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及ぼす恒温保持 の影響

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Academic year: 2021

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(1)

及ぼす恒温保持 の影響

森 山 実   小 林 義 一   堀 内 富 雄

1 . 緒 言

筆者 らは,構造用合金鋼の恒温変態曲線が熱処理に よってどのよ うに変化す るかについて 一連の研究を行ってお り,すでに Ni ‑ Cr‑ Mo 鋼について,オーステナイ ト化後,準安定オ ーステナイ ト領域で等温保持す ることに よる恒温変態曲線の変化

(1)

とその詳細 な電子厨敬鏡 組織観察結果( 2 )について報告 した.

恒温変態はオースフ ォームなどの加工熱処理で利用 されているが ,He he ma nn ら

(3)

はオ ーステナイ ト化後,上部ベイナイ ト領域で恒温変態 させて一定量のベイナイ トを析出させ, その後一端焼入性試験を行った場合,焼入性が増大すると報告 している.

今回はオーステナイ ト化按,恒温変態曲線の入江の温度 ( 5 5 0o C) で恒温保持 させてベイ ナイ ト析出を伴わない場合,焼入性が どのように変化す るかについて,一端焼入性試験に よ

り評価 したので,その結果を報告す る.

2 . 試料 と実験方法 2 ‑1 試 料

試料は市販 されている直径 3 5 mm のニッケル ・クロム ・モ リブデソ鋼鋼材 ( SNCM‑ 4 3 9 ) を用い, これを旋削にて J I SGO 5 6 1 で定める焼入性試験片に加工 した.試料 の化学分析値 は ,C:0 . 4 ,Si:0 . 2 6 , Mn:0 . 6 7 ,P: 0 .

0 2 0 ,S:0 . 0 2 1 ,Ni:1 . 7 4 ,Cr:0 . 8 9 ,Mo :0 . 1 7 % ( 重量%)である.

2 ‑2 実験方法

図 1 に示す ように試料を 8 5 0o C で 3 0 分間堂 素 ガス雰囲気中で加熟 してオーステナイ ト化

した後,ただちに 5 5 0o C に保持 して あ る鉛 打 弓

浴に 急冷 して , 1 0 0 秒か ら 2 0 0 0 0 秒 までの 1 0 種塀の各時間恒温保持 した後,一端焼入装置 に取 り付け,約 5o C の水で 2 0 分間冷却 した.

こうして得 られた試料を ロックウェル硬度計

* 機械工学科 助手

* * 機械工学科 教授 料* 横桟工学科 技官

原稿受付 昭和61 年

9

月3

0

(2)

72

長野工業高等専門学校紀要 ・第 1 7 号

(C スケ‑ル,荷重 1 5 0 kg f )で硬 さ測定を行い,一端焼入硬 さ曲線を作成 した.また恒温保 持時間による組織への影響を検討するために,硬 さ測定を行った位置で試料を長手方向 と直 角に切断 し,切断面をエメ リーベ ーパお よび,〜 .7研摩 してか ら 5% ピク1 )ソ酸 アルコール溶 液で腐食 して光学顕故鏡で組織観察を行った.さらに微細組織の変化を検討す るため,一部 の試料について 日本電子製 T‑ 2 0 0 型走査型電子顕 微 鏡に よる組織観察を行った.ここでは 光学顕微鏡組織観察で用いた試料を再度バ フ研摩後,マルテンサイ ト組織が主のものは 5%

硝酸 アルコール溶液で腐食 し,炭化物の析出が見 られ るものについては 1 0 % アセチルアセ ト ソ ・1% テ トラメチルアンモニウムクpライ ド・メチルアル コール混合液を用い ,DCO . 5 V で 3‑7 分間定電位を保つ ように常時撹拝 しなが ら電解エ ッチングを行った. さらにメチル アル コール中で超音波洗浄を行い,電解エ ッチソグに伴 う試料の汚れを十分除去 し供試料 と した.

