• 検索結果がありません。

博 士 ( 工 学 ) 本 間 龍 也 学 位 論 文 題 名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 工 学 ) 本 間 龍 也 学 位 論 文 題 名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 工 学 ) 本 間 龍 也

学 位 論 文 題 名

銅 酸 化 物 高 温 超 伝 導 体 に お け る 電 子 輸 送 現 象 の 研究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  1986年 に ,BednorzとMullerに よ っ て ,30Kを 越 える 超 伝 導 転 移温 度Tcを 持つ 超 伝 導 が 発 見さ れて以 来,酸 化物 高温超 伝導体 の工学 的・ 実用的 研究と 共に, 基礎研 究が盛んに行われてき た 。 現 在 , 酸 化 物 高 温 超 伝 導 体 特 有 の 性 質 が 次 第 に 明 ら か に な っ て き て い る 。   酸化 物高 温超伝 導体は ,絶縁 体相に,結晶化学的な操作を行うことによって出現する。この際,

キャ リヤド ―ピン グ量 に応じ て,絶 縁体相 の低 濃度領 域,超 伝導相 の中間 濃度領域そして非超伝 導 金属 相の高 濃度領 域と大 きく3っの 領域に 分け られる 。高温 超伝導 のメ カニズ ムを調 べるた め には 超伝導 領域の 電子 状態を 明らか にする こと が重要 である 。光電 子分光 ,及び光学スペクトル の測 定から ,中間 濃度 領域に おいて フェル ミ面 の存在 を示唆 する結 果が得 られており,その電子 状態 はフェ ルミ液 体で あるこ とが強く支持されている。しかしながら,電子輸送現象に関しては,

電気 抵抗率 は金属 を示 唆する 直線的 な温度 依存 性を示 すのに 対し, ホごル 係数は双曲線的な強い 温 度依 存性を 示すた め,一 般の金 属と は異な って見 える。 この ため 異常な 性質 の1っとし て 考 えら れ,フ ェルミ 液体描 像を疑 問視 する見 方があ る。し かし ,この 見方は ,あく までも1キ ャ リヤ モデル に基づ いて おり, フェル ミ液体 描像 におけ る複数 キャリ ヤ伝導 を必ずしも否定するも ので はない 。

  超伝 導を 示す中 間濃度 領域の 電子状 態は 未だに 確立さ れてい ない のが現 状である。それ故,こ の電 子状態 を正確 に把 握する には各 種の実 験方 法を用 いた測 定を行 い常伝 導,超伝導状態を問わ ずに ,実験 デ一夕 闇の 整合性 の検討 ,理論 との 比較等 が必要 となる 。本研 究はフェルミ液体描像 に 立脚 して複 数キャ リヤ伝 導の簡 単な 例とし ての2キャ リヤモ デルを 用い て,電 子輸送 現象の 実 験 的 研 究 か ら 超 伝 導 を 示 す 中 間 濃 度 領 域 の 電 子 状 態 の 確 立 を 試 み た も の で あ る 。   本論 文は 次の6章か らなる 。

  第1章 は序 論であ り,銅 酸化物 高温 超伝導 体の基 礎研究 の現状 と問 題点を 取り上 げ,研 究目 的 と意 義を明 確にし た。 高温超 伝導は 電子相 関の 非常に 強い系 (非フ ェルミ 液体描像)から,フェ ルミ 液体描 像の成 り立 っ系へ と移り 変わっ てい く中間 の過程 で出現 する事 が知られている。その

(2)

変化 を反映 して電 子輸送 現象は 単純 な金属とは違い,複雑な温度依存性,及び組成依存性を示す。

こ の電 子 輸 送現象 の変化 を2キャリ ヤモデ ルで電 子論 的に明 らかに するこ とが 本研究 の目的 であ る。 モデル を選択 するに 至った 物理 的な背 景にっ いて述 べ, 銅酸化 物高温 超伝導 体の特性を理解 する 上で本 研究の 果たす 役割を 明ら かにし た。

  第2章 は多 結晶 試料の 作製と 電子輸 送現 象の測 定の実 験方法 にっい て述 べた。 試料は 酸化物 で あり ,必ず 酸素の 均一性 が問題 とな る。そ の点に 留意し て行 った試 料作製 法を述 べた。銅酸化物 高温 超伝導 体の中 間濃度 領域が 金属 に近い 状態で あるた めホ ール係 数は小 さい。 このため微小信 号 を 検 出 す る ホ ー ル 効 果 の 測 定 系 の 留 意 点 及 び 試 料 の 整 形 に 関 す る 詳 細 を 記 し た 。   第3章で は(Yl‑エCaエ )Ba:Cu。O,(y―6.6〜7.O)系の 電気抵 抗率 ,ホー ル係数及び超伝 導 転 移 温 度Tcの 酸 素 量 (y) , 及びCa置 換量 (x) 依 存性 の 実 験 結 果 にっ い て 述 べ た。 電 気 抵 抗率 は 温 度 の 減 少に っ れ ほ ぼ直 線的に 減少す る温 度依存 性を示 すこと ,ま たホ― ル係数(R") は 正で 双 曲 線 的 な 温度 依 存 性 を 示し , そ の 逆 数(17Rn) はほ ぼ直線 近似で きるこ とが判 った 。 更 に,Tcの ド ーピ ン グ 量 依 存性 は , 酸 素 の 増加 とCa置換 で は 違 う こ とが 判 った 。即ち ,酸 素 量yとCa置 換 量xの 増 加 は 共 に ド ー ピ ン グ 量 を 増 や す 働 き があ る に も 関 わら ず ,yの 増加 は Tcを 上 げ ,Ca置 換 はTcを 下 げ た 。 こ れ らの 事 実 は , 伝導 キ ャ リ ヤ に 対す る 酸 素 の 増加 とCa 置換 効果が 異なる ことを 示唆す る。

