東京都 平成28年度夏期VOC対策セミナー
印刷分野における
VOC対策の基本について
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• 印刷の方式について
• VOC排出実態
• VOC排出削減の手立て(抑制策・工程・設備)
• インキ・機材等の転換
• 処理装置の導入
全国グラビア協同組合連合会
専務理事 村田英雄
平成26年8月5日 環境省
環境省 2020年オリンピック・パラリンピック東京 大会を 契機とした環境配慮の推進について
(抜粋)
2
総論:東京大会の環境面からの意義
(1)「環境にやさしい五輪」の実現
(2)「環境都市東京」の実現
大会施設や運営に、積極的に環境技術等を導入し、我が国の技術を国内 外に発信する「ショーケース」とする。
(3)わが国の環境技術の展開・情報発信
オリンピック憲章(抜粋)IOC の使命は、世界中で『オリンピズム』を推進することと、オリンピック・ムーブメントを主導するこ とである。IOCの役割は: (中略) 13. 環境問題に関心を持ち、啓発・実践を通してその責任を 果たすとともに、スポーツ界において、特にオリンピック競技大会開催について持続可能な開 発を促進すること。
3
大会の低炭素化 東京都市圏の低炭素化
大会運営に係る温室効果ガス排出量の削減
大会運営に係る全ての活動からのCO2排出量を把握し、建設、運営、廃棄のプロ セス全体で排出量を削減
施設等への最先端技術(L2-Tech)の導入
地域外からの再生可能エネルギーの調達
強化されたグリーン購入基準の導入強化されたグリーン購入基準の適用
現行のグリーン購入制度の一層の展開を図るため、
環境関連事業やイベントでの現行基準よりも厳しい 購入基準の自主的採用を促しつつ、東京大会でも 世界最高水準のグリーン購入が実施されるよう技術 的支援等を行う。
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大気汚染対策
東京都及び周辺地方公共団体と連携して、光化学
オキシダント等の濃度低減対策を推進するととも
に、注意報発令等に関する情報提供サービスを充
実する。
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紙の発明から写真の発明までの歴史
• 紙は中国で発明され、世界へ広まっていった
• 木版印刷の始まりは中国での“摺仏 (すりぼとけ) ”から
• 世界で初めてつくられた金属製の朝鮮活字
• グーテンベルクが発明した活版印刷術
• ヨーロッパで一時期を築いた木版と銅版
• 日本にも伝来していた金属活字による印刷術
• 石版印刷の発明が導いたオフセット印刷
• 江戸時代の文化と栄華を支えた木版印刷
• 印刷の技術と役割を大きく変えた「写真」
「日印産連」HP(ぷりんとぴあ)より
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印刷とは
多くの人に同じ情報を伝達する事を目的に原稿をもとに印刷 版を作り、この版にインキをつけこれを紙,フィルム,布,そ の他に転写して多数の複製物を作る。
印刷方式には版の種類(凸版,凹版,平版,孔版)とそれぞれ の印刷機がある。
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オフセット印刷(平版)
(版式原理)
金属版
・非画像部(水)
・インキ
ブランケット胴
版胴 インキローラー
水ローラー
圧胴
主な用途・・・出版 , 商業印刷(ウエブ) , 包装紙 , カートン , ライナー紙 , シート
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オフセット印刷機
オフセット印刷機(ハイデルベルグ・ジャパンHPより)
9
「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 10ない。
「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 11フレキソ印刷(凸版)
版胴 圧
インキ ヒップアップロール
アニロックスロール
主な用途・・・段ボール , ポリエチレン表刷 , 牛乳カートン , 紙器
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※
フレキソ印刷(通常は油性)、水性はあるが、フイルム印刷には極めて 限定的に使用され、印刷品位は劣る。グラビア印刷(凹版)
インキ
版 圧
ドクター
主な用途・・・出版 , 軟包装(食品包装) , 紙器 , 建装材
13
※水性(含アルコール)グラビア印刷もあるが、経済性・品質等に課題
があり、特化された用途に使用されているが、普及には至っ ていな い。14
グラビア印刷
「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 15 イソプロピルアルコール(IPA)等。「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 16ラミネート
17
※「ノンソルラミネート」 無溶剤( non-solvent
)の意で、全く溶剤を使用しない ラミネート方式。VOCの発生がないので導入が進んでいる。グラビア印刷の製品
18
【参考資料】 優れもの!「鰹節削りパック」
19
日本ポリエチレン製品工業会連合会テキストより
【参考資料】 ハムは4枚、フィルムは12層
20
日本ポリエチレン製品工業会連合会テキストより
上部
内面 内面
下部 印刷部分
