国営公園整備の変遷にみる発展に関する研究
A Study on the Development Process of National Government Parks in Japan
東京農業大学大学院農学研究科環境共生学専攻
序 章 1 Ⅰ.研究の位置づけ 1 1.研究の背景 2 2.研究の目的 4 Ⅱ.論文の構成と研究方法 5 1.論文の構成 5 2.各章の研究方法 7 第1章 国営公園の発祥と整備の変遷 11 Ⅰ 国営公園の発祥 11 1.公園緑地と国民の要望 11 2.終戦後の国整備の国民公園 11 Ⅱ 国の整備による都市内オープンスペース 13 1. 昭和 38 年の閣議決定による霞ヶ関公園,北の丸公園 13 (1)霞ヶ関公園 13 (2)北の丸公園 13 2.国営公園の制度化 13 Ⅲ 国営公園の整備と時代背景 15 1.国営公園整備の時代区分 15 (1)終戦からの復興期 15 (2)高度経済成長と環境意識の形成期 17 (3)広域レクリエーション活動の高揚期 17 (4)国民生活の安定期 20 (5)国民生活の成熟期 20 Ⅳ 国営公園整備のあゆみ 22 第 2 章 国 営 公 園 整 備 の 進 捗 と 利 用 者 の 動 態 27 Ⅰ 公園利用者の生活変化と国営公園整備 27 Ⅱ 予算と供用面積の推移 27 1.都市公園関連予算と国営公園整備費 27 2.国営公園予算と供用面積 31 Ⅲ 供用面積と有料入園者数 33 Ⅳ 有料入園者数と一人当たり国民所得 38 Ⅴ 国営公園整備の進捗と利用者の動態 40 1.国営公園予算と供用面積 40 2.入園者数と供用面積 41 3.有料入園者数と一人当たり国民所得 42 4.国営公園整備と利用者増加の関係性 44 ⅰ
第 3 章 人 口 減 少 期 の 到 来 と 国 営 公 園 整 備 の 展 望 47 Ⅰ 人口減少期の到来と国営公園整備 47 Ⅱ 全体入園者数と有料入園者数の動向 47 1.全体入園者数と有料入園者数 47 (1)全体入園者数の動向 47 (2)有料入園者の動向 50 2.有料入園者数における小中学生入園者数割合 51 3.有料入園者数における高齢者数割合 51 4.レクリエーション目的の多様化 55 Ⅲ 国営公園の利用者動向と整備の展望 56 1.有料入園者数のうち小中学生入園者数の動向 56 2.有料入園者数のうち高齢者数の動向 57 3.国営公園整備とレクリエーションの多様化 58 4.人口動態を踏まえた国営公園整備の展望 58 第 4 章 国 営 公 園 運 営 に お け る 新 し い 運 営 維 持 管 理 形 態 の 導 入 61 Ⅰ 国営公園における運営形態 61 1.運営形態の変遷 61 Ⅱ 新たな運営維持管理形態 61 1.競争性のある選定手続き導入の背景 61 (1)国営東京臨海広域防災公園の概要 62 2.運営維持管理業務における「市場化テスト」の特徴 62 (1)包括的な質の設定 62 (2)個別業務の質の設定 63 (3)評価項目 63 (4)モニタリング方法 63 3.「市場化テスト」の概要 66 (1)事業者の選定手続き 66 (2)運営維持管理業務への新たな参加者 67 ①入札経緯の概要 67 ②業務参加者の実態 70 Ⅲ 新たな運営維持管理導入の成果と将来展望 71 1.運営維持管理事業の導入成果 71 (1)市場化テスト導入の成果 71 (2)競争性のある選定手続き導入による今後の課題 71 2.民間事業者参入による運営維持管理の将来展望 72 ⅱ
終章 結論 73 Ⅰ 国営公園整備の国民ニーズへの対応 73 (1)国が保持すべき直接的な都市内のオープンスペース整備 73 (2)国民から選択される社会資本に向けての対応 74 (3)人口減少期到来を踏まえた国営公園整備の対応 75 (4)国民ニーズに対応する運営維持管理 76 Ⅱ 国営公園整備の将来展望 78 Ⅲ まとめ 80 謝辞 引用・参考文献及び補注 84 Summary 87 ⅲ
1 序 章 Ⅰ . 研 究 の 位 置 づ け 本 研 究 は , 我 が 国 が 直 接 整 備 す る 都 市 公 園 「 国 営 公 園 」 に つ い て , こ れ ま で の 整 備 の 変 遷 を 辿 り , 現 在 ま で に 発 展 し て き た 過 程 を 研 究 し た も の で あ る 。 こ れ ま で 国 営 公 園 は 時 代 の 要 請 に 応 え て き て お り , 今 後 も 時 代 の 要 請 に 対 応 す る こ と に よ り , 国 に と っ て 必 要 な 事 業 で あ る こ と を 明 ら か に し よ う と す る も の で あ る 。 第 二 次 世 界 大 戦 後 , 我 が 国 が 経 済 的 発 展 を 遂 げ , 都 市 構 造 が 変 化 し , 国 民 の 生 活 様 式 は 大 き く 変 化 し て き た 。 現 在 , 我 々 多 く の 国 民 が 経 済 性 や 効 率 性 を 優 先 さ せ た 都 市 構 造 の 中 で 生 活 し て い る 。 こ う し た 社 会 状 況 や 生 活 の 変 化 の 中 で , 都 市 に お け る オ ー プ ン ス ペ ー ス を は じ め 緑 は 減 少 し て き て お り , そ れ に 対 し て , 行 政 は 様 々 な 制 度 を 構 築 し て き て い る 。 都 市 に お け る 緑 の 創 出 ・ 保 全 制 度 と し て , 土 地 の 権 原 を 取 得 し 設 置 す る 都 市 公 園 や 既 存 緑 地 に 一 定 の 行 為 規 制 を 行 う 地 域 制 緑 地 等 が 挙 げ ら れ る 。 様 々 な 制 度 の う ち , 緑 や オ ー プ ン ス ペ ー ス と し て の 担 保 性 が 高 い 都 市 公 園 制 度 に よ り 都 市 公 園 が 戦 後 , 増 加 し て き た 「 時 代 」 に つ い て , 適 切 な 評 価 を す べ き と 考 え て い る 。 し か し , 現 在 に お い て も 都 市 に よ っ て は 量 的 な 不 足 , 現 状 の ラ イ フ ス タ イ ル に 適 合 し て い な い 公 園 の 用 途 や 設 計 , 施 設 の 老 朽 化 等 , 個 別 の 地 域 , 個 々 の 公 園 で は 様 々 な 問 題 が 発 生 し , 公 園 利 用 者 の 要 求 に 対 応 し き れ て い な い 面 も あ る 。 そ う し た 都 市 公 園 制 度 の う ち 国 が 直 接 , 土 地 の 権 原 を 取 得 し て 整 備 を 行 う 国 営 公 園 制 度 は , 明 治 期 の 都 市 公 園 の 発 祥 に 始 ま っ た も の で は な く , 昭 和 2 0 ( 1 9 4 5 ) 年 の 第 2 次 世 界 大 戦 後 , い く つ か の 事 柄 を 国 と し て 解 決 す る 必 要 が 生 じ , そ の 解 決 方 法 を 制 度 化 し , そ の 後 , 時 代 の 変 化 に 適 切 に 対 応 し て , 現 在 の 制 度 と な っ て い る 。 こ う し た 国 が 直 接 , 都 市 内 に 整 備 す る オ ー プ ン ス ペ ー ス は , 当 初 , 内 閣 総 理 大 臣 が 関 与 す る 委 員 会 等 で 整 備 内 容 が 検 討 さ れ て い た 時 期 も あ っ た が , 制 度 化 と と も に 有 識 者 等 か ら 幅 広 く 意 見 を 聴 取 す る 方 法 等 に よ り 国 民 生 活 の 変 化 , 地 域 事 情 等 , 利 用 者 ニ ー ズ を 汲 み 上 げ る 仕 組 み を 構 築 し , 自 然 公 園 で あ る 国 立 公 園 の よ う に 法 律 で 定 め ら れ た 審 議 会 を 用 い る 仕 組 み と は 異 な っ て い る 。 一 方 で , 近 年 , 国 営 公 園 の 運 営 維 持 管 理 方 法 に つ い て も 利 用 者 で あ る 国 民 側 の ニ ー ズ を よ り 取 り 込 む 競 争 性 の あ る 事 業 者 選 択 方 法 に 変 化 し て お り , 国 民 生 活 の 変 化 に 対 応 し , よ り 利 用 者 側 に 立 脚 し た 整 備 や 管 理 と な っ て き て い る 。 し か し , 我 が 国 の 人 口 構 成 も 変 化 し , 少 子 高 齢 が 進 行 し , 人 口 減 少 と な
2 る こ と が 確 実 と さ れ て い る 時 代 と な り , こ れ ま で 整 備 し て き た 社 会 資 本 の 維 持 管 理 に つ い て , 限 ら れ た 公 共 事 業 予 算 の 中 で , ど の よ う に 維 持 管 理 を 行 っ て い く べ き か 課 題 と な っ て い る 。 ま た , 経 済 情 勢 に よ り 国 民 所 得 が 減 少 ・ 停 滞 す る よ う な 社 会 状 況 が 変 化 し て い く 中 で 今 後 , 国 営 公 園 の 整 備 や 運 営 維 持 管 理 は ど う あ る べ き な の か 。 こ れ ま で の 約 半 世 紀 に 整 備 し て き た 国 営 公 園 は 国 民 や 社 会 の 要 求 に 応 え て き た の か , 国 と し て 実 施 す る 意 義 を 検 証 す る こ と に よ り 次 の 時 代 に 対 応 で き る 制 度 と し て い く 必 要 が あ る 。 1 . 研 究 の 背 景 国 が 整 備 す る 国 営 公 園 は , 一 の 都 府 県 の 区 域 を 超 え る よ う な 広 域 の 見 地 か ら 設 置 す る 都 市 計 画 施 設 で あ る 公 園 又 は 緑 地 , も し く は 国 家 的 な 記 念 事 業 や 我 が 国 固 有 の 優 れ た 文 化 的 資 産 の 保 存 及 び 活 用 を 図 る た め 閣 議 決 定 を 経 て 設 置 す る 都 市 計 画 施 設 で あ る 公 園 又 は 緑 地 で , 都 市 公 園 法 に 基 づ き 国 ( 国 土 交 通 大 臣 ) が 設 置 し て い る 都 市 公 園 で あ る 。 こ れ ま で に 国 営 公 園 は , 社 会 資 本 と し て 大 規 模 か つ 永 続 性 の あ る 公 園 緑 地 と し て 担 保 さ れ , 国 民 の レ ク リ エ ー シ ョ ン の 多 様 化1 )が 進 む 中 , 時 代 や 地 域 の ニ ー ズ に 呼 応 し て , 平 成 2 3 ( 2 0 1 1 ) 年 度 末 ま で に 全 国 で 1 7 公 園 , 3 , 0 2 4 h a が 整 備 さ れ て き た 。 国 営 公 園 全 体 の 入 園 者 数 は 平 成 2 1 ( 2 0 0 9 ) 年 度 に 3 , 3 8 5 万 人 と 過 去 最 高 と な っ た が , 平 成 2 3 ( 2 0 1 1 ) 年 度 末 に は 年 間 入 園 者 数 は 3 , 1 9 9 万 人2 )と な り 減 少 し て い る 。 