  第4章 はYo。Cao iBa:Cu。O,(YCBCO)系 の 電 気 抵 抗 率と ホ ー ル 係 数の 実 験 結 果 の2キ ャ リヤ モデル による 解析方 法と解 析結 果の考 察及び ,他の 酸化 物高温 超伝導 体にお ける解析結果に っ い て 述 べ た も の で あ る 。YCBCOの 解 析 結果 か ら 次 の3っ の 事 実 が 判 った 。 @ 電 気 抵抗 率 と ホ ール 係 数 の温度 依存性 は2キャリ ヤモデ ルでよ く再 現でき ること ,◎解 析に よって 得たキ ャリ ヤ密 度,移 動度及 び平均 自由行 程の 値は, バンド 伝導を 支持 する値 である こと, ◎キャリヤ密度 や移 動度の 値が酸 素量の 変化に 対し て連続 的に変 化し, その 変化は 光電子 分光等 で示されたドー ピ ング に 対 する電 子状態 の連続 的な変 化と は矛盾 しない ことが 判っ た。以 上の3っの 事実か ら,

Tc最 大 値 周 辺 の電 子 輸 送 現 象に 対 し て2キャ リ ヤ モ デ ルが妥 当であ ると 結諭さ れた。 更に,Tc 最 大値 周 辺 よりも 高濃度 領域に あるTlよBa:Cu0, ̄ 及びLaz̲エSrエCu0。 系にっ いても2キ ャリ ヤモ デルを 用いて 解析を 行った 結果 ,モデ ルの妥 当性が 確認 された 。

  第5章 は2点に っ い て 議 論・ 考 察 ・ 検 討が な さ れ た 。第1は 電 子 輸送 現 象 の2キ ャリヤ モデル に よ る 解 析 か ら 得 ら れ たYCBCO系 の キ ャ リヤ 密 度 と 移 動 度のy=6.8周 辺 で の 異常 に っ い て の 考 察で あ る 。YBa:Cu。0, で の バンド 計算の 結果と 比較 し,特 に頂点 酸素に 関連 したバ ンド変 化 と関 連 が あ る こ とを 示 し た 。第2は 第4章で述 べたよ うに多 くの銅 酸化 物高温 超伝導 体の電 子

(3)

輸 送 現象 は2キ ャ リヤ モ デ ル で説 明でき るこ とから ,大き く2っの型 に分類 でき ること を提案 し た。 その結 果に基 づい て常伝 導キャ リヤの 性質を 明示 し,そ の上で 超伝導 との 関連性にっいて議 論し た。

  第6章 は 結 論 であ り , 第1点は (Yl‑エCaよ )BaよCuユ0, 系の電 子輸送 現象 は2キ ャリ ヤモデ ルで 説明で きるこ と, 更に解 析によ って得 たキャ リヤ 密度と 移動度 のドー ピン グ量依存性は電子 構 造 の変 化 で 説 明 でき る こ と を 明 らか に し た 。 第2点 は,Tc最大値 より高 濃度 側の電 子輸送 現 象 に おい ても2キ ャリヤ モデル で説 明でき ること を明ら かに し,銅 酸化物 高温超 伝導体 の電 子輸 送現 象の統 一的描 像を 示した 。これ らの議 論から 従来 異常 に見 えた電 子輸 送現象はフェルミ 液体 に基づ ぃた2キャ リヤモ デル で説明 できる と結諭 した。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 助 教授

阿部 山崎 武笠 山谷

     寛 初男 垂一 和彦、

  1986年 にBednorzとMullerに よっ て30Kを越 え る 超 伝 導転 移 温 度 を 持つ 超 伝 導 体 が発 見 さ れて以 来,こ の分野 では多 くの 研究が 精力的 に行わ れて きたが ,現在 ,よう やくその基礎物性が 明らか になり つっあ る。

  本論文 は,銅 系酸 化物超 伝導体 の電子 輸送現 象を フェル ミ液体 モデル を基 礎に実験的な解析を 実行し た結果 をまと めたも ので ,全部 で六章 から構 成さ れてい る。

  第一章 は序論 であ り,こ こで著 者はフ ェルミ 液体 モデル を基礎 にとる 物理 的な理由を述べ,電 子輸送 論をこ の物質 の解明 の手 段とし て取り 上げた 点に っいて 議論を 展開し ,この研究の意義を 具体的 に明ら かにし ている 。

