九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Effects of tumor necrosis factor inhibitors and tocilizumab on the glycosylated hemoglobin
levels in patients with rheumatoid arthritis;
an observational study
大塚, 友希実
http://hdl.handle.net/2324/2236069
出版情報：九州大学, 2018, 博士（医学）, 課程博士 バージョン：
権利関係：(C)2018 Otsuka et al. This is an open access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License
（別紙様式２）
氏 名 大塚 友希実
論 文 名 Effects of tumor necrosis factor inhibitors and
tocilizumab on the glycosylated hemoglobin levels in patients with rheumatoid arthritis; an observational study
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 中島 康晴 副 査 九州大学 教授 小川 佳宏 副 査 九州大学 教授 岡田 誠司
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
炎 症 性 サ イ ト カ イ ン に 作 用 す る 生 物 学 的 製 剤 で あ る TNF 阻 害 薬（TNFi）と IL-6 受 容 体 阻 害 薬 ト シ リ ズ マ ブ （TCZ） は 、 関 節 リ ウ マ チ 患 者 の 糖 代 謝 に 影 響 を 与 え る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て き た が 、 両 者 を 比 較 し た 報 告 は な い 。
申 請 者 ら は 、TNFi お よ び TCZ が 投 与 開 始 さ れ た 関 節 リ ウ マ チ 患 者 の 糖 化 ヘ モ グ ロ ビ ン （HbA1c） に つ い て 、 多 施 設 共 同 、 後 ろ 向 き に 解 析 し た 。 投 与 前 と 投 与 3 ヶ 月 後 の HbA1c が 判 明 し た 症 例 を 対 象 と し 、TNFi 群 154 例 、TCZ 群 67 例 の 計 221 例 で あ っ た 。両 群 と も 投 与 1 カ 月 後 お よ び 3 ヶ 月 後 の HbA1c は 有 意 に 低 下 し て い た 。 投 与 前 の HbA1c に 差 は 見 ら れ な か っ た が(TNFi, 6.2%; TCZ, 6.2%; p=0.532)、 投 与 3 ヶ 月 後 の HbA1c は TCZ 群 で よ り 低 値 で あ っ た(TNFi, 6.1%; TCZ 5.8%; p=0.010)。HbA1c の 3 ヶ 月 間 の 低 下 が 0.5%以 上 見 ら れ た こ と を 「HbA1c の 低 下 」 と 定 義 す る と 、HbA1c の 低 下 と 関 連 が あ っ た 因 子 は 投 与 前 の 糖 尿 病 診 断 お よ び 糖 尿 病 治 療 、観 察 期 間 中 の 入 院 、糖 尿 病 治 療 の 強 化 、経 口 ス テ ロ イ ド の 減 量 、そ し て TCZ で の 治 療 で あ っ た 。多 変 量 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 で は TCZ は TNFiと 比 べ HbA1c の 低 下 と 有 意 に 関 連 し て い た(adjusted odd ratio= 5.59, 95% CI= 2.56-12.2)。TCZはTNFiと 比 べ 関 節 リ ウ マ チ 患 者 のHbA1c を よ り 低 下 さ せ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。
以上の結果は、この方面の研究に治験を加えた意義あるものと考えられる。本論文の内容 について、各調査委員より専門的な観点から論文内容および関連した事項について種々の 質問を行ったが、いずれについても適切な回答を得た。なお、本論文は共著者13名である が、予備調査の結果、本人が主導的役割を果たしていることを確認した。よって調査委員 会合議の結果、試験は合格と決定した。
