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大動脈弁圧較差は硬化性大動脈弁狭窄症の重症度を測るうえで有用な指標か? Is aortic valve pressure gradient a useful parameter for assessing severity of sclerotic aortic stenosis? 棗田誠 村上弘則

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(1)

Is aortic valve pressure gradient a useful parameter for assessing severity of sclerotic aortic stenosis ?

手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科

《Abstract》──────────────────────────────────────

 背景:大動脈弁狭窄症(aortic stenosis;AS)の重症度評価上,大動脈弁血流速度から算出した大動脈弁圧較差

(aortic valve pressure gradient;AVPG)と大動脈弁口面積(aortic valve area;AVA)が不一致となる症例が珍しく ない.

 目的:ASの重症度診断上,AVPGとAVAのどちらがより有用かを検討した.

 対象と方法:新規に中等度以上の硬化性AS(AVA≦1.5cm2)と診断され,6 カ月以上経過観察ができた連続193 例を 3 群(A群:AVA≦1.0cm2,AVPG≧64mmHg,B群:AVA≦1.0cm2,AVPG<64mmHg,C群:AVA>1.0cm2AVPG<64mmHg)に分け,心事故(心不全,大動脈弁置換術,心臓死)からのevent-free survival rateと心エコー 指標を比較した.

 結果:3 群の経過観察期間,性差,年齢,左室拡張末期容積,左室駆出率に差はなかったが,A群は 1 回拍出 量がC群のそれに比し低値(p<0.01)で,他群に比し左室壁厚が大きかった(p<0.05).B群はAVA(0.9±0.1cm2 がA群(0.7±0.2cm2)より大きく(p<0.001),AVA ≦1.0cm2の症例の62%,AVPG<64mmHgの症例の18%を占 めた.心事故はA,B両群ともC群に比し多かったが(p<0.001),両群間に差はなかった.

 考察:AVPG<64mmHgでもAVAが重症の症例が多く,AVPGのみの重症度評価は適切でない.AVAはAVPGよ り予後予測に優れていた.

───────────────────────────────────────────

大動脈弁圧較差は硬化性大動脈弁狭窄症の重症度 を測るうえで有用な指標か?

● 大動脈弁狭窄症

● 大動脈弁圧較差

● 大動脈弁口面積

● 重症度評価 Key words Makoto Natsumeda, Hironori Murakami,

Kojiro Ogawa, Haruki Sasaki, Yoshikazu Asano, Kenjiro Miyamoto, Yasuhiro Omoto, Yasukazu Yamaguchi, Mitsugu Hirokami, Shigemichi Tanaka

Division of Cardiology, Cardiovascular Center, Teine Keijinkai Hospital

(2010 . 11 . 16 原稿受領;2012 . 1 . 5 採用)

棗田 誠  村上弘則  小川孝二郎  佐々木晴樹  浅野嘉一  宮本憲次郎 大本泰裕  山口康一  広上 貢   田中繁道

はじめに

 日本人の高齢化に伴い,近年,動脈硬化と類似し た機序による硬化性大動脈弁狭窄症(aortic stenosis;

AS)が著しく増加している1).その多くが高齢者で,

われわれの症例の新規発見時の平均年齢は男79 歳,

女81歳であった.現在,硬化性ASに対する有効な治 療法は,唯一,大動脈弁置換術(aortic valve replace- ment;AVR)であるため,高齢者で合併症の多い,わ が国の硬化性ASの手術至適時期の判断は必ずしも容

日本循環器学会第103回

北海道地方会 推薦演題

(2)

易ではない.2006年のACC/AHA practice guide- line2)に準拠すると,大動脈弁口面積(aortic valve area;AVA)が1.0cm2以下,大動脈弁口通過最高血流 速度(Vmax) 4 m/s以上〔簡易ベルヌーイ式から大動 脈弁圧較差(aortic valve pressure gradient;AVPG)

64mmHg以上〕,平均大動脈弁圧較差が40mmHg以 上を満たす場合,重症と判定され,有症状の重症患 者,あるいは左室駆出分画率(left ventricular ejec- tion fraction;LVEF)が50%以下の重症患者が手術 適応とされている.しかし,心エコー法で測定され る,AVPGとAVA両者の重症度評価の不一致例,と りわけAVAが重症を示すにもかかわらず,AVPGが 軽症から中等症を示す症例に遭遇することが決して稀 ではない.いわゆるlow pressure gradient severe AS と呼ばれる群は, 1 回拍出量(stroke volume;SV)

が低下して,AVPGが低値をとる症例と3),正常EF にもかかわらず,大動脈弁と末梢血管の抵抗が高値 のため,SVが低値にとどまった結果,AVPGが低値 となる症例が含まれる4)5).したがって,手術適応時 期を判断するうえで,AVPGとAVAのどちらの指標 がより有用であるかの検討が必要と考えた.

