長崎大学工学部研究報告 第30巻 第55号 平 成12年7月 229
LCA による排水処理 システムの環境影響評価
楠 本 茂 人 * ・武政 剛弘 ** ・早瀬 隆司**
石 橋 康 弘 *** ・古 本 勝 弘 **** ・多 田 彰 秀 ****
EvaluationoftheEnvironmentalImpactsintheContextof WastewaterTreatmentSystemsbyLCA
by
ShigetoKUSUMOTO事,TakehiroTAKEMASAH,TdkashiHAYASE**
YasuhiroISHIBASHI***,KatsuhiroFURUMOTO*** * andAkihideTADA**辛I
Productionsystemsofthemodem societyhaveacloserelationshipwithawiderangeoffields.Undersuchasitu‑
ation,variousenvironmentalproblemsareanslnglnVariousplacesandtimes.Therefore,forthesolutionoftheseenvi‑ ronmentalproblems,insteadofexam inlngtheenvironmentalefrectsofanydevelopmentactionandresultingphenom‑
enafrom oneviewpolnt,itisnecessarytoanalyzetheeffectsfrom awideviewpoint.Consideringthisbackground,as onestepinsolvingtheseenvironmentalproblemstheLifeCycleAs sessment(LCA)techniqueforenvironmentalimpact assessmentwillbeexaminedinthisresearch.
1.は じめに
現代社会 における社会 ・生産 システムは,幅広 い分 野 と密接 な関係 を有 してお り,社会のあ らゆ る場面 で 相互依存 関係 をつ くりなが ら複雑 な もの となってい る.
この ような社 会構造 の下 で は多様 な環境 問題 が種 々の 場所 や時 間で存在 してい る.その解決 に際 しては,任 意 の開発行為 や現 象 に伴 う環境影響 を一側面 か ら考察 す るので はな く,広範 囲の視点 に立 ち影響 を解析す る 必 要が ある.例 えば,排水処理施設等 の社会基盤施設
は多 くの社会 的な活動 を基礎 か ら支援 す る ものであ り, それ らが社会活動 と関連 してい るこ とは容易 に想像 で
きる.したが って,社会基盤施設 に注 目すれば,計画 ・ 設計 の段 階か ら環境調和性 の配慮 が十分 に行 われ なけ れ ば,社会全体 の方向性 であ る環境調和 に相 反す る結 果 を与 える こ とになる.本研 究 で は, システムの設計 か ら廃棄 に至 るまでの ライフサ イクル とい う観点 に立 ち社会基盤施設 の建設が環境 に及 ぼす影響 を定量化 し
て評価 す る.換 言す れば,環境影響評価 法であるLC A (LifeCycleAs sessment)を用 い,2種類 の排水処理 システムを対 象 と して,両者の環境への影響度 を定量 的 に比較す る.対象 とす る排水処理 システムは,従来 か らの3次処理 システム と,新 しく提案 されてい る植 物 の浄化作用 を利用 し排水処理 を行 う水耕栽培 方式 に
よる排水処理 システムであ る.
2.LCAの概要
近年 ,製品製造の環境影響評価 に対 して適用が試み られてい るLCAは,検 討対 象 とす る製 品の ラ イ フサ イクル を通 した環境負荷量 の直接量 お よび誘引量 を定 量化 し,環境‑ の影響 を評価 しようとす る手法 であ る.
