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スポーツ消費者のトップアスリートに対するコミットメントとアイデンティフィケーション:
測定尺度の開発および行動意図に及ぼす影響の分析
The commitment and identification to top athlete in sport consumers:
Development of the scale and analysis of the influence on behavioral intention
霜島広樹 1), 2)
1) 福岡大学スポーツ科学部
2) 早稲田大学スポーツ科学研究センター Hiroki Simozima 1), 2)
1) Fukuoka University, Faculty of Sports and Health Science
2) Waseda Institute for Sport Sciences
キーワード: コミットメント,アイデンティフィケーション,トップアスリート,観戦行動,購買行動 Key words: commitment, identification, top athlete, spectating behavior, buying behavior
【抄 録】
本研 究では,スポーツ消 費者 のトップアスリートに対する心理 的な繋 がりとして,コミットメントとアイデン ティフィケーションの概 念 に着目 し,トップアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフィケーションを測 定 する尺 度 の日 本 語 版 を作 成 すること,およびトップアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフィケ ーションの弁別性を検証した上で,両者が消費行動(観戦行動,購買行動)にどのような影響を及ぼして いるか明らかにすることを研究の目的とした.
先 行 研 究 を参 考 に,トップアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフィケーションを測 定 する尺 度 を作成 した上で,測定 尺度 の妥 当 性と信 頼性 について,3度に渡る調 査から取 得 したデータを分析する ことで検 討 を行 った.そして,スポーツ消 費 者 におけるトップアスリートに対 するコミットメントおよびアイデ ンティフィケーションと,観戦意図および用具購買意図との関係について検討を行った.
分 析 の結 果 から,トップアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフィケーションを測 定 する尺 度 に は一 定 の妥 当 性 と信 頼 性 が確 認 され,また,トップアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフィケー ションの弁 別 性 が示 された.さらに,観 戦 意 図 および用 具 購 買 意 図 を従 属 変 数 ,トップアスリートに対 す るコミットメントとアイデンティフィケーションを独 立変 数 とした統 計 的 分 析 から,トップアスリートに対 するコ ミットメント・アイデンティフィケーションは観 戦 意 図 ・購 買 意 図 に対 して高 い説 明 力 を持 っていることが確 認され,共に消費行動に対する重要な影響要因であることが示唆された.
スポーツ科 学 研 究 , 15, 100-126, 2018 年 , 受 付 日 :2018 年 1 月 13 日 , 受 理 日 :2018 年 12 月 25 日 連 絡 先 : 霜 島 広 樹 福 岡 大 学 814-0180 福 岡 市 城 南 区 七 隈 8-19-1 [email protected]
Ⅰ.緒言 1.問題の所在
スポーツマーケティング基 礎調 査 (三 菱 UFJ リ サーチ&コンサルティング・マクロミル, 2016)によ る と , わ が 国 の ス ポ ー ツ の 市 場 規 模 に お い て , 2016 年のスタジアム観戦市場は 4,751 億円,用 品購入市場は 8,518 億円と大きな割合を占めて
いるが,2015 年の市場規模と比較すると,用品購 入市場は 881 億円ほど増加したものの,スタジア ム観戦市場は 1,152 億円ほど減少しており,スポ ーツ参 加 市 場 規 模 も約 2.4 兆 円 に縮 小 したこと が指摘されている.同報告書(三菱 UFJ リサーチ
& コ ン サ ル テ ィ ン グ ・ マ ク ロ ミ ル , 2016) に よ る と , 2016 年 に お い て ス ポ ー ツ 関 連 メ デ ィ ア 市 場 は
101 1,971 億円で昨年より 6.1%減,プロ野球ファン人 口は 2,747 万人に減少 ,サッカー日 本代表 のフ ァンは 3,017 万 人 で減 少 傾 向 が続 くといった指 摘 が見 られることから,今 後 のスポーツ消 費 の拡 大 やスポーツの市 場 の活 性 化 に関 する知 見 の獲 得 は,スポーツ産 業 にとって喫 緊 の課 題 であると いえよう.
スポーツ消 費 者 の行 動 を規 定 する要 因 として は,プロダクトの質 や,それに対 する満 足 度 等 を 始めとする様々な要素が存在することが過去の研 究 から指 摘 されてきているが,最 近 のスポーツ消 費 者 行 動 の研 究 においては,消 費 者 のチームや ブランドへのロイヤルティが消 費 行 動 を規 定 する 重 要 な要 因 として着 目 され,関 連 する研 究 も多 く 見 ら れ る よ う に な っ て き て い る (Yoshida et al., 2015 ; 村松・原田, 2016 ; 福田・今泉, 2013).
ロイヤルティは「特定のプロダクトやブランドに対す る消 費 者 の好 意 的 態 度 とそれに伴 う一 貫 した購 買 行 動 」と定 義 されており,行 動 的 側 面 と態 度 的 側面から構成される(松岡, 2008, pp. 82-83).ロ イヤルティにおける行 動 的 側 面 は,特 定 のプロダ クトやサービスに対 する繰 り返 し継 続 された購 買 行 動 であるのに対 し,態 度 的 側 面 は心 理 的 コミッ トメントと呼 ばれ,プロダクトやサービス,およびそ れらを提 供 する企 業 や団 体 に対 する忠 誠 心 ,愛 着 心 ,一 体 感 などの好 意 的 な態 度 を意 味 すると されている( 松 岡 , 2008).スポーツマーケティン グ・マネジメントの研 究 分 野 においては,このよう なファンのチームに対 する心 理 的 な繋 がりを表 す 概 念 が心 理 的 コミットメント以 外 にも幾 つか見 られ,
そ の 代 表 的 な も の と し て は , Wann and Branscombe(1995) のチーム・アイデンティフィケ ーションが挙 げられる.ファンのチームとの一 体 感 を表 す概 念 であるチーム・アイデンティフィケーシ ョンは,観 戦 行 動 を始 めとする様 々なスポーツ消 費行動に対する重要な影響要因であることが,国 内 外 における多 くの研 究 によって明 らかにされて きた(Swanson et al., 2003 ; 仲澤・吉田, 2015 ; 吉田ほか, 2017).他にも,「points of attachment
(愛 着 の対 象 )」といった概 念 もファンのチームへ の繋 がりを表 す概 念 として用 いられ(Robinson et al., 2004 ; trail et al., 2003),観戦行動などの成
果 変 数 に影 響 を及 ぼす概 念 として着 目 されてき ている(仲澤・吉田, 2015 ; 仲澤ら, 2014).
過 去 の先 行研 究 を概 観すると,スポーツマネジ メントの研究領域において,チームへのコミットメン トやアイデンティフィケーションに関 する研 究 は,
特 にサッカーや野 球 を始 めとするスポーツチーム を対 象 にしたものについては,国 内 においてもか な り の 蓄 積 が あ る こ と が 確 認 で き る ( 仲 澤 ・ 吉 田 , 2015 ; 吉 田 ら, 2017).しかしながら,テニスにお ける錦織圭やゴルフにおける松山英樹といった個 人スポーツにおけるトップアスリートを対象にして,
ファンの心 理 的 な繋 がりと消 費 者 行 動 の関 係 に ついて詳 細 な検 討 を行 っている研 究 は,海 外 に お い て は 幾 ら か の 蓄 積 が み ら れ る も の の (Robinson et al.,2004 ; Carlson and Donavan, 2013),国 内 においては管 見 ながら見 られず,全 体 的 に研 究 の蓄 積 が少 ないことが覗 える.特 に,
テニスやゴルフなどの実 施 人 口 が多 い個 人 種 目 においては,近 年 ,トップアスリート個 人 が自 身 の パーソナルブランドを立 ち上 げビジネスを展 開 す るといったケースが多 く見 られ,各 スポーツ用 品 メ ーカーにおいても実 施 者を対 象にした「〇〇選 手 モデル」といったラケット,クラブ,ウェアなどを始め とするスポーツ用 品 の取 り扱 いも多 く市 場 規 模 と しても巨 大であることから,ファンのトップアスリート に対 する心 理 的 な繋 がりと消 費 者 行 動 に関 する 研 究 をより充 実 させていくことは,スポーツマネジ メントの研 究 分 野 にとって重 要 な課 題 であるとい えよう.
