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博士(理学)鈴木学位論文題名A Study for Automatic X-ray Protein Structure Analysis

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士 ( 理 学 ) 鈴木 学 位 論 文 題 名

A Study for Automatic X‑ray Protein       Structure Analysis

(X線蛋白質結晶構造解析の自動化に関する研究)

学位論文内容の要旨

    生体物質 を研究する にあたり、 その 性質 の研究と並行して、その 構造 を解析することが必要とされている。そして、毎年数多くの生体物質の構造解析が論 文に報告されている。しかし、その数は、生体物質の遺伝情報の報告数から見るとま だ少ない。構造決定が非常に時間のかかる作業であることが原因である。本研究では、

精密構 造決定ではもっとも強カな手法であるX線結晶構造解析において、自動化がど れだけ可能であるかを述べている。

    本 論文 は4章 か らなる。 第1章 において、X線結晶 構造解析の 概要を述ベ 、最 近の新 しい手法についても触れている。第2章において、X線反射情報の収集時に必 要であ ろう幾っかのプログラムについて述べている。第3章において、X線回折の位 相決定に関することを述ぺている。第4章において、多波長異常分散法という新しい 手法による実験についての結果を述べている。以下に各章についての概要を述べる。

    第2章 では序論と して、使用 した座標系、測定装置について述べている。その 他の部分 は4つのセクションからなっている。X線回折実験を行い、データを収集す るためには、その前に結晶の格子定数、測定座標系における方位を知る必要がある。

古いスタイルの実験では、格子定数を決定するために、結晶の方位を測定座標系に合 わせて設置して(軸立てをする)、何枚かの写真を撮影するという方法を用いる。し かしこの作業は時間が掛かり、また結晶のX線による損傷が大きい場合には最良の方 法ではない。そこで、軸立てしていない結晶の静止回折イメージを、蛋白質結晶の場     ―234―

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合2枚、低 分子結晶の 場合10数枚撮 影し、この イメージよ りそれそれ の回折点の逆 格子点座標を求め、格子定数、結晶方位を決定するソフトウエアを作成した。数種の 低分子結晶の格子定数を決定することが可能であった。また蛋白質結晶(ヒト自血球 マクロフアージ遊走阻止因子)においても有効であることがわかった。しかし、この ソフトウエアにより決定された格子定数は結晶の対称性を満足していないことがある。

そこで、任意の格子定数からそれに対応する既約格子に変換し、この格子定数より可 能なブラペ格子定数を求めるソフトウエアを作成した。また、蛋白質結晶は空気中に 放置すると崩壊する。そこで、回折デー夕測定において結晶はガラスキャピラリーに 結晶化の母液と共に封印される。そのため、デー夕収集時に、結晶に溶液が付き、結 晶方位が多少変わることがある。その様なときに、測定時に対処する方法と測定終了 時に対処する方法について述べている。

    第3章に おいて、位 相決定につ いて述べて いる。結晶の構造を決定するために はーつ以上の同型置換結晶を得る必要がある。同型置換誘導体を得るためには、重原 子化合物溶液に結晶を浸す方法(侵漬法)と、一緒に結晶化する方法(共結晶法)が 用いられる。一般に侵漬法は同型性を保ちつつ、結晶中に重原子が拡散するために、

良いと考えられている(それでも完全な同型性を達成することは難しい)。しかし、

その半面、重原子との結合部位に重原子が到達することが結晶格子により妨げられる ので重原子は付きにくくなる。共結晶法は重原子の結合は十分に起こるが、同型性を 達成することが難しい。最近、放射光により短波長でのデー夕収集を行うことが計画 されている。そこで、共結晶法により得られた非同型重原子誘導体を短波長(0.3A) と吸収端付近のデー夕収集を行うことによる構造解析の可能性について研究した。ま た 、 重 原 子 位 置 を 自 動 決 定 す る ソ フ ト ウ エ ア の 試 作 を 行 っ た 。 .

    第4章に おいては、 セレノメチ オニンを用いた多波長異常分散法による蛋白質 のデー夕収集を行いその結果を述べている。実験には、マクロフアージ遊走阻止因子

(MIF)を 用いた。こ れは、今ま でに構造解析されたことのない蛋白質である。ヒ ト 自 血 球 由来 、 ラッ ト 肝臓 由 来の も の につ い て結 晶 化(NATIVE) を 試み 、X回 折実験可能なサイズであり、またX線による損傷も少ない良好な結晶を得ることに成