「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 21「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 223 . ラミネーター 乾燥のための送風機能力 能力: 5,000㎥/時以上。
排出口濃度
1400ppmC
測定:年1回
排出口濃度
400ppmC
測定:年1回
排出口濃度
700ppmC
測定:年1回
「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 232015
年12
万7
千トン40
万5
千トン15
万6
千トン24
25
26
揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ報告書(平成27年3月)
世界の大気汚染物質
地理統計要覧 2016 版㈱二宮書店より
27
中国はデータなし
2011
年度日本のCO2排出量は11
億8675
万トン(3.4
%)世界の
CO2
排出量346
億トンオフセット印刷工場のVOC発散・拡散の状況 測定実験(6事業所)を実施(日印産連) P35
VOC
ガス漏れを検出 する赤外線サーモ グラフィの動画(
FLIR
システムジャパンFLIR GF320
㈱協力VOC 発散を見る
28
29
30
排出実態の把握
[対策①:簡易測定法によるVOC
濃度測定]
[対策②:VOC
警報器の活用]
[対策③:「東京都VOC
対策アドバイザー派遣制度(無料)」の活用]「VOC対策アドバイザー制度利用のススメ」
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/air/air_pollution/attachement/advisersusume.pdf
(出典:メーカー提供資料より作成)
<オフセット印刷用 VOC 警報器>
(出典:(一社)日本印刷産業連合会より提供)
<検知管の写真例>
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「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 32「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 33オフセット印刷工場向け「VOC警報器」を GP資機材として認定
一般社団法人日本印刷産業連合会(以下日印産連)は、オフセット印刷工場において有機溶剤等 による健康障害防止のため、あらかじめ決められたVOC気中濃度を越えると警報を発する
「VOC警報器」XH-981GをGP資機材※として認定しました。
従来オフセット印刷工程では、作業環境への
VOC
の発生は少ないと考えられていましたが、熱線 式半導体センサーを利用して作業中のVOC濃度の変化を連続的に測定したところ、特にインキ ローラー洗浄時に多くのVOCが発生することが判明し、その対策が求められていました。一般社 団法人日本印刷産業連合会と新コスモス電機株式会社は、オフセット印刷工場における有機溶剤 等による健康障害防止のため、あらかじめ決められたVOC気中濃度を越えると警報を発する「VOC 警報器」XH-981Gの説明用ビデオを制作し、インターネットより配信開始しました。平成28年1月25日「日印産連」報道資料より 34
スモークテスター
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インキ・溶剤缶からの発生
(グラビア)
36
ウエス廃棄缶からの発生
(グラビア)
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38
グラビア印刷機からの発生
(グラビア)
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グリーンプリンティング(GP)認定制度とは
一般社団法人日本印刷産業連合会が印刷業界の
自主基準として制定した環境配慮総合認定制度
GP認定制度の活用 P 37
< GP 認定制度>
• < GP 工場認定制度>
• < GP 資機材認定制度>
• < GP 製品認定制度>
• メリット
GP 工場に認定され、 GP 資機材を使用し、 GP マーク表示製 品を製造することで、 VOC 排出抑制に繋がり、作業環境も 改善します。
GP 認定工場は印刷発注者に対して、業界団体が認定した 環境配慮工場であること、 GP マークを製品に表示できるこ となどをアピールできます。
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グリーンプリンティング認定制度の柱
グリーンプリンティング工場認定制度(GP工場認定)
●日印産連「オフセット印刷サービス」グリーン基準の「工程」「事業者の取組み」
の基準を達成した工場を認定
◇平成18年4月開始。 ☆平成23年12月デジタル印刷工程認定開始。
●シール、グラビア、スクリーン印刷工場を認定 ◇平成20年1月開始。
●平成28年7月1日までに
359工場
が認定グリーンプリンティング製品認定制度(GP製品認定)
●日印産連グリーン基準「購入資材」に適合した資材を使用、
GP認定工場が製造した製品にGPマークの表示が可能
●平成 18 年 10 月開始、 26 年 9 月末現在 13,406 件 (3 億 915 万部 )
グリーンプリンティング資機材認定制度(GP資機材認定)
●洗浄剤、エッチ液、現像機、プレート、セッター、デジタル印刷機等
●平成 22 年 9 月開始、 588 製品認定登録(平成 28 年 4 月現在)
グリーン プリンティング
認定制度
環境問題に対する社会的要求が高まり、印刷 産業も環境に配慮した製品作りが求められて います。そこで、日本印刷産業連合会(略称:
日印産連)では、印刷産業界の環境自主基準
「印刷サービスグリーン基準」を制定しました。
グリーンプリンティング認定制度(略称:GP認 定制度)は、本基準を達成した工場・事業所を 認定、環境経営に積極的な印刷関連企業とし て推奨するとともに、同基準に適合した印刷 製品にグリーンプリンティングマーク(GPマー ク)を表示することにより、環境に配慮した印 刷製品が広く普及することを目的としています。
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GP資機材認定制度とは
(オフセット)
GP資機材認定制度の概要
・本制度に参加する印刷資機 材提供メーカー及び資機材を データベースに登録し、GP認 定工場及びその他印刷関連 事業者、印刷発注者等が検索 できるようWEB上に公開する とともに、該当製品にGPマー クを表示できる制度です。
・参加メーカーに対しては、メ リットを得られる多くのサービ スを提供するとともに、該当製 品の販売促進に繋がる活動を 展開します。
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校正時の排出削減 P 38
• [対策①:デジタル校正を行う(オフセット)]
校正時にインクジェットプリンタ、レーザプリンタ、 PDF
等を使用してデジタル化することにより、印刷版の作成が 不要になり、インキや洗浄剤の使用が削減できます。
デジタル校正に変更し、本機校正や平台校正機による校 正の回数を減らすことは VOC の排出量削減につながります。
• [対策②:校正機を導入する(グラビア)]
校正機を導入して本機校正の回数を減らすことは VOC の排 出抑制につながります。本機校正を行っている時は本刷り
がストップしますので、本機校正の回数を減らすことは生産性の 向上にもつながります。
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グラビア校正機
「GRAVO-PROOF MULTI (8色マルチ校正機)」 ㈱日商グラビア提供
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版(シリンダー)の浅版化 P 40
(グラビア)
<浅版化した場合の特徴>
長所 短所
・ 乾燥性が良い。
・ 省エネになる。
・ VOCの発生 削減となる
・ 印刷濃度制御が難しくなり、表現できるグラデーション の範囲が狭くなりやすい(特に淡い色)。
・ かすれが出やすくなる。
・ デザイン性が満たされない場合がある。
・ 既存シリンダーを浅版化する場合、シリンダーの作製コ ストがかかる。
・ 版が摩耗しやすく、版摩耗による色調変化が大きい。
・ メジウム(透明インキ)を印刷インキに混ぜにくくなる。
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印刷機周辺の風の低減 P 41
インキパンなどの開口面積の縮小 印刷機周辺の風の低減 P 43
局所排気による過剰吸引の防止 印刷機周辺の風の低減 P 44
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洗浄方法の見直し P 46
(オフセット)
<主な洗浄方法>
[対策①:含浸布型洗浄システムへの切り替え]
[対策②:洗浄プログラムの改善・適正化]
メリット
手洗浄から機械洗浄に変更すると、作業員の作業環境も改善されます。
洗浄剤の拡散防止は洗浄剤の購入費用の削減につながります。
50 洗浄方法
インキローラー
手洗浄 洗浄瓶を用いてインキローラーに手で直接洗浄液を
かける。
機械洗浄 機械を用いてインキローラーに洗浄液をかける(自
動液洗浄)。
ブランケット
手洗浄 洗浄剤を含浸させたウエスで拭き取る
機械洗浄
(ブラシタイプ) 洗浄剤を吹き付けたブラシをブランケットに当てて自 動洗浄する。
機械洗浄
(ドライタイプ) 洗浄剤を吹き付けた布をブランケットに当てて自動 洗浄する。
機械洗浄
(ウェットタイプ) あらかじめ洗浄剤を含浸させた布をブランケットに当 てて自動洗浄する(含浸布型洗浄システム)。
廃ウエスからの溶剤回収・再生 装置の導入 P 47
保管・貯蔵・廃棄時における揮発防止
P 48
UVインキへの転換 P 49
水性インキへの転換 P 50
51
VOC低減インキへの転換 P52
ハイソリッド・無溶剤型・水性接着剤への転換 P 54
IPAレス湿し水への転換 P 52
水なし印刷システムへの転換 P 53
低VOC洗浄剤への転換 P 55
52
53
「
P&E
マネジメント 代表 寺田勝昭様より提供」 5455 平成23年度VOC対策セミナー(2012.2.14)「VOCに配慮した印刷発注の取組事例」株式会社サークルKサンクス資料より
平成23年度VOC対策セミナー(2012.2.14)「VOCに配慮した印刷発注の取組事例」株式会社サークルKサンクス資料より 56
57 平成23年度VOC対策セミナー(2012.2.14)「VOCに配慮した印刷発注の取組事例」株式会社サークルKサンクス資料より
58 平成23年度VOC対策セミナー(2012.2.14)「VOCに配慮した印刷発注の取組事例」株式会社サークルKサンクス資料より
59 平成23年度VOC対策セミナー(2012.2.14)「VOCに配慮した印刷発注の取組事例」株式会社サークルKサンクス資料より
ご清聴ありがとうございました
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E-mail: zenkoku-grv@jfpiorjp 村田英雄
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