こ れ ま で の 累 計 入 園 者 数 は , 6 億 2 , 3 4 6 万 人 と な っ て お り , 全 体 入 園 者 数 の 動 向 は 供 用 面 積 の 増 加 動 向 と 同 様 に 漸 増 の 傾 向 を 示 し て い た が , 平 成 2 2 ( 2 0 1 0 ) 年 度 以 降 は 入 園 者 数 の 漸 減 が み ら れ る 。 こ れ ま で に 多 く の 入 園 者 が 国 営 公 園 を 利 用 し て い る が , 国 営 公 園 事 業 を と り ま く 社 会 状 況 は 大 き く 変 化 し て い る 。 現 行 の 国 営 公 園 整 備 は , 昭 和 4 3 ( 1 9 6 8 ) 年 の 国 の 所 得 倍 増 計 画 等 に よ り 国 民 総 生 産 ( G N P ) が 世 界 第 2 位 と な っ た 年 か ら 始 ま る 。 こ う し た 経 済 成 長 に 支 え ら れ , 国 民 生 活 の 向 上 と と も に 国 営 公 園 整 備 が 進 め ら れ て き た 。 我 が 国 の 人 口 は , 平 成 2 2 ( 2 0 1 0 ) 年 の 国 勢 調 査 で は , 1 億 2 , 8 0 6 万 人3 )で あ っ た 。 こ の 調 査 で 0 ∼ 1 4 歳 の 年 少 人 口 よ り も 6 5 歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 の 多 い こ と が 明 確 と な り , い わ ゆ る 少 子 高 齢 社 会 の 到 来 が 現 実 の も の と な っ て き た 。 こ の 傾 向 は 今 後 も 続 き , 2 0 5 0 年 に は 9 , 7 0 0 万 人4 )ま で 人 口 は 減 少 す る こ と が 予 測 さ れ て い る 。 ま た , 我 が 国 に お け る 国 民 の 経 済 状 況 を 示 す 指 標 の 一 つ で あ る 「 一 人 当 た り 国 民 所 得 」 は , 平 成 9 ( 1 9 9 7 ) 年 度 の 3 0 3 . 2 万 円 5 ) を 最 高 に 平 成 3 ( 1 9 9 1 ) 年 度 か ら 平 成 1 9 ( 2 0 0 7 ) 年 度 ま で の 平 均 は 2 9 1 . 6 万 円 で あ り , 横 這
3 い で あ っ た 。 し か し , 平 成 2 0 ( 2 0 0 8 ) 年 9 月 の い わ ゆ る 「 リ ー マ ン ・ シ ョ ッ ク 」 後 , 下 降 し , 平 成 2 1 ( 2 0 0 9 ) 年 度 に は 2 6 6 . 0 万 円 と な っ た 。 こ う し た 人 口 減 少 や 所 得 の 変 化 の 中 で 平 成 2 4 ( 2 0 1 2 ) 年 に 内 閣 府 が 実 施 し た 「 国 民 生 活 に 関 す る 世 論 調 査 」 に お い て は ,「 こ れ か ら の 生 活 の 力 点 」 を ど の よ う な 面 に 最 も 力 を 入 れ た い と 考 え て い る か の 調 査 で は , 食 生 活 や 住 生 活 等 に 比 べ 「 レ ジ ャ ー ・ 余 暇 生 活 」 と す る 者 が 最 も 多 い 結 果 と な っ て お り , こ う し た レ ジ ャ ー ・ 余 暇 を 最 も 力 点 に 置 く 傾 向 が 1 0 年 以 上 続 い て お り , 国 民 の 人 口 減 少 と 高 齢 化 , 生 活 の 多 様 化 1 )が 進 ん で い る 。 一 方 , 公 共 事 業 を 取 り 巻 く 環 境 も 大 き く 変 化 し て い る 。 公 共 事 業 関 係 費 に つ い て 平 成 1 0 ( 1 9 9 8 ) 年 度 の 1 4 . 9 兆 円 を ピ ー ク に 下 降 傾 向 に あ り , 平 成 2 3 ( 2 0 1 1 ) 年 度 に は 6 . 2 兆 円6 )と な っ て い る 。 公 共 事 業 予 算 の 縮 減 傾 向 に あ わ せ , 国 営 公 園 整 備 費 に お い て も 平 成 1 5 ( 2 0 0 3 ) 年 度 の 2 9 5 億 円 か ら , 平 成 2 4 ( 2 0 1 2 ) 年 度 予 算 で は 1 2 8 億 円 と 減 少7 )し て お り , 国 の 社 会 資 本 整 備 に か け る 予 算 の 急 速 な 縮 減 が み ら れ る 状 況 と な っ て い る 。 平 成 2 2 ( 2 0 1 0 ) 年 度 以 降 , 個 別 の 事 業 ご と に 国 が 支 援 し て い た 地 方 公 共 団 体 が 実 施 す る 社 会 資 本 整 備 に つ い て , 国 庫 補 助 金 か ら 地 方 公 共 団 体 の 自 由 度 が 高 い 交 付 金 へ 制 度 が 変 更 さ れ た 。 こ の こ と に よ り , 国 の 都 市 公 園 関 連 予 算 の 枠 組 み が 大 き く 変 わ る こ と8 )と な り , 国 が 都 市 公 園 を は じ め と す る み ど り 政 策 へ 投 資 す る 予 算 に つ い て , 国 営 公 園 の 整 備 に 支 出 す る 割 合 を 直 接 的 に 把 握 で き な く な っ た 。 我 が 国 の 都 市 公 園 政 策 に お け る 国 営 公 園 施 策 の 効 果 を 継 続 的 に 検 証 す る 上 で 問 題 を 生 じ さ せ て い る 。 さ ら に , 公 共 施 設 の 維 持 管 理 事 業 者 の 選 定 手 続 き に 競 争 が 導 入 さ れ る 。 平 成 1 8 ( 2 0 0 6 ) 年 6 月 に は , 内 閣 官 房 の 公 共 調 達 の 適 正 化 に 関 す る 関 係 省 庁 連 絡 会 議 「 公 益 法 人 等 と の 随 意 契 約 の 適 正 化 に つ い て 」( 平 成 1 8 年 6 月 1 3 日 ) に よ り , こ れ ま で の 契 約 方 法 を 見 直 す こ と と な り , 国 営 公 園 の 運 営 維 持 管 理 業 務 の 契 約 手 続 き の 改 善 を 図 る こ と と な っ た 。 そ の 後 , 「 公 共 サ ー ビ ス 改 革 基 本 方 針 」 ( 平 成 1 8 年 1 2 月 2 2 日 閣 議 決 定 ) に お い て , 民 間 競 争 入 札 ( い わ ゆ る 市 場 化 テ ス ト ) の 対 象 と し て 検 討 す る こ と と さ れ ,「 競 争 の 導 入 に よ る 公 共 サ ー ビ ス の 改 革 に 関 す る 法 律 」 ( 以 下 ,「 公 共 サ ー ビ ス 改 革 法 」 と い う ) に 基 づ く 民 間 競 争 入 札 の 手 続 き に よ り 平 成 2 0 年 度 に は 技 術 評 価 と 価 格 競 争 を 組 み 合 わ せ た 総 合 評 価 方 式 一 般 競 争 入 札 を 導 入 す る こ と と さ れ た 。 昭 和 4 9 ( 1 9 7 4 ) 年 度 か ら 実 施 し て い た 競 争 性 の な い 選 定 方 法 か ら 競 争 性 の あ る 選 定 方 法 に 移 行 し , 国 営 公 園 の 運 営 維 持 管 理 の 方 法 に 大 き な 変 更 が み ら れ る よ う に な っ た 。 国 と 地 方 公 共 団 体 と の 関 係 は , 平 成 7 ( 1 9 9 5 ) 年 5 月 の 地 方 分 権 推 進 法 制 定 に み ら れ る よ う に , 国 及 び 地 方 公 共 団 体 が 分 担 す べ き 役 割 の 明 確 化 や 地
4 方 公 共 団 体 の 自 主 性 及 び 自 立 性 を 高 め , 個 性 豊 か で 活 力 に 満 ち た 地 域 社 会 の 実 現 を 図 ろ う と す る 地 方 分 権 が 進 展 し て い る 。 特 に 平 成 2 2 ( 2 0 1 0 ) 年 1 2 月 2 8 日 に 閣 議 決 定 さ れ た 「 ア ク シ ョ ン ・ プ ラ ン ∼ 出 先 機 関 の 原 則 廃 止 に 向 け て ∼ 」 に よ る と , 国 の 出 先 機 関 の 事 務 に つ い て ,「 地 方 自 治 体 の 意 見 ・ 要 望 を 踏 ま え , 事 務 ・ 権 限 の 移 譲 を 積 極 的 に 行 う 」9 )こ と と さ れ , 国 と 地 方 公 共 団 体 が 実 施 す る 様 々 な 公 園 事 業 に 関 し , ど ち ら が 担 う べ き か の 役 割 分 担 に つ い て の , 政 策 的 課 題 が 浮 か び 上 が っ て き て い る 。 こ う し た 社 会 背 景 の 中 で 戦 後 か ら 連 綿 と 続 く 国 が 直 接 , 都 市 内 に お い て 公 園 の 整 備 を 行 う 事 業 手 法 す な わ ち 国 営 公 園 事 業 は 大 き な 転 換 時 期 と な っ て い る と 考 え ら れ る 。 国 営 公 園 事 業 の 将 来 展 望 に つ い て は , こ れ ま で 充 分 な 考 察 は な さ れ て お ら ず , 今 後 , 整 備 予 算 が 減 少 し て い く 中 で 国 営 公 園 内 の 施 設 リ ニ ュ ー ア ル ( 再 整 備 ) や 民 間 事 業 者 が 参 入 す る 運 営 維 持 管 理 の 施 策 を 行 っ て い く 上 で , 施 策 の 優 先 順 位 を 検 討 し て い く た め の 知 見 が 不 足 し て い る 。 2 . 研 究 の 目 的 本 研 究 は , 人 口 減 少 , 国 民 所 得 の 変 化 , レ ク リ エ ー シ ョ ン の 多 様 化 , 公 共 事 業 予 算 の 減 少 , 地 方 分 権 の 進 展 , 競 争 に よ る 事 業 者 選 定 等 の 社 会 状 況 の 変 化 を 踏 ま え , こ れ ま で の 国 営 公 園 整 備 ス ト ッ ク に つ い て , 変 遷 を 辿 り , そ の 過 程 を 通 観 し , 整 理 す る こ と で , 第 一 に 国 営 公 園 の 多 様 な レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要1 0 )へ の 対 応 や 歴 史 的 ・ 文 化 的 資 源 を 保 全 利 用1 1 )す る と い っ た 国 営 公 園 の 持 つ 機 能 が , そ の 整 備 し た 時 代 の 社 会 的 要 請 や 国 民 ニ ー ズ に 対 し て , 適 切 に 対 応 し て き た か 明 ら か に し よ う と す る も の で あ る 。 第 二 に 国 が 都 市 内 に 直 接 オ ー プ ン ス ペ ー ス を 整 備 ・ 管 理 す る 手 法 を 引 き 続 き , 保 持 す る こ と が オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 を 主 体 と し た 様 々 な 国 の 政 策 実 現 に 必 要 で あ り , 今 後 も 保 持 す べ き 手 法 の 一 つ で あ る こ と を 明 ら か に し よ う と す る も の で あ る 。 第 三 に 近 年 実 施 さ れ て い る 運 営 維 持 管 理 の 動 向 を 踏 ま え , 国 営 公 園 事 業 が 国 民 ニ ー ズ に 適 切 に 対 応 し て い く た め の 課 題 を 明 ら か に し , 今 後 対 応 す べ き 運 営 維 持 管 理 業 務 の 改 善 方 向 性 の 示 唆 を 得 よ う と す る も の で あ る 。 こ れ ら に よ り 国 営 公 園 事 業 の 将 来 展 望 を 行 い , 人 口 減 少 の 時 代 へ 向 け て 今 後 対 応 す べ き 国 営 公 園 整 備 の 方 向 性 に つ い て の 示 唆 を 得 る こ と を 目 的 と し て い る 。
