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** * に及ぼす化学組成の影響

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(1)

長野工業高等専門学校紀要 ・第30 (1996) 31

0.2C‑Si‑1.5Mn複合組織鋼板の温間伸びフランジ性

に及ぼす化学組成の影響

長坂明彦

(平成8年1031日 受理)

E f f e c t   o f   C h e m i c a l   C o m p o s i t i o n   o n   W a r m   S t r e t c h F l a n g e a b i l i t y  

I n   0 . 2 C

S i

1 . 5 M n   D u a l

P h a s e   S h e e t   S t e e l s

Akihiko NAGASAKA

Theerrectsorchemicalcompositionandretainedausteniteparameters(stabilityandvolum eTraction) onawamlholepunchingandwamlhole{Xpandingor0.2C‑Si1.5Mnhigh strengthTRIp‑aideddual phaseOTDP) sheetsteelswereinvestigated・ ThewamlPunchingandsuccessivewarm expanding achievedthelargestretch‑flangeability.ie・,largeholeexpandingratio,low holeexpandingloadand argeholeexpanding height,by moderatelysuppressing thestrain‑induced transformation(SIT)Or retainedausteniteparticlesITheholeexpandingratioincreaseduptothatorthererritebainitedual‑phase steelOpdmum formingtemperatureTopForpunchingwasbetween150and200℃,atwhichtheSrr wassuppressedthemost.Ontheotherhand,TopForexpandingwasbetween50and200℃,andlinearly increasedwithincreasingMsortheretainedaustenite.

1.緒 言

乗用車の車体軽量化 と衝突安全性の向上を背景に開発された高強度鋼板の中で,残留 オーステナイ ト(γR)のマルテ ンサイ ト変態誘起塑性 (TRIP:Transformation‑Induced Plasticity)(1,2)を有効に利用 したTRIP塑複合組織鋼板(31(5)(TDP鋼板)は特 に優れたプ レ ス成形性を有す る.現在,軽量化効果の最 も期待 できる足 回 り部品への適用研究が積極 的に行われているが,伸びフランジ性 (穴広げ性)が低いという報告が多い(67).

一般に高強度複合組織鋼で はフェライ ト(af)十ベイナイ ト(ab)鋼などの伸びフラ ンジ性が特 に優れている(6).TDP鋼の組織 (αf+αb十γR)はこれ らの鋼に類似す るに も かかわ らずその伸びフランジ性が低い理 由は,ひずみ誘起 により生 じたマル テ ンサイ ト (αm)が高炭素濃度を有す るため極めて硬 く,母相 との界面で ボイ ドが形成 されやす い ためであ ると考え られている.γRは含有するC濃度の増大によってその安定性 を増すの で,炭化物の析 出を抑 え るSiを添加す ることに よりオーステナイ ト (γ)中のC濃度 本研究は平成7年度 (財 )天田金属加工機械技術振興財田 ・奨励研究および平成7年度長野高専 教育研究特別経費の助成を受けて行われた.

*平成8321日 日本機械学会北陸信越支部 第33期総会 ・講演会にて一部発表

**機械工学科 ・助手

(2)

32 明 彦

を 南め, γR量 を増 大 させ る ことがで きる と予想 され る.村 松 ら(8)に よると04C‑Si 1.4Mn(mass%)TDP鋼において,SiγR量に対する有効性が報告されて いる・ しか し.港 接性 を考慮 した低炭素 鋼 につ いての伸び フラ ンジ性についてはあま り報告が ない・ この

ような観点よ り,本研究ではSi量の化学組成に及ぼす温間伸びフラ ンジ性の影響を調査 し た,

2.実 験 方

供試鋼には,γRの体積率を変化させ るた

めに.Si添加量を1.0‑2.5mass%の範囲で変 Tαり 化 させた4種類 の真 空溶製 された0.2C‑Si

1.5Mn(mass%)冷延 ま まTDP鋼板 (板厚 1.2mm)を用いた (1). ここでTDP鋼の 2相域均熟温度T。γは, γRの体積率fγが 最大 となる温度を採用 した.2台の塩浴炉に より図1¢)2相域焼なま し十オーステ ンパ 処理を施 し, af+ab+γR3相組織とした.

