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回転平膜モジュールの開発及びその排水処理への      適用に関する研究

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 大 熊 那 夫 紀 学 位 論 文 題 名

回転平膜モジュールの開発及びその排水処理への      適用に関する研究

学位論文内容の要旨

  近年、社会構造が環境型社会へ と移行するにつれ、膜分離装置技術の重要性が種々の分野で増々 認識 され て きて いる 。排 水処 理分 野に おいては、省スペース、省力化、処理水質 の高度化などの 観点 から 、 活性 汚泥 混合 液に 代表 され る高濃度懸濁液を直接に膜処理できる技術 が強く望まれて いる 。こ う した 要求 に対 して 、既 存の チューブラ型やプレー卜&フレーム型の膜 モジュールを用 いた シス テ ムが 実用 化さ れて いる が、 このシステムは運転動カの増大に加え、膜 処理を安定運転 する ため に 頻繁 に膜 洗浄 を行 うな ど、 維持管理上の問題を抱えている。そこで、 本研究では高濃 度懸 濁液 を 安定 して 、か つ低 動カ で運 転できる新しい膜モジュールである回転平 膜モジュールの 開発 研究 を おこ ない 、実 用機 を構 築す るとともに、活性汚泥混合液と凝集汚泥混 合液を対象液と して 各種 排 水処 理へ の適 用研 究を 行い 、回転平膜モジュールを用いた新しい排水 処理システムの 確立を目指レた。研究結果は以下 の通りである。

@回 転平膜モジュールの開発

  回 転平膜モジュールを開発するため、まず高濃度懸濁液の代表として、活性汚泥混合液を用い、膜 を回 転させることの効果を確認した。次に二軸かみ合わせタ イプの回転平膜モジュールの基本構造 を 立案 し た。 構成 要素 とし ては 膜材 質、 膜孔 径、 ディ スク 形状 に ついて検討し、ディスク径750 mmの実 規 模デ ィス ク構 造を 構築 した 。ま た、回転平膜モジュールに適した運転方法として、間 欠 減 圧運 転 を採 用し た。 実装 置化 を行 うに あたり、膜ディスクの保管、親水化方法等の取扱いに 関 す る検 討 を行 い、 乾燥 膜状 態で1年 間 保管 でき るこ とを 確認 し、 乾燥膜の親水化は20%のエタ ノ ー ル液 で 行え るこ とを 明ら かに した 。さ らに、膜ディスクの信頼性を膜の剥離強度の評価から 行 な い、 よ り信 頼性 の高 い膜 を開 発し た。 これらの検討結果に基づき、回転平膜モジュール、制 御 盤 、ポ ン プ類 等を 組込 んだ 実用 膜装 置ユ ニッ卜の標準化を行った。また、膜ディスクにおける 透 過 挙動 を 解析 する とと もに 、活 性汚 泥混 合液を対象に回転平膜モジュールにおけるろ過圧力、 回 転 数、 液 濃度 変化 によ るろ 過特 性を 調ぺ 、汚 泥濃 度10〜20g/Lの 範囲に透過流束の増加する領 域 が存 在することを明らかにした。これは、回転平膜モジュー ルに特有な現象であると考えられた。

さ らに 多 軸膜 モジ ュー ル内 の流 動シ ミュ レーションを行い、より低動力運転が可能な新しい膜 モ ジュ ールの可能性を示唆した。

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◎排水処理システムヘの適用

  排水処理システムにおいて、高濃度懸濁液の固液分離を必要とするのは、生物処理と凝集処理であ り、膜分離の対象となるのは活性汚泥混合液と凝集汚泥混合液である。生物処理を有するシステムと して、窒素除去システム、窒素・りん除去システム、ビル排水処理、食堂排水処理、再生水色度除去シ ステム、し尿処理システムについて、回転平膜モジュールの適用性を研究した。窒素除去システムで は、通産省の大型プ口ジェクト「アクアルネッサンス 90計画」で行った結果であり、生物学的窒素 除去シス テムの 固液分離 に回転 平膜モジ ュールを用いたことで、窒素の高負荷処理が可能になり、

