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磁場の強い中性子星天体Her X-1のMAXI観測データ解析

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Academic year: 2021

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磁場の強い中性子星天体

Her-x1

MAXI 観測データ解析

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要旨

磁場の強い中性子星天体 Her-X1 の連星周期と超軌道周期を確認することを研究目的とし、 全天X 線監視装置 MAXI(マキシ)観測データの解析をした。MAXI の観測データは MAXI-day データとMAXI-orbit データ、2 種類あるためそれぞれの周期で観測データを使 い分ける。MAXI-day データはX線天体の1 日ごとの変化を、MAXI-orbit データは90 分 ごとの変化を観測したデータである。Her-X1 の場合、連星周期はMAXI-orbit データを、 超軌道周期はMAXI-day データを使用する。これは、Her-X1 の連星周期は約 1.7 日であ ることと、超軌道周期が約35 日であるとされているからである。解析は以下の手順で行う。

1. インターネットサイト MAXI RIKEN から Her-X1 のMAXI-day データと

MAXI-orbit データをダウンロードする。 2. MAXI の観測データから観測不良部分を削除する。これは、観測不良により正しく ないデータが存在するためである。 3. 修正後のデータを解析し、X線の変化から Her-X1 の連星周期と超軌道周期を見つ けていく。 その結果、解析したMAXI 観測データから Her-X1 の連星周期と超軌道周期を確認す ることができた。

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目次

1 中性子星天体 Her-X1

1.1 中性子星天体について 1.2 中性子星天体と Her-X1

2 全天 X 線監視装置 MAXI(マキシ)

2.1 MAXI について 2.2 使用した MAXI のデータについて

3 観測と解析

3.1 不要データの削除 3.2 観測結果の修正 3.3 Her-X1 の連星周期と超軌道周期

4 結果と考察

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1 中性子星天体 Her-X1

1.1 中性子星天体について

1967 年に電波パルサーとして発見されたとされている(電波パルサー…強い磁場を持 ち、高速で自転している天体)。中性子星天体は、質量の大きい恒星の超新星爆発によっ て誕生する。超新星爆発により、外層部は宇宙に放出され、中心部に残った核が中性子 星となる。特徴として、非常に高速で自転していることと、非常に密度の高い天体であ ることが挙げられる。また、中性子星天体全てではないが、強い磁場を持ったものが多 く、今回の研究対象であるHer-X1 も強い磁場を持っている。

1.2 中性子星天体と Her-X1

強いX 線を放射している中性子星天体を「X 線星」とよぶ。「X 線星」の多くは、他の星 とペアになってお互いの周りをまわっている、近接連星系とよばれるものが多い。さらに、 「X 線星」であり近接連星系であるものを「X 線連星」とよぶ。例として、ブラックホール 天体などが挙げられる。その中でも非常に規則正しい周期性をもったX 線放射をしている 「X 線連星」を「連星 X 線パルサー」とよぶ。「連星 X 線パルサー」に Her-X1 も含まれ る。 このことから、Her-X1 は非常に強い磁場を持った中性子星であり、ペアになってお互い をまわっている天体が存在することがわかる。 *近接連星系とは、2つの星が互いに接触するくらい近くをまわっているようなもの。 図1 宇宙航空研究開発機構 http://www.isas.jaxa.jp/引用

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5 図 1 のように、中性子星天体の周りを他の天体がペアとなってまわっている。星はガス を吹き出しており、中性子星の強い重力場に引き付けられて流れ込んでいき、ちょうど地 球の南極や北極に相当する磁極にガスが落ち込んで、強いX 線を放射する。 また、一定の周期でお互い周りをまわっており、ペアとなっている天体が中性子星の周 りを一周する周期を連星周期という。Her-X1 の場合もペアとなる天体が存在し、連星周 期は約1.7 日であるとされている。図 1 からもペアとなっている天体から落ち込んだガスが、 中性子星天体の周りでリングのようなものになっているのがわかる。このリングが中性子 星の周りで歳差運動をしていることが、超軌道周期の起源となっていると考えられている。 Her X-1 の超軌道周期は、約 35 日である。

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2 全天 X 線監視装置 MAXI(マキシ)

2.1 MAXI について

全天X 線監視装置 MAXI: Monitor of All-sky X-ray Image の略である。世界最高性能の 広視野X 線カメラを国際宇宙ステーション(ISS)に搭載し、これによって全天のX線天体 を観測できる。X 線による宇宙の観測を行い、X 線を放射するのではなく、天体から発せら れる宇宙に飛び交う X 線をカメラがとらえるという仕組みである。X線天体の1日から、 数カ月にわたるX 線の強度変化を 90 分に 1 回の間隔で監視し、1 日ごとの観測データを MAXI-day データ、90 分ごとの観測データをMAXI-orbit データという。今回の実験では、 それぞれのデータを周期によって使い分ける。 図2 宇宙航空研究開発機構 http://www.isas.jaxa.jp/引用

2.2 使用した MAXI のデータについて

インターネットサイトMAXI RIKEN から Her-X1 の観測データをダウンロードして 使用する。MAXI-day データとMAXI-orbit データの2 種類のデータが存在するので、解析 の際には、連星周期と超軌道周期でそれぞれを使い分ける。また、MAXI 観測データは縦 軸をX 線のカウント数/cm2/s とし、横軸を修正したユリウス日とする。図 3 のみでこれを 表記しているが、以下の図も単位は同じである。

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3 観測と解析

3.1 不要データの削除

図3 MAXI による Her-X1 の 1 日ごとのX線の動き 図4 MAXI による Her-X1 の 90 分ごとのX線の動き -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 54500 55000 55500 56000 56500 57000 57500 X 線のカウント数 /cm 2/s 修正ユリウス日

