• 検索結果がありません。

セ ンター 日本語 コースの 入 門段 階 の クラスにつ いて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "セ ンター 日本語 コースの 入 門段 階 の クラスにつ いて"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2 1

セ ンター 日本語 コースの

入 門段 階 の クラスにつ いて

もり

やま

け い

1 .は じ め に

長 崎大学 外国 人留 学生 指導 セ ンター ( 以 下 、 セ ンター と略す )で 、入 門期 の学生 を対象 と したクラスは、文型 ・ 会話 Ⅰと呼 ばれ て い る 。 「日本語 の最 も基 本 的 な文 法事 項 と、 日常 生活 の中 で使 われ る基 本的 な表現 を学習す る」

( 長 崎大学 外国 人留学生 指導 セ ンター, 1 9 9 2

, p.

1 2) こ とを 目的 と して い る

一 時間半 の授業 が週 二 回行 なわれ て い る

1 9 9 2 年 1 0 月 に始 ま った ク ラス は、 トル コか らの医学部 の研 究生一 人 で ス ター トした。一 ケ月遅 れ て 、 エ ジプ ト か らの研 究生 が加 わ り、二 人 とな った。学 生 が長 崎大学 へ くる時期 が、必 ず しも決 ってお らず 、 また 日本語 能力 につ いて は、 どの程 度 の学生 か 、何人 くるのか等 、 セ ン ターで は、前 もって の把 握 は困難 で、臨機 応変 の対 応 が 要 求 されて い る

本稿 で は 、1 9 9 2 年 1 0 月 か ら 1 9 9 3 年 2 月 まで の ク ラスが 、実 際 に どの よ うに行 なわ れて い るか を 報 告 し、 そ の指 導 内容 、方 法 な どの評 価 を試 み る

その 後 、特 に初期 の段 階 で学 習動 機 を いか に高 く保 って い く か とい う観 点 か らの評 価 に も言 及 す る

2. クラスの実際

この ク ラスで は、授業 は、 日本語 のみで行 なわれ るの で はな く、説 明 に英語 が使 わ れ た。週 二 日、計三 時間 と い う限 られ た時間 で あ る ことを考 え る と、 た とえ ば、そ の 日の新 出文 法事項 の基本 を教 師 と学 生 の共通 の言 語 、 英 語 で説 明 し、質問 も英語 で も受 け る ことが効 果 的 で あ ると考 え られ た。短 時間 で理 解 を深 め、 日常 の生 活 の中 で少 しで も多 く、 また早 く日本語 が実 際 に使え る ことを 目指 して い るか らで あ る

教 師 と学生 双方 に共通 の言語

が な けれ ば、必然 的 に 日本語 で行 なわれ ることになる し、

指導 法 も違 って くる

教科書 使用開始 前 に、 日本語概 観 の為の期間が持 たれ、

その間 、特 にす ぐに繰 り返 し使 え る表現 や単語 の習得が、

目指 され た。 その後 、Si t L L at i o

n

alF

u

nc t L ' o

n

alJ

ap

ane s e ( Ts u k u baLa n gu a geGr o u p,1 9 9 2) が教 科 書 と して 使 われ た

2.1 教科書使用開始までのクラス

1 0月 か ら約一 ケ月 (8 回 )、ひ らが な 、 発 音 、 日本 語 の基 本 的文 法 、単 語等 を概 観 す る目的 で 、教科 書 は使 わ ず に授業 が行 なわ れ た。 ク ラスの開 講 に当 た って立 て ら れ た教授 綱 目 は、以 下 の通 りで あ る

1

)あいさつ/名詞 2)日本語の文 ・概観

動詞文/ /い一形容詞文/な一形容詞文、名詞文 丁寧体/ / 普通体

文末表現

疑問文

3

)日本語の文 副

い一形容詞文/な一形容詞文 4 )日本語の文 旧)

名詞文

5

)疑問詞

6)数詞

7 )時間の表現

8)述部の活用 (

過去 ・非過去、肯定 ・否定) な一形答詞文、名詞文

い一 一形容詞文

9

)日本語の文

(C)

動詞文

r u 一動詞

u

一動詞

する動詞、来 る動詞

1 0 ) 動詞文の応用

(2)

22

授業の実際を簡単 に紹介す ると、第一回目のクラスで、

学生 は基本的なあいさつ、「医学部」、「研究室 」 等 の身 近 な単語 の使用、そ して簡単 な自己紹介がで きるよ うに 指導 を受 けた。また上記 2) の日本語 の文 ・概観 の説明

