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博(生)甲 第158号

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Academic year: 2021

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論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

報 告 番 号

博(生)甲 第158号

氏 名 村岡 陽

学 位 審 査 委 員

主査 武政 剛弘 副査 高良 真也 副査 平岡 教子 副査 西山 雅也

論文審査の結果の要旨

村岡 陽氏は 2005 年 3 月に長崎大学大学院環境科学研究科を修了し、直ちに長崎大 学大学院生産科学研究科博士後期課程に入学し、現在に至っている。

同氏は、生産科学研究科に入学以降、環境科学を専攻して所定の単位を修得するとと もに、新規微生物の分離およびその微生物の油脂分解能力評価に関する研究に従事し、

その成果を 2007 年 12 月に主論文 「サラダ油分解微生物の分離方法と活用に関する研究」

として完成させ、審査付き学術雑誌論文 2 編を付して、長崎大学大学院生産科学研究科 教授会に博士(環境科学)の学位の申請をした。

同研究は建設省告示第 1597 号により義務付けられている油脂阻集器(グリーストラ

ップ)の浄化システム開発を目的に行っている。研究は浄化システムに利用可能な微生

物の獲得およびその能力評価を中心にまとめられている。同研究では、一般的な集積培

養法では分離困難な微生物を取得するために、グルコン酸クロルヘキシジンを用いた方

法を開発し、その有効性を濃度勾配ゲル電気泳動法により確認している。この方法はグ

ルコン酸クロルヘキシジンの殺菌作用を応用し、大腸菌や黄色ブドウ球菌など生育能力

の高い微生物の増殖を抑制することで、通常は優先的に出現しない微生物の分離を可能

にしている。本方法を油脂分解微生物の分離にも適用し、高い油脂分解能力を有する

Y1 株の取得を達成している。Y1 株は培地に含まれる 1%(w/v)のサラダ油を培養開始

後、1 日で 8 割近く分解し、この油脂分解速度は培養初期の菌体濃度に比例することを

明らかにしている。また Y1 株の油脂分解特性を薄層クロマトグラフィーにより解析し

たところ、サラダ油に含まれるトリグリセリドの 1 位または 2 位を問わずエステル結合

を加水分解する能力に優れていることを明らかにしている。さらに Y1 株の油脂分解特

性についてガスクロマトグラフィーによる解析を行い、サラダ油に含まれる炭素数 16

から 20 の飽和および不飽和脂肪酸を全て分解し得ることを明らかにしている。Y1 株の

油脂分解過程ではトリグリセリドの加水分解による遊離脂肪酸が生成され、これにより

(2)

培地の pH が低下し、Y1 株による油脂分解を妨げていることが示唆されている。この pH の低下は培地組成に含まれるリン酸イオン濃度を増加することで緩和され、これにより Y1 株による油脂分解活動を持続させることに成功している。本研究成果は生態系に影 響を与えないグリーストラップ浄化システムの新しい技術として、社会に対する貢献度 は非常に大きいと判断する。

長崎大学大学院生産科学研究科教授会は、2007 年 12 月 19 日の定例教授会において 論文内容の要旨を検討し、本論文を受理して差し支えないものと認め、上記の審査委員 を選定した。委員は主査を中心に論文内容について慎重に審議し、公開論文発表会を実 施するとともに、最終試験を行い、論文審査および最終試験の結果を 2008 年 2 月 20 日 の生産科学研究科教授会に報告した。

以上のように本論文は、高い油脂分解能力を有した Y1 株を単離し、Y1 株の油脂分解 特性に関する知見を提供するとともに、これを用いたグリーストラップ浄化システムの 利用に関する有用な基礎資料を提供し、環境科学および生物学に多大の寄与をするもの と評価できる。

生産科学研究科教授会は、審査委員会の報告に基づき審議した結果、本論文は環境科

学および生物学の分野において極めて有益な成果を得るとともに、環境科学の進歩発展

に貢献するところが大であり、博士(環境科学)の学位に値するものとして合格と判定

した。

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