3. 実験結果お よび考察

図 2 はオーステナイ ト化後 ,5 5 0 o C で種々の時間恒温保持 した後一端焼入性試験を行い, これ より得 られた焼入硬 さ曲線の代表的な 5 種煩についてまとめた ものである.オーステナ イ ト化温度か ら恒温保持することなく直接一端焼入性試験を行 った試料( 恒温保持時間 0秒) は,焼入端か らの距離 ( 以下距離 と略す)が 1 . 5 mm での硬 さは約 HR C5 0( 9 0 % マルテン サイ ト硬さ)であ り,距離の増加 とともにほぼ直線的に緩やかに低下する.そ して距離 6 0 . 0 mm で この試料の 5 0 % マルテンサイ ト硬 さ ( HR C4 0 ) とな り,距離 7 0 . 0 mm では約 HR C3 8 と なっている. 5 5 0o C で 1 0 0 秒恒温保持 した後一端焼入性試験を行った場合,恒温保持 しない 試料に比べ焼入性は大分低下 している. しか し恒温保持時間を 1 0 0 0 0 秒 とした場合, 足 巨離 3 5 . 0 mm までの硬 さは恒温保持 しない場合をやや上回る.恒温保持時間をさらに増 し 1 0 0 0 0 秒 と

した場合は,距離 1 . 5 mm での硬 さが 9 0 % マルテンサイ ト硬 さ ( HRC5 0 ) とな り,この硬 さ が距 匪4 0 . 0 mm まで保たれ恒温保持 しない試料 と比較 して硬 さ, 焼入性 と もに大分向上す る.そ してこの傾向は恒温保持 しない試料の 5 0 % マルテンサイ ト硬 さ ( HR C4 0 ) を示す足 巨離 6 0 . 0 mm までの間継続す る.構造用合金鋼の準安定オーステナイ ト領域における恒温保持は Ms 点を低下 させ,オーステナイ トを安定化 させ る( 4 )が,恒温保持時間 1 0 0 0 0 秒における焼

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焼入端からの距離

(mm)

図 2 5 5 0 o C で 1 0 0 ‑2 0 0 0 0 秒恒温保持した場合の一端焼入硬さ曲線の変化

(3)

人性 の向上 は オ ーステナイ トの安定化 に去⊆づ くもの と恩) ?jtる. 如 恥Hr l H . f r L ‑ JI H ' 1 を な お 増 し 20 0 0 0 秒 とした場 合, 距離 1 . 5 mm での硬 さは位 氾 休描 しな い試1 ' , は ( ' l l J れリ曳 C ・ あ るが,距離 の増加 に伴 う硬 さの減 少傾 向は この場 合 のほ うがやや大であ る.

写真 1 は オ ーステナ イ ト化後 ,5 5 0o C で 0秒 お よび 1 0 0 0 0

.

別 保 化

し た後 ‑ a ( ' E d 焼 入性試 験 を行 った試験片 の種 々の距離 におけ る光学斬徴鋭組織 の変化 てあ る. 忙 弘け 柱脚 H bH I T l0 秒 の 試料 は距離 1 . 5 mm では マル チ ソサ イ ト組織 のみ とな ってい るが, 郎 即 の j M 加 I rl ヒ例 し粒界 に炭化物 の析 出が観 察 され る. これ に対 し 1 0 0 0 0 秒恒恥 休指 した域 合は. J l 三 脚 4 0 . 0mm まで は粒 界 に恒温保持 に よる もの と思われ るわずか な フェ; /イ トのt l Hl I が 山 らjL/ Jものの , 地 は マル チ ソサ イ ト組織 のみであ り, これ らは 図 2 のbl L入

tl 日 脚 の帆 ( ・ Jと ・ 致す る. 郎 離6 0 . 0 mm では恒温保 持 しない助命 とは は い]じ牧 さ ( 約 1 1 1 { C4 0 ) . ̲あ

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, 以 敵 組 如拙 もほ 吋 1 8 機 で あ る.距離 70 .0 mm においてほ さらに. L k化物 が j nL , , ・ たた図 2V) 机 人 T L ' J i さ川胤 の 付 目ご りと 一 致 して 1 0 0 0 0 秒恒温保持 した放 れのほ うか 十 ' j 恥1 1 1 , 川 し

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れ, この こ とが 低い硬 さのT J J 7l A dとな って い ろ と , F L U‑ I )しろ.

