• 検索結果がありません。

21 世紀における企業広報の研究領域 (2)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "21 世紀における企業広報の研究領域 (2)"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

神奈 川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第15 20113月 1

} 研究論文

21 世紀 における企業広報の研究領域 (2)

‑理論篇 ‑

ThcResearchAreasoftheCorporatePublicRe】ationsin the21stCentury(2)

‑TheoreticalStudies‑

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士後期課程

宣 京 哲

Xuan Jingzhe }キー ワー ド

企業広報、説得型広報、マネジメン ト型広報、双方向 ・対称型広報 、期待応答型広報

1 は じめに

本研究 の第 1部では、企業広報 の発端 と定義、

お よび技術 的な側面 と特質的な側面 の両視点か ら み られ る企業広報 の議論 につ いて考察 した1。本 稿 は、第 1部 の統篇 として第2部 にあた り、第1 部 の基礎研究 を踏 まえた うえで、図表 1に示され

る理論、すなわち、企業経営の観点か ら広報 の理 論的展開を考察 し、新 たな方向性 を目指すべ く21 世紀 における企業広報 の考 え方を提案す る。なお、

これ まで、広報 の理論的研究が最 も盛 んで、今 日

も依然 そ うで ある ところのアメ リカを対象 に、広 報理論 に関す る研究、 とりわけ企業経営 の観点か らその理論 的展開 を追 い、企業経営 の健全 な発展 への貢献 を試 み ることにす るC

ところで、第 1部ですでに言及 した よ うに、広 報問題 は多種 多様 であ り、論者 によ りさまざ まな 議論がな されて いるO そのため、一言で広報 の理 論 を考察す る といえ ども、かな り困難であ り、多 大な精力 と時間がかか ることと予想 され る。 それ は、 日本国内において広報理論が研究 されて いる 文献が まだ1つ も見当た らず、広報理論 に触れた 図表1 本研究の流れ

(2)

2 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第15

2 0

】13

として も一部 しか紹介 されていないことである。

さらに、広報先進国 と呼ばれ るアメ リカで さえ、

近年、広報理論 を紹介 してい る文献が多数発表 さ れてはいるが、その多 くは、1人が 】章 を分担 し 編集 されてお り、理論 の枠組が厳密化 された とは 思えない。本稿 は、筆者 1人の力で取 り組んで き たため、当然、広報理論 の紹介か ら分析 まで、漏 れている部分がた くさんあることは言 うまで もな い。 この点 に関 しては、読者 の許 しを請 いたい と ともに、今後 も、継続 して研究 を深 めてい くこと にす る。

2

説得型広報の理論的展開

今 日、 さまざまな組織体 において広範 に使 われ ている広報 の考 え方 は、民主主義 と自由経済 を旗 印に繁栄 を先導 して きたアメ リカで誕生 し発展 し てきた といわれ る。 そ して、パ ブ リック ・リレー シ ョンズ とい う言葉 を初 めて用 いたのは、アメ リ カ独立宣言の起草者 で第3代大統領で もある トー マス ・ジェファー ソン(ThomasJefferson)だ とい われ る。その一方、 アメ リカの多 くの広報専門書 で紹介 されてい るように、広報が誕生 した背景 に は、18世紀 にアメ リカで起 きた独立宣言や憲法批 准な どといった政治を舞 台 とす る歴史的出来事が あ り、愛国運動 の展開や国民支持の獲得 を狙 って 広報活動が行 われ た とされ る2。

つ まり、広報活動 は、18世紀後半 におけるアメ リカ独立革命 が発端 とな り、独立論者や憲法提唱 者な どの政治運動 が契機 となって誕生 した とみ る ことがで きる。 また、組織体 あるいは個人の利益 よりも、社会問題 を解決す るところに重点が置か れ、 こうした社会的背景が、19世紀 におけるマス メ デ ィ ア を 介 し た 「公 共 情 報 運 動 (PubllC Communicatio上1ノ Ⅰnformation Campaigns)」 の風潮 をつ くった といわれ る3。

Paisley (1981)にお いて定 義 され る公共情報 運 動 とは、 「特定 の組織体 が メデ ィアを通 じて大衆 に情報 を届 けて、受信者 で ある個 人またはグルー プの信仰や行動 に影響 を及 ぼす ことである」 とさ

れ る40 この ことか ら、 公共情報運動 は、大衆 を 説得 す ることを目的 とし、説得 の方法 としてマス メデ ィアを利用す ることになった といえ、説得型 広報 の理論的展開が形成 され る背景の 1つであっ た とみ ることがで きる。

2.l McGuireの 「説得型マ トリックス」

McGujre(1981)の 「説

型マ トリックス(PersLlaS】On Matrix)」 は、 Ⅰ940年代か らイェ‑ル大学の研究者 を中心 に、如何 に相 手 を説得 できるかを目的に研 究 され て きた 「情 報 処 理 モ デ ル(Informat10n‑

plOCeSSlngmodel)」に基づいて構築 されている5。

説得型マ トリックスは、図表2に示 され るよう に、① 5項 目の独立変数 、す なわち、発信者 が 操作可能 なイ ンプ ッ ト部分 を横軸 に列挙 し、(a 12項 目の従属変数、すなわち、説得 プロセスを経 て表 れ る結果 の部分 を縦軸 に列挙 し、横軸 の5項 目と縦軸 の12項 目が相乗す ることによって形成 さ れ る60個の空 白部分 よ り構成 されてい る。

5項 目の独立変数は、それぞれ情報源泉(Source)、 メ ッセー ジ(Message)、 チャンネル(Channel)、受 信 者(Receiver)、 目的(Destination)で あ り、 いず れ も発信者が コン トロール可能 な要素であるとさ れ る。

第 ]項 目の情報源泉 は、信慣性が高ければ高い ほ ど、説得 力 も高 い とされ る。 そ して、信頼性の 高い情報源泉 の代弁者 として、過去 には医者や高 級将校、裁判官 な どが挙 げ られた ものの、今 日で は、有名な俳優 や歌手な どの人気度 が高 まってい るとされ る。 また、メ ッセージによって、一般人 を代弁者 にす ることも適切 で あ り、いずれ も情報 源泉の人種,年齢、個性、信頼性 な ど、 さまざま な複雑 な要素を考慮す る必要が ある とされ るG。

第2項 目のメ ッセージは、 その内容や種類、 ア ピール方法や発信 の重複性 な どが説得 力の大小 に 影響 を与 えるとされ る。一般 的には、簡単でわか りやすいメ ッセージを比較 的に速 く、重 ねて発信 したほ うが説得力 も高 く、メ ッセージの複雑性 は 説得力 を低下 させ、 もっ ともメ ッセー ジの内容 と 情報源泉 との整合性が重要で ある とされ る7。

(3)

21世紀における企業広報の研究領域(2) 3

図表2 McGuireの 「説得型マ トリックス」

虫立変数

従属変数 1.情報源泉 2.メッセー 3.チ ャンネル 4.受信者 l 5.日的 1.発覚

2.注 目 3.興味 4∴理解 5.