また比較のため,0.15C‑0.25Sil1.70Mn冷延 鋼板を用い,熱処理によ りaftam2相姐 紙 と した フェライ ト ・マル テ ンサイ ト複合 組織鋼 (MDP鋼), αf十αb2相組織 とし た フェライ ト ・ベ イナ イ ト複合組 紙鋼 ( BDP鋼) も作製 した.MDP鋼には,200‑

600℃ の焼戻 しも施 し,MDP2,MDI'4, MDP6とした. (図1(b),(C))

引張 り,打抜 きお よび穴広 げ試験にはイ ンス トロン型引張試験機を用いた.引張試 験片はJIS‑13B号,打抜 きおよび穴広げ試験

(3.)a.mlt21adtnaL

760

1 供試鋼の化学組成

Tim e(S) 0.9.

Time(sI0.g. A.C.

Tlme【S) A.C.

1 供試鋼の熱処理

冨DDpP I3: 3:…喜 壬莞 3:3壬8 3:38…3 3:3;3 t

(3)

0.2C‑Sill.5Mn複合組織鋼板の温間伸びフランジ性 に及ぼす化学組成の影響 33

片は50mmx47mm (板厚1.2mm)の板状試験片 とした.

引張試験は,20‑250℃の温度範囲, クロスヘ ッ ド速度lmImin一定で行 った.試験 片の加熱には,一対のプ レー ト状ス リップ ヒーターを使用 し,温度制御 した.

ポンチ打抜き穴加工にはダイセ ッ ト(9)を用い.打抜き温度Tp=20‑250℃の範囲,打抜 き速度Vp=10mm/min一定 の条件でス トリッパ プ レー トとダイプ レー トにカー トリッジ ヒーターを差 し入れ,温度制御 した.ポンチ直径は4.76mmの円形ポンチを用いた.ポン チとダイのクリアランスは板厚の10%とした.

穴広 げ試験には張 出 し試験機(5)(直径Dp=17.4mm.肩曲率半径Rp=3mmの平底 円筒ポ ンチ)を用い,試験治具全体 を環状炉 に入れ,穴広げ速度VE=1m〟min一定,穴広げ温 TE=20‑250℃の温度範囲で行 った.潤滑剤にはグラファイ ト系を使用 し,穴広げ率 A は式(1)により初期穴径d。とき裂発生時の穴径dfより算出した.

Å=((4‑d。)/d〉×100% (1)

γRの初期体積率fγX線回折法 (MoIKa線)により.(200)a,Pll)a,GOO)γ, (220)γ,(311)γ回折角20の5ピーク法(10)を用いた.γR中の炭素濃度Cγ。enass%)は式 のを利用 して,CrKa線の(220)γ回折角20ピークにて測定された格子定数aγ。(×10

10m)か ら推定 した(ll).

aγd=3・5467+0・0467×CγO ・(2)

また, γRのMs点 (℃)は式(3)か ら推定 した. ここで.γR中のマ ンガ ン濃度Mnγ Speich(12),Gilmour(13)らの報告か ら添加量の1.5倍に仮定 して計算に用いた.

Ms=550‑(360×Cγo(40×Mnr) ・(3)

さらに,走査電子顕微鏡 (SEM)観察およびマイクロ ビッカース硬さ測定 も必 要に応 じ 行った.

3.実験結果および考察

3.1 TDI'鋼の ミクロ組織

5%硝酸アル コールでエ ッチングした組織のSEM写真 (20kV,×1.5k)を図2に示す.

2(a)P)はそれぞれTDp‑B,TDp‑GSEM写真である.図中のafはフェライ ト母相を示 , αb島とγR粒を第2相 と呼ぶ ことにす る. αf粒界 に沿 って第2相が粒子 (ネ ッ ト ワーク)状に存在す る.また図2(C)はMDPで第2相はam,図2(dp BDPの第2相はahを呈 する.

(4)

:ll 11 Ej JIB.I 3,2 TDP鋼の引張特性

豪2に供試 鋼の20oCでの機械rfJ性質 を示す.引張 強 さ (TS),降伏 応)J (YS),J7!

(TEl),一様伸び (UEl),降伏比 (YS/TS)をそれぞれ示す一TDP鋼のTELは30% 上の高い全伸び を示す.降伏比は0.5 FJMDP鋼が最 も小 さい低降伏比で,形状淡結性 が高いことがわか る.また,Si塵の増加 によって も,形状凍結性が高いことを示す.

