博 士 ( 獣 医 学 ) 嶋 本 良則 学 位 論 文 題 名
エンドトキシン誘発性脳炎モデルラットにおける 肝 薬物 代 謝酵 素 活 性の 変動 に関する 研究 学位論文内容の要旨
疾病 時にお ける 薬物 代謝 能評 価は 臨床 上重 要である。本研究では、感染性中 枢炎症モデル動物として、細菌性エンドトキシンlipopolysaccharide (LPS) 脳室内投 与ラ ット を作成 し、 その 肝臓 にお ける 薬物 代謝 酵素チトク口ムP450 (CYP) の活性 を測定した。
LPS (O.lyg)
脳 室 内 投 与 ラ ッ ト ( 授 与 後
24時 間 ) に お い て 、 総
P450量 、
CYPIA丶
CYP2B、
CYP2C11お よ ぴCYP3A 分子穏 の著 しい 減少 が観 察さ れた 。一 方、
CYP2D
分子 種に 強何 ら変 動が 観察 され ず、CYP の 変動が分子種選択的であることが 明らかになった。腹腔内投与による同程度の総P450 量の減少には、10 vg のLPS を必 要とし、さらに、その分子種分布も脳室内投与ラットのそれと全く異なっていた。
これ らの 事実か ら、 脳室 内に 投与 され たLPS は、 中枢神経系を介して肝CYP の選択 的変動に関与することが示唆された。
LPS
脳 室 内 投 与 に よ る 肝
CYPの変 動に対 する 交感 神経 系あ るい は副 腎皮 質系 との関与を明らかにするため、肝交感神経切除、6‑hydroxydopamine 投与あるい波副 腎摘 出ラ ヅトを 用い てLPS 脳 室内 投与 の効果 を検 討した。交感神経系はLPS 脳室内 投与 によ るCYP の減 少に 関与 せず 、ま た副腎 皮質 系は、CYP の減少にむしろ抑制的 に関与することが明らかになった。
LPS
脳 室内 投与 によ る肝 のぽ 変動 の機構 を探 るた めに 、特 に減 少の 著し かっ た
CYP2C11分 子 種 の
mRNAの 変 動を 検討 した 。LPS 投与
10時 間後 のラ ット にお いて その 蛍の 減少が 観察 されたことから、CYP2C11 分子種は転写段階でダウンレギュレ ーションを受けていることが明らかに誼った。この時、肝ミクロソームにおけるへ ム分 解酵 素ヘム オキ シゲナーゼ活性の増加も観察され、機能的CYP2C11 酵素の減少 と関係があると考えられた。
以 上 か ら 、 病 態 時 の 薬 物 代 謝 活 性 の 検 討 の 重 要 性 が 示 さ れ た 。
学位論文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教 授 藤 教 授 斉 教 授 中 助 教 授 数
田 正一 藤 昌之 里 幸和 坂 昭夫
学 位 論 文 題 名
エンドトキシン誘発 性脳炎モデルラットにおける 肝薬物代謝酵 素活性の変動に関する研究
疾 病 時 に お け る 薬 物 代 謝 能 評 価 は 臨 床 上 重 要 で あ る 。 本 研 究 で は 、 感 染 性 中 枢 炎 症 モ デ ル 動 物 と し て 、 細 菌 性 エ ン ド ト キ シ ンlipopolysaccharide (LPS)脳 室内 投与 ラッ ト を 作 成 し 、 そ の 肝 臓 に お け る 薬 物 代 謝 酵 素CytochormeP450 (CYP)の 活 性 を 測 定 し た 。 1.LPS (O.lyg)脳 室 内 投 与 ラ ッ ト ( 投 与 後24時 間 ) に お い て 、 総P450量 、C1ぽ1A丶 CYP2B、 の ぽ2C11お よ びCYP3A. 分 子 種 の 著 し い 減 少 が 観 察 さ れ た 。 一 方 、CYP2D分 子 種 に は 何 ら 変 動 が 観 察 さ れ ず 、CYPの 変 動 が 分 子 種 特 異 的 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 腹 腔 内 投 与 に よ る 同 程 度 の 総P450量 の 減 少 に は 、10嵋 のLPSを 必 要 と し 、 さ ら に 、 そ の 分 子 種 分 布 も 脳 室 内 投 与 ラ ッ ト の そ れ と 全 . く 異 な っ て い た 。 こ れ ら の 事 実 か ら 、 脳 室 内 に 投 与 さ れ たLPSは 、 中 枢 神 経 系 を 介 し て 肝CYPの 特 異 的 変 動 に 関 与 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。
2. 肝 交 感 神 経 切 除 、6‐hydroxydopamine投 与 あ る い は 副 腎 摘 出 ラ ッ ト を 用 い てLPS 脳 室 内 投 与 の 効 果 を 検 討 し た 結 果 、 交 感 神 経 系 はLPS脳 室 内 投 与 に よ るCYPの 減 少 に 関 与 せ ず 、 ま た 副 腎 皮 質 系 は 、CYPの 減 少 に む し ろ 抑 制 的 に 関 与 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。
3.LPS脳 室 内 投 与 に よ る 肝C1け 変 動 の 機 構 を 探 る た め に 、 特 に 減 少 の 著 し か っ た C1仰2C11分 子 種 のmRNAの 変 動 を 検 討 し た 。LPS投 与10時 間 後 の ラ ッ ト に お い て そ の 量 の 減 少 が 観 察 さ れ た こ と か ら 、CYP2C11分 子 種 は 転 写 段 階 で ダ ウ ン レ ギ ュ レ ー シ ョ ン を 受 け て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 こ の 時 、 肝 ミ ク ロ ソ ー ム に お け る へ ム 分 解 酵 素 ヘ ム オ キ シ ゲ ナ ー ゼ 活 性 の 増 加 も 観 察 さ れ 、 機 能 的CYP2C11酵 素 の 減 少 と 関 係 が あ る と 考 え ら れ た 。