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Academic year: 2021

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論文内容要旨

論文題名:「在日中国人の出産・育児環境と医療者に対するニーズに関する研究」

所属領域:基礎・臨床・統合医療領域

氏名:昭和大学大学院保健医療学研究科 博士前期課程 川上 慧美

内容要旨

背景:平成 29 年在日中国人は 70 万人を超え、今後日本で出産・育児を経験する在日中国人がさ らに増加することが考えられる。

目的:在日中国人夫婦が日本で出産・育児期を経験し、医療関係者と関わる上で感じた周産期看 護に対するニーズを明らかにすることを目的とした。

方法:研究デザインは質的記述的研究である。スノーボールサンプリング法にて選定された在日 中国人夫婦 10 組に半構造的面接を実施し、逐語録を作成した。その後、カテゴリー化し、分娩 期、産後入院期、1 か月までの 3 つの時期において分析を行った。研究期間は 2018 年 7 月から 12 月であり、昭和大学保健医療学部倫理委員会の承認を受け実施した(第 441 号)。

結果:在日中国人夫婦が感じた周産期医療のニーズを 3 つの時期において分析した結果、分娩期 の医療者に対するニーズは、30 コード、サブカテゴリー23、11 つのカテゴリーで構成されてい た。ニーズに関する主軸の要素は、『分娩時の環境づくり』『継続してほしい充実したケア』、『現 状に対する課題』『分娩時の要望』『夫婦の相違』の 5 つであった。産後入院期の医療者に対する ニーズでは、29 コード、サブカテゴリー26、10 つのカテゴリーで構成されていた。ニーズに関 する主軸の要素は、『文化を配慮した環境づくり』『継続してほしい充実したケア』『現状に対す る課題』『産後の要望』『夫婦の相違』の 5 つであった。退院後 1 か月の医療者に対するニーズは、

22 コード、サブカテゴリー13、6 つのカテゴリーで構成されていた。ニーズに関する主軸の要素 は、『現状に対する課題』『産後のサポートに関する要望』『文化を配慮した関わり』の 3 つであ った。3 つ時期の概念で共通にみられたものは主軸の『現状に対する課題』であり、説明の不足 や不十分なケアが存在した。分娩期と産後入院期で主軸の『夫婦の相違』存在したが 1 か月では なかった。さらに、文化的な主軸では、入院期で出現し退院後 1 か月には、『新たな中国と日本 の文化』へと変化していった。

考察:『現状に対する課題』が 3 つの時期に共通されていたことは、出産は非日常であり、育児 も大変不安が多く、異国でなくともストレスフルな状態にある。言語的な問題により、指導等で 充実した援助を提供されなかったことが考えられる。さらに、『夫婦の相違』が 1 か月まで存在 しないことは、夫婦・家族で育児を行うことで、互いの育児内容や役割が把握できるようになっ たことが考えられた。また、文化的な主軸は、中国と日本の文化の狭間で試行錯誤しながら育児 を行っていたにも関わらず、退院後は実父母や義父母の中国の文化的育児観との間で、新たな混 乱が生じていることが示唆された。よって、医療者は、夫婦の育児に対する思いを尊重しながら、

実父母・義父母の家族も対象に、退院後の混乱の軽減に努める必要がある。

結語:在日中国人夫婦は、言語だけでなく、2 つの文化の狭間で試行錯誤しながら、育児を行っ ていた。医療者は祖国の文化を考慮し、妊娠中から家族への指導や充実した説明が必要である。

参照

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