悪 性 腫 瘍 の 化 学 療 法 に 関 す る 実 験 的 研 究
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(2) 478. 榊. 原. 宣. 操 作 に よつ て 腫 瘍 細 胞 を ば らば らに な りに く くす る. トで腹 腔 よ り採取 し,そ の ま ま0.05ccを. 性 質 が あ る こと を実 験 的 に明 らか に し,術 前 に投与. マ ウ ス の背 部 皮下 に移 植 した.. す べ き こと を提 唱 して い る.. 3.投. 他 方,岩 崎6)は 吉 田 肉 腫 とNitrominを. 用 いて. 実験 し,つ ぎの よ うに報 告 して い る.す な わ ち手 術 とい う機 械 的 刺 激 を一 時 期 と して腫 瘍 細 胞 が 多数 血 中 に流 入 し,手 術 時 の創 傷,細 網 内皮 系 機能 の低 下 とい う悪条 件 が 重な る とす れ ば,こ の時 期 に対 して. 他 のF1. 与 制 癌 剤 はNitrogen‑Mustard. (Nitromin)で,投 よ り1日1回. N‑Oxide. 与 法 はす べ て 腹 腔 内 へ の注 射 に. 投与 した.. 4.手 術 法 は皮 下腫 瘍 を 含 ん で広 汎 に皮 膚 およ び 背筋 を も根 治 的 に切 除 した. 5.第3節. 観 察 方 法 の 項 に記 載 す る ご と く,根 治. こ そ化 学 療 法 を 強力 に行 う必要 の あ るの は 当然 で あ. 手 術 と化学 療 法 と の併 用 を種 々の 時 期,な らび に順. り,実 験 的 に は腫瘍 移 植 当 日で も, 3日 目に与 え て. 序 に組 合 わ せ た各 群 につ き,移 植 後1年 に亘 つて 経. も制 癌 剤 の 効 果 に は大 した 差 を認 め な いが,こ れ に. 過 を観 察 す る と と も に,各 群 にお ける 治癒 生存 率 を. 比 して 静 脈 内 移 植 の1時 間 前 に 化学 療 法 を行 つ た も. 比 較検 討 した.. の の効 果 は ほ とん ど な いか,あ る い はか な り劣 つ て い た とい う.こ の こ とか ら手 術前 に投 与 す るの は 効 果 が な い ばか りで な く,不 快 な 副作 用 を生 ず る おそ. 6.延 命効 果 と して は腫 瘍 死 し た もの の生 存 日数 を検 討 した. 7.剖 検 所 見 と して は 死 亡 した全 例 に つい て 剖検. れ が多 分 に存 在 す る と のべ,手 術 後 化学 療 法 を併 用. し,転 移 の有 無 を検 討 し,疑 わ しい もの は病 理 組 織. す る の が もつ と もよ い の で はな い か といつ て い る.. 学 的 に検 査 した.. 臨床 例 につ い て は制 癌剤 を根 治 手術 と併 用 した遠. 8.事 故 死 とは実 験 期 間 中,逃 亡,共 喰,他 病死. 隔 成績 は あ る が,い ず れ も術 後 化学 療 法 を 併 用 した. な ど剖検 によ り腫 瘍 死 で ない と判定 され た もの を一. 報 告7)8)で あ り,術 前投 与 の報 告 はな く,悪 性 腫瘍. 括 した もので あ る.使 用 実験 動 物 か ら事 故 死 を除 い. の 再 発 防 止 とい う観 点 か ら手 術前 の 投 与 と手 術 後 の. た ものを有 効例 と した.. 投 与 と何 れ に用 うべ きか を もまだ 決 め え ない 状 態 で あ る.癌 腫 の外 科 的 手 術療 法 に併 用 され る化 学療 法 の基 本 で あ る制 癌剤 の投 与 時 期を 検 討 す る 目的 で こ の 実 験 に着 手 した次 第 で あ る. 第2章 第1節. 実 験. 方 法. 134の0.05ccを. 腹腔. 内 に再 移 植 し,再 移 植 群 と して 正 常 のF1マ. ウス に. 第3節. ウ スで,生 後4週 間の もの を. 観 察 方法. 以 上 の ご と き方 法 を もつ て試 獣 を つ ぎの 各群 に分. 後. け て比 較観 察 した.. よ. 腫 瘍 移植 のみ を 行 い,制 癌剤 の投 与 も手 術 も行 わな. 第1群:対. と した もの を使 用 した. オ リエ ン タル酵 母 製 の 実 験 用 固 形 飼 料MFお. 照 実 験 と してF1マ. ウ スを10例 用 い,. か つ た無 処 置群.. び生 鮮 野 菜 を もつて 飼 育 した. 飼 育 期 問 は1959年11月 か ら1960年11月 ま で の約1. 第2群:. F1マ. ウス21例 を 用い,腫. 瘍 移 植後7. 日 目 に根 治 手 術 を 行 い,手 術 翌 目 か ら1日5γ/g. 