図3はTDP鋼 の引張温度依存性を示す.全伸びの温度依存性 は顕著に現われ TDp‑B では成形温度T=100‑150℃で,またTDp‑G鋼ではMs点の上昇に起因 してT=150‑200℃

(a)TDp‑B,仲)TDp‑G,(C)MDP,(d)BDP

ar:ferritematrix, αb:bainitc,γ R :retainedausteniteparticle, am:martensite 図2 SEM組織写真

蓑2 供試鋼の機械的性質

ot‑3o‑7

TS【MPa】 YS【MPa】 TEl%】 UEl%】

‑ニ 二三

㍍EE冒 1 ……昌 45≡43 11三二 19.?7

̲ :ニ ー L̲ BOP E 620 470 17.0 113

(5)

0.2CSill.5Mn複合組織鋼板 の温間伸 びフランジ性 に及 ぼす化学組成 の影響 35 の範囲で全伸びが最大になる(5).変形強度TSはこれと逆の温度依存性を示す・

3.3 7Rの安定性 と温間加工の効果

一般に,TDP鋼には5‑20vo1%γRが存在する.その炭素濃度は非常に高 く(11‑17 mass%),Ms点は‑100‑0℃であると推定される.図4TDP鋼の冶金学的因子を示す・f,0

はγRの初期体積率,CTはγR中の炭素濃度を示す・Si添加量の増大に したが って炭化物 の析 出抑制効果によりfT。は上昇す る. しか し,それに伴 ってCToは減少す るが,fγoX Cγバランスは結果的に増加す ることが認められる・

Ms点以上の温度範囲では, γRの体積率f,はひずみEとともに式(4)に従 って減少す る(4)

t.T..T(%)t(dam)

F

f

FT(℃ )

T

.0 (%L

T工p‑d l I J

三‡== tL̲1 ̲== 0 100 200 300

T(℃) 3 TDP鋼の引張温度依存性

logfT=logfr。‑k・8

・(4)

ここでfT。は初期γR量である.kは定数で, γRMs点,加工温度 などによ って変化す る.ここで,k倍 は破断材の一 様変形部の

γR量 とそのひずみを用いて もとめた.

引張変形下 におけるk倍の加工温度依存性を 図5に示す.低加工温度側でk値は高 く,†R の ひず み 誘起変態 (SIT:Strain‑induced

Transformation)が変形のごく初期に完了 し て しまうことを示 している.Si含有量の多い

,l1l1.0000

)(%SrE!tT)0

︻%STt=tq. 628454324201100..111

× 0.0̲8

TDP鋼になるにつれてk値の最小値を示す温 uo. 度が上昇 してい くことが認め られる.k債は

T=100‑200℃で最小 となった後.それ以上

IILllllll

l

l

l

JI

4 TDP鋼の冶金学的因子

(6)

36 の温度で は増加 す る.一般 に,準安定 γ鋼 ではひずみ誘起マルテ ンサイ ト変態(SIMT) Ms点とMd点の範囲で起 こり,高温ほどひ ずみ 誘起変態 は抑 制され る(2).TDI'鋼では 200℃以上 で ひず み 誘起 ベ イナ イ ト変 態 (SIBT)が生ず る(4)ため, これ と異なる現象が ,ti

生 じた ものである.

3.4 温間加工に対するSi添加量の影響 図6に,種 々の温度Tpでポ ンチ打抜 き加工 を施 した試験片をTE=20または150℃で穴広 げ加工 した打抜き温度依 存 性を, 図7に.

Tp=20または150℃でポ ンチ打抜き加工を施

G

EFヽ ヽ ヽ、、 ヽ ヽヽ ヽ ヽ、 、ヽ \ .〜′.ニEI

100 0 100 200 300 400 T(℃)

5 TDP鋼のk倍の引張温度依存性 し,種 々の穴広げ温度TBで穴 広げ加 工 した

穴広 げ温度依存性を示す. ここで,久は穴 広げ率を,PEは最大穴広げ荷重を示す.

図6(aXbyrDPIBは約150℃での打抜き加工 と穴広げ加工において,γRの安定化によ り打 抜き穴加工時のγR量のS汀を抑制 し,かつ,穴広げ時の適度なTRIP効果によ り伸び フラ ンジ性の改善が可能であることを示唆す る.また, 温間加工によって,Srrが抑制される

ことで,荷重低下を もた らしている.(cXdJrDp‑GはSi添加量の増大 によって,室温での伸 びフランジ性 はMDP鋼程度(14)とひどく低下す る. しか し,約150℃で打抜 きおよび穴広 げ加工を行 った場合,伸びフランジ性は大幅に改善 され る.図7の温間打抜きによって表 面損傷が減少 し,有効的にTRIP効果が現われ穴広げ率の上昇がみ られ る. また,SITが抑 制され る温度域での穴広げ加工によって荷重低下がおこる.Si量が多いTDI'G鋼において

TDp‑B 0532(Nd 000000254321(%)Y 0

100 200 Tp(℃ )

205040302010(%k

TDP.G

100 200 300 Tp(℃ )

図6打抜き最適温度による伸びフランジ性

(7)

0.2C.Si.1.5Mn複合組織鋼板 の温間伸び フランジ性 に及ぼす化学組成 の影響 37 ち,同様に最適な温間加工によって伸びフランジ性が大幅に改善 される.