特 に空 間スケールや時 間スケールの異 なる環境問題 の 取 り扱 いや,計 画 ・設計時 におけ る環境 的 コス トの最 良化 に関す る検討 な どを行 う際 に有効で あ る と考 え ら れ る.その フ レーム ワー クは,(∋目的 と範囲の明確化 ,
平成12年4月21日受理
*大学院修士課程社会開発工学専攻 (GraduateStudents,DepartmentofCivilEngineering)
= 環境科学部 (FacultyofEnvironmentalStudies)
*= 環境保全 セ ンター (EnvironmentalProtectionCenter)
*= '社会開発工学科 (DepartmentofCivilEngineering)
230 楠本 茂人 ・武政 剛弘 ・早瀬 隆司 ・石橋 康弘 ・古本 勝弘 ・多田 彰秀
② インベ ン トリ分析,⑨影響評価,④結果の解釈の 4 段階か ら構成 されている.目的 と範囲の明確化では, LCAの 目的 を明確 に し, 目的 に応 じた検討対 象範囲 の設定 を行 う.インベ ン トリ分析では,検討対象物質 をライフサ イクル内で詳細 に分析 し, ライフサ イクル でのインプ ッ トお よびアウ トプッ ト表の作成が最終成 果 となる.影響評価 (環境影響分析及び評価)では, インプッ ト・アウ トプッ ト解析 をもとに して環境負荷 の状況や環境影響 を解析 し評価 を行 う.最後 に結果の 解釈では,評価の結果 と解析当初 に設定 した改善 目標 とを比較 し, システムの改良および改善 について検討 が行われる.なお必要に応 じてその結果が各段階にフ
ィー ドバ ックされる1).
LCAは近年普及 しつつある手法であるため,その 方法論 は十分に確立 されているとは言い難い. しか し, LCAに関す る世界的 な関心が高 まった ことに伴 い, 欧米 を中心 とす る複数の機 関 によって,LCAに一貫 性 ・統一性 を持たせ るべ く種 々のガイ ドラインが提唱 されて きた.現在 は,国際標準化機構 (ISO)でその 規格化が進め られている2).国際的 な合意に基づ く統 一的な規格がで きれば,LCA手法 による解析結果 間 の比較が容易 にな り,ひいては方法論の確立 にもつな が ってい くもの と思 われる.その国際規格化の状況 を まとめた ものを表 ‑1に示す.
表‑1 ISOにおける作業の進捗状況 項 目 規 格 化 内 容 発 行 状 況 ISO14040 LCA‑原則及びフレームワーク
ISO14041 LCA‑目的及び範囲の明確化と インベントリー分析 ISO14伽2 LCA‑ライフサイクル影響評価
ISO14043 LCA‑ライフサイクル解釈
ISO14伽8 LCA‑ライフサイクルアセスメ ントのデータ報告書様式 ISO14伽9 LCA‑ISO14041の適用 に関す
る例
1997年に発行済み 1998年発行済み
国際規格案の段階 1999年中に発行予定 国際規格案の段階 1999年中に発行予定 テクニカルレポートの段階 1999年中に発行予定 テクニカルレポートの段階 1999年中に発行予定
3.LCAを実施 す る際の検討対象 とす る環境 カテゴ リーの選定
LCAに関す る既存 の文献 や事例等 に基づ くと,対 象 とする環境 カテゴリーは二酸化炭素の排 出量やエネ ルギー消費等の単独 カテゴリーが大半 を占め,複数の 環境 カテゴリー を対象 としたLCAの事例 は数が少 な い.言い換 えれば,環境 カテゴリーの選定 には十分 な 議論が なされていないように思われる.筆者 らが レビ ューを行 った文献 では3)4),対象 とす る環境 カテ ゴ リ
一に次元的なばらつ きが生 じていたため,統一的な比 較がで きない. この ようなことか ら,本研究では,現 在環境科学者が用いる次元 を採用 し,環境 カテゴリー の次元的統一を図っている.環境問題 に関する次元 と は,その時間的背景 をもとに5段階 に分けられ,それ ぞれのアル ファベ ッ トの頭文字 をと り,D ・P・S・E
・Rと表現 される.その頭文字は,D:Drivingforce一 原 因,p:pressure一圧 力,S:state一状 況,E:E触ct一 影響,R:Response一対応 であ る. これ らの次元 をモ デル化 した ものを図‑1に示す.
