspase-12

特異的阻害薬の

z-ATAN-fmk

により顕著に抑制された。さらに,

calpain

の活性化に関与する細胞内

Ca

2+のキレート薬である

BAPTA-AM

は,

A

25-35

TM

誘発細胞死増強 を顕著に抑制した。以上より,

A

25-35は,細胞内

Ca

2+濃度を上昇させて

calpain

を活性化し,

TM

による

caspase-12

及びその下流の

caspase-3

のさらなる活性化を引き起こし,神経細胞死を増強することが示され

た。

2. 海馬切片培養系における小胞体ストレス誘発細胞死に対する SAC

の神経細胞保護作用

SAC (100 M)

は,

TM

及び

A+TM

による細胞死に対し顕著な抑制作用を示し,

TM

暴露による-spectrin 分解産物,

caspase-12

caspase-3

の活性化体の発現及び

A+TM

による増強を有意に抑制した。以上より,

SAC

の海馬神経細胞保護作用には

calpain

阻害作用が関与することが示唆された。

3. in vitro

活性測定系における

calpain

活性に対する

SAC

の作用

SAC

は,リコンビナントの

calpain

において,-及び

m-calpain

活性を濃度依存的に阻害し,m-calpain りも-calpainに対し,より強力でかつ低濃度で作用を示したが,既知の阻害薬である

calpeptin

と比較して 緩やかで高濃度においても完全には阻害しなかった。また,

SAC

Ca

2+結合部位に作用する

PD150606

よる最大の阻害を一部抑制したことから,

SAC

の作用機序として

calpain

Ca

2+結合部位に作用して本酵素 活性を阻害することが考えられた。さらに,

SAC

は,内在性の

calpain

阻害タンパク質である

calpastatin

害作用には影響及ぼさないことから,SAC

calpastatin

との相互作用を有しないことも示された。

以上より,申請者は,海馬切片培養系において単独では細胞死を誘発しない濃度の

A

25-35が,

誘発小

胞体ストレス誘発細胞死を増強することを見出し,この増強作用に,細胞内

Ca

2+濃度の上昇による

calpain

活性化によりその下流の

caspase-12

を介するアポトーシス経路を増強することが関与することを初めて明 らかにした。また,

SAC

が,

Aにより増強された小胞体ストレス誘発神経細胞死に対して顕著な保護作用

を示すこと及び,その保護効果には

SAC

calpain

Ca

2+結合部位との相互作用介して本酵素活性を緩徐 に阻害することが関与することも明からにした。これらの研究成果は,アルツハイマー病発症機序解明及 び新規治療薬の開発に大きく貢献するものであり,薬理学的にも大いに評価できる。

よって本論文は,博士(薬学)の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上 平成26年1月26日

参照

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