本システ ムの有 効性を見 出した 。窒素・ りん除去システムは、窒素除去システムの生物反応槽にAl 系凝集剤 を添加 しており 、硝化 活性は低 下する ものの、 汚泥の高 濃度化 によルシ ステム の処理性 能は維持 できた 。食堂排 水処理 では、負 荷と膜 性能の関 係をまと めた。 ビル排水 処理で は、実規 模装置の 運転デ ータから 従来法 との比較 を行い ヽ建設費 、運転費 とも3割以上の低減が見込まれ、

システム の優位 性を明確 にした 。再生水 色度除去システムは、生物反応槽に粉末活性炭を添加し、

再生水の 処理水 質向上を 図った 。し尿処 理(生物系)では、二段膜処理システムの前段の活性汚泥 混 合 液 の 分 離 特 性 を 調 ベ 、 維 持 管 理 性 が 向 上 で き る こ と を 明 ら か に し た 。   また凝 集汚泥混 合液を対 象とし た排水処理システムについて、し尿処理(凝集系)、浄水場排泥 処理、ゴ ミ埋立 地浸出水 処理シ ステムヘ の適用を図った。し尿処理(凝集系)では、二段膜処理シ ステムの 後段の 処理、す なわち 色度とり んの除去を行うための凝集汚泥混合液の分離に適用した。

実施設へ の導入 結果につ しゝて 、既存の チューブラ膜との比較を行い、プ口セスの簡素化、運転費 の低 減 が 実証 で き た。 浄 水 場 排泥 処 理 では 、 厚 生省プ 口ジェ クト「MAC21計画 」「高度 処理MAC 21計画」 の中で研 究を行っ た結果 、対象汚 泥液の50g/L以上 の濃縮 が可能であることを明らかにし た。ゴミ 埋立地 浸出水処 理は、 既存プ口 セスの 簡素化を 目的に、 凝集一 沈殿―砂 ろ過― 活性炭処 理 を 凝 集 槽 に 粉 末 活 性 炭 を 添 加 し 、 こ の 混 合 液 を 膜 分 離 す る 簡 素 なプ □ セ スを 確 立 した 。

  最後に 、回転 平膜モジ ュール は新しい 膜モジュ ールと して成書 などに 記載され、ーつの膜モジ ユール 型式と 認知され た。また 、回転 平膜モジ ュール を用いた 新しい 排水処理システムを構築で き、実 機も多 数稼動し ている。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

回転平膜モジュールの開発及びその排水処理への      適用に関する研究

  近年、社会構造が環境型社会へと移行するにっれ、膜分離装置技術の重要性が種々の分 野で益々認識されてきている。排水処理分野においては、省スペース、省力化、処理水質 の高度化などの観点から、活性汚泥混合液に代表される高濃度懸濁液を直接に膜処理でき る技術が強く望まれている。こうした要求に対して、既存のチューブラ型やプレー卜&フ レーム型の膜モジュールを用いたシステムが実用化されているが、このシステムは運転動 カの増大に加え、膜処理を安定運転するために頻繁に膜洗浄を行うなど、維持管理上の問 題を抱えている。そこで、本研究では高濃度懸濁液を安定して、かっ低動カで運転できる 新しい膜モジュールである回転平膜モジュールの開発研究を行い、実用機を構築するとと もに、活性汚泥混合液と凝集汚泥混合液を対象液として各種排水処理への適用研究を行い、

回 転 平 膜 モ ジ ュ ー ル を 用 い た 新 し い 排 水 処 理 シ ス テ ム の 確 立 を 目 指 し た 。   本論文 は6章 から構成 されて いる。第1章は序論であり、研究の背景と必要性にっいて 言及して いる。 第2、3章で は、回 転平膜モジュールの開発にっいての研究成果がまとめ られている。回転平膜モジュールを開発するため、まず高濃度懸濁液の代表として、活性 汚泥混合液を用い、膜を回転させることの効果を確認した。次にニ軸かみ合わせタイプの 回転平膜モジュールの基本構造を立案した。構成要素としては膜材質、膜孔径、ディスク 形状にっ いて検 討し、デ ィスク 径750mmの 実規模 ディスク 構造を構築した。また、回転 平膜モジュールに適した運転方法として、間欠減圧運転を採用した。実装置化を行うにあ たり、膜 ディスクの保管、親水化方法等の取扱に関する検討を行い、乾燥膜状態で1年間 保管できることを確認し、乾燥膜の親水化は20%のエタノール液で行えることを明らかに した。さらに、膜ディスクの信頼性を膜の剥離強度の評価から行い、より信頼性の高い膜 を開発した。これらの検討結果に基づき、回転平膜モジュール、制御盤、ポンプ類等を組 み込んだ実用膜装置ユニットの標準化を行った。また、膜ディスクにおける透過挙動を解 析するとともに、活性汚泥混合液を対象に回転平膜モジュールにおけるろ過圧力、回転数、