年 間 で あ る.. のNitrominを8日. 実験 材 料 お よ び実 験 方 法. 1.実 験 に使 用 した悪 性 腫 瘍 は 佐 藤 ら9)10)に よ り 発 表 され た腹 水 肝癌MH. 134で,福. 島 医 科大 学 佐. 2.使 用 にあ た つ て は 教 室 にお いてF1マ 腔 内継 代 移 植 を 行 い,第256代. ウ ス腹. 〜 第260代 の もの を用. い,こ れ を 皮 下 に移 植 して 皮 下結 節 型 と した.す な ウ ス腹腔 内 で増 殖 し,移 植 後 約7日 の純. 培 養 状 態 に あ る腹 水 肝 癌MH. 第3群:. F1マ. 134を 毛 細 管 ピペ ッ. 間連 続 投 与 した群. ウ ス32例 を 用 い,腫 瘍 移植 後14. 日 日に根 治 手 術 を 行 い,手 術 翌 日か ら1日5γ/g のNitraminを8日. 藤 病 理 学 教 室 か ら分 与 され た もの で あ る.. わ ちF1マ. ウ ス に対 し,さ きに移. た.. ら に2週 間以 上 飼 育 して,体 重20g前. 第2節. 10. 1年 間 生存 したF1マ. 同 様 の処 置 を施 した対 照群 とその 経 過を 比 較観 察 し. 実 験 動 物 には 大 沢飼 育 場 で 青成 され たC3H/HeN. 購 入,さ. ま で延 命 した動物 を治癒 生 存 と した.. 植 した と 同 じ腹 水 肝 癌MH. 実験動物. (〓)×as(♀):F1マ. 9.こ れ ら実験 動 物 に つ い て1年 間観 察 し,そ れ. 第4群:. F1マ. 間連 続 投与 した群. ウ ス22例 を用 い,腫 瘍 移 植 後5. 日 目か ら1日8γ/gのNitrominを5日. 間連続投. 与 し,投 与 終 了翌 日に根 治手 術 を行 つ た 群. 第5群:. F1マ. ウス14例 を 用 い,腫. 日 目か ら1日8γ/gのNitrominを5日. 瘍移 植 後12 間 連 続投.
(3) 悪性腫瘍 の化学療法に関する実験的研究 与 し,投 与 終 了 翌 日に根 治 手 術 を行 つ た群. 第2お. 生 存 例 は な い.. よ び第3群 で は術 後 化学 療 法 を行 つ た の で. 以 下 術 後併 用 群 と記 し,第4お. よ び第5群. 479. は術前 化. II.併 用群: 1)術. 後 併用 群:腫. 瘍 移 植 後7日 目に根 治 手術. 学 療 法 を行 な つ た の で術 前 併 用群 と記 載 す る こ と と. を な し,翌. す る.. た第2群 の 治癒 生 存 は14例 中8例 で57.0%で 第3章 第1節. 照群:. Nitromin投. 治癒生存率. 2)術. す べて 腫 瘍死 して お り,自 然 治癒. 移 植 後12日 目か ら5日 間Nitrominの. あ る.. 連 続 投与 を. お こなつ た後,根 治手 術 を 行つ た第5群 の 治癒生 存. 第2節. I.対. あ る.. 植 後12〜44日. 目か ら5日 間. 連 続 投与 を 行 つ た後,根. 治手 術 を 行 な. 生 存 例 は8例(57.0%)で,そ. の他 は 移植 後26〜208. 日で腫 瘍 死 して い る. 2)第3群:第1図. 3)第4群:第1図 で全 例. 10例 と も腫瘍 死 し,自 然 治癒 生 存 例 は ない.. の ご と く有 効例14例 中 治癒 の 他 は移 植 後40〜. の ご と く有 効 例14例 中 治癒 第1図. の ご と く有効 例21例 中 治癒. 生 存 例 は14例(66.7%)で,そ. の 他 は 移 植後34〜. 185日 で腫 瘍 死 して い る. 4)第5群:第1図. II.併 用 群: 1)第2群:第1図. 瘍 移植 後5日. 118日 で 腫瘍 死 して い る.. に示 す ご と くで あ る.. 照群(第1群):移. Nitrominの. の 治癒 生 存 は14例. あ る.. 前 併用 群:腫. 生 存 例 は3例(21.4%)で,そ. 延 命 効果. 生 存 日数 は第1図. あ る.. 根 治手 術 と化 学 療法 併 用 実験 動 物 の転 帰 と治癒 率. つ た第4群 の 治癒 生 存 は21例 中14例 で66.7%で. は12例 中5例 で41.7%で. 与 を行 な つ た第3群. 中3例 で21.4%で. 第1表. 与 を行 な つ. 移 植 後14日 目に根 治 手術 を な し,翌 日か ら8日 間. 実 験 成 績. 治 癒 遠 隔成 績 は第1表 の ご と くで あ る. I.対. 日 か ら8日 間Nitromin投. の ご と く有 効 例12例 中治 癒. 生 存 例 は5例(41.7%)で,そ. 根 治手 術 と化学 療 法 との 併用 各 群 の延 命 効果 の比 較. の 他 は 移 植 後26〜.