を英語で受 けた。

第二回 目のクラスは、前回習 った表現 を使 ったあいさ つで始 まった。

「自己紹介 ‑ s e l fi nt r oduc t i on ‑を して くだ さい」 と い う指示 を受 けて、「自己紹介」 とい う言葉 を反復 した 後、学生 は、自己紹介を始 めた。前回習 った単語 を、全 て使えるだけ使お うとす る意欲が見 られ 、「長 崎大学 の 医学部の形成外科 の研究生 です 。 」等 と、 自己紹 介 を し た。また、教師の自己紹介を良 く理解 した。

前回渡 されていたひ らがなの練習用 プ リン トの自習状 況 は、練習 して きた 「あ」か ら 「た」 までで、特 に形 の 不明瞭な所がないかをチ ェック した後、自習 して きた文 字 を使 った単語 の読 みのチェックがなされた。 これに も 大変意欲的 に取 り組んでいることが、ほとん どスラス ラ と読 めることで解 った。次回 までに、どこまで練習 して くるかを尋ね られて、学生 は、残 り全部 を して くると答 えた。

学生 は、「質問 は、あ りますか。 」 と問われ、その意味 と答え方 を習 った。

しば らく、英語で、学生が困 っていることはないか、

研究室や住 いである交流会館で、日本語 を使 ってみ るこ とが出来 たかなどについての話 があった。学生 は、荷物 が着かず着 のみ着 のままで困 っていること、日本語 を使 うチ ャンスはほとん どな くて、英語ですんで しまってお り、留学生同士で多少使 う程度であることなどを一気 に 話 した。すでに良 く使 っている日本語 として、前回習 っ た 「おはよ うございます。 」、「 失礼 します。」、「どうも。 」 などを挙 げた。

形容詞 の学習 に入 り、ひ らがな とローマ字で書かれた リス トが渡 された。

八つの 「な‑形容詞」の発音練習が、それぞれに対応 す る絵教材 を見なが ら行 なわれた。発音 には注意が払わ れ、発音練習 の ときだけでな く、イ ントネー ションも含 め、折 々になおされ、繰 り返 し練習が行 なわれた。意味 の補足が英語で された後、「げん きな」 を例 に以下 の形 の説明があ った。

げん さです。/ げん き ( だ) 。 げん きですか。/げん き

げん きですね。

げん きですよ 。/ げん きだよ 。

絵教材 を使 って練習 した後、「い‑形容詞 」 の練習 と 説明が同 じよ うに行 なわれた。

「 〜 は〜です。」 という形が導入 され 、身近 な題材 を 使 った練習では、形容詞の学習 に入 る前 に学生が話 した ことが話題 に登 り、例えば、まだ荷物が届かずに履 き変 え るソックスにも困 っていたため、「ソ ックスは、 た い せつです。 」 ソックスが話題 にな った ことか ら 「ソ ック スは、ゆ うめいです。 」などの自発的発言が増 えた。

以上で、第二回 目のクラスは、終了 した。

Lar s e n ‑ Fr e e man ( 1 9 8 6) は、言語指導 法 を理 解 し吟 味す るために、十 のポイ ン トを挙 げている

以下ではそ の各項 にそ って、 この クラスの簡単 な評価 を試 み る

( 1) 教師の目的

‑学生が生活の場で日本語 を使 い、聞 けるよ うになるこ とを目指 している

そのために、文法の説明 は英語でな され るが、練習 は日本語で絵教材や異体的な身近 な題材 を使 って行 なわれている

( 2) 教師の役割/学生の役割

‑説明の場面では、学生 は、受身であ る

練習 の場面で は、教師 は題材 を提供 し、モデルにな り、練習相手 にな る

学生 は、真似を し、また題材 を提供 して、自発的な 練習をす るよ うに しむけている

( 3) 教授/学習過程の特徴

‑文の構造 を理解 した後、絵 や身近 な題材 を使 って繰 り 返 し日本語で練習す る

(4)

教師 と学生の関わ り方

‑教師か ら学生‑ という方向での関わ りが多 いが、逆方 向の関わ りが増え るよ う望 まれている

( 5) 学生の気持 ちには、どのように対処するか。

‑絵教材が続 いたときに学生か ら 「 必要だということは、

(3)

解 っているが、とて も幼 いことを しているような気持 ち になる。 」 という発言があった。そ こで絵教材 の使 い方 を見直 し、使 う場面を限 ったり、頻度 を減 らした。また 新 しい環境 にとまどいや困難 を抱えていることもあるの で、最近 の様子 を尋ね る時間を、授業 の中で持っように

している

(6)