6.服従 7.同意 8.検索 9.意思決定 10.行動 ll.強化 12.整理

(出所)McGujre(198日p.45を基に、筆者作成。

第3項 目のチャンネルは、受信者 に与 える影響 力の大小 はメデ ィアの種頬 よ りも、発信者 の信頼 性や、受信者 のメ ッセージに対す る興味深 さな ど のほ うによ り関係す るとされる。 その一方、文字、

画像、苦 な どを用 いた一般 のメデ ィアのほかに、

非言語 的 なチ ャ ンネル(NonverbalChannels)な ども、時 には有効 なチャンネル として利用可能で あ り、 あ らゆ るチャンネルを無視 す ることはでき ない とされ る8C

第4項 目の受信者 は、公共債報運動 の場合 に、

受信者 を一般大衆 として捉 えるケースが多 いが、

説得力 を高 めるためには、一般大衆 よ りも個々人 あるいは特定のグルー プを対象 に したほ うが よ り 効果的だ とされ る。つま り、受信者 の年齢、学歴、

性別、人種、個性、生活様式、心理 的な要素な ど のさまざまな統計資料 を考慮 に入れ る必要 がある

とされ る9。

第5項 目の 目的は、む しろ短期 よ りも長期的な 目標 を設定 したほ うが、 よ り良い効果が表れ ると され る。また、受信者の態度 を変 えるのではな く、

単 に知 って もらうことを目的 とす る場合 もあるた め、 目的の違いによって、説得 の方法 も異なって

くる とされ るn。

12項 目の従属変数は、それぞれ、発覚(exposule)、

注 目(attention)、興味(interest)、理解(Comprehen‑

sion)、学 習(learning)、譲歩(yield)、 同意(agree‑

ment)、検 索(search)、意思決定(decislOn)、行動 (behaviolう、 強化(reinforcement)、整理(consoll‑ dation)である

従属変数 は、受信者 の態度 を表 してお り、発信 者がコン トロール可能な独立変数の強化 によって、

その態度 も変化 し、だいたい前の段 階か ら後 の段 階へ と移行 す ることにな る とされ るO た とえば、

第10項 目の行動 は、発信者が受信者 に対 して最 も 望 んでいる結果 で はあるが、 その前 に発生 す る9 つの段階を経過 してか ら表れ る結果 であ り、 1つ ひ とつの従属変数の充実 を図 る活動が大事で ある

とされ る日。

説得型マ トリックスを企業経営 の観点か ら分析 す る と、 5項 目の独立変数 は、それぞれ、企業側 の代弁者、企業情報、メデ ィア、利害関係者、経 営 目標 とな り、企業が利害関係者 を説得す る うえ で、 コン トロール可能 な説得要素である ともいえ る。 そ して、5項 目の独立変数 に対応 す る利害関 係者のさまざまな態度 の変化が12項 目の従属変数 であ り、利害関係者 を説得 す る点か らみれば、企 業 のコ ミュニケー シ ョン戦略の一種 として捉 える

ことも可能 である

(4)

4 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第 ]5 20日年 3月

図表3 情勢理論 の3つの変数、4つのパブ リック、8つの組み合 わせ 関わ り程度 高 い 関わ り程度 低 い 問題 の

抑制 の 忍忍哉 高裁 低 行動型パ ブ リック 意識型&行動型パ ブ リック 問題 の

抑制 の 忠忍哉 高裁 高 意識型&行動型パ ブ リック 潜在型&意識型パ ブ リック 問題 の 忠忍鼓 低 行動型パ ブ リック 存在 しない&潜在型パ ブ リック 抑制の 哉 低 (情報吸収 によって問題意識が高 まる)

(出所)McGuire,(1981)p.45を基に、筆者作成O しか しなが ら、Bandura(1977)の 「社会 的学習

論(SociaトLe arnjngTheory)」 で は、 1個人 の 態度 は、その人の考 え方や他人か らの期待 といっ た心理的な要素 にも影響 されやす く、教育や激励 な どがその人の態度 を変 えるうえで重要 な役割 を 果たす と主張 されている2。また、Rokeach(1979) の 「価値変更(ValtleCllange」理論で も、 1個人 の価値観が変われば、 その人の行動 も変わって く る とされLj、 さ らに、VanLe uven(1989)の 「社会 学 習 モデル(S()cialLearnmgModel)」 で は、 メ デ ィアを用 いた宣伝活動 のほか にも、人間同士 の 支 えな どが 1個人 の行動 を変 えるうえで重要 な役 割 を果 たす と主張 されて いる14。 この こ とか ら、

説得型マ トリックスには、受信者 に対す る教育や 激励 といった社会的な学習要素が欠 けてお り、企 業経営の観点か らみれ ば、企業広報 の対象 とな る パ ブ リックの研究が課題 の 1つ として残 された と 考 え られ る。

2.2 Grunig a Huntの 「情勢理論」

Grunig 良 Hunt(1984)は、 1970年代 か らパ ブ リックの研究の重要性 を認識 し、社会学者ハーバー ド・ブルーマー(HerbertBlumer)や哲学者 ジ ョイ ン ・デ ューイ(Jolln Dewey)な どの先行研究 を基 に、 「情勢理論(situa【10naltheory)」 を確 立 した のである

具体的には、 1) ブルーマー とデューイのパ ブ リックに関す る考 え方、つ ま り、パブ リック とい うのは、 「あ る問題 ・議題 によって結合 され、 そ

の問題 を解決す るために一定 の意欲 を持 って行動 す る集合体であ りパ ブ リックは、単 なる組織 も 規律 もない群衆ではな く、 また、問題 や議題 の違 いによってパ ブ リックも異な り、 同 じ問題 や議題 を抱 えるとして も個 々の考 え方 は異なって くる5

こ とと、 2)デ ューイの考 え方、 つ ま り、 「1個 人 は、 ある事情 あるいは情勢 に対 して、何 の理 由 もな く思考 あるいは討論す ることは しない。 しか し、 その事情 あるいは情勢が 自分 に とって問題 と なれば、態度 は違 って くる16」 ことか ら、{3)問題 認識(Problem Recogmtion)、② 抑制 認識tCon slrainlRecognili()∩)、 ③ 関 わ り程 度(LeveloF TnvoJvernent)の3つの変数 を考 えたのである。

まず、問題認識 は、 自分 の利害 に関わ る問題 に 対す る認識度 を指 し、 自分の利害 に直接 的に関わ る問題であれば認識度 は高 く、 そ うでなければ認 識度 は低 い とされ る。つ ぎに、抑制認識 は、問題 を発見 あるいは解決す るにあたっての阻害度 を指 し、 ある問題 を解決 しよ うとして も、邪魔 あるい は進行 を妨 げるものが あれば、や る気 を失 うとさ れ る。加 えて、関わ り程度 は、問題 に対す る関心 の高 さを指 し、その問題 が 自分 の利害 に直接 に影 響 を及 ぼすので あれば、積極 的に関わ り、 そ うで なければ、無関心の立場 を選択 す るとされ る17。

Grunig 良 Huntの 「情勢理論」 は、 図表3に 示 され るように、 3つの変数 の相乗 によって、4 つのパ ブ リック、 そ して、 8つの組み合わせ を形 成 している。

