九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
ニューラルネットワークによるファジィルールの獲 得
橋山, 智訓 髙木, 英行
九州芸術工科大学
http://hdl.handle.net/2324/4491490
出版情報:2000-09. 共立出版 バージョン:
権利関係:
第 24 章 データからの知識獲得
24.1 ニ ュ ー ラ ル ネッ トワークに よるファジィル ールの 獲 得
[橋山 智訓"商 木 英 行]
24.1.1 は じ め に
フアジィ システムは.人間のふ悟的知識をフアジィルールの形で表現できるため,
熟 練 者 の 持 つ 制 御 知 識 等 を 容 易 に 取 り 込 む こ と が で き る.しかしながら.すべての 知 識 が必ずしも ,
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語 化 で き る と は 限らない.この よ う な 楊 合.実 シ ス テ ム の 入 出 力 データを1 j 1
いて 適切なフ ァジ ィ シ ス テ ム の 構 成.すなわち.ファジィル ー ル の 同 定 (idcntificatio11 of f11zzy rule)を行う必要がある.1980年 代 後 半 か ら フ ァ ジィシステ ムが広く産業界で1心I l l
されるとともに.1
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発コストの削減と性能向上を目指して.従 来の試行錯誤による 設 汁 に 代 わ る 手 法 が 求 め ら れ て き た.こ の よ う な
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,ニューラルネットワーク (neuralnetwork)の学 習 (learning) 能 力 を 利 用 し , ファシィシステムを構成する/ i J f
究が, 1988年 のNN駆動型ファジィ 椎論システムから始まった[ 1 . 2 ]
.その後,様々な形でファジィシステム とニューラ ルネッ トワ ー ク の 融 合 化 手 法 が 研 究 さ れ た.1991年 に は 洗 濯 機 の 制 御 系 の 設 計 に 対 して,初めてフ ァジィ+ニューラルネ ットワークシステムが実応用された.そ の 後,フ ァ ジ ィ シ ス テ ム 自 動 設 計 の一ー手法として研究 が 深化し, 1993年 頃 ま で に は 基 本 的 な フ レ ー ム ワ ー ク は 確 立 された.家 軍 品 へ の 応 用 に 関 し て も , 現 在 で は 基 礎 技 術 と
して広く没透している.
24.1.2 ニュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク に よ る フ ァ ジ ィ シ ス テ ム の 設 計
1980年 代 後 半 の.産 業 界 に おけるファジィ技術応用の 拡 が り と と も に , 開 発 コ ス トの削減および 性 能 向 上 を 実 現 す る 新 しい 手法が必要とされていた.ファジィシス テ ム に お い て , 設 計 す べ き 項 目 は 以 下 の 通 り で あ る.
1. 入 出 力 変 数
2. フ ァ ジ ィ 推 論 の 方 法 3. フ ア ジ ィ ル ー ル 数 4. 前 件 部 メ ン バ シ ッ プ 関 数 5. 後 件 部 パ ラ メ ー タ
632 第24P,r. デ ー タ か う の 知 品1せ柑
1.は
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的 に 応じて,制 御値 や 判断 を 決定す る た め に 必・'炭な人) J.およひ,'!¥))を決定 する.2 .
はファジィi i i i 1 i :
J:.や 非 フ ァ ジ ィ 化の)j法 を 決 定する..i . : : 1 . I } ) │ i i l
には密接 な 関 係 が あ り , そ の 設 計 は 難 し い.5.の 後件 部の 設 叶 に 関 し て は.ファシ{変数と す る か, 線 形 式で表されるTS K
モ デ ル [:・}.4 ]
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lヽるか.あるし・1
よンングルトンを 用 いる か 等 の 選 択 肢 が あ る フ/ノ イ シ ス テ ムの 設壮!こおlヽて.ら、Jとも時間を必 要とするのは, 3‑5に お け る ル ー ル の チューニングである.19没8年 に 提 案 さ れ たNN 駆 動 型 フ ァジィ推論シ ス テ ム は . 前 件 部 メ ンパシノプ関数ニュ←→ラルネ ノトワークにより学習する.Fig.24.1に後件部もニューラルネノトワークで溝)成し
I . : .
N N駆動型 ファジィ推論システムの構成例をポす. 凶中 1、..1\•991em により 1iiii1惰I\ メンI ヽシノプ1月 数 を 学 習 し.N N1からNN,.で後件部を学習する.] 環 後の町1
部 メ ン ハシノプ関 数 は,人 力 空 間の フ ァ ジ ィ 分 割 を 規 定 す る.ニ ュ ー ラ ル ネノ・ トツークをI l l
いて1 i f I
件 部 メ ン パ シ ッ プ 関 数 を 学 習 す る こ と で , 多 次 元 人 ) ) の 非 線 形 な 超i l l l l f
りを,没叶しルー ル 領 域 を フ ァ ジィ 分 割 す る こ と が可能となる.X1 X2
Figure 24.1
x,9
NN‑driven Fuzzy Reasoning System.