(4) 480. 榊. 原. 166日 で腫 瘍 死 して い る. 宣 一 の経 過 で 腫 瘍死 して い る.. .. 移 植 後90日 ま での 腫 瘍 死 は第2群 で は6例 中4例 (66.7%),第3群. で は11例 中9例(81. 群 では7例 中5例(91.5),そ 例 中5例(71.5%)で,腫. 第3節. .8%),第4. し て 第5群. で は7. 瘍死 の大 多 数 は腫 瘍 移植. 後90日 以 内 で あ つて,こ れ ら各 群 の 間 に有 意 の 差 を. は第2群 の1例 の み で,移 植 後208日 目で あつ た. .. III.再 移 植群:. 1.局. 所 再 発:. 1)対. 照 群(第1群):腫. 瘍 死 した10例 と もすべ. て 局 所 に 肉眼 的 に 明 らか な腫 瘍 が 認 め られ た.. 認 めが た い.腫 瘍移 植200日 以 後 に 腫 瘍死 した もの. 2)併. 用 群(第2〜5群):術. 後 併用 群 にお いて. 第2群 で は6例 中2例,第3群. では11例 中3例 に局. 所 再発 が 全 く認 め られ な かつ た.. 再 移 植 群 の 生 存 日数 は第2表 の ご と くで あ る. 第2表. 剖検所見. 剖 検 所見 は 第3表 の ご と くで あ る.. 術前 併 用 群 で はす べ て局 所 に再 発 が認 め られ た. II.表 在 リンパ 節 転移:. 再 移 植 後生 存 日数. 1)対. 照 群(第1群):転. 移 は10例 と もに認 め ら. れ な かつ た. 2)併. 用 群(第2〜5群):第2群. で は6例 中4. 例 に 転 移が 認 め られ,移 植 後44, 56, 120お よ び208 日で死 亡 した. 208日 で死 亡 し た症例 で は局 所再 発 が な く,リ ンパ節 転 移 に よ る死 亡 で あつ た. 第3群 で は11例 中6例 に転 移 が 認 め られ,移 植 後 64, 72, 78, 84, 112お よ び118日 で死 亡 した.移 植 1)第2群. の 再移 植 群:第2群. の 生 存例8例 に対. しそ の腹 腔 内 に再 移 植 を行 つ た結 果,再 移植 後12〜 20日 で全 例 腫 瘍 死 して い る. 50%生 存 日数 は16日 で. 後112日 お よび118日 に死亡 し た もの では 局 所再 発 は 認 め られ な かつ た. 第4群 で は7例 中3例 に転 移 が 認 め られ,転 移 の あ る もの は移 植後25日 以後 に死 亡 した症 例 で あつ た.. あ つ た.. 第5群 で は7例 中2例 に転 移 が 認 め られ,転 移 の. 2)第3群. の 再移 植 群:第3群. の 生存例3例. は. あ る ものは移 植後54日 以 後 に死 亡 した症 例 で あつ た.. 再 移 植 後16〜21日 です べ て 腫 瘍死 して い る. 50%生 存 日数 は17.5日 であ つ た. 3)第4群. の再 移 値 群:. 術後 併 用群 の第2群 で は66.6%,第3群 %,術. 第4群 の生 存 例14例 は. 1)対 の生 存 例5例 は. 5)対. 照 群:対. 照群4例. 照群(第1群):. 10例 中移 植 後36日 に死. 亡 し た1例 に み られ た.. 再 移植 後13〜23日 で す べて 腫 瘍 死 して い る. 50%生 存 日数 は17日 で あつ た.. では. III.肺 転移:. 存 日数 は15日 で あつ た. の再 移 植 群:第5群. で は54.6. で は42.8%,第5群. 28.5%に 表在 リンパ 節 転移 を 認 め た.. 再 移 植 後10〜22日 で す べ て腫 瘍 死 して い る. 50%生. 4)第5群. 前 併 用 群 の 第4群. 2)併. 用群(第2〜5群):. 第2群. で は6例. 中. 3例 で,移 植 後44, 56お よ び59日 目 に死亡 した もの は移植 後13〜18日 です. にみ られ た.. べて 腫 瘍 死 して い る . 50%生 存 日数 は16日 で あつ た. これ ら各 群 の 間 に は有 意 の 差 を認 め が た くほ ぼ同. 第3表. 剖. 第3群 で は11例 中3例 で,移 植 後40, 42お よ び47 日 目に死 亡 した もの にみ られ た.. 検. 所. 見.