トップアスリートに対 するファンの心 理 的 な繋 が りを扱 った研 究 は,前 述 したように研 究 の蓄 積 は 少ないが,プロゴルフイベントにおける観戦者のモ チベーションと愛着点(Points of Attachment)の関 係 について明 らかにした Robinson et al.(2004) や,アスリートへの愛 着 ・アイデンティフィケーショ ンおよびチームへのアイデンティフィケーションが ファンの消 費 行 動 に及 ぼす影 響 について研 究 を 行った Carlson and Donavan(2013)といったものが 代 表 的 なものとして存 在 している.これらの先 行 研 究 は,トップアスリートに対 する心 理 的 繋 がりと 消費者行動の関係について貴重な情報を提供し ているが,これらのアイデアをわが国 におけるスポ
102 ーツ消費 者 にあてはめて検討 を行 おうとする場 合,
いくつかの疑問点が浮き彫りになってくる.例えば,
Carlson and Donavan(2013)におけるアスリート・ア イデンティフィケーションを測定する方法として,ア スリートのイメージと自 分 自 身 のイメージがどの程 度重なり合っているかといった教示文のもと,自分 のアイデンティティとアスリートのアイデンティティ がどの程 度 重 なり合 っているかについて回 答 させ る形 式 をとっているが,一 般 的 な日 本 人 にとって アイデンティティといった概 念 は理 解 が十 分 でな い可 能 性 が高 く,より理 解 しやしい評 価 尺 度 を作 成する必要があると考えられる.
また,評 価 尺 度 を検 討 する上 で, アスリートに 対 する心 理 的 繋 がりを示 す概 念 についても再 検 討 の 必 要 性 が あ る . 例 え ば , Carlson and Donavan(2013)の研 究 では,アスリートに対 するア イデンティフィケーションとは別 に,アスリートに対 する愛 着 を測 定 する尺 度 が提 示 されており,その 項目の1つは(「When someone criticizes him, it feels like a personal insult.」)という文言で構成さ れているが,この項目は Swanson(2003)における,
チーム・アイデンティフィケーションを測 定 する項 目 の 1 つ で あ る 「 When someone criticizes [university name] football, it feels like a personal insult.」とほぼ同じ内容である.また,Robinson et al.(2004) に お い て は , ゴ ル フ イ ベ ン ト に 対 し て の 愛着点(Points of Attachment)の構成要素である
「identification with a specific golfer」を評価する 尺度として「I identify with the individual golfers on the tour」といった項 目 が使 われており,愛 着 はアイデンティフィケーションを内 包 する概 念 とし て扱 われているように見 受 けられる.しかし,その 一 方 で先 行 研 究 においては,愛 着 に関 連 する次 元 (感 情 的 コミットメント)とアイデンティフィケーシ ョンに関連する次元(パーソナル・アイデンティティ)
を別 の次 元 であることを説 明 している研 究 も存 在 することから(Matsuoka, 2001),トップアスリートに 対 するファンの心 理 的 繋 がりを正 確 に捉 えるため には,既 存 の概 念 (愛 着 ,コミットメント,アイデン ティフィケーション)の関係 性 について整 理を行い,
どの概 念 を適 用 するのか検 討 した上 で,観 戦 行
動 や購 買 行 動 といった成 果 変 数 との関 係 を調 べ ていく必要があるといえよう.
2.概念的背景
1)コミットメント,愛 着 ,アイデンティフィケーション について
コミットメントという概 念 は,社 会 心 理 学 の分 野 においては,対 象 にかかわろうとする行 動 的 意 図 と関 係 への心 理 的 愛 着 を含 むものと説 明 されて い る ( Rusbult, 1980a, 1980b, 1983 ; 加 藤 , 2007).Rusbult(1980a, 1980b, 1983)は,人 が対 象 への関 係 を維 持 し,関 係 に愛 着 を感 じる傾 向 について,コミットメントを用 いて説 明 を行 った.過 去 の研 究 では関 係 へのコミットメントが強 いほど,
関 係 を維 持 するような行 動 が生 じやすいことが説 明されており(Rusbult, 1980a, 1980b, Rusbult et al., 1991),社 会 心 理 学 の分 野 では恋 愛 関 係 や 婚 姻 関 係 ,仕 事 への関 与 などに対 してもコミットメ ント概 念 は適 用 され,対 人 関 係 研 究 における重 要な概念として研究が進められてきた.
また,その一方で経営学の領域においてもコミッ トメントの概念を用いた研究が多数見られ,特に,
組織論の研 究における「組織コミットメント」につい て 中 心 的 に 議 論 さ れ て き た . Meyer and Allen (1991)では組 織 コミットメントは愛 着 ・存 続 ・規 範 と いう3次 元 から構 成 されると説 明 され,多 次 元 的 な検討がされるようになっていった.コミットメントは,
マーケティングの研究 領 域においては,消費者 の 態 度 概 念 である「ブランド・コミットメント」として援 用 され,特 に愛 着 ・存 続 に関 する次 元 である「感 情 的 (愛 着 的 )コミットメント」,「打 算 的 (計 算 的 ) コミットメント」が中 心 的 に用 いられてきた(相 馬 ・ 清水, 2016 ; 井上, 2009).また,コミットメントの 概 念 はスポーツマーケティング・マネジメントの分 野においては,心理的コミットメントとして援用され (Mahony et al., 2000),ファンの購買行動や観戦 行動 などを規定 する要 因として研究 が進められて きている (Matsuoka, 2001).
続いて,愛着という概念についてであるが,愛着 理 論 を提 示 した Bowlby(1969/1982)によると,愛 着 は特 定 の他 者 に対 する情 緒 的 ・精 神 的 な結 び つ き と 定 義 さ れ る . Bowlby(1969/1982) は , 他 者
103 への結びつきを求める要求が,2 次的動因だとす る依 存 の概 念 ではなく生 得 的 要 求 であることを強 調 するために,愛 着 という概 念 を提 示 した.乳 幼 児 期 の愛 着 の対 象 は母 親 が多 いが,必 ずしも母 親に限らず,温かく応答 的に責任感 をもって世話 をしてくれる人 に愛 着 を形 成 するとされている(小 日 向 , 2002).アタッチメント(愛 着 )が形 成 される 他 個 体 はアタッチメント対 象 と呼 ばれるが,アタッ チメント対 象 が誰 であるのかという問 いが過 去 の 研 究 においては議 論 されてきており(村 上 ・櫻 井 , 2014) , 乳 幼 児 期 に お い て は 親 子 関 係 , 特 に 母 親 との関 係 に焦 点 をあてた研 究 が中 心 的 であり (Schuengel and Ijzendoorn, 2001),青 年 期 にお いては,母 親 や父 親 ,その他 にも恋 人 を主 なアタ ッチメント対 象 とみなした研 究 が中 心 的 であった (Main et al., 1985 ; Hazan and Shaver, 1987).
