151 本特集は早稲田大学のSEND(Student Exchange Nippon Discovery)プログラムの実践
についてまとめたものである。このプログラムは日本語教育研究科と日本語教育研究セ ンターの共同申請により2012年度に日本学術振興会によって採択されたプログラムで、
その構想タイトルは「「日本語教育学」総合学習プログラムを通じた重層的・循環的人材 育成事業」である。このプログラムの詳細は本誌の18号の特集「大学の世界展開力と SENDプログラム」の諸論文および鼎談を参照いただきたい。
さて、本特集は、このプログラムが2016年度で終了するにあたり、このプログラムで 展開された「教育実践」について報告するために組まれたものである。
第1部は、2016年3月にタイ・チュラーロンコーン大学で行われたシンポジウムで発 表された4本の実践を紹介している。このシンポジウムは「SENDプログラムにおける協 働‐対等・対話・創造」と題され、高橋美紀、スヤラー・ワッチャラー(コンケン大学)、
松井育美(チュラーロンコーン大学)、コンジット・サランヤー(チェンマイ大学)、櫻井 省吾(南洋理工大学)の5氏が各大学の実践を「協働」の視点から報告をし、またその4 つの実践報告をもとに舘岡洋子(早稲田大学大学院日本語教育研究科)が講評を行った。
したがって、本特集の第1部では、以上の6人の論考が収録されている。
第2部は、SENDプログラムに参加した10の大学から、参加期間を総括する形で、各 大学と早稲田大学に展開された「日本語教育学」総合学習プログラムについて、各大学の 視点から「実践報告」を執筆していただいた。執筆者は、高橋美紀、スヤラー・ワッチャ ラー(コンケン大学)、浜崎譲、ウォーカー泉、大塚陽子、北井佐枝子(シンガポール国 立大学)、シリワン・ムニンタラウォン(タマサート大学)、コンジット・サランヤー(チェ ンマイ大学)、チラソンバット・ウォラウット、チューシー・アサダーユット(チュラー ロンコーン大学)、Hieida Bernadette S. (デ・ラ・サール大学)、大峡泰一(ナレースワン 大学)、櫻井省吾(南洋理工大学)、ナンダン・ラフマット(パジャジャラン大学)、ウー・
ワイシェン、木村かおり(マラヤ大学)の各先生方で、5か国(フィリピン、インドネシア、
シンガポール、タイ、マレーシア)10大学の10本の「実践報告」が寄せられている。
SENDプログラムは、日本語教育実践を軸として、早稲田大学の学部生、大学院生が
ASEAN諸国の各大学へ短期あるいは長期に派遣され、当地の日本語教育に参加し日本語
学習者と交流する、早稲田から見たoutboundの実践と、これらの10大学から早稲田の 日本語プログラム(日本語教育研究センター)や大学院日本語教育研究科に留学する、早 稲田から見たinboundの実践の双方向のプログラムである。すでに10大学および早稲田 大学の派遣学生の間で重層的かつ循環的人材交流が展開されている。このSENDプログ ラムに参加した学生や私たち教員は21世紀のグローバル社会に必要な力と資質を育成で きたのかどうか、この特集から、改めて考えてみたい。