505332(Nq)d 00̲005432

(%)Y

TDp‑B

0

1 0 0

200

TE()

300

0000054321(%)Y

TDPIG

100 200 300 TE()

7 穴広げ最適温度による伸びフランジ性

3.5 最適成形温度

8にポンチ打抜きと穴広げにおける最適 成形温度Topと残留オーステナイ トのMs点と の関係を示す.

Sugimotoらの報告(5)によ ると引張試験の 伸びTElにおける最適成形温度TopとMs点 と の関係は,Ms点の上昇に連れてTopも上昇す る直線関係が成 り立つ. しか しなが ら,打 抜き最適温度 は図5に示 したk値による加工 安定性要因の150‑200℃に強 く依存 し,Ms 点の影響は見 られない.

一方,穴広げに最適成形温度 は50‑200

℃で,TElと張 出 し成形性Hmaxの間にほぼ 位置 し,Ms点の温度に強 く依存する.

80 .40 0 Ms(℃)

8 最適成形温度 とMs点の関係

3.6 打抜き穴特性

9に,打抜き穴破断面における表面加工層のSEM写真 (20kV,×1・5k)を示す.写真 の左側が破断面で,上 か ら下に打抜いて いる.それぞれTp=20における(ayrDp‑B鋼,P) TDp‑G,(C)MDP,(d)BDP鋼の破断面表面を示す.ボイ ドの発生 は(ayrDp‑B,(b) TDPIG

,(

C)MDP鋼の母相/第2相界面で直径約1FLmのボイ ドが発生 しているが,(d)BDP での塑性流動バ ン ドは特に打抜き方向と平行を呈 し,母相/2相界面でのボイ ド形成を

(8)

ji 触 lrJj I.i;

抑制 している.打抜 きJJI;.)yP)̲1臓 動バ ン ドの1(JJ延はMl)l'.Tl)P・G鋼.Tr)P郎札 BDP

鋼 と小 さ くな る傾 向を示 し,F'I/第2仰の価 さとの付か 巧え Lられ る.

■*jL/JAi>̲rJTrJilrJl.‑J JT

I.Ii?I:'T::::Z・'・'..I..‑iI・Il1.=̲̲̲l■

図 9 打抜 き破断面のSEM写真

3.7 プ レス成形性

TDP鋼を取 り逝 く外相 l:も強度複組 織鋼 板のプ レス成形 性を図 1Oに示す .lxl(a)は成 人張出し高さ(5)と引頗強さ (HmaxITS),O)) は穴JLげ 率 と引・]&強 さ (久ITS)の関係か

ら, それ ぞれ強度 ・張出 し性バ ラ ンス およ び強度 ・伸 び フ ラ ンジ1yJバ ラ ンスを/J(す.

TDP鋼 は最 適成 形温度T。[',MDP鋼 お よび

BDP鋼は20℃の佃を示す.

(i)TS一定下 において,TDP鋼は梅めて優れ た張 出 し性を有 す る. これ らの鋼の優 れた 張出 し性 は主 に,γ RのSITによ って高 ひず み域 での ひず み硬化 率が高 い値 に保たれ かつ 侍相/第2相界 面での き裂発 生が抑 制 さ れた ことに起因す る.

¢)TDP鋼の仰 び フランジ性 は,高強度鋼板 の内で特 に優れ た伸 び フラ ンジ性を有 す る

BDP鋼 と同程度 を示 す.もちろん,MDP

‑‑1iJ‑一.‑ITJ.‑.

.・.:,・・.7.i:..f・'.描:(i・:・・.・・.I.

; =

l■■▲■▲

∩)・‑▲

700 900

TS(MPa)

1100

図 10 供試鋼の穴広げ率 と局部伸びの関係

(9)

0.2C・Si1.5Mn複合組織鋼板の温間伸びフランジ性 に及ぼす化学組成の影響 39 よりもかなり優れている.TDP鋼の優れた

伸び フランジ性は,節2相/母相強度比が小 さい こと,およびγRSITによる局所的応 力集 中の緩和によ り,母相/第2相界面での ボイ ドの発生が抑制されたことに因る.