その後 の研 究 の蓄 積 によって,乳 幼 児 期 におい ても青 年 期 においても,人 は両 親 や恋 人 だけで ない複数のアタッチメント対象を持つことが徐々に 明 らかにされてきたことが指 摘 されている(村 上 ・ 櫻井, 2014).愛着(アタッチメント)の概念は,スポ ーツマーケティング・マネジメントの分 野 において は「points of attachment」として援 用 され,「スポ ーツへの愛 着 」,「選 手 への愛 着 」,「大 学 への愛 着 」,「チームへの愛 着 」など,特 定 の個 人 だけで はなく,スポーツや組 織 など様 々なものがその対 象となっており(Robinson et al., 2004 ; trail et al., 2003),前 述 したように観 戦 行 動 などの変 数 に影 響 を及 ぼす概 念 として着 目 されてきている(仲 澤 ・ 吉田, 2015 ; 仲澤ら, 2014).
最 後 にアイデンティフィケーションという概 念 に ついてであるが,心 理 学 においては,自 分 にとっ て重 要 な人 の属 性 を自 分 の中 に取 り入 れるプロ セスを指 し,重 要 な複 数 の他 者 との同 一 視 (アイ デンティフィケーション)を通して,アイデンティティ
(同 一 性 )確 立 の基 礎 が築 かれるとされている(越 川 , 1999).アイデンティフィケーションは,他 にも 政 治 学 や 社 会 学 な ど の 様 々 な 学 問 領 域 で そ の 概 念 が用 いられてきており,組 織 論 の研 究 分 野 においては「組 織 アイデンティフィケーション」とい う概念が用いられ研究が蓄積されてきた.
組織論における組織アイデンティフィケーション 概 念 の確 立 プロセスにおいては,社 会 心 理 学 に おける社 会 的 アイデンティティ理 論 が基 礎 となっ ている.社 会 的 アイデンティティとは,自 分 と自 分 の所 属 する社 会 集 団 ないし該 当 する社 会 的 カテ ゴリーを同 一 化 し,自 分 自 身 を集 団 やカテゴリー の一 部 として認 識 することを指 し,この概 念 に基 づいて,自 己 の所 属 する集 団 である内 集 団 をひ いきし,外 集 団 を蔑 視 するといった集 団 間 行 動 の 説 明 を行 ったものが社 会 的 アイデンティティ理 論 である (Tajfel and Turner,1979; Tajfel,1978).高 尾 (2013)によると,Ashforth and Mael(1989)がこ の社 会 的 アイデンティティ理 論 と,自 己 カテゴリー 化 理 論 に依 拠 して,組 織 アイデンティフィケーショ ンを再 定 義 したことが,組 織 アイデンティフィケー ション研 究 の再 興 に繋 がったと説 明 されており,
組 織 へのアイデンティフィケーションを組 織 との一 体 性 (oneness) や 帰 属 し て い る こ と (belongingness)に対する認知と定義し,認知に焦 点を絞ってアイデンティフィケーションを捉えたこと が,それ以前の古典的研究と Ashforth and Mael (1989)との最 も重 要 な相 違 点 であったと指 摘 され ている.その後 の組 織 マネジメントの研 究 分 野 に おいては,組 織 へのアイデンティフィケーションが 成 員 の行 動 を規 定 する重 要 な要 因 として,様 々 な研 究 が行われてきており,スポーツマーケティン グ・マネジメントの研 究 分 野 においても,このアイ デアは多 くの研 究 に応 用 され,その代 表 的 な概 念 としてチーム・アイデンティフィケーション(Wann and Branscombe, 1995)が多くの研究で用いられ てきた.
以 上 のように,コミットメント,愛 着 ,アイデンティ フィケーションは,もともと社 会 学 や心 理 学 の研 究 分野において,対人 関 係や人間 の行動を説明 す るために用 いられてきた概 念 で,その後 スポーツ マーケティング・マネジメントの研 究 領 域 に援 用 さ れ,消 費 行 動 を規 定 する重 要 な要 因 として各 々 着目され研 究が進められてきた.しかしながら,先 行 研 究 を概 観 すると,各 々の関 係 性 については 研 究 によっても様 々な立 場 があることが分 かる.
例えば,Kwon and Armstrong(2004)の研究では,
学 生 の 大 学 ス ポ ー ツ チ ー ム へ の 心 理 的 愛 着
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( psychological attachment ) は , チー ム へ の ア イ デンティフィケーション,コミットメント,大 学 へのア イデンティフィケーションから構 成 され,愛 着 にコミ ットメントやアイデンティフィケーションが内 包 され る と い う 立 場 を と っ て い る . し か し , Meyer and Allen(1991)では,組織 コミットメントは愛着・存 続・
規 範 という3次 元 から構 成 されるとされており,逆 に愛 着 がコミットメントの1側 面 と捉 えられているこ と が 理 解 で き る . 一 方 で , Carlson and Donavan(2013) では ,アスリ ー ト へのア イ デン テ ィ フィケーションがアスリートへの愛 着 の先 行 要 因 と して扱われている.
元来,共に対人関係を説明するために用いられ た概念であるコミットメントと愛着については,特に コミットメントの愛着的側面に着目して各々の定義 や測定尺度を比較する限りでは,マーケティング・
マネジメント分野において両者は極めて類似性の 高 い概 念として扱われているように見 受 けられる.
しかしながら,前 述 したように各 々の関 係 性 につ い て は 研 究 領 域 や 研 究 者 に よ っ て も 捉 え 方 が 様々である.この背景には,コミットメントと愛着(ア タッチメント)といった,もともと対 人 関 係 における 人 間 の行 動 を説 明 するための概 念 であったもの が,その他 の様 々な対 象 (社 会 的 グループやブラ ンド等)に対しても援用されるようになっていく中で,
コンテクストや各々の関 係性について十分に議 論 されてこなかったことが1つの要 因 として考 えられ よう.
しかし,その一方でコミットメントとアイデンティフ ィケーションの関 係 性 については,最 近 の組 織 論 の研究において議論がされるようになってきており,
両 者 は異 なる概 念 であるという指 摘 がされはじめ ている(高 尾 , 2013).高 尾 (2013)は,両 者 の最 も 重 要 な差 異 は,組 織 と個 人 の関 係 を把 握 する基 本 スタンスが異 なっていることであると述 べている.
具 体 的 には,Pratt(1998)の研 究 によると,組 織 コ ミットメント論 は,「私 はこの組 織 にいてどのくらい 幸 せであり,満 足 しているか」という組 織 と個 人 の 社 会 交 換 的な側 面を取り上 げているのに対 して,
組 織 アイデンティフィケーション論 は「この組 織 と の関 係 から自 分 自 身 のことをどのように知 覚 して いるか」という個人の自己概念との関わりに着目し
ているという点に明確な違いがあることが指摘され ている(高 尾 , 2013).高 尾 (2013)では,日 本 にお いて組 織 アイデンティフィケーションと組 織 コミット メントの弁 別 性 が検 証 されていないという問 題 意 識 から,組 織 アイデンティフィケーションと組 織 コミ ットメント(愛 着 的 コミットメント)の弁 別 性 が検 証 さ れており,組織アイデンティフィケーションと組織コ ミットメントを1因 子 で説 明 しようとするモデルよりも,
両 者 が異 なる因 子 とするモデルの方 が高 い適 合 度を示すことが明らかにされている.
スポーツマーケティングの領域においても,スポ ーツファンにおけるチームに対 するアイデンティフ ィケーションに関 連 する概 念 と愛 着 的 (感 情 的 )コ ミットメントを異 なる因 子 として扱 っている論 文 も見 られることから(Matsuoka, 2001),トップアスリート に対 する心 理 的 繋 がりを検 討 する上 で,コミットメ ント(愛 着 的 側 面 )とアイデンティフィケーションの 概 念 に着 目 し,それらが成 果 変 数 に及 ぼす影 響 について議 論 していくことは意 義 があるといえよう.