E∃ ⊂コ ⊂
≡
コ ⊂≡]Eコ図‑ 1 次元の簡略モデル図
同国を見 ると, 5段階にグルー ピングされた環境 カ テゴリーは,隣 りあ う次元の環境 カテゴリー と相関を 有 し,次元的なつなが りの もとで,地球環境問題が形 成 されている. これ らの次元的な考察 を行 うにあた り, 各次元の クライテ リアを示す必要がある.そ こで,Ef‑
fectとしては,環境 として維持 ・保全 してい くべ き対 象への影響 と考 えた.特 に,世界的なコンセ ンサスが 持続可能な開発へ と向か う中で,環境 を維持 ・保全 し てい くべ き目標 は,「人間の健康,生態系お よび資源」
とした.さらに,Effectの具体的状況 を示す もの をstate と定義す る.その結果,本研究では,対象 とする環境 カテゴリーを,地球温暖化,オゾン層破壊,酸性化, 大気汚染,富栄養化,水質汚染,資源の消費お よび廃 棄物排出 としている.
4.検討対象 とする排水処理 システムの概要
4.1 ハウステンボスにおける排水処理 システム 対象 とする排水処理 システムは,長崎県佐世保市ハ ウステ ンボス町にあるテーマパークハ ウステ ンボス内 にある. 自然環境 と都市環境の共存 をコンセプ トとし た街づ くりを目指すハ ウステンボスでは,中水の再利 用,運河の水質保全お よび海水の淡水化の3点か ら水 環境の保全 と水資源の有効利用 を目指 したシステムを 構築 している5).今 回の研究対象は,ハ ウステ ンボス
LCAによる排水処理 システムの環境影響評価
内で稼動 中の3次処理 システムにあたる活性汚泥処理 後の接触酸化処理か ら限外通過処理 まで とした.その 処理 フローを簡略化 し,図‑2(i)に示す. この シ ステムによる処理水量 は,ハ ウステ ンボスの平均処理 水 量3,400nf/dayを採 用 す る.なお,後述 す る水 耕 栽培方式 による処理水量 に もこの値 を用いる.
4.2 水耕栽培方式 による排水処理 システム
1997年 に諌早湾の調整池が締め切 られ,諌早湾 に沿 岸地域の生活排水が流入す ることで急速 に湾内の水質 は悪化 している. この ような現状の中,長崎県は周辺 地域の下水道 を普及 させ,高度 な浄化処理 を行 う必要 性 を提唱 している. しか し,当該地域 は小規模 な農村 落であ り,財政面等の理 由で高度処理施設の設置が困 難である.そ こで,現行の排水高度処理施設の代替 と して,長崎県北高来郡森 山町 において水耕 田による浄 化 システムの研究が行 われてい る.本研究では,その 研究成果 (衣‑2参照) を参考 に して 自然浄化作用 を 利用 した水耕栽培方式 による排水処理 システムを想定 し,上述 した既存 の排水処理 システム との環境影響 の 比較検討 を加 える.水耕栽培方式 による処理 フローに 関 して簡略化 した もの を図 ‑2(ii)に示す.
5.排水処理 システム にお け る環 境 負荷 量 の定 量化 (インベ ン トリ分析 )
5.1 インベ ン トリ分析の方針
インベ ン トリ分析 としては,現在,積み上 げ法 と産 業連関分析法の2通 りがある.積み上 げ法 とは,各対 象の ライフサ イクル段 階毎での環境負荷 を積み上 げて い く方法である.作業連関分析法 とは,一国の産業 を で きる限 り詳細 な部門に分 け,部門感 の金額のや りと りか ら負荷量 を推定す る方法である.本研究では,檎 討す る対象が システムであ り,施設の建設や多数の機 器等 を有 している. このため,簡略的でかつ一定 の精 度 を望 むため には,両方法の併用が望 ま しい と考 えた.
そ こで,建設 ・供用 ・廃棄の各段階で構成 される機器 お よび資材等 の物量 を把握 し,産業連関分析法 によっ てそれ らの環境負荷量 を定量化する とともに,結果 を 積み上 げてい くことで対象 とす る排水処理 システムの 環境負荷量 を算定す る.それ らに関 して簡略化 した も のを図‑3に示す.比較す る両 システムの供用期 間は 30年 とした.その他 の インベ ン トリ分析 に関す る算定 条件の詳細 は表‑3に示す とお りである.
