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彗星の軌道

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2013年度

卒業論文

彗星の軌道

明星大学 理工学部 総合理工学科 物理学系 天文学研究室

10S1-010

大枝克弥

10S1-018

久保寺亮

提出日 2013 年 12 月 20 日

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2

要旨

今年は「彗星の当たり年」と言えるほど数多くの彗星がやってきた。ISON 彗星、

lovejoy 彗星、Encke 彗星、LINEAR 彗星が 11 月から 12 月にかけて夜空に集まったの である。その中でも2012 年 9 月 21 日にキスロヴォツク天文台によって発見された ISON 彗星は多くの情報を集めた。太陽から 120 万kmまで接近し、視等級がマイナス になり、金星や満月の明るさを超える大彗星になる可能性もあると言われていた。しか し、予想よりも明るくなることはなく、近日点を通過するとともに分裂してしまうなど、 私たちの期待を裏切る彗星になってしまった。そんなISON 彗星に私たちは興味を持ち、 ISON 彗星の観測を実施し、彗星の軌道計算を行う目標をたてた。しかし、先に記述し た通り近日点通過の際に突然の分裂に観測天体を失うアクシデントに見舞われたので ある。彗星が消滅したことにより数回の観測となり十分な観測データがとれないため、 彗星の軌道の予測する軌道要素に着目した。

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3

目次

はじめに ... 5 1 章 彗星 ... 6 1-1 これまでの歴史 ... 6 1-1-1 彗星は太陽系のもの ... 6 1-1-2 彗星の発見 ... 7 1-2 彗星の構造 ... 8 1-2-1 核 ... 9 1-2-2 コマ ... 9 1-2-3 プラズマテイル ... 9 1-2-4 ダストテイル ... 9 1-3 軌道による分類 ... 10 1-4 彗星の起源 ... 11 2 章 軌道予測 ... 13 2-1 軌道決定のために ... 13 2-1-1 直交座標系 ... 13 2-1-2 座標の変換 ... 16 2-1-3 軌道の形 ... 16 2-1-4 軌道平面 ... 18 2-2 軌道決定の原理 ... 19 2-2-1 時間の計算 ... 19 2-2-2 軌道の形を決める ... 22 2-2-3 座標からのパラメーターの決定 ... 25 2-2-4 軌道平面の確立 ... 27

(4)

4 3 章 観測 ... 30 3-1 機材 ... 30 3-1-1 望遠鏡 ... 30 3-1-2 カメラ ... 31 3-2 撮像 ... 32 4 章 考察 ... 34 謝辞 ... 36 参考文献 ... 37

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5

はじめに

数年に幾度か、この地球から肉眼で観測することができる彗星。古来では彗星が夜空 に現れると、大災害といった不吉なことの前兆とされてきた。近年でも、彗星が来ると世 界的に病気が流行するなどあまりいい印象をもたれなかった。彗星の軌道や周期は大きく 異なり、数年後に戻ってくる彗星もあれば、二度と見ることのできない彗星もある。同じ 彗星をじっくりと観測するのは難しく、謎が多い天体でもある。

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6

1章

彗星

1-1 これまでの歴史

1-1-1 彗星は太陽系のもの

彗星の運動は惑星のような帰回性や、規則性を示さないものが多い。そのため、 昔はその運動ですら謎とされてきた。アリストテレスの宇宙大系では、彗星は“月 下界”の存在で太陽系の一員ではないとされてきたが、ニュートンによる力学体系 の完成と万有引力の法則の発見により、太陽の引力の作用下に彗星も運動している ことが確立され、現在では太陽系の天体として認知されている。彗星の運動が確立 されたのは1680 年と 1682 年に現れた 2 つの彗星を観測し理論的解析をしたニュー トンとハレーによるものである。 図 1-1 豪・サイディングスプリング天文台で撮影されたマックノート彗星(C/2006 P1)AstroArts 引用

