Title
継続的な運動および種々の生薬が生体に及ぼす影響 (I) エ
ゾウコギ投与がマウス骨格筋酸化系酵素活性およびスーパ
ーオキシドジスムターゼ活性と組織中の過酸化脂質に及ぼ
す影響 (II) マウス発育期の運動および黄耆 (Astragalus
membranaceus) の免疫機能に及ぼす影響( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
杉浦, 春雄
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第856号
Issue Date
1993-05-19
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15415
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 杉
浦
春雄(愛知県)
博
士(医学) 乙第 856 号 平成 5年
5月19
日学位規則第4条第2項該当
継続的な運動および種々の生薬が生体に及ぼす影響 (りエゾウコギ投与かマウス骨格筋酸化系酵素活性およぴスーパーオキシドジスム ターゼ活性と組織中の過酸化脂質lこ及ぼす影響 (lりマウス発育期の運動および黄著(A5打8g8山きmOm占用n8CeUざ)の免疫機能に 及ぼす影響 審 査 委 員 (主査)教授 (副査)教授 教授 鶴 見介
登敏博
弘義 田桐岩片
論 文内
容 の 要旨
疾病に対する抵抗性を増進し,健康な生活を維持するための方策を検討することは高齢化が急速に進行してい るわが国においてはきわめて重要な課題である。近屯健康維持および生体防御機能の向上を期待して継続的な 運動の実施,さらに種々の生薬を含有する機能性食品の積極的な摂取が行われている。しかし,これら生薬の効 果は長い歴史による経験的な知識に依存している部分が多く,薬理学的な作用機序が明らかにされているものは 少ない0そこで本研究では継続的な運動の実施および生薬の摂取が生体に如何なる影響を及ぼすかについて検討 した0まず,抗疲労および抗ストレス作用を有するといわれているエゾウコギが,骨格筋酸化系酵素活性および 生体の過酸化脂質(LPO)さらに抗酸化酵素の一つであるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性に及ぼ す影響について,マウスを用いて検討した。二つめには,生体防御作用の中で特に免疫機能に焦点をあて,継続 的な運動の実施および強壮作用を有するといわれている貴書投与,さらにこの両者の併用が免疫機能に及ぼす影 響について,マウスを用いて検討した。 材料と方法 実験Ⅰはソ連産のエゾウコギ(Ac∽亡ん叩αⅦエぶ飢亡わ0ぶ揖H▲RMS)の70%メタノールエキス(MeOH)を実 験材料に用い,種々の溶媒系による分配操作により水可溶部(Water分画),n-ブタノール可溶部(n-B。OH分 画)および酢酸エチル可溶部(EtOAc分画)を得て,生理的食塩水に懸親し,実験に供した。動物は10週齢のIC R系,雄マウス(39∼40g)を使用し,MeOHエキス投与群(MeOH群),Water分画投与群(Water群),n-B。OH 分画投与群(BuOH群),EtOAc分画投与群(EtOAc群),強制走運動群(E群)および非処置群(対照群)の 6群に区分した。MeOHエキスおよびその分画エキス投与はそれぞれ170mg/kgを1日1回,週6日,6週間 にわたり17過齢時まで経口投与した。対照群はマウスの体重10g当たり0.1mlの生理的食塩水を経口投与した。 運動群の運動負荷は小動物用トレッドミルを用いて,毎分15mの速度で1日1時間の強制走運動を週6日,6週 間にわたって実施した。実験期間終了乱骨格筋(排腹筋)甲コハク酸脱水素酵素(SDH)活性とリンゴ酸脱 水素酵素(MDH)活性排腹筋と肝臓のスーパーオキンドジスムターゼ(SOD)活性および肝臓の過酸化脂質 (LPO)量を測定し,エゾウコギおよび運動の影響について検討を行った。 