231
(i)ハ ウステ ンボスの システム
I
I 大気千へ
前処理設胎「[.芯=:≡≡三三↓I三≡丁「垂コ
(ii)水耕栽培方式 の システム 図‑2 処理水 フロー図 秦‑2 水耕栽培実験施設諸元表
栽培路 W1.2mXL6mXHO.3m(7.2m2/laneX51ane) 栽 培 面 積 36m2(7.2m2/1aneX 51ane)
流 量 1.81/min 滞 留 時 間 33hour
栽 培 水 量 W1.2mXL6m XHO.3m X51ane‑3.6rrf 消 章 量 2.6nf/day
232 楠本 茂 人 ・武政 剛弘 ・早瀬 隆司 ・石橋 康弘 ・古本 勝 弘 ・多田 彰秀
表‑3 インベン トリ分析の算定条件
環境負荷要因の数量 原単位の内容
ハウステンボスの排水処理システム 水耕栽培方式の排水処理システム
建
設 建築工事 建築延べ床面積 ビニールハウスの設置 建築延べ床面積あた りの原単位 土木工事
機械工事
電気工事 設計図面 より使用 されている工事数量を 設計計算を行い算出 した工事数 資材種類毎の重量,容量及び構成材量 と製造電力あたりの原単位 時 把撞 し算出 した資材量等 量を把撞 し想定 した資材量等
供 用
時 電 力 過去の使用電力量 より年平均電力使用量 機器の動力を算定 し,使用時の 使用電力あたりの原単位 を算出 し,供用期間を乗 じた量 電力量を算定
薬 品 過去の使用薬品量 より年平均薬品使用量を算出 し,供用期間を乗 じた量 なし 薬品等消費量あた りの原単位
保 守 ・機器設備 *1回/15年交換 と仮定 ・機器設備,電気工事 *建設時と同様 建設時 と同様
・電気工事*0.8回/15年交換 と仮定 ・ビニールハウス交換 と仮定 :1回/10年
廃
秦時 廃材処分 建設時の工事数量に基づ く発生廃材量量を算定)(建築工事分についても躯体工事分の数 建設時と同様 発生廃材重量あた りの原単位
図一3 イ ンベ ン トリ分析 の概念図
5.2 インベ ン トリ分析 で使用 す る原単位
イ ンベ ン トリ分析 は環境負荷 を評価 す る項 目に関 し てその定量化 を行 う手法である.環境負荷項 目と して は,環境 カテ ゴ リー毎 に発 生要因 となる もの を選定 し た.秦‑4は,その一覧 と本研 究 での対応方針 をまと めて示 している.それ らの環境負荷項 目を定量化す る 際 に用 い る原単位 は,文献 レヴユ‑の結果 よ り,八千 代 エ ンジニ ア リングの審巻氏作 成 の原単位6)を使用 し
た. この原単位 を採用 した理 由は,複数の環境負荷項
目を取 り扱 ってい ること,原単位情報 の整理 に際 して 一般公表 されてい る統計資料 を複合使用 している こと, 分類分 け等 は部 門数 を極 力制限 しているこ と等 か ら,
よ り一般 的な もの と判断 したためである.
5.3 排水処理 システムの物量の把握
ハ ウステ ンボスの排水処理 システムで,建設時 に使 用 された資材 お よび機器等 の物量 は,実際 の図面 と専 門家‑ の リスニ ングによ り把握 を行 った.供用時のエ ネルギーお よび薬品使用量 は,稼動 中の システムであ る ことか ら,現在 までの年平均使用量 を算定 し,供用 期 間の30年 を乗 じた. なお廃棄時の物量 は建設時 と同 様 とした.一方,水耕栽培方式 による排水処理 システ ムで の物 量 は,処 理水 量3,400rrf/dayに基 づ い て設 計 した結果か ら算定 した.供用 時の物量 については, 機器等 の諸元 よ り使 用 エ わ レギー量 を算定 し,供用期 間の30年 を乗 じて求めた. さらに,廃棄時の物量 は建 設時 と同様 と した.