2)で改 めて説 明 を行 うが,熱 狂 的 なファンの行 動 には愛 着 とは異 なる,一 体 性 や帰 属 意 識 に関 連 する行 動 も見 られることから,これら2つの概 念 で 多 次 元 的 に検 討 を行 っていくことよって,ファンの トップアスリートに対 する心 理 的 つながりを,より正 確に捉えることができる可能性がある.
2)アスリートに対するアイデンティフィケーション概 念の適用可能性
トップアスリートに対 するコミットメントとアイデン ティフィケーションの概 念 に着 目 する上 で,アイデ ンティフィケーション概 念 の適 用 可 能 性 について 検 討 する必 要 があろう.というのも,アイデンティフ ィケーションは,前 述 したように社 会 的 アイデンテ ィ テ ィ 理 論 が 基 礎 と な っ て い る が (Tajfel and Turner,1979; Tajfel, 1978),もともと対 人 関 係 に 用 いられてきたコミットメントとは異 なり,アイデンテ ィフィケーションという概念は先行研究において社 会的グループへの所属 を捉える概 念として用いら れていることが極 めて多 いことが,その理 由 として 挙げられる.
そこで,アイデンティフィケーションという概 念 の 定 義 に遡 ってみると,まず辞 書 的 な定 義 としては
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「政治 学 ,社 会学 においては個 人があるもの (国 家 ,社 会 ,組 織 ,価 値 観 ,人 物 など) に対 して帰 属 意 識 ,一 体 感 ,愛 着 などをもつこと」と説 明 され ている(ブリタニカ国際 大 百科辞典 , 2018).また,
越 川 (1999)においては,アイデンティフィケーショ ン(同 一 視 )について,重 要 な複 数 の他 者 との同 一 視 を通 してアイデンティティ確 立 の基 礎 が築 か れることを説 明 している.これらのアイデンティフィ ケーションの定 義 を踏 まえると,トップアスリートと いった特 定 の個 人 に対 しても,アイデンティフィケ ーションという概 念 は適 用 可 能 性 があると考 えら れる.
また,演劇消 費に着目した和田(2009)では,宝 塚 歌 劇 団 におけるファンクラブの会 員 は,自 分 が 支 援 する歌 劇 団 のメンバーに対 し,ボランティア 活 動 のような行 動 (少 しでも多 くのチケットを購 入 し,少 しでも心 地 よいサポートをする)をとり,その 結果,そのメンバーが少しでも良い役についたり,
スターになっていくことに対 し幸 福 感 を覚 えるとい った現 象 が説 明 されている.このような現 象 から,
宝 塚 歌 劇 の熱 狂 的 ファンは,スターに対 して,好 意やポジティブな感情だけではない,一体性や帰 属 意 識 を 持 っ て い る と 考 え る こ と が で き る . Robinson et al.(2004)の研究でも,アーノルドパー マーの試 合 に常 について回 る「パーマーズ・アー ミー」の存 在 が述 べられているが,このような熱 狂 的なファンの行動 を宝 塚 歌劇 団 のファンの行動も 踏 まえて検 討 すると,芸 能 人 やトップアスリートと いったカリスマ性 を持 った特 定 の個 人 に対 しても,
ファンは一 体 性 や帰 属 意 識 を持 つ可 能 性 が考 え られる.これらのことから,トップアスリートとファン の心 理 的 なつながりを検 討 する上 で,アイデンテ ィフィケーションの概 念 を取 り入 れることは有 効 性 があると考えられる.
3.目的
これまでの議 論 を踏 まえ,本 研 究 では,スポー ツ消 費 者 のトップアスリートに対 する心 理 的 な繋 がりとして,コミットメントとアイデンティフィケーショ ンの概 念 に着 目 し,トップアスリートに対 するコミッ トメントとアイデンティフィケーションを測 定 する尺 度 の日 本 語 版 を作 成 する.そして,トップアスリー
トに対 するコミットメントとアイデンティフィケーショ ン の 弁 別 性 を 検 証 し た 上 で , 両 者 が 消 費 行 動
(観戦行動,購買行動)にどのような影響を及ぼし ているか明らかにすることを研究の目的とする.
Ⅱ.研究方法
本 研 究 で は , ス ポ ー ツ 実 施 ・ 観 戦 に お い て 代 表的なスポーツと考えられるテニスとゴルフに着目 した上 で,日 本 人 を対 象 とした調 査 によって研 究 を進 めるものとした.この理 由 としては,テニスとゴ ルフはわが国 において多 くの実 施 者 を保 有 し,ま た現 在 ,錦織 圭 や松 山英 樹 といった世 界 のトップ レベルで活 躍 する日 本 人 アスリートが存 在 してい ることから,トップアスリートが出 場 する大 会 を TV 等 で観 戦 する機 会 も豊 富 であり,スポーツ消 費 者 におけるトップアスリートに対 するコミットメントおよ びアイデンティフィケーションと,消 費 行 動 の関 係 を探 る上で適 切 と考 えた.さらに,本 研 究 では,ス ポーツ消 費 者 としてスポーツ実 施 者 を対 象 として 研 究 を実 施 することとし,この理 由 としてはまず,
本 研 究 ではトップアスリートに対 するコミットメント・
アイデンティフィケーションと購 買 行 動 ,観 戦 行 動 の関 係 の解 明 を研 究 目 的 として設 定 していること から,定 期 的 に当 該 種 目 の用 具 購 買 を行 う可 能 性があり,かつ TV 等で当該種目のトップアスリー トの試 合 を観 戦 する可 能 性 があるといった点 で,
実施者を対象とすることは合理的と考えられること が挙 げられる(注 1).また,本 研 究 で最 終 的 にイ ンプリケーションとして得 られることが予 想 される,
用具の販売 促進やスポーツイベントにおける観戦 者 の確 保 へ向 けた知 見 の獲 得 といった観 点 から も,実 施 者 を対 象 とすることは有 用 性 が高 いと判 断されたことも,理由として挙げられる.
なお,本 研 究 では対 象 とするトップアスリートの 選 定 において,日 本 人 トップアスリートだけでなく,
複数の外国 人トップアスリートも評価の対象とする.
この理 由 として,日 本 人 選 手 と外 国 人 選 手 の間 で尺 度 の不 変 性 (モデルの因 子 構 造 に違 いがあ るかどうか)を検 証 することで,人 種 の違 いは因 子 構 造 に影 響 するかどうかについての示 唆 を得 るこ とが可能となるからである.
106 本 研 究 は,以 下 の研 究 1から研 究 3にて実 施 さ れた.
研究1(予備調査)
まず, 先 行 研 究 を参 考 に,ス ポー ツ 消 費 者 に おけるトップアスリートに対 するコミットメント,およ びアイデンティフィケーションを評 価 する尺 度 を作 成し,それらの妥当性と信頼性について検討する.
研 究 1ではテニスを事 例 にして研 究 を行 うこととし,
分 析 データの収 集 はテニス実 施 者 を対 象 に行 っ た上 で,テニス実 施 者 のプロテニスプレーヤーに 対 するコミットメントとアイデンティフィケーションに ついて検討を行っていくものとする.