4つのパ ブ リックそれぞれ は、行動型パ ブ リッ

(5)

21世寮己における企業広報の研究領域(2) 5

ク(active)、意識型パ ブ リック(aware)、潜在型パ ブ リック(latent)、存在 しないパ ブ リック(None) を指す。 このなかで、行動型パ ブ リックは、問題 の認識が高 く、抑制の認識が低 い うえで、関わ り 程度 も高 いため、 自発的に情報 を収集 し、積極 的

に問題解決に取 り組むような最 も理想的なパブリッ クで ある とされ るOその一一万、問題意識が あま り にも高 いため、組織 体に とっては最 も説得 しに く いパ ブ リックである。そして、意識型や潜在型 も、

組織体 に とっては無視で きない存在である。 なぜ な らば、情報 を吸収す ることによって、意識型や 潜在型か ら行動型 へ と移行す る可能性 もあ り、特 に、意識型の場合は、メデ ィアの影響 を最 も受 け やすいタイプで あるとされ る。 なお、存在 しない パ ブ リックは、問題意識 も低 く、運命 に依拠 し、

す ぐあきらめるタイプで あるため、組織体 に とっ ては必要 のないパ ブ リックであるとされ る1与。

情勢理論 を企業経営の観点か ら分析す ると、企 業が広報活動 を行 ううえで、パ ブ リックを分類す る必要性 を強調 した点 は評価で きるO しか しなが ら、 パ ブ リックを4種類 に分 け られ る としても、

おおぜいの大衆 のなかか らそれを如何 に区分で き るか、 とい う疑問が残 されてい る。その一方、企 業 の社会的責任 をめ ぐる研究が活発化す るなか、

企業 を取 り巻 くさまざまな利害関係者 に関す る研 究が議論の[巨L、とな り、経営学 の基礎理論 として 位置 づ け られ て い る。 この よ うな展 開 のなか、

Fl‑eeman (1984)の利害関係者 論 が強 い影 響 力 を 持 ち、今 日もなお、 さまざまな研究分野で用 い ら れている19o

Freeman (1984)に よって定 義 されてい る利害 関係者 とは、 「ある組織体 の 目標 や政策、決断や 行 動 な どに一定 の影響 を与 え る特定 の グル ー プ (Any group)また は1個人(Individual)を指 し、 そ の支持がな くては、組織体 は存続 できな くな る

と指摘 されてい る20。Freeman (1984)の定義 は、

ブルーマー とデ ューイのパ ブ リックに関す る考 え 方 と共通す る部分が非常 に多 く、企業 における広 報活動 も、一般大衆 ではな く、企業 を取 り巻 くさ

まざまな利害関係者、具体的 にいえば、個々の利

害関係者 を、特性 を持 った広報対象 として捉 える こ とが妥 当で あると考 える21.

2.3 McLeod&Chaffeeの 「共同志向測定 モデ ル 」

企業広報 の対象 とな るパ ブ リックの概念が明確 化 され る とともに、企業 と企業 を取 り巻 くさまざ まな利害関係者 との関係性 について も明 らかにす る必要が あ る。Newcomb(1953)の 「A‑B‑Ⅹモ デ」では、異な る組織体 あるいは個人 の間の関 係性 について研 究 されてい る。 た とえば、AとB は、異な る組織体 あ るいは個人の ことを指 し、X は、 ある物事 に対 す る考 え方 を指す とす る。 そ う な る と、Aが別こ対 して親近感 を持 ち、 さらに、ち がXに対 して一定の認識 を持つ場合、AもXに対 し てBと同様 な認識 を持 つ ようにな る とい うことで ある。 逆 にBの場合 も同 じ現象が起 き、 ここで重 要 なのは、AとBの間の意思疎通(Communication) であるとされ る22。

McLeod& Cha汗ee(1973)は、A‑B‑Xモデ ル に基 づ い て 、 「共 同 志 向 測 定 モ デ ル (The Coorjerltation MeasurementModel)」 を確立 し たので あ る。 図表 4に示 され るよ うに、AとBと の間で は、主 に、① 適合 ・調和(Congruency)、

② 理 解(Urlderslanding)/同意(Agreement)、③ 合致度(Accuracy)の3つの関係 が存在 す る とさ れ る。

まず、(∋ 適合 ・調和 に関 しては、Xに対す るA の見 方 と(図表4、左上 の方形 の枠)、Bの見方 に 対 す るAの判 断(図表4、左下 の方形 の枠)が近 け れば、AとBの関係 は、適合 ・調和状態 にある と いえる。 つ ま り、Aは、 自分 自身 のXに対 す る考 え方や見方 以外 に、BのXに対 す る考 え方 や見方 について も一定 の推測や判断を行 い、 自分 の見方 と、 自分が判断 したBのXに対 す る見方が近 けれ ば近 いほ ど、両者 の関係 は、適合 ・調和度 が高 い ことにな るE3。

つ ぎに、② 理解/ 同意 に関 して は、Xに対 す るAの見方 と(図表 4、 左上 の方形 の枠)、Xに対 す るBの見 方(図表4、 右上 の方形 の枠 )が近 けれ

(6)

6 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第15号 20日年3

図表4 McLeod a Chaffeeの 「共同志向測定モデル

(出所)McLeod良 CllaFFee(1973)p484を基に、筆者作成。

ば、AとBの関係 は、相互理解/ 同意 の状態 にあ る。 つ ま り、 AとBそれぞれのXに対 す る考 え方 は異な り、必ず一致す るとはいえない。 そ こで、

両者 のXに対 す る考 え方や見方が近 ければ近 いほ ど、両者 の問では理解や同意 といった高 い共通の 観念が生 まれ ることにな る24。

そ して、③ 合致度 に関 しては、Xに対す るAの 見方(図表4、左 上 の方形 の枠)と、Aの見方 に対 す るBの判断(図表4、右下 の方形 の枠)が近 けれ ば、AとBの関係 は、合致度 が高 い。 つ ま り、B は、Aの本 当の考 え方や見方 を知 り、理解 した う えで、それが正 しい と判断す る、 あるいは自分 の 考 え方や見方 と近 い ことを判断 したため、両者の 関係 は、合致度が高い といえる25。

共 同志向測定 モデル は、両者の間の関係性 を測 定(Measurement)す るものであって、両者間の望 ま しい関係性 について研究 されていない。つ ま り、

両者 のある物事 に対す る見方や態度 に基づいて、

相互 の理解度や、意思疎通 を行 う前後 の態度上の 差異を測 るもので あった。 しか しなが ら、一方的 に相手 を説得す る、 あるいは相 手の同意 を得 るよ りも、互 いに理解 を深 め、互 いに相手の考 え方や 見方を尊敬 す るこ とが望 ま しい関係であると考 え られ る。つま り、人間 それぞれが育 ってきた生活 環境や社会的背景、経歴 な どが異なるため、両者 の認識 は必ず一致す るとは思えない。 したがって、

