金沢 大 学十 全 医 学会 雑 誌 第1 0 2巻 第1 号 49 ‑6 0(1 9 9 3)
単 ク ロ ー ン 抗体I M N 3 .1 の認 識 する ヒ ト T 細 胞 活性 化 抗原 の 発現動態と紳胞 死 ( ア ポト ー シ ス) の 関連性 に関す る研 究
金 沢 大 学 医学 部 小 児 科学 講座 ( 主 任: 谷口 局 数 授)
上 原 貴 博
( 平 成5 年1月1 2 日受 付)
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Epstein‑Ba r r ウ イルス (Epstein‑Ba r r vir u s, E B V) 初 感 染によ る伝 染 性 単 核症 (infe ctio u s m o n o n u cle o sis,I M) で増 加 す る活 性 化 (C D 4 5 R O 抗 原 陽 性) T リン パ球ほよ 適 当な細胞 増 殖 因子を欠くと速や かに アポ ト ー シス に陥る が, これ は抗 原 刺 激 を介し た末梢でのT 細 胞 選 択 機 構の モデルと して興 味深い。 今回,I M 患 者 末梢血単 核 細胞を免疫 原と し, アポ ト ー シ ス に陥り やすい T細胞に特 異 的 な 細 胞 表 面 分 子に対する単クロ ー ン抗 体 (m o n o clo n al a ntibody, m A b) の作 成を試み た. 得ら れ た m A b (I M N 3.1) によっ て認 識さ れ る I M N 3.1抗 原ほ,I M 患 者 末梢血活 性 化 (C D 4 5 R O 抗 原陽 性) T 細 胞に強く 発現 する が, 正常人 末 梢血メ モリ ー ・ 活 性 化(C D 4 5 R O 抗 原 陽性)T 細 胞には わずか な発 現が認め ら れ るのみで, 同疾 患において増 加し た T 細 胞を 明瞭に区 分すること ができた. ま た,I M N 3.1抗 原は同抗 原 陰 性ナイ q ブ(C D 4 5 R O 抗原 陰 性) T細 胞を活性 化すること に よ り 比 較 的 後 期にその発現が誘 導さ れ た。I M N 3.1抗 原は, 細 胞 外構 造1 2 0 k Da の未知のT細胞 活 性 化 抗 原で, 主 に I M 患 者丁細 胞, 胸 腺 細胞, サイト カイ ン依 存 性A T L 細 胞 株お よ び抗Fa s m A b 感 受性丁細 胞 株な どアポ トー シスに陥り やすいT細 胞に 発 現 するもの と考え ら れ た.
K ey w ords Epstein‑Ba r r viru s,infe ctio u s m on o n u cle o sis, T c ell, a Ctiv atio n a ntige n, apOp tO Sis
生 体の恒 常 性 維 持において, 細 胞 増 殖と細 胞 死が 一定の割 合 で保たれること ほ極め て重 要であり, 悪 性 新 生物の発 生お よ び 免 疫不全の磯 序を解 明 する 上で注目 さ れて いる‑ )2 ). 細 胞死 は!
非 生理的条 件 ( 低 酸 素 状 態, 虚血 な ど) によ る細胞 膜 障害を特 徴 と し 周囲の覿 織 障 害を伴 う壊死(n e c r o sis) と, 生理的 条 件 ( 個 体 発 生 過 程, ある種の抗 原 刺 激な ど) に おい て 核の 断 片 化 (n u cle a rfr agm e ntatio n) を特 徴とする変 化の の ち観 織 障害を伴 わず 貪 食細 胞な どによ って処理 さ れ るアポト ー シ ス (apop to‑
sis)3 ト 5) に大 別さ れ ている.
アポト ー シ ス を介した細 胞 死は , 個 体発 生の過 程8) や胸 腺で
のT 細 胞 受 容 体一C D 3 抗 原 複 合体を介し た自己反 応 性 未熟丁細
胞の排 除7 ト 9 ), リン パ節 胚 中心にお け る B 細 胞の選 択1 0 )な ど免疫
機 能の樹立, 調節 過 程におい て中心的 役割を果た して いる. ま た末 梢 成 熟丁細 胞の免 疫 応 答や‖ ト 1 4 )・, 後天性 免 疫不全症 候 群 (a cquir ed im m u n odeficie n cy syndr o me, A I D S) 発 症 へ の関
与1 5 卜 1 7 )
も 報告さ れてお り注目 さ れて いる.