研究2(本調査1)
研 究 1の結 果 および得 られた課 題 を踏 まえ,ト ップアスリートに対 するコミットメント,およびアイデ ンティフィケーションを測 定 する尺 度 を再 検 討 し,
再 度 作 成 された尺 度 の妥 当 性 と信 頼 性 について 検 討 を行 う.その上 で,スポーツ消 費 者 のトップア スリートに対 するコミットメントおよびアイデンティフ ィケーションが彼 らの観 戦 行 動 ,購 買 行 動 にどの ような影響を及ぼしているかについて検討を行う.
なお,研究2ではゴルフを事例にして研究を行うこ ととし,分 析 データの収 集 はゴルフ実 施 者 を対 象 に行うものとする.
研究3(本調査2)
研 究 2の結 果 および得 られた課 題 を踏 まえ,ト ップアスリートに対 するコミットメントを測 定 する尺 度 の妥 当 性 と信 頼 性 について再 度 検 討 を行 った 上 で,スポーツ消 費 者 のトップアスリートに対 する コミットメントおよびアイデンティフィケーションが観 戦 行 動 ,購 買 行 動 に及 ぼす影 響 についても,研 究 2と同 様 に検 討 を行 う.なお,研 究 3では再 度 テニスを事 例 にして研 究 を行 うこととし,分 析 デー タの収 集 は テニス実 施 者 を対 象 に 行 った上 で,
研 究 1および研 究 2の結 果 を踏 まえ,検 討 を行 っ ていくものとする.
Ⅲ.研究1 1.尺度の作成
本 研 究 では,トップアスリートに対 するコミットメ ントとして,緒 言 でも述 べた過 去 のコミットメント研 究 において中 心 的 に用 いられてきた愛 着 的 次 元 である「感 情的 (愛 着 的)コミットメント」を用 いて尺 度 の作 成 を行 うものとした.井 上 (2009)は,リレー ションシップの基 本 は相 手 に対 する 肯 定 的 な感 情にあり,商取引の状況であっても関係性の本質 は,信 頼 をベースとした感 情 的 コミットメントにある とされていることを説明しており,また,高尾(2013) においても組 織 へのコミットメントを評 価 する上 で,
感 情 的 コミットメントに焦 点 をあてて研 究 を行 って いることから,本研究においても感情的コミットメン トに着目して研究を行うこととした.
トップアスリートに対 する感 情 的 コミットメントの 尺 度 作 成 においては,Matsuoka(2001)の研 究 を 参 考 に 尺 度 を 作 成 す る も の と し た . さ ら に , Matsuoka(2001)では,スポーツチームを対 象 とし て感 情 的 コミットメントとアイデンティフィケーション に関 連する概念(パーソナル・アイデンティティ)を 異なる因子として,各々とファンの行動との関連に ついて検討しており,アイデンティフィケーションの 項目についても Matsuoka(2001)を参考に行うこと に適切性があると判断した.
尺 度 の作 成 において,Matsuoka(2001)におい て使 用 された尺 度 を,スポーツ科 学 を専 門 とする 日 本 語 の堪 能 な英 語 のネイティブスピーカーと共 に日 本 語 に翻 訳 した上 で,トップアスリートにフィ ットするよう文 言 の修 正 を行 った.その上 で,作 成 した尺 度 に対 し,スポーツ用 品 メーカーにて通 訳 者 の経 験 を持 つ日 本 語 の堪 能 なネイティブスピ ーカーに協 力 を依 頼 し,一 部 の項 目 について修 正を加えた上で最終的な尺度とした.
なお,Matsuoka(2001)においてはコミットメント が 5 項目,アイデンティフィケーションが 6 項目か ら構 成 されていたが,尺 度 としての利 便 性 を考 え,
各 3 項目ずつを選抜し,トップアスリートにも適応 するように文 言 の修 正 を行 った.項 目 の選 定 にお いては,まず,ファンのチームに対 するコミットメン ト・アイデンティフィケーションに関連する尺度を用 いてこれまでに複数の論文を発表してきた研究者
107 にアドバイスを求 め, 項 目 を選 抜 する上 での参 考 に し つつ ,Matsuoka(2001)の 作 成 し た測 定 尺 度 における因 子 負 荷 量 の値 や文 言 を吟 味 しなが
ら検 討 を行 った.作 成 された尺 度 については表 1 に記載した.
表 1 トップアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフィケーションの測 定 尺 度 (研 究 1)
項 目
コミットメント
a1. 私 は〇〇(選 手 名 )のことが大 好 きである a2. 私 は〇〇(選 手 名 )へ強 い愛 着 を持 っている a3. 私 は〇〇(選 手 名 )の熱 心 なファンである
アイデンティフィケーション
b1. 誰 かが〇〇(選 手 名 )のことを非 難 する時 ,私 は自 分 のことのように傷 つく b2. 〇〇(選 手 名 )のファンであることは,自 分 にとって欠 かせないことである b3. 〇〇(選 手 名 )は,自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ
なお,本 研 究 におけるトップアスリートに対 する コミットメントとアイデンティフィケーションについて は , 松 岡 (2002) , 井 上 (2009) , 高 尾 (2013) , Ashforth and Mael(1989)を参 考 に,コミットメント は「アスリートに対 する感 情 的 ,心 理 的 な愛 着 」,
アイデンティフィケーションは「アスリートに対 する 一体性や帰属の意識」と定義する.
2.調査概要
分 析 デ ー タ を 取 得 す るた め , テ ニス実 施 者 に 対 し質 問 紙 調 査 を行 うこととした.トップアスリート に対 する心 理 的 コミットメントに関 して質 問 を行 う 上 で,質 問項 目 に実 際の選 手 名 を盛 り込 むことと し,研 究 1においては,日 本 人 にとって一 定 の知 名度と人気を持つ代表的なプロテニスプレーヤー と判 断 された錦 織 圭 ,ロジャー・フェデラー,ノバ ク・ジョコビッチを対象選手とした.
調 査 票 の配 布 に関 しては,調 査 に対 して協 力 的 であり,かつ幅 広 い年 代 ,職 業 ,競 技 レベルの テニス実 施 者 が存 在 している環 境 が望 ましいと考 えられたことから,これらの条 件 を満 たしていると 判断された東京都 K テニスクラブにて調査を行っ た.調 査 票 は,事 前 に調 査 に関 する説 明 を受 け た研 究 協 力 者 によって,配 布 ・回 収 された.配 布 はテニスクラブの全 員 に対 し行 ったが,調 査 票 へ の回 答 が困 難 であると想 定 された中 学 生 以 下 の 年 代 のクラスは対 象 からは除 外 した.調 査 期 間 は 2015 年 9 月 19 日~10 月 13 日であった.
3.質問項目
調 査 票 は,①回 答 者 の基 本 的 属 性 (性 別 ,年 代 ),②錦 織 に対 するコミットメントおよびアイデン ティフィケーション,③フェデラーに対するコミットメ ントおよびアイデンティフィケーション,④ジョコビッ チに対 するコミットメントおよびアイデンティフィケ ーション,に関 する項 目 から構 成 された.コミットメ ント,アイデンティフィケーションに関 する項 目 は
「強くそう思う」から「全くそう思わない」までの 5 段 階リッカート尺度にて質問した.
なお,倫 理 的 配 慮 として,回 答 は任 意 であるこ と,途 中 中 断 の権 利 ,不 利 益 からの保 護 ,プライ バシーの保 護 について,調 査 票 を配 布 する際 に 口頭で説明 を行い,同 様の内 容を調査票 の冒 頭 にも明記した上で,調査は行われた.