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7

1-1-2 彗星の発見

彗星の記録は紀元前から存在した。望遠鏡は無論ない時代なので等級の高い大彗 星の記録である。文献の中には彗星とされているが、実は超新星であったとされる 彗星もあった。1572 年にカシオペア座に現れた彗星は超新星であったと言われてい る。1577 年 11 月 2 日にロンドンで発見された彗星は射手座の上空、日没後の西空 に22°にもわたる見事な長い尾を引き、1578 年 1 月 26 日のことでペガサス座の中 で消えた。1618 年の秋には 3 個の大きく明るい彗星が現れ、学界だけでなく一般の 人々にも大きな不安を与えた。現代でも彗星だけを追う“コメットハンター”と呼 ばれる人がいるほど、彗星がたびたび現れては話題になっている。彗星はいつの時 代も良い意味でも悪い意味でも関心を沸かせてくれているようだ。彗星の歴史をた どると最も古い記録は紀元前2320 年の古代バビロニアの記録だが不確かである。信 用の出来る最古の記録は,現在の中国である秦の始皇帝が紀元前240 年に彗星を発 見した記録を残している。日本での最古の記録は684 年の『日本書紀』である。い ずれもHalley 彗星の回帰に関する記述だとされる。有名な回帰には、1301 年にイ タリアでキリスト生誕の絵に描かれたHalley 彗星などもある。Halley 彗星が回帰す る度、絶えず世界のどこかで2000 年以上にわたり観測され、彗星の歴史は Halley 彗星の歴史といっても過言ではないはずである。 図1-2 『東方三博士の礼拝。キリストの生涯』作:ジオット

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8

1-2 彗星の構造

彗星は、直径1~10 キロの核をもつ天体である。核の成分はほとんどが水で、二 酸化炭素、アンモニアやメタンなどの物質が氷結している。その氷の塊にダストの ようなものが混ざっていて、「汚れた雪だるま」という表現で言い表される。太陽に 近づくと熱で溶けて塵やガスを放出し、コマと尾を形成する。彗星は小惑星ととも にsmall solar system bodies (SSSB) のカテゴリーだがコマや尾の有無で小惑星と 区別する。

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9

1-2-1 核

彗星の中心部には核と呼ばれる固体物体が存在する。直径は1-10km程度氷の塊 で、岩石質および有機質の塵が混ざっている。このことから、「汚れた雪だるま」と いう表現で言い表されることもある。核の成分はほとんどが水で、二酸化炭素、ア ンモニアやメタンなどの物質が氷結している。ガスと塵の大部分は太陽に面した表 面から出ていて、氷の昇華で熱が持ち去られるため約200K 程度だと言われる。太 陽に面していない部分は黒っぽく見え、見かけの反射率は4%程度で太陽系の中で最 も黒い天体に属する。このため、太陽光を吸収しやすいこの部分の温度は300~400K 程度であり黒体放射に近い。黒っぽい層は放出された塵の一部が降り積もってでき たスポンジのような構造をしていると推測されている。

1-2-2 コマ

彗星が太陽から約3AU の距離まで近づくと、核を構成している氷の分子が太陽に 熱せられ昇華し、塵粒子を伴い放出される。塵を含んだガスは球状に核を覆い希薄 な大気のようになる。核分子の一部は太陽紫外線により電離しイオンとなる。イオ ンのガスはコマの外側を覆う形で、太陽風に曝され磁場の作用でプラズマの尾を形 成する。

1-2-3 プラズマテイル

イオン化されたガスで構成されるプラズマの尾である。色はCO+H2O が主な成 分のため青っぽく光る。プラズマの尾は塵より強く太陽風の影響を受け、太陽の引 力よりも磁場に従って運動するため、太陽のほぼ反対側に直線状に伸び、その振る 舞いは磁場の様子や太陽風の時間変化を調べる上では非常に参考になる。