対象と方法

 当科にて2004年 1 月 1 日から2008年12月21日の期 間に,新規に硬化性ASと診断され, 6 カ月以上の経 過観察が可能であり,AVA≦1.5cm2を満たした症例 のうち,EF<50%の低心機能例,先天性二尖弁,リ ウマチ性AS,透析例を除外した連続193例を対象と した.全例で心エコーを施行し,AVAは連続の式を 用いて算出した.AVPGは連続波ドプラ法により大 動脈弁のVmaxを計測し,その値から簡易ベルヌーイ 式(ΔP=4×V2,ΔP:圧較差,V:血流速度)にて算 出した.また,断層法から,area-length法を用いて左 室の拡張末期容積(EDV:mL),収縮末期容積(ESV:

mL)を測定し,SV(mL)をSV=EDV−ESV,EF(%)

をEF=(EDV−ESV)×100/EDVとして算出した.さ らに,M mode法により心室中隔壁厚(IVSTd:mm)

と左室後壁厚(PWTd:mm)を計測した.

 ASの重症度は2006年のACC/AHA practice guide- lineに従い2),AVA≦1.0cm2,もしくはAVPG ≧64 mmHg(Vmax 4 m/s以上に相当)を重症とし,対象 例を以下の 3 群(A群;AVA≦1.0cm2,AVPG ≧64 mmHg,B群;AVA≦1.0cm2,AVPG<64mmHg,

C群;AVA>1.0cm2,AVPG<64mmHg)に分類し た.AVA>1.0cm2,かつ,AVPG ≧64mmHgの症 例はいなかったので,群分けの対象とはしなかった.

心事故を心不全,大動脈弁置換術,心臓死とし,前述 の 3 群とAVRを施行した症例を加えた 4 群でevent- free survival rateを比較した.さらに,AVA 1.0cm2 を境界値として,対象をそれ以下の群と超える群の 2 群に分け,心事故の有無でevent-free survival rateを 比較した.本邦のASの手術適応ガイドラインでは6), AVAが0.75cm2以下も手術適応基準として併記してい るので,あわせてAVAが1.0cm2を超える群,0.8cm2 以上で,かつ,1.0cm2以下の群,0.8cm2未満の 3 群 に分けて心事故の有無でevent-free survival rateを 比較した.

 統計学的処理は,男女比,臨床的背景因子,服用 薬剤がPearson型χ2検定,各群間の平均年齢,心エ コー諸指標,経過観察期間,APVG,AVAはANOVA とNewman-Keuls testを用いて検定した.Event-free survival rateはKaplan-Meier法にて解析し,生存曲 線の差はlog-rank法にて検定し,いずれもp<0.05を 有意として評価した.

結果

 各群の臨床的背景を表 1に示す.年齢は 3 群で有 意差がなく,男女比,体表面積,経過観察期間,背 景因子,服用薬剤にも差はなかった.心エコーの各 指標を表 2に示す.心室中隔壁厚はA群が他群に比 べ有意に厚く(p<0.05),左室後壁厚もA群が他群に 比し有意に厚かった(p<0.01).SVはC群がA群に比 し,有意に高値(p<0.01)であったが,EDV,EFには 差がなかった.

 図 1にAVPGとAVAの相関を示す.AVPG ≧64 mmHgの重症症例は全例AVA ≦1.0cm2の重症例で

(3)

あった.AVPG< 64mmHgの174 例のうち,AVA

≦1.0cm2の重症症例は18%であったのに対し,AVA

≦1.0cm2の50例中AVPG<64mmHgの症例は62%に のぼった.

 AVA 1.0cm2を境界値としてAVA ≦1.0cm2の症 例(A+B群)とAVA>1.0cm2の症例(C群)に分けた event-free survival rateの比較を図 2に示す.AVA

≦ 1.0cm2の重症AS の症例は有意に心事故がAVA

>1.0cm2の症例と比較して多かった(p<0.001).ま た,症例をAVA>1.0cm2,0.8cm2≦AVA≦1.0cm2, AVA<0.8cm2の 3 群に分けて,それぞれのevent- free survival rateを比較した(図 3).AVAが1.0cm2

以下の症例と,それを超える症例には有意な差があっ た(p<0.001)が,AVA<0.8cm2の群と0.8cm2≦AVA

≦1.0cm2の群では心事故に有意差は認められなかっ た.図 4に各群のevent-free survival rateを示す.