言語、文化 はどのように考えられているか。

‑書 き言葉ではな く、話言葉が扱われている。毎 日の生 活の中で使 った り聞 いて理解で きることを目指 している ので、丁寧体 と同 じよ うに普通体 も重要である

日本の 生活習慣や日本人の ものの考え方や行動 について も特 に 学生か らの質問を受 けて説明 される

(7)

言語のどの領域 に重点がおかれているか。どのよ うな言語能力 に重点がおかれているか。

‑文法の説明に割かれ る時間 は多 くはな く、日常生活で 使える語薫を増やす ことにより重点がある

ひ らがなと カタカナを書 いた り読んだ り出来 るよ うになることは要 求 され るが、 このクラスの重点 は会話 にある

発音やイ ントネー ションは、最初か ら、正 しく発音す るように指 導す ることが心がけ られている

( 8) 学生の母国語の役割 はあるか。

‑学生が母国語でメモをす ることはあるが、話 され るこ とはない。 しか し英語 は、教師 と学生 の共通の言語 とし て双方 によって使われている

トルコの学生 は、日本語

と トル コ語の文法が似ているため、日本語文法の理解は、

容易であると指摘 している

( 9) どのように評価するか。

‑ →この クラスでは、評価の基準 を定 めてはいない。授業 の初めにそれまでに知 っている表現 を使 って、自由に会 話す るときを持 ち、学生 の理解度、使 い方、発音などを

チェックす る

( 1 0 ) 学生の間違 いに対する対処の仕方 は。

‑学生が間違えたとき、ち ょっと待つなど して、学生 自 身 に気づかせ る

学生が自分で正す ことが出来ないとき のみ、教える

発音 の間違 いも含めて間違 いがそのまま

23 にされることはない。

2. 2 教科書使用後のクラス

前述 した よ うに教 科 書 は、Si t uat L ' onalFunc t i onal Ja pane s e のVol um one:Not e s とDr i l l s であ る

この 教科書 の大 きな目標 は、二つ挙 げ られて いる

それ は、

「 文法的な知識を過不足 な く提供す ること」 と 「コ ミュ ニケー シ ョン技能 をっ けること」 ( Ts ukubaLanguage Gr oup,1 9 9 2) である

学生 には、二分冊 の うちの Not e s を事前 に自習 して くることが要求 され る 。Not e s は、モデル会話、単語 と 表現の説明、文法の説明 と練習、そ して文化的な説明 と 練習か らなっている

クラスでは、Dr i l l s に従 って練習が行 なわれ る

たとえば第二課の題 は、「 郵便局で」 で、教 師が、切 手、航空書簡、葉書、お金などを用意 し、実際にや り取

りしなが らクラスは、進め られた。

教科書使用開始前の クラスと違 った ことは、教師の説 明が減 ったことが第一 に挙 げ られる

学生か ら質問が出 た場合 と練習のなかで理解不足が感 じられた場合に、教 師が説明を した。そのため英語の使用 も減 り、教師は、

練習のキューを与えた り、練習の後の応用で学生が自分 の文を作れるよう、 きっかけを作 り、学生が受身になる 場面が減 った。 この他

2.1

で検討 した十 のポイ ン トの うち、特 に後半の

(5)

か ら 仕 切までは、教科書を使 った ク ラスで も変わ りはない。

3. 日本語の学習動機を高めるために

学生 は特 に学習を始めてす ぐの時期 に、些細 なことで も一喜一憂 し、そのことが学習動機 を高めた り、逆 に低 めた りす る。例えば、電車の中で、「ど うぞ」 といった だけで、相手の日本人 に好感を持 たれた経験。逆 に研究 室で英語で事足 りて しまい、使 いた くて も使 えず、「日 本語が ここでどの程度必要か」疑問に思 ったこと

この クラスでは、学習動機 を高 く保つためにどのよ う なことが心がけられ、何が役に立 ったと考え られるだろ うか。

3.1 最 初 の一 ケ月 の役 割

日本語概観の期間 は、以下の点で評価で きる

(4)

2 4

( 1) 個々の学生が、一番最初 に知 らなければな らないこ と、例えば、それぞれが所属 しているところの名称や略 称 、長崎の地理、地名、を中心 に取 り上げて授業を組み 立て られる。

( 2 ) 遅れて加わ った学生 を受 け入れやすい。初めか らい る学生が新 しい学生のために学習進度が遅れたと感 じた り、繰 り返 しが増えす ぎたと感 じないよう、また、新 し い学生が、 クラスで取 り残 されないよ う、授業 の初めの 自由会話を活用 したり、練習の割 り振 りを工夫 しやすい。