1-2-4 ダストテイル

塵や金属から構成された白っぽい尾である。プラズマの尾とは異なり太陽からの 引力を強く受け、彗星本体の軌道に沿うように運動しようとする。しかし、塵粒子 は核に比べて極めて小さく太陽の光の圧力を無視できず外向きに受ける。そのため、 ダストテイルの尾の軌道は彗星本体の軌道より外側にずれ独自の軌道で公転するよ うになり、徐々に核本体から遅れていくため曲線状になる。

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10

1-3 軌道による分類

太陽を焦点の1 つとする楕円、放物線あるいは双曲線の軌道をとり、軌道によっ て次のように分類される。 ・離心率が1 より小さい楕円軌道→周期彗星 ・離心率が1 以上の放物線軌道→非周期彗星 ・離心率が1 より大きい双曲線軌道→非周期彗星 非周期彗星は近日点を通過後、二度と回帰することはないと考えられている。しか し、他天体の重力や、非重力効果により実際の彗星軌道は不安定であり、わずかな 変化が周期を大きく変えてしまうので、予測された周期どおりに戻ってくるとは限 らない。周期の非常に長いものは非周期彗星に近くなる。このような理由から、彗 星は以下のように分けられることが多い。 ・公転周期200 年未満→短周期彗星 ・公転周期200 年以上→長周期彗星 近日点が極めて太陽に接近する彗星はサングレーザーと呼ばれ、蒸発してしまう こともあるが、近日点通過後に生き残る彗星もある。しかし、強い潮汐力のために 小さな破片に分裂することが多くある。 図1-4ISON 彗星の最期(UT)NASA/SOHO より引用

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11

1-4 彗星の起源

短周期彗星はエッジワース・カイパーベルト(太陽から約30 AU より外側の黄道 面付近にある天体が密集した部分)、またはそれに隣接する散乱円盤天体(海王星の 重力によって、エッジワース・カイパーベルトから外側に散乱させられた太陽系外 縁天体)を起源に持つと考えられ、Halley 彗星以外に大型の彗星は少なく、長周期 彗星の起源はオールト雲(太陽から1 万 AU 、または太陽の重力が他の恒星や銀河 系の重力と同程度になる10 万 AU の間に球殻状に広がっているとされる部分)にあ ると考えられ大彗星になるものが多くなる。特に、以前の観測記録が無い大型の彗 星は長周期彗星の可能性が高く、太陽系の起源を知る上で重要な手掛かりとなると 考えられている。(図1-5、1-6)

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12

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13

2章

軌道予測

太陽系を回る天体はたった3度の方向観測から求めることができる。そのため、 軌道予測に大事な量は以下6つの要素である。 ・離心率:e ・近日点距離:q ・昇交点黄経:Ω ・軌道傾斜角:i ・近日点引数:ω ・近日点通過時刻:t である。この量は黄道直交座標系で定められる量である。

2-1 軌道決定のために

2-1-1 直交座標系

起動予測は黄道座標系で定められるが、実際の観測では赤道直交座標系を使用す ることが多い。それに加え、赤道直交座標系に置かれている観測点を原点にとる方 法もある。よって今回は、黄道直交座標系、赤道直交座標系、測心直交座標系の3 つの座標系を紹介する。 ・黄道直交座標系 地球は太陽の周りを平面上に回っている。この平面を黄道面という。この黄道面 には春分点(地球が春分の時に太陽を挟んだ反対側にある方向)という定められた 方向γがあり、太陽を原点 O と置いた時、定められる直交座標系(u,v,w)を日心 黄道直交座標系である(図2-1 参照)。黄道面は uv 面をとる。 ・赤道直交座標系 地球の赤道面の延長と天球が交わる大円として定義された、赤経,赤緯(α,δ)をも つ座標系のこと。黄道面と赤道面は春分点、秋分点で交わる角度をもち、その角度 を黄道傾斜角という。黄道傾斜角はεで表し、ε=23.4°の角度をもつ。太陽を原点 として、黄道座標系が時計回りに角度εだけ回転した座標系(x,y,z)が日心赤道直 交座標系である(図2-1 参照)。