(5) 悪性腫瘍の化学療法 に関す る実験的研究 第4群 で は7例 中1例 で,移 植 後42日 目 に死 亡 し た もの にみ られ た.. に死 亡 し た もの に み られ た.. ては 吉 田 肉腫 は不 適 当で あ る と考 え られ る.. 死 亡 した1例 の み であ る.. 佐 藤9)10),川 島11)に よ れ ば腹 水 肝癌MH C3H系. マ ウス には100%皮. 134は. 下 移植 可 能 であ り,か な. らず 腫瘍 死 す る し,ま た移 植 され た結 節 型腫 瘍 を 外. IV.肝 転 移:. 科 的 に剔 出 して も その 後 に局 所 再発 お よび転 移 形成. 照 群(第1群):. 1例 も 認 め られ な か つ. た. 2)併. う とい うよ うな 実験 の場 合 に は,そ の研 究 材 料 とし. 所 再発 お よ び表 在 リンパ 節 に 転移 が な くて. 肺 に転 移 の み られ た もの は 第2群 の 移 植 後59日 目に. 1)対. 後 に局 所 再 発 や 転移 形 成 を起 して宿 主 が 腫 瘍死 を 遂 げ る とい う臨 床 経過 を モ デル 化 して 動物 に再 現 しよ. 第5群 で は7例 中2例 で,移 植 後40お よ び42日 目. 3)局. 481. のた め かな らず 腫瘍 死 す る とい う臨床 的 な現 実 の 姿 を 忠 実 に実 験 に あ らわ す特 殊 な 動物 と腫 瘍株 であ る.. で は6例 中1. わた く しの 実験 対 照 群 も皮 下 に移植 され た腫 瘍 の た. 例 で,移 植 後56日 目 に死 亡 した もの にみ られ た.こ. 用 群(第2〜5群):第2群. め に すべ て 腫 瘍死 して い る.こ の よ うな 材料 で対 照. の1例 は同 一 動物 に局 所再 発,表 在 リンパ節 転 移,. を と らない と制 癌 剤 の 効果 あ り と確 実 に言 い切 る こ. 肺転 移 およ び肝 転移 を 認 め た もので あ る.. とは で きな い. 一 方 ,第1編1)の. 第3群 で は11例 中1例 で,移 植 後70日 目 に死 亡 し. 実験 にお い てNitrominの. 投与. た もの にみ られ た.こ の1例 は肝 転 移 の 他 に腹 膜 転. の み に よつ て 腹 水肝 癌MH. 移 がみ られ た.. しめ たの は 移植 後3日 以 内 に投 与 を開 始 した もの で,. 134皮 下 腫 瘍 を 治癒 せ. 第4お よ び 第5群 では 肝 転移 を全 く認 め な かつ た.. 移 植 後5日 以 後 の投 与 開始 群 では 治癒 生 存せ しめ え. V.腹. 膜 転 移:. ない こ とを 知 つ た.. 1)対. 熊 群(第1群):腹. 膜 転 移 は 全 く認 め ら. れ な い. 2)併. 佐 藤16)17),川 島18)はC3H系 MH. 用 群(第2〜5群):第2お. よ び第3群 の. マ ウ ス に腹 水 肝 癌. 134を 皮 下 移 植 し,こ れ を 手 術 的 に剔 出 し た後.. Nitrominを. 使 用 し,移 植 後2週 間 目 に 手 術 した群. 各1例 に認 め られ た.い ず れ も肝転 移 を 認 め た もの. で は9%,. 1週 間 目 に手術 を 行 なつ た群 で は66%に. で あ る.. 永 久 治癒 が あつ た こ とか ら,癌 腫 の根 治 手術 に化学. VI.そ の 他 の 転 移:. 療 法が 併 用 され るべ き ことを 主 張 して い る.. 以 上 の 諸 転移 の 他,心,脾,腎. お よ び 副腎 な ど に. は各 群 と も全 く転 移 を 認 めて い ない.. わ た くしは本 編 に お いて 腫 瘍移 植 後 根 治手 術 と併 用 され る制癌 剤 の投 与 開 始 時 期 につ いて 検 討 した結 果,腫 瘍 移植 後7〜10日. 第4章. 総 括 な らび に 考 按. に 手 術 を行 つ た各 群 を 比較. して も,ま た14〜17日 に手 術 を行 つ た各 群 を 比 較 し くに根. て も,制 癌 剤 を 根 治手 術 前 に投 与 した方 が,術 後 に. 治 手 術 と制 癌 剤 との併 用 に 関 す る研 究 で は,そ の 研. 併 用 した もの よ りも生 存 治癒 率 が 高 い こ とが わ かつ. 悪 性腫 瘍の 治 療 につ いて の 実験 的研 究,と. 究 材 料 に十 分 な 考慮 が 払 わ れ な け れば な らない.臨. た.す な わ ち腫 瘍移 植 後 早期 根 治 手術 へ の 制癌 剤の. 床 的 経過 に忠 実 な実 験 的 研 究 材料 と して 必 要 な こ と. 併 用 で は,術 前 併用 群 の 治癒 生 存率 は66.7%に 対 し. は,結 節 型 で あつ て 平 均 した 増殖 を示 す 腫 瘍 で あ り,. て 術 後併 用 群 で は57.0%で そ の 差 は小 さい.