写 J l ・ 2 ほ写 英 1 の うらの肺 離 1 . 51 1 1 m,40 . 0mm ,お . 1 : ぴ 70 . O t T 川 1の統制 の ・ ) Ll l r J 恥t ;r ・ 朗

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m 40. 0mm 60 . 0mm 7 0. O m m l . 5mm 40. 0m m 7 0 . 0mm

写真

1 オーステナイ ト化後 ,5 5 0o C で 0秒

および 1 0 0 0 0 秒恒温保持 した 場合の焼 入端か らの距離に伴 う光学顕微鏡組織 の変化 ( 線の長さ : l o l l )

写真

2 焼入端か らの距離 1 . 5 , 4 0 . 0 および 7 0 . 0 mm で の恒温保持 時間 0秒 と 1 0 0 0 0 秒の 走査型電子斬徴鏡組織の 変化

徴鏡 に よる微細組織 の変化 を比較 した ものであ る.恒温保 持 時間が 0秒 の坂合 は距離 に比例 して粒 界 におけ る粒状 の炭 化物 の析 出丑 が増加 してい る. これ に対 し 1 0 0 0 0 秒恒温保持 した 場合 は,距 離 40 .0 mm までは粒界 にわずかに析 出 した フェライ ト ( 電解 エ ッチ ソグに よ り 溶 解 された穴) とマル テ ソサ イ ト組織か ら成 り立 ってい る. また距離 70 .0 mm で は 恒温保 持 しない場 合 と同様 の炭 化物 の析 出が観察 され るが, その炭 化物 の大 きさは この場合 のほ う が 小 さい.

写其 3は オ ーステナイ ト化後 ,5 5 0o C で 0秒 か ら 20 0 0 0 秒 まで種 々の時間恒温保挿 後一端

焼 入性試験 を行 った試験片 の距離 1 . 5 mm と 40 . 0 mm の切断面 で の光学顕微鏡組織 の変化

であ る.距離 1 . 5 mm におけ る恒温保持 時間 0秒 お よび 1 0 0 秒 の場合 は マル チ ソサ イ ト組織

(4)

7 4 長野工業高等専門学校紀要 ・第

17号

のみであるが ,1 0 0 0 秒以上の恒温保持 した場合は,粒界にフェライ トの析 出が見 られ,その 丑は恒温保持時間に比例 して脚加 している. これに対 し距離 40 . 0mm では,恒温保持 時 間 が 0秒か ら 1 0 0 秒に増加す ると庚化物の析 山並 も脚すが, さらに恒温保持時間を長 くす ると 炭化物の析 出は減少 し ,1 0 0 0 0 秒位阻保持 した ときはマルテンサイ トと粒界にわずか析 山 し た フェライ トのみである. ところが 2 0 0 0 0 秒恒温保持 した場介では炭化物 の析出が観察 され

る.そ して これ らの候 向は 脚 2 に′ 六す班人耽 さ曲線に よく一致 している.

図 3 は図 2 の焼入硬 さ曲線におけ る 5 0 0 i‑ 1ル アソサ イ ト柾 さ ( I I R C4 0 ) の距離 より求めた 理想臨界直径である.F R池胤

井目

′ l : 飢 えf l ' r : i i ‑ 火焔入れ ( f l T 恥 I r l H 柳川 】 0秒) した域介 と比佼 し, 5 5 0o C での恒弧陳は r L I J ・ J H , ) が払い糊介にI l . ト ・ J L旺 卜 ㌻るか , 小 払I M 寸 時 F ' ' . J が I T <くなるにつれ回 復す る傾向 とな り , 1 0 0 0 0 秒t l l I . 払l f kT J J した似 か こはk

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‑ ' 】L 'にIEる. しか しこれ以 ヒ恒温保 持す ると再び低 ドす る. この よ うに 5 0 %‑ /ル

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ソサ ヤト砿 さに1 ) , Eづ く J T l L u l . 鮎 剃 ′ i 経は , FT .