4.分析方法と結果
1)サンプルの基本的属性
調 査 において,研 究 協 力 者 およびクラブの協 力 のもと,中 学 生 以 下 の年 代 のクラスを除 く生 徒 全 員 に調 査 票 を配 布 した.結 果 ,103 枚 の調 査 票が配布され,103 の質問紙が回収された.その うち,分析において使用可能な 102 の標本(男性 48 名 ,女 性 54 名 )を分 析 の対 象 とした.徳 永 (2002)は,尺度開発の際に必要なサンプルサイズ は項目数の 10 倍以上が望ましいと指摘しており,
回 収 率 の高 さも踏 まえるとモデルを分 析 するため に十 分 なサンプルが確 保 されたと判 断 できること
108 から,研 究 1は研 究 2,研 究 3以 降 に向 けた予 備 調 査 であることも踏 まえ,引 き続 き分 析 を進 めるも のとした.
なお,102 のデータにおいて,トップアスリートに 対 するコミットメントおよびアイデンティフィケーショ ンに関 する尺 度 の妥 当 性 と信 頼 性 を検 討 するた めの分 析 に使 用 したデータは,各選手 におけるコ ミットメントおよびアイデンティフィケーションに関す る項 目 に完 全 回 答 してあるサンプルを対 象 とした
(注 2).通 常 では,一 部 欠 損 があった質 問 紙 は データとして使用しないことが一 般 的 であると考 え られるが,研究1では取得したサンプルサイズがあ まり大 きくなく,また予 備 調 査 であるということも踏 まえ,一 部 回 答 に欠 損 があった標本 でも,分 析に
支 障 がなければ部 分 的 に使 用 することとした.各 分析に使用したサンプルサイズは注 2 に示した.
なお,研 究 1~3における統 計 的 分 析 において,
有意水準は全て 5%以下とした.
2)尺度の妥当性と信頼性の検討
尺 度 の妥 当 性 と信 頼 性 について検 討 するため に,トップアスリートに対 するコミットメントおよびア イデンティフィケーションといった2つの構 成 概 念 によるモデルを作成し,確認的因子分析を行った.
さらに,収 束 的妥当 性を検討するために,因子 負 荷 量 (Factor Loading),AVE(average variance extracted)を算出し,尺度の信頼性を検討するた め Cronbach α 係 数 を算 出 した.分 析 用 ソフト には,SPSS および AMOS を使用した(図 1).
図 1 分 析 モデル(研 究 1)
まず,確 認 的 因 子 分 析 であるが,一 般 的 にモ デルの適 合 度 指 標 は GFI,AGFI,CFI,RMSEA の値 によって検 討 され,GFI,AGFI,CFI につい ては.90 以上,RMSEA に関しては.10 未満が基 準として用いられる(小 塩, 2008).以 上のことを踏 まえた上 で,モデルのあてはまりについて検 討 を 行 っ た . 錦 織 に 関 す る モ デ ル を 分 析 し た 結 果 , GFI.938,AGFI.884,CFI.991,RMSEA.047 とな
り,AGFI がやや基準を下回ったものの,それ以外 は全てにおいて基準を満たした.また,フェデラー に 関 す る モ デ ル を 分 析 し た 結 果 , GFI.828 , AGFI.678,CFI.951,RMSEA.181 となり,適合度 指 標 の値 は不 良 であった.また,ジョコビッチに関 するモデルを分 析 した結 果 ,GFI.864,AGFI.745,
CFI.947,RMSEA.141 はとなり,フェデラーのモデ ルと同じく適合度指標の値は不良であった(表 2).
109
表 2 確 認 的 因 子 分 析 結 果 (研 究 1)
適 合 度 指 標 錦 織 圭 R・フェデラー N・ジョコビッチ
χ2 乗 /df .885 3.776 4.552
GFI .977 .909 .888
AGFI .940 .761 .706
CFI 1.00 .951 .937
RMSEA .000 .167 .188
次 に収 束 的 妥 当 性 の検 討 であるが,錦 織 に関 するモデル,フェデラーに関 するモデル,ジョコビ ッチに関するモデル全てにおいて,AVE は基準を
上回る結果となった(Fornell and Larcker,1981).
したがって,構 成 概 念 の収 束 的 妥 当 性 を有 して いることが示された(表 3).
表 3 項 目 の平 均 値 ,標 準 偏 差 ,α係 数 ,因 子 負 荷 量 ,AVE の値 (研 究 1)
項 目 M SD α FL AVE
錦 織 圭
コミットメント
a1.私 は錦 織 圭 のことが大 好 きである 3.9 .96 .75
a2.私 は錦 織 圭 へ強 い愛 着 を持 っている 3.1 1.27 .89 .88 .74
a3.私 は錦 織 圭 の熱 心 なファンである 3.1 1.24 .94
アイデンティ フィケーショ ン
b1.誰 かが錦 織 圭 のことを非 難 する時 、私 は自 分 のことのように傷 つく 2.6 1.02 .57 b2.錦 織 圭 のファンであることは、自 分 にとって欠 かせないことである 2.6 1.19 .82 .92 .63
b3.錦 織 圭 は、自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ 2.3 1.02 .85
ロジャー・フェデラー
コミットメント
a1.私 はロジャー・フェデラーのことが大 好 きである 3.4 1.15 .69
a2.私 はロジャー・フェデラーへ強 い愛 着 を持 っている 2.2 1.15 .86 .86 .66
a3.私 はロジャー・フェデラーの熱 心 なファンである 2.6 1.20 .88
アイデンティ フィケーショ ン
b1.誰 かがロジャー・フェデラーのことを非 難 する時 、私 は自 分 のことのように
傷 つく 2.0 1.03 .77
b2.ロジャー・フェデラーのファンであることは、自 分 にとって欠 かせないことで
ある 1.9 1.03 .91 .95 .78
b3.ロジャー・フェデラーは、自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ 1.9 .94 .91
ノバク・ジョコビッチ
コミットメント
a1.私 はノバク・ジョコビッチのことが大 好 きである 2.9 1.14 .70
a2.私 はノバク・ジョコビッチへ強 い愛 着 を持 っている 1.8 .97 .82 .78 .61
a3.私 はノバク・ジョコビッチの熱 心 なファンである 2.2 1.10 .86
アイデンティ フィケーショ ン
b1.誰 かがノバク・ジョコビッチのことを非 難 する時 、私 は自 分 のことのように傷
つく 1.8 .85 .88
b2.ノバク・ジョコビッチのファンであることは、自 分 にとって欠 かせないことで
ある 1.7 .90 .94 .92 .83
b3.ノバク・ジョコビッチは、自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ 1.7 .91 .93
続 い て 弁 別 的 妥 当 性 の 検 討 で あ る が , Anderson and Gerbing(1998)の手 法 を用 い,トッ プアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフ
ィケーションの因子間相関を 1.00 に強制したモデ ルのカイ二 乗 値 と,コミットメントとアイデンティフィ ケーションの因 子 間 相 関 を自 由 に許 容 したモデ
110 ルのカイ二乗値を比較した.結果,3 名のアスリー トにおけるモデルすべてにおいて,因 子 間 相 関 を 許 容 するモデルの方 が制 約 したモデルよりも統計 的 に優 れていることが明 らかになった.したがって,
要因間に弁 別的妥当性 があることが示された.分 析 結 果 は,仲 澤 ほか(2014)の研 究 を参 考 に表 4 にまとめた.