し か し. その 腫 瘍 を手 術 的 操 作 によ つて 剔 出,除 去 して も さ. 晩 期 手 術 では 術 前併 用 群 の41.7%に 対 し,術 後 併用. らに転 移形 成 によ つて 宿 主 が100%に. 群 で は わず か21.4%で. の でな け れ ばな らず,さ. 腫 瘍死 す る も. そ の差 は大 き い.こ れ らの結. らに ま た移 植 され た腫 瘍 が. 果 か ら根 治手 術 に併 用 され る制 癌 剤投 与開 始 時 期 は. 自然 治癒 な どを 示 さず,す な わ ち一 定 した移 植 成 績. 術 前 投 与の 方 が 有効 で あ り,ま た晩期 の根 治 手 術 で. を得 る こ との で き る動 物 と腫 瘍 株 を用 い るこ とであ. はそ の意 義が よ り一 層 大 で あ る とい うこ とが い え る.. る11).. 緒 言 で のべ た よ うに,岩 崎6)は その 実 験 か ら術 前. 現 在一 般 に広 汎 に 使 用 されて い る吉 田 肉腫 の 皮 下 へ の 移 植 率 は吉 田12)の70.7%,保 梶 原14)の93.2%,鋤. 市13)の75.9%,. 柄15)の99.2%な. ど と一 定 して. お らず,ま た 自然 治癒 率 も6.6%〜7.0%15). 投 与 は効 果 が な い とい つ て い るが,こ れ は 腫 瘍 の移 植 率が 一定 せ ず,ま た 自然 治癒 の み られ る吉 田肉 腫 を 用 いて 実 験 して い る こと,術 前 化学 療 法 併 用 の時. 14)で あ. 期 が 腫 瘍細 胞 移 値1時 間 前で あ り,担 癌 動物 に制 癌. る と されて い るの で,腫 瘍 を手 術 的 に剔 出 し,そ の. 剤 を投 与 したの で はな い こ とな ど,そ の実 験 方 法 に.
(6) 482. 榊. 原. 宣. 多 くの 問題 を 含 ん で い る と考 え られ る.当 教 室 の折. もの の生 存 期 間 は8〜20日. 田19)に よ れ ば制 癌 剤 の 投 与 時 に は血 清Properdin. で も,再 移 植 群 は すべ て10〜23日 で腫 瘍 死 して お り,. 値 は 一時 的 に低 下 す る とい う.す な わ ち制 癌 剤 の 投. 各50%生 存 日数 は16日 前 後 で対 照 群 と比 べ て有 意 の. 与 は抗 癌 抵 抗 性 を 低 下 させ る ので あ つ て,そ の 時 期. 差 を 認 あが た く,各50%生. で あ る.わ た く しの実 験. 存 日数 の2倍 以 内 です べ. を 選 ん で移 植 す れ ば む しろ制 癌 剤 が 有害 に作 用 す る. て 死 亡 してい る の で,通 常 の 経過 を 示 した と考 え ら. で あ ろ うこ と は 当然 考 え られ る こ とで あ る.し か し これ は あ くま で も正 常動 物 に制 癌 剤 を与 え た場 合 で. れ る.し たが つ て 自然 治 癒 を起 す よ うな個 体 的要 因. あ つ て,担 癌 動 物 に与 え た場 合 に は全 く異 な る結 果. い い うる.. が え られ る こ とが わ か つ た.. 剖 検 所見 につ いて みれ ば,術 後 併 用群 も,術 前 併. す な わ ち,延 命 効 果 につ いて み るに,対 照 群 は も つ と も生 存 日数 が 短 か い.. 用群 も肺 転移 に比 して リ ンパ 節 転移 を認 め た も のの 方 が 多 い.佐 藤17)も 手術 にNitromin投. ま た手 術的 療 法 とNitrominと. を併 用 した 実験 で,. 佐 藤16)は 皮 下 腫 瘤 の 剔 出 後10γ/g/day×10日 は5γ/g/day×20日. は な く,根 治 手術 と化学 療 法 が 有 効 で あつ た もの と. また. 与 を併 用 す. る と肺 転移 の減 少 が み られ,一 方 生 存 期 間 の延 長 に 伴 い リンパ 節 転 移 が 増加 して くる こ とを 認 めて い る.. で の 投 与 の 後 死 亡 した もの は. 術 後 併用 群 に局 所 再 発 を み な いで 他 の部 へ の 転移. 133日 以 内 にす べ て 死亡 し, 200日 以 後 の 腫 瘍死 はな. によ り腫瘍 死 した もの が5例 あ るが,こ れ を 除 い て. い と いつ てい る.わ た くしの 実験 に おい て も,第2. 腫 瘍 死 した もの の全 例 に局 所再 発 を認 め て い る.こ. 群 の1例(208日. れ は根 治手 術 が不 十 分 で あ り,こ れ に対 して 化学 療. 目死 亡)を 除 い て移 植 後166日 以 内. に 死 亡 し て い る が,多. く は90日 以 内 に死 亡 して. 