5 Ⅱ . 論 文 の 構 成 と 研 究 方 法 1 . 論 文 の 構 成 本 研 究 は , 戦 後 の 国 に よ る 直 接 的 な 都 市 内 の オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 で あ る 国 民 公 園 整 備 か ら 国 営 公 園 整 備 へ の 変 遷 に つ い て , 分 析 し , 類 型 化 を 行 い , 予 算 や 入 園 者 数 の 推 移 等 に よ り 時 代 の ニ ー ズ へ 対 応 し て き た 国 営 公 園 事 業 の 将 来 を 展 望 し , 人 口 減 少 の 時 代 へ 向 け て 今 後 対 応 す べ き 国 営 公 園 整 備 の 方 向 性 に つ い て の 示 唆 を 得 よ う と す る も の で あ る 。 論 文 は 図 1 に 示 す と お り , 序 章 , 第 1 章 , 第 2 章 , 第 3 章 , 第 4 章 及 び 終 章 か ら 構 成 さ れ て い る 。 第 1 章 で は , 戦 後 の 国 に よ る 都 市 部 に お け る 直 接 的 な 公 園 整 備 事 業 に つ い て , 閣 議 決 定 等 の 国 の 方 針 決 定 , 法 令 等 の 制 定 状 況 , 都 市 計 画 法 上 の 都 市 計 画 決 定 , 都 市 公 園 法 上 の 設 置 す べ き 区 域 の 設 定 ・ 供 用 告 示 の 一 連 の 変 遷 を 振 り 返 り , そ の 過 程 を 通 観 し て 整 理 を 行 い 考 察 し た 。 国 の 方 針 決 定 , 法 令 制 定 , 整 備 状 況 に つ い て , こ れ ま で の 法 制 度 上 の 分 類 で は な く , ① 社 会 背 景 , ② 公 園 区 域 設 定 ・ 整 備 形 態 の 変 遷 , ③ 公 園 毎 の 基 本 方 針 ・ 基 本 計 画 ( 以 下 ,「 基 本 方 針 等 」 と い う ) の 策 定 主 体 の 変 遷 の 観 点 か ら 通 観 し た 。 通 観 に あ た り 国 が 直 接 的 に 整 備 し て き た 都 市 内 オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 に お け る 変 化 の 特 徴 を 抽 出 し , 整 備 事 業 の 整 理 を 行 い , 様 々 な 事 象 に 対 応 し , 発 展 し て き た 過 程 に つ い て 時 代 ご と の 類 型 化 を 行 い 考 察 し た 。 第 2 章 で は , こ れ ま で の 都 市 公 園 関 連 予 算 の 中 で の 国 営 公 園 整 備 費 の 推 移 を 踏 ま え , こ れ ま で 供 用 さ れ た 国 営 公 園 に お い て 正 確 に 把 握 す る こ と が で き る 入 園 料 を 支 払 っ て い る 入 園 者 ( 以 下 , 有 料 入 園 者 と い う ) の 数 に 着 目 し , 有 料 入 園 者 数 と 国 営 公 園 の 供 用 面 積 及 び 国 の 豊 か さ を 示 す 経 済 指 標 で あ る 一 人 当 た り 国 民 所 得 の 推 移 を 比 較 し , 分 析 を 行 う 。 ま た , 国 営 公 園 の 多 様 な レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要 1 0 )や 歴 史 的 ・ 文 化 的 資 源 を 保 全 利 用 1 1 )す る と い っ た 国 民 の ニ ー ズ へ 適 切 に 対 応 し , 一 定 の 整 備 効 果 の あ っ た こ と を 明 ら か に す る と と も に , 整 備 効 果 が 十 分 に 発 揮 さ れ て い な い 点 に つ い て も 考 察 を 行 っ た 。 さ ら に , 近 年 の 国 営 公 園 入 園 者 数 の 減 少 に つ い て , 少 子 高 齢 社 会 や 一 人 当 た り 国 民 所 得 の 減 少 に よ る 事 象 で あ る の か , あ る い は 国 営 公 園 の 整 備 内 容 が 国 民 の ニ ー ズ と 乖 離 し は じ め て い る こ と に よ る も の で あ る の か を 考 察 し た 。 第 3 章 で は , 現 在 の 少 子 高 齢 社 会 か ら こ れ か ら 迎 え る 人 口 減 少 社 会 を 見 据 え て , 我 が 国 の 人 口 動 態 を 踏 ま え つ つ , こ れ ま で の 国 営 公 園 有 料 入 園 者 の う ち 「 小 人 」 料 金 を 支 払 っ て い る 小 中 学 生 の 動 向 に つ い て 整 理 を 行 っ た 。 小 中 学 生 の 動 向 を 明 ら か に す る こ と で , 人 口 減 少 の 時 代 へ 向 け て 今 後 対 応
6 序 章 Ⅰ 研 究 の 位 置 づ け Ⅱ 論 文 の 構 成 と 研 究 方 法 第 1 章 国 営 公 園 の 発 祥 と 整 備 の 変 遷 Ⅰ 国 営 公 園 の 発 祥 Ⅱ 国 の 整 備 に よ る 都 市 内 オ ー プ ン ス ペ ー ス Ⅲ 国 営 公 園 の 整 備 と 時 代 背 景 Ⅳ 国 営 公 園 整 備 の あ ゆ み 第 2 章 国 営 公 園 整 備 の 進 捗 と 利 用 者 の 動 態 Ⅰ 公 園 利 用 者 の 生 活 変 化 と 国 営 公 園 整 備 Ⅱ 予 算 と 供 用 面 積 の 推 移 Ⅲ 供 用 面 積 と 有 料 入 園 者 数 Ⅳ 有 料 入 園 者 数 と 一 人 当 た り 国 民 所 得 Ⅴ 国 営 公 園 整 備 の 進 捗 と 利 用 者 の 動 態 第 3 章 人 口 減 少 期 の 到 来 と 国 営 公 園 整 備 の 展 望 Ⅰ 人 口 減 少 期 の 到 来 と 国 営 公 園 整 備 Ⅱ 全 体 入 園 者 数 と 有 料 入 園 者 数 の 動 向 Ⅲ 国 営 公 園 の 利 用 者 動 向 と 整 備 の 展 望 第 4 章 国 営 公 園 運 営 に お け る 新 し い 運 営 維 持 管 理 形 態 の 導 入 Ⅰ 国 営 公 園 に お け る 運 営 形 態 Ⅱ 新 た な 運 営 維 持 管 理 形 態 Ⅲ 新 た な 運 営 維 持 管 理 導 入 の 成 果 と 将 来 展 望 終 章 Ⅰ 国 営 公 園 整 備 の 国 民 ニ ー ズ へ の 対 応 Ⅱ 国 営 公 園 整 備 の 将 来 展 望 Ⅲ ま と め 図 1 論 文 の 構 成
7 す べ き 国 営 公 園 整 備 の 方 向 性 や こ れ ま で 十 分 に 施 策 の 効 果 が 発 揮 さ れ て い な い 点 に つ い て 考 察 し た 。 第 4 章 で は , 平 成 1 8 ( 2 0 0 6 ) 年 6 月 に 内 閣 官 房 の 公 共 調 達 の 適 正 化 に 関 す る 関 係 省 庁 連 絡 会 議 「 公 益 法 人 等 と の 随 意 契 約 の 適 正 化 に つ い て 」( 平 成 1 8 年 6 月 1 3 日 ) に お い て , こ れ ま で の 契 約 方 法 を 見 直 す こ と と な り , 国 営 公 園 の 維 持 管 理 業 務 の 契 約 手 続 き の 改 善 を 図 る こ と と な っ た 。 こ れ を 契 機 に 公 共 サ ー ビ ス 改 革 法 に 基 づ く 民 間 競 争 入 札 の 手 続 き , い わ ゆ る 「 市 場 化 テ ス ト 」 に よ り 進 め ら れ る こ と と な っ た 東 京 都 江 東 区 に 整 備 し た 国 営 東 京 臨 海 広 域 防 災 公 園 の 運 営 維 持 管 理 業 務 の 契 約 手 続 き を 事 例 と し て , 「 市 場 化 テ ス ト 」 経 緯 と 一 連 の 手 続 き の 中 で 顕 在 化 し た 技 術 的 な 課 題 に つ い て 考 察 し た 。 終 章 で は , こ れ ま で の 国 営 公 園 整 備 が そ の 時 代 の 国 民 ニ ー ズ へ 対 応 し て き た こ と , 国 営 公 園 整 備 及 び 運 営 維 持 管 理 の 今 後 の 方 向 性 に つ い て , ど う あ る べ き か に つ い て , 考 察 し , 将 来 へ の 展 望 と し て 示 し た 。 な お , 本 研 究 で 用 い る 言 葉 に つ い て は 以 下 の よ う な 考 え 方 に よ り 用 い て い る 。「 国 営 公 園 整 備 」 は , 国 土 交 通 省 の 予 算 上 で , 国 営 公 園 整 備 費 に よ り 執 行 す る 公 園 整 備 に 必 要 な 調 査 , 研 究 , 工 事 な ど の 事 業 を 指 し て い る 。 し か し , 本 研 究 に お い て は , そ れ に 加 え 将 来 的 な 施 設 更 新 や 再 整 備 ( リ ニ ュ ー ア ル ) の 概 念 を 含 ん で 用 い て い る 。 「 国 営 公 園 運 営 維 持 管 理 」 は , 国 土 交 通 省 の 予 算 上 で , 整 備 さ れ た 公 園 維 持 し て い く た め に 必 要 な 工 事 , 業 務 な ど で 国 営 公 園 維 持 管 理 費 に よ り 執 行 す る 事 業 を 指 し て い る 。 し か し , 本 研 究 に お い て は , そ れ の 中 か ら 国 営 公 園 整 備 の 概 念 を 除 い て 用 い て い る 。 な お ,「 国 営 公 園 運 営 維 持 管 理 業 務 」 は , 維 持 管 理 費 か ら 支 出 さ れ て お り , 民 間 事 業 者 が 実 施 す る 業 務 を 指 し て 用 い て い る 。