  酸化物 高温超 伝導 体では ,電子 相関の 強い反 強磁 性相が その骨 格とな って おり,これに結晶化 学的な ドーピ ングを 実行す るこ とによ り,超 伝導相 が出 現し, さらに 高濃度 のドーピングによル フェル ミ液体 へと移 行する こと が知られている。この変化のために,その中間相では電気伝導度,

ホール 係数が 特異な 温度依 存性 および 試料の 組成依 存性 を示す ことが 予想さ れる。一方,光電子

(4)

分光 ,光学 スペ クトル の実験 は,中 間相 中でフェルミ面が存在することを強く示しており,また,

複数 のフェ ルミ 面の存 在も示 されて いる 。これ は複数 のキャ リアに よる 電気伝 導の可能性を示唆 するものと考えられる。

  第 二章は ,多結 晶試料 の作製 と電 気伝導 ,ホー ル係数 測定 の実験 方法に っいて 述べている。試 料中 の酸素 の均 一性を 保持す るため の試 料作製 法,お よび微 小なホ ール 係数を 高い確度で測定す るための基本的な留意事項にっいて述べている。

  第三章は,(Y!―エCa』)BaよCuヨ0,(y二ニ6.6、〜7.O)系の電気抵抗率,ホール係数,超伝導 転 移 温 度の 酸 素 量 依 存性 , お よ びCa置換 量依存 性の 実験結 果にっ いて述 べて いる。 測定し た全 試料 におい て電 気抵抗 率は, 温度に 線形 な依存 性を示 すこと を明ら かに してい る。また,酸素の 増 加 は 転移 温 度 を 上 昇さ せ る がCa置換は 転移温 度を 低下さ せるこ とから 超伝 導転移 温度の ドー ピ 冫 グ 依 存 性 は , 酸 素 の 増 加 とCa置 換 で は 異 な る こ と を 明 ら か に し て い る 。   第 四 章 は, 本 論 文 の 中核 と な る 章 で あり ,Yo.aCao. iBaよCuヨ0ッ(YCBCO)系 の 電 気 抵抗 率 と ホ ール 係 数 に 関 する 実 験 結 果 を2キ ャ リ ア モデ ル に よって 解析し ,次の 結果を 得て いる:

  1)通 常 の金 属と著 しくこ とな る電気 抵抗率 とホー ル係数 の特 異な温 度依存 性は,2キ ャリア モ     デ ルによ って物 理的 に矛盾 なく説 明され ,実験 デー タを正 確に再 現する こと が可能である。

  2) 解 析 によっ て得 られた キャリ ア密度 ,移動 度, 平均自 由行程 は,フ ェル ミ液体 を基礎 とす     る一電子バンドモデルによる電気伝導を支持する・。

  3) キ ャ リア密 度, 移動度 は酸素 量の変 化にた いし て連続 的に変 化し, それ は光電 子分光 で見     られる電子状態のドーピングによる連続的な変化に対応する。

  さ らに, この結 果をよ り高濃 度領 域にあ るTl:BaユCu0ッ,La2̲エSrイCu0。の 両物質に適用し た 結 果 を述 べ,先 の2キャリ アモ デルが これら の物質 にっ いても 全く同 様に適 用され るこ とを明 らかにしている。

  第五 章 で は , 第 四章 の 結 果 を踏 まえ, 次の問 題点 にっい て議論 ,考察 がお こなわ れてい る。

YBa2Cuヨ07に お け る バン ド 計 算 の 結 果と 本 研 究 の 実験 結 果 を 比 較す る こ と によ り,キ ャリア 密 度 , 移動 度 のy =6.8近 傍に お ける 異常は 頂点酸 素に関 連す るバン ド変化 に密接 に関係 して い る こ と をま ず明ら かに してい る。第 二点は ,2キャリ アモ デルを 基礎に とると ,銅系 の酸 化物超 伝導 体を全 体的 にどの ように 捉える こと が可能 である かとい う点で ある 。これ によると,全体を 大き くニっ の型 に分類 するこ とがで き, 超伝導 相と常 伝導相 の相関 が明 確にな ることが明らかに されている。

  第 六章は 結論で あり, 本研究 で得 られた 成果の まとめ と, 銅系酸 化物超 伝導体 の輸送現象の統

(5)

一的な描像,および将来の理論的な発展にっいて述べている。

  これを要するに,本論文は銅系酸化物超伝導体における輸送現象の2キャリアモデルに基づく 統一的な物理描像を明らかにしたもので,超伝導物性工学,材料科学の進展に貢献するところ大 で あ る 。 よ っ て 著 者 は 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 す る に 値 す る も の と 認 め る 。

参照

関連したドキュメント

  

[r]

   第 2 章では ,本研 究で行 う疲労 解析の 基礎とをるECC の疲労劣化モデルの構築を行った.マイク ロ メカニ

[r]

modeling tool has been developed that comprises simple eddy viscosity concept without any

すべり系間の相互作用を新たに考慮することにより、多重すぺりが生じる変形条件を表現した。こ

[r]