Epstein‑Ba r r ウ イル ス(Epstein‑Ba r r vir u s,E B V) 初 感 染によ る伝 染 性 単 核 症(infe ctio u s m o n o nucle o sis,I M)1 8 )で著 明な増 加 が認め ら れ る活性 化丁細 胞1 9 )で は, メ モ リ ー (m e m o ry)・ 活 性 化 (a ctiv ated) T細 胞の指 標である C D 4 5 R O 抗 原2 0)の発 現が増
強し ている2 1 )が, こ の活 性化 (C D 4 5 R O 抗 原 陽 性) T細 胞は, 細
胞 増 殖 国子の欠 如によ り速や かに アポ ト ー シス に陥る2 2 卜 2 4). 末 梢で抗 原 刺 激を受 けた T 細 胞は C D 4 5 R O 抗 原を発 現しメ モ
リ ー T 細 胞 群を形 成 する と さ れ ている が2 5 ト 2 g )
,I M において増 加
した活 性 化 (C D45 R O 抗 原 陽 性) T 細 胞がアポ トー シ ス 死に よって選 択さ れ る 可能性は, 末梢にお け る抗 原刺 激を介し たメ
モリ ー T 細胞 群 形 成 機構のモデルと して興 味 深い2 1 )
現 在, B細 胞において ほ C D 7 7 抗原がリン パ節胚中心で アポ トー シ スを介して選 択さ れ る細 胞に発 現 する と さ れ ている30 ) が, 胸 腺 細胞を含む T 細 胞に特 異 的なアポト ー シ ス関 連 抗 原は 知ら れ ていない. 今回, アポト ー シ ス に陥り やすいI M 活 性 化 丁細 胞に発 現 する表 面抗 原を明ら かにする 目的で, 単クロ ー ン 抗体 (r n o n o clo n al a ntibody, m A b)I M N 3.1 を作 成し た. I M N 3.1m A b によって認 識さ れ る抗 原ほ, 各種 細 胞における発 現 分
布お よ び分子量の検 討によ り, アポト ー シ ス指 向 性丁細 胞に特 異 的に発 現 する未 知のT 細 胞 活 性 化 抗 原と考え ら れ る.
対 象お よび 方 法
Ⅰ IM N 3.1 m Ab の作 成
臨 床症 状, 血液 所 見お よ び 血清 学 的 所 見よ り I M と診 断l 即さ れ た 5 歳 男 児よ りヘ パ リン加 静 脈血 を採 取, F ic oll‑Hy paqu e 比 重 遠心 法に て 得ら れ た末 梢血 単 核 球 (pe riphe r al b lo od
m o n o n u cle a r c ells, P B M C) で B A L B/c マ ウス を免 疫 し,
m A b を作 成し た3 1). 5 匹の マウス にそ れぞれ 2 ×1 06 の I M
P B M C を, Fr e u nd 完 全アジ ュ バ ン ト(D ifc o Labo r ato rie s,
Detr oit. M I C H, U S A) と共に腹 腔 内 接種, 以 後2週 毎に 3 回皮 下 接 種することに よ り追 加免 疫を行い, 2 週 間 後0.1 M リソ酸 緩 衝 塩化ナト リ ウム液 (pho sphate‑buffe r ed s alin e, P B S) に再
A b br e viatio ns: A I D S , a Cquir ed im m un odeficie n cy syndr o m e; A T L, adult T c ell le uke mia; E B V,
Epstein‑Ba rr virus; F C S , fetal c alf se r u m ; F I T C. flu o r e s c ein isothio cya n ate; Ig, im m u n oglobulin; I M ,
infectio u s m ono n u cleo sis;I L,interle ukin; m A b, m O n O Clo n al a ntibody ; 2 M E, 2.m elc ap to etha nol; N K, n atu ral