法 が 徹底 的 に効果 を あ げ る に はあ ま りに も腫 瘍細 胞. お り,術 前,術 後併 用 群 の 間 に 一 定 の 傾 向 は み. が多 く,効 果 を あ げえ な かつ た た め であ り,よ り徹. られ な か つ た.こ れ ら早 期 に死 亡 した症 例 の ほ とん. 底 的 な根 治手 術 に よつ て,再 発 を防 止 し,えた と推察. どが 第3章 第3節 にの べ た ご とく局 所再 発 を 示 して. され る.. い た こ とか らみ る と,以 上 の 事 実 は局 所 再 発 に よ る. 術 後 併 用群 に局所 再 発 を み ない で,リ. ンパ 節転 移. 腫 瘍死 の症 例 に対 して は 根 治手 術 お よ び化学 療 法 が. その 他 の転 移 の み られ た こ とは,も ち ろん 手 術操 作. 無 効 で あつ た こ とを示 す もの と考え られ る.し か し. によ つて 遊 離 した再 発 能力 の あ る細 胞 の転 移 増殖 に. なが ら,対 照群 に比 べ る と制 癌 剤 併 用 群 は 明 らか に. よ る もの と考 え られ るが,こ の よ うな症 例 は 術前 併. 延 命 効果 が 認 め ら れ て い る.佐 藤17)は 残 存 癌 細胞. 用群 に は全 く認 め られ な かつ た.こ の事 実 は一 度遊. の 再 発 は手 術 後 のNitrominの. 投 与 によ つ て抑 制 さ. 離 して 他 の部 位 に着床 した腫 瘍 細胞 に対 して 術 後投. れ た と解 す る こ と は誇 張 で はな い で あ ろ う との べて. 与 され たNitrominは. い るが,後 刻再 発 あ るい は転 移 を形 成 す るにせ よ,. な い ため と 考 え ら れ る.こ の 点 につ いて 徳 岡22)23). 徹 底 的 に抑 制 効 果 を期 待 で き. 主 腫 瘍 を手 術 によ つ て除 去 す る こと は担癌 動 物 の 生. はNitrominの. 体 中 の腫 瘍 細 胞 を減 ず る こ とに な り,化 学 療 法 が一. 研 究 で, Nitrominは. 層 充 分 抑 制 的 に作 用 し うる よ うにな る わ けで,し た. るが,リ ンパ 中 には きわ めて 低 く,流 入 量 に対 して. が つ て延 命効 果 に対 して よ り有 効 で あ る と考 え られ. 総 量1.13%が. 血 中,リ ンパ 中 の濃度 測定 に関 す る 血 中 に有 効 成 分 が 非 常 に高 ま. 出現 す る に過 ぎな い とい う.こ の点 か. る.こ の こ とは 癌 腫 の 化 学 療 法 を行 う際 に,腫 瘍. ら考 え て,一 度 リンパ 節 に潜伏 した腫 瘍 細胞 に対 し. 細胞 の数 が 少 い 場 合 に は と くに有 効 であ るとい う報. て はNitrominは. 告20)21)に 一 致 す る もの と考 え られ る.. なか ろ うか と考 え られ る.こ れ に反 して 術 前 制 癌剤. 移 植1年 後 ま で延 命 生 存 した動 物,す な わ ち根 治. 徹 底 的 に抑 制 しえ な かつ たの で は. 投 与 は か か る細胞 が 遊 離 して リ ンパ 節 中 に潜 伏 す る. 手 術 と化学 療 法 に よつ て 治 癒 し た と考 え られ るF1. 前 に そ の再 発能 力 を 減 じ,た とえ リンパ 節 中 に潜 伏. マ ウス に対 して,再 びMH. しえ た と して も再 発能 力 はな く,し たが つて 再 発 原. 134を 腹 腔 内 に移 植 し. た理 由 は,そ の 動 物(宿 主)に 何 らかの 腫 瘍の 自然 治癒 を 起 す よ うな 個 体的 要 因 が あつ て,そ のた め に. とは な りえ な い と考 え られ る. リンパ節 転 移 に 比 して 肺 転移 の少 い こ とは血 中 に. 術 後 の再 発 や転 移 が 抑 制 され たの で あ る か ど うか を. 有 効 成分 が 高 ま る ため と考 え られ る.リ ンパ 節 転 移,. 確 か め る た め であ る.も しそ うで あ る な らば,再 移. 肺 転 移,肝 転 移 およ び腹 膜 転 移 な どは術 前 併 用 群 に. 植 は陰 性 ま たは 異 常経 過 とな り,通 常 の経 過 を と ら. 比 して 術 後併 用 群 に多 くみ られ るが,こ れ は 術 後併. ない はず で あ る.佐 藤9)に よ れ ば腹 腔 内 に移 植 した. 用 群 で は局 所 再発 に よつて 二 次 的 に他 の 部位 へ の 転.