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功した。これと同時に、メチオニンをセレノメチオニンに置換した蛋白質の結晶化   (SE) 実 験 を 行 い 、 同 様 の 条 件でNATIVE結 晶 と同 型の 結晶 を得た 。先 のソ フ トウエア等により、これらの格子定数、空間群を決定した。非対称単位に含まれる分 子数の少なぃラット肝臓由来六方晶型の結晶を多波長異常分散法実験に用いた。デー タの収集のほとんどは高ヱネルギー物理学研究所の放射光実験施設で行った。モノク ロ メー タ はSi(111) 面 を 用 い た。 デ ー 夕 収 集 に 先立 ち、結 晶か らの 螢光X線 を 測定し、吸収端付近のデー夕収集波長を決定した。最終的に0.900、0.973、0.981、 1.100Aの4波 長それ それ にお いて デー夕 収集 を行 った。 デー 夕収 集は、結晶のc軸 を測定装置の回転軸に合わせ、1枚のイメージにバイフヅト対が同時に記録される条 件で、巨大ワイセンペルグカメラとイメージングプレートを使用して行った。予想さ れる強度変化と実際の強度変化の比較より、測定時の丿イズの影響が大きいことがわ かっ た。こ れら のデ ータを 用い て計算した差バターソンマップ(各種SEデータとN ATIVEの 差 ) と バ イ フ ッ ト 差 バ タ ー ソ ン マ ッ プ (SE、0.973A) は 共 通 の ピー クを持っていた。これらより、セレン原子の位置を4個決定することに成功した。予 想されるセレン原子は12個であり、残りのセレン原子位置は決定されていをぃ。セ レン原子の異常分散効果による強度変化は小さく、これを正確に見積もることが非常 に重要である。今回は、非対称単位に12個のセレン原子を含んでおり、そのために 差バターソンの解釈を困難にしていると考えられる。今回の実験では蛋白質の位相を 決定することは出来なかったが、ここで得られた経験はこれ以後の結晶構造解析の自 動化に役立つものと期待できる。

付録1として、格子定数決定ソフトウエアにより格子定数を決定した低分子の

構 造 に つ い て 述 べ て いる 。

    付録2とし て、第3章で議論している重原子位置自動決定のためのソフトウェ ア を載せ てい る。

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(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査

教授 教授 助教授

田中 引地 佐々 木

学 位 論 文 題 名

         ´、、`

邦男 直樹

A Study for Automatic X‑ray Protein          Structure Analysis

(X線蛋白質結晶構造解析の自動化に関する研究)

    生 体 物 質 を 研 究 す る に あ た り 、 そ の 性 質 の 研 究 と 並 行 し て 、 そ の 構 造 を 解 析 す る こ と が 必 要 と さ れて い る 。毎 年 数多 く の生 体 物質 の 構 造解 析 が 論文 に 報告 さ れて い るが 、  し かし そ の数は 、生体物質 の遺伝情報 の 報 告 数 か ら 見 る と ま だ 少 な い 。 構 造 決 定が 非 常 に時 間 のか か る作 業 であ る こ と が 原 因 で あ る 。 本 研 究 で は 、 精 密 構 造決 定 で はも っ とも 強 カな 手 法で あ る X線 結 晶 構 造 解 析 に お い て 、 自 動 化 が ど れ だ け 可 能 で あ る か を 述 ぺ て い る 。     本 論 文 は 4章 か ら な る 。 第 1章 に お い て 、 X線 結 晶 構 造 解 析 の 概 要 を 述 ベ 、 最 近 の 新 し い 手 法 に つ い て も 触 れ て い る 。 第2章 に お い て 、X線 反 射 情 報 の 収 集 時 に 必 要 と な る 幾 っ か の プ ロ グ ラ ム に つ い て 述 べ て い る。 第3 章 に お い て 、X線 回 折 の 位 相 決 定 に 関 す る こ と を 述 べ て い る 。 第4章 に お い て 、 多 波 長 異 常 分 散 法 に よ る 実 験 に つ い て の 結 果 を 述 べ て い る 。     第2章 は4つ の セ ク シ ョ ン か ら な っ て い る 。 X線 回 折 実 験 を 行 い 、 デ ー タ を 収 集 す る た め に は 、 そ の 前 に 結晶 の 格 子定 数 、測 定 座標 系 にお け る 方 位 を 知 る 必 要 が あ る 。 古 い ス タ イ ル の実 験 で は、 格 子定 数 を決 定 する た め に 、 結 晶 の 方 位 を 測 定 座 標 系 に 合 わ せ て設 置 し て( 軸 立て を する ) 、何 枚 か の写 真 を 撮影 す ると い う方 法 を用 い る。 し かし こ の作業は時 間が掛かり 、  ま た 結 晶 のX線 によ る 損傷 が 大き い 場合 に は最 良 の 方法 で はな い 。. そ こで 、 軸 立 て し て い な い 結 晶 の 静 止 回 折 イ メ ー ジ を 、 蛋 白 質 結 晶 の 場 合2枚 、 低 分 子 結 晶 の 場 合10数 枚 撮 影 し 、 こ の イ メ ー ジ よ り そ れ そ れ の 回 折 点 の 逆 格 子 点 座 標 を 求 め 、 格 子 定 数 、 結 晶 方 位 を 決 定す る ソ フト ウ エア を 作成 し た。 数 種 の 低 分 子 結 晶 の 格 子 定 数 を 決 定 す る こ と が 可 能 で あ っ た 。 ま た 蛋 白 質 結 晶