「 国 営 公 園 事 業 」 は , 国 営 公 園 整 備 及 び 国 営 公 園 維 持 管 理 を 合 わ せ た 国 営 公 園 に お け る 全 て の 事 業 を 指 し て 用 い て い る 。 2 . 各 章 の 研 究 方 法 第 1 章 で は , 戦 後 , 国 に よ る 直 接 的 な 都 市 内 の オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 に つ い て , 閣 議 決 定 等 の 国 の 方 針 決 定 , 法 令 等 の 制 定 状 況 , 都 市 計 画 法 上 の 都 市 計 画 決 定 , 都 市 公 園 法 上 の 設 置 す べ き 区 域 の 設 定 ・ 供 用 告 示 の 一 連 の 変 遷 に つ い て , 公 園 に 関 す る 法 令 等 か ら 調 査 し , 一 覧 化 し た 。 こ れ に よ り , 国 の 方 針 決 定 , 法 令 制 定 , 整 備 状 況 に つ い て , こ れ ま で の 法 制 度 上 の 分 類 で は な く , ① 社 会 背 景 , ② 公 園 区 域 設 定 ・ 整 備 形 態 の 変 遷 , ③ 公 園 毎 の 基 本 方 針 等 の 策 定 主 体 の 変 遷 の 観 点 か ら 通 観 し た 。 通 観 に あ た り 国 が 直 接 的 に 整 備 し て き た 都 市 内 オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 に お け る 変
8 化 の 特 徴 を 抽 出 し , 整 備 事 業 の 類 型 化 を 行 い , 様 々 な 事 象 に 対 応 し , 発 展 し て き た 過 程 に つ い て 時 代 ご と の 類 型 化 を 行 い 考 察 し た 。 第 2 章 で は , 我 が 国 に お け る , 国 営 公 園 整 備 着 手 時 か ら 現 在 ま で の 都 市 公 園 関 連 予 算 及 び 国 営 公 園 整 備 予 算 に つ い て 推 移 を 文 献 等 か ら 把 握 し , こ れ ま で に 要 し た 国 営 公 園 整 備 費 と 供 用 面 積 を 確 認 し た 。 併 せ て , こ れ ま で の 国 営 公 園 整 備 の 過 程 に お け る 国 営 公 園 全 体 の 入 園 者 数 及 び 有 料 入 園 者 数 の 割 合 と 推 移 に つ い て , 主 と し て ( 財 ) 公 園 緑 地 管 理 財 団 が 昭 和 5 7 ( 1 9 8 2 ) 年 か ら 平 成 2 1 ( 2 0 0 9 ) 年 ま で 各 年 発 行 し て い た 「 国 営 公 園 管 理 の 概 要 」 1 2 ) 1 3 )か ら 抽 出 し , 調 査 ・ 分 析 を 行 う 。 さ ら に , 平 成 2 2 ( 2 0 1 0 ) 年 よ り 「 国 営 公 園 管 理 の 概 要 」 と し て 全 国 国 営 公 園 の 利 用 状 況 総 括 が 行 わ れ な く な っ た こ と に よ り , 平 成 2 1 ( 2 0 0 9 ) 年 度 以 降 の 有 料 入 園 者 数 は , こ れ ま で の 国 営 公 園 全 体 の 入 園 者 数 と 有 料 入 園 者 数 を 基 に 推 計 す る こ と で , 補 足 し た 。 こ れ ら に よ り , こ れ ま で の 都 市 公 園 関 連 予 算 の 中 で の 国 営 公 園 整 備 費 の 推 移 を 踏 ま え , こ れ ま で 供 用 さ れ た 国 営 公 園 に お い て 正 確 に 把 握 す る こ と が で き る 有 料 入 園 者 の 数 に 着 目 し , 有 料 入 園 者 数 と 国 営 公 園 の 供 用 面 積 及 び 国 の 豊 か さ を 示 す 経 済 指 標 で あ る 一 人 当 た り 国 民 所 得 の 推 移 を 比 較 し , 分 析 を 行 っ た 。 ま た , 国 営 公 園 の 多 様 な レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要 1 0 )や 歴 史 的 ・ 文 化 的 資 源 を 保 全 利 用 1 1 )す る と い っ た 国 民 の ニ ー ズ へ 適 切 に 対 応 し , 一 定 の 整 備 効 果 の あ っ た こ と を 明 ら か に す る と と も に , 整 備 効 果 が 十 分 に 発 揮 さ れ て い な い 点 に つ い て も 考 察 し た 。 さ ら に , 近 年 の 国 営 公 園 入 園 者 数 の 減 少 に つ い て , 少 子 高 齢 社 会 や 一 人 当 た り 国 民 所 得 の 減 少 に よ る 事 象 で あ る の か , あ る い は 国 営 公 園 の 整 備 内 容 が 国 民 の ニ ー ズ と 乖 離 し は じ め て い る こ と に よ る も の で あ る の か を 考 察 し た 。 こ れ ら の 有 料 入 園 者 数 を 中 心 と し て , こ れ ま で の 供 用 面 積 の 推 移 と 一 人 当 た り 国 民 所 得 と の 関 係 , さ ら に 国 民 の 余 暇 活 動 と の 関 係 に つ い て 考 察 し た 。 第 3 章 で は , 我 が 国 の 人 口 推 移 と こ れ ま で の 国 営 公 園 整 備 の 推 移 を 比 較 し つ つ , 有 料 入 園 者 の 動 向 に つ い て 分 析 し た 。「 大 人 」「 小 人 」 の 区 別 が 明 確 と な っ て い る 有 料 入 園 者 数 に 着 目 し ,「 小 人 料 金 」 を 支 払 う 小 学 生 及 び 中 学 生 の 入 園 者 ( 以 下 , 小 人 入 園 者 と い う ) 数 の 推 移 と 我 が 国 の 小 中 学 生 の 人 口 推 移 と 比 較 し つ つ , 国 営 公 園 に お け る 小 中 学 生 の 利 用 推 移 に つ い て 分 析 し , 国 営 公 園 に お け る 小 中 学 生 の 動 向 を 明 ら か に す る こ と で , 人 口 減 少 の 時 代 へ 向 け て 今 後 対 応 す べ き 国 営 公 園 整 備 の 方 向 性 に つ い て の 示 唆 を 得 た 。
9 今 後 , 限 定 さ れ た 予 算 内 で 国 営 公 園 内 の 施 設 リ ニ ュ ー ア ル ( 再 整 備 ) や 運 営 維 持 管 理 の 施 策 展 開 を 行 っ て い く 上 で , 国 営 公 園 整 備 内 容 の 優 先 順 位 を 明 確 に し て 事 業 を 行 っ て い く 必 要 が あ る 。 こ の た め , 現 況 下 及 び こ れ か ら 迎 え る 社 会 状 況 を 見 据 え て , こ れ ま で の 国 営 公 園 の 全 体 入 園 者 数 の う ち ,「 小 人 」 料 金 を 支 払 っ て い る 小 中 学 生 の 動 向 を 整 理 し , こ の よ う に 少 子 高 齢 社 会 に あ っ て , 国 営 公 園 の 入 園 者 数 の 推 移 か ら , 人 口 減 少 へ 移 行 し つ つ 社 会 状 況 に お け る 国 営 公 園 整 備 の 方 向 性 の 知 見 を 得 る こ と に よ り , 限 定 さ れ た 予 算 の 中 で , 今 後 , 国 営 公 園 内 の 施 設 リ ニ ュ ー ア ル ( 再 整 備 ) や 運 営 維 持 管 理 の 施 策 を 行 っ て い く 上 で , 政 策 立 案 や 施 策 の 優 先 順 位 の 検 討 が 容 易 と な り , よ り 国 民 ニ ー ズ に 合 致 し た 公 園 整 備 が 可 能 と な る と 考 え る 。 さ ら に , 有 料 入 園 者 数 に お け る 高 齢 者 動 向 に 触 れ つ つ , 国 民 の 余 暇 活 動 傾 向 の 考 察 を 行 い , こ れ ま で の 国 営 公 園 整 備 が 国 民 ニ ー ズ に 適 切 に 対 応 し て き た か に つ い て 検 証 し , 人 口 減 少 と な る 社 会 に お け る 今 後 の 国 営 公 園 事 業 に つ い て の 方 向 性 を 明 ら か に し た 。 第 4 章 で は , 平 成 2 2 ( 2 0 1 0 ) 年 4 月 に 国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局 と 民 間 事 業 者 の 間 で 3 箇 年 の 複 数 年 契 約 を 締 結 し た 東 京 都 江 東 区 に 整 備 し た 国 営 東 京 臨 海 広 域 防 災 公 園 の 運 営 維 持 管 理 業 務 に つ い て , 関 東 地 方 整 備 局 が 実 施 し た 本 業 務 に お け る 「 入 札 説 明 書 」 の 交 付 を 受 け た 事 業 者 へ の ア ン ケ ー ト 結 果 , 閲 覧 資 料 又 は ホ ー ム ペ ー ジ に 公 表 さ れ て い る 入 札 参 加 状 況 , 評 価 結 果 等 を 用 い て , 新 た な 運 営 維 持 管 理 方 法 の 事 例 と し て ,「 市 場 化 テ ス ト 」 経 緯 と 一 連 の 手 続 き の 中 で 顕 在 化 し た 技 術 的 な 課 題 を 明 ら か に し た 。 終 章 で は , こ れ ま で の 国 営 公 園 整 備 が そ の 時 代 の 国 民 ニ ー ズ へ 対 応 し て き た こ と 。 国 営 公 園 整 備 及 び 運 営 維 持 管 理 の 今 後 の 方 向 性 に つ い て , ど う あ る べ き か に つ い て , 考 察 し , 将 来 へ の 展 望 と し て 示 し た 。 な お , こ れ ま で に 国 営 公 園 整 備 に つ い て , 行 政 機 関 等 か ら 国 営 公 園 の 全 体 入 園 者 数 や 予 算 に 関 す る 多 く の 情 報 が 公 開 さ れ , 国 営 公 園 事 業 の 現 況 や 方 向 性 に つ い て 示 さ れ て い る1 4 ) 1 5 ) 1 6 )が , 国 営 公 園 整 備 を ス ト ッ ク と し て 捉 え , 国 民 生 活 に 対 す る 国 営 公 園 事 業 の 有 効 性 に つ い て 直 接 検 証 し て い る も の は み ら れ な い 。 ま た , こ れ ま で に 佐 藤 ( 1 9 7 6 )1 7 )は 「 国 営 公 園 の 増 設 」 と し て 昭 和 2 2 ( 1 9 4 7 ) 年 か ら 昭 和 5 1 ( 1 9 7 6 ) 年 ま で の 旧 皇 室 苑 地 か ら 国 営 公 園 の 法 制 化 の 経 緯 に つ い て 示 し て い る が , 国 民 生 活 と の 関 係 性 や 整 備 の 効 果 に つ い て は 触 れ ら れ て い な い 。 ま た , 蓑 茂 ら ( 1 9 9 0 )1 8 )に よ り 昭 和 2 0 年 代 か ら 平 成 へ 入 る ま で の 都 市 公 園 の 発 展 の 経 緯 の 中 で , 昭 和 5 0 年 代 以 降 の 都 市 公 園 の 整 備 に つ い て 社 会 情 勢 や 国 民 の 多 様 な 要 請 を 踏 ま え る こ と で , 公 園 整 備 の 成 果 が あ げ ら れ , 国 営 公 園 も そ の 一 つ と し て い る が , 国 営 公 園 を ス ト ッ ク と し て 捉 え , 我 が 国 の 経 済 指 標 で あ る 一 人 当 た り 国 民 所