3.8

3.8.1 伸びフランジ性の支配因子

TDP鋼の穴広げ率Aに及ぼすγR中の炭素 濃度CT。の影響を図11に示す.伸びフラン

ジ性 に対 してはγRの体積率fTの影響は小 さく,その炭素濃度 (安定性)が強 く影響 する.ただし. Aは最大となる最適加工温 度T(ガでCTの影響は小さくなる.また,γ R

SITによるTRIP効果が Aを著 しく改善 して いることがわかる.このようなγR特性の影 響は張出し性の場合 と異なる.

2相硬さHVsおよび母相硬さHVmか らなる 2相/母相硬さ比HV'を示す.第2相硬さは 平均硬さHV,母相硬さと第2相体積率f(16)

ら次式(5)にて求めた.

HV‑HVm ・(1‑f)+HVs・f ・・・(5)

TDP鋼のSi添加量の増加により,平均硬さ は上昇 した.これは引張強さTS (o℃)と 同様の傾向を示 した.また,Siの固溶強化に より母相硬さも添加量の増加により上昇 し た.TDp‑G鋼とMDP鋼はHV*≒3で同程度 と なった. しか し,MDP鋼のポンチ打抜き破 断部では,ボイ ドがαr母相 とαm2相界面 に多数発生 していた (9¢)).十方,TDp‑

G鋼ではボイ ドはほ とん ど発生 していない (9P))ことから,ボイ ドの発生は母相 と 第2相の結合力の差に起因す ると思われる.

図13に各種複合組織鋼の えと第2相/母相 硬さ比HV*(15)との関係を示す.図11と同様

0000000017654321(%)Y

11.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 。(mass%) 11 穴広げ率に及ぼす炭素濃度の影響

召 400 ゴ 3000 岳 200 100

TDpE ・B ・F .G MDP BDP HVQ=2.03 2.00I.94 2.612.77 1.87 図12 供試鋼の ミクロ組織の硬さ

0011

.5 2.0 2.5 3.0 HV●

図13 穴広げ率 と第2相/母相硬さ比の関係

(10)

40 明 彦

に, γRのS汀によるTRIP効果が Aを著 しく改善 していることがわか るが, Aに対 しては HV*も重要な働きをす ることがわかる.HVや)影響 は20℃加工で特に大き く現われる. こ のように,SITが早期 に生ず る加工条件 では, AHVの関係はいずれの鋼 も一つの曲線 で示 され, γRのSITの影響が現われな くなることは注 目に債する.

4.

本研究で,本TDP鋼の伸びフランジ性の改善を 目的 として.Siの化学組成および温間打 抜き ・温間穴広げ加工を実験的に検討 し,得 られた結果を以下にまとめる.

1. TDP鋼の伸びフランジ性の改善に対 し,温間加工 (温間打抜き ・温間穴広げの併用) は非常に効果がある.

2・ TDP鋼の伸びフランジ性 に対 してはγRの体 積率fγの影響は小 さく, その炭素濃度 Cγ。(安定性)が強 く影響す る.

3.フェライ ト・ベイナイ ト複合組織鋼程度まで,超高強度での穴広げ率 (伸びフラ ンジ 性)が改善できる.

4.ポ ンチ打抜 き最適 温度 は加工安定性要因kの150‑200℃に強 く依存 し,Ms点の影響 は見 られない.一方,穴広 げ成形最適温度は50‑200℃で,Ms点の温度 に強 く依存す る.

最後に,本研究 に際 し終 始御指導頂 いた信州大学工学部生産 シス テム工学科の小林 ・ 杉本 研究室の皆様,また,供試鋼を提供 頂いた神 戸製鋼所 (秩)加 古川製鉄所の白沢秀 則氏,平成8年度卒業研究生の小島敦,原 田貴 巳博両君 に深 く感謝致 します.

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(4)K.Sugimotoetal.:Metall.Trams.,23A(1992),3085.

(5)K.Sugimotoetal.:ISIJInt.,35(1995),1407.

¢)三村 和弘 他:cAMP一ISIJ,5(1992),1859.

m 広瀬 洋三 他:塑性 と加工,35(1994),1071.

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(14)長坂 明彦 他:CAMP‑ISIJ,7(1994),166?・

(15)長坂 明彦 他:日本機械学会講演論文集,No.967‑1(1996),107・

(16)K.Sugimotoetal.:ISIJtnt.,32(1992),1331.

図 9 打抜 き破断面の SEM 写真 3. 7 プ レス成形性 TDP 鋼を取 り逝 く外相 l ・ : も強度複 合 組 織鋼 板のプ レス成形 性を図 1Oに示す

参照

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