(14)

14 ・測心直交座標系 観測点を原点にとった座標系のことで、この座標系の方が観測には便利である。 観測点Q を日心赤道直交座標系の座標で(X,Y,Z)の位置で観測を行う時、測心赤道 直交座標系にある天体P(x’,y’,z’)を日心赤道直交座標(x,y,z)では次のように表す (図2-2 参照)。

x=X+x

’,

y=Y+y

’, (2.1)

z=Z+z

‘, 赤道直交座標で赤経、赤緯(α、δ)となる向きの方向余弦(L,M,N)が

L=cos cos

M=cos sin

(2.2)

N=

sin ,

であるとすると、観測点Q から(α、δ)の向きで距離Δにある P (x’,y’,z’)は

x

’=Δcos cos =LΔ,

y

’=Δcos sin =MΔ, (2.3)

z

‘=Δsin =NΔ, であるので日心赤道直交座標にある点P は

x=X+

LΔ,

y=Y+MΔ,

(2.4)

z=Z+NΔ,

となる。

(15)

図2-1 図2-2 日心黄道 日心赤道 15 直交座標と 直交座標と 日心赤道直 日心測心直 直交座標 直交座標

(16)

16

2-1-2 座標の変換

観測では赤道直交座標を基準にして座標を読み取るが、軌道予測は黄道直交座標 で行われる。よって、軌道要素を求めるためには赤道直交座標を黄道直交座標に変 換する必要がある。ただし、座標を使って読み取る軌道要素は軌道傾斜角、昇交点 黄経、近日点引数の3要素である。この要素はすべて方向を決めるものなので、座 標変換は方向余弦を使って行っていく。 日心赤道直交座標の方向余弦(l , m , n )から、 日心黄道直交座標の方向余弦(u , v , w )(i=1,2,3)への変換は、 の行列式で表す。

2-1-3 軌道の形

天体の軌道は二次曲線で表される。軌道の形は、太陽を焦点とする楕円、双曲線、 放物線のいずれかをとる。原点 O とする極座標系(r,θ)による軌道の方程式は半 直弦 、離心率e、近日点偏角 を使って

r=

( 2.6 ) の形で表す。始線をOXの向きにとり、天体Pの極座標をP(r,θ)で表し、天体が焦 点Oに最も近い点を近日点といいA(q, )で表すとする。qは近日点距離、 は 近日点偏角である(図2-3)。 図2-3 軌道の形 u v w

=

1

0

0

sin

0

0

sin

cos

l m n

(2.5)

(17)

は ( 二 角 と は軌 道の を表 はAO に直交

(式2.2)で 二次曲線の焦 角といい、

と表す。 軌道の大きさ 形を決める e>1 e=1 0≦e< す(図 2-4 交する動径を の半直弦を 焦点 O から さを決め、 。離心率は 双曲線 放物線 1 楕円 参照)。 を表し、半 を近日点距離 見て、近日 は軌道の向 は、 図 2-4 離 17 直弦と近日 離で表すこと 点Aと天体 向きを決める 離心率の取り 点距離は次 ともある。 体Pもはさむ る。離心率 り得る図形 次のように示 む角をf=∠ e は重要な 示せる。 (2. ∠AOPを真 (2 な無次元の量 7) 真近点 2.8) 量で軌

(18)

2-1

す 黄 2-こ が 軌 黄 こ か を

-4 軌道

運動する天 す交点を昇交 黄道面の交角 -4 参照)。 ・昇交 ・軌道 この2つが求 ・近日 が求まれば、 軌道の形と大 黄道面に対し この5つで、 かはわからな を定めること

