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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:松 江 彦 兆

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:

In vitro

光線力学療法モデルにおける口腔癌細胞のアポトーシスとオートファジーの調節 審査委員:(主 査) 教授 大 木 秀 郎

(副 査) 教授 小宮山 一 雄 教授 鈴 木 直 人 教授 本 田 和 也

光線力学療法(photodynamic therapy, PDT)は,光感受性物質を腫瘍細胞に取り込ませた後,励起光の照 射で発生する活性酸素種によって腫瘍細胞を障害する治療法である。細胞の死は形態学的にアポトーシス,

非アポトーシス細胞死であるオートファジーおよびネクローシスに分類されている。

PDT

による細胞死の 分子メカニズムは未だ十分には解明されていないものの,これまでの報告ではアポトーシスによる細胞死 を誘導することが示されている。

本研究は

PDT

の口腔癌細胞に対する障害効果のメカニズムを明らかにするため,光感受性物質であるア ミノレブリン酸(ALA)を用いた

in vitro ALA-PDT

モデルを作製し,口腔癌細胞株である

HSC-3

細胞を用 いてアポトーシスおよびオートファジー誘導に注目して解析をおこなった。

口腔癌の

in vitro PDT

システムは,発光ダイオード光源,電源ユニットとデジタルタイマーで作製した。

HSC-3

細胞の培養液に

2 mM

ALA

を加え,遮光条件下で

2

時間培養した。細胞を洗浄した後,

100 J/cm

2 の光照射をおこなった。アポトーシス誘導を

TUNEL

で測定した。TUNELによって標識されたアポトーシ スが生じている細胞を計測し,アポトーシス誘導率を算出した。

c-Jun

発現を定量的

PCR

で検討した。細胞 から

RNA

を回収し,

cDNA

を合成した。得られた

cDNA

と特異的プライマーが含まれた反応溶液を作成し,

遺伝子発現量を半定量的に解析した。免疫細胞化学によりオートファゴソーム形成を検討した。細胞に

ALA-PDT

をおこなった後,

1

次抗体としてオートファゴソームマーカーである

LC3

に対する特異抗体と反

応させた。次いで,

2

次抗体としてビオチン標識ヤギ抗ウサギ

IgG

抗体を反応させた後,免疫複合体を

FITC

標識ストレプトアビジンで可視化した。LC3 陽性のオートファゴソームを指標として,オートファジー陽 性細胞率を算出した。

Western blot

により,

LC3 I

LC II

を検出した。タンパク量

40 g

の細胞溶解液を

10%

ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し,PVDF膜に転写した。

PVDF

膜を,

1

次抗体のウサギ抗

LC3

抗体と 反応させた。次いで,

2

次抗体の

HRP

標識抗ウサギ

IgG

抗体と反応させ,免疫複合体を化学発光検出シス テムにより,

X

線フィルム上に検出した。フィルムをスキャナーでデジタル画像化して,

LC3 I

LC3 II

の発現量を

ImageJ

で測定し,総

LC3

発現レベルに対する

LC3 II

発現レベルを半定量的に測定した。

ALA−PDT

が口腔扁平上皮癌細胞株

HSC-3

細胞のアポトーシス、c-Jun発現およびオートファジーにおよ

ぼす影響を検討し,以下の結果を得た。

1.

ALA-PDT

により,HSC-3細胞にアポトーシスが誘導された。

2.

c-Jun

遺伝子は

ALA-PDT

後に優位な発現上昇を示した。

3. 免疫細胞化学および

Western blot

では, オートファゴソームの形成がみられ,オートファジー陽性 細胞率は経時的に増加した。さらに

LC3 II

の発現増加が認められた。

以上のことから,

ALA-PDT

は扁平上皮癌細胞にアポトーシスおよびオートファジーを誘導することが明 らかとなり,口腔癌の新規治療方法として口腔外科学ならびに関連歯科臨床分野に寄与するところがある ものと考えられた。

よって本論文の著者は,博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上 平成27年2月5日

参照

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