(7) 悪性腫瘍の化学療法 に関す る実験的研究. 483. らに局 所 再 発 よ り. とい う結 果 が え られ た.す な わ ち,治 癒 生存 率 が 良. 以前,す な わ ち手 術 操 作 時 に他 の部 に も転 移 巣 が成. 好 であ り,と くに移 植 後 晩 い時 期 の 根 治手 術 へ の併. 立 して いた もの も含 まれ て い ると考 え られ,こ れ に. 用の 場 合 に よ り一層 顕 著 で あ る.. 移 巣 が 形成 され た もの の 他 に,さ. 対 して術 前 併 用 群 で は局 所 再 発前 す なわ ち手術 操 作. 2)腫. 瘍死 した もの の生 存 日数 を検 討 す るに,多. 時 に遊 離 して 転 移 巣 を形 成 す るで あ ろ うと ころ の腫. くは腫 瘍 移植 後90日 以 内 に死 亡 し,術 前,術 後 併用. 瘍 細胞 に対 して 制 癌 剤 が す で に有 効 に 作用 して いて,. 群 に一 定 の 傾 向は 認 め られ な い.. 後 者 のよ うな転 移 例 は な く な つ た もの と考 え られ る.. 3)化. 学療 法 併 用群 は無 処 置対 照 群 に比 して生 存. 日数 が大 で あ る.. 佐 藤24),川 島18)は 心,脾,腎. な ど に も転 移 を 認. め て い るが,わ た く しの 実 験 で は認 め え な かつ た.. 4)術. 後 併 用群 で は 局 所再 発 を みな い で,リ ンパ. 節,肺,肝. 以 上 の実 験 結 果 よ り,制 癌 剤投 与 と手 術 的療 法 と. な どに転 移 再 発 した例 を認 め るが,術 前. 併 用 群 で は かか る再 発 を 認 めな い.こ れ は手 術 操 作. の併 用 に 際 して は 術前 投 与 が 術 後 投与 に比 して 明 ら. 時 に遊 離 した腫 瘍 細胞 の 転移 に よ る もの と考 え られ,. か に有 効 かつ 合 理 的 で あ るこ とが 立証 され た もの と. 制 癌 剤 の 術前 投 与 は これ を抑 制 しう るが術 後投 与 は. 信ず る.. 抑 制 しえ な い こ とを示 して い る. 第5章. 結. 論 稿 を終 るに の ぞみ 御 指導,御 校 閲 を 賜わ つ た 陣 内. 悪性 腫 瘍 に 対 す る外 科 的 手療 術 法 と化学 療 法 との 併 用 につ いて と くに そ の投 与 時 期 を検 討す る 目的 で,. 教 授 に深 甚 の 謝 意を 表 す る と ともに,本 実験 に つ い. C3H/HeN(〓)×dd(♀):F1マ. ウ スの 腹 水 肝癌. て種 々御 援 助 を 賜わ つ た東 北 大 学抗 酸 菌 病研 究 所 佐. MH. 用 いて 実 験 を行 つ. 藤春 郎 教授 に 感 謝 す る.. 134皮 下 腫 瘍 とNitrominを. た結 果,つ ぎ の ごと き結 論 を え た. 1)根. 治 手 術 に併 用 され る制 癌 剤投 与 は,術 前 投. 与 が術 後 投 与 よ り遠 隔 治 癒成 績 か らみて 優 れ て い る. 文 1). 榊. 2). 清 水 絵 か:外. 原:岡. 3) Martin,. 山 医 学 会 雑 誌, 科,. 14,. 73,. 469〜476,. 479〜484,. 献. D. S.: Am. J. Surg., 94, 685-686,. 1959. 小 林 ほ か:外. 5). 徳. 山:外. 科,. 21,. 科 治 療,. 崎:外. 1264〜1269,. 梶. 原:. Gann,. 43,. 328〜330,. 1952.. 15). 鋤. 柄:. Chemotherapy,. 7,. 420〜435,. 4,. 1961.. 岩. 7,. 1543〜1552,. 7). 小 源 ほ か:癌. の 臨 床,. 3,. 554〜560,. 8). 榊 原 ほ か:外. 科,. 22,. 333〜337,. 9). Sato,. al.:. J.. H.. 1•`21,. 科 の 領 域,. 39〜44,. et. Nat.. 1959. 1957.. 17,. 1956.. Sato,. H.. et. al.:. Fukushima. 155•`173,. 1958.. 川. 島 医 学 雑 誌,. 島:福. J.. Med.. Sci.,. 10, 433〜446,. 12). 吉. 田:吉. 田 肉 腫,寧. 13). 保. 市:日. 本 医 学 放 射 線 学 会 雑 誌,. 楽 書 房,. 5,. 1960.. 1949.. Sato,. H.:. 川. 島:福. 19). Orita,. 827〜. U.. I. C. C.,. 15. Acta. K.:. U.. I. C. C.,. 島 医 学 雑 誌, Acta. 16,. 10,. bis.,. 253•`. Med.. 765•`768,. 1960.. 447〜454,. Okayama,. 1960. 15,. 27•`. 1961.. 20). 神 崎:. 21). 石 館 ほ か:. Gann,. 22). 徳. 岡:癌. の 臨 床,. 5,. 462〜473,. 23). 徳. 岡:癌. の 臨 床,. 5,. 556〜564,. 24). Sato, Suppl.,. 14,. Acta. 18). 76,. Inst.,. H.:. 1959.. 1959.. 17). 1960.. Cancer. Sato, 257,. 1959.. 6). 11). 14). 16). 4). 10). 835, 1954.. 1961. 1952.. Gann,. H.:. 43,. Acta 685•`706,. 326〜328, 46,. 1952.. 480〜482,. Pathologica 1959.. 1955. 1959. 1959. Japonica,. 9.