実験Ⅱは中国産の貴書(A5亡喝αJ揖membmⅦCe揖Bunge)の70%メタノールエキス(As)を実験材料に用 いたoAsは精製水で懸濁し,経口投与した。動物は3週齢のICR系,雄マウス(10∼12g)を使用し,強制走運 動群(E群),非強制走運動+貴書投与群(As群),耐性運動+貴書投与群(E+As群)および非処置群(対 照群)の4群に区分した。強制走運動は小動物用トレッドミルを用いて,毎分15mの速度で1日1時間,週5日, 12週間にわたって実施した。黄書の投与は,Asの200mg/kgを1日l回,週5日,実験期間を通じ経口投与し た○対照群はマウスの体重10g当たり0.1mlの精製水を経口投与した。実験期間終了乱マウスのカーボンクリア ランス能および肝臓,脾臓に取り込まれたカーボン童,腹腔マクロファージ(M¢)のスーパーオキシドアニオ 47ン(02-)の産生能,aCid phosphaLtaSe(APH)活性,インターロイキン1(IL-1)の産生能およびConcanavalin A(Con A)に対する脾細胞増殖反応を測定し,運動および貴書の影響について検討を行った。さらに,この両 者の併用による影響についても検討した。 研究結果 実験Ⅰ (1)MeOH群,Water群,BuOH群,EtOAc群およびE群のSDH活性は,対照群より高い傾向を示した。特にE群 は,対照群より有意に高い値を示した(p<0.05)。(2)Water群(p<0.05),BuOH群(p<0.05)およびE群 (p<0.005)のMDH活性は,対照群より有意に高い値を示した。(3)MeOH群(p<0.05),Water群(p<0.05), BuOH群(p<0.05)およびE群(p<0.005)の筋SOD活性は,対照群より有意に高い値を示した。(4)肝SOD活 性はすべての群で対照群とに有意差は認められなかった。(5)BuOH群およびEtOAc群の肝LPO量は,対照群よ り有意に低い値を示した(p<0.01)。E群の肝LPO圭も,対照群より低い傾向にあったが,有意差はみられなかっ た。 実験Ⅱ (1)E群,As群およびE+As群の血中カーボン半減期は,対照群より有意に短縮し(p<0.01),網内系の貪食機 能の冗進がみられた。E群とAs群の訂正会食指数は,対照群より高い傾向を示した。E十As群の訂正貪食指数は, 対照群より有意に高い値を示し(p<0.01),運動と貴書との相乗効果がみられた。この場合のE群,As群および E+As群の肝臓に取り込まれたカーボン量は,対照群より高値傾向にあった。(2)As群とE+As群の腹腔M¢の 02一産生能は,対照群より有意に高い値を示した(p<0.Ol)。E群,As群およびE+As群の腹腔M¢のAPH活性 は,対照群より有意に高い値を示した(p<0.01)。しかし,運動と貴書との相乗効果はみられなかった。(3)腹腔 M¢のIL-1産生能は,4群間で著明な差異は認められなかった。(4)E群,As群およびE+As群のConAに対する 脾細胞の増殖反応性は一対照群より2∼3倍高い値を示した(p<0.01)。また,運動と貴書との相乗効果もみら れた。 結 語 実験Ⅰにおいて継続的な運動およびエゾウコギMeOHエキスは,マウスの骨格筋酸化系酵素活性を高め,生体 内有気的代謝機能を向上させることが示唆された。MeOHエキスのうちWater分画およびn-BuOH分画が,MDH 活性に影響することが明らかに:なった。さらに,エゾウコギMeOHエキスは組織中の抗酸化酵素の一つであるSOD 活性を高め,過酸化脂質生成に対して抑制的に働き,生体防御機能を向上させることが示唆された。MeOHエキ スのうちWater分画およびn-BuOH分画が筋SOD活性上昇作用を示し,n-BuOH分画およびEtOAc分画が肝LPO 量の減少作用を示すことが明らかとなった。実験Ⅱにおいて長期継続運動および貴書はM¢の異物処理機能や Con Aで刺激した脾細胞の増殖能といった免疫機能を増強し,生体防御機能の促進に有用であることが示唆され た。さらに,運動と貴書は,マウスの免疫機能を相乗的に増強するものと思われた。