AVPG,AVAがともに重症のA群とAVAのみが重症 のB群のevent-free survival rateはC群に比し,有意 に心事故が多かったが(A群 vs C群:p<0.001,B群 vs C群:p<0.01),A群とB群のevent-free surviv- al rateに有意差はなかった.AVRを施行した患者の event-free survival rateをみると,C群とは差がなかっ たが,A群(p<0.001),B群(p<0.01)に比し有意に心 事故が少なかった.

表 1 各群の患者背景

A群 B群 C群 p値

症例数 男/女(人)

平均年齢(歳)

体表面積(m2) 経過観察期間(年)

背景因子 糖尿病 高血圧 高脂血症 虚血性心疾患 脳血管疾患 心房細動 腎障害 肝障害 肺疾患 認知症 癌

僧帽弁輪石灰化 喫煙

心不全既往 失神 服用薬剤

アンジオテンシン受容体拮抗薬 アンジオテンシン変換酵素阻害薬 カルシウム拮抗薬

β遮断薬

HMG-CoA還元酵素阻害薬

19 4/15 80±8 1.47±0.14

1.3±1.5

7(37%)

17(89%)

8(42%)

2(11%)

0( 0 %)

4(21%)

4(21%)

3(16%)

2(11%)

2(11%)

4(21%)

13(68%)

3(16%)

2(11%)

1( 5 %)

8(42%)

3(16%)

7(37%)

4(21%)

5(26%)

31 9/22 82±7 1.55±0.21

1.3±1.2

9(29%)

24(77%)

9(29%)

8(26%)

4(13%)

7(23%)

3(10%)

2( 6 %)

3(10%)

6(19%)

6(19%)

12(39%)

4(13%)

3(10%)

2( 6 %)

11(35%)

5(16%)

13(42%)

7(23%)

11(35%)

143 49/94 78±7 1.51±0.14

1.3±1.4

51(36%)

106(74%)

54(38%)

38(27%)

28(20%)

26(18%)

32(22%)

8( 6 %)

17(12%)

12( 8 %)

34(24%)

59(41%)

42(29%)

12( 8 %)

4( 3 %)

50(35%)

28(20%)

77(54%)

33(23%)

42(29%)

ns ns ns ns

ns ns ns ns ns ns ns ns ns ns ns ns ns ns ns

ns ns ns ns ns

*:担癌状態あるいは癌の既往

(4)

考察

 ACC/AHA practice guideline 2006では重症度評 価はAVA,および,Vmax(AVPGに相当)と平均大 動脈弁圧較差を用いて行われる2).2008年のACC/

AHA practice guidelineではこれら指標に加え,体格 差を考慮した重症度評価基準であるindexed AVAが 追加された7).いずれの場合も硬化性ASの手術適応は 重症で有症状,あるいは,EFが50%未満の重症例と されている.しかし,ASの重症度判定に際し,AVA

とAVPGに重症度の不一致がみられる症例にしばし ば遭遇する.特に,低左心機能によって 1 回拍出量 が低下したASではAVA,AVPGがともに低値を示 す3)ことが知られている.さらに,正常収縮能が維持 されたlow flow, low pressure gradient severe AS では,AVAが重症の範囲内にあっても,AVPGが低 値をとることが報告されている4)5).手術適応を決め るうえで,重症度評価の不一致は,高齢,高リスク のわが国の硬化性AS患者に対する臨床的判断に大き な影響を与えるため,AVAとAVPGのいずれに,よ 表 2 各群の心エコー指標の比較

A群 B群 C群 p値

心拍数(bpm)

左房径(mm)

心室中隔壁厚(mm)

左室後壁厚(mm)

左室拡張末期容積(mL)

1 回拍出量(mL)

左室駆出率(%)

E/Ea

大動脈弁口面積(cm2) 大動脈弁圧較差(mmHg)

67±16 44±9 14±2 13±5 75±18 44±10 67±8 14.3±10.3

0.7±0.2 92±20

65±11 43±7 12±2 11±2 74±25 48±14 67±7 10.5±3.1

0.9±0.1 44±11

68±12 41±8 12±3 11±3 74±20 52±12 69±9 10.3±13.5

1.3±0.1+$

35±10

ns ns

ns

ns ns

p<0.05 vs A群,p<0.01 vs A群,p<0.001 vs A群,p<0.01 vs B群,p<0.001 vs B群

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

心事故回避率

(%)

