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パイピング現象の進行条件に関する考察

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Academic year: 2022

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キーワード ボイリング パイピング 空洞の貫通

連絡先 〒102-8539 東京都千代田区九段北 1-14-6 日本工営株式会社 河川水工部 TEL 03-3238-8045

パイピング現象の進行条件に関する考察

日本工営株式会社 正会員 ○齊藤 啓 名古屋工業大学 正会員 前田 健一 名古屋工業大学 学生会員 李 兆卿,櫛山 総平

1. はじめに

平成

24

年に矢部川右岸

7.3k

地点で堤防が決壊し付近 に甚大な被害を及ぼした1)

図- 1

に示す,決壊箇所の 土質構成に着目すると,堤体は粘性土,基盤は透水性 のある砂層や粘性シルト層等が互層で分布しており,

基盤層を通じパイピング現象が発生したと報告されて いる.パイピングによる被災を未然に防ぐためにも照 査精度を向上させることは急務である.

照査精度向上のためにはパイピング機構を改めて精 査し現象の特徴を把握する必要があり,本稿は模型実 験の結果からパイピング機構について検討する.

図- 1 2012

年矢部川破堤箇所の近傍土質断面

2. 実験概要

図- 2

に,久楽らの実験2)を参考にした実験概略図を 示す.基盤層は水中落下で堆積させ,上層は珪砂

7

号,

下層は珪砂

2

号を使用し相対密度が

70%程度になるよ

うに締め固める.堤体部分は含水比

20%の藤森粘土を

アクリル壁で囲われた箇所に入れ締め固める.

図- 2 模型実験装置概略図

3. 検討方針

先行研究や模型実験を実施した結果3)から,基盤互層 のパイピング現象は,ボイリング(噴砂の発生),パイ ピング(空洞の進行),空洞の貫通の

3

段階にわかれる と考え,本稿ではそれぞれの段階の検証を行った.

4. 実験結果

(1) ボイリング(噴砂の発生)

ボイリングは浸透水圧が上載荷重を超えて地表面に 噴出する現象であり,被覆土層重量と基盤内の揚圧力

(G/W)により決まると考えられる.

噴砂時の揚圧力と被覆土層厚の関係から理論的な噴 砂発生条件は式(4)となる.

𝑊 = 𝛾′ × 𝐺 (2)

W:揚圧力 𝛾′:水中単位体積重量 G:上層厚 𝛾

= 𝐺

s

− 1

1 + 𝑒 ≈ 0.86 (3)

G

s:土粒子密度 2.65g/cm3

e:珪砂 7

号の間隙比 0.90

𝑊 = 0.86𝐺 (4)

間隙水圧計

No.8

の間隙水圧値(噴砂発生時)を揚圧 力,基盤上層厚を被覆土層厚として

図- 3

に整理した.

互層基盤では,噴砂時の揚圧力と被覆土層厚の関係 より噴砂の発生条件は式(5)の通りとなる.

𝑊 ≈ 0.60𝐺 (5)

式(4)と比較すると,実験では小さい揚圧力で噴砂す る.堤内側で発生する噴砂の位置を観察すると,噴砂 は主に土槽境界部で発生しており,こうした境界部で は間隙が大きくなるため理論値よりも小さい揚圧力で 噴砂したと考える.一方,単一層には被覆土層がない

図- 3 基盤内揚圧力と被覆層厚(上層厚)との関係

Viscous soil Gravel soil

Sandy soil Clayish silt

Gravel mingling sand Silty sand

Landside

Waterside 5.0m

T.P+9.4m Trace water level T.P.+8.3m

H.W.L T.P+7.3m

2.0m 2.0m

T.P.:Tokyo bay peil Disaster neighborhood cross section 基盤透水層が河床に露出

y = 0.6x

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

Uplift pressure, W(cm)

Coa ting la yer thickness, G(cm) Monola yer

Bila yer

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑15‑

Ⅲ‑008

(2)

ため,噴砂は層厚と法尻の浸透水圧でなく単一層全体 でみた平均動水勾配が支配的と考える.