このクラスでは、後か ら加わ った学生 に補講を したが、

は じめか らいた学生 に追 い付 くまでクラスに出 られない わけではな く、補講 と平行 して クラスにも参加す ること が出来 た

( 3) 自習が要求 されるのは、ひ らがなとカタカナを覚え ることだけで、予習 は、必要 とされな

い 。

余裕 を持 って 復習が出来 る

( 4) 教科書 を使 うようになってか らの理解を助 ける。日 本語 を全 く知 らずに教科書 の予習を して も理解できない ことも多いが、 この期間の蓄積 を持 って予習をす ること で、何が解 って、何が解 らないかがはっきりし、質問を 生む

質問があることは、クラスへの積極的な参加を生 む

3. 2 教科書使用の役割

( 1) それまでの理解を予習の段階で整理す ることが出来 る。自分の理解の程度が解 ると知 っていることと、知 ら ないことが はっきりし、次の学習へつながる。

( 2 ) クラス終了 までにどこまで学習す るかがはっきりす る

目指す ところが具体的に見えることは、学習意欲を 増す。

教科書 を手 に して しば らくしたとき学生 の一人が、一 通 り教科書 を読んだ ら大体理解で きることが解 ったか ら、

自分 に必要 なのは、語嚢を増やす ことと、所々にある、

あやふやな所を理解す ることだ といった。

( 3 ) 例文や豊富 な語嚢によって、学生の知識が広がる。

3.3 全体を通 して

日本 における日本語教育 は、クラスの中だけで行 なわ れ るのではな

い 。

クラスでの学習 と日常生活が切 り放 さ れた ものとな らないよう、生活に即 した題材や例文を選

び、習 った ことを実際に使 うよ う励 まし、また、どんな 会話が実際に出来たかを尋ねることが、特 に初期の段階 で学生の学習動機を高 く保たせ るのに役立つ

また、学 生が新 しい環境 に出来 るだけスムーズに適応できるよう、

相談 にのった り、話を聞いた り、援助す ることも、大切 だ と考え られる

日本での生活‑の適応が難 しいと日本 語の学習 に集中することも難 しくなる

4. お わ り に

このクラスの学生は、それぞれはっきりした目的を持 っ て長崎に来てお り、そのため、意欲的に日本語学習 に も 取 り組んでいる。

授業時間 は少ないが、例えば一年間 という滞在期間が 限 られていて、達成 したい目的がある学生 にとっては、

楽 しく余裕 を持 って学べる時間数だ と考え られる

教師 としては、学生が、期待を持 ってクラスに出席 し、

新 しく学んだ ことをはっきりと理解 して、満足 して クラ スを去 るよう今後 も授業内容、方法の吟味を行ないなが

ら、その改善を続 けていきたいと考えている

〔 参考文献〕

( 1) Lar s e n‑ Fr e e man,Di ane ( 1 9 86)Te c hni que san d pnnc i pl e si n l an gu a get e ac hi n g , Ne w Yor k:

0Ⅹf or dUni ve r s i t yPr e s s

( 2) 長崎大学外国人留学生指導セ ンター (1 992) 留学生 セ ンター日本語 コース受講 の手引

( 3) Ts ukubaLanguageGr oup ( 1 992) Si t u at i on al Fu nc t i oT WI

Jap

ane s e , Vol ume one: Not e s , Vol umeone:Dr i l l s ,教 師用 指 導 書 , Tokyo:

Bon j i ns ha

( 外国人留学生指導センター日本語 コース委嘱講師)

参照

関連したドキュメント

皿  国立国語研究所で現在行なっている新聞語い調査の第一段階プログラ

 本小論のささやかな論考ではこのような全般的な理解をすることは困難である。しかしなが

 ただ,ここで考えて幽きたいのは,これらの数少ない貴重な,努力の集積である自主編成教材が,教材

「統計」、「集合・条件・論理」などの知識が早期に

この よ うな教材的価値 の一方で、初級 の学習者 に とってはコン トロール され ていない 日 本語 の聴解 は困難 であるとい う理 由か ら映画、 ドラマ、アニメな

初 回の授業 の冒頭 では、学生 について知 りたい と思 う質 問事項 を盛 り込 んだ受講票 を配 布 し、その場 で記入 して もらった。学部 1年生対象 とい

初 めに述べたよ うに、大事に していたのは留 日同士の直接 の対話で、それ によって相互 作用 ・相乗効果 を期待 していたのだが、必ず しも期待通

 日本語研修コースは 2018 年9月に第 34 期生を送り出した。これまでに文部科学省からの配置学生 等