経過観察期間 (年)

p<0.001

0 1 2 3 4 5 6 7

図 2 AVA ≦1.0cm2の群とAVA >1.0cm2であった群間 の心事故回避率

実線:AVA≦1.0cm2の心事故回避率 破線:AVA>1.0cm2の心事故回避率

160 140 120 100 80 60 40 20 0

大動脈弁圧較差

(mmHg)

大動脈弁口面積 (cm2

C群 n=143 A群

n=19

B群 n=31

0 0.5 1 1.5 2

図 1 大動脈弁圧較差と大動脈弁口面積の関係

(5)

2 倍近い値であったことも,同様な結果が出なかっ た要因と考えられる.

 本研究では低左心機能によるAVPGの見かけ上の 低値を除外するため,EF 50%以下のAS患者を徐外 してAVAとAVPGの関連を検討した.その中でlow pressure gradient, severe AS with preserved EFを 示す症例は10例(32%)のみに過ぎなかった.大多数 はAVAの減少を受けて,AVPGが増加する通常の変 化曲線上に乗る症例であった.Minnersらも,Vmax とAVAをプロットすると,Vmax≦4.0m/s(AVPG

≦64mmHgに相当)の症例中で,AVA≦1.0cm2を示 す症例は46%も存在すると報告した8).相関曲線から みると,AVA 1.0cm2のVmaxは3.1m/sに相当し,逆 にVmax 4.0m/sはAVA 0.81cm2に相当すると述べた.

したがって,AVAとVmaxの重症度の不一致は決し て稀ではないことを裏づける.また,連続波ドプラ 法にてVmaxを測定する場合,左室流出路狭窄によ り,大動脈弁の血流速度が正確に測定できない場合 や,大動脈弁より遠位側の径の相違がpressure recov- eryに影響を与え,圧較差の評価を不正確にすること が報告され9),無視できない要因と考えられているこ とからも,AVPGにはさまざまな要因が付加されて,

重症度を過小評価させていると考えられる.このこ とはAVAの重症度評価がAVPGより優れていること を示している.しかし,Vmaxによる予後の相違は症 り重症度評価としての重みがあるかを検討すること

は,非常に有意義であると考えた.

 1.AVAとAVPGの重症度の不一致(図 1 )  AVPG≧64mmHgを示した症例では全例がAVA

≦1.0cm2であった.一方,AVA≦1.0cm2を重症と した場合,これを満たす症例でAVPG<64mmHgの 非重症を示した症例は62%と多数認められた.さら に,AVPG<64mmHgの非重症者でもAVA≦1.0cm2 と重症を示した症例は18%にものぼった.以上の結 果は,AVAとAVPGの不一致例は一致例よりむしろ 多く,AVPG単独での重症度評価は適切ではないこ とを示す.Minnersらも同様の検討を多数例で行い,

単一指標で重症ASと診断できる率は,AVAが69%

と高い値を示す一方,Vmaxは45%,平均大動脈弁圧 較差は40%に過ぎないとしている8).このVmaxや平 均大動脈弁圧較差の重症度評価率が低い要因として,

彼らは低下したSVがVmaxを低下させたことをあげ ている.しかし,本研究ではA,B両群間のSVに差 はなく,Minnersらの検討を裏づけることはできな かった.さらに,彼らの検討では対象年齢が平均69 歳と若く,SVも平均72mLと,われわれの対象群の

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

心事故回避率

(%)

経過観察期間 (年)

p<0.001 p<0.001 1.0< AVA ≦1.5cm2 0.8≦ AVA ≦1.0cm2

AVA <0.8cm2

0 1 2 3 4 5 6 7

図 3 AVA重症度の境界値を0.8cm2と1.0cm2で比較した 心事故回避率

A群とC群に有意な(p<0.001),B群とC群に有意な(p<

0.01)心事故回避率を認める.A群とB群の間に明らか な有意差はない.