5.4 インベ ン トリ分析 の算 出結果
算 出 した環境負荷量並 びにそれ らの構成割合 を表 ‑ 5,表 ‑6,図一4お よび図‑5に示す.ハ ウステ ン ボスの システムで は,埋 立廃棄物 を除 くいずれの環境 負荷項 目において も供用 時の環境負荷が大 きくなって い る.す なわ ち,供用時の環境負荷 の割合 は全体 の65
‑90%程度,建設時で は10‑25%,廃棄時で は5‑10%
となっている.一方 ,水耕栽培方式 による システムで
LCAによる排水処理 システムの環境影響評価
衣‑4 環境負荷項 目に関す る一覧及び本研究での対応方針
233
環境 カテゴリー 環境負荷項 目 表示単位 排水処理 に伴 う影響 対 応 方 針
地 球 温 暖 化 CO2 kg‑C エネルギー消費の結果 として排 ガス中にまた処理過程での反応 としての排出がある.C02の排出がある. (⊃
オ ゾ ン層 破 壊 CFC kg‑CFC 直接的なフロン頬の排出はな く,開溝的な負荷 に限 られる. 直接的なインパ ク トは考えに くいため対象 としない.
酸 性 化 SOXNOx kkg‑SO2g‑N02 エネルギー消費に伴 う排 ガスがある. ○
大 気 汚 染 NOxSOX kkg‑N02g‑SO2 エネルギー消費に伴 う排 ガスがある. ○
富 栄 華 化 T‑NT‑PCOD kg‑CODkkg‑Ng‑p 処理水の放流がある.ただ しこの場合は処理行為により環境負荷減量 とい う効果 としてみることがで きる. ○ 水 質 汚 染 BOD kg‑BOD 処理水の放流がある.ただ しこの場合は処理行為により環境 ○
COD kg‑COD 負荷減量 という効果 としてみることがで きる.
資 源 消 費 消 費 熱 量 Mcal ルギーを消費 して排水処理 を行 っている.ブロワをは じめ とする動力設備が多数存在 し,それ らがエネ ○
は,すべ ての環境負荷項 目において供用時の環境負荷 が大 きくなっている.その割合はハ ウステ ンボスの場 合 と比較 して若干低 くなってお り,全体の50‑80%程 度 である.水耕栽培方式 によるシステムでは供用時 に 薬品の使用がない ものの,水圏へ影響 を及ぼす環境負 荷項 目の割合はハ ウステ ンボス同様 に高 くなっている.
また,建設時は建設資材量が少 ないため,その割合は 小 さくなっている.
6.排水処理システムの環境への影響評価に関する考察 6.1影響評価指標の検討
環境影響の定量化 は,対象 とす る環境 カテゴリー毎 に影響の大 きさを求めて評価す る.本研究では,表 ‑ 3に示す ように同一 カテゴリー内に複数の環境負荷項 目が存在す るため,各環境負荷項 目について重み付 け 係数 を設定 し統合化 を図 っている.表‑3に示す富栄 養化 (環境 カテ ゴ リー)の定量化 の場 合 には,COD,
T‑Nお よびT‑P(環境負荷項 目)の環境負荷量 をそ れぞれ算出 し,秦‑7の算定式 に示 される重み付 け係 数の導入によって統合化する とともに,富栄養化指数 LEUで評価 してい る.なお,衣‑ 7には評価 の対 象
と指標億の決定手法の概略 を示す.
6.2 環境影響の定量化 に関する算 出結果
両 システムの環境負荷量 を比較 した結果 を図‑6に 示す.同図 よ り,水耕栽培方式 によるシステムの方が 環境負荷量 は少 ないことがわかる.特 に,資源消費 と 地球温暖化では,水耕栽培方式 によるシステムがハ ウ ステ ンボスでの環境負荷量の10%程度 となっている.