相手の同意 を得 る、 あるいは相手の考 え方 と自分

の考 え方 を一致 させ るよ りも、合致度 を高 めるこ とが相互理解 の深 ま りへつなが り、互 いの 目標 も 実現可能 になる と考 え られ るC

3

マ ネ ジ メ ン ト型 広 報 の理 論 的 展 開 3.1 企業広報の定義 をめ ぐる理論的展開

企業広報 をめ ぐるこうした問題状況 のなかで、

企業広報 の定義 も、図表5に示 され るように、(》

「広 報 の父 」 と呼 ばれ るアイ ビー ・リー(Ivy Lee、1877‑1934)に代表 され る 「情報発信型広報」

か ら、Ie.もう1人の 「広報 の父」 と呼 ばれ るエ ド ワー ド ・バ ー ネイ ズ(Edward BemayS、 1891‑

1995)に代表 され る 「説得型広報 」 へ、 そ して、

③ Harlow(1976)に代表 され る 「マネジメン ト型 広報」へ と展開 して きた とみ ることがで きる。

まず、 リーの場合 は、1906年 に起 こった炭鉱 ス トライキをめ ぐる広報活動 に関わ り、炭鉱会社 の 代 弁 者 で あ りなが ら、 「原則 の宣言(DeclaratlOn ofPriIICiples)26」 を発表 し、 そのなかで、広報 の 真実性 を主張 したCつ ま り、広報 は、パ ブ リック に対 して事実 をその まま伝 え、誠実、理解、妥協 が重要で あるとの主張である27。 この定義か らは、

組織体がパ ブ リックに向けて一方的に情報 を発信 す る ところに重点が置 かれた とみ られ る。

つ ぎに、バーネイズの場合 は、広報 は、①パ ブ リックに向けで情報 を公開す る、e)パ ブ リックを

(7)

2】世紀における企業広報の研究領域(2) 7

図表5 広報定義の変遷 情報発信型広報

(Ivy Lee)

説得型広帝 (Edward Bernays)

(出所)筆者作成

説得 ・指導 し、パ ブ リックの態度や行動を変える、

③パ ブ リックの態度や行動が組織体 と共感 を持つ ように働 きか け、 これ によってパ ブ リックの支持 を得 る、 とい う3つ の意 味 を持つ と主張 してい るご試。 この定義 か らは、組織体 が広報活動 を通 じ てパ ブ リックを説得す るところに重点が置かれた

とみ られ る。

.一方、Harlow (1976)によって定義 され る広報 とは、 「独特 なマネジメン ト機能で あ り、組織体 とパ ブ リック との相互 のコ ミュニケーシ ョンを通 じて、互 いに相手 を受 け入れ、協力関係 を保つ こ とである。経営層が組織体の運営 における問題や 議題 を把握す ることに役立ち、パ ブリックの意見 を吸収 して適切 な対応 を行 うことに役立ち、パ ブ リックの利益 を重視 した社会的責任 を意識す るこ とに役立 ち、危機 に対 してあ らか じめ警戒 する機 能 を有 し、組織体 の趨勢 を予期で き、急変 な経営 環境 に適応す ることに役立ち、倫理的かつ効果 的 なコ ミュニケーシ ョン技術 を主 な手段 とす るもの である29」 と主張 してい る。

つ ま り、広報 を一種 のマネジメン ト機能 として 捉 えるようになった ことが大 きな特徴 であ り、企 業経営 の観点か ら分析す ると、企業が倫理的かつ 効果 的なコ ミュニケー シ ョン戦略 を展開す ること によって、①経営問題 を発見 し、②適切 な経営行 動 を導 き、③企業 の社会的責任 を意識 し、④経営 危機 を警戒 し、⑤経営の趨勢 を予期 し、(参急変な 環境 に適応 す ることに役立つ、 こととして解釈で

きる。

この他 にも、1982年11月に、アメリカ ・パブリッ ク ・リレー シ ョンズ協 会(PRSA)が発表 した 「広 報 に関す る公式声明」 において、 「広報 は、 マネ ジメ ン ト機能 として、組織体の目標、計画、運営、

マネジメ ン ト型広報 (RexHarlow)

政策 な どに関わ る̀‑rj」と指摘 されているO さらに、

アメ リカでスタンダー ドな広報 テキス トとして評 価 されてい るBroom 良 Cutlip 良 CeIlter(2009) において も、 「広報 とは、組織体 とその組織体 の 成功或 いは失敗 を左右す るパ ブ リック との間 に、

互 いに利益 をもた らす関係 を構築 す るマネジメン ト機能である31」と定義づ けられている

3.2 企業広報 の役割 と位置づ け

Lerbinger(1977)は、 組織体 にお け る広報 の役 割 を、次 の4つにま とめてい る。第1の役割 は、

環境監視(EnvironmelltalMonitoring)であ り、外 部環境 の最新情報や発展、趨勢 な どを追跡 す るこ

と、 第2の役 割 は、 広報監 査(Public Relations Audit)であ り、パ ブ リックを正確 に識別 し、各パ

ブ リックか らみ られ る企業 イメージを分析 す るな ど、組織体 とパ ブ リック との関係性 を把捉す るこ と、 第3の役 割 は、 コ ミュニ ケ ー シ ョン監 査 (CommunicationsAudit)で あ り、 パ ブ リックの 研究 に加 え、満足度 を分析 し、パ ブ リックの支持 を継続的に得 るための研究な どを行 うこと、第4 の役割 は、社会監査(SocialAudiOで あ り、組織 体 の社会 における行動 や貢献度 な どを分析 し、企 業市民 としてのあ り方 を研究す ることで あると主 張 している32O

この ことか ら、企業広報 は、企業の内部環境 の みな らず、企業 を取 り巻 く外部環境 とも、健全な 関係 を有 し、 もはや、宣伝、広告、売 り込みでは な く、企業 と企業 を取 り巻 くさまざまな利害関係 者 との間 に信頼関係 を構築す ることを目的 とす る 重要 なマネジメン ト機能 として捉えるべきだ と言っ て も過言ではないG

企業広報 の定義や役割が明確化 され るなか、企

(8)

8 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』第15 20日年3月

図表6 組織体 における広報サブシステムズの位置づ け 外部環境

‑‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑

‑‑1"‑ ‑組織体1一一一一一一一一㌧ 一一 一一

ーー

1 ‑㌧一一一一一一一̲̲̲̲I̲̲̲一一‑‑一一 (出所)GruJljg良 HuJlt(1984)p9を基に、筆者作成。

業 広報 の位 置 づ け を分 析 す る. Katz& Kahn (1978)で は、 図表6に示 され るよ うに、組織体 を 構成す るサ ブシステムズ は、 おおむね、(∋ 生産 サブシステムズ(ProductionSubsystems):商品 ・ サー ビスを生産す る部 門、② 運営サ ブシステム ズ(Maintenance Subsystems):事務 運営 を担 当 す る部門、③ 販売サ ブシステムズ(Disposa一Sub systems):商 品 ・サー ビスを販売 す る部 門、④ 応用 サ ブシステムズ(AdaptiveSubsystcTnS):組 織体が外部環境 に適応 す るために必要 とされ る研 究開発部門、 そ して最後 に、⑤ マネ ジメン ト ・ サ ブシステ ムズ(ManagementSubsystems):各 サブシステムをそれぞれ運営 ・管理すると同時に、