(8) 484. 榊. 原. 宣. Experimental Studies on Chemotherapy of Malignant Tumor Part 2 An Experimental Study on the Combined Therapy of Anti tumor Agent with Surgical Operation to Malignant Tumor By Noburu. SAKAKIHARA. 1st Department of Surgery, Okayama University Medical School (Director: Prof. Jinnai, D. M. D.) 1) with. This. MH. hybrids,. and 2). with. 5). that but. combined. of. its. to. therapy. of. administration. the. mice,. anti-tumor. period.. C3H/HeN. agent. The. (_??_) X. ascites. dd. (•Š):. F1. in. cases. rate by. of. the. combined. administration is. higher. tumor. in. growth. There. was. seems. to. the. group. occurred. in. found. any. hardly. therapy. appeared. to. of be. with. preoperative. most. of. the. more. with than. administration.. the. cases. difference. agent effective. within. 90. days. the. pre-. and. between. therapy. Some. animals in. recurrence cells. have the. well. circulating. preoperatively postoperative. metastases. group. there as. apparent. to. increase. administered. at. lymphnodes,. postoperative was. metastases. blood. cannot.. in. with. therapy as. in. be. the. survival. rate,. compared. group.. recurrence. the. survival. combined. combined. the. rate preoperative. directly. non-treated. operative. tumor. the. administrations. The. the. local. study analysis. transplanted. survival the. coused. to the. administered.. transplantation.. postoperative 4). the. The. Death tumor. out for. subcutaneously was. operation,. postoperative. 3). was. to. surgical. after. local. 134. carried. especially. nitromin. According. radical. was. operation,. hepatomas. the. experiment. surgical. never to. the. seen. those. time anti-tumor. lung,. liver. combined. of. a. organs surgical agent. mode. such. metastasis,. observed.. manipulation. can. other while. of. were. and. therapy,. inhibit. It It the. organs in. that but. seems is. to therefore. metastasis. be. without with. pre. both. of. the. due. to. the. apparent formation.
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