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マルチソサ イ ト艇さ く l l RC5 0 ) は 1 0 0 0 0 秒恒温保持 した均介 のは T )那,は るかにす ぐれていることが図 2 か ら認め られ る・

Hehemann ら( 8 )に よると,構R

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介金銅をオーステナイ ト化 し, これを上部ベイナイ ト

E ; 蓋≡ ≡ ‡ 三 三

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Osec l OOsec l OOOsecl OOOOs ec2 0000s ec

写真

3 焼入朔 紬、 らの距離 1 . 5 mm と 4 0 . 0 mm における 5 5 0o C 恒温保持 時間に伴 う光学軒徴銃組織の変化 ( 線の良さ : 1 0 F L )

1 0

2 103 104

恒 温 保 持 時 間 ( 秒)

図 3 5 5 0o C 恒温保持時間に伴 う理想臨界直径の変化

(5)

領域で恒温保持 した彼,一端焼入性試験を行った場合は,安定オーステナイ ト領域か ら直接 これを行った場合 と比較 して,焼入端の硬 さはわずか低下す るが試験片全体にわたって硬 さ がはぼ一定であ り,焼入性がかな り改善 される.

これに対 し今回の実験では これ よりも高温の恒温変態 曲線の入江の温度 ( 550o C) で恒温 保持 した後,一端焼入性試験を行 った ものであ り,写真 1, 2, 3 に示す ように恒温保持に 伴 うベイナイ ト組織は観察されず, 1 000 0 秒恒温保持 した場合に見 られる焼入性の向上は, ベイナイ ト組織の析出を伴なわないので,Hehemann らの報告 とは別の機構に基づ く結果

と考えられ るが,詳細については今後に委ねる.

以上のような準安定オーステナイ ト領域に布ける恒温保持に よる焼入性 の向上は, これの みでは実際の熱処理において有効な方法 とな りに くいが,準安定オ‑ステナイ ト領域では塑 性加工により恒温変態が促進 し,恒温変態曲線が短時間側へ移行す る( 5 )ことを考慮す るな ら ば,オースフォームな どの後処理 としてこの方法を用いることにより,さらに強敬化がはか れる可能性がある.

4 . 総 括

構造用合金鋼 ( SNCM‑43 9)を850o Cで30 分間加熟 してオーステナイ ト化 した彼,550o C の鉛浴中に種々の時間恒温保持 し,一端焼入性試験を行い硬 さ測定,光学顕微鏡お よび走査 型電子顕微鏡組織観察を行った.その結果,

恒温保持 しないで直接一端焼入性試験を行った場合に対 し ,550o Cで 1 00 00 秒恒温保持 し た場合は,50%マルテンサイ ト梗 さに よる理想臨界直径はほぼ同じであるものの,焼入端か らの距離 40 .0mm までが90%マルテンサイ ト硬 さ ( HRC50 )とな り,焼入性が向上す ること がわかった.

謝 ‑ 辞

本研究を進めるにあた り,終始強力な御指導 と御助言をいただ きました元長野工業高等専 門学校教授片山修一先生に深 く感謝申し上げます. また実験に協力 していただいた本校卒業 坐 ( 1 5 期)山本浩太朗,木賀敏雄の両君に感謝の意を表 します.

参 考 文 献

( 1 )森山 実,小林義一,片山修一 :長野工業高等専門学校紀要,第1 4 号 ( 1 9 8 3 ),p. 31 . ( 2 )森山 実,小林義一,片山修一 :長野工業高等専門学校紀要,第1 5 号 ( 1 9 8 4 ),p.1 3 . ( 3 ) R. F.He he ma nna ndA. R.Tr o i a no:AI ME ∫ . ofMETALS , ( 1 9 5 4 ) ,p.1 2 7 2 .

( 4 ) 小林義一,片山修一 :長野工業高等専門学校紀要,第9 号 ( 1 9 7 8 ),p. 2 9 .

( 5 )小林義一,片山修一 :長野工業高等専門学校紀要,第 9 号 ( 1 9 7 8 ) ,p. 1 7 .

図 3 5 5 0o C 恒温保持時間に伴 う理想臨界直径の変化

参照

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