サ ブシステム間の協調性 を促進 し、組織体 と外部 環境 との関係性 をコン トロールす る部門である と 指摘 されてい る330

そ こで、Grunjg良 Hunt(1984)は、 広報 もマ ネジメン ト・サ ブシステムズに属すべきであると 主張 し、企業経営 における広報 の位置づ けの重要 性 を強調 してい る。つ ま り、広報 サブシステムズ は、内部 では、各サ ブシステム間の意思疎通 を促 進 し、各サブシステム問の協調性 を向上 させ る役 割 を有 し、外部 に対 しては、組織体 と外部環境 と の情報流動 を促進 し、急変す る外部環境への適応

広報 サブシステムズ

力 を向上 させ る役割 を有 す る とされ る34。 この こ とか ら、企業広報 も、企業理念や企業倫理、企業 文化や企業統治 な どの さまざまな経営要素 と同 じ く、重要 な経営要素 として考 える必要が あるとい える。

4

「広報

4

モデル」および「双方向・対称型広報」

4.1 Grunig a Huntの 「広報4モ

ル」

マネジメ ン ト ・サブシステムズを構成す る重要 な 1要素 とな る企業広報 は、 どの よ うな特質 を持 つべ きなのか。Gmnig良 Hunt(1984)は、 アメ リカにおける広報 の歴史お よびさまざまな広報関 連 の書籍 を研 究 し、図表7に示 され るよ うな 「広 報4モデル(FourModelsofPublicRe一ations)」

を創 出 してい る。

第 1の広報 モデル は、 「媒 体 代 理 型 / 宣伝 型 (PressAgentry /Publicity)」と名 付 け られ、 主 な 目的 は、 宣 伝(Propaganda)にあ る とされ るO 具体的には、発信者が受信者 に向けて一方的に 企業情報 を伝 えることであ り、かつ情報 の真実性 が確保 されていない こ とであ る(One‑way;comp letetmth notessential)。 このモデル は、 一般 的に、スポー ツやサーカス、商品 プロモーシ ョン

(9)

21世紀における企業広報の研究領域(2)

9

図表7 Grunig

&

Huntの 「広報4モ

ル」

媒体代理/宣伝型 情報発信型 双方 向 .非対称型 双方向 .対称型

目的 宣伝 情報 の普及 論理 的説得 相互理解

コミュニケーション ‑方 向型 一方 向型 双方 向型 双方 向型

性質 非全真実 真実 効果不均衡 効果均衡

コミユ二ケ‑シ∃ン 発信者‑受信者 発信者‑受信者 発信者〜受信者 グルー プ〜 グルー プ

モデル (フィー ドバ ック) (フィー ドバ ック)

応用 スポー ツ、サーカス 政府、非営利組織 一般企業 正規 で あ る企業 (出所)Grtllllg良 Htlnt(1984)p.22を基に、筆者作成。

な どで用 い られ る350

第 2の 広 報 モ デ ル は 、 「情 報 発 信 型(Pt】blic information)」 と名付 け られ、主 な 目的 は、情報 の普汲(Disserrlinatjon ofinformation)に あ る と され る。 このモデルの コミュニケー シ ョンの特質 は、第 1の広報 モデル と同 じ く、発信者 が受信者 に向 けて一方的 に情報 を伝 える とい う一方 向型で はあ るが、情報 の真実性が確保 されてい るこ とが 大 きな進 歩 で あ る といえ る(One‑way;truth imp ()rtant)G この モデル は、 一般 ビジネ スで用 い ら れてい るほか に、特 に、政府機 関や非営利組織 で

よ く用 い られ る36。

第3の広報 モデル は、 「双方向 ・非対称型(TwoI WayAs ymmetric)」 と名付 け られ、主 な El的 は、

論 理 的説 得(Scientihcpersuasion)に あ る とされ る。 このモデルの コ ミュニケーシ ョンの特質 は、

一方 向型か ら双方向型 へ と深化 し、論理的 な説得 によ り受信者 を納得 させ、 それ によってパ ブ リッ クの支持 を得 るこ とで ある。 ただ、組織体 の利益 が優先 され るため、効果 は、発信者 で あ る組織体 に偏 向 せ ざ る を得 な い(TwoIWay;imbalanced effects)。 このモ デル は、 一般 企 業 や広報 コ ンサ ルテ ィング会社 で よ く用 い られ る37。

第4の広報 モデ ル は、 「双 方 向 ・対 称型(Two‑

WaySymmetric)」 と名付 け られ、主 な 目的 は、

相互理解(Mutualunderstanding)にあるとされ る。

このモデルの コ ミュニケー シ ョンの特質 は、第3 の広報 モデル と同 じ く、双方 向型が重視 され、利 益 が双方 にあ るべ きで あ るこ とが主張 され(Two‑

way;balanced effects)、最 も理想 的 な広報 モデ ルであ る と強調 されてい る38。

そ して、広報4モデル は、 あ くまで も企業広報 の理論 的展 開 に ともなって、 その考 え方が次第 に 広が り始 めた こ とを意味 し、 すべての組織 体 に適 応 され る とは限 らない。 た とえば、双方 向型広報 を展 開す る企 業 もあれ ば、従前 のまま、媒体代理 /宣伝型広報 または情報 発信型広報 を展 開す る企 業 もある。 また、企業 にお いては必ず しも 1つ の 広報モデル に限定 され る とは限 らない。た とえば、

媒体代理/宣伝型広報 または情報発信型広報 か ら、

双方向型広報 へ と移行 す る こともあれ ば、双方 向 型広報 をベース としなが ら、時 には、媒体代理/

宣伝型広報 または情報 発信型広報 の活動 を行 うこ ともある0

4.2 双方向 ・対称型広報の特徴 と限界

双方向 ・対称型広報 の出現 は、企業広報が宣伝、

広告、売 り込 みで ある といった先入観 を打ち破 り、

図表8に示 され るよ うに、双方 向型 コ ミュニケー シ ョンに基 づ いて、企業 と利害関係者 との間 に、

互 いに利益 を もた らす対称型 の方 向性 を 目指 す も ので あ る といわ れ る39。 こ うした企業広報 の特質 は、企業 ない し経営者 の社会的責任 を意識 した経 営活動 を実現 す る うえで重要 な 1要素 にな り得 る

し、企業 と利害関係者 との問 に信頼 関係 を構築 す る 1条件 にもな り得 る といえ る。

そ の一 方、 Coombs

( 1 9 9 3 )

は、 対 称 型 広 報 (SymmetricalPublicRelations)を め ぐる議 論 に

(10)

10 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』第15 20日年3

(出所)GTLImg(2001)p.26を参考に、筆者作成O 対 して、企業 は常 に有利 な立場 に置かれ、そもそ

も利害関係の対称 はあ り得 ない と指摘 している40。 さ ら に 、 LelChty & Splingston (1993)は 、 Gl‑unig良 Huntの 「広報4モデル」 を統計数字で 分析 し、一方 向型 と双方 向型 の2種類 で しか分業頁