N N駆 動 型 フ ァ ジ ィ推論 シ ス テ ム に よ り 設 計 さ れ る 入力空 間 の フ ァ ジ ィ 分 割 の 概 念 図 をFig.24.2(a)に示す.また,Fig.24.2(b)に は , 一 般 的 な三角型メンパシップ関 数 に よ る 入 力 空 問 の フ ァ ジ ィ 分 割 図 を 示 す.ファジィシステムの設計においては,
Fig.24.2の よ う に 分 割 さ れ た 入 力 空 間 の 数 が ル ー ル 数 と な る.NN駆動型ファジィ推 論 シ ス テ ム の 特 長 の 一 つ は,柔 軟 な 入 力 空 間 分 割 が 実 現 で き る た め , ル ール数が少 な く て 済 む こ と で あ る . 倒 立 振 子 を 制 御 す る 人間の 技 能 デ ー タ を 学 習 す る 事により, わ ず か2個 の ルー ルで フ ァ ジ ィ シ ス テ ム を 構 成 可能で あ り , か つ, 制御 系 設 計 時 間
2‑‑1.l ニューラルネノ・トワークによるフアジ(ルールの痰得 633 の<輻 な 短 縮 も 可 能 と な) った こ と が 報告・されている
[ 5 ] .
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x(a) by NN‑drivcn Fuzzy Rcasonmg
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(h) by Fuzzy Lab<!I Figure 24.2 闘 zzyPartition.
前 件 部 メ ン バ シ ッ プ 関 数 を ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク に よ り 直 接 構 成 す る こ の 手 法 は , ル ー ル 数 の 削 減 を 可 能と す る が.反 面.入力空間を複雑な形に分割するため,
Fig.24.2(b)に 示 す よ う な言語ラベルを持つル・̲ルとして取り出すことは難しい.そ こで,メ ン バ シ ッ プ 関 数 の 形 状 を , 中 心 位 附 , 幅 な ど の パ ラ メ ー タ で 表 現 し , そ の パラメータをニューラルネ・ノトワーク の 学 習 機 能 に よ り 調 整 す る 手 法 が 提 案 さ れ た. これらは,前件部メンバシップ関数の形状の違いで様々なバリエーシ ョ ン が あ る 代 表 的 な も の と し て,三角 型[6],ガウス関数[7], シ グ モ イ ド 関 数 の 組 合 せ[8‑10], ベ ル型関数[11]を 用 い る も の が 提 案 さ れ て い る.Fig.24.3に2入力1出 力 の 場 合 の 構 成 例 を 示 す.図 は 後 件 部 を 定 数w人.とする簡 略 化 フ ァ ジ ィ 推 論 の 楊 合 を 示 し て い る.
このネッ トワー ク の動 作 は , 図 中(A)付の入力が,前 件 部 メ ン バ シ ッ プ 関 数 を 表 す (B)層 に 分 配 さ れ る.(B)I習では,各 メ ン バ シ ソ プ関数 の 値Aヮ(Xj)が 出 力 さ れ,(C) 陪 に お い て 各 ル ー ル の 前 件 部 適 合 度 μkが そ れ ぞ れ の 梢 と し て 計 算 さ れ る.ただし 通 常(C)層の出力は,(C)層の全ユニソ トの出力 の 総 和 で 規 格 化 し た 値 を 出 力 す る よ うに設定する.μkに 後 件 部 定 数 w.人 を掛け,そ の 総 和 が 推 論 値 が と し て 出 力 さ れ る.Fig.24.3のネッ トワ ー ク が 実 現 す る フ ァ ジ ィ 推 論 は以下 の よ う に 定 式化できる.
μk
=
A;1(x1)A叫四)• ~k 肛 •Wk y
=
I:k μk
ここで,Rkは K番 目 の フ ァ ジ ィ ル ールを示し,A;1,Aj2は そ れ ぞ れX1,X2に 対 す る 前 件 部 メ ン バ シ ッ プ 関 数を表 す.Fig.24.2(b)は,前 件 部 メ ン バ シ ッ プ 関 数 に三
(24.1) (24.2) (24.3)
634 第 2•I'召 デークか;.)の知.;&i稔柑
x,
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IDFigure 24.3 ,¥11 Exa111pl<'of F11•ヽZ.\'-~~.
角 型 関 数 を 選 訳した場合に相・りする.
こ の シ ス テ ムで は,ファジィシス テ ム の 推 溢 値 と 教 師 データの、翌;;
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.. :を1 1 £ , J
ヽ:こする ように,ネットワークの/{ラメータをチューニングする.蔽 忽 降 ド 法 をlll、して.ハラ メータチューニングをするこ と が 多 し 、 が こ れ に 限 定されるもの ではなし、.Fig.2.1.3に お い て は,(13)IMに お け る 前件部 メ ン パ シ ッフ関 数 の 形状を 規 定 す る ハラメータと 後 件 部 定 数であるw人.を同時にチューニングするこ と がII[能で あ る.特に, 1iiift部に三角 I利メン/ヽシッ プ1共l 数を JIlし、る T••法は, 演符が簡 lj1. なため 1991 年 以 降,多 数の 家屯 槻 器 に 応IIlさ れ て き た.