酸性化お よび大気汚染では,水耕栽培方式 によるシス テムがハ ウステ ンボスでの負荷量の70%程度 となって
秦‑ 5 ハ ウステ ンボスの排水処理 システムの全 ライ フサ イクルでの環境負荷量
二 } ・‑ 't A‑ ・'主 ; さ . ‥ こ こ ・ 「
←● ■
図‑4 ハ ウステ ンボスの排水処理 システムの仝 ライ フサ イクルでの環境負荷量の構成割合
衣‑6 水耕栽培方式の排水処理 システムに よる全 ラ イフサ イクルでの環境負荷量
エネ ルギMealー‑. k2●‑C えVxーSOZEPJU xQ I tL+■tg● ECOJDDD T‑R‑NN TA‑‑PP gB‑BOODD
■ It工」土木工■事 18(冶378432l67921105 I166 2573433雅349 1115227365 81661346)7 85tJl7 &2 8304719747 汝時1It‑1気工妖工f+ 叫)1170 71546572 1741387 276抑7766 l2l236且 1L5l2284 21717434 216825 41757241
′J、書† 205142息 250224 352一(沌 850497 27875 lO5160 l2刃1 744 121986 i. ・:= )6952364 83 18604 2082600 18743 41 35057 一582 36237 用時 保小可Jt 18111386m 5561 88565356727 22 22793613恥04 3143643108 22B43164%l21 224127770581 14恥1恥88 210673517470
二き 一・t 二・t ニ ー き 、 :‑ ‑ll‑ 'l ‑i
l
fl
ll I
図‑5 水耕栽培方式の排水処理 システムによる全 ラ イフサ イクルでの環境負荷量の構成割合
234 楠 本 茂 人 ・武政 剛弘 ・早瀬 隆司 ・石橋 康 弘 ・古本 勝 弘 ・多 田 彰秀
秦‑7 評価の対象 と指標値の決定手法の概略7)8)9)
環境カテゴリー 指標値の決定手法 単 位 算 定 式 引用その他
地球 温 暖 化 温暖化指数,GWP (CO2‑ 1) t‑C 酸 性 化 酸性化指数,AP (SO2‑ 1) t‑SO2 大 気 汚 染 排出基準値の逆数 t‑SO2 富 栄 着 化 富栄養化指数,NP (PO43‑‑1) t‑PO4 水 質 汚 濁 排出基準値の逆数 t‑OD 資 源 の 消 費 燃料 の高位発熱量 Mcal 廃 棄 物 排 出 埋立廃棄物量 t‑DPW
LGW‑Lco2+35LcH4+260LN20 LA仁‑Lsox+0.7LNOX LAC‑Lsox+1.112LNOX
LEU‑0.022Lcol)+0.42LT‑N+3.06L卜P
IPCC ライデン大学 環 境 基 準 ライデン大学 環 境 基 準
お り,他の環境 カテゴリー と比較す るとその割合は大 きい.これ らの ことより水耕栽培方式による排水処理 システムの方がハ ウステ ンボスの システムより環境負 荷 を低減化 させることが可能であると判断 される.
環境調和性の観点か ら,水質汚濁物質除去量あた り の環境負荷量 を算出 し,評価する.特 に, リン ・窒素 除去量あた りの環境負荷量の比較 を図‑7お よび図‑
8に示す.ハ ウステ ンボスでのシステムの方が リンの 除去量は多 くなっているが,両図 より,除去量あた り の環境負荷量は水耕栽培方式 によるシステムのほうが 小 さくなっている.窒素除去 に関 しては,ハ ウステ ン ボスでの システムの除去量が水耕栽培方式の場合の 2 倍近い値 となっているため,水耕栽培方式 によるシス テムの方が酸性化 と大気汚染に対する環境影響度は大 きくなっている. これは ビニールハ ウスの建設,保守 お よび廃棄 による影響 と考 えられる. また,設定 した 処理水量 を水耕栽培方式で処理すること自体が非現実 的であったため と考えられる.総合的な観点か らは, ハ ウステ ンボスのシステムの方が水質浄化 には基準以 上の成果 を示 しているが,他の環境 カテゴリーへの環 境影響が大 きく, システムの環境調和性の観点か ら水 耕栽培方式のシステムに劣 っているもの と考 えられる.