10 得 と の 関 係 か ら , 国 営 公 園 の 整 備 に つ い て の 効 果 は 考 察 さ れ て い な い 。 こ の よ う に 国 が 主 体 と な っ た 都 市 内 の オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 に つ い て , ① 社 会 背 景 , ② 公 園 区 域 設 定 ・ 整 備 形 態 の 変 遷 , ③ 公 園 毎 の 基 本 方 針 等 の 策 定 主 体 の 変 遷 の 観 点 か ら , こ れ ま で の 整 備 事 業 を 総 括 的 に 述 べ て い る も の は 見 ら れ な い 。
11 第 1 章 国 営 公 園 の 発 祥 と 整 備 の 変 遷 Ⅰ 国 営 公 園 の 発 祥 国 営 公 園 の 変 遷 を 辿 る と , そ の 端 緒 と し て , 昭 和 2 0 ( 1 9 4 5 ) 年 の 第 二 次 世 界 大 戦 後 , 国 民 の 慰 楽 , 保 健 , 教 養 等 国 民 福 祉 の た め に 確 保 し , 平 和 的 文 化 国 家 の 象 徴 と な る よ う昭 和 2 2 ( 1 9 4 7 ) 年 1 2 月 2 7 日 の閣 議 決 定1 9 )に よ り 国 が 管 理 を 行 う こ と と な っ た 旧 皇 室 苑 地 等 の 整 備 事 業 が あ る 。 都 市 内 に お け る オ ー プ ン ス ペ ー ス を 整 備 ・ 管 理 す る 一 連 の 法 制 度 が 十 分 に 整 っ て い な い 状 況 下2 0 )で , 国 の 直 接 的 な 都 市 内 の オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 と し て 国 は 新 宿 御 苑 に 整 備 の た め の 建 設 院 の 直 接 整 備 機 関 を 設 置 し , 整 備 を 行 っ た2 1 )こ と が , そ の 後 の 国 営 公 園 制 度 と し て 整 備 か ら 管 理 ま で の 法 制 度 に 明 確 に 位 置 づ け ら れ , 今 日 の 国 営 公 園 制 度 へ つ な が っ て い る 。 1 . 公 園 緑 地 と 国 民 の 要 望 明 治 6 ( 1 8 7 3 ) 年 の 太 政 官 布 達 第 1 6 号2 2 )に お い て は , 府 県 が 指 定 し た 「 土 地 」 が 「 公 園 」 と な っ て お り , そ の 後 の 都 市 内 で 設 置 さ れ る 公 園 は , 専 ら 国 の 出 先 機 関 で あ る 都 道 府 県 知 事 が 整 備 ・ 管 理 す る も の , 又 は 市 町 村 長 が 整 備 ・ 管 理 ( 都 道 府 県 知 事 か ら の 委 任 を 含 む ) す る も の が ほ と ん ど で あ り , 一 部 の 神 社 林 整 備2 3 )や 関 東 大 震 災 後 の 帝 都 復 興 事 業2 4 )を 除 き , 国 が 直 接 「 国 の 公 園 」 と し て , 整 備 し て い る も の は な か っ た 。 第 二 次 世 界 大 戦 後 , 日 本 国 憲 法 や 地 方 自 治 法 の 施 行 に よ り 「 国 と 地 方 」 の 制 度 が 戦 前 と 大 き く 変 わ る こ と に よ り , 新 た な 国 に よ る 都 市 内 オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 が 始 ま り , 現 在 ま で 受 け 継 が れ , 展 開 し て い る 。 都 市 内 オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 と し て , 国 民 の 慰 楽 , 保 健 , 教 養 等 国 民 福 祉 の た め に 確 保 し , 平 和 的 文 化 国 家 の 象 徴 と な る よ う 閣 議 決 定 1 9 )に よ り 国 が 管 理 を 行 う こ と と な っ た 旧 皇 室 苑 地 等 の 整 備 事 業 が あ る 。 都 市 内 に お け る オ ー プ ン ス ペ ー ス を 整 備 ・ 管 理 す る 一 連 の 法 制 度 が 十 分 に 整 っ て い な い 状 況 下 で , 国 の 直 接 的 な 都 市 内 の オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 と し て 整 備 を 行 っ た こ と が , そ の 後 の 国 営 公 園 制 度 と し て 整 備 か ら 管 理 ま で の 法 制 度 に 明 確 に 位 置 づ け ら れ , 今 日 の 国 営 公 園 制 度 へ つ な が っ て い る 。 2 . 終 戦 後 の 国 整 備 の 国 民 公 園 国 民 公 園 は , 昭 和 2 2 ( 1 9 4 7 ) 年 5 月 に 施 行 さ れ た 日 本 国 憲 法 第 8 8 条 の 「 す べ て 皇 室 財 産 は , 国 に 属 す る 」 及 び 「 皇 室 財 産 の 財 産 税 対 象2 5 )」 に よ り , 皇 室 苑 地 が 国 へ 属 す る こ と と な り , 同 年 1 2 月 2 7 日 「 旧 皇 室 苑 地 の 運 営 に 関 す る 件 」 の 閣 議 決 定 に よ り 国 が 管 理 を 行 う こ と と な っ た オ ー プ ン ス ペ ー ス で あ る 。
12 整 備 は , 既 に 都 市 計 画 公 園2 6 )と な っ て い た こ と か ら , 都 市 計 画 事 業 を 所 掌 し て い た 建 設 院2 7 )が 行 う こ と と さ れ た が , 戦 前 の 公 園 整 備 は , 国 の 出 先 機 関 で あ る 都 道 府 県 知 事 ( 又 は 市 町 村 長 ) が 整 備 ・ 管 理 す る も の で あ り , 昭 和 2 2 ( 1 9 4 7 ) 年 4 月 の 地 方 自 治 法 施 行 に よ り 都 道 府 県 は 国 の 出 先 機 関 で は な く な っ た 。 地 方 自 治 体 と な っ た こ と か ら , こ れ ま で の 執 行 体 制 で は 公 園 を 整 備 で き な い 状 況 が 生 じ て い た と 考 え ら れ る 。 こ の た め , 建 設 院 は 昭 和 2 3 ( 1 9 4 8 ) 年 4 月 に 直 接 整 備 を 行 う 機 関 と し て 新 宿 御 苑 内 に 園 地 整 備 の た め の 出 張 所 を 設 置 し て い る 。 こ の 出 張 所 が , そ の 後 , 国 営 公 園 工 事 事 務 所 と な り , 建 設 省 設 置 法 に 基 づ く 「 公 共 空 地 及 び 保 勝 地 の 整 備 」 と し て , 都 市 内 オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 を 行 っ て い く こ と と な る 。
13 Ⅱ 国 の 整 備 に よ る 都 市 内 オ ー プ ン ス ペ ー ス 1 . 昭 和 3 8 年 の 閣 議 決 定 に よ る 霞 ヶ 関 公 園 , 北 の 丸 公 園 霞 ヶ 関 公 園 及 び 北 の 丸 公 園 は , 戦 前 , 旧 日 本 軍 が 使 用 し て い た 土 地 で あ っ た が , 国 民 公 園 を 整 備 し て い た 国 の 工 事 事 務 所 が 国 民 公 園 整 備 か ら 国 営 公 園 整 備 に 着 手 す る ま で の 間 , 国 有 地 の 苑 地 整 備 を 行 っ た 。 こ う し た オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 事 業 が 連 続 し て 継 続 さ れ た こ と は , 工 事 の 技 術 的 ・ 事 務 的 な 知 見 や 手 法 が 散 逸 せ ず , 蓄 積 さ れ た こ と が , そ の 後 の 国 営 公 園 事 業 に 引 き 継 が れ た 。 ( 1 ) 霞 ヶ 関 公 園 霞 ヶ 関 公 園 は , 現 在 の 国 会 議 事 堂 前 庭 で あ り , 戦 前 は 旧 陸 軍 参 謀 本 部 等 が 置 か れ て い た 。 昭 和 2 9 ( 1 9 5 4 ) 年 5 月 の 首 都 建 設 法 に 基 づ く 首 都 建 設 委 員 会 に よ る 「 中 央 官 衙 地 区 整 備 に 関 す る 計 画 ( 霞 ヶ 関 地 区 の 街 路 網 及 び 公 園 の 都 市 計 画 決 定 に つ い て )」 を 経 て , 昭 和 3 4 ( 1 9 5 9 ) 年 首 都 圏 整 備 法 に 基 づ く 首 都 圏 整 備 委 員 会 に よ る 首 都 官 衙 地 区 整 備 計 画 に よ り 計 画 さ れ , 昭 和 3 8 ( 1 9 6 3 ) 年 6 月 「 国 会 周 辺 の 緊 急 整 備 に つ い て 」 の 閣 議 決 定2 8 )に よ り 整 備 さ れ た2 9 ) 3 0 ) 3 1 )。 ( 2 ) 北 の 丸 公 園 現 在 の 北 の 丸 公 園 で あ り , 戦 前 は 旧 近 衛 師 団 司 令 部 等 が 置 か れ て い た 。 昭 和 2 1 ( 1 9 4 6 ) 年 4 月 「 戦 災 復 興 都 市 計 画 御 濠 緑 地 」 と し て 都 市 計 画 決 定 さ れ , 昭 和 3 4 ( 1 9 5 9 ) 年 4 月 総 理 府 に 皇 居 造 営 審 議 会 が 設 置 さ れ , 同 1 0 月 に 「 早 期 公 園 化 を 図 る こ と 」 の 答 申 が 出 さ れ た 。 そ の 後 , 公 園 事 業 は 都 市 計 画 事 業 で 東 京 都 知 事 が 行 う こ と と な っ た3 2 )が , 昭 和 3 8 ( 1 9 6 3 ) 年 5 月 の 閣 議 決 定 に よ り ,「 北 の 丸 地 区 は 皇 居 外 苑 の 一 部 と し , 森 林 公 園 と し て 整 備 す る こ と 」 と さ れ , 建 設 省 が 整 備 を 行 っ て い る 。 2 . 国 営 公 園 の 制 度 化 現 在 の 国 営 公 園 制 度 は , 都 市 公 園 法 に 基 づ き , 国 土 交 通 大 臣 が 整 備 ・ 管 理 を 行 う こ と と さ れ て お り , こ れ ま で に 1 7 公 園 の 整 備 を 行 っ て い る 。 当 初 は , 昭 和 4 3 ( 1 9 6 8 ) 年 1 0 月 「 明 治 百 年 記 念 事 業 と し て 行 う 国 営 森 林 公 園 の 設 置 に つ い て 」 の 閣 議 決 定 に よ り , 武 蔵 丘 陵 森 林 公 園 の 整 備 が 着 手 さ れ , ま た , 昭 和 4 5 ( 1 9 7 0 ) 年 1 2 月 「 飛 鳥 地 方 に お け る 歴 史 的 風 土 お よ び 文 化 財 の 保 存 等 に 関 す る 方 策 に つ い て 」 の 閣 議 決 定 に 基 づ き , 飛 鳥 歴 史 公 園 の 整 備 に 着 手 さ れ て い る 。 そ の 後 , 昭 和 5 1 ( 1 9 7 6 ) 年 5 月 の 都 市 公 園 法 改 正 に よ り 現 行 の 国 営 公 園 制 度 が 法 制 度 化 さ れ , 現 在 の 「 一 の 都 府 県 の 区 域 を 越