道平面

天体の軌道を 交点N、降交 角を軌道傾斜 交点黄経:Ω 道傾斜角:i 求まれば、軌 日点引数:ω 軌道面の向 大きさは、離 しての軌道平 軌道を確立 ないので、こ とができる。 を二次曲線と 交点N’をとる 斜角i、近日 軌道面が確立 向きがわかる 図 離心率e、近 平面は、昇交 立できるがこ ここに近日点 このtは天 18 として平面で る。軌道に対 点Aに対す 立され、 る。 2-5 軌道平 近日点距離q 交点黄経Ω、 これだけで 点通過時刻 天体Pが点A で考えたもの 対し∠uON する∠NOA 平面 q 、軌道傾斜角 は軌道上の tを加える Aに達して時 の。黄道面で Nを昇交点黄 Aを近日点引 角i、近日 どの位置に ことで軌道 時の時刻を表 であるuv 面 黄経Ω、軌道 引数ωと言う 点引数ω に天体が存在 道上の天体の 表す。 面とな 道面と う(図 在する の位置

(19)

19

2-2 軌道決定の原理

2-2-1 時間の計算

天体 P が近日点を通過後の経過時間τを計算する。通過していない場合は近日点 にたどり着くまでの時間を絶対値として、マイナス値で表す。この計算には日心引 力定数μが必要で、万有引力定数G、太陽質量Sとで表し、

μ=GS

(2.9) である。 経過時間τは、離心率e の取り得る値によって計算方法が異なる。 ・楕円軌道( 0≦e<1 )の場合

τ=

(2.10) によって計算できる。 半直弦と離心率から

a=

(2.11) の関係より長半径a を計算して平均運動nを

n=

(2.12) より求める。このnは太陽を公転する天体の平均角速度を表す。

(20)

20 次に真近点角fから

(2.13)

(2.14 ) より、計算を行う。 u は離心近点角といい、天体の位置を推算するのに必要である。 ・双曲線軌道( e>1 )の場合

τ=

(2.15) より、計算することができる。 楕円軌道の場合と同じように

a=

(2.16) を計算し、(式2.12)を求める。双曲線の場合は a は半主軸を表す。 次に、同じくfから

(2.17) より計算を行う。 ・放物線軌道( e=1 )

τ=

(2.18) より、計算することができる。楕円、双曲線と違い、

(21)

21

q=

(2.19) で近日点距離qを計算し、角速度nを

n=

(2.20) で計算して、そのnとfより計算を行う。 天体が近日点を通過する時をt とするとき、天体 P がP , P , P に到達してからの軌 道上の2点間の通過時間は近日点を通過後の経過時間τを用いて、

t =t

t =

0

t =t

0

(2.21)

t =t

0

と計算できる。

(22)

22

2-2-2 軌道の形を決める

軌道決定をするにあたって、観測した3点の天体Pの位置から二次曲線の形を求 め、近日点を通過してからの経過時間を求めることが重要である。軌道上の天体通 った3点を、P (r , θ )、P (r , θ )、P (r , θ )とする(図 2-5 参照)。 この動径r と偏角θ (i=1,2,3 以後、この章では軌道傾斜角以外の i はこの扱いを する)は知っている値としたとき、二次曲線(式 2.6)から半直弦 l、離心率 e、近 日点偏角θ を求めることができる。 図2-5 二次曲線上の天体Pの通った3点 しかし、実際の観測では観測点から天体までの距離を直接読み取ることはできな い。距離を求めるには、まず天体P の赤経、赤緯(α , δ )を観測から読み取る。 観測点の座標Q (X ,Y , Z )として、観測点Q から天体P までの距離をΔ と仮 定する時、赤道直交座標系(x , y , z )は

x =X

y =Y +

(2.22)

=Z +

と書くことができる。 、 、 は(式 2.4)を参照する。

(23)

23 ここで、位置ベクトルr (r =(X ,Y ,Z ) )を考えると

c r

c r c r = (2.23)