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

心事故回避率

(%)

経過観察期間 (年)

AVR

1.0< AVA ≦1.5cm2 AVA ≦1.0cm2 AVPG ≧64mmHg

AVA ≦1.0cm2 AVPG <64mmHg

0 1 2 3 4 5 6 7

図 4 各群間と大動脈弁置換術後(AVR)の心事故回避率

(6)

 4.中等症ASの予後

 中等症硬化性ASは,ほかの心臓手術を予定してい るか,症状がある場合以外,通常,手術の対象とは ならない.欧米の報告では13)〜 15),中等症ASの心事 故回避率が高いことが知られており,本研究の結果 とも合致していた.本研究の硬化性AS患者の平均年 齢は79歳と高く,欧米の報告に比し13)〜 15),10歳以上 の差がある.中等症ASが新規に発見された時点で,

すでに80歳以上の場合,たとえ重症化してもAVRが 選択される可能性が低い.中等症ASの予後は決して 悪くないものの,高齢で発見され,重症化した場合 の対策は今後の重要な課題と思われた.

 本研究の一部は日本循環器学会第103回北海道地方会 において発表した.

謝辞:本研究を行うに当たり,常に正確な心エコーデー タを提供していただいた,当院,心血管エコー室の石川 嗣峰,工藤朋子,林 美和,笹川美咲,網谷亜樹,矢戸 里美,山口翔子,中島朋宏の各氏に深謝いたします.

文 献

1)村上弘則,林 健太郎,渡辺大基,ほか:日本人の硬化 性大動脈弁狭窄症の臨床的背景と予後.心臓 2008;40:

458-466

2)Bonow RO, Carabello B, Chatterjee K, et al : ACC/AHA 2006 guidelines for the management of patients with valvular heart disease : a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines (writing committee to revise the 1998 Guidelines for the Management of Patients With Valvular Heart Disease) : developed in collaboration with the Society of Cardiovascular Anesthesiologists : endorsed by the Society for Cardiovascular Angiogra- phy and Interventions and the Society of Thoracic Sur- geons. Circulation 2006 ; 114 : e84-e231

3)Otto CM : Valvular aortic stenosis : disease severity and timing of intervention. J Am Coll Cardiol 2006 ; 47 : 2141-2151

4)Hachicha Z, Dumesnil JG, Bogaty P, Pibarot P : Para- doxical low-flow, low-gradient severe aortic stenosis de- spite preserved ejection fraction is associated with high- er afterload and reduced survival. Circulation 2007 ; 115 : 2856-2864

状の有無を問わず明らかであり10)11),重症度評価基 準の 1 つとしての価値を否定するものではない.

 2.AVA ≦1.0cm2

を重症とした場合の予後

 AVA ≦1.0cm2を重症とした場合,それ以上の中等 症と,それ以下の重症との間の予後に明らかな差が 認められた(図 2).一方,AVA 1.0cm2とAVPG 64 mmHgを境界値として, 3 群に分けて検討すると,

その予後はAVAとAVPGがともに重症のA群,AVA のみが重症のB群がAVA,AVPGがどちらも中等症 のC群より有意に心事故が多く,A群とB群間には明 らかな有意差を認めなかった.AVR施行例の予後は 非常に良好で,AVA,AVPGともに中等症の患者と 差はなかった(図 4).したがって,AVR手術適応基 準を満たす重症例に対して,積極的にAVRを勧める ことは,臨床的意義がある.その際,上述のごとく,

AVPGは重症者でも非重症者と分類されることが多 く,予後予測には不向きと考えられる.一方,AVA は予後の予測に優れ,手術適応を決めるうえでより 有用な指標と考えられた.

 3.AVA重症度を0.8cm2

以下とした場合と,1.0cm

2

以下とした場合の予後の比較

 体格の小さい患者のASの重症度は体格の大きい患 者のそれと異なると考えられるため,2008年,新た にindexed AVAの概念が導入された7).これに先立 ち,わが国では2003年に日本循環器学会がAVA 0.75 cm2以下を手術適応として併記している6).しかし,

本研究ではAVAが0.8cm2未満の群と,0.8cm2から1.0 cm2までの群では,event-free survival rateに差を認 めなかった.本研究では硬化性ASより平均年齢が若 い大動脈二尖弁や,リウマチ性ASを含まず12),硬化 性ASのみを対象としている.若い層がほかの研究よ り少なかったことが,AVAに伴う予後に差が出た可 能性は否定できない.しかし,近年急増し,患者の 大部分を占める硬化性ASでは,日本人においても重 症の規準を,AVA 1.0cm2以下とする必要性を示した ものと考えられる.

(7)

pressure recovery on echocardiographic assessment of asymptomatic aortic stenosis : a SEAS substudy. JACC Cardiovasc Imaging 2010 ; 3 : 555-562

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sistencies of echocardiographic criteria for the grading of aortic valve stenosis. Eur Heart J 2008 ; 29 : 1043-1048 9)Bahlmann E, Cramariuc D, Gerdts E, et al : Impact of

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