14 え る よ う な 広 域 の 見 地 か ら 設 置 す る 都 市 計 画 施 設 で あ る 公 園 又 は 緑 地 」 の イ 号 公 園 ( 以 下 ,「 イ 号 」 と 称 す ) と 「 国 家 的 な 記 念 事 業 や 我 が 国 固 有 の 優 れ た 文 化 的 資 産 の 保 存 ・ 活 用 を 図 る た め 閣 議 決 定 を 経 て 設 置 す る 公 園 又 は 緑 地 」 の ロ 号 公 園 ( 以 下 ,「 ロ 号 」 と 称 す ) の 2 区 分 と な っ た 。 ロ 号 公 園 の 整 備 決 定 に 際 し て は ,「 閣 議 決 定 」 と い う 内 閣 の 手 続 き が 必 要 と な っ て お り , 法 制 度 前 に 整 備 着 手 し て い た 2 公 園 の 整 備 決 定 の 枠 組 み が ロ 号 公 園 と し て , 位 置 づ け ら れ て い る 。 一 方 で , 広 域 の 見 地 か ら 設 置 す る 公 園 を イ 号 公 園 と し て い る 。 当 初 は , レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要 へ の 対 応 の み で あ っ た が , 平 成 1 5 ( 2 0 0 3 ) 年 3 月 の 都 市 公 園 法 施 行 令 改 正 に よ り ,「 災 害 時 に 広 域 的 な 災 害 救 援 活 動 の 拠 点 と な る も の 」 を 追 加 し て い る 。 イ 号 公 園 の 配 置 , 規 模 , 位 置 及 び 区 域 の 選 定 並 び に 公 園 施 設 の 整 備 に つ い て , 基 準 が 定 め ら れ て い る 。
15 Ⅲ 国 営 公 園 の 整 備 と 時 代 背 景 1 . 国 営 公 園 整 備 の 時 代 区 分 第 2 次 世 界 大 戦 後 , 国 が 都 市 内 に 整 備 し て き た 旧 皇 室 苑 地 , 霞 ヶ 関 公 園 , 北 の 丸 公 園 , 国 営 公 園 に つ い て , 整 備 経 緯 ( 都 市 計 画 決 定 ( 都 決 ) , 閣 議 決 定 , 設 置 区 域 告 示 , 開 園 , 供 用 開 始 の 時 期 ) 及 び 昭 和 2 2 ( 1 9 4 7 ) 年 の 日 本 国 憲 法 施 行 , 昭 和 3 1 ( 1 9 5 6 ) 年 の 都 市 公 園 法 , 昭 和 5 1 年 の 都 市 公 園 法 改 正 ( 国 営 公 園 の 制 度 化 ) 等 の 法 制 度 経 緯 に つ い て , 図 2 に 一 覧 し た 。 こ れ ま で , 国 営 公 園 は 法 制 度 上 の 分 類 と し て , 設 置 目 的 に よ り イ , ロ 号 の 2 区 分 で 国 営 公 園 事 業 の 整 理 が な さ れ て き た が , 国 が 都 市 内 に 整 備 し て き た オ ー プ ン ス ペ ー ス で あ る 旧 皇 室 苑 地 や 国 営 公 園 の 整 備 過 程 を 通 観 す る こ と に よ り , 今 回 , 新 た な 視 点 と し て , ① 社 会 背 景 , ② 公 園 区 域 の 設 定 ・ 整 備 形 態 の 変 遷 , ③ 公 園 毎 の 基 本 方 針 等 の 策 定 か ら 整 備 ま で の 主 体 の 変 遷 の 観 点 か ら , 探 察 す る と , 国 営 公 園 事 業 に 一 連 の 連 続 性 は あ る も の の , あ る 時 点 に お い て 変 化 点 が あ り , こ の 変 化 点 毎 に 区 分 す る こ と で , 特 徴 の あ る ま と ま り が 確 認 で き る 。 こ れ を 整 理 ・ 類 型 化 し , 次 の 5 期 に 分 け て 考 察 し た 。 ( 1 ) 終 戦 か ら の 復 興 期 ( 昭 和 2 0 年 ∼ 4 0 年 頃 ) こ の 時 期 の 特 徴 は , 旧 皇 室 苑 地 等 を 対 象 に 皇 居 外 苑 , 新 宿 御 苑 , 白 金 御 料 地 , 霞 ヶ 関 公 園 , 北 の 丸 公 園 に み る こ と が で き る 。 昭 和 2 0 年 代 以 降 4 0 年 頃 ま で に 整 備 着 手 さ れ た 公 園 の 特 徴 と し て は , 戦 後 , 憲 法 を 含 む 法 制 度 が 大 き く 改 正 さ れ , 皇 室 財 産 の う ち 苑 地 の 取 り 扱 い に つ い て , 国 に よ る オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 が 進 め ら れ こ と と な っ た 。 法 的 な 計 画 ・ 整 備 制 度 が 無 い 中 で , 設 置 決 定 か ら 設 計 ま で 内 閣 及 び 内 閣 総 理 大 臣 に よ る 意 思 決 定 ・ 関 与 が 行 わ れ て い る 。 中 で も 昭 和 3 0 年 代 に 整 備 着 手 さ れ た 公 園 の 特 徴 と し て は , 旧 皇 室 苑 地 の 整 備 が 進 め ら れ る 中 で , 霞 ヶ 関 公 園 , 北 の 丸 公 園 に み ら れ る 事 業 は 戦 後 , 緑 地 と し て 計 画 さ れ た 都 心 に 残 さ れ た 旧 日 本 軍 用 地 に つ い て , 天 皇 陛 下 の 還 暦 記 念 や 東 京 オ リ ン ピ ッ ク を 契 機 に 首 都 に お け る オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 を 進 捗 さ せ , 国 際 社 会 へ の 復 帰 を 内 外 に 示 す 必 要 が あ り , 国 に よ る オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 が 進 め ら れ た 。 設 置 決 定 か ら 設 計 ま で 建 設 省 だ け で な く 他 の 省 庁 を 含 ん だ 国 の 委 員 会 や 審 議 会 に よ る 意 思 決 定 ・ 関 与 が 行 わ れ て い た 期 間 を Ⅰ 期 と し て 分 類 し た 。 戦 後 の 新 憲 法 施 行 後 の 法 的 な 計 画 ・ 整 備 制 度 が 無 い 中 で , 皇 室 の 苑 地 や 軍 の 用 地 に つ い て , そ の 整 備 に か か る 基 本 方 針 等 が 策 定 さ れ た 。 策 定 は ,
16 旧皇室苑地 国苑地 国の方針決定等(事業法令および関連法令と組織) 越 後 丘 陵 閣議決定等 法令等 祝戸 石 舞 台 甘 樫 高 松 塚 キ ト ラ 昭和20年(1945) 昭和21年(1946) S21.11.03 日本国憲法 公布 昭和22年(1947) S22.04.17 地方自治法 S22.05.03 日本国憲法 施行 S22.12.26 建設院設置法 S22.12.27 閣議決定 「旧皇室苑地の運営に関する件」 昭和23年(1948) S23.04 建設院 関東地方建設局 京浜工事事務所新宿出張所設置 整備着手 S23.07.08 建設省設置法 整備着手 S23.09 建設院 関東地方建設局 国営公園工事事務所 設置 S23.12.22 内閣府決定 「旧皇室苑地運営審議会に関する件」:審議会の設置 昭和24年(1949) S24.01.14 閣議了解 「旧皇室苑地運営審議会委員」:審議会委員の選定 S24.04.20 審議会→内閣総理大臣「旧皇室苑地整備運営計画に関する報告」:基本方針の明示 整備完了 昭和25年(1950) 整備着手 昭和26年(1951) 昭和27年(1952) 昭和28年(1953) 昭和29年(1954) 昭和30年(1955) 昭和31年(1956) S31.04.20都市公園法 昭和32年(1957) 昭和33年(1958) 昭和34年(1959) S34.04.06「首都官衙地区整備計画」首都圏整備委員会:内閣総理大臣 整備着手 S34.05.