が成り立つ定数c がある。 (式 2.22)にこの式を代入すると、

c L

+c L

+c L

=-c X -c X -c X

+c

+c

=-c

-c

-c

(2.24)

+c

+c

=-c

-c

-c

この式をc で割る。 以後、Δ について考える。 観測点Q (X ,Y , Z )から見た天体P と原点Оのはさむ角をγとすると余弦定理よ り、

-2

+

(2.25)

が成り立つ。ただし、

(2.26) であり、

=-(

+

(2.27) を(式 2.25)に代入することでΔと r の式を導くことができる。 ここで、定数cについてのベクトル積を考える。

r ×r =0 の特性を持つので

c (r ×r

)+c (r ×r )=0

(2.28) が成り立つ。 他のベクトル積については平行で向きが反対であることを考慮すると、

c c

=-|r r | |r r |

c c

=-|r r | |r r | (2.29) である。 これらから位置ベクトルを導き定数cを求めていく。

(24)

24 まず、時刻tにおける位置Pのテイラー展開を考える。 この時、運動方程式

dt

=-μ

(2.30) が成立している。ここで、

r =x +y +z

(2.31) である。 時間tで微分していき、その計算時につく係数をf(t)、g(t)とすると、

r =f(-

)r +

r dt

(2.32) となる。ちなみに、 f(- = , f(- = f=1-r t = , = g=t(1-r t ) (2.33) と表す。 x,y,z について一つずつ表現すると(式)は(式)を使って c1 c 2

=-

| 3| | 3 1 1 3|

t32 t13

1

6r3 2

13 2

32 2 c 3 c 2

=-

| 1| | 3 1 1 3|

t21 t13

1

6r3 2

13 2

21 2 (2.34) となる (式 2.24)からc Δ 、c Δ を消したものをまとめると、

-c

( L

=(

) +(

) (2.35)

+(

となる。ただしここでは、

(25)

-25

-

(2.36)

-と定義している。ついでに、 J = L

J =

(2.37) J = L と置くことで、

=-J

c c

-J -J

c c

(2.38) の形になる。 (式 2.38)に(式 2.34)を代入し、ここで

A=-t

(J t +J t

J t )

B=-

J t

J t

(2.39)

とすると、

= +

(2.40)

となる。 この式と(式 2.25)に(式 2.27)を代入した式との連立方程式でΔ

r 2を求めるこ とができる。 Δ とΔ は求めたΔ より(式 2.24)の連立方程式から導く。 観測では、撮像した画像から赤経、赤緯を読み取って解析していく。

2-2-3 座標からのパラメーターの決定

(26)

26 太陽Oを原点とする日心赤道直交座標系を考え、時刻t である各3 点の天体の位置 が日心赤道直交座標でP (x, y , z )で与えられたとする。 まずそれぞれの点の動径r は、

(2.41 で求める。それから、それぞれの方向余弦(l , m , n )は

(2.42 と表すことができる。 動径のはさむ角はθ 、θ は真近点角fを使って、

(2.43

より

(2.44)

と表すことができる。 方向余弦を使って、

(27)

27

(2.45

となり、(2.24)を計算できる。

2-2-4 軌道平面の確立

原点OからP ( , v , w )の方向を含む平面が軌道面であり、軌道面に直交する 法線の方向余弦を(A , , )とする。 まず、

(2.46)

(2.47) を計算して、これらを使って、

(2.48) と計算できる。 これらより、軌道傾斜角i、昇交点距離Ω、近日点引数ωを計算できる。 まず、軌道傾斜角は軌道面と日心黄道直交座標系のw軸との交点であり、

(28)

28

(2.49) で決めることができる。i の範囲は 0°≦i≦180°で定める。 つぎに、昇交点黄経Ω は昇交点方向の方向余弦( , v , w )が

B A B

A A B

(2.50)