( ヒ ト 自 血 球 マ ク ロ フ ア ー ジ 遊 走 阻 止 因子 ) に おい て も有 効 であ る こと が わ かっ た 。 しか し 、こ の ソフ ト ウエ ア によ り 決定 さ れた格子定 数は結晶` の対称 性 を 満 足 し て い な い こ と が あ る 。 そ こ で、 任 意 の格 子 定数 か らそ れ に対 応 す る 既 約 格 子 に 変 換 し 、 こ の 格 子 定 数 よ り可 能 な ブラ ベ 格子 定 数を 求 める ソ フ ト ウ エ ア を 作 成 し た 。 ま た 、 蛋 白 質 結 晶は 空 気 中に 放 置す る と崩 壊 する 。 そ こ で 、 回 折 デ ー 夕 測 定 に お い て 結 晶 は ガラ ス キ ャピ ラ リー に 結晶 化 の母 液 と 共 に 封 印 さ れ る 。 そ の た め 、 デ ー 夕 収 集時 に 、 結晶 に 溶液 が 付き 、 結晶 方 位 が 多 少 変 わ る こ と が あ る 。 そ の 様 な と きに 、 測 定時 に 対処 す る方 法 と測 定 終

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了時に対処する方法について述べている。

     第 3 章にお いて、 位相決定について述べている。結晶の構造を決定 するためにはーつ以上の同型置換結晶を得る必要がある。同型置換誘導体を 得るためには、重原子化合物溶液に結晶を浸す方法(侵漬法)と、一緒に結 晶化する方法(共結晶法)が用いられる。一般に侵漬法は同型性を保ちつつ、

結晶中に重原子が拡散するために、良いと考えられている(それでも完全な 同型性を達成することは難しい)。   しかし、その半面、重原子との結合部位 に重原子が到達することが結晶格子により妨げられるので重原子は付きにく くをるニ共結晶法は重原子の結合は十分に起こるが、同型性を達成すること が難しい。最近、放射光により短波長でのデー夕収集を行うことが計画され ている。そこで、共結晶法により得られた非同型重原子誘導体を短波長

(0.3A )と吸収端付近のデー夕収集を行うことによる構造解析の可能性に ついて研究した。また、重原子位置を自動決定するソフトウエアの試作を行 った。      第 4 章にお いては 、セレノメチオニンを用いた多波長異常分散法に よる蛋白質のデー夕収集を行いその結果を述ぺている。実験には、マクロ ファージ遊走阻止因子(MIF )を用いた。これは、今までに構造解析され たことのない蛋白貫である。ヒト自血球由来、ラヅト肝臓由来のものについ て結 晶化( NATIVE )を試 み、   X 回折実 験可能 顔サイ ズであ り、また X 線による損傷も少詮い良好を結晶を得ることに成功した。これと同時に、   メ チオニンをセレノメチオニンに置換した蛋白質の結晶化(SE )実験を行い、

同様 の条件 で NATIVE 結昌 と同型 の結 晶を得 た。先 のソフ トウエア等に より、これらの格子定数、空間群を決定した。非対称単位に含まれる分子数 の少訟いラット肝臓由来六方昌型の結晶を多波長異常分散法実験に用いた。

データの収集のほとんどは高工ネルギー物理学研究所の放射光実験施設で 行った。モノクロメータは Si (111 )面を用いた。デー夕収集に先立ち、

結晶からの螢光 X 線を測定し、吸収端付近のデー夕収集波長を決定した。最 終的に0 . 900 、 0.9 73 、0.9 81 、1.100A の4 波長それそれにおいてデー夕 収集を行った。デー夕収集は、結晶のc 軸を測定装置の回転軸に合わせ、  1 枚のイメージにバイフット対が同時に記録される条件で、巨大ワイセンペル グカメラとイメージングプレートを使用して行った。予想される強度変化と 実際の強度変化の比較より、測定時のノイズの影響が大きいことがわかった。

これらのデータを用いて計算した差バターソンマヅプ(各種SE データとN ATIVE の 差 ) と バ イ フ ッ ト 差 バ タ ー ソ ン マ ッ プ (SE 、 0 . 973A) は 共 通のピークを持っていた。これらより、セレン原子の位置を4 個決定するこ とに成功した。予想されるセレン原子は12 個であり、残りのセレン原子位 置は決定されていをい。セレン原子の異常分散効果による強度変化は小さく、

これを正確に見積もることが非常に重要である。今回は、非対称単位に12 個のセレン原子を含んでおり、そのために差バターソンの解釈を困難にして いると考えられる。

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参照

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