表 4 弁 別 的 妥 当 性 の検 討 (研 究 1)
因 子 間 相 関 等 値 制 約 のある
モデルの χ2(df)
等 値 制 約 のない
モデルの χ2 (df) Δχ2(Δdf) コミットメント⇔アイデンティフィケーション(錦 織 ) 27.689(9) 7.076(8) 20.613(1) ***
コミットメント⇔アイデンティフィケーション(フェデラー) 39.897(9) 30.208(8) 9.689(1) **
コミットメント⇔アイデンティフィケーション(ジョコビッチ) 50.811(9) 36.417(8) 14.394(1) ***
*** p<.001 ** p<.01 * p<.05
さ ら に , 信 頼 性 の 検 討 を 行 っ た と こ ろ , Cronbachα係 数 は,3つのモデルの全 ての因 子 において.80 を超 える結 果 となり,一 定 の信 頼 性 を有していることが示された(表 3).
5.考察および研究2へ向けた課題
研 究 1の結 果 から,トップアスリートに対 するコミ ットメントおよびアイデンティフィケーション測 定 尺 度 には,ある程 度 の妥 当 性 と信 頼 性 が確 認 され たが,外国人選手を対象にした場合においては,
モデル適合度指標の AGFI,RMSEA が不良であ った.このような結 果 となった原 因 としては,評 価 尺 度 に問 題 がある可 能 性 や,日 本 人 が海 外 アス リートとのアイデンティフィケーションを評 価 するこ とに問題がある可能性などが考えられた.
研 究 1の結 果 においては,トップアスリートに対 するアイデンティフィケーションを測 定 する各 項 目 における平均値が低く,外国人選手のものにおい て,一部フロア効果が確認される部分もあったこと や,錦 織 に対 するアイデンティフィケーションの項 目において,因子 負 荷量 が.60 以下 となったもの が1つあったことから,研 究 2では測 定 尺 度 の再 検 討 ,特 にアイデンティフィケーションに関 する項 目 について修 正 を行 う必 要 性 がまず考 えられる.
その上で,日本 人が海 外アスリートとのアイデンテ ィフィケーションを評 価 することにおける問 題 点 に ついても検 討 するために,研 究 2において引 き続
き国 内 外 のトップアスリートに着 目 して研 究 を行 っ ていくこととした.
Ⅳ.研究2
1.分析モデルの作成と測定尺度の再検討 研究2ではより妥当性と信 頼性が担保 された尺 度 の作 成 を行 うため,研 究 1の内 容 を踏 まえ,トッ プアスリートに対 するアイデンティフィケーションの 項 目 に つ い て 再 検 討 を 行 っ た . 研 究 1 で は , Matsuoka(2001)の研 究 で使 用 された6項 目 から3 項 目 のみを選 抜 したが,研 究 2では,6項 目 の中 から「〇〇の成 功 は,私 の成 功 だ」と「誰 かが〇〇 を称 賛 する時 ,自 分 が称 賛 されているような気 分 になる」といった項 目 を追 加 し,計 5項 目 とした.
残 りの1項 目 である「メディアが〇〇を非 難 する時 , 私 は怒 りを覚 える」に関 しては,「誰 かが〇〇のこ とを非 難 する時 ,私 は自 分 のことのように傷 つく」
といった項 目 が既 にあることから,項 目 内 容 の重 複 ,および尺 度 としての利 便 性 も踏 まえ,使 用 し ないこととした.コミットメントの項目に関しては,研 究 1において項 目 ごとの平 均 値 においてフロア効 果 がほぼ見 られなかったことや,各 項 目 における 因 子 負 荷 量 についても大 きな問 題 は見 られなか ったことから,研 究 1と同 じ項 目 を用 いることとした
(表 5).これらの項 目 を用 いて,分 析 モデルを作 成した(図 2).
111
表 5 トップアスリートに対 するコミットメントとアイデンティフィケーションの測 定 尺 度 (研 究 2)
項 目
コミットメント
a1. 私 は〇〇(選 手 名 )のことが大 好 きである a2. 私 は〇〇(選 手 名 )へ強 い愛 着 を持 っている a3. 私 は〇〇(選 手 名 )の熱 心 なファンである
アイデンティフィケーション
b1. (選 手 名 )の成 功 は、私 の成 功 だ
b2. 誰 かが〇〇(選 手 名 )のことを非 難 する時 、私 は自 分 のことのように傷 つく b3. 〇〇(選 手 名 )のファンであることは、自 分 にとって欠 かせないことである b4. 〇〇(選 手 名 )は、自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ
b5. 誰 かが(選 手 名 )を称 賛 する時 、自 分 が称 賛 されているような気 分 になる
図 2 分 析 モデル(研 究 2)
2.調査概要
1)分析データの収集
分 析 デ ー タ を 取 得 す る た め , ゴ ル フ 実 施 者 を 対 象 に調 査 を行 った.研 究 1同 様 ,トップアスリー トに対 するコミットメントおよびアイデンティフィケー ションにおける質 問 項 目 に,実 際 の選 手 名 を盛 り 込 むこととした.そこで,日 本 人 にとって一 定 の知 名度と人気 を持つ代表的なプロゴルファーと判断 された松 山 英 樹 ,石 川 遼 ,タイガー・ウッズ,ジェ イソン・デイ,宮 里 藍 ,イ・ボミを研 究 2における対 象選手とした.
分 析 データの取 得 は,インターネット調 査 (ウェ ブ画 面 上 で回 答 を求 める方 式 )にて,ゴルフ実 施 者(月 2 回程度以上,ゴルフを実施しているもの)
に対 し実 施 した.具 体 的 には,株 式 会 社 マクロミ ルのモニター会 員 に対 し「あなたは日 ごろ,下 記
のスポーツをしていますか.最 もあてはまる頻 度 と ともにお知 らせ下 さい.」といったスクリーニング項 目 によって対 象 者 を絞 り込 んだ上 で,性 別 および 年齢区分(20 代,30 代,40 代,50 代,60 代の 5 区分)を用いた 10 群に対し,男性 500 名(20 代 48 名,30 代 97 名,40 代 132 名,50 代 110 名,
60 代 113 名),女性 100 名(20 代 19 名,30 代 23 名,40 代 25 名,50 代 19 名,60 代 14 名)と 分布した 600 サンプルを抽出するように依頼をし た(注 3).調査は 2016 年 9 月 29 日~30 日に実 施 された.なお,調 査 対 象 はスクリーニング項 目 によって,日 本国籍を持 っているもの(他国籍との 重国籍は除く)に限定した.
112 2)質問項目
調 査 票 は,①対 象 となるプロゴルファーに対 す るコミットメントおよびアイデンティフィケーション,
②対 象 となるプロゴルファーの試 合 に対 する観 戦 行 動 ,③対 象 となるプロゴルファーが使 用 するゴ ルフ用 品 の購 買 行 動 といった項 目 群 から構 成 さ れた.性 別 と年 齢 に関 しては,マクロミルのモニタ ー会 員 情 報 として得 ることができるため,質 問 項 目には含めなかった.
研 究 2においては,トップアスリートに対 するコミ ットメントおよびアイデンティフィケーションと観 戦 行 動 ,消 費 者 行 動 の関 係 を調 べるために,変 数 として観 戦 意 図 ,購 買 意 図 を設 定 した.この理 由 としては,観 戦 行 動 ,購 買 行 動 に関 しては,行 動 は直 接 予 測 されるものではなく行 動 への意 図 が 予測変数であるとした Fishbein and Ajzen(1975),
意図は行動を予測する主要因であるという Ajzen and Driver(1992)の指摘に基づき,観戦行動への 意 図 である「観 戦 意 図 」,購 買 行 動 には,購 買 行 動 の意 図 である「購 買 意 図 」を使 用 することとした.