0

であるから、これより

A B

(2.51) によって定める。 範囲は B <0→-90°<Ω<90° B >0→ 90°<Ω<270° もそれぞれに対応させ、B =0 のときは A <0→Ω=90° A >0→Ω=270° になる。 近日点引数ωは近日点方向の方向余弦を( , v , w )とすると、昇交点方向と近日

(29)

29 点方向のはさむ角なので

B A A B (2.52) と、計算できる。

軌道要素の計算の手順は、以下のようにまとめる。

① 近日点距離q、長半径a を求める ② 近日点通過時刻t求める ③ 日進黄道直行座標系による方向余弦( , v , w ) ④ 軌道面法線の方向余弦(A ,B ,C ) ⑤ 軌道傾斜角i が求まる ⑥ 昇交点方向の方向余弦( , v , w ) ⑦ 昇交点黄経Ωが求まる ⑧ 近日点方向の方向余弦( , v , w ) ⑨ 近日点引数ωが求まる 実際は、撮影した写真をパソコンで解析し、位置関係から赤経、赤緯や座標を読み込む。 図2-6 iraf による画像解析(画像に座標を与える)

(30)

30

3章

観測

3-1 機材

3-1-1 望遠鏡

ISON 彗星撮像:明星大学の天文台の40 ㎝リッチークレチアン式反射望遠鏡 図3-1 40 ㎝リッチークレチアン式反射望遠鏡

(31)

カメ I

3-1-2

ラ:Canon ISO 感度 シャッター

2 カメラ

n EOS 5D M スピード Mark Ⅱ 1000~64 1/8000~ 図3-2 31 400 ~30 秒 Canon 5D MarkⅡ

(32)

32

3-2 撮像

撮影方法:直焦点 ドライブソフト:EOS Utilityにてリモート撮影 フォーカス:コマ中心部の明るさのピーク値で判断 カメラを望遠鏡つけ、カメラの配線をパソコンにつなげ専用ソフトを立ち上げる。 カメラのライブビューをパソコン上に写し、フォーカスを合わせる。 フォーカスは肉眼で見ても合っているかわからないので、コマの中心の明るさのピーク値 で判断する。

観測情報

撮影日

2013 年 11 月 13 日

撮影時刻

AM 2:53~5:26

露出時間

2.5~10 秒

撮影枚数

178 枚

(33)

33

撮影時刻 AM3:54

(34)

34

(35)

35

4 章 考察

軌道の予測は3 枚の画像データで可能。彗星までの距離を仮定し、それを前提に 計算上での観測時差を求めていく手法である。計算上の観測時刻差が現実の観測時 刻差と一致すれば、仮定した距離が正しいことが言える。しかし、一致しない場合 は実際の観測時刻差に近づくように仮定した距離を修正しなければならない。この 距離の修正が上手くいかないと天体までの正しい距離が求めることができないため 近似を何回もくり返さなければならない。ここが難点である。さらに、より厳密な 軌道を求めるには観測点までに彗星が届く光の時間「光差」とほかの天体から及ぼ される重力を考慮しなければならない。それらを踏まえながら多数の観測によって 軌道が決定される。

(36)

36

謝辞

卒業研究を行うに当たり、研究室担当教官祖父江義明先生、小野寺幸子先生、日

比野由美さんにはこの 1 年間大変お世話になりました。この場をお借りして深く感

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参考文献

花 一志. .歴史の中の彗星(天文教育 2005 年 3 月号). 桜井邦朋、清水幹夫. 彗星-その本性と起源. 長江 工. 軌道決定の原理. 長沢 工. 天体の位置観測. 国立天文台 天文情報センター http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/ 『アイソン彗星撮影講座』 http://dc.watch.impress.co.jp/special/ison/

図 1-3「アイソン彗星撮影講座」より引用
図 1-5、1-6「国立天文台  天体情報センター」より引用
図 2-1 図 2-2 日心黄道日心赤道 15  直交座標と直交座標と 日心赤道直日心測心直 直交座標直交座標

参照

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