両排水処理 システムを比較 したとき,水耕栽培方式 に よる排水処理 システムの方が環境負荷量の低減化 を実 現可能なシステムであ り,環境調和性 を考慮 したシス テムであると判断 される.
7.結 論
本研究では,製品製造のライフサイクルに関 して本 格的な適用が始 まっているLCAを採用 して, 2つ の 排水処理 システムの環境影響評価 を行 った.その結果, 水耕栽培方式 によるシステムの方が環境負荷量は少 な
く, また リン ・窒素除去量あた りの環境負荷量の比較 において も環境影響の度合が小 さいことも確認 され, 環境‑の貢献度の高いシステムであることがわかった.
本研究で採用 した LCAに関 しては,製品へ の適用 が
×105I.PO4 ×10 t.SO2
図‑6 両排水処理 システム全サ イクルにおける環境 負荷量の比較図
×103I‑PO4 ×10A(̲so2
図‑7 両排水処理 システムの リン除去量あた りの環 境負荷量比較図
図‑8 両排水処理 システムの窒素除去量あた りの環 境負荷量比較図
LCAに よる排水処理 システムの環境 影響評価
ほ とん どであ る現状下 で,排水処理 システムに代表 さ れ るような社会基盤施設‑ の適用 も十分 に可能 であ る ことが わか った. さらに,広域 的 な環境 問題 を も対 象 とで きるばか りで な く,定量 的 な評価 も行 える点で, LCAは非常 に有効 な環境影響評価手法 であ る
といえる. しか し, インベ ン トリ分析 で は十分 なデー タを得 られ ない点や, システムが生 み出す環境負荷量 の大小 が判断で きない等 の問題点 も明 らか になってお
り,今後 これ らを詳細 に検討 してい く必 要があ る.
謝 辞
本研 究 を遂行す るにあ た り,有限会社 マ ツオア ン ド パー トナーズ ・本多圭助氏 に研 究協 力 を頂 いた. また, 長崎県衛生公害研 究所 ,ハ ウステ ンボス技術 セ ンター 株式 会社 には貴重 なデー タの提供 して頂 いた. ここに 上記 した全 ての協 力者 に深甚 の謝意 を表す る.
なお,本研 究 の一部 は, 日本貿易振 興会長崎支部 , 長崎県産業技術振興財 団の研 究助成 を受 けた こ とを付 記す る.
参考文献
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し」
号,pp.709‑717,1996
4)新エ ネルギー ・産業技術総合 開発機構 ,(輔地球環 境 産業技術研 究機構 ,㈲ 化学工学会 :平成 7年度調 査 報告書 NEDO‑GET9505 化 学工 業 製 品 にお け る トー タル ・エ コバ ランスの分析手法 に関す る調査
(Ⅲ),1996
5)船津正義 ・走永哲雄 :ハ ウステ ンボスの環境 ・設 備計 画概 要
6)霜巻 峰 夫 ・野 池達 也 :LCAにお け る多 項 目環 境 負荷量 の定量化 に関す る研 究,環境 システム研 究会
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7)霞 ヶ関地球温 暖化 問題研 究 会翻 訳 :IPCC地球 温 暖化 レポー ト, 中央法規,1991
8)戦略LCA研 究 フ ォー ラムLCA :製 品の環境 ライ フサ イ ク ル ア セ ス メ ン ト,サ イエ ンス フ ォー ラ ム,1994
9) 日本 エ コライフセ ンター :環境へ の負荷 の評価 に 関す る予備 的検討,1993
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