観 戦 意 図 に関 しては,「〇〇(選 手 名 )の試 合 は,欠かさずに TV で観戦したい」という観戦意図 (TV)を設 けた.一 方 で,購 買 意 図 に関 しては,代 表 的 な用 具 として ゴルフ クラブを対 象 に し「〇〇
(選 手 名 )と同 じゴルフクラブを購 入 したい」という 購 買 意 図 (クラブ)を尺 度 として設 定 し,購 買 意 欲 を包 括 する項 目 として「〇〇(選 手 名 )と同 じゴル フ用 品 を購 入 し,使 用 したい」といった項 目 を設 けた.そして,上 記 のプロゴルファーに対 するコミ ットメントおよびアイデンティフィケーションに関 す る項 目 ,および観 戦 意 図 ,購 買 意 図 に関 する項 目について,「強くそう思う」から「全くそう思わない」
までの 5 段階リッカート尺度にて質問を行った.な お,コミットメントおよびアイデンティフィケーション に関する質問項目は表 5 に示した項目をランダム に並 び替 え,各 々の選 手 名 を入 れた上 で調 査 票 に盛り込んだ.
また,倫 理 的 配 慮 として,回 答 は任 意 であるこ と,途 中 中 断 の権 利 ,不 利 益 からの保 護 ,プライ バシーの保 護 について,画 面 の冒 頭 に提 示 した 上 で,質 問 項 目 において個 人 が特 定 される情 報
については質 問 をしないよう留 意 して調 査 を行 っ た.
3.結果
1)サンプルの基本的属性
調査の結果,男性 517 名(20 代 50 名,30 代 100 名,40 代 136 名,50 代 114 名,60 代 117 名),女性 105 名(20 代 20 名,30 代 24 名,40 代 26 名,50 代 20 名,60 代 15 名)から回答が得 られ,サンプル総数は 622 となった(注 4).
2)尺度の妥当性と信頼性の検討
研 究 1同 様 ,確 認 的 因 子 分 析 によってモデル のあてはまりを検 討 した.まず,松 山 英 樹 と石 川 遼 を対 象 としたモデルについて分 析 を行 ったとこ ろ , 松 山 英 樹 に 関 す る モ デ ル は , GFI.895 , AGFI.802,CFI.953 ,RMSEA.144,石 川 遼 に関 す る モ デ ル は , GFI.937 , AGFI.881 , CFI.975 , RMSEA.112 となり,いずれもモデル適 合 はやや 不良であった(小塩, 2008).そこで,狩野(2002)の 指 摘 を参 考 に,修 正 指 数 および項 目 の内 容 を勘 案 し,項 目 数 の多 いアイデンティフィケーションか ら「〇〇のファンであることは,自 分 にとって欠 か せないことである」に関 する項 目の削 除を行った.
その結 果 ,松 山 英 樹 へのコミットメントおよびアイ デンティフィケーションに関 するモデルの適 合 度 指 標 は , GFI.962 , AGFI.919 , CFI.982 , RMSEA.095,石 川 遼 に対 するコミットメントおよび ア イ デ ン テ ィ フ ィ ケ ー シ ョ ン に 関 す る モ デ ル は GFI.970,AGFI.935,CFI.988 ,RMSEA.085 と なり,かなりの改 善 が見 られ,適 合 度 指 標 は全 て 基 準 を満 たした.以 上 より,アイデンティフィケー ションに関する項目を,当初設定した 5 項目から
「〇〇のファンであることは,自 分 にとって欠 かせ ないことである」を除 いた4項 目 とし,それに合 わ せてモデルを修 正 した上 で(モデルから b3 を削 除),分析を継続することとした.
この尺 度を用 いて,その他 4選 手におけるコミッ トメントおよびアイデンティフィケーションに関 する モ デ ル を 分 析 し た 結 果 , タ イ ガ ー ・ ウ ッ ズ は GFI.961,AGFI.916,CFI.985 ,RMSEA.098,ジ ェイソン・デイは GFI.960,AGFI.915,CFI.986,
113 RMSEA.099 , 宮 里 藍 は GFI.971 , AGFI.937 , CFI.989 , RMSEA.081 , イ ・ ボ ミ は GFI.963 ,
AGFI.921,CFI.987,RMSEA.092 となり,いずれ も全ての指標において基準を満たした(表 6).
表 6 確 認 的 因 子 分 析 結 果 (研 究 2)
適 合 度 指 標 松 山 英 樹 石 川 遼 T・ウッズ J・デイ 宮 里 藍 イ・ボミ
χ2 乗 /df 6.660 5.499 6.911 7.101 5.037 6.217
GFI .962 .970 .961 .960 .971 .963
AGFI .919 .935 .916 .915 .937 .921
CFI .982 .988 .985 .986 .989 .987
RMSEA .095 .085 .098 .099 .081 .092
次 に収 束 的 妥 当 性 の検 討 であるが,対 象 とし た 6 選手における,コミットメントおよびアイデンテ ィ フ ィ ケ ー シ ョ ン に 関 す る モ デ ル 全 て に お い て ,
AVE は基 準 を上 回 る 結 果 となっ た(Fornell and Larcker,1981) . し た がって , 構 成 概 念 の 収 束 的 妥当性を有していることが示された(表 7).
表 7 項 目 の平 均 値 ,標 準 偏 差 ,α係 数 ,因 子 負 荷 量 ,AVE の値 (研 究 2)
項 目 MEAN SD α FL AVE
松 山 英 樹
コミットメント
a1.私 は松 山 英 樹 のことが大 好 きである 3.3 .98 .66
a2.私 は松 山 英 樹 へ強 い愛 着 を持 っている 2.6 1.08 .87 .89 .69
a3.私 は松 山 英 樹 の熱 心 なファンである 2.5 1.12 .92
アイデンティ フィケーショ ン
b1.松 山 英 樹 の成 功 は、私 の成 功 だ 2.3 1.15 .79
b2.誰 かが松 山 英 樹 のことを非 難 する時 、私 は自 分 のことのように傷 つく 2.4 1.07 .93 .91 .78
b4.松 山 英 樹 は、自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ 2.3 1.07 .93
b5.誰 かが松 山 英 樹 を称 賛 する時 、自 分 が称 賛 されているような気 分 になる 2.2 1.07 .89 石 川 遼
コミットメント
a1.私 は石 川 遼 のことが大 好 きである 3.1 1.07 .72
a2.私 は石 川 遼 へ強 い愛 着 を持 っている 2.5 1.15 .90 .94 .75
a3.私 は石 川 遼 の熱 心 なファンである 2.5 1.13 .92
アイデンティ フィケーショ ン
b1.石 川 遼 の成 功 は、私 の成 功 だ 2.4 1.13 .84
b2.誰 かが石 川 遼 のことを非 難 する時 、私 は自 分 のことのように傷 つく 2.3 1.12 .95 .93 .83
b4.石 川 遼 は、自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ 2.3 1.10 .94
b5.誰 かが石 川 遼 を称 賛 する時 、自 分 が称 賛 されているような気 分 になる 2.3 1.13 .93 タイガー・ウッズ
コミットメント
a1.私 はタイガー・ウッズのことが大 好 きである 2.8 1.14 .70
a2.私 はタイガー・ウッズへ強 い愛 着 を持 っている 2.4 1.14 .89 .94 .73
a3.私 はタイガー・ウッズの熱 心 なファンである 2.4 1.13 .91
アイデンティ フィケーショ ン
b1.タイガー・ウッズの成 功 は、私 の成 功 だ 2.3 1.12 .86
b2.誰 かがタイガー・ウッズのことを非 難 する時 、私 は自 分 のことのように傷 つ
く 2.2 1.07 .96 .94 .85
b4.タイガー・ウッズは、自 分 自 身 の様 でとても大 切 だ 2.2 1.08 .95