「霞ヶ関公園基本設計方針」建設省 昭和35年(1960) 昭和36年(1961) 昭和37年(1962) 整備完了 整備完了 昭和38年(1963) S38.05.21「皇居周辺北の丸地区の整備について」 整備着手 S38.06.28「国会周辺の緊急整備について」(実施の繰り上げ) 昭和39年(1964) 昭和40年(1965) 昭和41年(1966) S41.04.15「明治百年記念準備会議について」閣議決定 整備完了 S41.11.02「明治百年記念項目」第3回明治百年記念準備会議決定 (大都市に記念森林公園の建設整備 等) 昭和42年(1967) S42.04.10「明治百年記念森林公園の位置選定について」建設省発表 (東京湾埋立地、武蔵丘陵、富士高原の3箇所より選定) 昭和43年(1968) S43.03.12都決 S43.10.18「明治百年記念事業として行う国営森林公園の設置について」 S43.10.18閣議決定 昭和44年(1969) 整備完了 昭和45年(1970) S45.12.18「飛鳥地方における歴史的風土および文化財の保存等に関する方策について」 S45.12.18閣議決定(祝戸) S45.12.18閣議決定(石舞台) S45.12.18閣議決定(甘樫丘) 昭和46年(1971) S46.05.27「飛鳥国営公園の整備方針について」建設大臣決定 S46.07.30都決(祝戸) S46.07.30都決(石舞台) S46.08.16「都市における公園緑地等の計画的整備を推進するための方策について 昭和47年(1972) S47.04.06「都市における公園緑地などの計画的整備を推進する方策に関する第二次答申 S47.06.15 都市公園等整備緊急措置法(緊措法) 昭和48年(1973) S49.01.18都決(甘樫丘) 昭和49年(1974) S49.07.22開園 S49.07.22開園(祝戸) 昭和50年(1975) S50.07.15「沖縄国際海洋博覧会を記念する公園の設置」閣議決定 S50.07.15閣議決定 S50.05.17都決 昭和51年(1976) S51.03.21都決 S51.05.25 都市公園法改正(国営公園制度) S51.08.00開園 S51.07.29都市において緑とオープンスペースを確保する方策としての S51.09.01供用 緑のマスタープランのあり方のについての答申 S51.09.01供用(石舞台) S51.09.20都決 S51.10.22都決(高松塚) S51.10.29「飛鳥地方における歴史的風土および文化財の保存等に関する方策」閣議決定 S51.10.29閣議決定(高松塚) (歴史的風土及び文化財の保存等に関する方策の 一環としての都市公園の整備について)(高松塚周辺地区の追加) S51.12.20設区 昭和52年(1977) S52.1.19設区 S52.02.07設区 S52.02.07設区 S52.02.28「国営飛鳥歴史公園の整備方針」建設大臣変更 昭和53年(1978) S53.01.17都決 S53.08.30設区 昭和54年(1979) S54.08.20 今後の都市公園等の整備と管理のあり方について 答申 (国営公園整備の拡大、長期的に全国に20箇所程度、 都市公園の整備・管理のための組織体制(公園緑地事業団)の整備 他) S54.11.30「天皇陛下御在位五十年記念事業として行う国営昭和記念公園の設置」閣議決定 S54.11.30閣議決定 S55.03.31概成 昭和55年(1980) S55.04.01供用(甘樫丘) S55.04 国営公園工事事務所廃止 S55.08.26 都市における総合的な緑化を推進するための方策についての中間答申 昭和56年(1981) S56.02.27都決 S56.03.30設区 S56.05.22 緊措法改正・延伸(カントリーパークの創設) S56.10.09都決 S56.10.20都決 S56.10.20供用 S56.11.20都決 S56.11.27都決 昭和57年(1982) S57.2.16設区 S57.06.30都市における総合的な緑化を推進するための方策についての第二次答申 S57.12.14都決 昭和58年(1983) S58.04.14都決 S58.05.10良好な市街地の形成を図るための都市整備の具体的方策についての中間答申 昭和58年(1983) S58.10.26供用 S58.07.23供用 昭和59年(1984) S59.8.9設区 S60.01.31都決 昭和60年(1985) S60.08.01「今後の下水道整備は以下にあるべきか及び今後の都市公園等の S60.10.23供用(高松塚) 整備と管理はいかにあるべきか」についての答申(防災公園、特定財源化の検討) S61.03.29設区 S61.3.29設区 昭和61年(1986) S61.04.22緊措法改正・延伸 S61.4.24設区 S61.08.29都決 S61.11.28「沖縄復帰記念事業として行う都市公園の整備」閣議決定(首里城地区の追加) S61.11.28閣議決定 昭和62年(1987) S62.06.30「四全総」閣議決定 S62.5.20設区 S62.09.04緊措法改正(NTT無利子貸付の創設) S62.10.31供用 昭和63年(1988) S63.1.28設区 S63.1.23設区 S63.1.28設区 平成元年(1989) H元.08.04供用 平成2年(1990) H02.07.23「今後の都市公園等の整備と管理及び都市緑化の推進はいかにあるべきか」に ついての答申(財政投融資資金の活用、技術情報の提供) H02.11.19都決 H02.11.19都決 平成3年(1991) H03.01.22都決 H03.03.30 緊措法改正・延伸 H03.04.16設区 H03.10.05供用 平成4年(1992) H04.05.06設区 H04.05.12設区 H04.10.27「我が国固有の優れた文化的資産である吉野ヶ里遺跡の保存 H04.05.12設区 及び活用を図るための都市公園の設置について」閣議決定 H04.10.27閣議決定(吉野ヶ里) 平成5年(1993) H05.03.15都決 平成6年(1994) H06.12.20都決 平成7年(1995) H07.04.14供用 平成8年(1996) H08.06.05 緊措法改正・延伸 平成9年(1997) H09.02.28都決(神戸) H09.03.25設区 H09.03.25設区 H09.09.01設区 H09.12.05 緊措法改正(財政構造改革:五箇年→七箇年) 平成10年(1998) H10.04.18供用 H10.07.30供用 平成11年(1999) 平成12年(2000) H12.12.05設区 平成13年(2001) H13.03.16「飛鳥地方における歴史的風土及び文化財の保存等に関する 方策の一環としての都市公園の整備について」閣議決定(キトラ古墳周辺地区の追加) H13.03.16閣議決定(キトラ) H13.04.21供用 H13.06.14 都市再生プロジェクト第一次決定:都市再生本部決定 (東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備) H13.12.14都決(キトラ) 平成14年(2002) H14.03.21供用 平成15年(2003) H15.03.28 都市公園法施行令改正(広域的な災害救援活動の拠点となる国営公園の追加) H15.03.31 緊措法廃止 H15.03.31 社会資本整備重点計画法 H15.11.06都決 平成16年(2004) H16.06.18 都市公園法改正(立体公園制度) H16.03.01設区 H16.07.24供用 平成17年(2005) 平成18年(2006) H18.12.20「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」施行 平成19年(2007) 平成20年(2008) H20.10.28閣議決定(平城宮跡) 平成21年(2009) H21.03.06都決(平城宮跡) H21.07.18供用 平成22年(2010) H22.05.22概成 H22.07.01供用・概成 平成23年(2011) 滝 野 す ず ら ん 丘 陵 常 陸 海 浜 淀 川 河 川 淡路 み ち の く 杜 の 湖 畔 大 町 松 川 首 里 城 一 宮 昭 和 記 念 国営公園 飛 鳥 歴 史 木 曽 三 川 沖 縄 記 念 明 石 海 峡 讃 岐 ま ん の う 備 北 丘 陵 吉 野ヶ 里 歴 史 神 戸 平 城 京 東 京 臨 海 広 域 防 災 堀 金 穂 高 海 の 中 道 北 の 丸 公 園 武 蔵 丘 陵 森 林 飛鳥 海 洋 地 区 ア ル プ ス あ づ み の 各 務 原 桑 名 新 宿 御 苑 白 金 御 料 地 皇 居 外 苑 霞ヶ 関 公 園 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅳ期 Ⅴ期 Ⅲ期 凡例 都決:都市計画決定(都市計画法) 設区:設置すべき区域の告示(都市公園法) 供用:供用告示(都市公園法) ① 五 箇 年 計 画 ③ 五 箇 年 計 画 ② 五 箇 年 計 画 ④ 五 箇 年 計 画 ⑤ 五 箇 年 計 画 ⑥ 五︵ 七︶ 箇 年 計 画 図 2 国が直接整備した都市公園等の事業展開 ・文献 12),33),34)より作成
17 内 閣 及 び 内 閣 総 理 大 臣 に よ る 意 思 決 定 や 関 与 が 行 わ れ , 国 と し て 都 市 内 の オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 に お け る 技 術 的 知 見 を 取 得 ・ 蓄 積 し , 現 在 の 国 営 公 園 制 度 の 源 流 と な っ た 期 間 と し て ,「 萌 芽 期 」( Ⅰ 期 ) に あ た り , 「 戦 後 か ら の 復 興 期 」 と 位 置 づ け , 類 型 化 し た 。 ( 2 ) 高 度 経 済 成 長 と 環 境 意 識 の 形 成 期 ( 昭 和 4 0 年 頃 ∼ 5 0 年 頃 ) こ の 時 期 の 特 徴 は , 武 蔵 丘 陵 森 林 公 園 , 飛 鳥 歴 史 公 園 に み ら れ る こ と が で き る 。 昭 和 4 0 年 頃 か ら 5 0 年 頃 に 整 備 着 手 さ れ た 公 園 の 特 徴 と し て は , 我 が 国 固 有 の 文 化 的 資 産 で あ る 古 都 や 歴 史 的 風 土 を 保 存 す る 「 古 都 に お け る 歴 史 的 風 土 の 保 存 に 関 す る 特 別 措 置 法 」 ( 以 下 ,「 古 都 保 存 法 」 と い う ) が 昭 和 4 1 ( 1 9 6 6 ) 年 1 月 に 制 定 さ れ , 昭 和 4 5 ( 1 9 7 0 ) 年 1 2 月 に は 「 飛 鳥 地 方 に お け る 歴 史 的 風 土 及 び 文 化 財 の 保 存 等 に 関 す る 方 策 に つ い て 」 閣 議 決 定 さ れ , 文 化 財 周 辺 に つ い て , 飛 鳥 歴 史 公 園 の 区 域 3 箇 所 を 都 市 計 画 公 園 と し て , 整 備 す る こ と と な っ た 。 ま た , 昭 和 4 3 ( 1 9 6 8 ) 年 が 明 治 百 年 に あ た る こ と か ら , 国 に よ る オ ー プ ン ス ペ ー ス 整 備 の 検 討 が 進 め ら れ , 同 年 1 0 月 に 「 明 治 百 年 記 念 事 業 と し て 行 う 国 営 森 林 公 園 の 設 置 」 閣 議 決 定 さ れ た 。 位 置 選 定 , 区 域 設 定 , 用 地 取 得 , 設 計 施 工 ま で , 建 設 省 が 主 体 的 に 行 っ て い る 。 基 本 方 針 等 の 策 定 は , Ⅰ 期 に 比 べ 内 閣 総 理 大 臣 か ら 建 設 大 臣 へ か な り の 事 務 が 移 行 さ れ , 設 計 に 当 た っ て は ,「 設 計 競 技 」 を 導 入 し , 建 設 大 臣 が 基 本 設 計 の 作 成 要 綱 や 審 査 会 委 員 を 定 め , 最 終 的 に 建 設 大 臣 が 決 定 し て い る 。 Ⅰ 期 と 比 較 す る と 建 設 省 が よ り 主 体 的 に 意 思 決 定 に 関 与 し て い る こ と が 窺 え る 。 大 都 市 を 中 心 に 急 速 な 都 市 化 が 進 み ,「 文 化 財 保 全 」 や 「 み ど り の 保 全 」 に 対 す る 国 民 的 要 求 が 高 ま っ た 時 期 で あ り , 昭 和 4 1 ( 1 9 6 6 ) 年 1 月 に 「 古 都 保 存 法 」 が 施 行 さ れ る と と も に , 同 年 1 1 月 に 「 国 土 の 緑 化 」 と し て 大 都 市 に 記 念 森 林 公 園 の 整 備 が 明 治 百 年 記 念 事 業 の 望 ま し い 項 目 の 一 つ と し て , 内 閣 総 理 大 臣 が 主 宰 す る 「 明 治 百 年 記 念 準 備 会 議 」 に お い て 決 定 さ れ る な ど , 政 府 の 方 針 と し て , 公 園 設 置 に つ い て , 閣 議 決 定 し て い る 。 区 域 設 定 , 基 本 方 針 等 の 策 定 , 整 備 , 管 理 ま で , 整 備 主 体 で あ る 建 設 省 が 主 体 的 に 関 与 し て い る 現 在 の 国 営 公 園 の 直 接 的 な 原 型 が 形 成 さ れ た 期 間 と し て ,「 展 開 期 」( Ⅱ 期 ) に あ た り , 「 高 度 経 済 成 長 と 環 境 意 識 の 形 成 期 」 と 位 置 づ け , 類 型 化 し た 。 ( 3 ) 広 域 レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 の 高 揚 期 ( 昭 和 5 1 年 ∼ 6 0 年 頃 ) こ の 時 期 の 特 徴 は , 海 の 中 道 海 浜 公 園 , 淀 川 河 川 公 園 , 滝 野 す ず ら ん 丘