液濃度変 化によるろ過特性を調べ、汚泥濃度10〜20g/Lの範囲に透過流速の増加する領域 が存在することを明らかにした。これは、回転平膜モジュールに特有な現象であると考え られた。さらに多軸膜モジュール内の流動シミュレーションを行い、より低動力運転が可 能な新しい膜モジュールの可能性を示唆した。

  第4章 では回転平膜モジュールの活性汚泥混合液の分離への適用についての研究成果を まとめた。排水処理システムにおいて、高濃度懸濁液の固液分離を必要とするのは、生物

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公 男

義 哲

辺 桑

渡 高

授 授

教 教

査 査

主 副

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処理と凝集処理であり、膜分離の対象となるのは活性汚泥混合液と凝集汚泥混合液である。

生物処理を有するシステムとして、窒素除去システム、窒素・リン除去システム、ビル排 水処理、食堂排水処理、再生水色度除去システム、し尿処理システムにっいて、回転平膜 モジュールの適用性を研究した。窒素除去システムでは、通産省の大型プロジェク卜「ア クアルネッサンス 90計画」で行った結果であり、生物学的窒素除去システムの固液分離 に回転平膜モジュールを用いたことで、窒素の高負荷処理が可能になり、本システムの有 効 性を見 いだした 。窒素 ・リン除去システムは、窒素除去システムの生物反応槽にAl径 凝集剤を添加しており、硝化活性は低下するものの、汚泥の高濃度化によルシステムの処 理性能は維持できた。食堂排水処理では、負荷と膜性能の関係をまとめた。ビル排水処理 で は、実現膜装置の運転データから従来法との比較を行い、建設費、運転費とも3割以上 の低減が見込まれ、システムの優位性を明確にした。再生水色度除去システムは、生物反 応槽に粉末活性炭を添加し、再生水の処理水質向上を図った。し尿処理(生物系)では、

二段膜処理システムの前段の活性汚泥混合液の分離特性を調べ、維持管理性が向上できる ことを明らかにした。

  第5章では回転平膜モジュールの凝集汚泥混合液の分離への適用について報告した。凝 集汚泥混合液を対象とした排水処理システムにっいて、し尿処理(凝集系)、浄水場排泥 処理、ゴミ埋め立て地浸出水処理システムへの適用を図った。し尿処理(凝集系)では、

二段膜処理システムの後段の処理、すなわち色度とりンの除去を行うための凝集汚泥混合 液の分離に適用した。実施設への導入結果について、既存のチューブラ膜との比較を行い、

プロセスの簡素化、運転費の低減が実証できた。浄水場排泥処理では、厚生省プロジェク 卜 「MAC21計画」「 高度処 理MAC21計 画」の 中で研究 を行った結果、対象汚泥液の50gfL 以上の濃縮が可能であることを明らかにした。ゴミ埋め立て地浸出水処理は、既存プロセ スの簡素化を目的に、凝集ー沈殿―砂ろ過一活性炭処理を凝集槽に粉末活性炭を添加し、

この混合液を膜分離する簡素なプロセスを確立した。

  第6章iま結諭である。回転平膜モジュールは新しい膜モジュールとして成書などに記載 され、一つの膜モジュール型式と認知された。また、回転平膜モジュールを用いた新しい 排水処理システムを構築でき、実機も多数稼働している。

  以上要するに、著者は排水処理の高度化、高率化のための新しい回転平膜装置を開発し、

それが高濃度の活性汚泥混合液や凝集汚泥混合液の分離に極めて有効であることを実証し ており、環境工学の発展に貢献するところ大なるものがある。

  よ って著 者は、北 海道大 学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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