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タイ現代史を学ぶための読書案内 (ライブラリー・ コーナー)

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タイ現代史を学ぶための読書案内 (ライブラリー・

コーナー)

著者 小林 磨理恵

権利 Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization (IDE‑JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名 アジ研ワールド・トレンド

巻 209

ページ 47‑47

発行年 2013‑02

出版者 日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL http://doi.org/10.20561/00045713

(2)

  現代の問題を考察する際

に︑それまでの過程︑すなわ

ち現代史をたどる作業は欠か

せない︒本稿ではタイの現代

を知る手がかりとなる書籍を

紹介する︒

  タイの通史︵古代〜二〇〇

六年︶を扱ったものに柿崎一

郎﹃物語タイの歴史微笑の

国の真実﹄

︵中央公論新社

二〇〇七年︶がある︒末廣昭

﹃タイ開発と民主主義﹄︵岩

波書店︑一九九三年︶は︑一

九五八年のサリット首相によ

るクーデタから一九九二年の

五月流血事件までの社会の変

化を追う︒その続編にあたる

末廣昭﹃タイ中進国の模索﹄

︵岩波書店︑二〇〇九年︶は︑

民主化︑現代化︑王制を切り

口に︑一九八八年からの二〇

年間を分析する︒パースック・

ポンパイチット︑クリス・ベー

カー﹃タイ国近現代の経済

と政治﹄

︵刀水書房

︑二〇〇

六年︶は︑現代タイの経済と

政治の発展に関する詳細な概

説書である︒

  タノーム軍事政権が学生を

中心とするデモのなかで倒さ れた一九七三年の一〇・一四事件の前後を追ったものに

P・C・チャンダー︑T・ス

パウォン﹃革命に向かうタイ

現代タイ民衆運動史﹄

︵柘植 書房

︑一九七八年︶

がある

同じく一〇・一四事件につい

てフェミニストの経験と教訓

を 記 録 し た も の に ス ニ ー

チャイヤロット﹃フェミニス

トが語るタイ現代史一〇・

一四事件と私の闘い﹄

︵明石 書店

︑二〇〇七年︶

がある

プオイ・ウンパーコーン﹃タ

イ現代史への一証言﹄

︵井村

文化事業社︑一九八七年︶は︑

一九七六年の一〇・六事件︵血

の水曜日事件︶の主舞台タマ

サート大学の学長であったプ

オイによる︑事件についての

証言である︒

  スコータイ王朝から五月流

血事件までを扱った加藤和英

﹃タイ現代政治史

国王を元

首とする民主主義﹄︵弘文堂︑

一九九五年︶

︑﹁タイ民主

主義﹂の内実をタイ史の原点

に戻って検討する︒一九九〇

年代の民主化過程に焦点を当

てた玉田芳史﹃民主化の虚像 と実像タイ現代政治変動のメカニズム﹄

︵京都大学学術

出版会︑二〇〇三年︶は︑民

主化の主役とされてきた中間

層を虚像であるとし︑その実

像に迫る︒頻繁な軍部による

クーデタはタイ政治の特徴で

あるが︑軍部による最初の革

命となった一九三二年の立憲

革命の論理と心情とを分析し

たものに︑村嶋英治﹃ピブー

ン独立タイ王国の立憲革命﹄

︵岩波書店

︑一九九六年︶

ある︒  一九世紀末以降のバンコク

における﹁無秩序な都市開発﹂

の原因を土地所有史の観点か

ら追究したものに︑田坂敏雄︑

西澤希久男﹃バンコク土地所

有史序説﹄

︵日本評論社

︑二

〇〇三年︶がある︒倉島孝行

﹃タイの森林消失

一九九〇

年代の民主化と政治的メカニ

ズム﹄︵明石書店︑二〇〇七年︶

は︑一九九〇年代の﹁森林地﹂

対﹁耕地﹂をめぐる政治的な

攻防が

︑森林地を減少させ

農地を拡大させた構図を提示

する︒北原淳﹃タイ近代土地・

森林政策史研究﹄︵晃洋書房︑

二〇一二年︶は︑一九世紀末

から一九三〇年代までの︑国

家による農地と森林地の管理

政策に関する歴史的経過の実 証研究である︒  経済発展と鉄道を中心とした交通政策との関係を論じたものに︑柿崎一郎﹃タイ経済

と鉄道一八八五〜一九三五

年﹄

︵日本経済評論社

︑二〇

〇〇年︶

同﹃鉄道と道路の

政治経済学タイの交通政策

と商品流通一九三五〜一九七

五年﹄︵京都大学学術出版会︑

二〇〇九年︶︑同﹃王国の鉄路

タイ鉄道の歴史﹄

︵京都大学

学術出版会︑二〇一〇年︶が

ある︒  矢野秀武﹃現代タイにおけ

る仏教運動タンマガーイ式

瞑想とタイ社会の変容﹄

は︑

一九七〇年代以降に上座部仏

教の一寺院に仏教運動が生じ

た背景に︑二〇世紀初頭の宗

教行政や七〇年代以降の消費

社会化の影響を指摘する︒

  トンチャイ・ウィニッチャ

クン﹃地図がつくったタイ

国民国家誕生の歴史﹄

︵明石

書店︑二〇〇三年︶は︑国民

という観念の創造に地図が果

たした役割を論じる︒村田翼

夫﹃タイにおける教育発展

国民統合・文化・教育協力﹄︵東

信堂︑二〇〇七年︶は︑ラー

マ五世王時代以降の教育の発

展と国民統合の関係を論じ

る︒柿崎千代訳﹃タイの歴史

タイ高校社会科教科書﹄

︵明

石書店︑二〇〇二年︶は︑高

校三年生用歴史教科書の翻訳

であり︑学生がどのような歴

史認識を持つことを期待され

ているかが垣間みえる︒

  昭和初期までの日タイの交

流史には︑石井米雄︑吉川利

治﹃日・タイ交流六〇〇年史﹄

︵講談社︑一九八七年︶がある︒

戦時期の日本による東南アジ

ア侵攻・泰緬鉄道敷設につい

ては︑ねずまさし﹃現代史の

断面

・死の泰緬鉄道﹄

︵校倉 書房

︑一九九九年︶

︑抗日

反政府運動の地下組織﹁自由

タイ﹂の中心人物の動向につ

いては︑市川健二郎﹃日本占

領下タイの抗日運動自由タ

イの指導者たち﹄︵勁草書房︑

一九八七年︶がある︒

  早瀬晋三︑桃木至朗編集協

﹃ 東南アジア史研究案内﹄

︵岩波書店︑二〇〇三年︶には︑

小泉順子氏

︑村嶋英治氏に

よって︑タイの主要な資料館

や図書館等における史料の保

存状況およびその利用方法が

説明されているので参考にさ

れたい︒︵こばやし

まりえ/アジア

経済研究所  図書館︶

タ イ 現代史を 学 ぶ た め の 読書案内

小 林 磨 理 恵

47 アジ研ワールド・トレンド No.209 (2013. 2)

参照

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