で きない と指摘 してい る4‑0 なお、Grunig(2001) 自身 も、組戚体 に とって、利益 の対称の考 え方は、

利益 の一部 を放棄す ることにな るため、双方向 ・ 対称型広報がすべての組織体 に適用可能 だ とは思

えない と指摘 してい る42。

筆者 は、双方向 ・対称型広報 の限界 として、 1 つ は、 コ ミュニケーシ ョンの手法 に重点が置かれ ていることだ と考 えるo なぜ な らば、一方向型 ま たは双方向型 とい うのは、企業 と利害関係者 との コ ミュニケーシ ョンの手法 を表す もので あ り、企 業 に とっては、 コミュニケーシ ョンの手法 よ りも、

む しろ利害関係者 と良き関係 を構築す ることが重 要だか らである。つ ま り、利害関係者 と健全な関 係 を構築す るためには、 さまざまなコ ミュニケー シ ョン活動 を展開す る必要が あ り、それには、多 種多様 なコミュニケー シ ョンの手法 を用 いること が肝要だ と考 えるか らである。

双方 向 ・対称型広報 の もう 1つ の限界 は、利害 関係 の対称性 に重点が置かれてい ることだ と考 え る。 なぜ な らば、企業 と利害関係者 との間に発生 す るあ らゆ る利害が対称性 を持 っているか どうか は、利害 に関わ る当事者 それぞれが判断す るもの で あって、片方が判断できるものではないか らで ある。 さ らに、利害関係 の対称性 とい うのは、企 業 と利害関係者 との問に信頼 関係が構築 され るこ

とによって現れ る必然的な結果で あ り、信頼関係

の構築 を目的 とす る企業広報 の特質で ある とは言 えないか らである。

つ ま り、企業広報 の問題 は、企業 と利害関係者 との関係性 を中心 とする議論であ り、コ ミュニケー シ ョンの手法 を中心 とす る議論 は、企業広報 の 1 つの手段 として扱 うべ きであ り、利害関係 の対称 性 を中心 とす る議論 は、企業広報 の 1つの結果 と

して扱 うべ きであると考 えるG

5 関係 理 論 の登 場 と 「期 待 応 答 型 広 報 Jの 展開

5.1 関係理論 の登場

Center& Jackson (1995)は、 広 報 の こ とを

"Public Relations'' と称 す るよ りも、"Pub一ic Rela〔joIIShip"と称 したほ うが よ り適切 だ と指摘

してい る43。"Relali〔)rlS"が 「一般 の関係 」 の意 味で使 われてい るのに対 し、"Re一ationship"は、

「更 に進 んだ密接 な関係」 を意味す るもの として 使 われてい る。つま り、企業広報 の最終 目的 は、

企業 と利害関係者 との 「関係」 その もので あ り、

企業広報 の特質 を研究す る場合 には、企業 と利害 関係者 との間が、 どのよ うな関係 で結 ばれ るのが 最 も望 ま しく、 その関係 を構築 す るためには、 ど のよ うな取 り組みが重要なのか、 を考 えることが 大事 で あ る とい え る。Pavlik 良 Salmon (1984) において も、広報 を論 じる場合 には、広報対象 と な る …public‑'と、 そのパ ブ リック との関係性 を 示す "Relationship"を研究す るこ とが大事で あ ると指摘 されてい るO しか しなが ら、Publicを分 析 単位 とす る基礎研 究 はな されてい るものの、

Relatjonshipを分析単位 とす る研究 は乏 しい とき

(11)

21世紀における企業広苛の研究領域(2) 11

図表9 期待応答型広報の展 開

(出所)筆者作成。

れ る11。

こ うしたなか、マーケテイング分野では、すで に、Morgan 良 Hunt(1994)に代表 され るように、

委託/信頼 (Commitmel1t/Trust),は、 消費 者 と良 き関係 を構築す るうえで重要 な 1要素で あ るといった考 え方が定着 しつつある。Hon(1998) では、企業広報 の効果測定 を論 じる際 に、 メデ ィ アへの露出量や記事の内容な どを分析するよ りも、

その価値 の所在 を検討 したほ うが適切だ と指摘 さ れてい るaGo っ ま り、 企業が 自社 を取 り巻 くさま ざまな利害関係者 と信頼関係 を構築す ることこそ、

企業広報 の最終 目的であ り、それを実現す ること によって、企業経営が持続 的かつ健全 な発展 を成 し遂 げることが可能 となる。

5.2 「期待応答型広報」の展開

企業が 自社 を取 り巻 くさまざまな利害関係者 と 信頼関係 を構築 す るための企業広報のあ り方 とし

て、以下の2点 に重点を置 くべ きだ と考 える。

1つ は、企業 を取 り巻 くさまざまな利害関係者 の各々 を、特性 を持 った広報対象 として考 えるべ きで ある。Freeman (1984)に指摘 され るよ うに、

利害関係者 とは、 「ある組織体 の 目標 や政策、決 断や行動 な どに一定の影響 を与 える特定のグルー プ(Anygroup)または 1個人(Indi17iduaりを指 し、

その支持 が な くて は、組織体 は存続 で きな くな る47」 ことと、Grunjg良 Hunt(1984)に指摘 され るよ うに、広報対象 とな るパ ブ リックは、 「あ る 小足 の議題 や問題 に対 して共通 の意識 を持つ こと

によって結合 された一群 の人々で ある48」 といっ た ことか らも、広報対象 を 「一般大衆」 とい う広 い意味 で取 り上 げ るよ りも、 利害 を同 じ くす る

「一群の人々」、 その各々を対象 とす る的を絞 った 広報活動 を展開す ることが大事であるといえる。

もう 1つ は、企業情報 を利害関係者 に正確かつ 適時適切 に伝 えると同時 に、利害関係者の企業に 対す る要望や期待、不満 な どにも応 える広報活動 でなければな らない。 なぜ な らば、利害関孫者 の 企業 に対す る要望や期待 、不満 な どは、個々の利 害関係者 によって異 な り、その要望や期待、不満 な どに適切 に応 えることによって、相互理解が深 ま り、信頼 関係が構築 され、 さまざまな利害関係 者か ら尊敬 され る企業 として、持続的かつ健全 な 経営発展 を成 し遂 げることが可能だ と考 えるか ら である。

以上 を踏 まえて、企業広報 の新たな展開を考 え ると、図表9に示 され るよ うな 「期待応答型広報

こそ、 「双方向 ・対称型広報」 に代 わ る企業広報 の特質であると考 え られ る。つ ま り、企業 は、企 業 を取 り巻 く個々の利害関係者 を、特性 を持 った 広報対象 として捉 え、効果 的なコ ミュニケーシ ョ ン戦略 に基づいて、個 々の利害関係者 に企業情報 を正確 かつ適時適切 に伝 えると同時 に、利害関係 者 の企業 に対す る要望や期待、不満 に応 えること

によって、利害関係者 との相互理解が深 ま り、信 頼関係が構築 され、経営 の趨勢や危機 な ども予期 で き、最終的に、持続的かつ健全 な経営発展が実 現可能だ といえる。