18 陵 公 園 , 昭 和 記 念 公 園 , 常 陸 海 浜 公 園 , 木 曽 三 川 公 園 , み ち の く 杜 の 湖 畔 公 園 , 備 北 丘 陵 公 園 , 讃 岐 ま ん の う 公 園 , 沖 縄 記 念 公 園 , 越 後 丘 陵 公 園 に み ら れ る こ と が で き る 。 昭 和 5 1 年 か ら 6 0 年 頃 に 整 備 着 手 さ れ た 公 園 の 特 徴 と し て は , 都 市 公 園 法 上 , 建 設 大 臣 の 所 掌 及 び 分 掌 事 務 が 明 確 化 さ れ , 基 本 方 針 等 の 策 定 は , 具 体 の 計 画 ・ 設 計 を 実 施 す る 建 設 省 の 各 地 方 支 分 部 局 長 に 基 本 的 に 委 ね ら れ , 公 園 毎 に 様 々 な 分 野 の 有 識 者 か ら な る 委 員 会 が 設 置 ・ 検 討 さ れ , 策 定 し て い る 。 各 地 方 ブ ロ ッ ク 毎 に イ 号 公 園 整 備 が 進 め ら れ , こ の 時 期 に 整 備 着 手 し て い る 。 レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要 に 対 応 す る た め , 河 川 敷 や 丘 陵 地 に お け る 公 園 区 域 の 設 定 が な さ れ , 整 備 主 体 で あ る 建 設 省 の 関 与 が 大 き く な っ て い る 。 一 方 で , 在 日 米 軍 基 地 等 の 返 還 に よ る 跡 地 の 土 地 利 用 と し て , 公 園 区 域 が 設 定 さ れ て い る 。 表 1 に 示 す と お り , 3 公 園 で 1 , 0 6 9 h a で あ り , 国 営 公 園 全 体 の 計 画 面 積 の 約 9 . 2 % と な っ て い る 。 昭 和 5 1 ( 1 9 7 6 ) 年 の 都 市 公 園 法 改 正 に よ り 国 が 設 置 す る 公 園 又 は 緑 地 に つ い て , 整 備 ・ 管 理 す る 法 的 体 系 が 整 い , 国 営 公 園 の イ , ロ 号 の 区 分 が な さ れ , 広 域 的 な レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要 に 対 応 す る た め , イ 号 公 園 は 各 地 方 ブ ロ ッ ク 毎 に 整 備 が 進 め ら れ た 。 ま た , 世 界 情 勢 の 変 化 に よ り , 昭 和 4 0 年 代 後 半 か ら 在 日 米 軍 基 地 等 の 返 還 に よ る 跡 地 利 用 の 形 態 と し て , 大 規 模 公 園 設 置 が 検 討 さ れ , 国 営 公 園 と し て の 土 地 利 用 が 見 ら れ る よ う に な っ た 。 さ ら に , 昭 和 4 7 ( 1 9 7 2 ) 年 以 降 , 都 市 公 園 等 整 備 緊 急 措 置 法 に 基 づ く 数 次 に わ た る 整 備 五 箇 年 計 画 等 の 計 画 額 の 推 移 を 表 2 に 示 す 。 こ の 整 備 計 画 策 定 に よ り , 国 全 体 の 都 市 公 園 予 算 を 伸 ば そ う と し た 時 期 で あ り , 国 営 公 園 だ け で な く 地 方 公 共 団 体 の 都 市 公 園 整 備 が 進 捗3 5 )し た 期 間 と し て ,「 発 展 期 」( Ⅲ 期 ) に あ た り , 「 広 域 レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 の 高 揚 期 」 と 位 置 づ け , 類 型 化 し た 。
19 表 1 在 日 米 軍 用 地 の 返 還 に よ る 跡 地 利 用 の 公 園 公 園 名 計 画 面 積 ( h a ) 海 の 中 道 海 浜 公 園 5 3 9 昭 和 記 念 公 園 1 8 0 常 陸 海 浜 公 園 3 5 0 国 営 公 園 全 体 ( H 2 4 . 3 現 在 ) 1 1 , 5 6 3 出 典 : 公 園 緑 地 マ ニ ュ ア ル 3 4 ) 表 2 都 市 公 園 等 整 備 五 ( 七 ) 箇 年 計 画 の 計 画 額 の 推 移 年 度 計 画 額 ( 億 円 ) 前 計 画 か ら の 伸 率 第 1 次 S 4 7 ∼ S 5 0 9 , 0 0 0 - 第 2 次 S 5 1 ∼ S 5 5 1 6 , 5 0 0 1 . 8 3 第 3 次 S 5 6 ∼ S 6 0 2 8 , 8 0 0 1 . 7 5 第 4 次 S 6 1 ∼ H 2 3 1 , 1 0 0 1 . 0 8 第 5 次 H 3 ∼ H 7 5 0 , 0 0 0 1 . 6 1 第 6 次 H 8 ∼ H 1 4 7 2 , 0 0 0 1 . 4 4 出 典 : 公 園 緑 地 マ ニ ュ ア ル 3 5 )
20 ( 4 ) 国 民 生 活 の 安 定 期 ( 平 成 元 年 ∼ 1 0 年 頃 ) こ の 時 期 の 特 徴 は , ア ル プ ス あ づ み の 公 園 , 明 石 海 峡 公 園 , 吉 野 ヶ 里 歴 史 公 園 に み ら れ る こ と が で き る 。 平 成 元 年 か ら 1 0 年 頃 に 整 備 着 手 さ れ た 公 園 の 特 徴 と し て は , 既 に 全 国 に お い て , 整 備 着 手 さ れ て き た 国 営 公 園 で あ る が , 広 域 レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要 に 対 応 す る た め , ブ ロ ッ ク 内 に 2 箇 所 目 と な る イ 号 公 園 の 整 備 に 着 手 し て い る 。 公 園 区 域 の 設 定 で は , こ れ ま で の 大 規 模 な 公 園 を 単 独 で 一 地 区 整 備 す る 手 法 で は な く , 計 画 当 初 よ り 二 地 区 を 一 つ の 公 園 と み な し て , 都 市 公 園 法 施 行 令 の 規 模 基 準 を 満 た す 区 域 設 定 が 見 ら れ る 。 ま た , 管 理 者 が 異 な る 国 営 公 園 と 地 方 公 共 団 体 の 都 市 公 園 や 緑 地 を 一 体 的 に 計 画 し , そ れ ぞ れ が 整 備 ・ 保 全 す る こ と に よ り , 公 園 緑 地 と し て の 効 用 を 相 乗 的 に 一 層 発 揮 さ せ よ う と す る 整 備 手 法 が 見 ら れ る 。 さ ら に , 歴 史 的 な 遺 跡 等 の 発 見 に 伴 い , 文 化 財 保 護 法 に よ る 「 特 別 史 跡 」 周 辺 に つ い て , 平 成 4 ( 1 9 9 2 ) 年 1 0 月 に 飛 鳥 歴 史 公 園 か ら 2 2 年 ぶ り に 歴 史 公 園 の ロ 号 公 園 と し て 吉 野 ヶ 里 歴 史 公 園 の 閣 議 決 定 が さ れ た 。 公 園 区 域 の 設 定 は , 国 営 公 園 と 県 立 公 園 の 一 体 と な っ た 区 域 と な っ て い る 。 基 本 方 針 等 の 策 定 手 続 き は Ⅲ 期 と 同 様 で あ る 。 こ う し た 広 域 レ ク リ エ ー シ ョ ン 需 要 に 対 応 す る た め , ブ ロ ッ ク 内 に 2 箇 所 目 と な る 公 園 の 整 備 着 手 や 二 地 区 の よ う に 複 数 地 区 を 分 散 さ せ る 整 備 手 法 や 管 理 者 が 異 な る 公 園 を 一 体 的 に 整 備 す る な ど 整 備 手 法 の 多 様 化 が 見 ら れ た 期 間 と し て ,「 充 実 期 」( Ⅳ 期 ) に あ た り , 「 国 民 生 活 の 安 定 期 」 と 位 置 づ け , 類 型 化 し た 。 ( 5 ) 国 民 生 活 の 成 熟 期 ( 平 成 1 0 年 ∼ 現 在 ) こ の 時 期 の 特 徴 は , 東 京 臨 海 広 域 防 災 公 園 , 新 規 区 域 を 追 加 す る 飛 鳥 歴 史 公 園 に み ら れ る こ と が で き る 。 平 成 1 0 年 以 降 に 整 備 着 手 さ れ た 公 園 の 特 徴 と し て は , 概 ね の 整 備 が 完 了 ( 以 下 , 概 成 と い う ) し て い た 国 営 飛 鳥 歴 史 公 園 に つ い て , キ ト ラ 古 墳 の 発 見 に 伴 い 平 成 1 3 ( 2 0 0 1 ) 年 3 月 に キ ト ラ 古 墳 周 辺 地 区 の 追 加 が 閣 議 決 定 さ れ , 平 成 2 0 ( 2 0 0 8 ) 年 1 0 月 に は , 平 城 宮 跡 を 既 存 の 「 国 営 飛 鳥 歴 史 公 園 」 と 一 体 的 に 整 備 を 進 め る 国 営 公 園 と し て ,「 国 営 飛 鳥 ・ 平 城 宮 跡 歴 史 公 園 平 城 宮 跡 区 域 」 を 閣 議 決 定 し た 。 ま た , 平 成 1 5 ( 2 0 0 3 ) 年 に は 防 災 拠 点 整 備 の 必 要 性 が 高 ま っ た こ と を 踏 ま え , 都 市 公 園 法 施 行 令 の 改 正 を 行 い , 広 域 的 な 災 害 救 援 活 動 の 拠 点 と な る 国 営 公 園 に つ い て , イ 号 公 園 の 一 形 態 と し て 追 加 を 行 っ て い る 。 「 防 災 拠 点 」 と し て の 機 能 が 付 与 さ れ た 国 営 公 園 は , こ れ ま で の イ 号 公