以上より,互層におけるボイリングは被覆土層重量 と基盤内の揚圧力,単一層においては平均動水勾配が 支配要因であると考える.

(2) パイピング(空洞の進行)

パイプ内の流速を浸透流速によるものと仮定し,空 洞の進行に伴い時間的に変化する浸透路長を断面より 読み取り,その時点における水位から平均動水勾配の 時間変化及びダルシー則が成り立つとして浸透流速の 時間変化を求めた(算定方法は図- 4参照).

図- 5

より空洞の貫通直前の浸透流速はいずれのケー スにおいても

1.4×10

-3

(cm/sec)程度であった.求めた浸

透流速と図- 6に示す土粒子と限界流速のグラフから珪 砂

7

号における運動の発生を検証する.

図- 4 パイピングに伴う平均動水勾配の変化(透水

係数

k

は珪砂

7

号の

1.4×10-3cm/sec

を用いる)

図- 5 平均動水勾配,浸透流速の時間変化

図- 6 限界実流速と粒径の関係

図- 6

より,本実験と条件が近い久楽らの結果を採用 する.浸透流速は約

1.4×10

-3

(cm/sec)であり,図- 6

よ り珪砂

7

号の大部分が運動できないため,パイプ内で は浸透流速以上の流速が発生している可能性が高い.

実験では基盤下層からパイプ内に噴砂が流入する様子 が観察されており,これが流速増加の要因となりパイ ピングを助長したと考える.

(3) 空洞の貫通

空洞の貫通についてここでは空洞が進行しその上流 端が河川水底面にある程度近づくことで突然その進行 速度が速くなり決壊する現象を指す.本稿では動水勾 配が支配要因と仮定して検証する.

空洞の進行に伴う平均動水勾配の時間変化は図- 5に 示す通りである.基盤層構造の条件に関わらず空洞の 貫通直前における平均動水勾配は約

1.0

であり,理論的 に求められる限界動水勾配に概ね一致する.このこと から空洞の貫通は浸透路長と水位より求められる平均 動水勾配と理論的に求められる限界動水勾配から判定 可能と考える.

5. 結論

互層におけるパイピング現象はボイリング,パイピ ング,空洞の貫通という

3

つの現象に区分されると考 え,それぞれの段階について検討した.その結果パイ ピング現象は噴砂の発生から破壊に至る一連で同じ支 配要因ではないことがわかった.各段階における支配 要因を把握することで照査を行う際に着目すべき点や 有効な対策工の検討につながる.

謝辞:本研究の成果は,国土交通省・河川砂防技術研 究開発制度平成

27

年度公募の援助によるものである.

末筆ながら深謝の意を示します.

参考文献

1) 矢部川堤防調査委員会報告書,2013.

2) 久楽勝行,吉岡淳,佐藤正博:水平方向浸透流下における 砂地盤のパイピングについて,第 20 回土質工学研究発表会,

pp.1483-1484,1985.

3) 齊藤啓,前田健一,泉典洋,李兆卿:基盤の地盤特性が異 なる河川堤防の高水位の継続作用による漏水とパイピング の進行特性,河川技術論文集,第 21 巻, pp.349-354,2015.

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

0 600 1200 1800 2400 3000 3600 4200 4800 5400 6000

Hydraulic gradient,i

Duration time, t(s)

Tr=0.22, Exposure=× Tr=0.50, Exposure=×

Tr=0.22, Exposure=○ Tr=0.50, Exposure=○

Tr=1.00

0.00E+00 5.00E-04 1.00E-03 1.50E-03 2.00E-03

0 600 1200 1800 2400 3000 3600 4200 4800 5400 6000

Penetration velocity, v (cm/sec)

Duration time, t(s)

Tr=0.22, Exposure=× Tr=0.50, Exposure=×

Tr=0.22, Exposure=○ Tr=0.50, Exposure=○

Tr=1.00 0.0

0.28 0.56 0.84 1.12 1.40 1.68 1.96 (×10-3) 限界動水勾配,ic=1.0

珪砂7号の50%粒径,D50=0.15mm

0.0014(cm/sec)

久楽らの実験結果の トレンドから推定した範囲

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑16‑

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参照

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