(12)

12 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第15号 20113

6

おわりに

本稿 は、 「21世紀 における企業広報 の研究領域 の第2部 として、広報先進 国 とも呼 ばれ るアメ リ カを中心 に、企業経営 の観点か らみ られ る広報 の 理論 的展 開 を、説得型広報 か らマネジメ ン ト型広 報 まで考察 し、企業広報 の定義や役割、企業経営 にお ける位置 づ けな どを明 らか に した。 そ して、

広報4モデルに代表 され る双方 向 ・対称型広報 の 特徴 と限界 を分析 し、新 たな方 向性 を 目指 すべ く 期待応答型広報 の考 え方 を提案 した。最終 的 に、

企業 は、期待応答型広報 の展開 によ り、企業 を取 り巻 く個 々の利害 関係者 との相互理解 が深 ま り、

信頼 関係 が構築 され、持続 的かつ健全 な経営発展 を実現 す るこ とが可能 で あ るといった ところに大 きな期待 を寄せ てい るC

今後 の課題 として、主 に、下記 の3点が あげ ら れ る。

第 1に、本稿 で は、期待応答型広報 の考 え方 を 提案 したが、理論研 究 に止 ま り、実証研究がなさ れていない こ とが大 きな課題 で ある。つ ま り、先 進 的な企業 におけ る企業広報 の事例 とそ うでない 企業 の事例 につ いて比較研究 を行 い、期待応答型 広報 の実効性 を証明 しなが ら、期待応答型広報 を 展開す るための具体 的な条件 を明 らか にす る必要 があ るO

第2に、期待応 答型広報 を展開す ることによっ て、企業業績 に どの よ うに貢献で きるのかを突 き 詰 めて研 究す る必要 が あ る。つ ま り、期待応答型 広報 は、企業 と利害 関係者 との相互理解 を どの よ うに深め、信頼 関係 の構築 に どのように貢献で き、

最終 的に、企業業績 への貢献度 は どの ぐらいなの か、 を深 く研 究す る必要が ある。

第3に、期待応答型広報 の有効性 を解明す るた めにも、企業現場 に足 を運 び、企業経営者や広報 担 当者 に対 す る ヒア リング調査 を行 うこ とが肝要 である。つ ま り、 さまざまな ヒア リング調査や事 例研究 な どに基づ いて、体 系的 な分析 と評価 を行 うなかで、期待応答型広報 の詳細 な内容 を整理 し、

その有効性が企業経営 の健全 な発展 に大 いに貢献

で きるこ とを解 明す るこ とが肝要 な課題 とな る。

以上の研 究課題 を含 め、期待応答型広報 を展 開す る うえで必要 だ と思われ る研究領域 につ いては、

第3部 で詳 しく論 じることに し、 そのなかか ら21 世紀 における企業広報 の新 たな方 向性が解明 され

ることと期待 す る

【注】

1 宣(2010a)21133貢0 2 宣(2010a)22‑23頁。

3 主 に、基本的な人権 をめ ぐる社会革命が中心 と な り、それには、黒人の解放、奴隷制の排除、

婦人教育権、禁酒運動、交通安全 な どが含 まれ る。詳 しくは、Paisley (1981)pp.】5‑17を参 照

4 Paisley(1981)p.16.

5 Pavljk (1987)p.70‑71で は、 イ ェ‑ル学派を 中心に行われた情報処理モデル、および、それ に基づいて展開されたMcGuil‑eの説得型マ トリッ クスは、広告や広報学界 において今 もなお参考 価値の高い先行理論 として評価 されていると指 摘 されている。

012345678901にUっ/CC911111「lrl1111‑(ノ︼2

McGuire McGlljre McGuire McGujre McGuire McGuire Anderson Rokeach

(1981)pp.45‑46.

(1981)pp.47‑48.

(1981)p,48 (198T)pp.48‑49 (1981)p.49.

日981)p.50

(1989)pp.313‑314.

(1979)p.6.

VanLeuven (1989)pp.196‑197, Grunig良 Hunt(1984)p.143.

Grunig良 Hun日1984)pp.143‑144 GTunig良 Hunt(1984)p.150.

Grunig良 Hunt(1984)pp.153‑154.

水村(2001)36貢。

Freeman (1984)p.25.

松岡(1982)25頁 においては、 「狭報」の考 え方 が主張 されている。つま り、広報 の対象を 「一 般大衆」 といった不特定多数を相手に考えるよ

(13)

21世紀における企業広報の研究領域(2) 13

りも、共通の利益や関心、趣味な どに応 じて し ぼ り込む こ とが効果 的で あ り、 その意味で広 い とい うことは重要ではない とい う主張である。

22 McLeoda Chaffee(1973)pA80‑482. 23 McLeoda Chaffee(1973)p.485. 24 McLeod良 C11a什ee(1973)p.485‑487 25 McLeod良 Chaffee(1973)p.487‑488.

26 Ncwsom a Scott(1981)p37 27 Hiebert(1966)p.ll

28 BerllayS(1952)pp.3‑4.

29 Iiarlow (1976)p‑36.

30 公 式声 明 の詳細 は、PublicRelatiollSSociety of America: http://www.prsa.ore/aboutUS/ OmcialStatement.htmlを参照の こと.

31 Broom a Cutlip a Center(2009)p.7. 32 Pavlik(1987)pp.27129.

33 組織論 をめ ぐる研究のなかで、"Subsystems"を

「下位 シス テム」 と訳 され る場合 もあれば、"D jsposalSubsystems"を 「境界 システム」 と訳

され る場合 もあ る。なお、本稿 では、一般企業 の基本的な経営活動 を前提 に、 よ りわか りやす く整理す るために、サブシステムそれぞれを、

生産、維持、販売、適応、マネジメ ン トとして 訳 している。詳 しくは、Grunlg良 Hunt(1984) p.8‑9を参照の ことC

34 Grunlg良 IITunt(1984)p.9 35 Grunig良 Hunt(1984)pp.21‑26 36 Grunig良 Hunt(1984)pp.22‑27.

37 Gruniga Hunt(1984)pp,23‑27.

38 Grunig良 Hunt(1984)pp,22127.

39 Glunig(2001)p.26.

40 Coombs(1993)pp.114‑116.

41 Leichty良 Springston(1993)pp.330‑332. 42 Grunlg(2001)pp.14‑15

43 Center良 JackSOn(1995)pp.ト 2 44 Pavlik良 Salmon(1984)pp.39‑49.

45 Morgan 良 Hunt(1994)pp.20‑38を参照 の こ と。一方、 日本国内において も、花王 の消費者 苦情 の窓 口では、企業 と消費者 との信頼 関係 を 目的にマーケテ イング活動の一環 として実践 さ れてい る。 なお、信頼理論 をめ ぐる議論 は、宣

(2010b)138‑139頁 を参照の こと。

46 Hon (1998)p.130.

47 FIeeman(1984)p.25. 48 Grunig良 Hun〔(1984)p.124

【参考文献】

日本語文献

樫 井克彦(2007)「現代 の企 業 と企業体制論 的接近 一 企業社会責任 お よび企業統治 に関連 して」 日本 経常教 育学会編 『経営教育研究』第 10号、57‑