MAXI-dayデータ

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 54500 55000 55500 56000 56500 57000 57500 修正ユリウス日

MAXI-orbitデータ

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8 図3、4が、ダウンロードしてきたMAXI の観測データをそのまま図示したものである。 図 3 が 1 日ごとの観測である MAXI-day データで、図 4 が 90 分ごとの観測である MAXI-orbit データである。2 つのデータを比較すると、MAXI-orbit データのほうが、非常 に細かくなっているのがわかる。また、それぞれのデータの赤で丸く囲っているのは不良 データ部分である。これは、MAXI の観測不良によって生じたもので、このままデータ解 析を行ってしまうと結果に悪影響を与えるので予め削除しておく。

3.2 観測結果の修正

図5 修正後の MAXI による Her-X1 の 1 日ごとのX線の動き 図6 修正後の MAXI による Her-X1 の 90 分ごとのX線の動き -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 54500 55000 55500 56000 56500 57000 57500 修正ユリウス日

MAXI-dayデータ

-0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 54500 55000 55500 56000 56500 57000 57500 修正ユリウス日

MAXI-orbitデータ

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9 図5と図6は、観測データの赤で囲った不良データ部分を削除したあとのものである。こ のデータを解析してHer-X1 の連星周期と超軌道周期を見出していく。

3.3 Her-X1 の連星周期と超軌道周期

超軌道周期

図7 解析後の MAXI による Her-X1 の 1 日ごとのX線の動きと超軌道周期について 図 7 は、MAXI-day データを修正し、350 日程度の期間を拡大したものである。この散 布図は、MAXI による Her-X1 の 1 日ごとのX線の変化を表しており、縦軸の 0.4 付近の データが等間隔で観測されていることがわかる。また、等間隔で変化している部分が、下 の目盛りから約35 日ごとに観測されている。Her-X1 の超軌道周期は約 35 日ごとである とされているので、このX線の変化は、Her-X1 の超軌道周期を表していると考えられる。 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 55050 55100 55150 55200 55250 55300 55350 55400 修正ユリウス日

MAXI-dayデータ

35 日

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連星周期

図8 解析後の MAXI による Her-X1 の 90 分ごとのX線の動きと連星周期について 図8 は、MAXI-orbit データを修正し、拡大したものである。この散布図は、MAXI によ るHer-X1 の 90 分ごとのX線の変化を表している。下の目盛りは 35 日を 1 とした 35 日 周期の位相で、この図は約12~13 日間のX線の変化を表している。Her-X1 の連星周期は 約1.7 日とされているので、35 日の間で 20 回程の等間隔でのX線の変化が見られることに なる。よって、図8 は約 12~13 日間のX線の変化を表しているので、約 7 回の連星周期を 確認することができる。 MAXI データを解析した結果、等間隔でのX線の変化が 6 回確認できた。下の目盛りか ら見ても約1.7 日であるので、これは Her-X1 の連星周期であると考えられる。 *X線強度がマイナスにまでなってしまうのは、MAXI の観測データには多少の誤差があ るためである。 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 35日を1とした35日周期の位相

MAXI-orbitデータ

1.7日

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4 結果と考察

[考察]

Her-X1 の連星周期と超軌道周期を解析した MAXI 観測データから確認することができ た。

Her-X1 の超軌道周期について

解析したMAXI-day データから、約35 日周期の Her-X1 の超軌道周期をみることがで きた。これは、MAXI-day データ解析が正確にできたためであると考える。超軌道周期は、 中性子星天体の周りをまわっているガスが歳差運動を繰り返しており、それによって中性 子星天体が見え隠れしてX線に変化があらわれる。 図9 中性子星天体と歳差運動をしているガスの動きについて(降着円盤は中性子星天体の 周りのガスのことで、伴星はペアとなって周りをまわっている天体のことである) 左の図は井上先生の臨時授業からの引用 左の図から確認できるように、伴星から中性子星天体へガスが落ち込んでいく。落ち込 んでいくガスは中性子星天体の周りをリングのように囲み(降着円盤)右の図のように、 中性子星を中心としてコマの首ふりのような歳差運動をしている。Her-X1 の場合も、 MAXI 方向からみて、Her-X1 がガスによって隠れたときにX線が弱まり、Her-X1 がみ えてくるようになるとX線が強まる。作成した散布図からも、このX線の変化をみること ができHer-X1 の超軌道周期である 35 日の等間隔で確認することもできた。

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Her-X1 の連星周期について

解析した MAXI-orbit データから、約1.7 日ごとの変化をみることができた。これは、 MAXI-orbit データ解析が正確にできたためであると考える。連星周期は、ペアになってお 互いの周りをまわっている天体が、中性子星天体の周りを1周する際のX線の変化である。 図10 中性子星天体とペアとなっている天体の動き 図10 のように、中性子星天体の周りをまわっている天体が存在する。一定の周期でお互 いをまわっており、これを連星周期という。また、中心の中性子星天体はX線を放射して おり、それをMAXI が観測する。MAXI からみて、中性子星天体とその周りをまわってい る天体が日食のように重なってしまうと、中性子星天体から放射されているX線が弱くな る。そして、」天体が遠ざかるとX線が強くなる。このようなX線の変化も作成したグラフ からみることができHer-X1 の連星周期である 1.7 日の等間隔で確認することができた。 今回の実験からMAXI の観測データを解析し、作成したグラフから等間隔でX線が変化 しているのがわかった。また、それぞれが1.7 日と 35 日であることがわかり、Her-X1 の 連星周期と超軌道周期を確認することができたといえる。 中性子星天体 X 線

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参考文献

 宇宙情報センター http://spaceinfo.jaxa.jp

 宇宙航空研究開発機構 http://www.isas.jaxa.jp/

参照

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