24.1.3 ニュー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク に よ る ファジ ィ シ ス テ ム 設 計 の 応 用 例 フ ァ ジ ィ 制 御 の 家 心 機 器 応/
1 1
を 大 き く 促 進 さ せ た一I K l
に.,没,汁したフアジ(ルール をLook‑upTahlcの 形でメ モ リ に 記 憶 さ せ て お き,4bilマイコンによ って実行した ことがあげられる.こ の 方 式 は 低 コ ス ト で か つ 邸 速 な 信 号 処 理 が 可 能 で あ る.19!.ll年 に 松 I::屯器産架が全自動ファジィ洗濯機のためのファジィ シ ス テ ム 構 築ツール (fuzzy system design support tool)として,二角型メンパシップ関数をII」し、る T•法を比叫し製品化した. そこでは,布址 • 水濁 ht • 水沿が心の時間変化の 3 変数を人)J と し. 水 位 ・水流 ・洗し、時
I M I
・す す ぎ 時間 ・ 脱水 時間を出 力と す る フ ァ ジ ィ シ ス テ ム を構築 し た そ の 後 . こ の 技 術 お よ び 派 生 技 術 を 用 い て 掃 除 機,オー プン レ ン ジ.炊 飯 器,コ ビー 機 エ ア コ ン 等 が 次々と 尚 品 化[12]され,家 電 機 器 に お け る フ ア ジ ィ ・ニュー ロ プ ー ム を 巻 き 起こした.
24.2 進化(I},I・りによるフアジィルールの獲得 635
廂 業 機 器 に お い て は.1991年 から
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:の/!、 1‑:延機 の制 御 に お い て 実 稼 働[13]したの が最初の)とJ I l
例 で あ る.24.1.4 まとめ
フ ア ジ ィ シ ス テムの扱し、易さにニューラルネット ワ ー ク の 学 習 能 力 を 用 い る こ と て
h 1 r i c
する.フ・I・ジ{ + ニ ュ ー ラ ル ネット ワ ー ク シ ス テ ム に つ い て 解 説した.ファ ジf十ニューラルネットワークシステ ム のフレームワークは1993年 ま で に ほ ぽ 確 立 され.現在では)'し礎技術と して 深く汝 透してし、る.フ T シ•,ィ+ニューラルネノ トワー クシステムは様々なバリエーションがあり. こ こではすべ てを網羅できていなし、. 文献[1‑1]で は.フアジィ システムとニュー ラ ル ネノ・トワークの 融合 度の 観1.''[から.11種'iliに 分fiiしている,本 節 で は , そ の 歴 史 的 起源に
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.りをあてて解説した.フ ア ジ ィ 十 ニ ュ ー ラルネット ワ ー ク シ ス テ ム の 深 い 知識を得たし、説者は,詳しt、,1}簡 [
15. 16]などを参照されたし、.lIi'
. ‑ ・ ‑
(友'、‑.フ ア ジ ィ + ニ ュ ー ラ ル 不 ッ ト ワーク ン 人 ナ ム に 関 す る 知 的 所 有 権につ い てふれる.少 な くとも前件 部 ま た は 後(牛 部 が ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト 構 造 を し てtヽるファ ジ ィ シ ス テ ム[17].およ び. ニューラルネットワーク で 部 分 的 に も 設 計 さ れ た フ ァ ジ ィ シ ス テ ム[18]は.登 録 特 許 で ク レ ー ム さ れ て お り.大多数のファジィ十ニュー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク シ ス テ ム がこれ ら の 特 許 に か か わ る.こ れ ら の 特 許 の 欧 米 での 状 況 は,2000年 現 在 , 登 録.登 録 待 ち,,ti¥1t中である.
24.2 進化的計算によるファジィルールの獲得
[橋山智訓,高木英行]
24.2.1 は じ め に
ファジィ システム は 人 間 の 知 識 をファジィ ルールとして 容 易に 収 り 込 む こと が ‑ き る ヒ ュ ー マ ン フ レ ン ド リ ー な シ ス テ ム で あ る.本 節では.フ ァ ジ ィ シ ス テ ム の 自 狐 詞 を 進化 的計符により行う)
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去について解説を行う./ー、=
進化的
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籾 手 法 は.生 物の追伝や進化過程を工 学的に模擬した最適値探索を1丁っ計紅 モデルの総称である.進化的 計 符 手 法 に は.迫伝的アルゴリズム(geneticAlgorithm: CA}[I9, 20],進 化 的 戦 略(evolutionstrategies: ES) [21].進 化 的プロ グ ラ ミ ン グ {C'volutionary programming: EP) [22].迫伝的プログラミング(geneticprogramming: GP)がある.進 化 的 計 籾 は. 対象とする問題を染色体と呼ばれるコードに変換し,染 色 体 に 対 し て 交 又.突 然 変 楳 . 選 択.淘 汰 の 追 伝 的 涸 符 の 操 作 を 加 え る こ と で 最 適仙探 索 を 行う.
進 化 的 計 鉢 手 法 に よ る ファジィシステムの設計は.1989年 のKarr[23]によるG A を用いたメン バ シ ッ プ1対数のチューニ ン グ に 始 ま る.そ の 後.様 々 な バ リ エ ー シ ョ