80貢Q

宣京哲(2010a)「21世紀 にお け る企業広報 の研 究領 域 一企業広報 の発端、定義、技術、特質」神奈 川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14号、

21‑33亘。

宣京哲(2010b)「日本 にお け る企業広報 の歴史 的展 開 と新 しい広報 システムの構築 ‑期待応答型広 報 による企業経営の健全 な発展 に向 けて」法政 大学イノベーシ ョン ・マネジメン ト研究センター

『イノベーション ・マネジメン ト』第7号、129‑

146頁。

谷本寛治編(2004)『csR経営 一企業 の社会 的責任 と ステイクホルダー』中央経済社。

中国証券監督管理委員会(2008)『中国資本市場発展 報告』 中国金融出版社。

平 田光 弘(2006)「新 たな企業競争力の創成 を 目指す 日本 の経営者 の三つの課題」『経営力創成研究』

東洋大学経営力創成研究セ ンター、第2巻 1号、

59‑71貢。

平 田光弘(2007)「学者 が斬 る‑コーポ レー ト ・ガバナ ンスで不祥事 はな くな らない」毎 日新聞社 『ェ コノ ミス ト』第85巻7号、50‑53頁O

松 岡紀雄(1982)『海外広報 の時代 一英文 出版 の手 引 き』経済広報セ ンター。

水村典 弘(2001)「利害関係者 をめ ぐる経営学 的研究 の推移 一利害関係者理論か ら利害関係者管理へ

日本経営学会 『日本経営学会誌』第7号、36

47頁。

吉森賢(2003)「企業統治 を超 えて‑その限界 と新 た な課題」横浜国立大学 『横浜経営研究』第24巻

3号、203‑234頁。

(14)

14 神奈川大学大学 院経営学研究科 『研究年報』第15 20113

外 国語 文 献

Anderson,氏.B.(1989)"Reassessing theOdds AgalnSt Findlng Meamngful Behaviol・・al Changein MassMedia Health Promotion Campaigns, i〟nBotan,C.H.andHazleton, V.Jr.(Eds.)PublicRelationsTheory,nil sdale:Law1‑enCeErlbaumAssoclateS,pp.309‑ 321.

Bernays,E.L.(1952)PublicRelations,Norman:

TbeUniversltyOfOklahomaPress. Broom,G.M.& CutllP,S.M.& Center,A.

H.(2009)Effectiz)ePublicRelations (loth ed.),UpperSaddleRiver:PrenticeHall. Center,A.H.& Jackson,P.(1995)Public

relationsPT・aCtices:ManagerialCaseStudies andPTIOblems(5thed.),UpperSaddleRiver:

A simon&SchusterCompany.

Coombs,W,T,(1993)̀PhilosophicalUndel,pinnings: RamificatlOnS Ofa PlurallStParadigm,"

PublicRelationsReL)lew,Vol.19,No.2,pp.

111‑119.

Freeman,R.E.(1984)StT‑ategicManageTnent: A Staheholder・Approach,Boston:Pit,man Publishing.

Grunlg,・J.E.&Hunt,T.T.(1984)Managing Publ乙CRelations,New York:‖olt,Rinehart

&WlllStOn.

Gnlnig,∫.E.(2001)"Two‑Way Symmetrical Public Relations, in Heath,R.L.and Vasquez, G̲ (Eds),LIandbooh of Public Relations,ThousandOaks:SagePublications, pp,ll‑30.

Harlow,R.F.(1976)̀℃uildingaPublicRelations Definltion,"PublicRelationsReuieLu,Vol.2, No.4,pp34‑42.

Hiebert,R.E.(1966)Courtier to the CT・OWd:

TheStoryofIvyLeeandtheDevelopment of Public Relations, Am es: Iowa State UniversityPress.

Hon,L C.(1998)Demonstrating Effectiveness in PublicRelations:Goals,Objectives,and

Evaluatioll, Journal of PubllC Relations Research,Vol.10,No.2,pp.103‑135.

Leichty,G.&Springston,∫.(1993)̀Reconsidering PublicRelationsModels."PublicRelations Reu乙eW,Vol.19,No.4,pp.327‑339.

McGuire,W.∫.(1981)"TheoreticalFoundations ofCampaigns,"in Rice,R.E,andPaisley, W,J,(Eds̲),PublicCoTnmunicationCampaigns, BeverlyHllls:SagePub、lications,pp.41‑70.

McLeod,J.M and Chaffce,S.H.(1973) LhterpersonalApproachestoCommunication Research,"ATnericanBehavioralScientist, Vol.16,No.4,pp.469‑499.

Morgan,R.&Hunt,S.(1994)"TheCommitment‑ 1・uStTheory ofRelationship Marketing,"

JournalofMarketing(July),pp.20138.

Newsom,D.& Scott,A.(1981)ThisisPR:

TheRealitieso/Publ乙CIMations,Belmont: Wadsworth.

PalSley,W.J.(1981)"Public Com m unicatioll Campaigns:TheAmerican ExperlenCe,"in Rice,R.E.and Paisley,W. ∫. (EdsJ, PublicCommunicationCampaigns,Beverly Hills:SagePublications,pp.15‑40.

Pavlik,J.V.&Salmon,C.T.(1984)"Theoretic Appr・Oachesin PublicRelationsResearch,"

PublicRelationsResearchandEducation, Vol.1,No.2,pp.39‑49.

Pavlik,∫.V.(1987)PublicRelations: What Research Tells Us.Newbury Park:Sage Publications.

Rokeach,M.(1979)UnderstandingHumanValues, New York:TheFreePress.

VanLeuven,∫.K (1989)"TheoreticalModelsfor PublicRelationsCampalgnS,"in Botan,C.

H.&Hazleton,V.Jr.(Eds.)PLLblLCRelations Theory, Hillsdale: Lawrence Erlbaum Associates,pp.193‑202.

図表 5 広報定義の変遷 情報発信型広報
図表 7 Gr uni g & Hunt の 「 広報 4 モ デ ル」
図表 9 期待応答型広報の展 開

参照

関連したドキュメント

第五章 研究手法 第一節 初期仮説まとめ 本節では、第四章で導出してきた初期仮説のまとめを行う。

組織変革における組織慣性の

研究開発活動  は  ︑企業︵企業に所属する研究所  も  含む︶だけでなく︑各種の専門研究機関や大学  等においても実施 

図表:企業におけるクラウドコンピューティングの利用状況の推移 (出典) 総務省 『平成27年版 情報通信白書』 図表 2-1-2-4, 平成 27

It is inappropriate to evaluate activities for establishment of industrial property rights in small and medium  enterprises (SMEs)

 21世紀に推進すべき重要な研究教育を行う横断的組織「フ

 基本的人権ないし人権とは、それなくしては 人間らしさ (人間の尊厳) が保てないような人間 の基本的ニーズ

The future agenda in the Alsace Region will be to strengthen the inter-regional cooperation between the trans-border regions and to carry out the regional development plans